【ニュース・ヘッドライン】
- Regeneron、WHOがmaftivimabをブンディブギョ株エボラの優先候補に
- アストラゼネカ、ALアミロイドーシス用抗体がサブグループに便益
- BMS、第2のCELMoDの第3相が成功
- 慢性B型肝炎でも完治が視野に
- Hansa Biopharma、拒絶反応予防薬の欧州承認後薬効確認試験が成功
- 迪哲医药、Zegfrovyの適応拡大を米中で申請
- テクベイリを単剤で適応拡大申請
- サノフィ、III型ガウシェ病用薬を承認申請
- 肢帯型筋ジストロフィー用薬を承認申請
- DMDのエクソン51スキップ薬を承認申請
- 睡眠時無呼吸の配合剤を承認申請
- ADH1用薬を承認申請
- Agios社、mitapivatを鎌状赤血球症に申請断行
- イミフィンジが筋層非浸潤膀胱癌に適応拡大
- アッヴィのADCがBPDCNに承認
- 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会
【今週の話題】
Regeneron、WHOがmaftivimabをブンディブギョ株エボラの優先候補に
(2026年5月28日発表)
Regeneron Pharmaceuticals(Nasdaq:REGN)は、WHOの諮問グループがBundibugyo株によるエボラウイルス疾患における効果を探索する上で、同社のmaftivimabを最優先とするよう推奨したと発表した。20年に米国で承認されたザイール株エボラウイルス疾患用薬、Inmazeb(atoltivimab、maftivimab、odesivimab-ebgn)の配合成分の一つで、in vitroでBundibugyo株を含む様々な株に中和作用を示した。INMAZEBはこれまでに数百人の投与実績がある。
エボラウイルス疾患はフィロウイルス科のRNAウイルスによる感染症。1976年にザイール(現コンゴ民主共和国)のエボラ川周辺地域で発見された。死亡者数百人規模の流行が散発的に発生しており、18~20年の大流行では3000人以上が感染、2000人以上が死亡した。Inmazebはこのザイール株が流行した時期の臨床試験で28日死亡率が33%と、他の開発品を投与した群の35~51%を凌ぐ成績を上げた。配合成分のうち、maftivimabはウイルスが細胞に侵入するのを妨げ、atoltivimabとodesivimabはイフェクター機能を増強する作用を持つようだ。
コンゴ民主共和国では第17波の流行が発生、5月にWHOがPHEIC(国際的に懸念すべき公衆衛生危機)宣言を発出した。5月19日時点で疑い例543人、確定例33人、死亡131人が報告され、ウガンダでも確定例2人とのこと。死亡リスクはザイール株よりは小さいようだ。米国連邦政府が過去21日間にコンゴ民主共和国、ウガンダ、または南スーダンに滞在した米国パスポートを持たない人の入国制限を予定するなど、渡航制限の動きも出ている。
尚、MedPageTodayやロイターの報道によれば、この諮問グループは他の開発品についても優先開発候補に挙げている模様だ。一つは、Mapp Biopharmaceuticalの、上記ザイール株エボラウイルスの臨床試験でテストされたZMappではなくMBP134(2種類の抗体のカクテル、in vitroでBundibugyo株にも活性)。Gilead Sciencesの抗ウイルス薬remdesivir(COVID-19治療薬Vekluryの活性成分)も感染者の濃厚接触者向けとして。そして、MSDが商業化したザイール株ワクチンErveboのBundibugyo株対応版や、オックスフォード大学/Serum Institute of Indiaの、COVID-19感染予防用抗体Vaxzevriaのエボラ版だ。
リンク: プレス・リリース
【新薬開発】
アストラゼネカ、ALアミロイドーシス用抗体がサブグループに便益
(2026年5月29日発表)
アストラゼネカは昨年7月に抗フィブリル抗体anselamimabの第3相CARES試験がフェールしたこと、しかし事前に設定されたサブグループ分析は良好な結果になったことを明らかにしたが、今回、Journal of Clinical OncologyとASCO(米国臨床腫瘍学会)で詳細を発表した。メカニズム的な説明は納得のいくものだが、承認されるかどうか不透明だろう。
21年にCaelum Biosciencesを買収して入手したキメラ抗体で、AL(アミロイド軽鎖)アミロイドーシスの原因となる、折り畳み異常の軽鎖アミロイド・フィブリルに結合する。今回の試験は、北米欧州イスラエル日本オーストラリアなどの施設で、ALアミロイドーシスを発症し心臓影響もみられる未治療形質細胞疾患の患者406人を、MayoステージIIIa群の試験とIIIb群の試験に分けて組入れて、標準療法(cyclophosphamide、bortezomib、dexamethasoneの3剤併用)に追加する便益を偽薬追加(2対1割付け)と比較した。当初の主評価項目は全生存期間だったが、イベント数が想定を下回って推移したため全死亡(ACM、time to event分析)と心血管入院(CVH、年率頻度を比較)のWin ratioに変更された。各群一人ずつデータを抜き出し全生存期間を比較し、同じだったらCVHを比較する方法で勝ち負けを判定し、試験薬群の勝利数を対照群の勝利数で割ることでWin ratioを算出するもの。
結果は1.11と勝ち越したがp=0.33だった。ACMのハザード・レシオは0.80、死亡率は33%対偽薬群の38%、CVHの発生リスク比(incidence risk ratio)は0.67、年率0.59対0.89と、数値上は悪くなかったが、何れも有意水準ではなかった。
一方、事前に設定されたサブグループ分析であるカッパ型アイソタイプ72人ではWin ratioが2.06、p=0.10、ACMは0.38、名目p=0.012、CVHは0.29、名目p=0.028だった。ラムダ型アイソタイプにおける成績は両群、大差なかった。
ALアミロイドーシスは免疫グロブリン軽鎖のカッパ鎖における変異が主導するものとラムダ鎖変異によるものがあるようだ。anselamimabは前者を抗原として創製されたため、in vitroの親和性もカッパ型の方が高かった。従って、今回のような結果になったのは生物学的なもっともらしさがある。とは言え、本稿でも何度が書いたが、サブグループ分析には悪魔が潜む。名目p値は正式な仮説検定ではないことを忘れても一本の試験で承認を得るためには十分に低いとは言えないだろう。
EMAは、昨年12月にanselamimabの承認審査を開始したことを公表している。米国の申請状況は不明。
リンク: プレス・リリース
リンク: Wechalekarらの治験論文(Journal of Clinical Oncology、オープン・アクセス)
BMS、第2のCELMoDの第3相が成功
(2026年5月29日発表)
ブリストル マイヤーズ スクイブは、ASCO(米国臨床腫瘍学会)でmezigdomideの第2/3相SUCCESSOR-2試験の成績を発表した。承認申請に向かうのではないか。
セルジーンを買収して入手した、同社がCELMoD(セレブロンE3リガーゼ・モジュレーター)と呼ぶ新しいクラスの免疫調停薬。Revlimid(lenalidomide)などの免疫調停薬よりアポトーシス誘導性などが高い模様だ。今回の日本も参加した試験は、lenalidomideと抗CD38抗体による一次以上の治療歴を持ち最終治療抵抗性の再発/難治多発骨髄腫500人超を組入れて、Kdレジメン(carfilzomibとdexamethasoneを併用)に追加するMeziKdレジメンのPFS(無進行生存期間)を検討した。第3相ポーションの中間解析でハザード・レシオ0.48、p<0.0001、メジアン値は18ヶ月(Kd群は8.3ヶ月)と大きな差が出た。全生存期間は未成熟。G3/4治療時発現有害事象は各群83.7%と56.5%で発生し、特に好中球減少症が大きく増加、感染症も倍増した。
もう一本の第3相SUCCESSOR-1試験は1-3次治療歴を持つ患者を対象に、bortezomib及びdexamethazoneと併用する便益をbortezomib、dexamethazone、及びpomalidomideと併用する群と比較しており、新旧対抗戦の様相を呈している。
同社はもう一つのCELMoDであるiberdomideを米国で承認申請し受理された。1~2次治療歴を持ち最終治療抵抗性の再発/難治多発骨髄腫に、抗CD38抗体daratumumab及びdexamethasoneと併用する。多発骨髄腫は複数の治療シーケンスがあるので、やがて、CELMoD2剤の同じTPOにおける優越が明らかになるだろう。
リンク: プレス・リリース
リンク: ASCO抄録(LBA7506)
慢性B型肝炎でも完治が視野に
(2026年5月28日発表)
GSKは慢性B型肝炎の治療薬としてグローバル承認申請中のアンチセンス薬、GSK3228836(bepirovirsen)の第3相試験成績をNew England Journal of Medicine誌や学会で公表した。被験者の2割程度だが薬物療法を止めてもウイルスが再燃しない、ファンクショナル・キュアを達成できる可能性が示された。
Ionis Pharmaceuticals(Nasdaq:IONS)からライセンスしたオリゴヌクレオチド。26年2月の日本を皮切りに、欧州、中国、そして5月には米国でも承認申請が受理された。日本も参加した第3相B-Well試験は、安定した量のヌクレオチド/ヌクレオシド(N薬A)治療を受けている慢性B型患者を二本の試験に約900人ずつ組入れて、300mg週一回皮下注を追加する群と偽薬追加群に2対1割付けして24週間投与し、その後更に24週間、NA薬だけを投与して、ウイルスRNA量やHBsAg抗原量が一定以下になった患者はNA薬の投与も中止した上でさらに24週間、継続追跡した。主評価項目は継続追跡後も一定水準以下だった患者の比率(ファンクショナル・キュア奏効率)。一本は20%、もう一本は19%となり、偽薬群のゼロを有意に上回った。尚、48週時点で一定水準以下だった患者の比率は両試験とも24%だったので、その1~2割が投与中止後に再燃したことになる。
bepirovirsen投与期間中のG3以上の有害事象発生率は16%(偽薬群は3%)。一番多かったのはALT上昇だが、発生した患者のほうが奏効率が高く、薬効の裏返しである可能性もあるようだ。
リンク: GSKのプレス・リリース
リンク: Houらの治験論文抄録(New England Journal of Medicine)
Hansa Biopharma、拒絶反応予防薬の欧州PMSが成功
(2026年5月27日発表)
スウェーデンのHansa Biopharma(Nasdaq Stockholm:HNSA)は、20年にEUで腎移植後拒絶反応予防薬として条件付き承認されたIdefirix(imlifidase)の市販後薬効確認試験(PMS)の結果を公表し、第4四半期に本承認切替申請を行う考えを明らかにした。
化膿レンサ球菌由来の抗体開裂酵素。抗ドナー抗体を持ち高度感作の腎臓、又はクロスマッチ陽性の死体腎の移植を受ける成人が適応になる。米国でも承認申請中で、審査期限は26年12月19日。今回の20-HMedIdeS-19試験は、HLA不一致の死体腎移植を受ける高度感作患者51人を組入れてIdefirixによる脱感作処理を行いクロスマッチ陽性から陰転させてから移植し、その後1年間のグラフト・フェールなき生存率を評価した。被験者の90%が達成、グラフト・サバイバルは92%、生存率は98%と、適合腎移植の文献データと比較しても大きな差はない結果となった。
米国申請のエビデンスとなる第3相ConfIdeS試験では腎機能が標準的療法(血漿交換や抗CD20抗体、適合腎入手まで待機など)を有意に上回った。
リンク: プレス・リリース
【承認申請】
迪哲医药、Zegfrovyの適応拡大を米中で申請
(2026年5月27日発表)
Dizal (Jiangsu) Pharmaceutical(SHEX:688192、迪哲医药)は、米中でZegfrovy(sunvozertinib)の適応拡大を申請し受理されたと発表した。EGFRにエクソン20挿入(ex20ins)変異を持つ進行非扁平上皮非小細胞性肺癌の一次治療に単剤投与するもの。ASCOとNew England Journal of Medicine誌でエビデンスとなる第3相WU-KONG28試験の成績も発表された。
第2相成績に基づき、23年に中国で条件付き承認、25年には米国でも加速承認されたEGFR阻害剤。適応は、白金ベース化学療法中/後に進行したEGFR es20ins変異を持つ局所進行/転移非小細胞性肺癌。今回の第3相は300mgを1日一回経口投与する群のPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)をcarboplatin・pemetrexed併用群と比較した。結果はハザード・レシオ0.65、p<0.001、メジアン値は10.3ヶ月対7.5ヶ月だった。地域別サブグループ分析で、6割超を占めたアジアの施設では0.56、それ以外は0.93と比較的大きな解離が見られた。全生存期間は両群29ヶ月前後。化学療法群の3分の2が進行後にクロス・オーバーした影響があるのかもしれないが、案外だ。カプラン・マイヤー・カーブでは最初の15ヶ月間は試験薬群のほうが下回っている。G3以上の有害事象発生率は75.5%対56.7%で、血清クレアチニン・キナーゼの上昇や下痢、貧血症が増加した。
競合ではジョンソン エンド ジョンソン・グループの抗EGFR・MET二重特異性抗体、Rybrevant(amivantamab-vmjw)が米欧日で承認されている。化学療法併用でPFSのメジアン値は11.4ヶ月、化学療法だけの群は6.7ヶ月となっており、3剤併用の割にはZegfrovy単剤の数値とそれほど変わらない。但し、全生存期間は、クロス・オーバーの影響か有意差は出ていないものの、ハザード・レシオ0.67と点推定値は良好だ。
リンク: 承認申請プレス・リリース
リンク: Zhouらの治験論文抄録(NEJM、5/29/2026)
テクベイリを単剤で適応拡大申請
(2026年5月29日発表)
ジョンソン エンド ジョンソンは、Tecvayli(teclistamab-cqyv)を米国でも単剤で再発/難治多発骨髄腫に適応拡大申請したことを明らかにした。3月に欧州でも二次治療に申請されている。
22年に再発/難治多発骨髄腫の米国では5次治療、EUでは4次治療に承認され、日本でも24年に初承認された、抗BCMA x CD3二重特異性抗体。今回のエビデンスとなるのは第3相MajesTEC-9試験。lenalidomideと抗CD38抗体を含む1~3次治療歴のある患者を組入れて、PFSなどを標準療法(pomalidomide、bortezomib、dexamethasone併用またはcarfilzomibとdexamethasone併用)と比較した。中間解析でハザード・レシオが0.29、全生存期間のハザード・レシオは0.60と、大変良い結果になった。但し、致死的な治療時発現有害事象の発生率は6.5%対3.5%と若干上回った。
類似した患者層に同社のDarzalex Fasproと併用した第3相MajesTEC-3試験もPFS、全生存期間共に良好な成果を上げ、米国では3月に承認、欧日で適応拡大申請中。過去治療や忍容性を踏まえて使い分けるのだろうか?
リンク: プレス・リリース
リンク: Touzeauらの治験論文抄録(NEJM)
サノフィ、III型ガウシェ病用薬を承認申請
(2026年5月28日発表)
サノフィはSAR402671(venglustat)を米国で承認申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は26年11月25日。同社のCerdelga(eliglustat tartrate)と同様なグルコシルセラミド合成酵素阻害剤だが、中枢神経浸透性が高く、非中枢神経症状が中心のI型ではなく中枢神経症状が多いIII型のガウシェ病用薬として開発された。3年以上の酵素補充療法を受けて安定的な状態にある12歳以上の患者43人を組入れて、venglustatにスイッチする便益を検討したところ、二種類の神経学的症状評価尺度が何れも酵素補充療法比有意に改善した。
リンク: プレス・リリース
肢帯型筋ジストロフィー用薬を承認申請
(2026年5月27日発表)
BridgeBio Pharma(Nasdaq:BBIO)はBBP-418(ribitol)をLGMD2I/R9(肢帯型筋ジストロフィー2I/R9型)の治療薬としてFDAに承認申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は26年11月27日。
この疾患はfukutin関連蛋白の遺伝子の機能低下変異による常染色体性遺伝子疾患。四肢筋力が低下し、呼吸器疾患や心臓疾患を合併することもある。欧米の推定患者数は7000人程度の希少疾患。BBP-418はリビトールの経口液用顆粒製剤で、体重に応じて9gまたは12gを一日2回、経口投与すると、欠乏するアルファ・ジストログリカンに体内で変換される。12歳以上の患者を組入れた試験の12ヶ月中間解析でNorth Star Assessment for Limb Girdle Muscular Dystrophyが偽薬比有意に改善した。歩行機能なども有意差があった。G3以上の治療時発現有害事象が5.4%で見られた(偽薬群は5.3%)。
リンク: プレス・リリース
DMDのエクソン51スキップ薬を承認申請
(2026年5月26日発表)
米国マサチューセッツ州の医薬品開発会社、Dyne Therapeutics(Nasdaq:DYN)は、DYNE-251(zeleciment rostudirsen)をデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)のエクソン51スキップ薬としてFDAに承認申請した。PMO(フォスフォロジアミデート・モルフォリノ・オリゴマー)をトランスフェリン受容体(TfR1)に結合する抗体フラグメントと結合して作用の増強を図ったもので、第1/2相試験の承認申請用拡大コフォートに4~16歳の患者32人を組入れて20mg/kgを4週毎静注する便益を検討したところ、第6月修正ジストロフィン発現量が既承認薬のデータより大きく改善した。time to rise from floorも偽薬群を0.04起立/秒上回った(p<0.05)。
リンク: プレス・リリース
睡眠時無呼吸の合剤を承認申請
(2026年5月18日発表)
米国マサチューセッツ州の未上場医薬品開発会社、Apnimedは、AD109(aroxybutynin、atomoxetine)の第3相睡眠時無呼吸試験の論文がAmerican Journal of Respiratory and Critical Care Medicineで刊行されたことを発表すると共に、すでに米国で承認申請していることを明らかにした。受理されれば審査期限は27年第1四半期とのこと。
ムスカリン受容体拮抗剤とノルエピネフィリン再取込阻害剤の合剤。PAP(持続陽圧呼吸)療法に不適/拒否の患者を組入れた第3相LunAIRo試験で26週AHI(無呼吸低呼吸インデックス)が46%低下(偽薬群は6%低下)、SynAIRgy試験でも55%低下(同19%低下)した。これらの会社発表数値はon treatment基準で合った模様で、後者の試験成績は上記論文抄録によると44%(同18%)となっている。主な有害事象はドライマウス、不眠、排尿開始困難、悪心など。後者の試験における有害事象による治験離脱率は21%だった(偽薬群は3%)。
リンク: プレス・リリース
ADH1用薬を承認申請
(2026年5月12日発表)
BridgeBio Pharma(Nasdaq:BBIO)はBBP-305(encaleret)をADH1(常染色体性優性遺伝性低カルシウム血症1型)の治療薬としてFDAに承認申請した。27年初めの承認を見込んでいる。
ADH1はカルシウム感受受容体の機能獲得変異による疾患で、米国では12000人がキャリアと推定されている。encaleretはカルシウム感受受容体のネガティブ・アロステリック・モジュレータ。元々はJTがMSDと共に骨粗鬆症用薬として開発したがフェールした。NIH(米国立医療研究所)の研究員がADH1における作用を発見、BridgeBioの子会社であるCalcilytixが開発を進めた。
リンク: プレス・リリース
Agios社、mitapivatを鎌状赤血球症に申請断行
(2026年5月12日発表)
Agios Pharmaceuticals(Nasdaq:AGIO)はPKR(ピルビン酸キナーゼR)のアロステリック・アクティベイターであるmitapivatを鎌状赤血球症に用いる適応拡大をFDAに申請した。事前相談を踏まえて加速承認を求めたとのことだが、第3相は主評価項目の一つがフェールしており、見通しは難しい。
PKR(ピルビン酸キナーゼR)のアロステリック・アクティベイター。22年に米欧でPK欠乏性の成人における溶血性貧血症の治療薬Pyrukyndとして承認され、アルファ/ベータ・サラセミアにも米国では25年にAqvesme名で、EUではPyrukynd名で今月、適応拡大した。
鎌状赤血球症用途は第2相で被験者の5割前後がヘモグロビンの1g/dL増加を達成、第3相RISE UP試験でも100mg一日2回経口投与群の40.6%が達成(偽薬群は2.9%)したが、鎌状赤血球症の急性合併症である疼痛クリーゼのリスクは年率2.62、偽薬群(3.05)比p=0.12とフェールし、株価が半減した。
リンク: プレス・リリース
【承認】
イミフィンジが筋層非浸潤膀胱癌に適応拡大
(2026年5月28日発表)
FDAはアストラゼネカの抗PD-1抗体Imfinzi(durvalumab)を成人のBCG未施行の筋層非浸潤膀胱癌(NMIBC)に用いる適応拡大を承認した。TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)を受けた患者1018人を組入れた第3相POTOMAC試験でBCGと併用で1年間投与したところ、DFS(高リスクNMIBCの再発などがなく生存)のハザード・レシオがBCGだけの群比0.68、p=0.0154だった。メジアン値は未達、2年DFS率は各群87%と82%だった。G3/4有害事象発現率は34%と17%だった。
BCGは供給がタイトである模様で、本試験ではBCGの併用を導入期だけに限定する群も設定されたが、フェールした。
この適応拡大は欧州や日本でも申請中。
リンク: プレス・リリース
アッヴィのADCがBPDCNに承認
(2026年5月27日発表)
FDAはアッヴィのDecnupaz(pivekimab sunirine-pvzy)をBPDCN(芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍)用薬として承認した。この希少疾患は急性骨髄性白血病の一種で、形質細胞様樹状細胞が増加、骨髄に蓄積し皮膚にも浸潤し、脾臓や肝臓の肥大、循環血球細胞の減少を伴うこともある。米国の患者数は推定350人。本剤はBPDCNで過剰発現するCD123(IL-3受容体)を標的とする抗体とアルキル化剤のADC(抗体薬物複合体)。成人の中枢神経系活性期疾患の証跡が見られない患者84人を組入れたCADENZA試験で未治療33人におけるCR/CRc(寛解/臨床的寛解)率が69%、メジアン持続期間は9.7ヶ月、難治/再発51人では15%、9.2ヶ月だった。肝静脈閉塞症が枠付き警告されている。
BPDCNではメナリーニのIL-3・ジフテリア毒素融合蛋白、Elzonris(tagraxofusp-erzs)が18~25年に米欧日で承認されている。
リンク: プレス・リリース
【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】
| PDUFA | |
|---|---|
| 26/4推 | サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、8歳以上の最近診断されたステージ3の一型糖尿病、CNPV案件) |
| 26/5推 | GSKのArexvy(高リスク18-49歳のRSV性下部気道疾患予防) |
| 26/5推 | WockhardtのZaynich(zidebactamとcefepime、グラム耐性菌感染症) |
| 26/6推 | GSKのtebipenem pivoxil hydrobromide (複雑性尿路感染症) |
| 26/6推 | ファイザーのHympavzi(marstacimab-hncq、インヒビターを持つA/B型血友病) |
| 26/6/16 | 塩野義製薬のensitrelvir(COVID-19曝露後発症予防) |
| 26/6/18 | アストラゼネカのTruqap(capivasertib、PTEN欠乏HSPC) |
| 26/6/19 | MSDのWelireg(belzutifan)とKeytruda(pembrolizumab)、併用で腎細胞腫術後療法 |
| 26/6/20 | Achieve Life Sciencesのcytisinicline(禁煙補助、CNPV案件) |
| 26/6/27 | SobiのNASP(Nanoecapsulated Sirolimus plus Pegadricase、管理不良痛風) |
| 26/6/29 | LantheusのLNTH-2501 (Ga-68 edotreotide Injection、神経内分泌腫瘍のPET造影剤) |
| 26/6/30 | Ionis PharmaceuticalsのTryngolza(olezarsen、重度高トリグリセライド血症) |
| 26/6/30 | Viridian TherapeuticsのVRDN-001(veligrotug、甲状腺眼症) |
| 26下 | ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV/AIDS) |
| 26下 | ギリアド・サイエンシズのTrodelvy(sacituzumab govitecan-hziy、laur/mTNBC1L PD-L1阻害剤不適向けと併用) |
| 26/7推 | Intra-Cellular TherapeuticsのCaplyta(lumateperon、統合失調症増悪予防) |
| 26/7推 | 武田薬品のrusfertide(真性多血症) |
| 26/7推 | ロシュのRG6171(giredestrant、内分泌療法及びCDK4/6i歴のあるER+her2-la/mBC) |
| 26/7/3 | Ascelia Pharma ABのOrviglance(manganese chloride tetrahydrate、重度腎障害患者の肝MRI造影剤) |
| 26/7/6 | Orca BioのOrca-T(血液癌の制御性T細胞・幹細胞移植) |
| 26/7/7 | 第一三共のEnhertu(fam-trastuzumab deruxtecan-nxki、her2陽性固形癌) |
| 26/7/7 | Vera Therapeuticsのatacicept(IgA腎症) |
| 26/7/17 | Celcuityのgedatolisib(HR+her2-進行乳癌) |
| 26/7/23 | Elevar Therapeuticsのcamrelizumabとrivoceranib(肝細胞腫) |
| 26/7/23 | サノフィのSarclisa(isatuximab-irfc、多発骨髄腫用薬の皮下注用新製剤) |
| 26/7/24 | 大塚製薬のcentanafadine(ADHD) |
| 諮問委員会 | |
| 26/6/18 | VRBPAC:モデルナのmFLUSIVA(季節性インフルエンザmRNAワクチン) |
今週は以上です。