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第961回

  【ニュース・ヘッドライン】 COVID-19:ベクルリーのEUA適応範囲が拡大  COVID-19:FDAが回復期血漿をEUA  COVID-19:RNAワクチンはクリニックで長く保管できない  COVID-19:アボットが抗原検査を5ドルで販売  アリル炭化水素受容体モジュレータの第三相乾癬試験が成功  ノバルティス、難治慢性骨髄性白血病薬の第三相が成功  第一三共から導入した新規タキサンの第三相が成功  3年前に承認されたIDH2阻害剤の第三相がフェール  メルク、テプミトコを米国でも承認申請  アッヴィ、リンヴォックを強直性脊椎炎に適応拡大申請  カボメティクスとオプジーボの併用を腎細胞腫に承認申請  CDK4/6阻害剤を白金薬誘発性骨髄抑制の予防薬として承認申請  代謝性アシドーシス治療薬の承認申請は審査完了に  アンドロゲン受容体阻害剤がニキビ治療薬として承認  FDA、カナグルの下肢切断警告を緩和  【今週の話題】 COVID-19:ベクルリーのEUA適応範囲が拡大 (2020年8月28日発表) FDAは、ギリアド・サイエンシズのVeklury(remdesivir、和名ベクルリー)の非常時使用を認可しているが、適応範囲をCOVID-19入院患者全般に広げた。これまでは低酸素飽和度かつまた酸素投与・呼吸補助が必要な重症患者に限定していた。 当初EUAの根拠となったACTT-1試験では軽中等症の患者でも第15日回復率が改善するトレンドが見られたが、サンプル数が少ないこともあって、有意差が見られなかった。その後、ギリアドが主導した中等症患者試験(GS-US-540-5774)の結果が判明。5日間投与した群の第11日症状改善オッズ比がSOC(標準療法)と比べて1.65、p=0.017となった。この二本が限定解除の根拠である。 奇妙なことに、この試験は10日コース群では有意差が出なかった。10日コースと言っても多くは完了前に退院したため実際は6日程度しか投与しなかった。5日投与が有効で6日投与は無効というのは釈然としない。 退院がこんなに早いならインフルエンザ治療薬と同様に罹患期間を比較すべきなのではないかと思うが、罹患期間の解析は5日コースも10日コースもSOCと大差なかっ...

第960回

  【ニュース・ヘッドライン】 COVID-19:BNT162b2の第1相データが公表  COVID-19:簡便安価なRT-PCR検査が米国でEUA  キイトルーダの食道癌一次治療試験が成功  ノバルティス、抗PD-1抗体の第三相がフェール  バイオマリン、軟骨異形成症用薬を承認申請  バイオマリン、A型血友病の遺伝子療法の承認はお預け  ギリアド、JAK1阻害剤は承認審査完了に 米国で多発骨髄腫のKdDレジメンが承認  ノバルティス、抗CD20抗体が多発性硬化症に承認  ロシュ、エンスプリングが米国でも承認  【今週の話題】 COVID-19:BNT162b2の第1相データが公表 (2020年8月20日発表) ドイツのBioNTech SE(Nasdaq:BNTX)は、ファイザーなどと共同開発しているCOVID-19ワクチン、BNT162の第1相試験データを発表した。二種類の候補のうち、副反応や高齢者における免疫原性の点で優れていたBNT162b2を用いて7月に第2/3相試験を開始、順調なら10月にも承認申請する考え。日本も21年上期に1.2億回分の供給を受けるべく基本合意している。以下、medRxivで公開された査読前の治験論文に即して、説明する。 BNT162はウイルスのスパイク蛋白のRNAのリピッド・ナノパーティクル製剤。患者の体内で抗原を発現させる。上記のBNT162b2は、全長スパイク蛋白のRNAの一部を改変して細胞融合前の構造の再現を図ったもの。一方、BNT162b1は、スパイク蛋白の一部である受容体結合ドメイン(RBD)と、免疫原性強化を狙ってT4 fibritin foldon domainを、三量体化した。 21日置いて二回、筋注する。b2もb1も一回だけでは十分な効果はなさそうに見えるので、この21日の間に感染しないよう注意すべきだろう。第28日における中和抗体のGMT(幾何平均抗体価)は用量依存的に上昇した。第2/3相で採用された、b2を30mcg、二回接種した群のGMTをCOVID-19に感染し回復期に入った患者38人のサンプルにおけるGMT(入院が必要だった一名は618、症候性35人は90、無症状3人は156)平均値と比較すると、18-55歳のコフォートでは3.8倍、...

第959回

  【ニュース・ヘッドライン】 オプジーボの胃癌と食道癌の第三相が成功  CDIのマイクロバイオーム療法試験が成功  ジェネンテック、新規抗体医薬の潰瘍性大腸炎試験が区々な結果に  TG社もPI3Kデルタ阻害剤を承認申請  リジェネロン、もう一つのコレステロール治療薬を承認申請  ギリアド、レムデシビルを米国で承認申請  FDA諮問委員会がテムセルを支持  シスプラチン誘発性聴力障害用薬は承認されず  日本発の核酸医薬が米国で承認  【新薬開発】 オプジーボの胃癌と食道癌の第三相が成功 (2020年8月11日発表) BMSは、Opdivo(nivolumab、和名オプジーボ)の胃癌と食道癌の第三相試験が二本成功したと発表した。データは学会発表の予定。 CheckMate-649試験はher2陽性ではない進行・転移胃・食道癌の一次治療としてCapeOXレジメンまたはFOLFOXレジメンと併用する効果を併用しない群と比較した。PD-L1陽性(CPS≧5)サブグループを対象とする共同主評価項目のうち、全生存期間は中間解析だったが成功、最終解析のPFS(無進行生存期間、盲検独立中央判定)も成功した。全生存期間は全被験者の解析も成功した。 この試験はOpdivoとYervoyを併用する群も設定されているが、まだ結果が出ていないようだ。治験登録にはこの併用群に関する主評価項目や副次的評価項目は記されていないので、探索的意味合いなのかもしれない。 CheckMate-577試験は食道や食道胃接合部の腫瘍で化学放射線療法によるネオアジュバント治療を受けpCR(病理学的完全寛解)を達成できなかったが完全切除はできた患者を組入れて、無病生存期間を偽薬群と比較した。全被験者の中間解析が成功した。副次的評価項目である全生存期間が残っているため治験は続行する。 Opdivoは切除不能/再発/転移食道扁平上皮腫の三次治療に米国で承認されている。日本では二次治療や胃がんの再発治療も承認されているが、胃癌は診断・治療方針や標準療法が日韓と欧米で異なっているため、欧米は今回のデータで適応拡大申請することになる。 リンク: BMSのプレスリリース(CheckMate-649試験) リンク: 同(Chec...

第958回

  【ニュース・ヘッドライン】 (オプジーボ+ヤーボイ)>(アリムタ+プラチナ) テセントリクのトリプルネガティブ乳癌試験がフェール!  ノバルティス、キムリアの濾胞性リンパ腫試験が成功  バイオジェン/エーザイ、FDAがaducanumabの承認申請を受理  Vanda、MT1/2受容体作動剤をスミス・マギニス症候群に適応拡大申請  ピーナツアレルギーの経皮的減感作療法は審査完了に  ジェネンテックの脊髄筋萎縮症治療薬が承認  静注用オピオイドが承認  GSK、抗BCMA抗体薬物複合体が承認  JNJ、点鼻用抗うつ剤が自殺思慮・行動を示す患者にも承認  MorphoSys、抗CD19抗体がDLBCLの二次治療薬として承認  GW社、カンナビジオールが結節性硬化症に適応拡大  【新薬開発】 (オプジーボ+ヤーボイ)>(アリムタ+プラチナ) (2020年8月8日発表) BMSは、Opdivo(nivolumab)とYervoy(Ipilimumab)のCheckMate-743試験の成功を発表した。悪性胸膜中皮腫の一次治療における延命効果を検討した第三相試験で、メジアン生存期間が18.1ヶ月とAlimta(pemetrexed)とcisplatinまたはcarboplatinを併用する標準療法の14.1ヶ月を上回り、ハザードレシオは0.74、96.6%信頼区間は0.60-0.91、p=0.002だった。 類上皮腫ではメジアン18.7ヶ月対16.5ヶ月、ハザードレシオ0.86、95%信頼区間0.69-1.08であったのに対して、非類上皮腫では各18.1ヶ月、8.8ヶ月、0.46、0.31-0.68とより良好な結果が出た。 悪性胸膜中皮腫は治療の選択肢が少なく、久々の朗報だ。データはWorld Conference on Lung Cancerでバーチャル発表された。 リンク: BMSのプレスリリース テセントリクのトリプルネガティブ乳癌試験がフェール! (2020年8月6日発表) ロシュは、抗PD-L1抗体Tecentriq(atezolizumab)のIMPassion131試験がフェールしたと発表した。副次的評価項目である全生存期間ではネガティブなトレンドも見ら...

第957回

【ニュース・ヘッドライン】 COVID-19:アクテムラの重症COVID-19肺炎試験もフェール  COVID-19:BioNTech/ファイザーのワクチンもP2/3入り  RSV感染症予防用新薬の後期第二相試験論文が刊行  ジャディアンスも駆出率低下心不全のアウトカム試験が成功  アッヴィ、もう一つのCGRP受容体拮抗剤も承認申請へ  アッヴィ、リンヴォックの三本目の第三相アトピー試験も成功  ブルーバードとBMS、BCMA結合CAR-Tを再承認申請  第二のエボラ治療薬も米国で承認申請  EMA、COVID-19におけるデキサメタゾンの効用を検討開始  CHMP、GSKの抗癌剤などに肯定的意見  ロシュ、テセントリクが分子標的薬併用で悪性黒色腫に承認  ギリアド、マントル細胞腫のCAR-T製品が米国で承認  【今週の話題】 COVID-19:アクテムラの重症COVID-19肺炎試験もフェール (2020年7月29日発表) ロシュは、抗IL-6受容体抗体Actemra(tocilizumab、和名アクテムラ)を重症COVID-19肺炎の入院患者の治療に用いる第三相COVACTA試験がフェールしたと発表した。主評価項目である28日間の臨床状態改善(オッズ比1.19、p=0.36)も、主要副次的評価項目である28日死亡率(Actemra群19.7%、偽薬群19.4%)も、大差なかった。 抗IL-6受容体抗体ではリジェネロン・ファーマシューティカルズ/サノフィのKevzara(sarilumab、和名ケブザラ)も第三相危機的COVID-19肺炎試験がフェールした。ロシュはギリアドのVeklury(remdesivir)に追加する試験も実施しているが、期待し難くなった。 重症COVID-19肺炎でしばしば見られるサイトカイン・ストームを鎮静化することで予後改善を図るアイディアだが、好ましい結果が出ていない。例えば、IL-6量が特に多いサブグループに絞っても効果が見られないのだろうか? 重症COVID-19肺炎の臨床試験をこれから開始する場合は、RECOVERY試験で酸素補給/呼吸補助が必要な患者の死亡リスクを削減する効果を示したdexamethasoneをベースに、試験薬を追加するデザインになるだろう。効果がオ...

第956回

【ニュース・ヘッドライン】 COVID-19:ファビピラビルのインドでの治験結果  COVID-19:ワクチンの第二相データが続々と発表  ジャカビの第三相慢性移植片宿主病試験が成功  カルシニューリン阻害剤がループス腎炎に承認申請  ACADIA、Nuplazidを認知症精神症状治療薬として適応拡大申請  BMS、CAR-Tを欧州でも承認申請  アストラゼネカ、ビレーズトリが米国でも承認  ジャズ、ナルコレプシー用薬のミネラルバランス改良製剤が承認  【今週の話題】 COVID-19:ファビピラビルのインドでの治験結果 (2020年7月22日発表) インドのグレンマーク・ファーマシューティカルズは、インドで実施しているFabiFlu(favipiravir)の第三相軽中等症COVID-19試験の結果を発表した。主評価項目のウイルス口内放出期間はフェールしたが、主要副次的評価項目である罹病期間は悪くない結果になった。6月にインドで承認されたばかりなので、裏切る結果にならなかったのは取り敢えず一安心だろう。同社は中等症患者を対象にumifenovir併用の第三相試験も実施中。 favipiravirはRNAポリメラーゼ阻害剤。新型インフルエンザが流行した時の治療薬として日本で14年に承認された。COVID-19治療効果は中国やロシアの小規模な試験や日本の観察的試験で良好な数字が出ているが、対照試験は藤田医科大学などで行われた無症候性・軽症患者の第二相がフェール、今回も主評価項目はフェールと、判然としない結果になっている。 今回の試験は、RT-PCR検査で陽性判定されてから48時間以内の入院患者150人(軽症90人、中等症60人)を7臨床施設で組入れて、800mg(初日は1600mg)を一日2回、最長14日間経口投与する群と対照群に無作為化割付して、転帰をオープンレーベルで比較したもの。結果は、ウイルス口内放出期間のハザードレシオが1.36(95%信頼区間0.944、1.979)、p=0.129となり、フェールした。一方、罹病期間のほうはメジアン3日対5日、ハザードレシオ1.749(95%信頼区間1.096、2.792)、p=0.029となった。深刻有害事象はゼロ、対照群は一人で発現した。 主評価項目がフェールしたの...

第955回

【ニュース・ヘッドライン】 COVID-19:アビガンの国内第二相がフェール  イーライリリーの抗IL-23p19抗体も第三相が成功  ブリリンタの脳卒中再発予防試験論文が刊行  テセントリク、卵巣癌の四剤併用試験がフェール  バイエル/MSD、新規作用機序の慢性心不全治療薬を米国でも承認申請  FDA諮問委員会、テルリプレシンの評価が割れる  FDA諮問委員会、GSKの抗BCMA抗体薬物複合体の承認に賛成  カンタリジンは承認審査完了に  CytoDyn社、抗CCR抗体の承認申請がFDAに受理されず  JNJ、トレムフィアが乾癬性関節炎に承認 【今週の話題】 COVID-19:アビガンの国内第二相がフェール (2020年7月10日発表) 藤田医科大学が主導して実施していたfavipiravirの第二相試験が主目的を達成できなかったことが公表された。点推定値自体は悪くなさそうだが、favipiravirを使わない対照群と有意な差がなかった。 臨床試験の目的は白黒はっきりさせることであり、結果が期待通りであろうがなかろうが、有効か無効かハッキリするならば人類にとって大きな意義がある。逆に、曖昧な結果に終わった場合、治験に投じられたボランティアの好意と研究者の熱意、そして関わった全ての人の時間や資金が徒労に終わってしまうだけでなく、今後の研究の患いにすらなりかねない。 一例はremdesivirだ。ACTT-1試験が成功し日本などで承認されたが、当初は、中国湖北省で行われたremdesivirの重症COVID-19試験がフェールしたこととの整合性が議論になった。このYeming Wangらの試験も点推定値は良好なもので、偽薬群と有意差が出なかったのは組入れが目標に達せず検出力不足に陥ったことが原因だろう。武漢などでの流行が鎮静化したのは住民にとっては良かったが治験の新規組入れが困難になってしまった。 藤田医科大学ら47医療機関で実施された特定臨床研究の場合、無症状又は軽症のCOVID-19感染者の組入れが89名と予定の86名を越えたので組入れ不足が原因ではなさそうだ。治療開始時点ですでにウイルス消失していた患者など20名が薬効解析対象から除外されたため検出力不足に陥ったのかもしれないが、治療効果の前提や解析計画が...