2026年3月21日

第1251回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • リリーのトリプルG、A1c低下作用は偽薬比1%余 
  • ターゼナのmCSPC試験が成功 
  • 遅報:ミクロシスティックリンパ管奇形の初の治療薬を承認申請へ 
  • ロシュは抗ミオスタチン抗体のSMAとFSHD向け開発を中止 
  • Imcivreeの対象患者拡大試験がフェール 
  • LAG-3経路阻害剤の第3相肺癌試験がフェール 
  • イルミアを乾癬性関節炎に適応拡大申請 
  • 26年1~2月の欧州承認申請受理状況 
  • Aldeyra、ドライアイ用薬で3度目の審査完了通知 
  • CHMP、tasimelteonのSMS適応拡大に再び否定的意見 
  • オプジーボが未治療ホジキンリンパ腫に適応拡大 
  • ウゴービHDが光速承認 
  • MC4Rアゴニストが後天性視床下部性肥満症に適応拡大 
  • GSK、胆汁鬱滞性掻痒症の治療薬が承認 
  • 経口IL-23受容体拮抗剤がプラク乾癬に承認 
  • パーキンソン病薬の警告にビタミンB6欠乏症を追加へ
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【新薬開発】


リリーのトリプルG、A1c低下作用は偽薬比1%余
(2026年3月19日発表)

イーライリリーはGLP-1、GIP、そしてグルカゴンの受容体を作動するLY3437943(retatrutide)、通称トリプルGを肥満症や二型糖尿病の治療薬として開発している。昨年12月に膝関節痛を伴う肥満/オーバーウェイトの第3相が成功したのに続き、今回、二型糖尿病の第3相、TRANSCEND-T2D-1で主目的などを達成したことが発表された。食事・運動療法だけでは管理不良な成人患者537人を偽薬、4mg、9mg、または12mgを週一回皮下注する群に無作為化割付けして40週間治療したところ、HbA1cがベースライン(7.9%)と比べて各群0.8%、1.7%、1.9%、1.9%低下した(米国の添付文書に掲載されるであろうtreatment-regimen estimandベース)。副次的評価項目の体重(ベースライン値は96.9kg)は各群2.6%、11.5%、13.9%、15.3%低下(同)。試験薬群は非HDL-Cや収縮時血圧も改善した。

偽薬調整値を見ると大したことないが、偽薬群のA1c低下がやけに大きく、少なくともこの試験の被験者に関しては、トリプルGというアグレッシブな治療に挑戦する前に生活習慣改善を努力する余地が大きかったということなのだろう。GLP-1作用剤やGLP-1/GIP作用剤のデータを見ても二型糖尿病の血糖管理において用量を増やす便益は顕著ではない。トリプルGも同様に、二型糖尿病における体重管理の便益のほうが訴求点になるのだろう。ということは、この試験の主評価項目と副次的評価項目は逆だ。

リンク: プレス・リリース


ターゼナのmCSPC試験が成功
(2026年3月19日発表)

ファイザーは、PARP2阻害剤Talzenna(talazoparib)が相同組換修復不全のある転移去勢感受性前立腺癌(mCSPC)の第3相試験で主目的を達成したと発表した。数値は未発表。適応拡大申請することになりそうだ。

この日本も参加したTALAPRO-3試験は、アンドロゲン除去療法を開始してから3ヶ月以内で相同組換え修復に関わる遺伝子に変異を持つmCSPC患者599人を組入れて、偽薬またはTalzennaを同社のXtandi(enzalutamide)と共に追加投与する便益を検討した。主評価項目のPFS(無進行生存期間、治験医による放射線学的評価)は事前に設定された目標(ハザード・レシオ0.63)よりかなり良かった。相同組換え修復不全のうちBRCA変異サブグループにも、それ以外にも、便益が見られた。副次的評価項目の全生存期間も改善のトレンドが見られたとのこと。

この二剤と競合する製品を持つジョンソン エンド ジョンソンも、PARP阻害剤niraparibとCYP17阻害剤abiraterone acetateの合剤であるAkeegaが類似した内容の第3相AMPLITUDE試験で主目的のPFSを達成したが、25~26年に承認されたのはBRCA2有害変異型だけだった。PARP阻害剤の臨床試験は『悪魔は細部に潜む』という警句が当て嵌まることがしばしばあるので、油断できない。

リンク: プレス・リリース


遅報:ミクロシスティックリンパ管奇形の初の治療薬を承認申請へ
(2026年2月24日発表)

米国のPalvella Therapeutics(Nasdaq:PVLA)はQTORIN rapamycin(rapamycin 3.9%無水ゲル)が第3相ミクロシスティックリンパ管奇形試験で主目的等を達成したと発表した。26年下期に米国で承認申請する考え。承認されればこの小さい膿疱を伴うリンパ管奇形の初の治療薬になる。

今回のSELVA試験は米国の6歳以上の患者49人と参考例として3~5歳の患者1人を組入れた単群試験。一日一回、24週間投与して、mLM-IGA(Microcystic Lymphatic Malformation Investigator Global Assessment:-3(大変悪化)から+3(大変改善)まで7段階の評価)を実施したところ、2.13、p<0.001となった。主要副次的評価項目とされるmLM-MCSS(多要素静的尺度)は-3.36、他の副次的評価項目もp<0.001。3-5歳の患者はmLM-IGAが3だった。

治療関連有害事象が17人で報告され、うち塗布箇所の挫創、変色、掻痒が各3人だった。有害事象による治験離脱は2人。mTOR阻害剤rapamycinは経口剤が免疫抑制剤として用いられているが、本剤の全身循環水準は全被験者、全期間において2ng/mL未満だった。

この疾患はPI3K/mTOR経路の制御不良による遺伝性疾患。リンパ管の突出やリンパ液漏出、出血などを伴い、難治性深刻感染症や蜂巣炎による入院がしばしば起きる。米国の診断された患者数は3万人超と推定されている。

リンク: プレス・リリース


ロシュは抗ミオスタチン抗体のSMAとFSHD向け開発を中止
(2026年3月19日発表)

ロシュは、中外製薬から導入した潜在型ミオスタチンに結合するリサイクリングandスイーピング抗体、RG6237(別称GYM329、emugrobart)で顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)と脊髄性筋萎縮症(SMA)の臨床試験を行ってきたが、中止を決定した。両疾患の支援団体が公表したもの。

FSHDは欧米の施設で第2相MANOEUVRE試験に51人の患者を組入れて4週毎皮下注する便益を検討したが、52週経っても筋肉の量や機能がコンスタントには改善しなかった。データはFSHD Societyが6月に開催する国際学会で発表される予定。この協会の発表文によると、ミオスタチンの抑制には成功した由。SMAは日本も参加した第2/3相MANATEE試験で同社のSMA治療薬Evrysdi(Risdiplam)に追加する便益を検討してきたが、パート1(用量決定段階)で筋成長や運動機能がコンスタントに改善せず、パート2に進むのを断念した。

イーライリリーのGLP-1/GIP作用剤Zepbound(tirzepatide)の除脂肪体重抑制作用を緩和する用途の第2相試験は続行する。数ヶ月内に結果が判明するだろうから、それまで待つ考えなのだろう。

類薬ではScholar Rock(Nasdaq:SRRK)が抗潜在型ミオスタチン抗体SRK-015(apitegromab)を25年に欧米でSMA治療薬として承認申請した。米国はノボ ノルディスクの工場問題の道連れで9月に審査完了通知を受領したが、EUは今年、審査結果が出るだろう。

リンク: FSHD Societyの発表文
リンク: FSHD Societyが公開した、ロシュのFSHDコミュニティー向け書簡
リンク: Cure SMAが公開した、ジェネンテックのSMAコミュニティー向け書簡


Imcivreeの対象患者拡大試験がフェール
(2026年3月16日発表)

Rhythm Pharmaceuticals(Nasdaq:RYTM)はImcivree(setmelanotide)の第3相EMANATE試験がフェールしたと発表した。サブグループ分析を行って有望なサブタイプを探索し、バックアップ・コンパウンドを用いて再挑戦する考え。

Imcivreeはメラノコルチン4受容体アゴニスト。20年に米国で、21年にはEUでも、POMC欠乏症、PCSK1欠乏症、またはLEPR欠乏症の成人と6歳以上の小児の体重管理薬として承認され、22年には米欧でバルデー・ビードル症候群に適応拡大した。何れも超希少疾患。今回の試験はPOMC/PCSK1ヘテロ変異型、LEPRヘテロ変異型、SRC1ホモ/ヘテロ変異型、SH2B1ホモ/ヘテロ変異型のサブグループ夫々における52週BMI変化を偽薬群と比較した。偽薬調整後で1~4%低下したがp値は0.12~0.94と悪かった。偽薬群を含め、被験者の20~60%が期中にドロップアウトしてしまったことが響いた。

リンク: プレス・リリース


LAG-3経路阻害剤の第3相肺癌試験がフェール
(2026年3月13日発表)

オーストラリアのImmutep(ASX:IMM)はIMP321(eftilagimod alpha)の第3相TACTI-004試験の独立データ監視委員会が中間解析に基づき無益中止を勧告したと発表した。終了手続きを開始する考え。

LAG3の4種類の細胞外ドメインと免疫グロブリンG1のFc領域を融合した遺伝子組換え薬。抗原提示細胞のMHCクラスIIの一部に結合して、LAG-3による免疫抑制刺激を受けないよう仕向ける。今回の試験は、EGFRやALK、ROS1などの分子標的を持たない転移非小細胞性肺癌の1次治療として、pembrolizumabと白金ベース化学療法を併用する標準療法に追加する便益を検討した。主評価項目はPFSと全生存期間。

IMP321は難治/転移頭頚部扁平上皮腫の一次治療としてpembrolizumabと併用した後期第2相でPD-L1陰性にも良好なORR(客観的反応率)を示すなど、複数の癌腫で有望な成果を上げてきた。LAG-3の遺伝子や機能を同定した研究者が創立し現在もCSOを務める会社だが、残念な結果になった。

リンク: プレス・リリース

【承認申請】


イルミアを乾癬性関節炎に適応拡大申請
(2026年3月16日発表)

インドのSun Pharmaceuticalは米国でIlumya(tildrakizumab-asmn)を活性期乾癬性関節炎に適応拡大申請し受理されたと発表した。審査期限は26年10月29日。14年にMSDからライセンスした、IL-23p19に結合する抗体医薬。18~20年に米欧日でプラク乾癬に承認された。乾癬性関節炎ではTNFアルファ阻害剤歴を持つ患者を組入れた第3相と、持たない患者を組入れた日本も参加した試験でACR20が偽薬比有意に改善した。

リンク: プレス・リリース


26年1~2月の欧州承認申請受理状況

今回から、EMA(欧州薬品庁)が月次公表している医薬品承認審査開始状況から新規案件を掲載する。開示されているのは一般名と申請された適応症、各種分類だけなので、申請者名と開発コード、米国審査状況などは当方が推定/補足した。今回は26年1~2月に受理された案件を示す。

図表:EMAが審査を開始した新薬販売承認申請(26年1~2月分)
審査開始申請者名称一般名種類適応症米国
26/1アストラゼネカCIN-107baxdrostatアルドステロン合成酵素阻害剤管理不良高血圧症25/12申請受理
26/1SOBIGamifantemapalumab抗インターフェロン・ガンマ抗体6ヶ月児以上の小児と成人の
急性/難治性二次性血球貪食リンパ組織球症
18/11承認
26/1Regeneron PharmaceuticalsREGN2477garetosmab抗Activin A抗体成人の進行性骨化性線維異形成症25/12承認申請
26/1モデルナmRNA-1010-mRNAワクチン成人の季節性インフルエンザ予防26/2申請受理
26/1イーライリリーLY3502970orforglipron経口GLP-1作用剤成人の肥満症と二型糖尿病25/12承認申請
26/1BeOne MedicinesBGB-11417sonrotoclaxbcl-2阻害剤成人の再発/難治マントル細胞腫25/1申請受理
26/1Annexon BiosciencesANX005tanruprubart抗C1q抗体成人小児のギラン・バレー症候群の治療相談中
26/2WockhardtWCK 5222cefepime / zidebactam複合セファロスポリングラム陰性菌感染症25/9承認申請
26/2Sun Pharmaceutical推CTP-543deuruxolitinibJAK阻害剤成人の円形脱毛症の治療24/7承認
26/2Asieris PharmaceuticalsCevirahexaminolevulinate光力学療法成人の子宮ハイ・グレード扁平上皮内病変の治療計画中
26/2ノバルティスVAY736ianalumab抗BAFF受容体抗体成人のシェーグレン疾患承認申請予
26/2Viridian TherapeuticsVRDN-001veligrotug抗IGF-1R抗体甲状腺眼症25/10承認申請
出所:EMA資料等を基に作成

【承認審査・委員会】


Aldeyra、ドライアイ用薬で3度目の審査完了通知
(2026年3月17日発表)

Aldeyra Therapeutics(Nasdaq:ALDX)はADX 102(reproxalap 0.25%点眼液)をドライアイの兆候・症状治療薬として22年11月に承認申請したが、23年11月と25年4月に続き、3度目の審査完了通知(CRL)を受領した。薬効のエビデンスが不十分と見做されたようだ。

RASP(反応性アルデヒド種)調節剤と呼ばれる新しいタイプの点眼薬。免疫原となる有機アルデヒド遊離体に結合し炎症推進作用を妨げる。23年の初申請時はエビデンスとして兆候(目の赤さなど)を改善する作用を確認した試験2本と症状改善作用を確認した試験1本を提出したが、FDAはガイドラインで各2本ずつを推奨していることなどからCRLを受領。チャンバー試験(眼に風を当てて人為的に症状を発生させる)を実施して再申請したがベースライン値の偏りなどを指摘するCRLを受領した。チャンバー試験とフィールド試験を実施し、FDAとの相談を踏まえて前者を追加して再申請したが、上位組織であるOCM(特殊薬オフィス)が後者も必要と判定、追加提出した経緯がある。

今回、FDAは試験結果が区々であることから信頼性を懸念。敗因を検討し、効果のありそうなサブグループを探索することを推奨している由。同社はFDA会議を経て今後を決定する考え。

リンク: プレス・リリース


CHMP、tasimelteonのSMS適応拡大に再び否定的意見
(2026年3月17日発表)

EUの薬品審査機関であるEMAの医薬品科学的評価委員会、CHMPは、来週の定期会合を前に臨時会合を行って、Vanda Pharmaceuticals(Nasdaq: VNDA)のHetlioz(tasimelteon)を3~15歳のスミス・マギニス症候群(SMS)における夜間睡眠障害に適応拡大する件を再検討し、昨年12月と同様に、否定的意見をまとめた。臨床試験のデザインや実施状況、解析が不適切とされた。

Hetliozはブリストル マイヤーズ スクイブからライセンスしたMT1/2受容体作動剤。14~15年に米欧で非24時間障害(全盲患者の多くで発現する睡眠障害)の治療薬として承認された。SMSは染色体17p11.2における遺伝子欠失による発達障害で、重度睡眠障害を伴う。25人を組入れた臨床試験で総睡眠時間がベースライン比41分間改善し、偽薬群の20分改善を上回り、米国では20年に16歳以上の患者に用いる適応拡大が承認されたがEUでは未承認。今回の3~15歳に関する開発状況は、当方は聞いたことはないし年次報告書などにも記されていない。

リンク: EMAプレス・リリース

【承認】


オプジーボが未治療ホジキンリンパ腫に適応拡大
(2026年3月20日発表)

ブリストル マイヤーズ スクイブは抗PD-1抗体Opdivo(nivolumab)をある種の古典的ホジキンリンパ腫(cHL)に用いることが欧米で承認されたと発表した。内容は異なり、米国は12歳以上の未治療ステージIII/IVのcHLに、AVDレジメン(doxorubicin、vinblastine、dacarbazineの併用)と併用するもの。ファイザーの抗CD30抗体薬物複合体、Adcetris(brentuximab vedotin)とAVDレジメンの併用法と比較したSWOG 1826試験でPFS(無進行生存期間)のハザード・レシオが0.42だった。全生存期間は未成熟だが死亡率は下回っている。EUでも承認審査中。尚、米国では今回の承認に基づき、10年前と9年前の類似した適応・用法の仮承認が本承認に切替えられた(自家HSCT後にAdcetrisと併用と、自家HSCTを含む3次以上の全身性治療歴を持つ患者)。

EUでは、1月のCHMPで肯定的意見を得た、5~30歳の一次治療歴のある再発/難治古典的ホジキンリンパ腫にAdcetrisと併用することが承認された。エビデンスとなった第2相CheckMate-744試験は、造血幹細胞移植や強化化学療法を施行するほどではない患者の代替的な治療プロトコルを検討したもので、この2剤で開始し、応答に応じて次のレジメンに移行した。

リンク: BMSのプレス・リリース
リンク: FDAのプレス・リリース


ウゴービHDが光速承認
(2026年3月20日発表)

ノボ ノルディスクのGLP-1作用剤、Wegovy(semaglutide)の高量版であるWegovy HDが米国で成人の体重管理薬として承認された。従来の最大用量である2.4mgの3倍に当たる7.2mgまで用量漸増するもので、肥満症試験では72週間の体重減少が18.7%と偽薬群の3.9%や2.4mg群の15.6%を上回り、二型糖尿病を合併する患者を組入れた試験でも各群14.1%、3.6%、10.7%だった。後者の試験でHbA1c治療効果は2.4mgとそれほど変わらなかった。

高用量はジセステジア(異常皮膚感覚)の発現率が2.4mgより高かった。FDAによると投与を継続した症例でも減量した症例でも多くは軽快したが、現在も検討を継続しているとのこと。

欧州では2月にWegovyの用量追加という形で2.4mgを一度に3回皮下注することが承認された。米国では7.2mgペンとして4月に発売する計画。

Wgovy HDの承認はCNPV(FDA長官の国家的優先バウチャ)が供与された新薬として3件目。承認申請受理から54日後に承認された。このプログラムには様々な批判があるが、FDAは6月に公聴会を開催する考えを明らかにした。まあ、現行のFDAは賛成しそうな人ばかり集めるようなこともやりかねないので、『世界中の患者に健康と平穏をもたらせるのはマーチンだけだ』みたいな無知なおべっかは言わないほうが良いだろう。


図表:CNPV案件
発表企業対象疾患など進捗
25年10月Disc MedicineDISC-0974(bitopertin)赤芽球性プロトポルフィリン症CRL(26/2)
EMD SeronoPergoveris(follitropin alfa、lutropin alfa)LH/FSH欠乏性不妊症ローリング申請開始(25/11)
サノフィTzield(teplizumab-mzwv)一型糖尿病ステージ3申請受理(25/10)
Achieve Life SciencescytisiniclineEシガレット依存症PDUFA26/6/20
Regeneron PharmaceuticalsDB-OTOotoferlin関連難聴承認申請(25/12)
Dompe farmaceuticicenegermin非動脈炎性前部虚血性視神経症の
点鼻用新製剤
不明
Revolution MedicinesRMC-6236(daraxonrasib)膵癌第3相
USAntibioticsAugmentin XR(amoxicillin、
clavulanate potassium)
重要な抗菌剤の国内生産承認(25/12)
不明ketamine全身麻酔不詳
25年11月ベーリンガー・インゲルハイムHernexeos(zongertinib)her2陽性肺癌承認(26/2、44日審査)
ジョンソン エンド ジョンソンSirturo(bedaquiline)幼児の薬物耐性肺炎承認(26/3)
GSKJemperli(dostarlimab)直腸癌不明
Vertex PharmaceuticalsCasgevy(exagamglogene autotemcel)鎌状赤血球病不明
イーライリリーorforglipron肥満症承認申請(25/12)
ノボ ノルディスクWegovy 7.2mg(semaglutide)肥満症承認(26/3、54日審査)
25年12月ジョンソン エンド ジョンソンTecvayli(teclistamab-cqyv)・Darzalex Faspro
(daratumumab、hyaluronidase-fihj)併用
多発骨髄腫承認(26/3、55日審査)
MSDMK-0616(enlicitide decanoate)高脂血症不透明
MSD推MK-2870(sacituzumab tirumotecan)不明不明
出所:FDA発表などを基に作成

リンク: プレス・リリース
リンク: FDAのプレス・リリース(3/19付)


MC4Rアゴニストが後天性視床下部性肥満症に適応拡大
(2026年3月19日発表)

Rhythm Pharmaceuticals(Nasdaq:RYTM)は、FDAがImcivree(setmelanotide)を4歳以上の後天性視床下部性肥満症の体重管理に用いる適応拡大を承認したと発表した。視床下部の空腹感や体重管理に関わる部位が腫瘍や傷害などにより適切に機能しなくなる疾患で、米国の推定患者数は1万人。第3相TRANSCEND試験でBMIが偽薬調整後で18.4%低下した。欧州などでも申請中。この試験は日本人12人を組入れるコフォートも設定されており、今四半期に結果が判明する見込み。

Imcivreeはメラノコルチン4受容体のアゴニスト。一日一回皮下注する。20~21年に米欧でPOMC、PCSK1、またはLEPRの欠乏による遺伝子性肥満症(米国の推定患者数2500人)の治療薬として承認され、22年には米欧でバルデー・ビードル症候群(同5000人)に適応拡大した。

リンク: プレス・リリース


GSK、胆汁鬱滞性掻痒症の治療薬が承認
(2026年3月19日発表)

GSKはFDAがLynavoy(linerixibat)を成人の原発性胆汁性胆管症(PBC)における胆汁鬱滞性掻痒症の治療薬として承認したと発表した。欧米中日などの施設で標準療法を受けている中重度患者を偽薬群と40mgを1日2回経口投与する群に無作為化割付けした第3相GLISTEN試験で、第24週月間掻痒尺度が偽薬群を有意に改善した。主な有害事象は下痢(発生率61%、偽薬群は18%)。胃腸有害事象による離脱率は4%(偽薬群は1%未満)。

PBC治療薬としては24~25年にギリアド・サイエンシズのLivdelzi(seladelpar)とイプセンのIgirvo(elafibranor)が米国で加速承認、EUでは条件付き承認されている。どちらもPPAR作動剤で、第3相の主目的はアルカリフォスフォターゼ抑制作用。但し、Livdelziは被験者の1/3を占めた掻痒スコア高値サブグループにおける掻痒改善も偽薬比有意だった。一方、Lynavoyは回腸胆汁酸輸送体(iBAT)阻害剤で、掻痒改善作用に基づき通常承認された点が異なる。

GSKはイタリアのAlfasigmaに全世界独占開発製造販売権を供与することで合意している。AlfasigmaはIntercept Pharmaceuticalsを買収しPBC治療薬Ocaliva(obeticholic acid)を入手したが、市販後薬効確認試験がフェールし肝毒性が見られることからEMAは24年に条件付き承認を取消し、米国でも加速承認取消の危機に瀕し25年9月に自発的に販売を中止した経緯を持つ。

リンク: プレス・リリース


経口IL-23受容体拮抗剤がプラク乾癬に承認
(2026年3月18日発表)

ジョンソン エンド ジョンソンはFDAがIcotyde(icotrokinra)を全身性治療又は光学療法の候補となる成人と12歳以上で体重40kg以上の小児の中重度プラク乾癬の治療薬として承認したと発表した。200mg錠を一日一回、食事の30分以上前に水と共に服用する。欧州や日本でも承認申請中。

IL-23を標的とする抗体医薬は同社のTremfya(guselkumab)など複数市販されているが、受容体を阻害する経口剤は初めて。アミノ酸13個のペプチド薬で利用率は低く、投与量の99%以上は胃腸で分解される。20年にJanssen BiotechがProtagonist Therapeutics(Nasdaq:PTGX)から開発商業化権を取得した。複数の薬効確認試験が成功しているが、副次的評価項目としてブリストル マイヤーズ スクイブのTYK阻害剤Sotyktu(deucravacitinib)と比較した2本の試験で16週奏効率(IGA 0/1かつ2段階以上改善)とPASI75が有意に上回った。

リンク: プレス・リリース

【医薬品の安全性】


パーキンソン病薬の警告にビタミンB6欠乏症を追加へ
(2026年3月20日発表)

FDAは、パーキンソン病の代表的な治療薬であるcarbidopaやlevodopaを販売している製薬会社に、添付文書を改訂してビタミンB6欠乏症リスクの警告と対策を追加するよう求めた。投与開始前と開始後は定期的に検査を行う。発生頻度は低いが致死例も出ているようだ。

levodopaは体内で活性代謝物のdopaminに変換され作用を発揮するが、その過程でビタミンB6が消費される。carbidopaはlevodopaの代謝を遅らせ中枢神経における作用を強化するが、それ自体がB6に結合する。このため、ビタミンB6欠乏症が生じて癲癇発作や鬱病、混乱などの症状が表れることがある。但し、FDAに報告された癲癇発作報告は13件、文献を合わせても14件のことで、氷山の一角に過ぎないとしても、発生頻度は低そうだ。この14件は全て1000mg/日以上のlevodopaを服用していた。治療開始から発症までの期間は23~132ヶ月となっており厄介。転帰は2名が死亡した。ビタミンB6補給例は9例とも回復したが、これらの患者は抗癲癇薬には応答しなかった。

ノバルティスのStalevo(carbidopa、levodopa、entacaponeの3剤合剤)やアッヴィのVyalev(foslevodopa、foscarbidopa)持続皮下注システムでは報告されていないが、リスクがないとは考えられないとのこと。

リンク: プレス・リリース

【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】


PDUFA
26/3推サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、8歳以上の最近診断されたステージ3の一型糖尿病、CNPV案件)
26/3推Regeneron PharmaceuticalsのDB-OTO(otoferlin変異による小児難聴、CNPV案件)
26/3推ノボ ノルディスクのAwiqli(insulin icodec、二型糖尿病)
26/3/28Rocket PharmaceuticalsのKresladi(marnetegragene autotemcel、重度白血球接着不全症1型)
26/3/29LantheusのLNTH-2501 (Ga-68 edotreotide Injection、神経内分泌腫瘍のPET造影剤)
26/4推アストラゼネカのbaxdrostat(難治高血圧症)
26/4/3バイオジェンのSpinraza(nusinersen、高用量追加)
26/4/5Denali TherapeuticsのDNL310(tividenofusp alfa、ハンター症候群)
26/4/6Orca BioのOrca-T(血液癌の制御性T細胞・幹細胞移植)
26/4/10ReplimuneのRP1(vusolimogene oderparepvec、進行黒色腫)
26/4/13Travere TherapeuticsのRE-021(sparsentan、巣状分節状糸球体硬化症を追加)
26/4/23サノフィのSarclisa(isatuximab-irfc、多発骨髄腫用薬の皮下注用新製剤)
26/4/23Grace TherapeuticsのGTx-104(点滴静注用nimodipine、脳動脈瘤によるくも膜下出血)
26/4/28MSDのMK-8591A(doravirineとislatravir、HIV-1感染症)
26/4/29サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、1-7歳のステージ2一型糖尿病)
26/4/30Axsome TherapeuticsのAuvelity(dextromethorphan Hbrとbupropion HCI、アルツハイマー性激昂)
26/5推GSKのArexvy(高リスク18-49歳のRSV性下部気道疾患予防)
26/5推ビーワン・メディシンズのBGB-11417(sonrotoclax、マントル細胞腫)
26/5推WockhardtのZaynich(zidebactamとcefepime、グラム耐性菌感染症)
26/5/10argenxのVyvgart(efgartigimod alfa-fcab、抗体陰性全身性重症筋無力症)
26/5/18第一三共のEnhertu(fam-trastuzumab deruxtecan-nxki、早期乳癌術前療法)
26/5/24エーザイのLeqembi皮下注(lecanemab-irmb、早期AD、維持療法限定解除)
諮問委員会
26/4/3腫瘍学諮問委員会(アストラゼネカのcamizestrantとcapivasertib)



今週は以上です。

2026年3月13日

第1250回

【ニュース・ヘッドライン】

  • FDA、ノボに有害事象報告関連の警告状 
  • オルニチントランスカルバミラーゼ欠乏症試験の中間解析が成功 
  • 肢体型筋ジストロフィー用薬を承認申請へ 
  • ビンゼレックスがPsAでスキリージに勝つ 
  • Vertex社、IgA腎症用薬を承認申請へ 
  • BMS、第2のCELMoDの第3相が成功 
  • 新規作用機序の抗癲癇薬の第3相が成功 
  • ロシュ、giredestrantの今度の第3相はフェール 
  • Capricor、他家細胞療法をDMDにまた申請 
  • 第一三共、エンハーツの術後療法を米国でも申請 
  • 欧州でテクベイリを多発骨髄腫二次治療に承認申請 
  • ジニイズの肺癌適応、ノボの道連れで承認されず 
  • イデベノンは米国では今回も承認されず 
  • イプセン、タゼメトスタットの自主的販売中止を決定 
  • ロイコボリンを脳葉酸欠乏症に承認 
  • ソーティクツが乾癬性関節炎に適応拡大 
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【今週の話題】


FDA、ノボに有害事象報告関連の警告状
(2026年3月10日発表)

FDAはノボ ノルディスクに送付した警告状を公表した。25年1月と2月の査察で発見された市販後有害薬品経験(PADE)報告義務に関わるもので、その後数回の照会や回答を経て、3月5日付で発出した。ノボは15日以内に対策を開始し報告しなければならない。ノボは迅速かつ全面的に対応する旨のプレス・リリースを出した。

ヒット商品が出ると法令順守関連の業務も多忙を極めるだろうし、ライフスタイルに関わる製品はマスメディアやSNSで好悪様々な、信頼性も玉石混交の情報や意見が乱れ飛び、医師や患者の考え方も様々なので、報告される症例の評価集計作業は大変だろう。患者側が報告を望まないケースもあるだろう。だが、それは競合他社も同じ。知識集約産業なのだから、情報処理能力も競争力の一つであることを社内に周知徹底すべきだろう。

リンク: FDAの警告状
リンク: ノボのプレス・リリース

【新薬開発】


オルニチントランスカルバミラーゼ欠乏症試験の中間解析が成功
(2026年3月12日発表)

Ultragenyx Pharmaceutical(Nasdaq:RARE)はDTX301(avalotcagene ontaparvovec)がオルニチン・トランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症の第3相試験の中間解析で主目的の一つを達成したと発表した。もう一つの主目的は最終解析時に行うので、27年には結果が判明するのではないか。プレス・リリースは承認申請のタイミングについては触れていない。

OTC欠乏症は尿素サイクル異常症の一つ。アンモニアを分解する肝臓酵素の一つであるOTCが欠乏し、様々な障害が発生しうる。罹患率は数万人に一人と言われている。治療はタンパク抑制食や安息香酸ナトリウムなどのアンモニア・スカベンジャー薬など。DTX301はOTCの発現を促すAAV8遺伝子療法。今回の第3相Enh3ance試験は37人の患者を偽薬群と無作為化割付けして一回点滴静注した。今回達成したのは36週血漿アンモニア量。24時間曲線下面積が偽薬比18%低下、p=0.018だった。もう一つは64週完全応答率(タンパク制限食とアンモニア・スカベンジャー薬を中止)。偽薬群は36週後にクロスオーバーして更に64週追跡する。36週時点では試験薬群はタンパク摂取が13%増加しアンモニア・スカベンジャー薬は27%減らすことができた。

様々な患者評価指標も改善が見られたようだ。有害事象は軽中度の肝反応が一番多く、ステロイド治療を受けた。深刻有害事象は急性肝炎が1例発生したがステロイド治療で解消した。

リンク: プレス・リリース


肢体型筋ジストロフィー用薬を承認申請へ
(2026年3月11日発表)

BridgeBio Pharma(Nasdaq:BBIO)は、MDA(筋ジストロフィー協会)の学会で、ある種の肢体型筋ジストロフィー(LGMD)の治療薬として開発しているBBP-418の第3相試験の12ヶ月中間解析結果を発表した。プレス発表は昨年の成功発表時のものとほぼ同じだが、忍容性の指標なども公表された。今年上期中に米国で承認申請し、年内承認を目指す。主評価項目である36ヶ月臨床評価(North Star Assessment for Limb Girdle Muscular Dystrophyに基づく)は未成熟だが、加速承認ではなく通常承認を狙っている。

LGMDは下肢などの筋力が低下し歩行能力低下などの症状が現れる。遺伝子疾患だが原因遺伝子は様々。BBP-418は糖アルコールの一種であるリビトールの経口液用顆粒製剤。体内で患者で欠乏するアルファ・ジストログリカンに返還される。今回の第3相FORTIFY試験は、旧分類では2I型、新分類ではR9 FKRP関連型と呼ばれる、fukutin関連蛋白の遺伝子であるFKRPの機能低下変異が関わるサブタイプの一つに該当する、12歳以上の患者を米欧豪の施設で組入れて、体重に応じて9gまたは12gを1日2回投与した。このタイプは血清クレアチン・キナーゼが高値であることが多いが、12ヶ月の治療で38%が正常化した。100メートル歩行テストは偽薬比31秒早く完了、10メートル歩行テストはベースライン比0.13メートル/秒改善し偽薬群の0.10メートル/秒を上回った。プレス・リリースにはp値などは記されていない。

安全性はG3以上の治療時発現有害事象発生率が5.4%(偽薬群5.3%)、深刻治療時発現有害事象は5.4%(7.9%)と両群大差なかったようだ。

リンク: プレス・リリース


ビンゼレックスがPsAでスキリージに勝つ
(2026年3月11日発表)

UCBはBimzelx(bimekizumab-bkzx)が乾癬性関節炎の実薬対照試験でアッヴィのSkyrizi(risankizumab)を有意に上回る奏効率を示したと発表した。データは学会発表する考え。

21~23年に欧日米でプラク乾癬治療薬として承認された抗IL-17A・IL-17F二重特異性抗体。23~24年には欧日米で活性期乾癬性関節炎(PsA)に適応拡大した。今回の日本も参加したBE BOLD試験はバイオ薬未経験またはTNFアルファ阻害剤不十分応答/不耐の成人の活性期PsA患者553人を組入れた無作為化割付け二重盲検ダブル・ダミー試験。主評価項目の16週ACR50奏効率が有意に上回った。数値は未公表。

各剤の偽薬対照試験の成績を見ると、バイオ薬未経験の患者を組入れた第3相の16週ACR50はBimzelxが43.9%(偽薬群は10.0%)、抗IL-23p19抗体Skyriziは26.4%(同11.1%)。BimzelxはTNFアルファ阻害剤歴を持つ患者の試験で43.4%(同6.8%)、Skyriziはバイオ・ナイーブとTNFアルファ阻害剤1剤だけ経験をほぼ半々で組入れた試験で20.3%(6.8%)となっている。異なった試験のデータを比較するのは禁じ手だが、UCBが直接比較試験に踏み切ったのが頷ける。

リンク: プレス・リリース


Vertex社、IgA腎症用薬を承認申請へ
(2026年3月9日発表)

Vertex Pharmaceuticals(Nasdaq:VRTX)はpovetaciceptがIgA腎症の第3相試験で中間主評価項目を達成したと発表した。3月中に、優先審査バウチャも用いて、加速承認を申請する考え。

IgA腎症は自己の免疫グロブリンA(IgA)に対する抗体が生じて複合体が腎臓の糸球体に蓄積する。治療はACE阻害剤/ARBやステロイド製剤などが承認されているが、B細胞の活性化等に関わるAPRILとTACIの相互作用を妨げる新薬が米国で続々と浮上している。25年11月には大塚ホールディングスの子会社のVisterraが抗APRIL抗体Voyxact(sibeprenlimab-szsi)の承認を取得。同月、Vera Therapeutics(Nasdaq:VERA)がTACI・IgG1融合蛋白ataciceptの加速承認を申請し、審査期限は26年7月7日と決まった。povetaciceptは、24年に49億ドルで買収したAlpine Immune Sciencesが開発した、APRILとBAFFを高力価阻害する融合蛋白。何れも自己皮下注用で、投与頻度はVoyxactとpovetaciceptが4週毎、ataciceptは毎週。

今回の日本も参加したRAINIER試験は、成人のIgA腎症患者480人を組入れて80mgを4週毎皮下注する便益と安全性を検討した。IgA腎症の他の承認申請用試験と同様に、共同主評価項目である36週時点の24時間uPCR(尿蛋白クレアチニン比)の中間解析が成功したら加速承認を申請し、もう一つのeGFR(推算糸球体濾過率)スロープを達成したら本承認切替申請する計画だ。前者は偽薬比49.8%低下と、Voyxactと概ね同じような成績になった。アジア太平洋地域などのサブグループも、それ以外の地域のサブグループも、良好な結果が出ている。深刻有害事象発生率は3.0%と偽薬群の4.3%と大差なかった。

リンク: プレス・リリース


BMS、第2のCELMoDの第3相が成功
(2026年3月9日発表)

ブリストル マイヤーズ スクイブはmezigdomideが第3相SUCCESSOR-2試験で主目的を達成したと発表した。もう一本進行中だが、データを学会発表すると共に当局に通知すると記しているので、承認申請に向かうのかもしれない。

この日本も参加した試験は同社のRevlimid(lenalidomide)と抗CD38抗体による一次以上の治療歴を持ち最終治療抵抗性の再発/難治多発骨髄腫525人を組入れて、標準療法の一つであるアムジェンのプロテアソーム阻害剤Kyprolis(carfilzomib)をdexamethasoneと併用するレジメンに追加する便益をオープン・レーベルで検討した。主評価項目はPFS(無進行生存期間)。数値は未発表。

もう一本のSUCCESSOR-1試験は1~3次治療歴を持つ再発/難治多発骨髄腫を対象に、武田ミレニアムのプロテアソーム阻害剤Velcade(bortezomib)及びdexamethasoneと3剤併用する便益をmezigdomideではなく同社のPomalyst(pomalidomide)を併用する標準療法と比較する。主評価項目はPFS。始まったのはこっちが先で、ClinicalTrials.govでは主目的完了が前回アクセスした時の25年11月から27年1月に変更されている。

mezigdomideは同社がCELMoD(セレブロンE3リガーゼ・モジュレーター)と呼ぶ小分子薬の第2号。第1号のiberdomideは、1~2次治療歴を持ち最終治療抵抗性の再発/難治多発骨髄腫にジェンマブ/JNJの抗CD38抗体Darzalex(daratumumab)及びdexamethasoneと併用する便益をiberdomideではなくVelcadeを併用する標準療法と比較した第3相EXCALIBER-RRMM試験の中間解析で共同主評価項目のMRD(微小残存病変陰性率)を達成、今年2月にFDAが新薬承認申請を優先審査で受理したところだ。

上記2剤はどう棲み分けるのだろう?多発骨髄腫は過去30年間に新薬が輩出し、最初から3剤、4剤併用する30年前には信じられなかったような贅沢な治療が可能になった。選択肢が増えて複雑になった面もあり、BMSのように複数の開発品を持っている会社は何をどう使い分けるか、贅沢な悩みに直面し、市販後は、医師や患者も巻き込まれることになる。

リンク: プレス・リリース


新規作用機序の抗癲癇薬の第3相が成功
(2026年3月9日発表)

Xenon Pharmaceuticals(Nasdaq:XENE)はXEN1101(azetukalner)が第3相焦点起始発作治療試験で主目的を達成したと発表した。もう一本進行しており今年第3四半期に米国で承認申請する考え。

Kv7カリウム・チャネル・オープナーという新規作用機序の抗癲癇薬。欧州と米州の施設で360人を第3相X-TOLE2試験に組入れ、偽薬、15mg、または25mgを一日一回、経口で食事と共に、12週間、追加投与する便益を検討したところ、月間焦点発作頻度がベースライン比で各群10.4%、34.5%、53.2%減少した。後期第2相試験でも偽薬、10mg、20mg、25mg群の焦点発作頻度が18.2%、33.2%、46.4%、52.8%低下しており、概ね似たような結果になっている。

一方、治療時発現有害事象による投与中止が各群3.2%、4.8%、14.5%で発生し、深刻治療時発現有害事象も同2.4%、3.2%、5.6%となっており、25mgは効果が高いが忍容性もやや見劣りする。

リンク: プレス・リリース


ロシュ、giredestrantの今度の第3相はフェール
(2026年3月9日発表)

ロシュは選択的エストロゲン受容体零落剤RG6171(giredestrant)が第3相persevERA試験で主目的を達成せず、トレンドに留まったと発表した。内分泌療法に感受しているエストロゲン受容体陽性(ER+)、her2陰性(her2-)の局所進行/転移乳癌の一次治療としてCDK4/6阻害剤palbociclibと併用する便益をpalbociclibとファイザーのアロマターゼ阻害剤letrozpleを併用する群と比較したところ、主評価項目のPFS(無進行生存期間、治験医評価)が上回ったものの有意水準に達しなかった。

giredestrantは第3相evERA試験で、術後アジュバントあるいは局所進行/転移後に内分泌療法療法とCKD4/6阻害剤治療を受けたことのあるER+her2-の局所進行/転移乳癌を対象に、mTOR阻害剤everolimusと併用する便益を標準療法(everolimusをexemestaneなど3剤の何れかと併用)と比較したところ、共同主評価項目である全集団のPFS(同上)とESR1変異型サブグループにおけるPFSが大きく上回り、米国でESR1変異型向けに承認申請された。更に、ER+her2-の中高リスク早期乳癌の術後アジュバント療法試験、第3相lidERA Breast Cancerも中間解析でIDFS(無侵襲性疾患生存期間)が内分泌療法群を上回り、米国などで承認申請される予定。ここまでは順調だったが、今回は取りこぼした。他にも複数のやや異なった患者層の第3相が進行中。尚、以上の試験には日本の施設も参加している。

リンク: プレス・リリース

【承認申請】


Capricor、他家細胞療法をDMDにまた申請
(2026年3月10日発表)

Capricor Therapeutics(Nasdaq:CAPR)は24年に米国でCAP-1002(deramiocel)を第2相試験に基づきデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)用薬として承認申請し、25年7月にComplete Response Letter(審査完了通知)を受領したが、第3相の成功を踏まえてComplete Response(完全回答)した。これらのネーミングは元々、分かり難いが、同社は審査完了通知がキャンセルされたと言っているため、余計分かり難い。まあ、クラスII回答でPDUFA(処方薬ユーザー課金法に基づく審査完了目標日)は26年8月22日ということだけ記憶しておけばよいだろう。

健常者の心筋などの心細胞塊を精製した細胞性医薬品。移植するとエクソソームを分泌し酸化ストレスや炎症、線維化を抑制、筋細胞の生成を促し運動機能や心機能の改善が期待される。日本新薬が米日欧の独占販売権を持っている。第2相HOPE-2試験で上腕機能の中度以上の低下を伴うDMD患者8人の上腕機能や心機能が偽薬群を上回った。しかし、FDAは保守的な統計解析手法に基づき有意な差はないと判定、諮問委員会が招集される予定だったが、官報の前刷りが公開された直後にキャンセルされた。一説によると、生物学的製剤の審査を担当するCBERの審査担当者らは承認に前向きだったが、センター長で、先日、退任が発表されたVinay Prasadが反対したのだという。

米国で105人を組入れて12ヶ月追跡した第3相HOPE-3は、上腕機能総スコアの悪化が偽薬比54%小さかった(p=0.029)。左室駆出率(n=83)の低下も91%小さかった(p=0.041)。成功したはずの第2相がFDAの解釈ではフェール、という経緯があるので、この成績は議論の余地は無いのか、気になるところだ。p値は決して低くなく盤石と胸を晴れるほどでもない。

リンク: プレス・リリース


第一三共、エンハーツの術後療法を米国でも申請
(2026年3月9日発表)

第一三共は、アストラゼネカと共同開発販売している抗her2抗体薬物複合体、Enhertu(fam-trastuzumab deruxtecan-nxki)の適応拡大を米国で申請し受理されたと発表した。術前療法を施行しても浸潤性残存病変が残ったher2陽性(IHC3+またはISH+)早期乳癌に術後薬物療法として単剤投与するもので、似たような薬であるロシュの Kadcyla(ado-trastuzumab emtansine)と比較した第3相DESTINY-Breast05試験でIDFS(無浸潤性疾患生存期間)が大きく上回った。優先審査を受け、審査期限は26年7月7日。

リンク: プレス・リリース


欧州でテクベイリを多発骨髄腫二次治療に承認申請
(2026年3月10日発表)

ジョンソン エンド ジョンソンはTecvayli(teclistamab)を再発/難治骨髄腫の2次治療に適応拡大すべくEUに申請した。第3相MajesTEC-9試験に基づくもの。lenalidomideと抗CD38抗体を含む1~3次治療歴のある患者に単剤する便益をPVdレジメン(pomalidomide、bortezomib、dexamethasoneの3剤併用;米国は未承認だが欧州では承認されている)またはKdレジメン(carfilzomibとdexamethasoneの2剤併用)を施行する群と比較したところ、中間解析でPFSのハザード・レシオが0.18、全生存期間は0.60となった。

リンク: プレス・リリース

【承認審査・委員会】


ジニイズの肺癌適応、ノボの道連れで承認されず
(2026年2月27日発表)

インサイト(Nasdaq:INCY)は抗PD-1抗体Zynyz(retifanlimab-dlwr)を肛門管扁平上皮腫などの用途で米欧日で承認取得している。転移非小細胞性肺癌の1次治療白金レジメン併用も第3相POD1UM-304試験が成功し、米国で適応拡大申請していた模様だが、審査完了通知を受領した。プレス・リリースは出ていないが、2月にSEC(米国連邦証券取引委員会)に適宜開示資料として届出ていた。承認されなかったのはノボ ノルディスクのCatalent Indiana工場の製造問題だけが原因とのこと。製造受託の大手であるCatalentをノボが買収した時は他社から様々な懸念が表明されたが、買収後は今回のような思わぬトラブルが相次いでいる。

リンク: インサイトのSEC提出資料(Form 8-K)


イデベノンは米国では今回も承認されず
(2026年2月27日付)

Open FDAサイトで今年2月に送付された審査完了通知が数件、開示された。Chiesi FarmaceuticiがidebenoneをLHON(レーバー遺伝性視神経萎縮症)用薬として承認申請し審査完了通知を受領していたことが明らかになった。

idebenoneは武田薬品が創製した合成コエンザイムQ10製剤。1986年に日本でアバン名で承認されたが市販後薬効確認試験がフェールし12年後に承認取消となった。ミトコンドリア機能改善作用に注目したスイスのSanthera Pharmaceuticalsが先天性ミトコンドリア疾患であるLHONに開発しEUで承認申請し、2015年に青少年向けに例外的条項に基づき承認を取得した。その後、Chiesiが欧米などの権利を取得した。

FDAは、2本の薬効確認試験がフェールし自然歴対照試験は試験薬群の症例が2011~19年のデータであるのに対して自然歴は1959~2016年と期間が長く、標準療法や報告基準などが異なる可能性があり、また、ドロップアウトが多いことなどから、エビデンスが不十分と判定した。

リンク: FDAのCRL


イプセン、タゼメトスタットの自主的販売中止を決定
(2026年3月9日発表)

イプセンは、EZH2阻害剤Tazverik(tazemetostat)を根治手術不適転移/局所進行類上皮肉腫やある種の再発/難治濾胞性リンパ腫の治療薬として開発販売していたが、販売や臨床試験・早期アクセス・プログラムにおける投与を自主的に中止すると発表した。市販後薬効確認試験である後期第1相/第3相試験のSYMPHONY-1試験で再発/難治濾胞性リンパ腫の二次治療としてlenalidomide及びrituximabと3剤併用する便益を検討していたところ、血液系二次性悪性腫瘍が過去の試験より高頻度で発生し、独立データ監視委員会が危険が便益を上回ると判定したため。中国の販売権を持つHutchmedも自主回収と治験中止の手続き開始を発表した。

承認用法は単剤投与なので、販売を中止するほどでもないように見えるが、加速承認を維持するためには別途、薬効確認試験を実施する必要がある。商業的な要素も考慮したのかもしれない。一部報道によると、21年に日本で承認取得したエーザイは、現時点で二次性悪性腫瘍が添付文書記載の範囲を超えて増加という報告はない、と回答している模様。

リンク: イプセンのプレス・リリース
リンク: Hutchmedのプレスリリース(GLOBE NEWSWIRE)

【承認】


ロイコボリンを脳葉酸欠乏症に承認
(2026年3月10日発表)

FDAはGSKのWellcovorin(leucovorin calcium)の適応拡大を承認した。葉酸受容体1の遺伝子であるCFD-FOLR1遺伝子に変異が確認されたCFD(脳葉酸欠乏症)の成人小児に、体重40kg以上の患者の場合で1~2mg/kg/日かつ最大330mg/日を1日1~6回に分けて経口投与する。一回投与量は25mg以下が望ましく、75mgを超えてはいけない。代謝酵素であるMTHFSを欠乏する患者には推奨しない。

CFD用薬が承認されたのは初めてだが、それ以上に画期的なのは、GSKが既に販売を中心している製品に関して、FDAが各種症例報告に基づいて評価しGSKに適応拡大申請を求めたこと。医師はGSK品のレーベルに基づきGE薬を処方することになる。

CFDは100万人当り1人以下の超希少疾患。発達遅延や運動障害、癲癇などを発現する。leucovorinは葉酸誘導体で、癌やリウマチの治療に用いられる葉酸代謝拮抗剤の副作用を緩和する。FDAによる症例報告の集計分析によると、生後2ヶ月から33歳の評価対象患者27人のうち24人で神経症状などが程度は区々だが改善し、残りの3人も、CFDは進行性疾患であるにも関わらず、進行が見られなかった。5-MTHF量は評価対象7人の全員で増加し、5人は正常水準(40nmol/L以上)に達した。

FDAのMakary長官は自閉症にも有効と考えているようだが今回の適応拡大には含まれていない。その代わりに、下記プレス・リリースの中で、自閉症状を伴うCFD患者にもメリットがありうることに言及している。

リンク: プレス・リリース
リンク: Wellcovorinのレーベル


ソーティクツが乾癬性関節炎に適応拡大
(2026年3月6日発表)

ブリストル マイヤーズ スクイブはFDAがSotyktu(deucravacitinib)を成人の活性期乾癬性関節炎に適応拡大することを承認したと発表した。日欧などでも申請中。

22~23年に米日欧で中重度プラク乾癬症治療薬として承認された選択的アロステリックTYK(チロシン・キナーゼ)2阻害剤。バイオ薬未経験やTNF阻害剤歴を持つ患者を組入れて6mgを一日一回経口投与した試験で、第16週ACR20などが偽薬群を有意に上回った。

リンク: プレス・リリース

【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】


PDUFA
26/3推サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、8歳以上の最近診断されたステージ3の一型糖尿病、CNPV案件)
26/3推Regeneron PharmaceuticalsのDB-OTO(otoferlin変異による小児難聴、CNPV案件)
26/3推ノボ ノルディスクのAwiqli(insulin icodec、二型糖尿病)
26/3推ノボ ノルディスクのWegovy(semaglutide 最大用量7.2mg、CNPV案件)
26/3/6BMSのSotyktu(deucravacitinib、乾癬性関節炎適応拡大)
26/3/16Aldeyra TherapeuticsのADX 102(reproxalap、ドライアイ)
26/3/20Rhythm Pharmaceuticalsのsetmelanotide(後天的視床下部性肥満症)
26/3/24GSKのGSK2330672(linerixibat、原発性胆汁性胆管炎)
26/3/28Rocket PharmaceuticalsのKresladi(marnetegragene autotemcel、重度白血球接着不全症1型)
26/3/29LantheusのLNTH-2501 (Ga-68 edotreotide Injection、神経内分泌腫瘍のPET造影剤)
26/4推アストラゼネカのbaxdrostat(難治高血圧症)
26/4/3バイオジェンのSpinraza(nusinersen、高用量追加)
26/4/5Denali TherapeuticsのDNL310(tividenofusp alfa、ハンター症候群)
26/4/6Orca BioのOrca-T(血液癌の制御性T細胞・幹細胞移植)
26/4/8BMSのOpdivo(nivolumab、未治療の進行性古典的ホジキンリンパ腫)
26/4/10ReplimuneのRP1(vusolimogene oderparepvec、進行黒色腫)
26/4/13Travere TherapeuticsのRE-021(sparsentan、巣状分節状糸球体硬化症を追加)
26/4/23サノフィのSarclisa(isatuximab-irfc、多発骨髄腫用薬の皮下注用新製剤)
26/4/23Grace TherapeuticsのGTx-104(点滴静注用nimodipine、脳動脈瘤によるくも膜下出血)
26/4/28MSDのMK-8591A(doravirineとislatravir、HIV-1感染症)
26/4/29サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、1-7歳のステージ2一型糖尿病)
26/4/30Axsome TherapeuticsのAuvelity(dextromethorphan Hbrとbupropion HCI、アルツハイマー性激昂)
26/5推GSKのArexvy(高リスク18-49歳のRSV性下部気道疾患予防)
26/5推ビーワン・メディシンズのBGB-11417(sonrotoclax、マントル細胞腫)
26/5/10argenxのVyvgart(efgartigimod alfa-fcab、抗体陰性全身性重症筋無力症)
26/5/18第一三共のEnhertu(fam-trastuzumab deruxtecan-nxki、早期乳癌術前療法)
26/5/24エーザイのLeqembi皮下注(lecanemab-irmb、早期AD、維持療法限定解除)
諮問委員会
26/4/3腫瘍学諮問委員会(アストラゼネカのcamizestrantとcapivasertib)



今週は以上です。

2026年3月7日

第1249回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • FDA、9ヶ月ぶりの新薬諮問委員会を招集へ 
  • モデルナ、LNP特許紛争で和解 
  • ガザイバがSLE試験で好成績 
  • 慢性肉芽腫症の遺伝子治療を承認申請すべく検討 
  • ロシュ、BTK阻害剤を多発硬化症に承認申請へ 
  • UTHR、新規プロスタグランディンのの第3相が成功 
  • 協和の抗OX40抗体は開発中止の公算 
  • ウェリレグの2種類の適応・併用法を承認申請 
  • テクベイリが二次治療に国家的優先承認 
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【今週の話題】


FDA、9ヶ月ぶりの新薬諮問委員会を招集へ
(2026年3月6日発表)

3月6日付の連邦広報が広聴のために事前公表され、FDAが4月3日に腫瘍学薬諮問委員会を招集する計画であることが明らかになった。新薬承認に関わる諮問委員会は昨年7月以来、ストップしていたので久方ぶりになる。再開する考えなのか、あるいは、センター長の退職が明らかになったCBER(生物学的製剤評価研究センター)が担当する画期的ワクチンなどの諮問委員会はどうなのか、注目される。

4月3日の午前の議題はアストラゼネカの抗癌剤2剤。次世代経口SERM(選択的エストロゲン受容体調節剤)、AZD9833(camizestrant)は成人のホルモン受容体陽性、her2陰性の局所進行/転移乳癌で内分泌療法による一次治療中にESR1変異が探知された患者に、CDK4/6阻害剤と併用する適応・用法。承認申請しているとは知らなかったし2月の25年決算発表でも言及されていない。エビデンスは日本も参加した第3相SERENA-6試験だろう。中間解析でcamizestrantにスイッチした群のメジアンPFS(無進行生存期間、治験医評価)が16.0ヶ月と従来治療継続群の9.2ヶ月を上回り、ハザード・レシオは0.44だった。昨年のASCO(米国臨床腫瘍学会)発表時点では副次的評価項目である全生存期間の解析は未成熟とのことだった。G3以上の有害事象発現率は60%対46%と上回った。

この試験は、内分泌療法を受けている患者に定期的にctDNA検査を行って、内分泌療法抵抗性を生じるとされるESR1変異が検知されたら当該腫瘍に有効とされる新薬にスイッチするという、斬新な治療アルゴリズムをテストしている。患者を新たな副作用リスクに曝す面もあるので、このような治療方針自体の妥当性も議題になるかもしれない。

午後は23~24年に米日欧である種の変異を持つ乳癌に承認されたAKT阻害剤、Truqap(capivasertib)の、成人のPTEN欠乏転移ホルモン感受性前立腺癌にabirateroneと併用する適応拡大を検討する。これも25年決算発表時も含め承認申請は発表されていない。第3相CAPItello-281試験に基づくものと推測される。24年に主目的のPFS(放射線学的評価)がTruqapの代わりに偽薬を併用した群比で統計的に有意且つ臨床的に意味のある優越性を示したことが発表された。その時点では副次的評価項目の全生存期間は未成熟でトレンドに留まっていた。

リンク: 本件に関するFederal Register(広聴用事前公表)


モデルナ、LNP特許紛争で和解
(2026年3月3日発表)

カナダのArbutus Biopharma(Nasdaq:ABUS)と便宜置籍企業Roivant Sciences(Nasdaq:ROIV)の子会社であるGenevant Sciencesの二社はモデルナを脂質ナノ粒子(LNP)特許侵害で提訴していたが、和解で合意したと発表した。モデルナは26年7月に2社に対して9.5億ドルを支払う。争点の一つである連邦法第28編第1498条違反はモデルナが控訴する予定だが、もし控訴審が連邦デラウェア地裁の決定を支持した場合は更に最大で13億ドルを支払う。但し、その後に最高裁などが決定を覆した場合は返還される。一方、モデルナはCOVID-19ワクチンやインフルエンザ・ワクチンなど感染症領域で2社の技術をロイヤルティなどの負担なしに利用することができる。

発表後、モデルナの株価は上昇した。もし22.5億ドル払うことになった場合、特許紛争の和解額としては薬品業界で史上最大、全産業でも第2位になるとのことだが、モデルナは上記後発債務は実現しないと考えている模様だ。今回の和解を受けて、同社は26年末の現金・現金等価物が45~50億ドルという見通しを公表している。パイプラインが豊富で赤字が続いているため手元流動性を確保している。

モデルナのSpikevaxの売上高は21~25年の5年間で476億ドルに達しており、必然的に、和解金の規模も巨大化した。トップブランドであるBioNTech/ファイザーのComirnatyは同期間の売上高がファイザー計上分だけでも955億ドルと2倍。2社との特許紛争はまだ決着していないが、もし和解することになったら更に大きな和解金になりそうだ。

尚、第28編第1498条云々は、政府が民間から調達した品で権利侵害した場合は政府が責任を負うという規定を巡るもの。第一次世界大戦の武器調達で前例がある模様だが、連邦地裁は当該条項が当てはまるのは連邦職員が接種した分だけと判定した。この場合、モデルナが責めを負うべきは全売上高の1~2%と些少になる。

Arbutus社らは日本など30ヶ国でも提訴している。

リンク: Arbutus・Genevantのプレス・リリース
リンク: モデルナのプレス・リリース

【新薬開発】


ガザイバがSLE試験で好成績
(2026年3月6日発表)

ロシュは25年11月に抗CD20抗体Gazyva(obinutuzumab)が活性期SLE(全身性エリテマトーデス)の第3相ALLEGORY試験で主目的と全ての副次的目的を達成したと発表したが、New England Journal of Medicine誌に治験論文が電子刊行され、データが明らかになった。標準療法を受けても活性期の成人患者303人を組入れて52週時点のSLI-4を偽薬群と比較したところ、76.7%対53.5%で有意に上回った。感染症など深刻な有害事象の発生率は15.9%対11.9%で上回った。適応拡大申請に向かっているのではないか。

リンク: Furieらの治験論文抄録(NEJM)


慢性肉芽腫症の遺伝子治療を承認申請すべく検討
(2026年3月3日発表)

米国マサチューセッツ州ケンブリッジのPrime Medicine(Nasdaq:PRME)は、PM359の加速承認申請に向けてFDAと相談していることを明らかにした。昨年5月に1例目の成功を発表した時点では自社だけで開発を続行することに否定的だったが、一転した。FDA上層部が超希少疾患用薬の早期承認に前向きな姿勢を見せていることに後押しされたのかもしれないが、その裏で、臨床的な便益の兆しが見られないとして承認されなかった案件が増えており、不透明感が強い。生物学的製剤を担当するCBERのセンター長が4月に退任するが、後任は未定なので、環境が好転するかどうか、これも不透明だ。

同社はプライム・エディティングという次世代の遺伝子編集技術に基づく新薬開発を進めている。PM359は、米国の罹患率が10~20万人に一人とされる常染色体性劣性遺伝性免疫低下疾患、慢性肉芽腫症(CGD)の ex vivoプライム・エディティング療法。CGD患者の25%程度では、好中球のNADPH酸化酵素の活性化に必要なp47^蛋白をコードするNCF1遺伝子にGT欠損が見られる。プライム・エディティングならこの二つの塩基を二本鎖切断なしで導入できるようだ。

First in humanのP1/2試験中。計画では米加英の施設で12人の患者を組入れる。昨年12月にNew England Journal of Medicineに2例の報告が掲載された。NADPH酸化酵素が持続的に再構築され、臨床的に意味のある閾値(好中球の20%で完全再建)を上回ったという。

リンク: プレス・リリース


ロシュ、BTK阻害剤を多発硬化症に承認申請へ
(2026年3月2日発表)

ロシュはRG7845(fenebrutinib)の第3相試験として再発性多発硬化症(RMS)で2本、一次進行性多発硬化症(PPMS)で1本、実施している。昨年11月に二本成功したのに続き、今回、RMSのFENhance 1試験も成功発表された。承認申請に向かう考え。肝毒性懸念がどのように評価されるか、注目される。

中枢神経浸透性の高度選択的可逆的BTK阻害剤。RMSの第3相は一日二回経口投与群と既承認薬であるサノフィの経口剤、Aubagio(teriflunomide)の再発リスクを比較した。FENhance 2が成功した時は数値には言及されなかったが、今回、FENhance 1では再発率年率が51%低かったことが明らかにされた。二本の成績は学会で発表される予定。

PPMSのFENtrepidは進行抑制作用を同社の抗CD20抗体Ocrevus(ocrelizumab)と比較した。ハザード・レシオ0.88で非劣性解析が成功した。

同時期に開始されたRMS試験のうち一本の結果が遅れたのは、23年12月にFDAがFENhance 1試験の部分停止を命じたためだろう。fenebrutinib群約750人のうち1名が、FDAが薬物誘導性肝障害リスクを早期探知するために用いているHyの法則に該当した。もう一人はteriflunomide群であった模様であり、どちらも症状は伴わず投与中止後に解消したとのこと。他の2本では発生しなかった模様なので、発生頻度は約2000人に一人ということになる。頻度も転帰もレッドゾーンと呼べるほどではないので、穏やかな肝臓酵素上昇例を含めた全般的評価や便益との天秤比較が必要になりそうだ。尚、BTK阻害剤は他に少なくとも3品が可逆的薬物誘導性肝障害により部分停止命令を受けており、アキレス腱状態だ。

意外だったのは、RMS試験二本における死亡例が試験薬群8人、対照群1人とかなり差があること。こちらも精査の対象になるはずだ。

リンク: プレス・リリース


UTHR、新規プロスタグランディンのの第3相が成功
(2026年3月2日発表)

United Therapeutics(Nasdaq:UTHR)はralinepagが第3相ADVANCE OUTCOMES試験で主目的を達成したと発表した。26年下期に承認申請する考え。肺動脈高血圧症(PAH)の標準療法アドオン試験で、試験薬を一日一回、経口投与した群は、偽薬比増悪ハザード・レシオが0.45、p<0.0001だった。主評価項目は死亡、PAHによる入院、臨床的悪化の複合評価項目で、査読を受けており、time to event分析。増悪発生率は偽薬群が35.9%、試験薬群は18.3%で、内訳で一番多かったのは疾病進行(28週6分歩行テストの15%以上悪化など)が10.7%対2.9%、次に長期的応答不十分(28週前に中止、6分歩行テスト悪化など)が9.8%対4.0%、吸入/点滴用プロスタグランディンによる治療が6.5%対2.9%だった。入院や死亡は大差なかった。

Arena Pharmaceuticals(ファイザーが22年に買収)のプロスタグランディンI2アゴニスト、APD811を18年にインライセンスしたもの。上記のように複合評価項目の中身は区々だが、副次的評価項目の6分歩行テスト自体も偽薬を上回ったとのことだ。

リンク: プレス・リリース


協和の抗OX40抗体は開発中止の公算
(2026年3月3日発表)

協和キリンは活性化T細胞が発現し抗原提示細胞の活性化刺激を受領するOX40を標的とするポテリジェント抗体、KHK4083(rocatinlimab)の第3相アトピー性皮膚炎試験が成功し、26年上期に承認申請する考えだったが、1月にアムジェンが共同開発権返上を決定したのに続き、安全性懸念が浮上した。臨床試験の中止を決め、開発継続または試験再開の見込みは極めて低いと考えている由。

自己免疫疾患の治療薬なので感染症や腫瘍のリスクに注意しなければならない。KHK4083は以前にも免疫低下者でしばしば発生するカポジ肉腫が1例、観察されていたようだが、今回、確認例と疑い例が1例ずつ、発生した。但し、これまでの臨床試験全体における腫瘍の発生率は自然発現率を下回っている由。

アムジェンが離脱した具体的な理由は不明だが、第3相試験で示された便益が凄く魅力的なものではなかったことも一因だろう。今回の決断もこのことと無関係ではないだろう。

サノフィは抗原提示細胞などが発現するOX40のレガンドを標的とする抗体、SAR445229(amlitelimab)をアトピー性皮膚炎に開発し、26年下期に承認申請する考え。こちらも第3相で示された薬効は既存薬が見劣りするようなものではなかった。安全性はプレス・リリースで網羅されるものではなく、第3相段階のパイプラインは、今回のように、稀だが深刻な症例が決定的な影響を及ぼすことが少なくないので、現段階では何とも言えない。

リンク: プレス・リリース

【承認申請】


ウェリレグの2種類の適応・併用法を承認申請
(2026年2月28日発表)

MSDはHIF-2アルファ阻害剤Welireg(belzutifan)など2剤を併用する便益を検討した第3相試験2本の成績をASCO GU(米国臨床腫瘍学会泌尿器癌シンポジウム)で発表する共に、米国で適応拡大申請が既に受理されたことを明らかにした。どちらも日本の施設も参加しているので厚労省にも申請されるのではないか。

一本はLITESPARK-022試験。淡明細胞型腎細胞腫の切除後補助療法を受ける患者1841人を組入れて、承認薬であるKeytruda(pembrolizumab)にWeliregを追加する便益を偽薬追加と比較したもので、中間解析で主目的のDFS(無病生存期間)を達成した。ハザード・レシオ0.72(95%信頼区間0.59-0.87)、24ヶ月DFS率は各群80.7%と73.7%だった。副次的評価項目の全生存期間は到達率が未だ3割程度と未成熟だが、ハザード・レシオ0.78と好ましい点推定値が出ている。一方、G3以上の治療時発現有害事象発生率は各群52%と30%、併用群は貧血やATL上昇、低酸素症などが増加した。致死的なものの発生率は大差なく、1.1%と1.2%だった。FDAに優先審査指定され、審査期限は26年6月19日。昨年10月に試験が成功したことだけ発表した後、迅速に申請した勘定になる。

もう一つはLITESPARK-011試験。抗PD-(L)1抗体による治療中/後に進行した進行淡明細胞型腎細胞腫741人を組入れて、同社が共同開発販売しているエーザイのVEGFR阻害剤、Lenvima(lenvatinib、20mg一日一回)と併用する便益をExelixis(Nasdaq:EXEL)のVEGFR阻害剤Cabometyx(cabozantinib)単剤と比較したもの。中間解析で共同主評価項目の一つであるPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)を達成した。ハザード・レシオ0.70(95%信頼区間0.59-0.84)、メジアン値は各群14.8ヶ月と10.7ヶ月だった。一方、共同主評価項目の全生存期間は未だトレンドに留まっている。第2次中間解析でハザード・レシオ0.85(95%信頼区間0.68-1.05)、メジアン値は各群34.9ヶ月と27.6ヶ月だった。メジアン値の差は大きいが、2群のカプラン・マイヤー・カーブが分かれたのは16ヶ月辺りと遅く、おそらくそのせいでハザード・レシオの点推定値が案外なのだろう。

深刻有害事象の発生率は各群51.6%と43.9%、致死的だったものは5.4%と3.2%で、試験薬群は血栓性微小血管症と肺臓炎の各1例が治療関連と見做された。対照群は喀血が1例あった。

こちらは優先審査指定されなかった模様で、審査期限は26年10月4日となっている。

リンク: プレス・リリース(LITESPARK-022試験)
リンク: プレス・リリース(LITEPARK-011試験)

【承認】


テクベイリが二次治療に国家的優先承認
(2026年3月5日発表)

FDAはジョンソン エンド ジョンソン・グループのJanssen Biotechの抗BCMAxCD3二重特異性抗体Tecvayli(teclistamab-cqyv)を同社の皮下注用抗CD38抗体Darzalex Faspro(daratumumab hyaluronidase-fihj)と併用で、プロテアソム阻害剤及び免疫調停薬による治療歴を持つ再発/難治多発骨髄腫に用いる適応拡大を承認した。1~3次治療歴を持つ患者を組入れた第3相MajesTEC-3試験で、効果をDarzalex Faspro、dexamethasone、そしてpomalidomideまたはbortezomibを3剤併用する群と比較したところ、PFS(無進行生存期間)のハザード・レシオが0.17、副次的評価項目の全生存期間も中間解析で0.46と、有意な差があった。致死的な治療時発現有害事象発生率は各群7.1%と5.9%だった。

本件は、FDAのリーダーがASH(米国血液学会)抄録を読んで会社側に連絡を取り、CNPV(FDA委員長の国家的優先バウチャ)の交付について協議するという異例の経緯を持つ。現時点では申請時期は不明だが、欧州では今年1月、日本では2月の申請なので、米国も12月か1月だろう。1~2ヶ月という前宣伝通りかどうかは不明だが、只の優先審査案件よりはかなり早い。

Tecvayliは米国で22年に再発/難治多発骨髄腫の5次治療に単剤投与することが加速承認されたが、今回、通常承認に切替えられた。

リンク: プレス・リリース


参考:CNPV案件の進捗
発表企業対象疾患など進捗
25年10月Disc MedicineDISC-0974(bitopertin)赤芽球性プロトポルフィリン症CRL(26/2)
EMD SeronoPergoveris(follitropin alfa、lutropin alfa)LH/FSH欠乏性不妊症ローリング申請開始(25/11)
サノフィTzield(teplizumab-mzwv)一型糖尿病ステージ3申請受理(25/10)
Achieve Life SciencescytisiniclineEシガレット依存症PDUFA26/6/20
Regeneron PharmaceuticalsDB-OTOotoferlin関連難聴承認申請(25/12)
Dompe farmaceuticicenegermin非動脈炎性前部虚血性視神経症の
点鼻用新製剤
不明
Revolution MedicinesRMC-6236(daraxonrasib)膵癌第3相
USAntibioticsAugmentin XR(amoxicillin、clavulanate potassium)重要な抗菌剤の国内生産承認(25/12)
不明ketamine全身麻酔不詳
25年11月ベーリンガー・インゲルハイムHernexeos(zongertinib)her2陽性肺癌承認(26/2、44日審査)
ジョンソン エンド ジョンソンSirturo(bedaquiline)幼児の薬物耐性肺炎承認(26/3)
GSKJemperli(dostarlimab)直腸癌不明
Vertex PharmaceuticalsCasgevy(exagamglogene autotemcel)鎌状赤血球病不明
イーライリリーorforglipron肥満症承認申請(25/12)
ノボ ノルディスクWegovy(semaglutide)肥満症承認申請(7.2mg皮下注、25/11)
25年12月ジョンソン エンド ジョンソンTecvayli(teclistamab-cqyv)・Darzalex
Faspro(daratumumab、hyaluronidase-fihj)併用
多発骨髄腫承認(26/3)
MSDMK-0616(enlicitide decanoate)高脂血症不透明
MSD推MK-2870(sacituzumab tirumotecan)不明不明
注:CNPV=Commissioner's National Priority Voucher(FDA長官の国家的優先バウチャ)。承認審査の大幅な短縮化(1~2ヶ月)を求めることができる。公衆衛生危機に対応、革新的な治療、充足されない医療ニーズに対処、または国内生産体制を増強する案件に供与される。同一企業の他の承認申請に用いることも可能。


【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】


PDUFA
26/3推サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、8歳以上の最近診断されたステージ3の一型糖尿病、CNPV案件)
26/3推Regeneron PharmaceuticalsのDB-OTO(otoferlin変異による小児難聴、CNPV案件)
26/3推ノボ ノルディスクのAwiqli(insulin icodec、二型糖尿病)
26/3推ノボ ノルディスクのWegovy(semaglutide 最大用量7.2mg、CNPV案件)
26/3/6BMSのSotyktu(deucravacitinib、乾癬性関節炎適応拡大)
26/3/16Aldeyra TherapeuticsのADX 102(reproxalap、ドライアイ)
26/3/20Rhythm Pharmaceuticalsのsetmelanotide(後天的視床下部性肥満症)
26/3/24GSKのGSK2330672(linerixibat、原発性胆汁性胆管炎)
26/3/28Rocket PharmaceuticalsのKresladi(marnetegragene autotemcel、重度白血球接着不全症1型)
26/3/29LantheusのLNTH-2501 (Ga-68 edotreotide Injection、神経内分泌腫瘍のPET造影剤)
26/4推アストラゼネカのbaxdrostat(難治高血圧症)
26/4/3バイオジェンのSpinraza(nusinersen、高用量追加)
26/4/5Denali TherapeuticsのDNL310(tividenofusp alfa、ハンター症候群)
26/4/6Orca BioのOrca-T(血液癌の制御性T細胞・幹細胞移植)
26/4/8BMSのOpdivo(nivolumab、未治療の進行性古典的ホジキンリンパ腫)
26/4/10ReplimuneのRP1(vusolimogene oderparepvec、進行黒色腫)
26/4/13Travere TherapeuticsのRE-021(sparsentan、巣状分節状糸球体硬化症を追加)
26/4/23サノフィのSarclisa(isatuximab-irfc、多発骨髄腫用薬の皮下注用新製剤)
26/4/23Grace TherapeuticsのGTx-104(点滴静注用nimodipine、脳動脈瘤によるくも膜下出血)
26/4/28MSDのMK-8591A(doravirineとislatravir、HIV-1感染症)
26/4/29サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、1-7歳のステージ2一型糖尿病)
26/4/30Axsome TherapeuticsのAuvelity(dextromethorphan Hbrとbupropion HCI、アルツハイマー性激昂)
26/5推GSKのArexvy(高リスク18-49歳のRSV性下部気道疾患予防)
26/5推ビーワン・メディシンズのBGB-11417(sonrotoclax、マントル細胞腫)
26/5/10argenxのVyvgart(efgartigimod alfa-fcab、抗体陰性全身性重症筋無力症)
26/5/18第一三共のEnhertu(fam-trastuzumab deruxtecan-nxki、早期乳癌術前療法)
26/5/24エーザイのLeqembi皮下注(lecanemab-irmb、早期AD、維持療法限定解除)
諮問委員会
26/4/3腫瘍学諮問委員会(アストラゼネカのcamizestrantとcapivasertib



今週は以上です。

2026年2月28日

第1248回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • バイエル、JNJの優越性アピールに抗議の提訴 
  • 重症A型血友病の遺伝子療法が販売中止に 
  • パドセブとキートルーダの併用、白金適応のNIMCにも有効 
  • 経口GLP-1作用剤の直接比較試験もイーライリリーに軍配 
  • アルジェニクス、ヒフデュラの眼筋重症筋無力症試験が成功 
  • MSD、抗HIV新薬がナイーブ試験も成功 
  • BMS、中国でレブロジルをアルファ・サラセミアに承認申請へ 
  • ノボ、新規体重管理薬がライバル比較試験で見劣り 
  • Gossamer社、PAHの第3相がフェール 
  • ニーマン・ピック病C型用薬を承認申請 
  • 抗胎児性FcR抗体を温式自己免疫性溶血性貧血症に適応拡大申請 
  • ギリアド、BCMA型CAR-Tを承認申請 
  • CHMPがコロナ・インフルエンザ2価ワクチンなどの承認を支持 
  • 週一回皮下注用軟骨無形成症用薬が承認 
  • ソグルーヤが3希少疾患に適応拡大 
  • ヘルネクシオスが一次治療でも承認 
  • デュピクセントが真菌性副鼻腔炎に適応拡大 
  • ビラフトビが本承認 
  • アルギナーゼ1欠乏症の酵素補充療法が米国でも承認
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【今週の話題】


バイエル、JNJの優越性アピールに抗議の提訴
(2026年2月13日発表)

バイエルは、ジョンソン エンド ジョンソンとJanssen Biotech(以下、JNJ)を米国連邦ニューヨーク南部地域裁判所に提訴した。JNJの抗癌剤の効果がバイエルの競合薬より大きく上回るという内容のプレス・リリースなどについて、安全性や効果に関する誤ったまたは誤解を招く商業的表示を禁じるLanham法違反と主張、裁判所に差止命令を求めた。

発端は、JNJが実施して2月上旬の第36回IPCU(International Prostate Cancer Update)学会で発表した、同社のアンドロゲン伝達阻害剤Erleada(apalutamide)とバイエルのアンドロゲン受容体拮抗剤Nubeqa(darolutamide)の後顧的疫学研究。22年8月から25年6月までの期間にErleada(1460例)またはNubeqa(287例)による治療をdocetaxelを併用せずに開始した転移性去勢感受前立腺癌患者の転帰を24ヶ月追跡したところ、全死亡のハザード・レシオが0.49(95%信頼区間0.330-0.83)、p=0.007だった。JNJ側はFDAのリアル・ワールド・スタディに関するガイドラインに即して実施したと傍記している。

一方、バイエル側は、優越性を主張する根拠としてFDAが求める、よくデザインされた直接比較試験ではなく、誤った後顧的分析に基づく不適切な研究と主張している。また、分析対象期間の殆どにおいてNubeqaはdocetaxel併用でしか承認されていなかったことや、そのため症例数に大きな偏りがあること、24ヶ月追跡と記しているが解析時点で24か月到達していた症例は半分以下と推定されることなどを指摘している。

A社がB社の製品より良いというデータを発表し、B社はA社の製品より良いことを示す別のデータを発表するというのは生き馬の目を抜く製薬業界では日常茶飯事だが、大手が司法に訴える事例は、少なくとも当方はあまり知らないので、どのような結果になるのか、それとも和解で有耶無耶なまま決着するのか、気になるところだ。

リンク: バイエルのプレス・リリース(26年2月13日付)
リンク: JNJのプレス・リリース(26年2月2日付)


重症A型血友病の遺伝子療法が販売中止に
(2026年2月23日発表)

バイオマリンファーマシューティカルはA型血友病用薬Roctavian(valoctocogene roxaparvovec-rvox)の販売を中止することを25年決算発表に合わせて公表した。22年にEUで条件付き承認され、23年には米国でも承認されたが、需要は小さく、売上高が23年は350万ドル、24年は2600万ドル、25年は3600万ドルと、推定で年数十人程度の施行実績に留まっている。同社は事業譲渡先も探したが見つからず、販売中止を決定した。

AAV5ベクターを用いて血液凝固第8因子を肝臓特異的に発現させる遺伝子療法。A型血友病の6割を占めるとも言われる重度血友病で、インヒビターや抗AAV5抗体を持たない患者が適応になる。価格は米国の場合で1億ドル前後と高価だが、血友病治療は元々高額なので、需要低迷はそれだけが原因ではないだろう。近年、多くの遺伝子療法薬が実用化されたが、曲がりなりにも既存薬が存在する疾患では需要が盛り上がらない事例も散見される。

リンク: 25年決算発表リリース

【新薬開発】


パドセブとキートルーダの併用、白金適応のNIMCにも有効
(2026年2月27日発表)

ファイザーとアステラス製薬は、共同開発販売している抗ネクチン4抗体薬物複合体、Padcev(enfortumab vedotin-ejfv)をMSDの抗PD-1抗体Keytruda(pembrolizumab)と併用で筋層浸潤膀胱癌(MIBC)の周術期療法に用いた第3相EV-304(KeyNote-B15)試験で主目的を達成したと発表した。ASCO GU(米国臨床腫瘍学会泌尿器癌シンポジウム)で学会発表する。

この日本も参加した試験は、治癒的膀胱全摘術などを予定する、かつ、白金薬術前療法が適応になるMIBC患者を組入れて、gemcitabineとcisplatinによる術前療法と、上記2剤による術前術後療法の便益を比較した。主評価項目のEFS(無イベント生存期間)のハザード・レシオは0.53(95%信頼区間0.41-0.70)となり、2年EFS率は各群79.4%と66.2%だった。副次的評価項目も全生存期間のハザード・レシオが0.65(同0.48、0.89)、病理学的完全反応率は各群55.8%と32.5%と良好。G3以上の有害事象発生率は75.7%対67.2%だった。適応拡大申請に向かうだろう。

他の抗PD-(L)1抗体ではブリストル マイヤーズ スクイブのOpdivo(nivolumab)が単剤で高リスクNIBCの術後療法として21年に欧米で承認されている。cisplatinによる術前療法併用も可とされたCheckMate-274試験でDFS(無病生存)のハザード・レシオが偽薬比0.70、p<0.001だった。アストラゼネカのImfinzi(durvalumab)も25年にgemcitabine・cisplatinによる術前療法と併用でNIBCに用いることが米欧日で承認された。gemcitabine・cisplatinの術前療法に追加したNIAGARA試験でEFSのハザード・レシオが0.68、全生存期間も0.75だった。

Padcev・Keytruda併用が承認されたら患者はこの中から選択することになる。

尚、この二剤併用は白金薬が適応にならないNIBCでも切除術周術期試験が成功、昨年11月に米国で承認され、日本でも一変申請中。

リンク: プレス・リリース


経口GLP-1作用剤の直接比較試験もイーライリリーに軍配
(2026年2月26日発表)

イーライリリーは中外製薬からライセンスした経口GLP-1受容体作動薬、orforglipronを昨年12月にまず肥満症薬として米国で承認申請した。CNPV(FDA院長の国家優先バウチャ)を獲得したため、もしこの薬自体の申請に用いられたのならば、2~3月にも承認される可能性がある。二型糖尿病用途は今年、適応拡大申請する予定だが、この用途の競合薬であるノボ ノルディスクのRybelsus(semaglutide)との直接比較試験の結果がプレス・リリースやLancet誌で公表された。HbA1c低下が有意に優れる一方、有害事象は若干増加した。

この、日本も参加した第3相ACHIEVE-3試験は、metforminだけではHbA1cを十分に管理できない患者1698人をorforglipronの12mg群、同36mg、Rybelsusの7mg群、または同14mgに無作為化割付けして52週間治療し、HbA1cのベースライン比増減を比較した。treatment regimen estimandベースで各群1.71%、1.91%、1.23%、1.47%低下し、高用量同士の比較も、低用量同士の比較も、非劣性解析が成功し優越性解析も成功した(p<0.005)。

有害事象による治験離脱率は各群9%、10%、4%、5%。有害事象のうち、心拍数は各群平均で3.7、4.7、1.1、1.5bpm上昇した。

尚、ノボ ノルディスクはRybelsusより生物学的利用率が高く少量で済むsemaglutide新製剤、Wegovy錠(体重管理用)とOzempic錠(血糖管理用)が過去4ヶ月に米国で承認されている。

リンク: Rosenstockらの治験論文抄録(Lancet)


アルジェニクス、ヒフデュラの眼筋重症筋無力症試験が成功
(2026年2月26日発表)

オランダのアルジェニクスは、Vyvgart Hytrulo(efgartigimod alfa and hyaluronidase-qvfc)が眼筋重症筋無力症試験で主目的などを達成したと発表した。適応拡大申請する考え。

この皮下注用抗FcRn抗体は重症筋無力症などの治療薬として米日欧などで承認されている。今回の第3相ADAPT OCULUS試験は、欧米アジアのクラス1(軽症)眼筋重症筋無力症患者141人を組入れて、週一回皮下注する便益を偽薬と比較した。主評価項目は第4週のMyasthenia Impairment Indexに基づく眼症状患者評価。試験薬群は4.04点改善、偽薬群は1.99点改善で群間差はp=0.012だった。二重視や眼瞼下垂も改善した。

リンク: プレス・リリース


MSD、抗HIV新薬がナイーブ試験も成功
(2026年2月25日発表)

MSDは、CROI(Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections )で、MK-8591A(doravirine、islatravir)の第3相未治療HIV試験の成績を発表した。既に昨年7月に日米でスイッチ用に承認申請済みだが、初めて治療を受けるナイーブ患者向けも申請する考え。

既承認の非ヌクレオシド逆転写阻害剤と、日本で発見されたヌクレオシド系逆転写酵素トランスロケーション阻害剤、islatravirの固定用量合剤。今回の053試験は成人の未治療HIV-1感染者を組入れてdoravirine 100mgとislatravir 0.25mgの合剤を一日一回経口投与する便益を、ギリアド・サイエンシズのBictarvy(bictegravir 50mg + emtricitabine 200mg + tenofovir alafenamide 25mg)と比較した。48週応答率(HIV-1 RNA数が50コピー/mL未満)が各群91.8%と90.6%となり、非劣性認定された。高ウイルス量サブグループ(50万コピー/mL超)では90.3%対84.4%となり、2剤合剤ながら3剤合剤を数値上は上回った。薬物関連有害事象発生率は各群14%と18%、有害事象治験離脱率は1.1%と2.2%だった。

現在申請している用途は、抗レトロウイルス療法によりウイルス量を抑制できている成人患者のスイッチ。臨床試験で治療フェール率が継続投与群と非劣性だったが、優越性解析はフェールしており、敢えてスイッチする必要はあるのか素朴な疑問を感じる。今回の用途のほうが重要なのではないか。

MK-8591Aはislatravir 0.75mgを配合した製剤の第3相試験が成功したが、islatravir 20mgを非核酸系逆転写阻害剤MK-8507(ulonivirine)と併用で週一回投与した第2相試験で総リンパ球数やCD4陽性T細胞数の減少という治療目的と真逆な現象が散見されたことから、用量を3分の1に減らして改めて第3相試験を実施した経緯がある。その後、islatravir 60mgを月一回投与する曝露後予防試験は中止されたが、ulonivirine併用はislatravirを2mgに減らして週一回投与する第2/3相ナイーブ試験が昨年12月の開始されている。

リンク: プレス・リリース


BMS、中国でレブロジルをアルファ・サラセミアに承認申請へ
(2026年2月23日発表)

ブリストル マイヤーズ スクイブはluspaterceptが承認申請用第2相アルファ・サラセミア試験で主目的を達成したと発表した。中国で承認申請する考え。

activinタイプIIB受容体ベースの融合蛋白で、赤血球の成熟が妨げられないよう仕向ける。19~20年に米欧でReblozyl名でMDS(骨髄異形成症候群)に伴う貧血症やベータ・サラセミアの治療薬として承認され、日本でも24年にMDSに承認された。今回の試験は、中国周辺や地中海周辺などの国で成人のアルファ鎖グロビンに異常を持つサラセミアを罹患し貧血治療が必要な患者を組入れて、標準的治療に追加する便益を検討した。輸血依存コフォートでは主評価項目の輸血抑制奏効率が、非依存コフォートでは同じくヘモグロビン上昇奏効率が、偽薬比有意且つ臨床的に意味のある改善を達成した。

他の地域における申請方針は記されていない。小児慢性特定疾病情報センターのHPによると、日本人における罹患率は3500人に一人とベータ・サラセミアの1000人に一人と大差ないが、治療の必要がない軽症が多いとのこと。

リンク: プレス・リリース
リンク: サラセミア概要(小児慢性特定疾病情報センター)


ノボ、新規体重管理薬がライバル比較試験で見劣り
(2026年2月23日発表)

ノボ ノルディスクは25年12月に米国でGLP-1作用剤semaglutideと新開発のアミリン類縁体cagrilintideの合剤であるCagriSemaを体重管理薬として承認申請した。糖尿病を合併していない患者を組入れた偽薬対照試験、REDEFINE 1では、ライバルであるイーライリリーのGLP-1/GIP作用剤、Zepbound(tirzepatide)の試験成績と遜色のない体重減少作用を示したが、今回、直接比較試験で非劣性検定がフェールしたことが発表された。

この第3相REDEFINE 4試験は米国の糖尿病ではない肥満症患者809人をCagriSema群(16週漸増を経て目標用量の2.4mg/2.4mgに)とtirzepatide群(20週漸増を経て目標用量の15mgに)に無作為化割付けして84週間治療した。体重のベースライン値は114.2kg。各群の体重減少率は、treatment-regimen estimandベースでは20.2%対23.6%、efficacy estimandベースでは23.0%対25.5%だった。

各剤の偽薬対照試験の成績は以下の通りで、違いがあるようには見えなかった。今回の試験はオーバーウェイトは対象外で追跡期間も10週以上長い。そもそも、2~3%なら大きく違うわけでもない。それでも、不思議な結果だ。ノボは年内に高用量の第3相試験を開始する予定。

図表:体重管理試験3本の結果
試験名体重減少率(TRE)同(EE)
REDEFINE 4CagriSema20.2%23.0%
tirzepatide23.6%25.5%
REDEFINE 1CagriSema20.4%22.7%
偽薬3.0%2.3%
SOURMOUNT 1tirzepatide20.9%22.5%
偽薬3.1%2.4%
注:TRE=treatment regimen estimandベース、EE=efficacy estimandベース。
出所:両社のプレス・リリースより作成

リンク: プレス・リリース


Gossamer社、PAHの第3相がフェール
(2026年2月23日発表)

米国カリフォルニア州のGossamer Bio(Nasdaq:GOSS)は、GB002(seralutinib)の第3相肺動脈高血圧症(PAH)試験がフェールしたことを明らかにした。間質性肺疾患型肺高血圧症試験の新規組入れ中断も発表した。

PDGFRやCSF1R、c-KITなどを阻害する、DPI吸入用製剤。今回のPROSERA試験はWHO機能クラスがIIまたはIIIで標準療法を受けている患者390人を組入れて、24週6分歩行テストの成績を偽薬と比較した。結果は28.2メートル対13.5メートル、治療効果13.3メートル、p=0.0320となり、閾値である0.025をクリアできなかった。中高リスク・サブグループや北米施設における成績はもっと良かったようだ。治療時発現有害事象の発生率は16.0%と偽薬群の18.9%と大差なかった由だが、症状兆候ごとの内訳は不明。肝機能検査値異常上昇(正常値上限の3倍以上に)が13%で見られた(偽薬群は1%)。

Chiesiと開発販売提携しており、米国は共同、海外はChiesiが販売する計画だが、どうなるか。

リンク: プレス・リリース

【承認申請】


ニーマン・ピック病C型用薬を承認申請
(2026年2月23日発表)

米国カリフォルニア州のBeren Therapeutics P.B.C.(パブリック・ベネフィット・コーポレーション)は、子会社のMandos LLCが米国でVTS-270(adrabetadex)を幼児発症型NPC(ニーマン・ピック病C型)用薬として承認申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は26年8月17日。

2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンのアイソマーの混合物。Mallinchrodtが17年にVtesseを買収して入手したが、オピオイド訴訟に破れ経営破綻、21年にMandosがVtesseからインライセンスした。未上場企業であるため情報が極めて限られているが、NPCにおけるエビデンスは外部対照試験で全生存のハザード・レシオが0.289(95%信頼区間0.141-0.593)と大変良い数値であったこと。主な有害事象は難聴、疲労、運動失調。

ClinicalTrials.govに掲載されている後期第2/3相試験(NCT02534844)のデータを見ると、欧米太平洋地域の施設で56人をシャム群と2対1割付けして、2週毎に52週間、髄腔内投与する便益を検討したが、共同主評価項目のうち、NPC-SS(Niemann Pick Type C Severity Scale)は両群とも大きくは変化せず、CGIC(Clinician Global Impression Change)は判然としない結果になっている。希少疾患の開発でしばしば見られる、無作為化割付け試験がフェールしたため比較的費用の掛からない外部対照試験を実施して代用するパターンだとしたら、承認されるかどうか、不透明だ。NPC薬は既に存在するので尚更だ。

リンク: 同社プレス・リリース
リンク: NCT02534844試験の概要(ClinicalTrials.gov)


抗胎児性FcR抗体を温式自己免疫性溶血性貧血症に適応拡大申請
(2026年2月24日発表)

ジョンソン エンド ジョンソンは米国でnipocalimabをwAIHA(温式自己免疫性溶血性貧血症)治療薬として承認申請し受理されたと発表した。PDUFA(処方薬ユーザー課金法)に基づく審査終了目標日は記されていない。

wAIHAは免疫グロブリンG(IgG)が赤血球を破壊してしまう、米国では8000人に一人の自己免疫性疾患。承認されている治療薬はない。本薬はIgGのリサイクリングに関わるFcRNをブロックする抗体医薬。25年に米日欧で全身型筋無力症治療薬Imaavyとして承認された。wAIHAでは第2/3相Energy試験でヘモグロビン値の改善が偽薬群を上回った。

リンク: プレス・リリース


ギリアド、BCMA型CAR-Tを承認申請
(2026年2月23日発表)

ギリアド・サイエンシズは、Arcellx(Nasdaq:ACLX)と完全子会社化で合意したことを発表すると共に、共同開発しているArcellxのCART-ddBCMA(anitocabtagene autoleucel)を米国で難治/再発多発骨髄腫の4次治療薬として承認申請し受理されたことを明らかにした。審査期限は26年12月23日。

BCMAを標的とするCAR-T(キメラ抗原受容体T細胞)で、BCMA結合部位が抗体の短鎖可変領域ではなく、ArcellxがDドメインと呼ぶ8kDaの合成タンパクであることが特徴。結合が持続的でないため免疫毒性を抑制できることが期待されている。12月のASH(米国血液学会)における発表によると、承認申請用第2相試験のiMMAGINE-1で、ORR(全般的反応率、独立委員会評価)が96%だった。

リンク: プレス・リリース

【承認審査・委員会】


CHMPがコロナ・インフルエンザ2価ワクチンなどの承認を支持
(2026年2月27日発表)

EUの薬品審査機関であるEMAの医薬品科学的評価委員会、CHMPは、以下の新薬などの承認に肯定的意見を纏めた。順調なら2~3ヶ月以内にEU全域で承認されることになる。

リンク: EMAのプレス・リリース

モデルナのmCOMBRIAXは新開発の3価季節性インフルエンザmRNAワクチンと米日欧で25~26年に承認された軽量COVID-19 mRNAワクチン、mNEXSPIKEを一度に接種できるようにしたもの。GSKのFluarixまたはサノフィのFluzone高量版をモデルナのCOVID-19ワクチンSpikevaxと同時接種する手法と免疫原性を比較した試験で非劣性だった。50歳以上向け。インフルエンザ・ワクチンのほうが米国で承認申請が突き返されたばかりなので、少しは溜飲が下がったか。

リンク: EMAのプレス・リリース

Ipsen PharmaのOjemda(tovorafenib)は中枢神経浸透性RAF阻害剤。6ヶ月児以上のBRAF融合/再編成/V600変異などがあるpLGG(小児低グレード・グリオーマ)で1次以上の全身性治療歴を持つ患者に条件付き承認することが支持された。週一回、経口投与した第2相試験でORR(客観的反応率)が77人中52.6%、平均で18ヶ月、反応が持続した。

2011年に権利を取得した武田ミレニアムやそのライセンス元から19年にDay One Pharmaceuticals(Nasdaq:DAWN)がライセンスして開発、24年に米国で加速承認を取得した。イプセンは同年にDay Oneから米国外の権利を取得した。

リンク: EMAプレス・リリース

田辺ファーマのOnerji(levodopa、carbidopa)は抗パーキンソン薬で症状を十分に管理できなくなった進行性パーキンソン病用薬。専用機器を用いてlevodopaとcarbidopaを連続皮下点滴投与する。この2剤の液剤化に世界で初めて成功したイスラエルのNeuroDermを17年に買収して取得したもの。米国では23年に承認申請されたが、製造施設や非臨床の追加情報を求められ、24年6月と25年10月に審査完了通知を受領した。

リンク: EMAプレス・リリース

米国のCrinetics Pharmaceuticals(Nasdaq:CRNX)のPalsonify(paltusotine)は経口非ペプチド系ソマトスタチン受容体2型アゴニスト。成人の先端巨大の治療に一日一回経口投与する。日本は三和化学が22年にライセンスした。

リンク: EMAプレス・リリース

ノバルティスのRhapsido(remibrutinib)は選択的btk阻害剤。成人のH1抗ヒスタミンに十分応答しない慢性特発性蕁麻疹に経口投与する。2本の第3相で疾病活動尺度が有意に改善した。米国は優先審査バウチャを用いて昨年9月に承認取得、日本でも承認申請中。

リンク: EMAプレス・リリース

X4 Pharmaceuticals(Nasdaq:XFOR)のXolremdi(mavorixafor)はCXCR4受容体アンタゴニスト。この受容体の機能獲得変異により引き起こされる常染色体優性遺伝性超希少疾患、WHIM症候群を罹患する12歳以上の患者向けに例外的環境下承認することが支持された。因みにWはヒトパピローマウイルスによる疣贅、Hは低ガンマグロブリン血症、Iは再発性細菌感染症、Mは骨髄性細胞貯留症候群を表す。臨床試験では疣贅や腫瘍を抑制する効果は確認されなかったとのこと。オリジンはCXCR4受容体アンタゴニストのスペシャリストだったAnorMedのようだ。

リンク: EMAプレス・リリース

EUは、WHOに協力して、十分な承認審査体制を持たない国に代わって承認審査するEU-M4allという制度を持っている。今回、EU域外限定でCHMPの肯定的意見を得たのはSanofi Winthrop IndustrieのAcoziborole Winthrop(acoziborole)。12歳体重40kg以上の小児と成人のTrypanosoma brucei gambienseによるヒト・アフリカ・トリパノソーマの治療に、320mg錠を一回投与する。発熱などの症状が表れ始める第1ステージ、不眠や行動異常などの神経症状が発現する第2ステージ、そしてその中間期の患者が適応になる。臨床試験では第1ステージの患者41人における奏効率が100%、第2ステージ167人では95%だった。

罹患数はアフリカ大陸で年1000例足らずと減少したが致死率は依然として高い。既存薬は腰椎穿刺や入院など患者や医療施設の負担が大きく、一回一錠で済めばコンプライアンスも向上しそうだ。

リンク: EMAプレス・リリース

適応拡大では以下が支持された。

  • Dr. Falk Pharma GmbHのJorveza (budesonide):2~11歳の好酸球性食道炎。初の小児向け経口懸濁液製剤。当方は初めて聞く会社/製剤。
  • MSDのKeytruda(pembrolizumab):成人のPD-L1陽性(CPS≧1)白金抵抗性再発卵巣癌の2/3次治療。
  • ノバルティスのScemblix(asciminib):成人の慢性期フィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(CML-CP)で、T315変異を持ち、欧州ではインサイトが開発販売している競合薬、Iclusig(ponatinib)に抵抗/不耐/不適な患者。この適応の臨床試験は始まったばかりのように思われるが、どのようなエビデンスなのだろうか?

一方、否定的意見となったのは、まず、ACADIA Pharmaceuticals(Nasdaq:ACAD)のIGF-1類縁体、Daybu(trofinetide)。2歳以上のRett症候群用薬として開発され、米国では23年にDaybue名で承認されたが、CHMPは、治療効果が小さく、エビデンスとなるべき臨床試験に参加した患者の類型が網羅的でないことを指摘した。

リンク: EMAプレス・リリース

Vanda Pharmaceuticals(Nasdaq: VNDA)のIloperidone Vanda Pharmaceuticalsは、9年前と同じような評価を受けた。統合失調症と双極障害I型における躁症状/混合症状の急性期治療薬として米国では17年前に承認されたが、CHMPは、QT延長リスクを許容できるほど効果が高いわけではないこと、効果のない少量から漸増していくため急性期治療には適さないこと、双極障害の対照試験が4週間しか実施されていないことなどを難点とした。

リンク: EMAプレス・リリース

申請撤回となったのは、ファイザーの抗PD-1抗体、Zumrad(sasanlimab)。成人のBCG未施行の高リスク筋層非浸潤膀胱癌にBCGと併用で承認申請されたが、CHMPは治験中に統計解析方法が変更されたことや、盲検試験ではないのに治験医が薬効を評価していること、便益の大きさ、全生存期間など副次的評価項目の結果が整合的でないことなどを指摘している。欧米中日などで実施された第3相CREST試験に基づく申請と推測されるが、25年のAUA(米国泌尿器学会)でEFS(無イベント生存期間)がBCGだけの群より有意に伸びた(ハザード・レシオ0.68、両側p=0.019)と発表されており、意外な展開になった。

リンク: EMAプレス・リリース

【承認】


週一回皮下注用軟骨無形成症用薬が承認
(2026年2月27日発表)

アセンディス・ファーマはYuviwel(navepegritide、旧称TransCon CNP)がFDAに加速承認されたと発表した。2歳以上の骨端線閉鎖を伴わない軟骨無形成症の小児に週一回、皮下注する。ApproaCH試験で成長ベロシティ年率が5.89cm/年と偽薬群の4.41cm/年を有意に上回った。低血圧は見られなかった由だがレーベルでは警告注意事項に上がっている。4月頃に発売の予定。希少小児疾患優先審査バウチャを取得した。

C型ナトリウム利尿ペプチドのプロドラッグ。20kDaのmethoxy polyethylene glycolを結合し半減期を延長、バイオマリンのVoxzogo(vosoritide)の一日一回皮下注より少ない投与頻度を実現した。但し、Voxzogoは適応年齢に下限がなく、レーベルには体重3kgの場合の用量も記載されている。

リンク: プレス・リリース


ソグルーヤが3希少疾患に適応拡大
(2026年2月27日発表)

ノボ ノルディスクは、週一回皮下注用遺伝子組換え型成長ホルモン製剤、Sogroya(somapacitan)の適応拡大がFDAに承認された。ISS(特発性低身長症)、2歳までにキャッチアップしなかったSGA(低出生体重児)、またはヌーナン症候群に伴う成長不全の、2.5歳以上の小児に用いる。一日一回皮下注用製剤と比較した臨床試験で成長ベロシティが非劣性だった。日本でもSGAとヌーナン症候群に適応拡大申請中。

第3相REAL8バスケット試験に基づくもの。ターナー症候群のコフォートも成功した模様で、承認申請中とのこと。

リンク: プレス・リリース


ヘルネクシオスが一次治療でも承認
(2026年2月26日発表)

FDAはベーリンガーインゲルハイムのHernexeos(zongertinib)の適応拡大を加速承認した。初承認は25年8月、11月にCNPV(FDA長官の国家的優先バウチャ)を取得、今年1月13日に適応拡大申請が完了、44日後に承認と、1年足らずで大きく進捗した。

her2チロシン・キナーゼ阻害剤だが、her2陽性の乳癌や胃癌ではなく、her2チロシン・キナーゼ・ドメインに活性化変異のある切除不能/転移非扁平上皮非小細胞性肺癌に用いる。初承認も加速承認で、エビデンスは後期第1相Beamion LUNG-1試験の化学療法歴コフォート。ORR(客観的反応率)は71人中75%、その58%が6ヶ月以上持続した。今回のエビデンスは同試験の一次治療コフォート。ORRは72人中76%、その64%が6ヶ月以上持続した。

市販後薬効確認試験は一次治療が対象の第3相BEAMION LUNG-2試験。ClinicalTrials.govによると今年11月にも結果判明の見込み。

競合薬はバイエルの類薬、Hyrnuo(sevabertinib)。米国で昨年11月に同じ適応症で加速承認され、一次治療の市販後薬効確認試験が進行中。初承認は3ヶ月遅れただけだったが一次治療で差が広がった。

CNPV案件のうち、新薬に関わる承認は初めて。報道によるとローリング承認申請だったので、臨床成績以外の情報を2ヶ月以上前に提出という、審査期間大幅短縮の前提条件を満たしていたのだろう(ベーリンガーがCNPVをこの承認申請に用いたとは限らないが・・・何か確認する方法はあるのだろうか?それとも、徹頭徹尾、藪の中なのだろうか?)。

リンク: 承認に関するFDAプレス・リリース
リンク: CNPV案件承認に関するFDAプレス・リリース


デュピクセントが真菌性副鼻腔炎に適応拡大
(2026年2月24日発表)

FDAはRegeneron Pharmaceuticals(Nasdaq:REGN)のDupixent(dupilumab)を6歳以上の小児成人におけるAFRS(アレルギー性真菌性副鼻腔炎)に適応拡大することを承認した。手術歴を持つ、あるいは手術不適な患者が適応になる。第3相LIBERTY-AFRS-AIMS試験で体重に応じて200mgまたは300mgを2週毎または4週毎に52週間投与したところ、CTスキャンによる副鼻腔透明度評価(Lund-Mackayスコア)が50%改善し、偽薬群の10%改善を有意に上回った。患者評価やポリープ・サイズも改善した。

IL-4Rアルファ・サブユニットに結合する抗体医薬。アトピー性皮膚炎など多くの免疫性疾患に承認されている。

リンク: プレス・リリース


ビラフトビが本承認
(2026年2月24日発表)

FDAはファイザーのBRAF阻害剤Braftovi(encorafenib)のBRAF-V600E変異型転移性結腸直腸癌における加速承認を本承認に切替えた。一次治療を受ける患者にmFOLFOX6レジメン及びcetuximabと併用する便益を検討したBREAKWATER試験のORR(客観的反応率、盲検独立中央評価)と反応持続期間に基づき24年に加速承認したが、同試験のその後の解析でPFSや全生存期間も改善したため、切り替えた。

同時に、FOLFIRIレジメン及びcetuximabと併用した同試験のコフォート3におけるORRと反応持続期間もレーベル収載された。このデータは1月のASCO GI学会で発表されたばかり。Braftovi追加群はORRが64%と追加しなかった群の39%を大きく上回った。尚、ファイザーは2月にPFSも統計的に有意且つ臨床的に意味のある改善を果たしたと発表しているが、今回のレーベルには記されていない。

リンク: プレス・リリース


アルギナーゼ1欠乏症の酵素補充療法が米国でも承認
(2026年2月23日発表)

スウェーデンのImmedica Pharma ABは、FDAがLoargys(pegzilarginase-nbln)を2歳以上のアルギナーゼ1欠乏症における高アルギニン血症の治療薬として承認したと発表した。蛋白抑制食と併用する。

この疾患は米国の推定患者数が250人という超希少な常染色体劣性遺伝性疾患疾患。L-アルギニンを分解する、尿素サイクルの最終段階の酵素が欠乏し、アンモニアの分解・排出が進まない。治療はフェニル酪酸ナトリウムが利用されているようだが正式に承認された薬は初めて。臨床試験で被験者の9割で血漿アルギニン量が正常化した(偽薬群はゼロ)。

22年にAeglea BioTherapeuticsが米国で、ImmedicaがEUで承認申請し、23年12月にEUで条件付き承認されたが、米国は申請が受理されなかった。上記試験で運動機能などの副次的評価項目の有意な改善が見られなかったため。その後の経緯は見落としていたが、Immedicaが23年に欧州中東以外の権利も取得し米国で24年に再申請し、25年8月に審査完了通知を受領していた。その翌月、同社は修正申請し今回の承認に繋がった。OpenFDAサイトで審査完了通知を読んでみたところ、FDAは市販後に臨床的便益を確認することを前提に加速承認を申請する選択肢を提示しており、これが今回の承認に繋がったものと推測される。会社側プレスリリースには記されていないが、加速承認で、35年までに市販後薬効確認試験の結果をFDAに報告する必要がある。同社は希少小児疾患優先審査バウチャを取得した。

リンク: プレス・リリース
リンク: OpenFDAサイト
リンク: FDA承認通知

【当面の主なFDA審査期限】


PDUFA
26/2推サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、8歳以上の最近診断されたステージ3の一型糖尿病、CNPV案件)
26/2推JNJのTecvayli(teclistamab-cqyv)とDarzalex Faspro(daratumumab、hyaluronidase-fihj)、多発骨髄腫、CNPV案件)
26/2/25大鵬薬品のInqovi(decitabineとcedazuridine、新患急性骨髄性白血病一次治療)
26/3推Atara Biotherapeuticsのtabelecleucel(リンパ増殖性疾患)
26/3推Concert TherapeuticsのCORT-125134(relacorilant、白金抵抗卵巣癌)
26/3推ノボ ノルディスクのAwiqli(insulin icodec、二型糖尿病)
26/3推ノボ ノルディスクのWegovy(semaglutide 最大用量7.2mg、CNPV案件)
26/3/6BMSのSotyktu(deucravacitinib、乾癬性関節炎適応拡大)
26/3/16Aldeyra TherapeuticsのADX 102(reproxalap、ドライアイ)
26/3/20Rhythm Pharmaceuticalsのsetmelanotide(後天的視床下部性肥満症)
26/3/24GSKのGSK2330672(linerixibat、原発性胆汁性胆管炎)
26/3/28Rocket PharmaceuticalsのKresladi(marnetegragene autotemcel、重度白血球接着不全症1型)
26/3/29LantheusのLNTH-2501 (Ga-68 edotreotide Injection、神経内分泌腫瘍のPET造影剤)
26/4推アストラゼネカのbaxdrostat(難治高血圧症)
26/4/3バイオジェンのSpinraza(nusinersen、高用量追加)
26/4/5Denali TherapeuticsのDNL310(tividenofusp alfa、ハンター症候群)
26/4/6Orca BioのOrca-T(血液癌の制御性T細胞・幹細胞移植)
26/4/8BMSのOpdivo(nivolumab、未治療の進行性古典的ホジキンリンパ腫)
26/4/10ReplimuneのRP1(vusolimogene oderparepvec、進行黒色腫)
26/4/13Travere TherapeuticsのRE-021(sparsentan、巣状分節状糸球体硬化症を追加)
26/4/23サノフィのSarclisa(isatuximab-irfc、多発骨髄腫用薬の皮下注用新製剤)
26/4/23Grace TherapeuticsのGTx-104(点滴静注用nimodipine、脳動脈瘤によるくも膜下出血)
26/4/28MSDのMK-8591A(doravirineとislatravir、HIV-1感染症)
26/4/29サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、1-7歳のステージ2一型糖尿病)
26/4/30Axsome TherapeuticsのAuvelity(dextromethorphan Hbrとbupropion HCI、アルツハイマー性激昂)


今週は以上です。

2026年2月21日

第1247回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • FDAが一転、モデルナのインフルエンザ・ワクチン承認申請を受理 
  • ノバルティス、BTK阻害剤の慢性誘発性蕁麻疹試験が成功 
  • シロシビンの難治鬱病試験が2本目も成功 
  • アキシチニブの加齢性黄斑変性試験が成功 
  • ファイザーのビラフトビ、FOLFIRI併用試験も成功 
  • リリー、レットヴィモの早期NSCLC試験が成功 
  • ガザイバの自己免疫性疾患試験がまたまた成功 
  • ノバルティス、市販後薬効確認試験がフェールし本承認を申請へ 
  • ロシュ、giredestrantを承認申請 
  • 抗アクティビン抗体を承認申請 
  • 高リスク腎移植の拒絶反応抑制薬を承認申請 
  • BMS、多発骨髄腫の新薬を承認申請 
  • 小野薬品、PCNSL用BTK阻害剤を承認申請 
  • CNPVはゲットしたが承認されず 
  • Ultragenyxの遺伝子療法、再申請が受け入れられず 
  • PTC社、DMD用薬の承認申請を撤回 
  • カルケンス・ベネクレクスタ併用が未治療CLL/SLLに承認 
  • Vanda、iloperidoneと生物学的同等の新規化学物質が承認 
  • ジファミラストが米国でも承認 
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【今週の話題】


FDAが一転、モデルナのインフルエンザ・ワクチン承認申請を受理
(2026年月日発表)

モデルナは、FDAがmRNA-1010の承認審査を開始すると発表した。実薬対照試験の対照薬が高齢者に関しては不適切として一旦は申請を却下したが、タイプA会議を経て、高齢者向けは加速承認の申請と変更することで容認した。審査期限は26年8月5日。

mRNA-1010は季節性インフルエンザの予防用mRNAワクチン。50歳以上を対象に欧米やカナダ、オーストラリアで承認申請し、米国以外は受理されたが、FDAは第3相感染予防試験(P304試験)の対照薬が通常用量品のみで、65歳以上に推奨される高量品が採用されなかったことから、RTF(申請拒否)した。65歳以上の免疫原性試験(P303試験)ではFluzone HDを有意に上回っており、FDAは、それまで、高量版比較が望ましいが通常版でも可という判断を示していたようだ。

判断が二転、三転した原因は不明。RTF通知は生物学的製剤の承認審査などを担うCBER(生物学的製品評価研究センター)のヘッドで、インフルエンザ・ワクチンやCOVID-19ワクチンなどに関してコンセンサスとは異なる見解を持つVinayak Prasad名だったが、一部報道によると高官が、別の報道によるとトランプ大統領がMarty Makary FDA長官に直談判で、介入した。

手続き面で不思議なのは申請の受理日だ。PDUFA日が8月5日ということは、モデルナは優先審査バウチャを用いて申請したので、受理日は2月5日ということになる。RTF通知は2月3日付なので、その後の2日間にタイプA会議でモデルナが修正案を打診し内諾を得て申請し受理されたことになるが、非現実的だ。そもそも、モデルナがRTF通知の受領を公表したのは2月10日なので、その時点では既に再申請が受理されていたことになる。

おそらく、特殊性に鑑み、PDUFA起算日を可能な限りバックデートして少しでも早く承認されるよう配慮したのだろう。トランプ大統領なら何でもあり、日本の法は人の下に人を作らずだが、米国は大統領の下に国民や他国を作っているということなのだろうか。

リンク: プレス・リリース

【新薬開発】


ノバルティス、BTK阻害剤の慢性誘発性蕁麻疹試験が成功
(2026年2月18日発表)

ノバルティスはRhapsido(remibrutinib)が第3相REMIND試験のさらに二つのコフォートで主目的を達成したと発表した。適応拡大申請に向かうのではないか。

Rhapsidoは選択的BTK(ブルトン型チロシン・キナーゼ)阻害剤で、25年9月に米国で成人の抗ヒスタミン薬に十分応答しない慢性特発性蕁麻疹用薬として承認された。日本でも承認審査中。今回の日本も参加した試験は、H1ブロッカーに十分応答しない慢性誘発性蕁麻疹における効果を検討したもの。3種類の慢性誘発性蕁麻疹のうち、症候性皮膚描記型コフォートは一足先に奏効率(12週Total Fricスコア完全反応率)を達成、米国で適応拡大申請された。今回、寒冷蕁麻疹コフォート(所定の温度で刺激しても発症しない患者の比率)とコリン性蕁麻疹コフォート(完解率)も成功した。データは何れも未公表。

リンク: プレス・リリース


シロシビンの難治鬱病試験が2本目も成功
(2026年2月17日発表)

英国のCompass Pathways(Nasdaq:CMPS)は、COMP360(psilocybin)が第3相COMP 006治療抵抗性鬱病試験で主目的を達成したと発表した。米国の患者だけを組入れたCOMP 005試験と同程度の治療効果が見られた。FDAと相談の上、26年第4四半期に承認申請する考え。

シロシビンはマジックマッシュルームの成分で、米国でも日本でも麻薬取締法の対象。依存性はないとされる。006試験は北米や欧州の施設で568人を1mg群(実質的な偽薬群)、10mg群、25mg群に1:1:2割付けして3週おいて2回投与し、第6週のMADRS(Montgomery-Asberg Depression Rating Scale)をベースラインと比較した。25mg群は、1mg群と比べて、3.8点改善した(p<0.001)。米国の施設で258人を偽薬群と25mg群に1:2割付けした005試験の3.6点(p<0.001)と同様な結果になった。治療時発現深刻有害事象の発現率は2%、自殺思慮/行動が増加するリスクは見られなかった模様。

リンク: プレス・リリース


アキシチニブの加齢性黄斑変性試験が成功
(2026年2月17日発表)

米国マサチューセッツ州のOcular Therapeutix(Nasdaq:OCUL)は、Axpaxli(axitinib硝子体腔インプラント)が第3相新生血管加齢性黄斑変性(nAMD)維持療法試験で主目的を達成したと発表した。導入療法試験も進行中だが、結果を待たずに505(b)(2)申請する考え。

同社は生体吸収性ハイドロジェルを用いて活性成分を長期持続放出させる技術を持っており、2018年にDextenza(dexamethasone眼科用インサート)が眼科手術後の目の炎症や疼痛の治療薬としてFDAに承認された。Axpaxliは腎細胞腫などに承認されているVEGF受容体拮抗剤、axitinibを持続放出する新製剤。エビデンスとなる第3相SOL-1試験は複雑で、未治療のnAMD患者にaflibercept(Regeneron社/バイエルのEylea) 2mgを治験開始の8週前と4週前に硝子体注射して、応答者を試験薬群(0.45mg)とaflibercept群(2mg)に無作為化割付けして1回投与し、52週間観察した。主評価項目は36週における奏効維持率。ETDRSチャートで検査して悪化が15字以内なら奏効維持とした。結果は各群74.1%と55.8%となり統計的に有意な差があった。プレス・リリース添付のスライドによると、スクリーニング時点の平均BCVA(最良矯正視力)は70字、aflibercept2回投与後の無作為化割付け時点では80字で、52週後に奏効維持した患者の悪化は両群とも2~3字だった。第52週時点の奏効維持率も各65.9%と44.2%で有意な水準だった。

有害事象は飛蚊症や白内障、結膜出血などが増加し、白内障の深刻有害事象が1例見られた(対照群はゼロ)。52週間の目の有害事象発生率は各群53%と34%、それ以外は49%と42%だった。詳細は2月25~28日にサン・ディエゴで開催されるMacula Society年次総会で発表予定。

この試験は事前にFDAの特別プロトコル評価(SPA)を受けているので何か事情があるのだろうが、違和感があるのは、Eyleaの用法が承認されているものとは違うことだ。2週おいて3回投与した後も4週毎に投与するスケジュールなので、本試験は途中で活性薬対照試験から偽薬対照試験に切り替わっていることになる。また、Eyleaは8mgも承認されている。米国承認が遅れて本試験には間に合わなかったと推察されるが、維持療法としての効果がEyleaを上回る、とは言えないのではないか。

もう一本のSOL-R試験(ClinicalTrials.govでは303試験)はafilbercept 8mgも合わせて3群を設定し、48週のETDRSの非劣性検定を行う予定。現実の医療では、Eyleaのような抗VEGF抗体の導入療法が奏功したら、維持期は定期投与ではなく検査で悪化が認められたら投与する方針が多いと言われている。SOL-R試験ではETDRSが15字ではなく、5字以上喪失し且つCSFT(中心領域網膜厚)が75mcm以上増加したらレスキュー・セラピーを施行する、現実の医療に近いプロトコルを採用している。

リンク: プレス・リリース


ファイザーのビラフトビ、FOLFIRI併用試験も成功
(2026年2月17日発表)

ファイザーは、BRAF阻害剤Braftovi(encorafenib)が第3相BREAKWATER試験のコフォート3でPFS(無進行生存期間、独立中央評価)を達成したと発表した。適応拡大申請に向かうのではないか。

この試験はBRAF-V600E変異のある転移結腸直腸癌の一次治療における様々な標準療法に追加する便益を検討したもの。mFLOFOX6とcetuximabのレジメンに追加したコフォートは既に成功、ORR(客観的反応率、盲検独立中央評価)が61%と追加しなかった群の40%を大きく上回り、米国では24年に、日本でも25年11月に、適応拡大が承認された。コフォート3はFOLFIRIとcetuximabのレジメンに追加する便益を検討したもの。1月のASCO GI(米国臨床腫瘍学会胃腸癌シンポジウム)で64.4%対39.2%と有意な改善を示したことが発表され、今回、主要副次的評価項目であるPFSも統計的に有意且つ臨床的に意味のある改善が確認された。データは未公表。

リンク: プレス・リリース


リリー、レットヴィモの早期NSCLC試験が成功
(2026年2月16日発表)

イーライリリーは、Retevmo(selpercatinib)が第3相LIBRETTO-432試験で主目的を達成したと発表した。データは学会等で発表する考え。適応拡大申請について言及はしていない。

20~22年に米欧日でRET遺伝子融合変異を持つ根治切除不能甲状腺癌など向けに承認されたRET阻害剤。欧米ではRET融合変異を持つ進行非小細胞性肺癌にも承認されているが、今回はもっと早い段階の、ステージIB~IIIAのRET融合陽性非小細胞性肺癌で根治的放射線療法/切除術などを受けた患者151人を、日本を含むグローバルな施設で試験薬群と偽薬群に無作為化割付けした。主評価項目はステージII~IIIAサブグループにおけるEFS(無イベント生存期間、治験医評価)。統計的に有意且つ臨床的に意味のある違いがあった。

副次的評価項目の全生存期間の解析は未成熟だがポジティブなトレンドが見られたとのこと。ClinicalTrials.govに記載されている副次的評価項目にはサブグループ分析はリストアップされていないので全体の解析なのかもしれないが、副次的評価項目の1番目に記されている全体のEFSについては言及されていないので、良く分からない。

リンク: プレス・リリース
リンク: LIBRETTO-432試験の概要(ClinicalTrials.gov)


ガザイバの自己免疫性疾患試験がまたまた成功
(2026年2月16日発表)

ロシュは抗CD20糖鎖改変抗体Gazyva(obinutuzumab)が第3相MAJESTY試験で主目的を達成したと発表した。成人の原発性膜性腎症患者142人を組入れて2年間治療し、完解率をmTOR阻害剤tacrolimusと比較したところ、統計的に有意且つ臨床的に意味のある差があった。欧米で適応拡大申請する考え。

この疾患は免疫複合体が糸球体基底膜に沈着し肥厚させる。欧米の罹患者数は各9万人前後と推定されているようだ。Gazyvaが承認されれば初の治療薬になる。

Gazyvaは昨年第4四半期に自己免疫性疾患における開発が続々と成果を挙げた。米欧で活性期ループス腎炎に適応拡大、第3相特発性ネフローゼ症候群のINShore試験が成功、全身性エリテマトーデスのALLEGORY試験も成功した。今年は3適応症で承認申請されることになる。

リンク: プレス・リリース


ノバルティス、市販後薬効確認試験がフェールし本承認を申請へ
(2026年2月13日発表)

ノバルティスはVanrafia(atrasentan)の市販後薬効確認試験のフェールと、本承認切替申請の計画を明らかにした。類似前例もあるが、FDA上層部の考え方が同じとは限らないので要注意だろう。

アッヴィからライセンスしてIgA腎症用薬として開発したChinook Therapeuticsをノバルティスが買収して入手した、経口エンドセリンA受容体拮抗剤。第3相ALIGN試験で36週UPCR(尿蛋白クレアチニン比)が偽薬を有意に上回り、25年4月に米国で成人の急速進行性原発性免疫グロブリンA(IgA)腎症治療薬として加速承認された。この試験などでeGFR(推算糸球体濾過量)の悪化を抑制する作用を確認することが市販後コミットメントとなっていたのだが、偽薬修正後で2.39mL/分/1.73m2と上回ったものの両側p=0.057と有意水準に達しなかった。評価時期は一日一回投与を完了した4週間後に当たる136週だが、132週時点では2.59mL/分/m2で名目両側p=0.039と、高度ではないがまあまなな数値が出ている。

IgA腎症薬の開発では、今回のように、9ヶ月程度経った時点でUPCRというサロゲート・マーカーの改善を評価・証明した上で加速承認を取得し、2年以上追跡した後のeGFRを評価して臨床的便益を確認できたら本承認切替を狙うのが一般的だ。今回の結果は本来ならまずいはずだが、フェールしても本承認された前例がある。Travere Therapeutics(Nasdaq:TVTX)のFilspari(sparsentan)だ。23年2月に加速承認、eGFR解析はp=0.058だったが24年9月に本承認された。FDAは会社側と異なる解析を行ったようで、治療効果(1.2mL/分/1.73m2)もp値(0.0168)も会社側が一年前に発表した数値から変わっていた。EUも24年4月の条件付き承認を25年4月に本承認に切り替えている。EU向けの評価項目は会社発表でもp=0.037だったので、意外ではなかったのだが、何れにせよ、解析方法が少し変わるだけで有意にも無意にもなるナイーブな評価項目であることが窺われる。

尤も、Filspariの試験は実薬対照試験なので、有意に上回らなくても効かないとは言えない。今回は偽薬対照なのだから同じでは困る。治療効果はこちらの方が大きいが群間差だけでは二本の試験の比較可能性を垣間見ることすらできない。

発表内容が限られているためノバルティスの判断が妥当なのかどうか、分からないが、一つだけ言えるのは、現在のFDA首脳部はサロゲート・マーカーに慎重で臨床的便益を重視する傾向があることだ。

リンク: プレス・リリース

【承認申請】


ロシュ、giredestrantを承認申請
(2026年2月20日発表)

ロシュ/ジェネンテックは米国でRG6171(giredestrant)を承認申請し受理されたと発表した。審査期限は26年12月18日。欧州などでも申請する考え。

選択的エストロゲン受容体零落作用とエストロゲン受容体拮抗作用を持つ経口剤。成人のエストロゲン受容体陽性(ER+)、her2陰性(her2-)、ESR1陽性の局所進行/転移乳癌で内分泌療法に進行または応答後再発した患者に用いる。エビデンスは日本も参加した第3相evERA試験。早期乳癌の摘出術後または局所進行/転移後に内分泌療法及びCKD4/6阻害剤治療を受け不応/再発のER+her2-局所進行/転移乳癌を組入れて、mTOR阻害剤everolimusと併用する便益を標準療法(everolimusをexemestane、fulvestrant、またはtamoxifenと併用)と比較した(閉経前/中の女性はLHRHアゴニストも併用)。共同主評価項目であるESR1変異陽性サブグループにおけるPFS(無進行生存期間、担当医評価)はメジアン値が各群9.99ヶ月と5.45ヶ月、ハザード・レシオは0.38で高度に有意だった。全生存期間は未成熟だがハザード・レシオ0.62(95%信頼区間0.38-1.02)と好ましい方向を指している。

もう一つの共同主評価項目であるintent-to-treatベースの解析も順に8.77ヶ月対5.49ヶ月、0.56(0.44-0.71)、全生存期間のハザード・レシオは0.69(0.47-1.00)と似たような結果になっており、ESR1陰性/不明サブグループのデータが注目されたが、ESR1限定で申請されたということは、便益があると断定できるような数値ではなかったのだろう。

RG6171は、昨年11月に、日本も参加した早期乳癌術後アジュバントにおける第3相lidERA Breast Cancer試験の中間解析で主目的を達成しており、ロシュは数週内に米国などで承認申請する考え。ER+her2-局所進行/転移乳癌の一次治療palbociclib併用試験、第3相persevERAも今上期中に成否判明する見込み。

リンク: プレス・リリース


抗アクティビン抗体を承認申請
(2026年2月19日発表)

Regeneron Pharmaceuticals(Nasdaq:REGN)はREGN2477(garetosmab)を進行性骨化性線維異形成症(FOP)用薬としてFDAに承認申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は今年8月とのみ公表している。同社の研究者が機能を特定したactivin-Aに結合する抗体で、日本も参加した第3相OPTIMA試験で16歳以上の一型activin A受容体関連FOP患者63人を偽薬、3mg/kg、10mg/kg群の何れかに無作為化割付けして4週毎に56週間投与したところ、新規異所性骨化病変数が各群19、1、2病変となり、両用量群とも偽薬比p値が0.03を下回った。副次的評価項目の臨床的憎悪頻度は用量依存的に低下し、高用量は偽薬比有意だった。有害事象は鼻血、毛髪の成長増加、膿瘍、挫創など。第2相LUMINA-1試験では、無作為化割付け対照試験後のオープン・レーベル延長試験で試験薬の投与を受けた43人中5人が死亡し、FDAが治験停止を命じたことがあったが、試験薬との関連性が疑われる症例はなかった。第3相の深刻有害事象発生数は各群2人、1人、2人と第2相(偽薬群は24人中2人、10mg/kg群は20人中4人)と比べても群間差が縮小している(サンプル数は少ないが)。

進行性FOPは全身の筋肉やその周囲の膜、腱、靭帯などが徐々に硬くなって骨に変わり、手足の可動域が狭まったり背中が変形したりする。BMPの受容体である膜貫通型受容体、ACVR1(別名ALK2)蛋白の変異型がActivin Aにより活性化されることが原因と考えられている。世界の患者数は900人と僅少だが未診断/誤診の潜在患者も多いと推測されている。治療薬は22~26年にカナダ、米国、日本でイプセンのレチノイン酸受容体ガンマ作動剤、Sohonos(palovarotene)が米国の場合で8歳以上の女性と10歳以上の男性患者向けに承認された。臨床成績は新規異所性骨化量が外部自然歴対照群と比べて半分以下だった。

リンク: プレス・リリース


高リスク腎移植の拒絶反応抑制薬を承認申請
(2026年2月18日発表)

スエーデンのHansaBiopharma(Nasdaq Stockholm:HNSA)は米国でimlifidaseを高リスク腎移植の付随療法として承認申請し受理されたと発表した。優先審査を要求していたが認められたかどうかは不明。化膿レンサ球菌由来の開裂酵素で免疫グロブリンGの長鎖を特異的に零落し、ADCC(抗体依存性細胞傷害)やCDC(補体依存性細胞傷害)を妨げる。EUでは2020年に第2相試験に基づき、殆どのドナーに対する抗体を持ち適切な移植腎が見つからない患者向けにIdefirix名で条件付き承認された。米国は第3相ConfIdeSに64人を組入れて、1年後のeGFR(推算糸球体濾過率)を対照群(各施設の基準に応じて血漿交換、免疫グロブリン輸血、抗CD20抗体、抗C5抗体eculizumabを投与または適合腎が見つかるまで待機)と比較したところ、有意に上回った。

リンク: プレス・リリース


BMS、多発骨髄腫の新薬を承認申請
(2026年2月17日発表)

ブリストル マイヤーズ スクイブは米国でiberdomideを難治再発多発骨髄腫用薬として承認申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は26年8月17日。

セレブロンに結合してイカロスやアイオロスなどの転写因子の零落を誘導し、腫瘍細胞の増殖抑制、腫瘍細胞死の促進および免疫賦活効果の誘導を行う、同社がCELMoD(cereblon E3 ligase modulator)と呼ぶ化合物の第一号。同社のサリドマイドなどの標的もcereblonとされるが、どのような違いがあるのだろうか?承認申請のエビデンスは第3相EXCALIBER-RRMM試験。1~2次治療歴を持ち最終治療抵抗性の患者を組入れて、daratumumab及びdexamethasoneと3剤併用するIberDdレジメンと、iberdomideではなくbortezomibを併用するDVdレジメンを比較するもので、中間解析で共同主評価項目である微小残存病変(MRD)陰転率が有意に上回った。もう一つのPFSは26年に開票する見込み。

MRDに基づく承認は、今年1月にJanssen BiotechのDarzalex Faspro(daratumumab、hyaluronidase-fihj、和名ダラキューロ)が自家造血幹細胞移植(ASCT)が適さない新患多発骨髄腫に適応拡大した前例がある。FDAは、先月、MRDに基づく加速承認申請を容認するガイダンス資料も公開している。

リンク: プレス・リリース


小野薬品、PCNSL用BTK阻害剤を承認申請
(2026年2月16日発表)

小野薬品は、米国子会社であるDeciphera Pharmaceuticalsがtirabrutinibを再発又は難治のPCNSL(中枢神経系原発リンパ腫)用薬として承認申請しFDAに受理されたと発表した。審査期限は今年12月18日。

ブルトン型チロシン・キナーゼ(BTK)阻害剤。日本では20年に再発/難治PCNSLと原発性マクログロブリン血症、およびリンパ形質細胞リンパ腫に承認された。欧米はギリアド・サイエンシズがライセンスしていたことがあるが、最初に腫瘍学用途を、その後に他の用途も、返上した模様だ。今回の申請は、日本で承認後に米国で実施した第2相PROSPECT試験に基づくもの。48人に投与したところ、客観的反応率67%、メジアン反応持続期間は9.3ヶ月だった。

リンク: プレス・リリース

【承認審査・委員会】


CNPVはゲットしたが承認されず
(2026年2月13日発表)

Disc Medicine(Nasdaq:IRON)は昨年9月に米国でDISC-0974(bitopertin)を12歳以上の赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)の治療薬として加速承認申請し、10月にはCNPV(FDA長官の国家的優先バウチャ)を取得したが、審査完了通知を受領した。CNPV案件は承認審査が1~2ヶ月に短縮される可能性があるが、臨床成績以外を事前に提出することが前提のようなので、今回、4ヶ月余かかったのは前例にはならないだろう。同社は今年第4四半期に結果が見込まれる第3相試験の結果を待つ考え。

EPPは常染色体性優性遺伝性疾患。フェロケラターゼの欠損によりヘム変換が進まずプロトポルフィリンIVが骨髄や赤血球、皮膚などに蓄積、日光過敏などの症状をもたらす。米国の推定患者数は6000人。オーストラリアのClinuvel Pharmaceuticals(ASX:CUV)が開発したメラノコルチン-1受容体アゴニスト、Scenesse(afamelanotide)インプラント製剤が14年にEUで、19年には米国でも19年に、承認されている。メラトニン類似物質の産生を増強し、日光下無疼痛時間をやや増やすことができる。

bitopertinはGlyT1阻害剤。ヘム合成に必要なグリシンの細胞内流入を増強する。ロシュが統合失調症の陰性症状治療薬として開発したが第3相がフェール、21年にDisc社が導入した。AURORA試験で全血遊離プロトポルフィリンIX(PPIX)が40%低下、偽薬群の8%増加と有意な差があったが、光線過敏症状関連の副次的評価項目はトレンドに留まった。このため、FDAは、PPIXが減れば日光下無疼痛時間を長期化できると考えることは可能だが確認されてはいないことを指摘した。第3相APOLLO試験の主評価項目はScenesseと同様な日光化無疼痛時間なので、達成なら今度こそ承認の道が開けるだろう。

それにしても不思議なのは、このプロジェクトがなぜCNPV案件なのかということだ。EPP治療薬は既にあるので、優先順位がものすごく高いようには感じられない。米国の政治献金は企業ではなく個々の役職員が拠出するため分かり難いところがあるが、民主党の知事や市長がいる地域で不法移民の大規模摘発を行ったりする政権なので、モヤモヤ感が残る。

リンク: プレス・リリース
リンク: FDAの審査完了通知(FDAサイト)


Ultragenyxの遺伝子療法、再申請が受け入れられず
(2026年2月12日発表)

Ultragenyx Pharmaceutical(Nasdaq:RARE)は24年12月に米国でrebisufligene etisparvovecをムコ多糖症IIIA型用薬として承認申請したが、審査期限より1ヶ月早い25年7月にCMC(化学製造管理)が不十分として審査完了通知を受領した。今年1月にCMC問題の回答と臨床試験の長期追跡データを再申請したが、今回、Incomplete Response Letterを受領した。会社側はCMC追加データを提出する考え。

22年にAbeona Therapeutics(Nasdaq:ABEO)からライセンスした遺伝子療法。アデノ随伴ウイルス9型をベクターとして患者で欠損しているSGSH(N-sulfoglucosamine sulfohydrolase)の遺伝子を導入する。臨床試験で脳脊髄液ヘパラン硫酸というサロゲート・マーカーが用量依存的に減少した。CMC問題は外部からは窺い知れないのでコメントの余地がない。

リンク: プレス・リリース


PTC社、DMD用薬の承認申請を撤回
(2026年2月12日発表)

PTC Therapeutics(NASDAQ: PTCT)は米国でTranslarna(ataluren)をデュシェンヌ型筋ジストロフィー用薬として承認申請していたが、撤回した。最初の承認申請は10年前、受理されなかったがfile over protestと呼ばれる救済措置を経て受理を勝ち取ったが、FDAも諮問委員会も薬効を認めず17年に審査完了通知を受領した。24年に再申請したが、フィードバックは依然として否定的で、今回、撤回に至った。

EUでは14年にCHMPが否定的意見を纏めたが、再審査で逆転し、条件付き承認を獲得した。しかし、追加試験がフェールし、11年後に条件付き承認が失効した。

有効性を示すエビデンスは不十分だが他に有効な薬がなく患者が困っているので迅速承認する、という制度は日米欧に存在するが、科学が進歩するのは裏返せば私たちが知らないことがまだまだ一杯あるということなので、認知症に承認された薬が実は効かなかったなんて話は決して珍しくない。きちっと再評価して過ちを正すことも医学の進歩である。

リンク: プレス・リリース

【承認】


カルケンス・ベネクレクスタ併用が未治療CLL/SLLに承認
(2026年2月20日発表)

FDAはアストラゼネカのBTK阻害剤Calquence(acalabrutinib)とアッヴィとジェネンテックのVenclexta(venetoclax)を成人の未治療CLL/SLL(慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫)に併用する用法追加を承認した。エビデンスとなる第3相AMPLIFY試験では抗CD20抗体obinutuzumab(ロシュのGazyva)と3剤併用した群も良さそうな成績を上げ、EUでは昨年6月に両方とも承認されたが、米国はなぜか2剤併用だけだった。

この試験は、成人の未治療CLL/SLL(分子標的薬が適応になる17p欠損型やTP53変異型は除外)をAV群(Calquenceは56週間、Venclextaは8週遅れで開始し48週間、どちらも経口投与)、AVO群(更にobinutuzumabも投与)、そして標準療法群(fludarabine、cyclophosphamide及びrituximab、または、bendamustineとrituximab)に無作為化割付けして、AV群と標準療法群のPFS(無進行生存期間、独立委員会評価)を比較した。メジアン値は未達対47.6ヶ月、ハザード・レシオは0.65、有意だった。副次的評価項目の全生存期間は未成熟だがハザード・レシオが0.42(95%上限0.70、但し多重性を補正すると有意ではない)と好ましい数値が出ているはずだが、レーベルにはメジアン41ヶ月の追跡で死亡率は各群6%と14%であったことしか記されていない。忍容性面では骨髄抑制は標準療法より少なかったが、COVID-19感染率が21%対4%、G3/4は6%対1.5%と、上回った。

承認されなかったのでレーベルには記載されていないが、副次的評価項目であるAVO群と標準療法群の比較は、PFSのハザード・レシオが0.42とAV群より良さそうな数値が出ており、特に、カプラン・マイヤー・カーブを見ると、AV群は2~3年経った辺りから悪化しAVO群の曲線を下方に突き抜けている。その段階では多くの患者が無進行生存しているので、ノイズと一蹴するわけにもいかず、AVOに軍配を上げたくなる。ところが、AVO群の全生存期間のハザード・レシオは0.75(95%上限1.16)と、AV群ほどではない。COVID-19死亡率を見ると、AV群は3.4%、AVO群は8.7%、標準療法群は7.2%となっており、AV群だけ低かったこともある程度影響しているのかもしれない。悩ましいデータ群だが、FDAがAVレジメンしか認めなかったことで、一層考え込んでしまう。

リンク: プレス・リリース


Vanda、iloperidoneと生物学的同等の新規化学物質が承認
(2026年2月20日発表)

Vanda Pharmaceuticals(Nasdaq:VNDA)は、FDAがBysanti錠(milsaperidone)を承認したと発表した。成人の双極障害I型における躁または混合症状の急性期治療と、成人統合失調症の急性期治療及び再発予防に用いる。活性成分は同社のFanapt(iloperidone)と相互変換する。承認のエビデンスは生物学的同等性試験で、レーベルにはiloperidoneの治験成績が掲載されている。それでもプレス・リリースには新規化学物質(New Chemical Entity)と記されており、IPは2040年代まで有効のようだ。

26年第3四半期にロンチする予定。iloperidoneは2016年以降に3社のジェネリックが承認されたが、何れも打切り(discontinued)となっており、急ぐ必要はなさそうだ。

iloperidoneはEUでも承認申請されたが、用量漸増に数日かかり作用が発揮されるまで時間がかかるため急性期治療には適さないことやQT延長リスクなどから承認されなかった。

リンク: プレス・リリース


ジファミラストが米国でも承認
(2026年2月13日発表)

AuroBindoは、子会社であるAcrotech Biopharmaの新薬が米国で承認された旨をインド証券取引所に届出た。大塚製薬が日本で21年に承認取得したアトピー性皮膚炎のPDE4阻害剤、モイゼルトを米国市場で導入したもので、2歳以上の軽中度アトピー性皮膚炎が適応になる。Acrotech社は16年に大塚からライセンスしたMedimetriksから権利譲渡を受けたもの。治験成績は当方は未だ把握できていない。

因みに承認通知は免疫学・炎症オフィスのヘッドであるNikolay P. Nikolov, MD名となっている。トップダウンで当否を決めた時だけCDERやCBERのヘッド名で回答するのだろうか?

リンク: AuroBindoのインド証券取引所届出書類

【当面の主なFDA審査期限】


PDUFA
26/2推サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、8歳以上の最近診断されたステージ3の一型糖尿病、CNPV案件)
26/2推JNJのTecvayli(teclistamab-cqyv)とDarzalex Faspro(daratumumab、hyaluronidase-fihj)、多発骨髄腫、CNPV案件)
26/2/25大鵬薬品のInqovi(decitabineとcedazuridine、新患急性骨髄性白血病一次治療)
26/2/28Regeneron PharmaceuticalsのDupixent(dupilumab、アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎)
25/2/28Ascendis PharmaのTransCon CNP(navepegritide、軟骨無形成症)
26/3推Atara Biotherapeuticsのtabelecleucel(リンパ増殖性疾患)
26/3推Concert TherapeuticsのCORT-125134(relacorilant、白金抵抗卵巣癌)
26/3推ノボ ノルディスクのAwiqli(insulin icodec、二型糖尿病)
26/3推ノボ ノルディスクのWegovy(semaglutide 最大用量7.2mg、CNPV案件)
26/3/6BMSのSotyktu(deucravacitinib、乾癬性関節炎適応拡大)
26/3/16Aldeyra TherapeuticsのADX 102(reproxalap、ドライアイ)
26/3/20Rhythm Pharmaceuticalsのsetmelanotide(後天的視床下部性肥満症)
26/3/24GSKのGSK2330672(linerixibat、原発性胆汁性胆管炎)
26/3/28Rocket PharmaceuticalsのKresladi(marnetegragene autotemcel、重度白血球接着不全症1型)
26/3/29LantheusのLNTH-2501 (Ga-68 edotreotide Injection、神経内分泌腫瘍のPET造影剤)
26/4推アストラゼネカのbaxdrostat(難治高血圧症)
26/4/3バイオジェンのSpinraza(nusinersen、高用量追加)
26/4/5Denali TherapeuticsのDNL310(tividenofusp alfa、ハンター症候群)
26/4/6Orca BioのOrca-T(血液癌の制御性T細胞・幹細胞移植)
26/4/8BMSのOpdivo(nivolumab、未治療の進行性古典的ホジキンリンパ腫)
26/4/10ReplimuneのRP1(vusolimogene oderparepvec、進行黒色腫)
26/4/13Travere TherapeuticsのRE-021(sparsentan、巣状分節状糸球体硬化症を追加)
26/4/23サノフィのSarclisa(isatuximab-irfc、多発骨髄腫用薬の皮下注用新製剤)
26/4/23Grace TherapeuticsのGTx-104(点滴静注用nimodipine、脳動脈瘤によるくも膜下出血)
26/4/28MSDのMK-8591A(doravirineとislatravir、HIV-1感染症)
26/4/29サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、1-7歳のステージ2一型糖尿病)
26/4/30Axsome TherapeuticsのAuvelity(dextromethorphan Hbrとbupropion HCI、アルツハイマー性激昂)

今週は以上です。