2026年7月26日

第1269回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • アムジェン、タブネオスの広聴機会を請求 
  • ブンディブギョ株エボラウイルス疾患による死者が早くも1000人に 
  • JNJ、テクベイリ・タービー併用二次治療試験が成功 
  • イーライリリー、トリプルGの第3相結果をまた公表 
  • HARMONi試験の全生存データがアップデート 
  • siRNA薬の重度高TG血症適応拡大試験が成功 
  • ギリアドとMSDの相乗り配合錠、第3相が成功 
  • サノフィも抗OX40L抗体の承認申請を断念 
  • イプセン、iBAT阻害剤の胆道閉鎖症試験はフェール 
  • 膵管腺腫の革命的新薬を承認申請 
  • ファイザー、ターゼナをCSPCに適応拡大申請 
  • ノバルティス、4品の承認申請を公表 
  • 7月のCHMP結果 
  • 大塚のADHD新薬が承認 
  • 硝子体注射用ベバシズマブが承認 
  • GSK、買収合意したばかりの企業のROS1阻害剤が承認 
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【今週の話題】


アムジェン、タブネオスの広聴機会を請求
(2026年7月23日発表)

アムジェンは、FDAがANCA関連血管炎治療薬Tavneos(avacopan)の承認を取消そうとしているため、広聴機会を請求する文書を送付すると共に、一般公開した。21~22年に日米欧で承認されるエビデンスとなった第3相Advocate試験でデータの不適切な取扱いがあったことが発覚、薬効データの頑強性が疑われ肝毒性などのリスクを上回ると言えなくなったことから、EUのCHMP(医薬品科学的評価委員会)も今年6月に承認取消するよう勧告した。100%効かないと断言できる訳ではないだろうが、どちらかと言えば、不正申請に甘い態度を示すと模倣犯が輩出する可能性を危惧したものだろう。

発端は、アムジェンが22年に37億ドルで買収した、Tavneosを欧米承認まで進めたChemoCentryx社に関する株主代表訴訟。裁判の過程で、Advocate試験は主解析がp=0.1025とフェールしたが、奏効判定の妥当性が疑われた9人の再判定を行ない、試験薬群の6人中5人を持続的寛解達成例に変更していたことが発覚した(偽薬群の疑い例3人は変更なし)。尚、アムジェンは問題発覚後にデューク大に改めて盲検判定を要請したが、今回の文書によると、この再判定でもTavneos群の持続的寛解は偽薬群を有意に上回ったとのこと。

問題は、主解析のフェール後に再検討が行われたことを当局に(今回の文書によるとアムジェンにも)報告していなかったこと。非劣性検定なので厳格な評価が必要だが、それ以前の問題だ。この薬は稀に深刻な肝臓有害事象が発生する。便益が明確でない以上、危険を受け入れる余地は小さいだろう。

良く分からないのが肝毒性だ。26年1月時点で世界で25000人年以上の投与実績があり、うち米国は6500人とのことだが、売上高から推測すると患者数が一番多いのは最初に承認された日本だろう。ただそれにしても、特徴的な副作用であるVBDS(胆管消失症候群)の報告例31例中、日本が27例というのは偏りが過ぎる。残り4例中一人はカナダの中国系、2例は中国の文献報告なので、アムジェンは薬物遺伝学的な要因がある可能性にも言及している。また、日本では当初、添付文書で肝機能検査値等に関する具体的な投与再検討/中止基準が示されていなかったことが影響した可能性にも言及している。

アムジェンは独英や日本で行われている市販後安全性調査の中間解析では特に肝臓リスクが浮上していないことも指摘している。日本のデータではVBDSは1例しか報告されていないようだ。調査のカバレッジが低すぎるのか、この種の調査に付き物な、調査施設のスクリーニング・バイアスが影響しているのかもしれない。

リンク: アムジェンのFDA提出資料(7/23付)
リンク: ADVOCATE試験論文の撤回通知(NEJM)


ブンディブギョ株エボラウイルス疾患による死者が早くも1000人に
(2026年7月22日発表)

アフリカ地域では過去50年間にエボラウイルス疾患が散発的に流行し、過去最大規模となった2014~16年の大流行では、シエラレオネやリベリア、ギニアを中心に確認例で15261人、疑い例も含めると28652人の感染が報告され、うち11325人が死亡した。26年5月にコンゴ民主共和国(DRC)で始まった今回の流行は、まだそこまでは行っていないが、懸念されるのは、2014~16年の大流行では死亡者が1000人に達するまで8ヶ月かかったのに、今回は2ヶ月強と早いこと。実際に流行が始まったのは26年5月より前である可能性が高いと推測されているが、それにしても早い。感染拡大を抑えるには感染者の濃厚接触者を把握し隔離/自主隔離することが重要だが、追跡できているのは1割足らずに留まっている様子だ。新患の8割は既知の感染鎖と繋がっていはいない。実態を把握できないまま感染が新たなコミュニティや地域に広がっていることになる。死亡者の6割以上は治療を受ける前に亡くなっている。

流行の中心地であるDRCのIturi地域はGoogleで衛星画像を見ても森と川らしきものばかりで、建物が見えない。ホテルを検索すると国境を跨いでウガンダ側には複数あるが、Ituri側には表示されない。今回のステルス拡大は、おそらく、都市化が進んでいないこともネックになっているのだろう。遺体の埋葬方法などについても住民の抵抗、反発が強いようだ。

WHOの発表によると、今回のDRCにおける感染者は7月20日時点で確認例2473人、疑い例322人、感染確認者の死亡はこの時点では999人、確認例のCFR(症例致死率)は40%、回復者は482人。エボラウィルスのザイール株は治療薬やワクチンが承認されているが、今回流行しているBundibugyo株はまだ臨床試験が始まったばかりだ。

リンク: MedPageTodayの報道
リンク: エボラ感染症症例数(WHO)


【新薬開発】


JNJ、テクベイリ・タービー併用二次治療試験が成功
(2026年7月23日発表)

ジョンソン エンド ジョンソンは第3相MonumenTAL-6試験で主目的を達成したと発表した。lenalidomide及び抗CD38抗体を含む1~4次治療歴を持つ成人の再発/難治多発骨髄腫を対象に、同社の抗BCMAxCD3二重特異性抗体Tecvayli(teclistamab-cqyv)と抗GGPRC5DxCD3二重特異性抗体Talvey(talquetamab-tgvs)の併用法(Tec-Tal群)、及び、Talveyとpomalidomideの併用法(TAL-P群)の便益を標準療法(pomalidomide及びdexamethasoneをelotuzumabまたはbortezomibと併用)と比較したところ、どちらもPFS(無進行生存期間、独立委員会評価)と全生存期間が統計的に有意な、且つ、臨床的に意味のある改善を見た。Tec-Tal群のハザード・レシオはPFSが0.11、全生存期間は0.38。Tal-P群はPFSが0.27、全生存期間は未公表。

同社は複数の多発骨髄腫用薬を持っているため様々な併用法や、病気のより早い段階における試験を進めている。他社も同じで、結果的に、一次治療や二次治療のレジメンが並立している。最初のうちは嬉しい悲鳴と呼んでいたが、どれをどの順番で使うのがベストなのか、その場合、効果が失われたらどれを使うのか、もうそろそろ交通整理してもらいたいものだ。今回のデータは中々のものなので、後から発売された薬が先輩を押しのける下剋上の時期が来たのかもしれない。

リンク: プレス・リリース


イーライリリー、トリプルGの第3相結果をまた公表
(2026年7月23日発表)

イーライリリーは、GLP-1/GIP/グルカゴン受容体アゴニスト(通称トリプルG)であるLY3437943(retatrutide)の第3相体重管理試験二本の結果を公表した。主要5本中4本が揃い、あとは睡眠時無呼吸試験だけとなった。27年第1四半期に承認申請する計画も明らかにした。

第3相TRIUMPH-2試験は肥満症またはオーバーウェイトで二型糖尿病を合併する患者1152人を偽薬群、4mg群、9mg群、12mg群に無作為化割付けして週一回皮下注を80週間実施し、体重減少作用を比較した。結果は、Efficacy Estimandベースで、各群4.0%、12.7%、19.1%、20.8%低下し、主評価項目である9mg群と12mg群、そして参考群である4mgともに偽薬を大きく上回った(p値等は未公表)。intent-to-treatに近い解析方法であるTreatment Regimen Estimandベースの成績は記されていない。

TRIUMPH-3試験はBMIが35kg/m2以上の重度肥満で心血管疾患を合併する高リスク患者(二型糖尿病は不問)1949人を偽薬群、9mg群、12mg群に2:1:1割付けして80週間投与し体重減少作用を検討した。こちらもEfficacy Estimandベースで、各群3.2%、21.6%、22.6%低下した(p値等は未公表)。プレス・リリースはMACE-5(全死亡、心筋梗塞、卒中、心不全事象、冠血行再建術)のtime to event解析がイベント数不足でフェールしたことを真っ先に述べているが、ClinicalTrials.govを見ると主評価項目でも副次的評価項目でもないので、心血管疾患予防効果が期待される薬の前例と同様に、この指標で心血管疾患が大きく増加しないことを確認し、あとは長期大規模な心血管アウトカム試験の結果が出るのを待つ開発戦略なのではないか。

MACE-5は9mg群と12mg群のプール分析で、発生数は44件、偽薬群は52件、ハザード・レシオは0.82(95%信頼区間0.55-1.22)。MACE-3(全死亡、心筋梗塞、卒中)は、各、27件対23件、1.12(0.64-1.96)だった。もしこの解析がリスクが大きく上昇しないことを確認する趣旨だったとしたら、MACE-5の95%上限1.22はともかく、MACE-3の上限は眉を顰めるべき水準だろう。もし別途、心血管アウトカム試験を実施する考えがないならば、第3相5本のプール分析などが必要になるかもしれない。

有害事象はGLP-1作用剤のクラス・イフェクトである胃腸系のものに加えて、retatrutideは今回も異常感覚が若干増加した。有害事象による治験離脱率はTRIUMPH-2試験が各群4.9%、3.8%、11.6%、7.7%、TRIUMPH-3試験は4.8%、9.8%、13.5%。この薬は4週毎に2mg→4mg→6mg→9mg→12mgと漸増するレジメンを採用しているが、それでも1割前後の脱落者が出ている。

図表:retatrutideの第3相体重管理試験成績
評価項目偽薬群4mg*9mg群12mg群
体重低下(wk80、Efficacy Estimand basis):
TRIUMPH-1試験2.2%19.0%25.9%28.3%
TRIIUMPH-2試験4.0%12.7%19.1%20.8%
TRIIUMPH-3試験3.2%設定なし21.6%22.6%
体重低下(wk80、Treatment Regimen Estimand basis):
TRIUMPH-1試験3.9%17.6%23.7%25.0%
TRIIUMPH-2試験nananana
TRIIUMPH-3試験nananana
有害事象治験離脱率:
TRIUMPH-1試験4.9%4.1%6.9%11.3%
TRIIUMPH-2試験4.9%3.8%11.6%7.7%
TRIIUMPH-3試験4.8%設定なし9.8%13.5%
*4mg群は副次的評価項目
出所:会社発表から作成

リンク: プレス・リリース


HARMONi試験の全生存データがアップデート
(2026年7月22日発表)

米国マイアミのSummit Therapeutics(Nasdaq:SMMT)は、中国のAkeso(康方生物、9926.HK)から欧米日本などの権利を取得し米国で承認申請中の抗PD-1xVEGF二重特異性抗体、ivonescimabの臨床成績について、追加的解析データを公表した。エビデンスとなる第3相HARMONiの共同主評価項目である全生存期間において、西側施設組入れ患者のハザード・レシオが、正式解析値の0.84から直近の解析で0.76に改善しアジア地域と同水準に達したというもの。FDAに追加提出したので、審査期限が11月14日から延期される可能性はあるものの、承認確率が若干上昇したと考えてよいだろう。但し、依然としてハイ・リスク・プロジェクトと当方は考えている。

HARMONiは第3世代EGFRチロシン・キナーゼ阻害剤による治療後に進行したEGFR変異のある局所進行/転移性非扁平上皮非小細胞性肺癌の患者438人を組入れて、pemetrexed及びcarboplatinによる標準療法に追加する便益を偽薬追加群と比較したもの。主評価項目のPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)はハザード・レシオが0.52、p<0.001となったが、全生存期間のほうはハザード・レシオ0.79、p=0.057とフェールした。しかも、アジア地域の患者のハザード・レシオが0.76と良好な水準であったのに対して、西側患者165人では0.98と失望的だった。

厄介なのは、この試験がAkesoが中国で実施したHARMONi-A試験とSummit社が欧米などで実施した試験のデータを合成したものであること。開始時期が異なるため主解析時点におけるアジア患者のメジアン追跡期間は32.7ヶ月だったが、西側の患者は9.2ヶ月とintent-to-treat(以下、ITT)ベースの偽薬追加群のメジアン生存期間である14ヶ月などと比べ短かった。

FDAは全生存期間が統計的に有意に伸びるというエビデンスを求めたが、同社は承認申請を断行すると共に、前回と今回、西側施設の患者だけ追加的フォローアップ分析を行ったところ、0.98→0.84→0.76と次第に向上し、ついにアジアのデータと肩を並べた。

但し、FDAを説得できるかは不透明だ。今回の解析はおそらく事前に計画されたものではない。プレス・リリースにはp値が記されていないので、有意水準ではないか、あるいは、事前にアルファが割り当てられていない解析なら前回と同様に名目値に過ぎないからだろう。AkesoはHARMONi-A試験に基づき中国で承認を取得したが、FDAは中国施設の患者が殆どを占める臨床試験に基づいて承認することに否定的なスタンスを明確にしており、西側患者における便益が十分に確立していないことに懸念を抱く可能性が高い。

図表:全生存期間ハザード・レシオの推移
カット・オフ25年4月25年9月26年6月
ITT(n=438)0.790.780.76
p値0.0570.033*未公表
西側施設のみ(n=165)0.980.840.76
メジアン追跡期間9.2ヶ月13.7ヶ月23.2ヶ月
*名目値
注:アジア施設組入れ患者のメジアン追跡期間は32.7ヶ月。
出所:会社発表から作成

リンク: プレス・リリース


siRNA薬の重度高TG血症適応拡大試験が成功
(2026年7月22日発表)

米国のArrowhead Pharmaceuticals(Nasdaq:ARWR)はplozasiranが第3相重度高トリグリセライド(TG)血症試験二本で主目的等を達成したと発表した。年内に米国で適応拡大申請する考え。

25年11月に米国で、今年6月にはEUでも、家族性カイロミクロン血症における高TGの治療薬として承認された、肝臓のアポリポ蛋白C-IIIの発現を妨げるGalNAc(N-acetylgalactosamine)結合siRNA薬。一年早く承認されたIonis Pharmaceuticalsのアポリポ蛋白C-IIIアンチセンス薬、Tryngolza(olezarsen)は月一回皮下注だがこちらは3ヶ月毎。あちらは6月に米国で重度高TG血症に適応拡大したが、こちらも今回、第3相のSHASTA-3と4が成功した。12ヶ月の治療でTG値メジアン低下率が各79%と81%となり、偽薬群の27%を有意に上回った。副次的評価項目である急性膵炎リスクのプール分析は、プレス・リリースの記載が曖昧なのではっきりしたことは分からないが、発生リスクのp値は0.0221を下回り、累積発生数は78%少なく、TG値が880mg/dL以上で急性膵炎歴を持つ高リスク患者では一件も発生しなかった。忍容性は良好で、肝臓障害リスクや過敏反応、血小板減少症は見られなかったとのこと。

家族性カイロミクロン血症の米国患者数は3000人、重度高TG血症は300万人と1000倍なので、期待の大型適応拡大案件となる。

リンク: プレス・リリース


ギリアドとMSDの相乗り配合錠、第3相が成功
(2026年7月21日発表)

ギリアド・サイエンシズとMSDは前者のカプシド阻害剤GS-6207(lenacapavir)と後者のヌクレオシド系逆転写酵素トランスロケーション阻害剤MK-8591(islatravir)の合剤を共同開発しており、6月に週一回経口投与用合剤(各剤300mgと2mgを配合)のスイッチ試験二本の成功を公表したが、今回、AIDS 2026学会で発表されるデータを公表した。第3相ISLEND-1はギリアドの3剤合剤Biktarvy(bictegravir、emtricitabine、tenofovir alafenamide)による治療が奏功(HIV-RNAが50コピー/mL未満)している患者607人を組入れてスイッチする群と継続する群の50コピー/mL未満を維持できなくなるリスクを48週の二重盲検で比較したところ、0%対0.3%となった。第3相ISLEND-2は様々な標準療法レジメンによる治療が奏功した患者626人を組入れて同様なリスクをオープン・レーベルで比較したところ、0.3%対1.3%となった。

治療関連有害事象発生率は前者の試験が13.5%対13.2%で大差なかったが、後者は18%対1%未満と、オープン・レーベル試験の欠点が露呈したのか、差が開いた。有害事象による治験離脱率は2%対1.7%と1%対1%未満で、こちらのほうが実態を示しているのだろう。

islatravirは高量を非核酸系逆転写阻害剤ulonivirineと併用した試験でCD4カウントやリンパ球数が2割以上減少するリスクが顕在化し、FDAがクリニカル・ホールドを命じたことがある。その後、一日一回投与量を0.75mgから0.25mgに減らした試験が成功、ジョンソン エンド ジョンソンの非ヌクレオシド逆転写阻害剤doravirineとの合剤が26年に日米でイドビンソ/Idvunso名で承認された。今回の週一回投与の用量も20mgから2mgに大きく減らしており、CD4カウントやリンパ球数の減少は見られなかった。

islatravirは抗HIV薬の研究で大きな役割を果たした日本で誕生、MSDはヤマサ醤油からライセンスした。

リンク: プレス・リリース


サノフィも抗OX40L抗体の承認申請を断念
(2026年7月24日発表)

サノフィは21年にKymab社を11億ドルで買収して入手した抗OX40レガンド抗体、SAR445229(amlitelimab)を26年下期にアトピー性皮膚炎の治療薬として承認申請する計画だったが、2月のCEO交代が影響したのか、開発中止を発表した。日本も参加した第3相試験4本で幾つかの主評価項目と主要副次的評価項目を達成したがフェールもあり、標準療法薬を上回る便益を提供することができないと判断した。

抗原提示細胞などが発現するOX40レガンドが活性化T細胞のOX40に結合して免疫反応を強化するのを妨げる抗体医薬。OX40に結合する抗体も、協和発酵/アムジェンのポテリジェント抗体rocatinlimabが、今回と同様に第3相が成功し承認申請に向かうはずが突如、申請中止となった。共通するのは少数だがカポジ肉腫が報告されたこと。免疫抑制作用が強すぎるのかもしれない。

リンク: プレス・リリース


イプセン、iBAT阻害剤の胆道閉鎖症試験はフェール
(2026年7月24日発表)

イプセンはodevixibatの第3相胆道閉鎖症試験で主目的を達成できなかったと発表した。葛西肝門部肝空腸吻合術手術を受けた生後90日以内の254人を組入れて、120mcg/kgを一日一回、最大104週投与することで転帰向上を図ったが、主評価項目である、肝移植又は死亡に至る期間を延長することができなかった。

本剤は回腸胆汁酸輸送体(iBAT)阻害剤。21年以降、欧米そして日本でも進行性家族性肝内胆汁鬱滞症に伴う掻痒の治療などに承認されている。

リンク: プレス・リリース

【承認申請】


膵管腺腫の革命的新薬を承認申請
(2026年7月22日発表)

米国のRevolution Medicines(Nasdaq:RVMD)はFDAがRMC-6236(daraxonrasib)の承認申請を受理したと発表した。CNPV(FDA前委員長の国家的優先バウチャ)対象案件なので順調なら2ヶ月前後で承認されることになる。

RAS標的薬。活性化したRASは薬が結合できるポケットを持たないためundruggableな標的と考えられてきたが、同社は細胞内のcyclophilin Aに結合・変形させることでRASに結合できるようにした。日本も参加した第3相RASolute 302試験に転移膵管腺腫の二次治療を受ける患者約500人を組入れて、300mgを一日一回経口投与する便益を医師が選んだ化学療法レジメンと比較したところ、中間解析で、主評価項目であるRAS G12変異を持つ459人におけるメジアン生存期間が13.2ヶ月対6.6ヶ月、ハザード・レシオ0.40、p<0.001と成功した。全集団の解析も達成した。

EUでもCHMPが欧州型ローリング承認申請制度である段階的審査手続きを開始している。

daraxonrasibは膵管腺腫の転移癌一次治療や周術期療法後地固め療法、そしてRAS変異型非小細胞性肺癌における第3相試験も進行中。

リンク: プレス・リリース


ファイザー、ターゼナをCSPCに適応拡大申請
(2026年7月22日発表)

ファイザーはPARP阻害剤Talzenna(talazoparib)を相同組換え変異型転移性の去勢抵抗性前立腺癌(CSPC)に適応拡大申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は今年第4四半期としている。日本も参加した第3相TALAPRO-3試験で、同社がアステラス製薬と共同開発販売しているアンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤、Xtandi(enzalutamide)に追加する便益を検討したところ、主評価項目のrPFS(放射線学的無進行生存期間、治験医評価)が偽薬追加群を有意に上回った(ハザード・レシオ0.48、3年rPFS率77%対56%)。副次的評価項目の全生存期間は未だ中間解析段階でハザード・レシオ0.77、p=0.09となっている。EUでも6月に二種変更承認審査が開始された。

リンク: プレス・リリース


ノバルティス、3品の承認申請を公表
(2026年7月21日発表)

ノバルティスは、26年第2四半期決算の発表に合わせて、承認申請状況をアップデートした。

  • KPE179(delpacibart zotadirsen):米国でエクソン44スキップ薬に応答するデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療薬として承認申請した。Avidity Biosciences(Nasdaq:RNA)を企業価値ベースで110億ドルで買収して入手した、抗トランスフェリン受容体1抗体とホスホロジアミデートモルフォリノオリゴ核酸の結合体。
  • Vanrafia(atrasentan):急速進行性原発性免疫グロブリンA腎症に関して、米国で25年の仮承認を本承認に切替るべく申請し、EUでは新薬承認申請した。アッヴィからライセンスしたChinook Therapeuticsを23年に32億ドル+後発価値3億ドルで買収して入手した、経口エンドセリンA受容体拮抗剤。
  • VAY736(ianalumab):欧米日でシェーグレン疾患用薬として新薬承認申請した。EMAは2月に審査を開始と公表している。MorphoSys社との共同研究から生まれた抗BAFF受容体抗体。

リンク: プレス・リリース

【承認審査・委員会】


7月のCHMP結果
(2026年7月24日発表)

EUの薬品審査機関であるEMAの医薬品科学的評価委員会、CHMPは、以下の新薬などの承認に肯定的意見を纏めた。順調なら2~3ヶ月以内にEU全域で承認されることになる。

リンク: EMAのプレス・リリース

米国オハイオ州のLIB TherapeuticsのLyrokaul(lerodalcibep)は成人の原発性高脂血症や混合型脂質異常症の治療薬。PCSK9に結合するアドネクチンにアルブミンを結合して半減期を2週間程度に伸ばしたもので、300mgを月一回、皮下注する(自己注可)。既に薬物治療を受けている患者に追加投与した試験でもLDL-Cが偽薬調整後で5~6割低下した。米国では25年12月にLerochol名で承認。プリフィルド・シリンジだがオート・インジェクターも開発中。

イタリアのMenariniのEvlarco(obicetrapib hemicalcium)とUbeslo(ezetimibeも配合)は成人の高脂血症(ヘテロ接合型家族性または非家族性)や混合型脂質異常症に用いる。obicetrapibは田辺三菱製薬(当時)が2013年にオランダのDezima Pharmaに導出したCETP(cholesteryl ester transfer protein)阻害剤。Dezimaは2019年にアムジェンに買収されたが、複数の他社のCETP阻害剤で安全性懸念が生じたことから、20年にDezimaと同じくアムステル大学Academic Medical Center発のベンチャーであるNewAmsterdam Pharmaに売却された。Menariniは欧州市場の権利を持っている。

ロシュのSusvimo(ranibizumab)は新生血管加齢性黄斑変性の治療薬。ジェネンテック/ノバルティスのLucentisの活性成分である抗VEGF抗体フラグメントを6ヶ月間持続する硝子体内インプラントに仕立て上げたもので、Lucentisなどに応答した患者がスイッチできる。米国では21年に承認されたが、ディバイスと薬剤のコンビネーション薬であるためか、欧州では23年に一旦、申請撤回となった。日本では中外製薬が3月に医療機器部分の承認申請を実施、医薬品部分は年内に完了する考えだ。

ジョンソン エンド ジョンソン・グループのJanssen-Cilag InternationalのIcotyde(icotrokinra)は経口投与用IL-23Rアンタゴニスト。全身性治療が候補になる12歳以上体重40kg以上の中重度尋常性乾癬に用いる。Protagonist Therapeutics(Nasdaq:PTGX)との創薬提携の成果。米国では3月に承認、日本でも承認申請中。

GSKのLynavoy(linerixibat)はiBAT(回腸胆汁酸輸送体)阻害剤。成人の原発性胆汁性胆管炎における胆汁鬱滞性掻痒症に一日二回、経口投与する。米国では3月に承認。GSKは今年3月、Alfasigma社に本剤の世界独占開発製造販売権を供与している。

Minoryx Therapeuticsは22年にNezglyal(leriglitazone)をX染色体性白質ジストロフィーの治療薬として承認申請したがCHMPに支持されず再審でも覆すことができなかった。今回、3度目の正直で例外的環境下承認に関する肯定的意見を獲得した。2~12歳の男子の脳副腎白質ジストロフィー(c-ALD)のうち、脳MRI検査でGd強調病変が見られず、NFS(神経学的機能スコア)が0または1の患者に適応が限定されている。造血幹細胞移植前の患者に投与したNEXUS試験で20人中35%が、最大96週間に亘り、病状の意味のある悪化を示さなかった。武田薬品が創製したPPARガンマ作動剤pioglitazoneの活性代謝物で中枢神経浸透性がある。ドイツのNeuraxpharmaが欧州での販売権を持っている。

塩野義製薬のZokovea(ensitrelvir)はCOVID-19の曝露後予防に用いる3CLプロテアーゼ阻害剤。COVID-19感染者と接触した12歳以上の感染リスク者に、接触後72時間以内に投与を開始する。日本で22年に軽中度COVID-19感染症の治療に特例承認、24年に通常承認された。曝露後予防は今年3月に日本で適応拡大、5月には米国でXocova名で初承認された。

適応拡大等が支持されたのは、

  • 第一三共のEnhertu(trastuzumab deruxtecan):成人のher2陽性進行/転移乳癌の一次治療にロシュの抗2C4抗体Perjeta(pertuzumab)と併用。米国では25年12月に承認、日本でも一変申請中。
  • ノバルティスののPiqray(alpelisib):エビデンスなど詳細が思いつかないが、適応範囲に関する文言が、単剤による内分泌療法歴から内分泌療法ベースのレジメン歴と、米国における文言と同様に変更されるようだ。
  • アムジェンのRepatha(evolocumab):アテローム硬化性心血管疾患に関する適応範囲が、心血管疾患の再発予防に加えて高リスク者の初発予防にも広がる。米国では昨年8月に同様な限定解除が承認された。
  • アッヴィのRinvoq(upadacitinib):2歳以上のDMARDに十分応答しない多関節性若年性特発性関節炎。米国では24年に承認、日本でも申請中。
  • ギリアド・サイエンシズのTrodelvy(sacituzumab govitecan):成人のPD-L1陽性(CPS≧10)の切除不能局所進行/転移トリプル・ネガティブ乳癌で転移後に全身性治療を受けていない場合。MSDのKeytruda(pembrolizumab)と併用する。米国では6月に承認、日本でも適応拡大申請中。
  • バイエルのJivi(damoctocog alfa pegol):内容は未だ公表されていない。

また、26/27年シーズンのCOVID-19ワクチンの配合株をXFG株とすることに肯定的意見をまとめた。対象は、NovavaxのNuvaxovid及びスペインのHipra Human HealthのBimervax(ともに抗原ワクチン)、そして、BioNTech/ファイザーのComirnatyとモデルナのNuvaxovidとSpikevax(何れもmRNAワクチン)

一方、否定的意見となったのは、まず、英国の小児用薬会社Proveca Pharmaが申請したKemSu(sufentanilとketamineの点鼻用合剤)。ketamineを併用する便益が十分に検討されていないことや、18歳未満の適応を想定しているがketamine併用でsufentanilの血中濃度を抑制できるという小児に関するエビデンスがなく有害事象緩和につながるかも明確でないことを指摘した。

次に、米国のZevra Therapeuticsが2歳以上のニーマン・ピック疾患C型(NPC)の治療薬として承認申請したMiplyffa(arimoclomol)。臨床試験データの処理や解析方法、そして歩行や認知機能に関する便益が見られないことに疑義を指摘した。同社が申請したmiglustat同時使用サブグループの数値は良好だが非使用者には効果が見られなかったのでエビデンスが頑強ではないことも指摘。同社は経営破綻したOrphazymeから事業を買収し、米国では24年に承認取得したが、欧州はOrphazyme時代の承認申請と異なった評価を得ることができなかった。

CATS Consultants GmbHが滑膜肉腫や平滑筋肉腫に承認申請したQezzaqar(catequentinib)はVEGFRなどのマルチ・チロシン・キナーゼ阻害剤。中国で複数の癌に承認されているようだ。今回の申請のエビデンスは明らかではないが、CHMPはPFS延長作用が小さく。ORRや全生存期間の改善は見られていないことを指摘した。

適応拡大申請が撤回されたのは2件あり、どちらもサプライズ。アストラゼネカは抗PD-L1抗体Imfinzi(durvalumab)を筋層非浸潤膀胱癌のTURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)後の維持療法としてBCGと併用する適応・用法を申請していたが、CHMPが懐疑的なスタンスであったため、撤回した。第3相POTOMAC試験でDFS(無病生存期間)のハザード・レシオがBCGだけの群比0.68、2年DFS率は87%対82%、全生存は検出力不足だが25年の同社発表によると点推定値は0.80と、良さそうに見えた。しかし、CHMPは、観察された効果の臨床的重要性やデザインに問題があり、便益がリスクを上回るとは言えないと断じた。米国では5月に適応拡大が承認されている。DFSの構成イベントのうち、筋層浸潤膀胱癌や転移癌は減少せず、高リスク筋層非浸潤膀胱癌の再発や死亡が対照群より少なかった。もしかしたら、後者は薬の便益とは無関係、前者は便益としては不十分と見做されたのだろうか?

サノフィはRegeneron Pharmaceuticalsからライセンスした抗IL-4Rアルファ・サブユニット抗体Dupixent(dupilumab)を水疱性類天疱瘡に適応拡大申請していたが撤回した。CHMPは臨床試験で主目的が達成されなかったことや、他の評価項目はデザイン面の制約があり、改善しても穏やかで不確実であることから、懐疑的だった。米国では昨年6月に、日本でも3月に承認されているので意外。改めて米国のレーベルを見ると、主評価項目の持続的疾病完解率のデータが、24年にRegeneronが発表した20%(偽薬群は4%、p=0.0114)ではなく、18.3%(偽薬群は6.1%、差は12.2%で95%信頼区間は-0.8~26.1)と記されている。FDAも主評価項目フェールと判断していたのだ。

【承認】


大塚のADHD新薬が承認
(2026年7月24日発表)

大塚ホールディングスの米国子会社らは、FDAがSimtriyo(centanafadine)を6歳体重20kg以上の小児と成人のADHD(注意欠陥多動性障害)の治療薬として承認したと発表した。DEA(麻薬取締局)の管理物質指定を受けた上で年内に発売する考え。ノルエピネフィリンとドパミン、そしてセロトニンの3種類の神経伝達物質の再取込を阻害する、初めての薬。持続放出錠を一日二回投与した成人患者試験と徐放性カプセル製剤を一日一回投与した小児試験で症状評価尺度や有意に改善した(小児試験は高用量群のみ、また、承認されたのは徐放性カプセル製剤)。17年にNeurovanceを1億ドル+達成報奨金1.5億ドルで買収して入手した。

リンク: プレス・リリース(米国サイト、英文)


硝子体注射用ベバシズマブが承認
(2026年7月24日発表)

Outlook Therapeutics(Nasdaq:OTLK)はFDAがLytenava(bevacizumab-vikg)を新生血管加齢性黄斑変性(hAMD)の治療薬として承認したと発表した。1.25mgを月一回、硝子体注射する。年内に発売する考え。

この活性成分はジェネンテック/ロシュが抗癌剤用途で実用化したが、米国ではオフレーベルでhAMDの治療に用いられている。腫瘍学用途より少量で足りるため、一回分の薬代が50~60ドルと激安と報じられている。今回、正式承認された製品が生まれたことは色々な意味で朗報だが、先に承認された英国では定価が625ドル相当とのことなので、価格は跳ね上がることになる。ジェネンテック/ノバルティスの抗VEGF抗体フラグメント、Lucentis(ranibizumab)よりは全然安いとのアピールが受け入れられるか、see what happenだ。

リンク: プレス・リリース


GSK、買収合意したばかりの企業のROS1阻害剤が承認
(2026年7月22日発表)

GSKは、FDAがJideytro(zidesamtinib)を成人のROS1(receptor tyrosine kinase c-ros oncogene 1) 変異を持つ局所進行/転移非小細胞性肺癌に承認したと発表した。ROS阻害剤で、この種の薬を既に使ってしまった患者に100mgを一日一回経口投与する。最初の臨床試験であるARROS-1試験でORR(客観的反応率、盲検独立中央評価、n=117)が44%、12ヶ月反応持続率は69%だった。ROS1阻害剤歴のないサブグループにも良好なORRを示しており、年内に適応拡大申請する考え。

6月にエクイティ・バリュー106億ドルで買収合意した、Nuvalent(Nasdaq:NUVL)の開発品。ROS1阻害剤誘導性変異であるG2032R置換型や脳転移にも有効という特徴を持つ。審査期限の9月18日よりだいぶ早くゴールインした。

リンク: プレス・リリース

【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】


PDUFA
26下ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV/AIDS)
26/7推Intra-Cellular TherapeuticsのCaplyta(lumateperon、統合失調症増悪予防)
26/7推武田薬品のrusfertide(真性多血症)
26/8推Priovant Therapeuticsのbrepocitinib(皮膚筋炎)
26/8推武田薬品のTAK-861(oveporexton、ナルコレプシータイプ1)
26/8推Regeneron PharmaceuticalsのREGN2477(garetosmab、進行性骨化性線維異形成症)
26/8推JNJのImaavy(nipocalimab-aahu、温式自己免疫性溶血性貧血)
26/8推アストラゼネカのAZD9833(camizestrant、ESR1変異乳癌)
26/8/2ReplimuneのRP1(vusolimogene oderparepvec、進行黒色腫)
26/8/5モデルナのmRNA-1010(季節性インフルエンザ・ワクチン)
26/8/13LantheusのMK-6240(MCIにおけるtau NFTのPET検査)
26/8/17BMSのiberdomide(多発骨髄腫)
26/8/17Mandos LLCのVTS-270(adrabetadex、幼児発症型ニーマン・ピック病C型)
26/8/22Capricor TherapeuticsのCAP-1002(deramiocel、DMD)
26/8/23Ultragenyx PharmaceuticalのDTX401(pariglasgene brecaparvovec、糖原病Ia型)
26/8/25Jazz PharmaceuticalsのZiihera(zanidatamab-hrii、her2陽性胃、胃食道接合部、胃食道腺腫)
26/8/25BeOne MedicinesのTevimbra(tislelizumab、her2陽性胃、胃食道接合部、胃食道腺腫)
26/8/27ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV)
26/8/28ITMのITM-11(177Lu-edotreotide、胃腸膵神経内分泌腫瘍)
26/8/30ファーマエッセンシアのBesremi(ropeginterferonalfa-2b-njft、本源性血小板血症追加)
26/9推アッヴィのtavapadon(パーキンソン病)
26/9推ノボ ノルディスクのNN7769(denecimig、A型血友病)
26/9推ノバルティスのRhapsido(remibrutinib、皮膚描記型慢性刺激性蕁麻疹適応拡大)
26/9/11TelixのTLX101-Px(foretyrosine F 18、神経膠腫造影剤)
26/9/19UltragenyxのUX111(rebisufligene etisparvovec、サンフィリッポ症候群A型)
26/9/21Winrevair(sotatercept-csrk、診断1年以内の肺動脈高血圧症のHYPERION試験成績)
26/9/22Ionis PharmaceuticalsのION373(zilganersen、アレキサンダー病)
26/9/26IncyteのINCB000928(zlurgisertib、進行性骨化性線維異形成症)
26/9/27Elevar Therapeuticsのlirafugratinib(FGFR2融合/再編成胆道癌)
26/9/28Egetis TherapeuticsのEmcitate(tiratricol、MCT8欠乏症)
26/9/30BMSのCamzyos(mavacamten、12-17歳の症候性oHCMに適応年齢拡大)
26/9/30Scholar RockのSRK-015(apitegromab、脊髄筋萎縮症)
諮問委員会
26/7/29CTGTAC:Capricorのderamiocel(デュシェンヌ型筋ジストロフィーにおける心筋症の治療)
26/7/30CTGTAC:ReplimuneのRP1(vusolimogene oderparepvec、黒色腫)


今週は以上です。

第1268回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • シングリックスが疫学研究でまた認知症減少と関連 
  • キイトルーダのdMMR内膜腫一次治療試験が成功 
  • ハイヤスタのグローバル黒色腫試験が成功 
  • バイオジェン、タウ発現阻害薬を第3相へ 
  • イプセン、IqirvoのALP高めPBC試験が成功 
  • GSK、抗PD-1抗体の直腸癌試験が成功 
  • GSKのP2X3受容体アンタゴニストも便益は限定的 
  • ガザイバを膜性腎症に適応拡大申請 
  • BMS、CELMod第2弾を米国でも承認申請 
  • 遅報:Cogent社、c-KIT阻害剤を進行性の肥満細胞症にも承認申請 
  • ファビハルタのIgAN適応が米国で本承認 
  • MSDの経口PCSK9阻害剤がいきなり承認 
  • レットヴィモの加速承認が本承認に切替 
  • PAM阻害剤が乳癌に承認 
  • レケンビの最初から皮下注が承認 
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【今週の話題】


シングリックスが疫学研究でまた認知症減少と関連
(2026年6月16日発表)

GSKの帯状疱疹ワクチン、Shingrixに関しては、複数の疫学試験で認知症減少との関連性が示唆されている。今回、米国における疫学試験でも2~3割のリスク低下が見られた。GSKは今年、前向き介入的試験を開始しており、30年頃にどのような結果が出るか、注目される。

Shingrixは帯状疱疹ウイルスの糖蛋白E抗原とAS01Bアジュバントからなる遺伝子組換えワクチン。17~18年に米日欧で承認された。今回、Annal of Internal Medicine誌にブラウン大学が主導した大規模疫学研究の成果が掲載された。2017~22年に米国の介護施設5500施設に短期/長期入所した66歳以上のメディケア加入者509926人の医療記録を元に、Shingrixを一回以上(正式用法は2~6ヶ月おいて二回)接種した8843人とそれ以外の認知症診断リスクを比較したところ、リスク比は0.76だった(95%信頼区間0.69-0.84)。4年間の推定発症率は前者が18.8%、後者は24.6%だった。接種群のほうが年齢が若く健康状態が良いことを修正してもリスクが小さかった。

3月にロンチされたGSKの第4相300889試験は、フィンランドで76歳以上の認知症などを発症していない33609人を2回接種群と偽薬接種群に3対1割付けして最長10年追跡し、一回目接種後の認知症診断リスクを比較する。副次的評価項目は2回目接種の1ヶ月後以降の認知症診断リスクと、一回目接種後のアルツハイマー病診断リスク。

疫学研究は、接種している人のほうが健康意識が高く食生活や運動習慣、交友・社会参加が活発かもしれないことを十分に調整できているとは限らない。逆に、接種している人のほうが病気を恐れる理由を持っているのかもしれない。疫学研究に付き物の不確実性を考えると、24%という便益にどの程度感嘆すべきなのか、よく分からない。無作為化割付け前向き介入試験で再現されるか、注目される。

リンク: Hayesらの疫学論文抄録(Annals of Internal Medicine)
リンク: GSKの300889試験概要(ClinicalTrials.gov)

【新薬開発】


キイトルーダのdMMR内膜腫一次治療試験が成功
(2026年7月15日発表)

MSDはKeytruda(pembrolizumab)が第3相KeyNote-C93試験で主目的の一つを達成したと発表した。全身性化学療法未施行の、または、術後アジュバント療法完了後6ヶ月以内に再発した、dMMR(ミスマッチ修復機能不全)のある進行/再発内膜腫299人を組入れて、400mgを6週毎、最大18サイクル施行する便益をpaclitaxelとcarboplatinの併用を3週毎に最大6回サイクル施行する群と比較したもので、PFS(無進行生存期間、独立中央評価)を達成した。共同主評価項目の全生存期間は未成熟だが中間解析で改善する傾向が見られたとのこと。データは未発表。

抗PD-(L)1抗体はdMMR/MSI-H(高頻度マイクロサテライト不安定性)を持つ様々な腫瘍に承認されている。Keytrudaの場合、内膜腫では進行/再発内膜腫全般にpaclitaxelとcarboplatin併用・単剤維持療法と、全身性治療後に進行し治癒的切除/放射線療法が適応にならない内膜腫に、dMMR/MSI-Hの場合は単剤またはエーザイのVEGFR阻害剤Lenvima(lenvatinib)と併用、それ以外はLenvima併用だけが、米国で承認されている。

リンク: プレス・リリース


ハイヤスタのグローバル黒色腫試験が成功
(2026年7月14日発表)

中国系製薬会社HUYABIO Internationalは、HBI-8000が第3相進行黒色腫試験で主目的のPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)を達成したと発表した。別適応症で承認されている中国や日本を含めて、適応拡大/新薬承認申請に向かうのではないか。

ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤。15年に中国で再発/難治末梢T細胞リンパ腫に承認され、21年には日本で再発/難治T細胞白血病リンパ腫に承認されMeiji Seikaファルマにより販売されている。HUYABIOはPD-L1の核内移行を制御する作用に注目、今回の日本も参加した303試験では、PD-L1陽性で進行後の治療をまだ受けていない患者404人を組入れて、nivolumabに加えて30mgを二週毎に経口投与する便益をnivolumab・偽薬併用群と比較した。PFSのメジアン値は各群11.7ヶ月と7.4ヶ月、ハザード・レシオは0.42と、統計的に有意且つ臨床的に意味のある改善を達成した(p値は未発表)。

リンク: プレス・リリース


バイオジェン、タウ発現阻害薬を第3相へ
(2026年7月14日発表)

バイオジェンは5月にBIIB080(diranersen)を第3相にステージアップすると発表したが、根拠となる第2相試験の成績をAAIC(アルツハイマー病協会国際学会)で発表した。主評価項目の用量反応相関は見られなかったが、60mgを24週毎投与した群が抗アミロイド・ベータ抗体並みの進行緩徐化作用を示した。一部報道によると、第3相の用量はまだ確定していないようだ。

微小関連タウ蛋白を標的とするアンチセンス薬。抗体医薬と異なり、細胞内のタウも抑制できることが長所だが、くも膜下投与が必要。創薬提携先のIonis Pharmaceuticals(Nasdaq:IONS)から19年に世界開発商業化権を取得したもの。

今回の日本も参加したCELIA試験は、50~80歳のMCI(軽度認知障害)と軽度アルツハイマー病の患者416人を組入れて、3種類の用量用法を偽薬と比較した。被験者の69%がApoE4型(23%はホモ接合型)だった。結果は、最低用量である60mg24週毎投与群の76週CDR-SBの悪化が偽薬比26%小さかった。ADAS-Cog13で見ても42%小さかった。何れも、p値は名目値だが有意水準だった。一方、115mgを24週毎あるいは12週毎投与した群の進行抑制作用はもっと小さかった。

主な有害事象は施術関連痛や腰椎穿刺後症候群、錯乱状態(点滴後数日内に発生し、症状は軽中度で1週程度で軽快した患者が多かった由)など。

図表:BIIB080の進行抑制効果

60mg 24週毎115mg24週毎115mg12週毎
CDR-SB26%14%9%
ADAS-Cog1342%32%%29%
注:数値は偽薬比進行抑制率
出所:バイオジェン

リンク: プレス・リリース


イプセン、IqirvoのALP高めPBC試験が成功
(2026年7月13日発表)

イプセンはIqirvo(elafibranor)が後期第3相ELSPIRE試験で主目的の第52週ALP(アルカリフォスファターゼ)正常化達成化率を達成したと発表した。ALP値がやや高めの患者にも有効であることが明らかになった。

GenfitからライセンスしたPPARアルファ/デルタ作動剤。成人のPBC(原発性胆汁性胆管炎)の治療薬として24年に米欧で加速承認/条件付き承認された。エビデンスとなった第3相ELATIVE試験はALPが正常値の1.67倍以上の患者を組入れたが、今回の試験は、1倍以上1.67倍未満が対象。ELATIVE試験と同様に、標準療法薬であるUDCA(ウルソデオキシコール酸)に不十分応答には80mgを一日一回追加投与、不耐には単剤投与した。結果は、試験薬群が85%、偽薬群は23%と臨床的にも意味のある差があった。

欧米とも適応が1.67倍以上に限定されている訳ではないが、1.67倍を超える前に早期に治療を開始したい医師や患者にとっては重要なエビデンスになりそうだ。

尚、Iqirvoは本承認切替を狙い第3相臨床的アウトカム試験、ELFIDENCE(CLIN-60190-454試験)が進行中で、29年ごろに結果が出る見込み。

リンク: プレス・リリース


GSK、抗PD-1抗体の直腸癌試験が成功
(2026年7月13日発表)

GSKはJemperli(dostarlimab-gxly)が第2相直腸癌試験で主目的を達成したと発表した。承認申請に向かう考え。

Jemperliは19年に買収したTesaroが14年にAnaptysBio(Nasdaq:ANAB)からライセンスした抗PD-1抗体。21年以降、米欧である種の内膜腫などに承認されている。今回の日本も参加したAZUR-1試験は、ステージII/IIIのdMMR(ミスマッチ修復不全)/MSI-H(高マイクロサテライト不安定性)のある直腸癌154人を組入れた単群試験。半年間に9サイクルの単剤投与を施行したところ、中間解析で主評価項目のcCR12(12ヶ月持続的臨床的完全反応率、独立中央評価)を達成した。数値や成功認定の閾値等は記されていない。

22年のASCO(米国臨床腫瘍学会)で発表された別の第2相試験では、dMMR直腸癌14人に投与したところ、全員がcCR12を達成した。FDAは23年2月にODAC(腫瘍学諮問委員会)を招集し、この試験を題材にcCR12をサロゲート・マーカーとして加速承認する当否を尋ねたところ、延命効果との相関性は確立していないものの、13人中8人が単群試験でも薬効のエビデンスとして認めるべきと前向きに評価した。但し、賛成者の間でも追跡期間を3年とかもっと長く設定すべきなどの注文があった。

FDAは25年11月にJemperliにCNPV(FDA委員長の国家的優先バウチャ)を供与した。適応は直腸癌としか開示されていないが、おそらく、今回のものだろう。dMMR/MSI-H型は結腸癌の5-10%と、決して多くはないが、新規サロゲート・マーカーとして高く評価されていることがわかる。

リンク: プレス・リリース


GSKのP2X3受容体アンタゴニストも便益は限定的
(2026年7月17日発表)

GSKはcamlipixantの第3相難治性慢性咳嗽試験の結果を公表した。一勝一敗だが全体的に便益が小さく、これ以上の開発は中止する。P2X3受容体アンタゴニストのこの疾患における開発成績は、MSDのLyfnua(gefapixant)が22~23年に日欧で承認されたが米国では承認されず、塩野義製薬のS-600918(sivopixant)やバイエルのBAY1817080(eliapixant)は後期第2相で十分な効果が見られず中止。GSKは、Lyfnuaより選択性が高く咳の抑制作用で上回り味覚異常の有害事象発生率で下回る可能性に期待して、23年にBellus Healthを20億ドルで買収して入手した。しかし、第3相CALM-1試験とCALM-2試験の結果は、50mg一日二回投与群の咳頻度は一本では偽薬を有意に下回ったがもう一本はフェール、25mg一日二回群はどちらもフェール、副次的評価項目の成績も目標ほどではなかったようだ。

リンク: プレス・リリース

【承認申請】


ガザイバを膜性腎症に適応拡大申請
(2026年7月15日発表)

ロシュは米国で抗CD20抗体Gazyva(obinutuzumab)を原発性膜性腎症(pMN)に適応拡大申請し受理されたと発表した。この疾患の初の治療薬になる可能性がある。審査期限は未公表。欧州でも6月にEMA(欧州薬品庁)が二種変更の審査を開始した。

pMNは糸球体基底膜に免疫複合体が沈着し肥厚させる希少疾患。罹患者数は米国で9.6万人、EUで8.8万人と推定されている。ロシュは第3相MAJESTY試験に142人を組入れて2年間治療したところ、完解率が37%とtacrolimus群の6%を有意に上回った。完解の定義はuPCR(尿蛋白クレアチニン比)が0.3以下、かつ、eGFR(推定糸球体濾過量)が安定的であること。

リンク: プレス・リリース


BMS、CELMod第2弾を米国でも承認申請
(2026年7月13日発表)

ブリストル マイヤーズ スクイブはCC-92480(mezigdomide)を米国で再発/難治多発骨髄腫用薬として承認申請し受理された。審査期限は27年5月13日。同社がCELMod(セレブロンE3リガーゼ・モジュレータ)と呼ぶ一連の小分子経口剤の一つで、セレブロンに結合して転写因子を零落させ、腫瘍細胞の増殖抑制・アポトーシス誘導や免疫賦活を齎す。日本も含む施設でlenalodomideと抗CD38抗体による治療歴を持ち最終治療抵抗性の患者を組入れた第3相SUCCESSOR-2試験で、Kyprolis(carfilzomib)及びdexamethasoneと併用するMeziKdレジメンのPFS(無進行生存期間)を併用しないKdレジメンと比較したところ、中間解析でハザード・レシオが0.48、p<0.0001となった。メジアン値は各群18ヶ月と8.3ヶ月。全生存期間の解析は未成熟。治療時発現有害事象がG3/4のものは各群83%と56%で発生、G5は3%(8人)と1%(1人)だった。日本でも6月に承認申請が受理された。

同社は別のCELMoDであるCC-220(iberdomide)も2月に承認申請している。JNJ/ジェンマブの抗CD38抗体Darzalex(daratumumab)及びdexamethasoneと併用するレジメンで、第3相EXCALIBER-RRMM試験でVelcade(bortezomib)をこの2剤と併用する代表的なレジメンとMRD(微小残存病変陰転率)を比較したものがエビデンス。

リンク: プレス・リリース


遅報:Cogent社、c-KIT阻害剤を進行性の肥満細胞症にも承認申請
(2026年6月30日発表)

Cogent Biosciences(Nasdaq:COGT)はCGT9486(bezuclastinib)を複数の用途で並行的に開発しているが、進行性全身性肥満細胞症にも承認申請した。81人の患者に投与したAPEX試験の第2部で、ORR(客観的反応率:部分反応以上)が49%だった。

昨年12月の初承認申請は非進行性の全身性肥満細胞症に関するもので、審査期限は今年12月30日。次の申請はimatinib歴のある消化管間質腫瘍で、優先審査を受けるため審査期限は11月30日。今回は3番目の目標適応症となる。

Plexxikon社(2012年に第一三共が買収)から2011年にライセンスしたc-KIT阻害剤。Unim Therapeuticsと合併して逆上場し、2020年に現社名に社名変更した。

リンク: プレス・リリース

【承認】


ファビハルタのIgAN適応が米国で本承認
(2026年7月17日発表)

ノバルティスは、FDAがFabhalta(iptacopan)の成人原発性IgA腎症における適応を本承認したと発表した。24年に第3相APPLAUSE-IgAN試験の第9月UPCR(尿蛋白クレアチニン比)という代理マーカーに基づいて加速承認されたが、同試験の24ヶ月eGFR(推算糸球体濾過率)解析で臨床的便益が確認されたため、本承認切替が実現した。試験薬群は年率で30.mL/分/1.73m2低下に留まり、偽薬群の5.7mL/分/1.73m2低下より有意に小さかった。

Fabhaltaは経口可逆的B因子阻害剤。米欧日で発作性夜間ヘモグロビン尿症やC3腎症に承認されているが、IgA腎症は米国だけ。

リンク: プレス・リリース


MSDの経口PCSK9阻害剤がいきなり承認
(2026年7月16日発表)

FDAはMSDのLipfendra(enlicitide)を成人の高脂血症(ヘテロ接合性家族性高脂血症を含む)におけるLDL-C治療薬として承認した。20mgを一日一回、経口投与する。LDL-C受容体の零落に関わるPCSK9(proprotein convertase subtilisin/kexin type 9)を標的とする薬はRegeneron Pharmaceuticals/サノフィのPraluent(alirocumab)など複数あるが、経口剤は初めて。生物学的利用率は1%と低く、食事の30分以上前に服用する。食後8時間以上経ってから服用、と一部で報じられているが、レーベルには記されていない。

アテローム硬化性心血管疾患を合併、または高リスクの患者(多くはスタチンなどを同時使用)を組入れた第3相試験では24週間の治療でLDL-C値がベースライン値(96mg/dL)から偽薬調整後で56%低下した。ヘテロ接合性家族性高脂血症の第3相ではベースライン値(119mg/dL)が同59%低下した。心血管イベントを抑制する作用は日本も参加しているCORALreef Outcome試験で検討しており2029年ごろに結果判明する見込み。

有害事象は前者の試験では偽薬群並み、後者では下痢や眩暈の発生率がやや高かった。一部報道によると、問屋取得価格は静注用PCSK9阻害剤の半値水準に設定される模様。

欧州ではEMA(欧州薬品庁)が3月26日に承認審査を開始したが、米国は、少なくとも当方は、申請していたとは知らなかった。数年前に、超大型薬を狙い撃ちで価格を引き下げる制度に対応するため発売を遅らせることを検討、と報じられたこともあり、欧米同時申請とは限らないと想像していた。承認通知によると申請は6月22日なので、24日後に承認されたことになり、CNPV(FDA前委員長の国家的優先バウチャ)案件の中では最速と推測される。

リンク: プレス・リリース


レットヴィモの加速承認が本承認に切替
(2026年7月14日発表)

FDAはイーライリリーのRetevmo(selpercatinib)のRET融合陽性局所進行/転移固形癌における加速承認を本承認に切替えたと発表した。従来同様に、全身治療に不応、再発、または満足のいく代替的治療法が無い場合に適応になる。22年の加速承認時のエビデンスは、LIBRETTO-001試験の該当41人におけるORR(客観的反応率、盲検独立中央評価)が44%、メジアン反応持続期間は24.5ヶ月というものだったが、今回、75人において47%、24.5ヶ月にアップデートされた。

Loxo Oncologyを買収して入手したRET阻害剤。他に、RET融合変異のある、局所進行/転移非小細胞性肺癌、進行/転移甲状腺髄様腫、放射性ヨード抵抗性甲状腺癌に承認されている。

リンク: プレス・リリース


PAM阻害剤が乳癌に承認
(2026年7月14日発表)

FDAは、米国ミネアポリス州の新興製薬会社、Celcuity(Nasdaq:CELC)のRevtorpyk(gedatolisib)を局所進行/転移乳癌用薬として承認した。成人のホルモン受容体陽性、her2陰性、PIK3CA変異陰性の乳癌で、局所進行/転移後に内分泌療法薬による一次以上の治療を受けたが進行した患者に、fulvestrant(palbociclibを追加可)と併用で180mgを28日サイクルで第1日、8日、15日に30分点滴静注する。第3相VIKTORIA-1試験のPIK3CA野生型コフォートで、3剤併用群のPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)がメジアン9.3ヶ月とfulvestrantだけの群の2.0ヶ月を上回り、ハザード・レシオは0.24だった。2剤併用群は7.4ヶ月、偽薬比ハザード・レシオは0.33。副次的評価項目である全生存期間の解析は未成熟。警告注意は口内炎、皮膚有害事象、高血糖、胚胎毒性。

21年にファイザーからライセンスした、PAM(PI3K/Akt/mTOR)経路の入り口と出口に作用する小分子薬。上記試験のPIK3CAに変異のある患者を組入れたコフォートも2剤併用、3剤併用ともPFS延長に成功しており、適応拡大申請の予定。欧州は26年第4四半期に承認申請する予定で、販売はアウトライセンスする考えのようだ。

リンク: プレス・リリース


レケンビの最初から皮下注が承認
(2026年7月13日発表)

FDAはエーザイの軽度認知障害/早期アルツハイマー病用薬Leqembi(lecanemab-irmb)の皮下注用製剤を、治療開始時から使うことを承認した。このLeqembi IQLIKは25年8月に承認されたが、適応は静注点滴用製剤による治療を18ヶ月以上受けた患者に限定されていた。今回の承認で、治療開始時から自己注または介護者投与が可能になった(おそらく初回は医療施設で施行するのだろうが)。エビデンスは静注用薬との生物学的同等性と、アミロイド・プラクの減少が同程度であったこと。

リンク: プレス・リリース

【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】



PDUFA
26下ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV/AIDS)
26/7推Intra-Cellular TherapeuticsのCaplyta(lumateperon、統合失調症増悪予防)
26/7推武田薬品のrusfertide(真性多血症)
26/7/24大塚製薬のcentanafadine(ADHD)
26/8推Priovant Therapeuticsのbrepocitinib(皮膚筋炎)
26/8推武田薬品のTAK-861(oveporexton、ナルコレプシータイプ1)
26/8推Regeneron PharmaceuticalsのREGN2477(garetosmab、進行性骨化性線維異形成症)
26/8推JNJのImaavy(nipocalimab-aahu、温式自己免疫性溶血性貧血)
26/8推アストラゼネカのAZD9833(camizestrant、ESR1変異乳癌)
26/8/2ReplimuneのRP1(vusolimogene oderparepvec、進行黒色腫)
26/8/5モデルナのmRNA-1010(季節性インフルエンザ・ワクチン)
26/8/13LantheusのMK-6240(MCIにおけるtau NFTのPET検査)
26/8/17BMSのiberdomide(多発骨髄腫)
26/8/17Mandos LLCのVTS-270(adrabetadex、幼児発症型ニーマン・ピック病C型)
26/8/22Capricor TherapeuticsのCAP-1002(deramiocel、DMD)
26/8/23Ultragenyx PharmaceuticalのDTX401(pariglasgene brecaparvovec、糖原病Ia型)
26/8/25Jazz PharmaceuticalsのZiihera(zanidatamab-hrii、her2陽性胃、胃食道接合部、胃食道腺腫)
26/8/25BeOne MedicinesのTevimbra(tislelizumab、her2陽性胃、胃食道接合部、胃食道腺腫)
26/8/27ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV)
26/8/28ITMのITM-11(177Lu-edotreotide、胃腸膵神経内分泌腫瘍)
26/8/30ファーマエッセンシアのBesremi(ropeginterferonalfa-2b-njft、本源性血小板血症追加)
諮問委員会
26/7/23-24薬局調剤諮問委員会(PCAC):7種類のペプチド薬について薬局調剤を合法化する件
26/7/29CTGTAC:Capricorのderamiocel(デュシェンヌ型筋ジストロフィーにおける心筋症の治療)
26/7/30CTGTAC:ReplimuneのRP1(vusolimogene oderparepvec、黒色腫)


今週は以上です。

2026年7月11日

第1267回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • 承認から16年経ったデュピュイトラン拘縮用薬の適応拡大試験が成功 
  • アストラゼネカ、TTRアンチセンス薬の心筋症適応拡大試験がフェール 
  • BMS、フェールした市販後薬効確認試験の成績を学会発表 
  • ピルビン酸脱水素酵素複合体欠乏症用薬を再承認申請 
  • Pharvaris、HAE治療薬を承認申請 
  • Revolution Medicinesの膵臓癌用薬、EUも段階的審査開始 
  • 恒瑞とElevar、新薬二剤併用の承認申請がまた審査完了 
  • 肝MRI造影剤も審査完了に 
  • パドセブ・キイトルーダのMIBC周術期療法が承認 
  • サークリサ皮下注が承認 
  • TACI-Igが遂に承認 
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【新薬開発】


承認から16年経ったデュピュイトラン拘縮用薬の適応拡大試験が成功
(2026年7月8日発表)

ダブリン籍の未上場製薬会社、Keenova Therapeuticsは、Xiaflex(collagenase clostridium histolyticum)が第3相足底線維腫症試験で主目的等を達成したと発表した。26年第4四半期に米国で適応拡大申請する考え。承認が見込まれる28年時点で、米国では30万人が治療を求めると推測している。

436人の患者を組入れて1回(28日後にもう一回も可)投与し、疼痛緩和作用を偽薬と比較した。数値は未公表だが、統計的に有意且つ臨床的に意味のある差があった由。次解析順位の機能尺度(Foot Function Index)も達成した。安全性は承認用途の試験と同様だった。

クロストリジウムヒストリチクス菌由来のコラゲナーゼ。2010年に米国でAuxilium Pharmacueiticalsがデュピュイトラン拘縮(掌などの結合組織にコラーゲンが蓄積)の注射用治療薬として承認を取得、2013年にはペニスに蓄積するペイロニー病にも承認された。同社は2015年にEndo Internationalに買収されたが、Endoは米国のオピオイド訴訟で巨額の和解金を課せられたことからチャプター11(会社更生)申請に至り、同様な状況にあったMallinckrodtと25年に合併、両社のブランド薬部門をKeenova Therapeuticsとしてスピンアウトした。26年に株式公開する考えだったが、どうなっただろうか?

リンク: プレス・リリース


アストラゼネカ、TTRアンチセンス薬の心筋症適応拡大試験がフェール
(2026年7月9日発表)

アストラゼネカはトランスサイレチンのmRNAを標的とするアンチセンス薬、Wainua(欧州ではWainzua、eplontersen)の第3相ATTR心筋症試験がフェールしたと発表した。

Ionis Pharmaceuticals(Nasdaq:IONS)から共同開発販売権を取得し23年に米国で、25年にはEUでも、遺伝性トランスサイレチン調停アミロイドーシスの成人におけるポリニューロパチーの治療薬として承認を取得した。今回のCARDIO-TTRansform試験は遺伝性以外も含むトランスサイレチン調停アミロイドーシスの成人における心筋症の転帰改善を図った。TTRに結合し構造を安定化させるタイプの標準療法薬(tafamidisなど)を併用可能だったためか、主評価項目の心血管死または再発性心血管イベント(心不全増悪や心筋梗塞などによる入院など)が解析計画の前提ほど発生せず、当初計画の750人を上回る1432人を組入れ、追跡期間も120週から140週に延長するプロトコル変更を行った経緯がある。

本試験では被験者の57%がベースライン時点でTTR安定化剤を使用しており、期中には更に24%が開始した。ベースライン時点で用いていた患者では効果が見られなかったが、不使用者では名目上有意な改善が見られたようだ。詳細は8月のESC(欧州心臓学会)で発表する予定。

似たような作用機序の薬であるアムジェンのRNA干渉薬、Onpattro(patisiran)はニューロパチー承認後に実施された360人規模の心筋症試験、APOLLO-Bで主評価項目の6メートル歩行テストが成功したが、治療効果が小さいとして承認されなかった。一方、薬物動態向上版である同社のAmvuttra(vutrisiran)は600人規模の第3相HELIOS-B試験で全死亡/再発性心血管イベントの抑制に成功、25年に米日欧で適応拡大が承認された。この試験ではtafamidis使用者でも効果が見られた模様だ。

リンク: プレス・リリース
リンク: CARDIO-TTRansform試験デザイン・ペーパー(Masriら、Circulation: Heart Failure)


BMS、フェールした市販後薬効確認試験の成績を学会発表
(2026年7月3日発表)

ブリストル マイヤーズ スクイブは、ESMO(欧州臨床腫瘍学会)でKrazati(adagrasib)の結腸直腸癌における市販後薬効確認試験の結果を発表した。一部で報じられていた通り、標準療法を上回る成果を上げることはできなかった。

Krazatiは24年に買収したMirati Therapeuticsが開発したKRAS-G12C阻害剤。22年以降、米国とEUで治療歴のあるKRAS-G12C変異型局所進行/転移非小細胞性肺癌用薬として加速承認/条件付き承認され、24年に市販後薬効確認試験も成功した。米国では24年に成人のoxaliplatinベース及びirinotecanベース化学療法歴のあるKRAS-G12C変異型局所進行/転移結腸直腸癌にcetuximab併用も加速承認された。今回の第3相は、oxaliplatinまたはirinotecanを5-FUなどと併用する標準的一次治療歴を持つ患者461人を組入れて、600mg一日二回経口投与とcetuximabの併用レジメンを、irinotecanまたはoxaliplatinを5-FUなどと併用する標準療法と比較した。主評価項目のうち、全生存期間はハザード・レシオ0.83、p=0.09とフェールした。メジアン値は21.6ヶ月対21.7ヶ月でほんの少し短かった。共同主評価項目のPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)も各0.89、7.5ヶ月、8.1ヶ月でフェールした。

G3以上の治療時発現有害事象が各群46%と55%で発生した。

有意差が得られなかった理由について、会社側は、オープン・レーベル試験であるためにノイズが発生したり、対照群が進行後に他のKRAS阻害剤にスイッチしたりしたことが影響した可能性を指摘しているようだ。まあ、どんな負けでも負けは負け。当局と、新たな市販後薬効確認試験のデザインを協議することになりそうだ。

リンク: ESMOアブストラクト(7/3 Proffered Paperセッション分、LBA1参照)

【承認申請】


ピルビン酸脱水素酵素複合体欠乏症用薬を再承認申請
(2026年7月7日発表)

ダブリンとバミューダの未上場便宜置籍企業、Saol Therapeuticsは、SL1009(sodium dichloroacetate)をピルビン酸脱水素酵素複合体欠乏症(PDCD)用薬としてFDAに再承認申請したと発表した。24年12月に承認申請し、25年8月に審査完了通知を受領したが、改めて臨床試験を実施するのは数年かかり現実的ではないとのアピールが奏功したらしく、自然歴対照全生存期間分析などを追加提出し審査してもらうことが受け入れられたとのことだ。

PDCDは炭水化物の酸化障害を齎す超希少ミトコンドリア疾患。神経系や筋骨格系などに影響し、命に係わる先天性乳酸アシドーシスのリスクもあるようだ。米国では300~500人が専門治療を受けている。同社は生後6ヶ月から17歳の34人を組入れて、Medosome Biotec社のGSTZ1(glutathione S-transferase Zeta-1)遺伝子検査に基づき用量を決定する第3相クロスオーバー試験を実施して臨床的転帰を検討したが、フェールした。このため、少なくとも一巡目は、承認されなくても無理はなかった。

リンク: プレス・リリース


Pharvaris、HAE治療薬を承認申請
(2026年7月6日発表)

スイスのPharvaris(Nasdaq:PHVS)は米国でdeucrictibantをHAE(遺伝性血管浮腫)のオン・ディマンド治療薬として承認申請し受理された。審査期限は27年4月23日。

Bradykinin B2受容体拮抗剤。即放性経口カプセルと持効性錠を雁行的に開発しているが、まず前者の承認を狙う。日本も参加した第3相RAPIDe-3試験に12歳以上の患者134人(23%が武田薬品の抗血漿カリクレイン抗体Takhzyro(lanadelumab)などで発作予防)を組入れて、発作時に20mgまたは偽薬を服用させたところ、症状緩和までの時間がメジアン1.28時間と、偽薬群(12時間の追跡でもメジアン値未到達)を大きく下回った。薬物関連治療時発現有害事象が各群5%と1%で発生した。

詳細は不明だがFDAにクリニカル・ホールドを命じられ、26週齧歯類毒性試験を実施して23年にホールド解除された経緯がある。

リンク: プレス・リリース


Revolution Medicinesの膵臓癌用薬、EUも段階的審査開始
(2026年7月7日発表)

EMA(欧州薬品庁)は、CHMP(医薬品委員会)がRevolution Medicines(Nasdaq:RVMD)のRMC-6236(daraxonrasib)の段階的承認審査(phased review)を開始したと発表した。新たに法制化されたもので、米国におけるローリング承認申請と同様に、承認申請に必要な品質、前臨床、そして臨床成績に関わる資料を全部揃う前に逐次受入れて審査を開始する。審査期間の目標は設定されていない模様だが、制度の意義を考えれば、通常の案件より早く結論が出るはずだ。

本剤は膵管腺腫の9割で発現するrasを標的とする経口剤。活性化したrasに薬を結合させるのは不可能と考えられていたが、シャペロン蛋白であるcyclophilin Aを利用することでdruggableに変えた。第3相RASolute 302試験で二次治療を受ける患者における延命効果を実薬と比較したところ、ハザード・レシオ0.40、メジアン生存期間は13.2ヶ月対6.7ヶ月と、大きな差が確認された。G3以上の治療関連有害事象発現率は各群43.6%と57.5%、治療関連有害事象による離脱率は1.2%と11.2%だった。米国では昨年10月にFDA委員長が国家的優先バウチャ(CNPV)を供与。ローリング承認申請の完了が近いとのこと。

上記試験は日本も参加したはずだが、承認申請はどうなっているのだろうか?

リンク: プレス・リリース

【承認審査・委員会】


恒瑞とElevar、新薬二剤併用の承認申請がまた審査完了
(2026年7月10日発表)

Elevar Therapeuticsは同社が中国外の権利を持つVEGFR-2阻害剤、rivoceranibと、Jiangsu Hengrui Pharmaceuticals(江蘇恒瑞医薬、上海:600276)の抗PD-1抗体camrelizumabを併用で肝細胞腫の一次治療にあてる第3相CARES-310試験を欧米中国などの施設で共同実施し、sorafenib群比でPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)のハザード・レシオが0.54、全生存期間は0.64という好成績を挙げた。中国ではHengrui(rivoceranibの中国権も保有)が23年2月に承認を取得したが、米国は、今回、3度目の審査完了通知を受領した。

上記臨床成績には欠陥を指摘されていないとのことだが、24年5月の審査完了通知ではcamrelizumabを生産するHengruiの施設におけるCMC(化学、製造、管理)問題とロシアやウクライナの治験実施施設の査察ができない状態であったことなどを指摘・通告され、25年3月にはHengruiの子会社における品質管理体制など新たな製造問題などが指摘されていた。これらは解消した模様だが、今回、一転して、Elevarのrivoceranib製造施設における欠陥を指摘された。当施設は25年にEUが実施した査察では問題はなかったとのこと。

Elevarは韓国のHLB(028300:KS)の子会社。18年にHengruiと二剤の共同開発で提携した。

リンク: プレス・リリース


肝MRI造影剤も審査完了に
(2026年7月3日発表)

スウェーデンのAscelia Pharma AB(Nasdaq Stockholm:ACE)は米国でOrviglance(manganese chloride tetrahydrate)を肝MRI造影剤として承認申請していたが、審査完了通知を受領した。追加的な臨床試験と製品に関するドキュメンテーションを求められたとのこと。

MRIで重度腎障害における限局性肝病変を検査する時に、ガドニウム造影剤を用いると稀に腎性全身性線維症を合併することがある。代替品として開発されたのが本剤で、SPARKLE試験で限局性肝病変の視認性が対照群(造影剤不使用)より向上した。

リンク: プレス・リリース

【承認】


パドセブ・キイトルーダのMIBC周術期療法が承認
(2026年7月10日発表)

FDAはアステラス製薬のPadcev(enfortumab vedotin-ejfv)とMSDのKeytruda静注(pembrolizumab)または皮下注版(pembrolizumab and berahyaluronidase alfa-pmph)を併用で筋層浸潤膀胱癌(MIBC)の術前・術後療法(周術期療法)に用いることを承認した。6月に白金薬が適応にならない患者だけに承認したが、今回、限定解除した。日欧でも承認申請中。

エビデンスとなるEV-304/KeyNote-B15試験は、治癒的膀胱全摘と骨盤リンパ節郭清を受ける患者を組入れて、術前に12週コース、術後にPadcevは15週、Keytrudaは3週毎投与で39週、または6週毎投与で42週施行する便益を、gemcitabineとcisplatinによる術前療法群と比較した。PFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)のハザード・レシオは0.53、副次的評価項目の全生存期間も同0.65(95%信頼区間0.48-0.89)、病理学的完全反応率は55.8%対32.5%と良好な成果を上げた。G3以上の有害事象発現率は75.7%対67.2%だった。

アストラゼネカの抗PD-L1抗体Imfinzi(durvalumab)も白金薬が適応になる患者の周術期療法がgemcitabine・citabine術前療法と併用で米欧日で承認されている。異なった試験のデータを比較するのは危険を伴うが、待っても回答が得られるものではないだろうから敢えて比較すると、Padcev・Keytrudaレジメンのほうが少なくとも効果は高そうだ。

図表:EV-304とNIAGARA

PKGCIGCGC
405403533530
EFS メジアン(月)NR48.5NR46.1
HR(95%CI)0.53(0.41-0.70)0.68(0.56-0.82)
メジアン生存期間(月)NRNRNRNR
HR(95%CI)0.65(0.48-0.89)0.75(0.59-0.93)
注:PK=Padcev・Keytruda併用、GC=gemcitabine・cisplatin併用、IGC=Imifinzi・gemcitabine・cisplatin併用。EFS=無イベント生存期間、HR=ハザード・レシオ、CI=信頼区間、NR=メジアン値未到達。
出所:両剤のパッケージ・インサートから抜粋。

リンク: プレス・リリース


サークリサ皮下注が承認
(2026年7月10日発表)

FDAはサノフィの抗CD38抗体Sarclisa(isatuximab-irfc)の皮下注用製品、Sarclisa Escenaを承認した。Enable Injections社の技術を用いて開発した円形のディバイスを腹部に貼り付けて針を出すもの。この技術の実用化第1号であるApellis Pharmaceuticals(Nasdaq:APLS)の発作性夜間ヘモグロビン尿症用薬、Empaveli(pegcetacoplan)の場合、1080mg/20mLを30~60分で投与することができる。Sarclisa Escenaは点滴静注用と適応や併用法が同じ、投与量は1400mgで静注用の体重1kg当り10mgと異なり固定されている。

静注用対照試験でORR(客観的反応率)と定常時最低血中濃度が非劣性だった。欧日では6月に承認されている。

リンク: プレス・リリース


TACI-Igが遂に承認
(2026年7月7日発表)

FDAはVera Therapeutics(Nasdaq:VERA)のTrutakna(atacicept-vymj)を成人の原発性IgA腎症の治療薬として加速承認した。150mgを週一回、皮下に自己注する。第3相ORIGIN 3試験に431人を組入れて効果を検討したところ、第9月24時間尿蛋白クレアチニン比の中間解析で、偽薬比42%大きく低下した。安全性は両群大差なかった。警告注意事項は感染症など。治療開始の30日前以降、生ワクチンの接種は推奨されない。

BAFF(B cell activating factor)/APRIL(A Proliferation Inducing Ligand)に結合するヒトTACI(transmembrane activator and calcium modulator cyclophilin ligand interactor)とIgG1固定領域を結合した融合蛋白。四半世紀前にセラノがZymoGenetics(後にBMSが子会社化)からライセンスしてリウマチなどの自己免疫疾患用薬として開発したが、セラノを買収した独メルクが2020年にVera社に導出した。

IgA腎症の米国患者数は16万人、新患は年5000人程度と推定されている。米国では21年以降、ステロイド系新薬やエンドテリン受容体アンタゴニスト2剤、APRIL阻害剤など新薬が続々と承認されているので、競争が激化している。

リンク: プレス・リリース

【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】


PDUFA
26下ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV/AIDS)
26/7推Intra-Cellular TherapeuticsのCaplyta(lumateperon、統合失調症増悪予防)
26/7推武田薬品のrusfertide(真性多血症)
26/7/17Celcuityのgedatolisib(HR+her2-進行乳癌)
26/7/24大塚製薬のcentanafadine(ADHD)
26/8推Priovant Therapeuticsのbrepocitinib(皮膚筋炎)
26/8推武田薬品のTAK-861(oveporexton、ナルコレプシータイプ1)
26/8推Regeneron PharmaceuticalsのREGN2477(garetosmab、進行性骨化性線維異形成症)
26/8推JNJのImaavy(nipocalimab-aahu、温式自己免疫性溶血性貧血)
26/8推アストラゼネカのAZD9833(camizestrant、ESR1変異乳癌)
26/8/2ReplimuneのRP1(vusolimogene oderparepvec、進行黒色腫)
26/8/5モデルナのmRNA-1010(季節性インフルエンザ・ワクチン)
26/8/13LantheusのMK-6240(MCIにおけるtau NFTのPET検査)
26/8/17BMSのiberdomide(多発骨髄腫)
26/8/17Mandos LLCのVTS-270(adrabetadex、幼児発症型ニーマン・ピック病C型)
26/8/22Capricor TherapeuticsのCAP-1002(deramiocel、DMD)
26/8/23Ultragenyx PharmaceuticalのDTX401(pariglasgene brecaparvovec、糖原病Ia型)
26/8/24エーザイのLeqembi皮下注(lecanemab-irmb、早期AD、維持療法限定解除)
26/8/25Jazz PharmaceuticalsのZiihera(zanidatamab-hrii、her2陽性胃、胃食道接合部、胃食道腺腫)
26/8/25BeOne MedicinesのTevimbra(tislelizumab、her2陽性胃、胃食道接合部、胃食道腺腫)
26/8/27ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV)
26/8/28ITMのITM-11(177Lu-edotreotide、胃腸膵神経内分泌腫瘍)
26/8/30ファーマエッセンシアのBesremi(ropeginterferonalfa-2b-njft、本源性血小板血症追加)
諮問委員会
26/7/23-24薬局調剤諮問委員会(PCAC):7種類のペプチド薬について薬局調剤を合法化する件
26/7/29CTGTAC:Capricorのderamiocel(デュシェンヌ型筋ジストロフィーにおける心筋症の治療)


今週は以上です。

2026年7月4日

第1266回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • ロシュのKRAS-G12C阻害剤が既存薬に勝つ 
  • BeOne社、ブルキンザの未治療MCL試験が成功 
  • エプキンリ、レブラミドを併用したDLBCL二次治療試験が成功 
  • フリードライヒ運動失調症用薬のローリング申請に着手 
  • VistaGen、点鼻ステロイドの第3相社交不安障害試験がまたフェール 
  • ロシュ、エンスプリングを甲状腺眼症に適応拡大申請 
  • Sarepta、二種類のDMD用薬の本承認切替を申請 
  • Replimune、rHSV-1療法を再申請 
  • SOBIの新規痛風薬は審査完了に 
  • Lantheusの新規造影剤も審査完了に 
  • FDA、Capricor社のDMD用薬を諮問委員会に上程へ 
  • Praxis社、抗癲癇薬の審査期限が延期に 
  • CRISPR技術を用いた薬が2~11歳も利用可能に
  • GvHDが起き難い造血幹細胞移植用薬が承認 
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【新薬開発】


ロシュのKRAS-G12C阻害剤が既存薬に勝つ
(2026年7月2日発表)

ロシュは次世代KRAS-G12C阻害剤RG6330(divarasib)が第3相先輩対照試験で主目的などを達成したと発表した。承認申請に向かう考え。この日本も参加したKrascendo 1試験は、KRAS-G12C変異を持つ治療歴のある進行非小細胞性肺癌338人を対象に、一日一回経口投与する便益を既承認の第1世代品であるsotorasib(アムジェンのLumakras)またはadagrasib(BMSのKrazati)を投与する群とオープン・レーベルで比較したもの。主評価項目のPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)が統計的に有意且つ臨床的に意味のある改善を見た。副次的評価項目の全生存期間も中間解析で有意差が出た。安全性に関する新規シグナルは見られなかった由。

このほかに初めて治療を受けるG12C変異型進行非小細胞性肺癌を対象に抗PD-1抗体pembrolizumabと併用する便益をpembrolizumab、pemetrexed、白金薬の3剤併用と比較するKrascendo 2試験の結果が28年に、切除術を受けたG12C変異非小細胞性肺癌のアジュバント療法試験であるKrascendo 3試験の結果が32年ごろに、判明する見込み。

LumakrasとKrazatiは第2相試験のORR(客観的反応率)と反応持続期間に基づき米国で加速承認されたが、前者はdocetaxel対照市販後薬効確認試験でメジアンPFSの群間差があまり大きくなく全生存期間は検出力不足とは言え1.01と今一つであったことから、改めて市販後薬効確認試験を実施する方向。後者は市販後薬効確認試験でメジアンPFSが5.5ヶ月とdocetaxel群の3.8ヶ月を上回り、ハザード・レシオも0.58とLumakrasの試験の0.66と見比べても良好だったが、このデータに基づくEU初承認から2年以上経った今でも米国では本承認切替が承認されていない。米国の対象患者数は年2~3万人と肺癌の割には少ないこともあり、両剤とも売上高が伸び悩んでいる。

krasは薬で働きかけるのが困難な、undruggableな標的と言われていたが、やっと上記二剤が実用化された。中間で延命効果が確認されたとなると相応に好成績が期待され、次世代品の登場で普及が進むのか、データ発表が待ち望まれる。

リンク: プレス・リリース


BeOne社、ブルキンザの未治療MCL試験が成功
(2026年6月30日発表)

ビーワン・メディシンズはBTK阻害剤Brukinsa(zanubrutinib)が第3相MANGROVE試験の中間解析で主目的を達成したと発表した。26年下期にグローバルな適応拡大申請を行う考え。

この日本も参加した試験は、未治療の成人のマントル細胞腫(MCL)を対象に、rituximabと併用で、80mgカプセル2錠ずつを一日二回、経口投与する便益をBRレジメン(bendamustineとrituximabの併用)と比較した。主評価項目であるPFS(無進行生存期間、盲検評価委員会方式)のハザード・レシオが0.57と、大変良い結果になった。副次的評価項目の全生存期間は未成熟だが改善傾向が見られるとのこと。安全性は過去と同様だった。

本剤は19~21年に米欧でマントル細胞腫の二次治療に承認、慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)などの用途で日本でも24年に初承認された。このほかに、米国の場合で辺縁帯リンパ腫やワルデンストレームマクログロブリン血症、濾胞性リンパ腫の再発治療にも承認されている。

リンク: プレス・リリース


エプキンリ、レブラミドを併用したDLBCL二次治療試験が成功
(2026年6月29日発表)

アッヴィはEpkinly(epcoritamab-bysp)が第3相EPICOR DLBCL-4試験で主目的を達成したと発表した。適応拡大申請に向かうのではないか。この日本も参加した試験は、抗CD20抗体を含む一次以上の治療歴を持ち、自家幹細胞移植がフェール、再発、または不適でCAR-T療法が不可能な再発/難治びまん性大細胞型B細胞リンパ腫360人を組入れて、Epkimly(28日サイクルで第1-3サイクルは毎週、第4サイクル以降は4週毎投与)とRevlimid(lenalidomide、28日サイクルで21日間反復投与)を最大12サイクル施行する群と、R-GemOXレジメン(rituximab、gemcitabine、oxaliplatinの併用、4サイクル)をオープン・レーベルで比較した。主評価項目はPFS(無進行生存期間)。追跡打切り例の処理に関してFDAと海外規制機関が異なった方法を示唆した模様だが、米国向けハザード・レシオは0.40、海外向けでも0.44と、似たような結果になった。

主解析や副次的解析の対象ではないが、おそらく参考群として、Epkinlyだけ12サイクル投与する群も設定されているが、プレス・リリースには言及されていない。

Epkinlyはジェンマブが創製した抗CD3xCD20二重特異性抗体。日米では共同で、、それ以外の地域ではアッヴィが、開発販売している。23年に米欧日で再発性DLBCLに単剤投与が承認され、ある種の濾胞性リンパ腫にも3次治療単剤投与が承認、再発治療Revlimid及びrituximab併用が米国で承認、日欧でも申請中。

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フリードライヒ運動失調症用薬のローリング申請に着手
(2026年6月29日発表)

米国のLarimar Therapeutics(Nasdaq:LRMR)は米国でCTI-1601(nomlabofusp)のローリング承認申請に着手したことを明らかにした。フリードライヒ運動失調症の治療薬で、患者で欠乏しているフラタキシン(FXN)の前駆体を一日一回皮下注するもの。40人程度の小規模な試験の、皮膚FXN量に基づき、加速承認を求める。

このサロゲート・マーカーは、FXN変異を持つが無症状の患者では正常値(8.2pg/mcg)の50%以上を維持している。1年間の治療で9人中9人の数値が正常値の50%超に達した。mFARS(修正フリードライヒ運動失調症評価尺度、n=13)は1.0点改善、自然歴データの1.6点悪化を上回った。事前相談でFDAはこれらのデータに基づく申請を許容したとのこと。但し、安全性データベースが少ないことは要検討事項と回答した。

米国のフリードライヒ運動失調症患者数は推定5000人。フラタキシン欠乏を改善する薬はまだない。酸化ストレスに対応するパスウェイを活性化すべきNrf2の発現低下が見られ、バイオジェンのNrf2活性化剤、Skyclarys(omaveloxolone)が23~24年に米欧で承認されている。臨床試験(n=82)で48週mFARSが1.55点改善し、偽薬群の0.85点悪化を有意に上回った。これと比べると、nomlabofuspの開発プログラムは規模の面でも、対照試験でない点でも、見劣りする。

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VistaGen、点鼻ステロイドの第3相社交不安障害試験がまたフェール
(2026年6月30日発表)

米国カリフォルニア州のVistaGen(Nasdaq:VTGN)は、PH94B(fasedienol)点鼻スプレーの第3相PALISADE-4試験がフェールしたと発表した。SAD(社交不安障害)の患者238人を組入れて聴衆の前でスピーチさせて人為的に発症させ、治療効果を検討したが、SUDS(Subjective Units of Distress Scale)の低下が9.5点と偽薬群の11.4点を下回り、副次的評価項目もフェールした。

このような場合のベンチャー企業の恒例である事後的サブグループ分析で、被験者の過半を占める123人の大変重い(LSAS(Liebowitz Social Anxiety Scale)が95以上)患者群では12.8点対3.7点、群間差9.1点、名目p=0.036と好都合な数値が出た。同社は、このLSASを主評価項目とする試験を実施して、第3相を4本実施して唯一成功したPALISADE-2試験と合わせて、承認申請する方向でFDAと相談する考え。

リンク: プレス・リリース

【承認申請】


ロシュ、エンスプリングを甲状腺眼症に適応拡大申請
(2026年6月30日発表)

ロシュは米国でEnspryng(satralizumab-mwge)を甲状腺眼症に適応拡大申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は26年10月15日。二本の第3相試験(一本は日本も参加)で4週毎皮下注する便益を偽薬と比較したところ、24週奏効率(眼球突出が2mm以上減少し、反対側の眼球は2mm以上突出しない)が一本は49%対31%、もう一本は53%対23%だった。

グループの中外製薬が創製した抗IL-6受容体リサイクリング抗体。20~21年に日米欧でNMOSD(視神経脊髄炎スペクトラム障害)に承認され、適応拡大も進展している。

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Sarepta、二種類のDMD用薬の本承認切替を申請
(2026年6月30日発表)

Sarepta Therapeutics(Nasdaq:SRPT)はデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療薬として米国で加速承認された2種類のエクソン・スキップ薬の本承認切替を申請し受理されたと発表した。審査期限は27年2月28日。

同社のエクソン・スキップ薬はExondys 51(eteplirsen)、Amondys 45(casimersen)、Vyondys 53(golodirsen) が、ジストロフィンのmRNAの、夫々、エクソン51、45、53の発現を止めることで治療可能なDMDの治療薬として承認されている。いずれも加速承認なので市販後薬効確認試験を成功させ本承認に切替える必要がある。

今回、切替申請されたのはAmondys 45とVyondys 53。第3相ESSENCE試験に6~13歳の患者225人を組入れて、患者のタイプに応じてどちらかの薬または偽薬に2対1割付けして96週間治療し、4段昇段速度のベロシティを比較した。群間差は0.06歩/秒、p=0.309とフェールしたが、COVID-19流行期に治療した患者57人を除外した解析では、0.11歩/秒、p=0.09と上向いた。同社はFDAとの相談を踏まえて、リアル・ワールド・スタディのデータと共に提出し、本承認を求めた。

同社のExondys 51(eteplirsen)はCDER(小分子薬等の承認審査を担当)のヘッドであったJanet Woodcockの後押しで承認されたが、承認に批判的だったVinay Prasadが25年にCBERのディレクターに就任したことで緊張が走った。しかし、今年4月にPrasadが退任、後任に指名されたKatherine Szarama代行もFDA長官の交代後に短期間で退任と、上層部の人員が一新されたことで、賛否両論ありそうな新薬の見通しがもう一層不透明を上塗りしたような状況にある。今回も、フェールはフェールなので、見通しは難しい。当局は希少難病であることを考慮するだろうが、患者や医療保険は、便益が明確でない薬に数十万ドルを払うことを止む無しと受け止めるだろうか?

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Replimune、rHSV-1療法を再申請
(2026年6月26日発表)

米国のReplimune Group(Nasdaq:REPL)はRP1(vusolimogene oderparepvec)の承認申請を再提出し受理されたと発表した。クラス1審査で、審査期限は26年8月2日。FDAは7月に諮問委員会に上程する考え。昨年7月に審査完了通知を受領したが、FDA上層部が次々と退任したことで命運が変わるかどうか、注目される。

HSV-1(単純ヘルペスウイルス1型)の遺伝子にGALV(テナガザル白血病ウイルス)由来の遺伝子やGM-CSFの遺伝子を導入して殺腫瘍力や免疫原性を増強した、ウイルス療法。抗PD-1抗体に応答しなかった黒色腫患者140人を組入れてOpdivo(nivolumab)と併用する効果を検討した第2相IGNYTE試験でORR(客観的反応率、RECIST 1.1ベース独立中央評価)が33%、メジアン反応持続期間は35ヶ月超だった。市販後薬効確認となるべき第3相IGNYTE-3試験が進行中で、抗PD-1抗体と抗CTLA-4抗体の併用/順次投与に不応または抗CTLA-4抗体不適なステージIIIb/IV黒色腫を組入れて、Opdivo(nivolumab)と併用する便益をOpdualag(nivolumabと抗LAG3抗体relatlimab-rmbwの合剤品)など医師が選んだ治療法と比較している。

24年に第2相のデータで加速承認を申請したが、デザインが不適切などの理由で審査完了通知を受領した。申請前や申請中の会議では議論に上がらなかった事項も指摘されたもようであり、一説によると、審査担当者等は前向きだったが上層部が反対した。同社は25年10月に第3相の一部データなどを提出して再申請し、FDA側は最初の審査と異なるメンバーが担当したが、結論は変わらなかった。Opdivo単剤投与とどの程度違うのか、対照試験が実施されていないため評価できないこと、PFS(無進行生存期間、治験医評価)は事前に設定された評価項目ではないことなどの指摘を受けた。

連邦政府が議会の承認を得て任命するFDAの上層部は、25年12月以降、CDER(小分子薬担当)のヘッドであるRichard PazdurやCBER(生物学的製剤棟を担当)ヘッドのVinay Prasad、そして今年5月にはMarty MakaryFDA長官まで、退任した。HHS(米国連邦保健福祉省)長官のRobert F. Kennedyやトランプ大統領の不興を買ったためと報じられている。RP1の承認に反対した権力者たちの退任は当社に幸いするかもしれない。

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【承認審査・委員会】


SOBIの新規痛風薬は審査完了に
(2026年6月26日発表)

SOBI(STO: SOBI)は米国でNASP(nanoecapsulated sirolimus plus pegadricase)を成人の管理不良痛風用薬として承認申請していたが、審査完了通知を受領した。生物学的成分の生産管理戦略や生産委託先の問題が原因で、薬効や安全性に関する言及はなかった由。

mTOR阻害剤を投与した後にPEG化ウリカーゼを投与することで後者に対する抗体が生成されるのを抑制し、作用期間延長を実現するもの。第3相では28日毎に投与した。米国のSelecta Biosciences(Nasdaq:SELB)から中国外の製造開発商業化権をライセンスした。

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Lantheusの新規造影剤も審査完了に
(2026年6月26日発表)

米国のLantheus Holdings(Nasdaq:LNTH)はLNTH-2501(Gallium-68 edotreotide)を成人小児のソマトスタチン受容体陽性神経内分泌腫瘍におけるPET造影診断剤として承認申請していたが、審査完了通知を受領した。生産委託先におけるunresolved conditionを指摘された。良く分からない表現だが、もしかしたら、査察時観察事項があったがまだ正式な書簡を送付していないため製造施設の欠陥が理由とは書けないとか、あるいは、第2次トランプ政権による政府職員リストラの影響で査察が遅れているとか、いう話かもしれない。

リンク: プレス・リリース


FDA、Capricor社のDMD用薬を諮問委員会に上程へ
(2026年6月29日発表)

FDAは今年7月29日にCTGTAC(細胞、組織、及び遺伝子療法諮問委員会)を招集し、Capricor Therapeutics(Nasdaq:CAPR)のCAP-1002(deramiocel)について意見を聞くことを発表した。

本件は、昨年6月に諮問委員会招集予定が事前縦覧項目として連邦官報に掲載されたことがあるが、実現せず、翌月、審査期限の1ヶ月以上前に、審査完了通知が送付された。当時のCBER(生物学的製剤などを担当)のヘッドであったVinay Prasadが承認に反対したのではないかと報じられている。その後、第2次トランプ政権下でコンセンサスや担当審査官と異なる判断を乱発した政治的任命者が次々と退任し、評価が一変する可能性が生じた。とはいえ、組織としての連続性の建前を守るためには、それなりに大きな根拠を用意する必要がある。今回の諮問委員会も、デュー・プロセス的な手段に過ぎないのかもしれない。あるいは、旧上層部の下、殆どストップしていた諮問委員会が増え始めており、前回、上層部に握り潰された諮問委員会を蘇らせただけかもしれない。

CAP-1002は他家心臓球由来細胞療法。同社は第2相HOPE-2試験で第12月PULが偽薬比有意に改善したと発表したが、FDAの25年7月の審査完了通知によると、計画通りの解析はフェールしており、同社は正規分布などを前提としないノンパラメトリック検定に基づき統計的に有意と主張していた。今回の主エビデンスは第3相で第12月PUL(Performance of the Upper Limb)総スコアの進行が偽薬比54%小さく、p=0.029だったことなので展望は改善しているはずだが、会社側の発表を鵜呑みにしてよいものか、躊躇もある。

リンク: プレス・リリース


Praxis社、抗癲癇薬の審査期限が延期に
(2026年6月29日発表)

米国のPraxis Precision Medicines(Nasdaq:PRAX)はPRAX-562(relutrigine)を変異SCN2A/SCN8A型のDEEs(発達性およびてんかん性脳症)の治療薬としてFDAに承認申請し優先審査を受けているが、審査期限が9月27日から12月27日に延期された。既存の臨床試験データの追加的感度分析を提出したことが申請内容の重大な変更と見做されたため。追加的臨床試験の必要性や、安全性や製造に関する懸念は言及されていない由。

持続性ナトリウム電流阻害剤。SCN2A(電位依存性ナトリウム・チャネルNaV1.2をコード)やSCN8A(同NaV1.6をコード)に変異を持つ2歳以上の患者を組入れたEMBOLD試験の仮説検証的コフォート(76例)の中間解析で第16週の癲癇頻度が偽薬比大きく低下したためデータ監視委員会が中止を勧告した。偽薬比53%低下、どちらの変異型にも同様な成果を示した由。

米国のSCN2A/8A型DEEs患者数は推定5000人。第3相は他のタイプも含めたEMERALD試験が進行中。

リンク: プレス・リリース

【承認】


CRISPR技術を用いた薬が2~11歳も利用可能に
(2026年7月1日発表)

Vertex Pharmaceuticals(Nasdaq:VRTX)はFDAがCasgevy(exagamglogene autotemcel)の適応年齢下限をこれまでの12歳から2歳に引き下げたと発表した。血管閉塞クリーゼを繰り返す鎌状赤血球病と輸血依存ベータ・サラセミアを治療する世界初のCRISPR/Cas9療法薬で、患者から採取したCD34陽性細胞の遺伝子を編集し、本来なら胎児期や新生児期にしか発現しない胎生ヘモグロビン(HbF)などが発現されるように改変した上で患者に戻すもの。23~24年に英米欧で承認された。オリジンはCRISPR Therapeutics(Nasdaq:CRSP)で、Vertexは15年に6品に関する共同研究を開始し、2年後に本剤をライセンスした。

Casgevyは25年11月にCNPV(FDA長官の国家的優先バウチャ)の対象に選定された。元々、不透明なプログラムが、立ち上げた人たちの退任で更に不透明になっており、もしかしたら、今回の件が対象だったのかもしれないが、FDA側からは特に発表もないので藪の中だ。

リンク: プレス・リリース


GvHDが起き難い造血幹細胞移植用薬が承認
(2026年6月30日発表)

FDAはOrca Bio(未上場)のTregzi(allogeneic regulatory T cell immunotherapy with HSPC and T cells-vldq)を成人血液癌のHSPC(造血幹・前駆細胞)移植用薬として承認した。通常のHSPCを移植する前に制御的T細胞を投与することで、深刻な合併症である慢性移植片宿主病(cGvHD)や死亡のリスクを抑制する。警告注意事項は移植不全、GvHD、点滴反応など。

近親など適合ドナーの末梢血由来のHSPCと、制御的T細胞、そして通常のT細胞を順に投与し、2日後と3日後に通常T細胞を再投与するもの。第3相Precition-T試験で急性骨髄性白血病などの患者187人を組入れて、骨髄破壊的前処理後にTregzoまたはmethotrexateをtacrolimusと共に投与したところ、cGVHDなき生存のハザード・レシオが0.26、12ヶ月無cGVHD生存率が78%対38%と、大変良い結果が出た。副次的評価項目の全生存は未成熟だがハザード・レシオ0.49、p=0.11823、1年生存率94%対83%だった。

報道によるとWAC(問屋取得価格)は42.8万ドル。

リンク: FDAのプレス・リリース
リンク: Orca Bioのプレス・リリース

【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】



PDUFA
26下ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV/AIDS)
26/7推Intra-Cellular TherapeuticsのCaplyta(lumateperon、統合失調症増悪予防)
26/7推武田薬品のrusfertide(真性多血症)
26/7/3Ascelia Pharma ABのOrviglance(manganese chloride tetrahydrate、重度腎障害患者の肝MRI造影剤)
26/7/7Vera Therapeuticsのatacicept(IgA腎症)
26/7/17Celcuityのgedatolisib(HR+her2-進行乳癌)
26/7/23Elevar Therapeuticsのcamrelizumabとrivoceranib(肝細胞腫)
26/7/23サノフィのSarclisa(isatuximab-irfc、多発骨髄腫用薬の皮下注用新製剤)
26/7/24大塚製薬のcentanafadine(ADHD)
26/8推Priovant Therapeuticsのbrepocitinib(皮膚筋炎)
26/8推武田薬品のTAK-861(oveporexton、ナルコレプシータイプ1)
26/8推Regeneron PharmaceuticalsのREGN2477(garetosmab、進行性骨化性線維異形成症)
26/8推JNJのImaavy(nipocalimab-aahu、温式自己免疫性溶血性貧血)
26/8推アストラゼネカのAZD9833(camizestrant、ESR1変異乳癌)
26/8/2ReplimuneのRP1(vusolimogene oderparepvec、進行黒色腫)
26/8/5モデルナのmRNA-1010(季節性インフルエンザ・ワクチン)
26/8/13LantheusのMK-6240(MCIにおけるtau NFTのPET検査)
26/8/17BMSのiberdomide(多発骨髄腫)
26/8/17Mandos LLCのVTS-270(adrabetadex、幼児発症型ニーマン・ピック病C型)
26/8/17ファイザー/アステラス製薬のPadcev(enfortumab vedotin-ejfv、筋層浸潤膀胱癌術前術後、pembrolizumab併用)
26/8/22Capricor TherapeuticsのCAP-1002(deramiocel、DMD)
26/8/23Ultragenyx PharmaceuticalのDTX401(pariglasgene brecaparvovec、糖原病Ia型)
26/8/24エーザイのLeqembi皮下注(lecanemab-irmb、早期AD、維持療法限定解除)
26/8/25Jazz PharmaceuticalsのZiihera(zanidatamab-hrii、her2陽性胃、胃食道接合部、胃食道腺腫)
26/8/25BeOne MedicinesのTevimbra(tislelizumab、her2陽性胃、胃食道接合部、胃食道腺腫)
26/8/27ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV)
26/8/28ITMのITM-11(177Lu-edotreotide、胃腸膵神経内分泌腫瘍)
26/8/30ファーマエッセンシアのBesremi(ropeginterferonalfa-2b-njft、本源性血小板血症追加)
諮問委員会
26/7/23-24薬局調剤諮問委員会(PCAC):7種類のペプチド薬について薬局調剤を合法化する件
26/7/29CTGTAC:Capricorのderamiocel(デュシェンヌ型筋ジストロフィーにおける心筋症の治療)


今週は以上です。

2026年6月27日

第1265回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • 欧州でもタブネオスの承認取消勧告 
  • 欧州委員会がインフルエンザ・ワクチンの情報提供活動に捜査開始 
  • MSD、抗TL1A抗体の第3相が成功 
  • LSD類薬の第3相鬱病試験が成功 
  • Exelixis、承認申請中の新規VEGF阻害剤は一部患者に効果が弱い 
  • Regenxbio、FDAの姿勢軟化を受けて再申請へ 
  • ファイザー、抗インテグリン抗体薬物複合体の第3相がフェール 
  • 新規禁煙補助薬は承認されず 
  • CHMP、アジュバント型インフルエンザ・ワクチンなどの承認を支持 
  • 甲状腺眼症の治療薬が承認
  • イブランスがHR+her2+乳癌の維持療法に承認 
  • ApoC-IIIアンチセンス薬が高TG血症に適応拡大 
  • ギリアドの抗TROP-2抗体薬物複合体、PD-L1不問でTNBC一次治療に適応拡大 
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【今週の話題】


欧州でもタブネオスの承認取消勧告
(2026年6月26日発表)

EUの医薬品審査委員会、CHMPは、MPA(顕微鏡的多発血管炎)やGPA(多発血管炎性肉芽腫症)の治療薬として承認されているTavneos(avacopan)の承認を取り消すよう勧告した。承認の根拠となった臨床試験にGCP(実施基準)違反などが発覚したため。欧州委員会が最終決定する。

このC5a受容体阻害剤はChemoCentryx(22年にアムジェンが子会社化)が開発し21年9月に日本でライセンシーのキッセイ薬品が世界に先駆けて承認を取得、翌月にはChemoCentryxが米国で、22年1月にはライセンシーのVifor Fresenius Medical Care Renal PharmaがEUで、承認を得た。しかし、ChemoCentryxの株主が提訴した代表訴訟で、プロトコルに即した解析が両側p=0.1025とフェールしていたこと、そして、データが疑わしい症例を査読させポジティブなデータに変更されていたことが判明、CHMPやFDAが精査を開始した。FDAはアムジェンに自主回収を打診したが断られ、承認取消に向けた時間のかかる公的手続きを開始している。

安全性に関しても、既知のリスクである薬物誘導性肝障害に加えて、市販後に多くの胆管消失症候群が報告されるようになった。FDAによると薬物との関連に関する合理的なエビデンスのある症例が24年10月時点で76例(うち8人死亡)、うち日本が66例を占めた。キッセイ薬品の発表によると、22年から26年4月までに日本で重篤胆管消失症候群が22例発生、13人が死亡した。投与実績は年8500人程度。このため、日本でも新患投与差控え等の措置が取られたが、ブルーレター発出により終了した。

リンク: EMAのプレス・リリース


欧州委員会がインフルエンザ・ワクチンの情報提供活動に捜査開始
(2026年6月26日発表)

欧州委員会は、非競争的行為の容疑でサノフィの捜査を開始したと発表した。高齢者向けインフルエンザ・ワクチンEflueldaの情報提供活動の過程で、主としてドイツとフランスにおいて、競合するCSL Seqirus社のFluadより効果が高いとするキャンペーンを行ったことが、EU疾病管理予防センターや加盟国政府の推奨と異なり、ミスリーディングな行為との疑いが浮上したもの。

インフルエンザ・ワクチンは配合されている株と流行株のミスマッチが毎年のように発生するため、臨床試験の実施時期により感染予防効果が変動してしまうリスクがある。15年にFluadが加速承認された時の市販後コミットメントである市販後薬効確認試験では、ワクチン効率が19.8%と成功判定の閾値である40%を大きく下回った。サノフィは22年にFDAに対してこのデータをレーベルに記載するよう市民請願したことがある。おそらく、今回も、この試験成績の評価が論点だろう。サノフィの問題提起は無視すべきではないだろうから、接種希望者にとって最も望ましい解決方法は、司法捜査ではなく、疫学試験を行って各種インフルエンザ・ワクチンの効果を比較検討することだろう。

リンク: 欧州委員会のプレス・リリース

【新薬開発】


MSD、抗TL1A抗体の第3相が成功
(2026年6月22日発表)

MSDはMK-7240(tulisokibart)が第3相ATLAS-UC試験の一つで主目的などを達成したと発表した。データは未公表。もう一本、成功させて承認申請に向かうだろう。

Th1やTh17などが調停する炎症や線維化に関わるTL1A(TNF-like cytokine 1A)に結合する抗体医薬。TL1Aの発見者が設立したPrometheus Biosciencesを23年に買収して入手した。日本も参加したATLAS-UC試験は、既存治療不応不耐などの中重度活性期潰瘍性大腸炎を組入れて2種類の用量を偽薬と比較した。導入期と維持期における便益を検討するスタディ1と導入期だけのスタディ2から成り、今回、後者で12週臨床的寛解率(修正Mayo Scoreベース)が偽薬群を上回った。両用量群とも達成したかどうかは不明。第2相試験では1000mg点滴静注で開始、2、6、10週後に500mgを投与したところ、臨床的寛解率が26.5%と偽薬群の1.5%を上回った。

治験登録によるとスタディ1の結果判明は8月と推測されている。他の疾患では中重度活性期クローン病も第3相試験中。

リンク: プレス・リリース


LSD類薬の第3相鬱病試験が成功
(2026年6月22日発表)

米国ニュー・ヨーク州のDefinium Therapeutics(Nasdaq:DFTX)はDT120(lysergide d-tartrate)が第3相鬱病試験で主目的等を達成したと発表した。年内に鬱病でもう一本、全般不安障害で2本の結果が出そうなので、承認申請が近付いている。

lysergideはロシュではなくサンドの研究者だったAlbert Hofmannが1938年に合成、試験中に誤って皮膚吸収してしまったことが切っ掛けで幻覚作用を発見した。医薬品としての開発は難航し、むしろ乱用による被害が衆目を浴びるようになったが、ここにきて、サイケデリック系コンパウンドの医療開発が成果を上げ始めた。4月にはトランプ米国連邦大統領が、充足されない医療ニーズに応え得るサイケデリックの開発を後押しするプログラムを発表し、その一つを担うCNPV(FDA委員長の国家優先バウチャ)が英国のCompass Pathways(Nasdaq:CMPS)、米国の非営利医療研究組織であるUsona Institute、大塚ホールディングスが買収予定のTranscend Therapeuticsの3社に供与された。尚、Definiumは受領していない(大統領献金が足りないのだろうか?)

今回のEmerge試験は米国の大鬱病の成人149人を100mcg一回投与群と偽薬群に無作為化割付けした二重盲検試験。他社の臨床試験は精神療法の補助療法としての便益を検討しているが、本剤は薬物療法だけ施行している。被験者の過半は2剤以上の抗鬱剤治療歴を持っていた。幻覚症状などに対処するため、投与後はチェックリストに即して症状が治まるまで5~8時間観察を続け、1時間毎に終了の適否を判定した。

主評価項目の第6週MADRS総スコア(ベースライン値は35点)は、試験薬群が13.3点低下、偽薬群は5.2点低下、最小二乗平均差は-8.1、p<0.0001だった。第1週から-14.2点の差が見られ、第12週でも-7.3点と維持された。承認されている抗鬱剤のデータより良いが、比較可能性は不明。投与日に観察された有害事象は幻覚や多幸感など。自殺思慮・行動は発生しなかった。チェックリストをクリアするまでの時間は平均で5.8時間、最長でも8時間以内だった。

試験薬群の過半が幻覚を経験しており、盲検がちゃんと機能したか疑うことが可能。もう一本のAscend試験では一部の被験者を50mcg群に割付けて、影響を評価できるようにしている。

同社は今年1月にMind MedicineからDefinium Therapeuticsにリブランドした。

リンク: プレス・リリース


Exelixis、承認申請中の新規VEGF受容体拮抗剤は一部患者に効果が弱い
(2026年6月22日発表)

Exelixis(Nasdaq:EXEL)は2月に米国でXL092(zanzalintinib)を成人の転移結腸直腸癌用薬として承認申請したが、エビデンスとなる第3相STELLAR-303試験で、共同主評価項目である肝転移の無いサブグループの全生存期間解析が有意水準に達しなかったと発表した。先に開票したintent-to-treat(ITT)ベースの解析は成功しており、解析計画では一方がフェールしても有意判定に影響はないが、適応範囲が縮小されたり、治療の意義が再検討されたりする可能性がありそうだ。

同社のcabozantinibの後継となるべきVEGF受容体拮抗剤。上記試験は標準療法不応不耐でMSI-H(高マイクロサテライト不安定性)ではない患者901人を組入れて、ロシュの抗PD-L1抗体Tecentriq(atezolizumab)と併用で100mgを一日一回経口投与する群と、バイエルのVEGF受容体拮抗剤Stivarga(regorafenib)群の全生存期間を比較した。主解析対象は変遷しており、当初はITTベースの予定だったが、MSDの抗PD-1抗体とエーザイのVEGF受容体拮抗剤の併用効果を検討したLEAP-017試験がフェールしたことを受けて、過去の試験で効果が比較的大きかった、肝転移の無いサブグル-プに限定され、さらにその後、ITTとサブグループのどちらも主評価項目とするよう変更された。

ITTの解析はハザード・レシオ0.80、p=0.0045と良好だった。但し、メジアン生存期間は10.9ヶ月対9.4ヶ月と、2剤併用の割には差が小さい。昨年10月の学会発表時点では肝転移の無いサブグループのハザード・レシオは未成熟でp=0.0875に留まっていたが点推定値自体は0.79とITTと大差なかった。ところが、最終解析では0.83(95%信頼区間0.66-1.05)、p=0.118と好ましくない方向にドリフトしてしまった。悩ましいのは、メジアン生存期間は15.9ヶ月対12.7ヶ月と、こちらのサブグループのほうが延命月数が大きいこと。ハザード・レシオの点推定値には大きな違いがないので、こちらのデータのほうが重要かもしれないのだ。

もう一つ悩ましいのは、サブグループのデータが悪化したのなら、ITTの解析もアップデートすれば悪化するのではないか、と疑ってしまうことだ。FDAは、LEAP-017試験の成績との違いも検討するだろう。

審査期限は12月3日。成否が注目される。

リンク: プレス・リリース


Regenxbio、FDAの姿勢軟化を受けて再申請へ
(2026年6月22日発表)

Regenxbio(Nasdaq:RGNX)は昨年3月に米国でNavsunli(RGX-121:clemidsogene lanparvovec-sngl)をムコ多糖症II型(ハンター症候群)の遺伝子療法として承認申請したが、臨床試験の対象や評価項目、外部自然歴対照などデザイン面が不適切として、今年2月に審査可能通知を受領した。FDAは対照試験を行うよう助言したが、現実的でないとの反論が奏功したのか、FDA上層部の総入替えが幸いしたのか、追加試験は行わずに、7月にType A会議(意見対立や治験停止、特別プロトコル評価などに関する会議)で長期追跡データなどを説明した上で、第3四半期に承認申請することでFDA側と同調(align)した。

アデノ随伴ウイルスを用いてハンター症候群で欠乏するiduronate-2-sulfataseの遺伝子を導入するもの。5歳以上の患者10人に脳室内投与したところ、脳脊髄液中のヘパラン硫酸のD2S6コンポーネントが16週で86%減少し、8人では正常水準に達した。12ヶ月追跡データでも82%減だった。ところが、FDAは、外部自然歴対照群との比較可能性やD2S6のサロゲート・マーカーとしての妥当性などに疑問を呈した。また、本件とは話が別に、今年1月にRGX-111のムコ多糖症I型試験で脳室内腫瘍が発生した時にはFDAがRGX-121も治験停止命令を発出した(5月にRGX-121だけ解除)。暗雲が立ち込めていたので、取り敢えず、日が射してきたと言えるだろう。

Regenxbioが梃子摺る内に、Denali Therapeutics(Nasdaq:DNLI)もiduronate-2-sulfatase補充療法のAvlayah(tividenofusp alfa-eknm)を承認申請し、今年3月にFDA承認を取得した。エビデンスは47人に週一回反復投与した第1/2相単群試験。RGX-121のエビデンスとの違いは、投与実績が多く、類似疾患を含めて多くの医薬品が承認されている酵素補充療法であること、そして主評価項目が、類薬と同じ、脳脊髄液中のヘパラン硫酸であること。

RGX-121とRGX-111は25年1月に日本新薬が米国における独占販売権と日本を含むアジアでの独占開発販売権などを取得している。

リンク: プレス・リリース


ファイザー、抗インテグリン抗体薬物複合体の第3相がフェール
(2026年6月22日発表)

ファイザーは、PF-08046047(sigvotatug vedotin、Seagen時代の開発コードはSGN-B6A)の第3相SigVie-002試験がフェールしたと発表した。米欧日本などの施設で、白金薬と抗PD-(L)1抗体(分子標的薬適応なら対応薬も)による治療歴を持つ局所進行/切除不能または転移性の非扁平上皮非小細胞性肺癌の703人を試験薬群とdocetaxel群に無作為化割付けして延命効果を比較したもので、この抗インテグリン・ベータ6抗体・MMAE結合体の最初の第3相試験だったが、目標に届かなかった。但し、被験者の2/3を占めた一次治療歴だけの患者では全生存期間もPFS(無進行生存期間)もトレンドが見られた模様。一方、探索的解析で、インテグリン・ベータ6の発現と応答性の関連性は見られなかった由。

本剤は第3相Be6A Lung-02も進行中。PD-L1著高発現(TPS≧50%)の局所進行切除不能/転移非小細胞性肺癌の一次治療としてMSDのKeytruda(pembrolizumab)に追加する便益を検討するもので、ClinicalTrials.govによると、結果判明は28年の見込み。

同社は、100人以上の第1相試験の後、第2相をスキップして上記第3相に進んでいる。

リンク: プレス・リリース

【承認審査・委員会】


新規禁煙補助薬は承認されず
(2026年6月22日発表)

Achieve Life Sciences(Nasdaq:ACHV)は昨年6月に米国でcytisiniclineを禁煙補助薬として承認申請したが、審査完了通知を受領した。4月に公表したように、生産委託先がFDA査察後に指摘事項を受領したことやレーベル審査が未了であるため。同社は委託先をAdare Pharma Solutionsに変更した上で、今年第4四半期にFDAに完全回答して27年上期中の承認を目指す。

cytisinicleは植物アルカロイド。アルファ4ベータ2ニコチン・アセチルコリン受容体を部分作動して、離脱症状を緩和し、喫煙がもたらす報酬を抑制する。ブルガリアのSopharmaが中東欧などで実用化している。Achieve社は10年以上前にそれ以外の地域での開発販売権を取得した。米国の第3相試験二本で3mgを一日3回投与したところ、12週コース群は3割強が最後の4週間に禁煙を維持できた。偽薬群は7-9%だった。

米国では燃焼式たばこの成人喫煙者が2500万人、eシガレットなどの吸入式たばこの使用者が1800万人いる。FDAは、昨年10月、後者の用途で同社にCNPV(FDA委員長の優先バウチャ)を供与した。

リンク: プレス・リリース


CHMP、アジュバント型インフルエンザ・ワクチンなどの承認を支持
(2026年6月26日発表)

EUの薬品審査機関であるEMAの医薬品科学的評価委員会、CHMPは、以下の新薬などの承認に肯定的意見を纏めた。順調なら1~3ヶ月内にEU全域で承認されることになる。

リンク: EMAのプレス・リリース

CSL SeqirusのAujemfluは50歳以上向けの3価インフルエンザ・ワクチン。細胞培養した抗原とアジュバント(免疫刺激物質)を含有している。今月上旬に承認した英国のMHRAによると、50歳以上の7699人を組入れた臨床試験で、接種4週後の免疫原性が鶏卵ベースのアジュバント添付ワクチンを上回り、遺伝子組換え型ワクチンと同程度だった。

リンク: EMAのプレス・リリース

イーライリリーのOnswik(insulin efsitora alfa)は週一回投与型の基礎インスリン。二型糖尿病の治療に用いる。臨床試験で効果が一日一回投与型のインスリンと非劣性だった。類薬としてはノボ ノルディスクのAwiqli(insulin icodec)が欧日では24年に、米国でも26年に、承認されている。

リンク: EMAのプレス・リリース

ACADIA Pharmaceuticals(Nasdaq:ACAD)のDaybu(trofinetide)はレット症候群の初の治療薬。IGF-1類縁体で、神経炎症を抑制しシナプス機能を支持すると考えられている。効果が小さいためCHMPは2月に否定的意見を纏めたが、メーカーから再審請求を受け、総合的な評価に基づき効果は許容範囲と見直した。米国では23年3月に承認、25年の純売上高は3.9億ドルに達しており、ワールド・カップで日本のサッカー・チームが予選通過したが、『Daubuの1ミリ』も大きかった。

リンク: EMAのプレス・リリース

適応拡大で肯定的意見を得たのは、

  • 第一三共のDatroway(datopotamab deruxtecan):PD-(L)1阻害剤が適応にならない成人の切除不能/転移トリプル・ネガティブ乳癌の一次治療として単剤投与。米国では5月に承認、日本でも申請中。
  • イーライリリーのJaypirca(pirtobrutinib):成人の慢性リンパ性白血病における、BTK阻害剤歴のある患者限定を解除。グローバルに適応拡大申請中。
  • IncyteのOpzelura(ruxolitinibクリーム):成人の局所性のステロイド及びカルシニューリン阻害剤に応答不十分/不適の中等度アトピー性皮膚炎。短期間又は間歇的に塗布する。米国では2歳以上の小児や軽症患者にも承認されている。
  • アッヴィのRinvoq(upadacitinib):12歳以上の重度円形脱毛症と、全身性治療が選択肢となる12歳以上の非分節型白斑。何れも米国や日本でも申請中。
  • ジョンソン エンド ジョンソングループの抗BCMAxCD3二重特異性抗体Tecvayli(teclistamab):治療歴のある難治/再発多発骨髄腫にdaratumumabと併用。米国では3月に承認、日本でも一変申請中。

一方、3剤が否定的意見となった。Netherlands Cancer Instituteの自家黒色腫由来TIL(腫瘍浸潤性リンパ球)製剤、Tacquellは、デンマークとオランダでPD-1標的薬歴を持つ切除不能進行黒色腫患者168人を組入れたM14TIL試験でPFS(無進行生存期間)が7.2ヶ月とipilimumab群の3.1ヶ月を上回り、ハザード・レシオ0.50、p<0.001となった。メジアン生存期間も25.8ヶ月対18.9ヶ月で数値上上回った。しかし、CHMPは、臨床試験のGCP順守問題に加えや、デザインや解析方法、品質管理面にも問題があると結論した。

リンク: EMAのプレス・リリース

Omeros (Nasdaq:OMER)のYartemlea(narsoplimab)は抗MASP-2(mannan-binding lectin-associated serine protease-2)抗体。2歳以上の造血幹細胞移植関連血栓性微小血管症(HSCT-TMA)の治療薬として承認申請されたが、主臨床試験が対照試験ではないことや、他剤同時使用が可能など実施方法が不適切であること、小児のエビデンスが不十分であることなどを指摘した。米国でも初回は審査完了に終わったが、主臨床試験に参加した28人の全生存期間を患者登録データと比較した研究に基づき昨年12月に2歳以上を適応として承認された。しかし、CHMPは、この比較も不適切と判定した。

リンク: EMAのプレス・リリース

フランスのMaaT Pharma(EURONEXT:MAAT)のXervyteg(MaaT013)は同種便由来マイクロバイオーム療法。欧州の施設でステロイドやruxolitinibに十分応答しない胃腸症状を伴う急性移植片対宿主病患者66人を組入れて実施した第3相ARES試験で28日胃腸総合応答率が62%と、想定の38%を大きく上回り、感染症リスクは高まらなかった。しかし、CHMPは、対照群が設定されていないこと、他剤同時使用が可能であったこと、発生した感染症が病気によるものなのか薬によるものなのか判別できないことなどから、効果や安全性のエビデンスが不足と判定した。

リンク: EMAのプレス・リリース

【承認】


甲状腺眼症の治療薬が承認
(2026年6月26日発表)

Viridian Therapeutics(Nasdaq:VRDN)は、FDAがLumvoa(veligrotug-vvze)を甲状腺眼症の治療薬として承認したと発表した。アムジェンのTepezza(teprotumumab)と類似した抗IGF-1R抗体で、臨床成績を見比べると効果が上回るようには感じられないが、1回のコースにおける投与回数(どちらも3週毎)が5回対8回で少なく、点滴静注時間が30~45分対60~90分と短い。同社は皮下注用のVRDN-003(elegrobart)を27年第1四半期に承認申請することで差別化を進める考えだったがアムジェンも今年4月にオン・ボード・インジェクター型開発品の第3相を開始した。

リンク: プレス・リリース


イブランスがHR+her2+乳癌の維持療法に承認
(2026年6月24日発表)

FDAはファイザーのCDK4/6阻害剤Ibrance(palbociclib)の適応拡大を承認した。成人のホルモン受容体陽性かつher2陽性(乳癌の1割を占める)の局所進行/転移乳癌で、一次治療(taxane系抗癌剤とtrastuzumabの併用、更にpertuzumab併用も可)により進行しなくなった患者の維持療法として、trastuzumab(pertuzumab追加可)および内分泌療法と併用する。エビデンスとなるPATINA試験では、trastuzumab(pertuzumab追加可)および内分泌療法だけを施行した群と比べて、PFS(無進行生存期間、治験医評価)のハザード・レシオが0.76(95%信頼区間0.59-0.97)、片側p=0.0134だった。FDAによると、追跡打切り例の影響でメジアン値の適切な推定はできない(ハザード・レシオの数値とともに、24年12月の学会発表とは異なっている)。全生存期間の解析は未成熟。

Ibranceは切除不能/転移ホルモン受容体陽性her2陰性乳癌の一次療法などに承認されている。

リンク: プレス・リリース


ApoC-IIIアンチセンス薬が高TG血症に適応拡大
(2026年6月24日発表)

FDAはIonis Pharmaceuticals(Nasdaq:IONS)のTryngolza(olezarsen)を重度高トリグリセライド(TG)血症の治療に用いる適応拡大を承認した。ApoC-IIIのmRNAを妨げるアンチセンス薬で、24~25年に米欧で家族性カイロミクロン血症候群の治療薬として承認された。適応拡大のエビデンスとなる二本の第3相では、50mg群と80mg群のTG値が6ヶ月後に一本では偽薬比各63%と73%、もう一本では49%と54%、低下した。二本のプール分析で、急性膵炎(査読)の率比が50mg群は偽薬比0.09、80mg群は0.24となり、重度TG血症治療薬で初めて、急性膵炎抑制作用が確認された。NNT(急性膵炎を年1例減らすために投与すべき人数)は20と大変良好だ。

リンク: プレス・リリース


ギリアドの抗TROP-2抗体薬物複合体、PD-L1不問でTNBC一次治療に適応拡大
(2026年6月24日発表)

FDAはギリアド・サイエンシズのTrodelvy(sacituzumab govitecan-hziy)を成人の切除不能局所進行/転移トリプル・ネガティブ乳癌の一次治療に適応拡大を認めた。PD-L1陽性(CPS≧10)の場合はMSDのKeytruda(pembrolizumab)の静注用または皮下注用製剤と併用、適応にならない場合は単剤投与する。

前者はASCENT-04/KEYNOTE-D196試験でPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)のメジアン値が11.2ヶ月とKeytruda・化学療法併用群の7.8ヶ月を上回り、ハザード・レシオは0.65だった。昨年のASCO(米国臨床腫瘍学会)での発表によると全生存期間のハザード・レシオは0.89と今一つだが、未成熟であることや対照群の4割が進行後にクロスオーバーしたことが影響している可能性がある。

後者はASCENT-03試験でメジアンPFSが9.7ヶ月と化学療法群の6.9ヶ月を上回り、ハザード・レシオは0.62だった。全生存期間の解析は未成熟。

日本でも適応拡大申請中。EUでは今月、後者の適応が承認された。

Trodelvyは、同じ抗TROP-2抗体薬物複合体である第一三共のDatroway(datopotamab deruxtecan-dlnk)の追い上げを受けていて、後者の適応では先んじられたが、前者では先んじた。MSDはKelun Pharmaceutical(002422.SZ)グループのSichuan Kelun-Biotech Biopharmaceutical(6990.HK)から中国外の市場で導入した類薬、sacituzumab tirumotecanで様々な癌の第3相を開始しており、3社の適応拡大競争はますます激化していくだろう。

リンク: プレス・リリース

【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】


PDUFA
26/6/27SobiのNASP(Nanoecapsulated Sirolimus plus Pegadricase、管理不良痛風)
26/6/29LantheusのLNTH-2501 (Ga-68 edotreotide Injection、神経内分泌腫瘍のPET造影剤)
26下ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV/AIDS)
26/7推Intra-Cellular TherapeuticsのCaplyta(lumateperon、統合失調症増悪予防)
26/7推武田薬品のrusfertide(真性多血症)
26/7/3Ascelia Pharma ABのOrviglance(manganese chloride tetrahydrate、重度腎障害患者の肝MRI造影剤)
26/7/6Orca BioのOrca-T(血液癌の制御性T細胞・幹細胞移植)
26/7/7Vera Therapeuticsのatacicept(IgA腎症)
26/7/17Celcuityのgedatolisib(HR+her2-進行乳癌)
26/7/23Elevar Therapeuticsのcamrelizumabとrivoceranib(肝細胞腫)
26/7/23サノフィのSarclisa(isatuximab-irfc、多発骨髄腫用薬の皮下注用新製剤)
26/7/24大塚製薬のcentanafadine(ADHD)
26/8推Priovant Therapeuticsのbrepocitinib(皮膚筋炎)
26/8推武田薬品のTAK-861(oveporexton、ナルコレプシータイプ1)
26/8推Regeneron PharmaceuticalsのREGN2477(garetosmab、進行性骨化性線維異形成症)
26/8推JNJのImaavy(nipocalimab-aahu、温式自己免疫性溶血性貧血)
26/8推アストラゼネカのAZD9833(camizestrant、ESR1変異乳癌)
26/8/5モデルナのmRNA-1010(季節性インフルエンザ・ワクチン)
26/8/13LantheusのMK-6240(MCIにおけるtau NFTのPET検査)
26/8/17BMSのiberdomide(多発骨髄腫)
26/8/17Mandos LLCのVTS-270(adrabetadex、幼児発症型ニーマン・ピック病C型)
26/8/17ファイザー/アステラス製薬のPadcev(enfortumab vedotin-ejfv、筋層浸潤膀胱癌術前術後、pembrolizumab併用)
26/8/22Capricor TherapeuticsのCAP-1002(deramiocel、DMD)
26/8/23Ultragenyx PharmaceuticalのDTX401(pariglasgene brecaparvovec、糖原病Ia型)
26/8/24エーザイのLeqembi皮下注(lecanemab-irmb、早期AD、維持療法限定解除)
26/8/25Jazz PharmaceuticalsのZiihera(zanidatamab-hrii、her2陽性胃、胃食道接合部、胃食道腺腫)
26/8/25BeOne MedicinesのTevimbra(tislelizumab、her2陽性胃、胃食道接合部、胃食道腺腫)
26/8/27ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV)
26/8/28ITMのITM-11(177Lu-edotreotide、胃腸膵神経内分泌腫瘍)
26/8/30ファーマエッセンシアのBesremi(ropeginterferonalfa-2b-njft、本源性血小板血症追加)



今週は以上です。

2026年6月20日

第1264回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • FDAのスタンス転換を受けて、ハンチントン病の遺伝子療法を承認申請へ 
  • 新規作用機序の抗菌薬が第3相通過 
  • ジャイパーカを含む3剤併用試験が成功 
  • タービーとダラキューロの併用も有効 
  • テバ、トゥレット症候群用薬を承認申請 
  • ロシュ、LCBCLの二剤併用を承認申請 
  • ユルトミリスをIgA腎症に適応拡大申請 
  • ALK2阻害剤をFOPに承認申請 
  • FDA諮問委員会がインフルエンザ予防用mRNAワクチンを支持 
  • テビペネムが17年遅れで米国でも承認 
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【今週の話題】


FDAのスタンス転換を受けて、ハンチントン病の遺伝子療法を承認申請へ
(2026年6月17日発表)

オランダのuniQure biopharma(Nasdaq:QURE)は、開発中のハンチントン病遺伝子療法、AMT-130(rAAV5-miHTT)を元々の計画通り26年第3四半期に米国で承認申請すると発表した。一転、二転したが、FDAが最近のタイプB会合で外部対照試験に基づく承認申請を受け入れる姿勢を示したとのこと。昨年12月以降、FDA長官など上層部が次々と更迭されたことが製薬会社に良い方向に働き始めたのかもしれない。

ハンチントン病はHTT遺伝子の変異による常染色体性優性遺伝子疾患。舞踏運動などの運動症状や精神症状を伴う。AMT-130は遺伝子組換えアデノ随伴ウイルス5型をベクターとして変異HTTを黙らせるマイクロRNAを導入する。MRIで薬剤分布を確認しながら定位脳手術により線条体に導入する。米国の第1/2相試験で早期ハンチントン病患者を低量群(6人)、高量群(10人)、そしてシャム群(偽施術)に割付けて安全性やcUHDRS(複合統一ハンチントン病評価尺度)の変化を比較したが、1年と短期であったせいか、シャム群と大差なかった。欧州でも後期第1相/2相試験が実施されたが、こちらは低量と高量の二群オープン・レーベル試験だ。

同社は、代案として欧米試験の3年追跡データとEnroll-HD患者登録データの傾向マッチング外部対照試験を実施したところ、高用量群(6x10^13vg、12人)のcUHDRSの悪化が0.38と、対照群940例の1.52より75%小さかった(p=0.003)。副次的評価項目である各種運動機能尺度や認知機能尺度の一部でもp値が0.05を下回った。FDA側の感触も良かったため26年第3四半期に加速承認を申請する計画を立てた。

しかし、25年11月の承認申請前会議でFDA側がスタンスを一変、改めて対照試験を実施するよう求めた。26年1月のタイプA会合でも覆すことはできなかった。

今回、前言が覆された理由は明らかではないが、25年12月にCDER(小分子薬や一部のバイオ薬を担当)のヘッドが、今年4月にはCBER(生物学的製剤を担当)のヘッドが、5月にはFDA長官のMarty Makaryが、HHS(米国保健福祉省)のRobert Kennedy長官の不興を買ったらしく退任したことが関係していると見る向きが多いようだ。

大統領が指名し議会の承認を受ける、政治的任命者と呼ばれる人たちは、個別案件の承認審査には関与しないのが通例だったが、第2次トランプ政権下のFDAは上層部が現場の判定を覆したとされる事例が散見された。コンセンサスと異なる見解を持つ人々が決定権を握る、反動の時代が終わったのか、注目される。

リンク: プレス・リリース

【新薬開発】


新規作用機序の抗菌薬が第3相通過
(2026年6月18日発表)

英国のF2G社と塩野義製薬は、F901318(olorofim)が第3相アスペルギルス感染症試験で主目的を達成したと発表した。22年の米国申請は審査完了となったが、再申請に向かうだろう。承認されれば20年ぶりの新クラスの抗菌剤となる。

ピリミジン合成経路のdihydroorotate dehydrogenaseを阻害する殺真菌薬。今回のOASIS試験は、アゾール系抗菌剤に不応/不適の患者を試験薬群(30mg錠を初日は5錠、その後は3錠ずつ、12時間毎に経口投与)または実薬群(amphotericin Bリボゾーム製剤)に無作為化割付けして転帰を比較した、標準療法アドオン試験。主評価項目の42日全死亡率は各群23.8%と24.3%、群間差-0.5%(95%信頼区間-13.1、10.8)となり、両社によると、非劣性解析が成功した。薬物関連治療時発現有害事象の発生率は各群35.8%と63.9%でかなり違った。

新規抗生物質の第3相で良く採用される実薬対照非劣性解析は、優越性解析よりハードルが低そうに見えるが、実際には色々な落とし穴があるようだ。今回、95%下限は-10%より低い。成否認定の閾値は-10%に設定されることが多いように感じられるが、大丈夫なのだろうか?そういえば塩野義製薬がDoribax(doripenem、和名フィニバックス)を院内感染肺炎などに適応拡大申請した時も、非劣性マージンがFDA推奨の-10%と異なる-20%であったことや有害事象などから、米国では承認されなかった。諮問委員会でも大多数が非劣性マージンが不適切と判定した。尤も、EUでは適応拡大が認められたので、疾病の深刻さなどを考慮する余地はあるのだろうが。

リンク: プレス・リリース


ジャイパーカを含む3剤併用試験が成功
(2026年6月14日発表)

イーライリリーは、非共有結合性BTK阻害剤Jaypirca(pirtobrutinib)の3剤併用試験、第3相Bruin CLL-322試験で主目的を達成したと発表した。用法追加申請を行う考え。

この試験は再発/難治CLL(慢性リンパ性白血病)/SLL(小リンパ球性リンパ腫)639人を組入れて、アッヴィ/ジェネンテックのbcl-2阻害剤Venclexta(venetoclax)とジェネンテックが創製した抗CD20抗体rituximabのレジメンに200mg一日一回経口投与を追加する便益をオープン・レーベルで検討したもの。3剤とも、最大2年間投与して終了する、近年注目されている固定期間レジメンだ。主評価項目のPFS(無進行生存期間、盲検独立評価委員会方式)のハザード・レシオは0.547、メジアン値は未達(2剤併用群は39.7ヶ月)、2年PFS率は86.9%(同71.8%)となった。一次治療で共有結合性BTK阻害剤が用いられたサブグループでも整合的な結果だった。全生存期間の解析は未成熟だがハザード・レシオの点推定値は0.89とそれほどでもない。後日、優越性解析を行う計画。G3以上の有害事象発生率は78.8%(同73.0%)で若干高まった。

Jaypircaは23年に米国でBTK阻害剤を含む二次以上の治療歴を持つ成人の再発/難治CLL/SLLに加速承認され、対象範囲や文言は若干異なるが欧州でも同年、条件付き承認、24年には日本でも通常承認された。

リンク: プレス・リリース


タービーとダラキューロの併用も有効
(2026年6月13日発表)

ジョンソン エンド ジョンソンは、抗GPRC5DxCD3二重特異性抗体Talvey(talquetamab-tgvs)と抗CD38抗体Darzalex Faspro(daratumumab, hyaluronidase-fihj)を併用で再発/難治多発骨髄腫の二次治療に用いた第3相MonumenTAL-3試験の結果をEHA(欧州血液学会)やNew England Journal of Medicine誌で発表した。PFS(無進行生存期間、独立評価委員会方式)が大きく改善した。欧米で適応拡大申請済みであることも公表された。

約870人を組入れてTal-DP群(アムジェンのPomalyst(pomalidomide)を含む3剤併用)とTal-D群(上記2剤を併用)のPFSをDPd群(Talveyに代えてdexamethasoneを3剤併用)と比較したところ、前者はハザード・レシオが0.28、後者は0.33となり、どちらも有意差があった。24ヶ月DFS率は各群81.3%、77.6%、51.2%だった。全生存期間のハザード・レシオは0.47と0.51、24ヶ月生存率は89.2%、87.9%、79.1%と、こちらは2剤併用でも十分という印象。深刻有害事象発生率は各群63%、53%、54%、致死的有害事象発生率は1.8%、4.0%、4.6%だった。

Talveyは23~25年に米国で5次治療に加速承認、EUで4次治療に条件付き承認、そして日本で標準療法が困難な患者に通常承認された。Darzalex FasproはDarzalexの皮下注用製品で和名はダラキューロ。多発骨髄腫の様々な段階に様々な用法で承認されている。

リンク: プレス・リリース
リンク: Minaらの治験論文(NEJM)

【承認申請】


テバ、トゥレット症候群用薬を承認申請
(2026年6月18日発表)

イスラエルのTeva Pharmaceutical(NYSE:TEVA)は、米国でecopipamを小児トゥレット症候群用薬として承認申請したと発表した。ドパミンD1受容体選択的なアンタゴニスト。オリジンはシェリング・プラウの模様だが、テバは、今月、Paragon Biosciencesが本薬の取得・開発のために設立したEmalex Biosciencesを頭金7億ドル、目標達成時報奨金2億ドルで買収して、入手した。

後期第2相試験では6歳以上18歳未満の153人を偽薬群と試験薬群(2mg/lg/日を目標に滴定)に無作為化割付けして12週間投与したところ、主評価項目の YGTSS-TTS(Yale Global Tic Severity Score-Total Tic Score、レンジは0-50点、ベースライン値は34.6点)が各群6.42点と9.87点低下し、群間差は3.44、p=0.011だった。第3相は離脱試験で、6歳以上体重18kg以上の患者216人(うち小児は167人)を組入れて全員に12週間投与し、第8週と12週のYGTSS-TTSがベースライン比25%以上改善した応答者を偽薬スイッチ群と試験薬継続群に無作為化割付けして、症状が再発(オープン・レーベル期のYGTSS-TTS改善幅の半分以上を喪失)するまでの期間を比較した。

オープン・レーベル期を完了した患者は126人。42%がドロップ・アウトしたが、主因は25%改善未達(18%)、有害事象(15%)、ストップ・ルール到達(10%)など。無作為化割付け試験の結果は、主評価項目である小児90人における再発リスクのハザード・レシオが0.47、p=0.008だった。再発率は偽薬群68.1%、試験薬群は41.9%。成人14人のハザード・レシオも0.51だったが症例数が少ないため有意性は出ていない。有害事象は傾眠、不眠、不安など。

リンク: プレス・リリース
リンク: Gilbertらの第3相試験論文(JAMA Neurology、オープン・アクセス)


ロシュ、LCBCLの二剤併用を承認申請
(2026年6月18日発表)

ロシュは、米国で抗CD79b抗体薬物複合体Polivy(polatuzumab vedotin-piiq)と皮下注用抗CD20/CD3二重特異性抗体Lunsumio VELO(mosunetuzumab-axgb)の併用を難治/再発大細胞型B細胞リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を含む)に適応拡大申請し、受理されたと発表した。審査期限は27年2月9日。第3相SUNMO試験に基づくもので、R-GemOxレジメンと比べてPFSのハザード・レシオが0.41、全生存期間は未成熟だが改善トレンドが見られた。日本では3月に承認されている。

リンク: プレス・リリース


ユルトミリスをIgA腎症に適応拡大申請
(2026年6月15日発表)

アストラゼネカは、子会社のAlexionが米国でUltomiris(ravulizumab-cwvz)をIgA腎症に適応拡大申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は第4四半期。 日本も参加した第3相I CAN試験で成人の腎障害進行リスクのあるIgA腎症患者に追加投与したところ、主評価項目の一つである34週UPCR(尿蛋白クレアチニン比、24時間)が46.6%低下し、偽薬群の5.6%低下を上回った。106週の推算糸球体濾過率(eGFR)も評価する計画で、通常ならUPCRで加速承認を取りeGFRで本承認に切替えることになる。

Ultomirisは補体系C5に結合する抗体。18~19年以降、米日欧で発作性夜間ヘモグロビン尿症などに承認されている。

リンク: プレス・リリース


ALK2阻害剤をFOPに承認申請
(2026年6月12日発表)

Mirum Pharmaceuticals(Nasdaq:MIRM)とIncyte(Nasdaq:INCY)は、INCB000928(zilurgisertib)をFOP(進行性骨化性線維異形成症)の治療に用いた第2相試験の成績を米国のENDO(内分泌学会)で発表すると共に、米国承認申請していたことを明らかにした。優先審査を受け、審査期限は26年9月26日。

FOPは骨形成因子の受容体であるALK2(activin receptor-like kinase 2)の変異が原因で筋細胞などの骨化が進行する。患者は米国で300人、世界で900人と推測されている超希少疾患だ。Ipsenグループのレチノイン酸受容体ガンマ・アゴニストのSohonos(palovarotene)が22~26年に米日などで承認され、25年にはRegeneron Pharmaceuticalsが欧米で抗Activin-A抗体REGN2477(garetosmab)を承認申請した。

zilurgisertibは12歳以上の青少年と成人を組入れた第2相PROGRESS試験のコフォート1で平均21歳の患者63人を偽薬群と100mg一日一回経口投与群に無作為化割付けして24週間追跡したところ、新規異所性骨化病変が発生した患者数が一人(3.1%)に留まり、偽薬群の5人(16.7%)を大きく下回った。サンプル数が少ないせいか、p=0.0986。新規病変数ベースでは平均0.06対0.23と大きく抑制され、名目p値が0.0001未満となっている。治療関連深刻有害事象の発生率は3.1%、治療時発現有害事象の発生率が高かったのはFOPの増悪(25%、偽薬群は54%)、頭痛、尿路感染症、関節炎、鼻血、悪心など。

Mirum Pharmaceuticalsは5月にIncyteから世界開発商業化権を取得した。

リンク: プレス・リリース

【承認審査・委員会】


FDA諮問委員会がインフルエンザ予防用mRNAワクチンを支持
(2026年6月18日発表)

FDAはVRBPAC(ワクチン生物学的製剤諮問委員会)を招集し、モデルナのmFlusivaについて意見を聞いた。50~64歳についても、65歳以上に関しても、9人の委員全員が便益が棄権を上回ると評価した。

26年1月に米欧カナダ豪州で50歳以上向けに承認申請された、インフルエンザ予防用mRNAワクチン。最初に第3相に進んだ製剤はB型ウイルスに対する抗体陽転率が既存のワクチンに見劣りしたが、改良製剤は第3相IGNITE P303試験でGSKの鶏卵培養ワクチン、Fluarixを上回る免疫原性を示した。

製剤見直しがあったためか、やや駆け足的なところがあり、FDAは、①CDC(米国連邦疾病管理予防センター)が65歳以上の高齢者に接種推奨している、4倍量の抗原を配合したHD(高量)ワクチンと比較していない、②免疫低下者や脆弱高齢者のデータがない、③B型ビクトリア株が流行せず十分なエビデンスが取得できていない、などを指摘した上で、便益を十分に検討したと言えるか、意見を聞いた。

駆け足勇み足は承認審査側にもあり、モデルナは承認申請前会合を踏まえて優先審査バウチャを添えて申請したが、上記①を理由に、受理されなかった。審査拒否通知の署名者はCBER(生物学的製品評価研究センター)のヘッドである、Vinayak Prasadだった。その後、65歳以上に関しては加速承認を申請する建付けに代えて再申請したが、反対の急先鋒と目されたPrasad氏が4月に退任したため、結局、振り回されただけのような格好になっている。

鶏卵法ワクチンがあるのだから画期的ワクチンは要らない、という意見も一理あるが、mRNAワクチンの長所は開発期間の短さ。近年、ワクチン配合株とかなり異なる株が流行する現象が頻繁にみられるが、南半球の流行などを見ながら株を選択できれば、根絶は無理にしてもマッチ率を向上できるだろ。

価格は高くなるのだろう。近年のインフルエンザ・ワクチンは在来品よりかなり値上がりしている。COVID-19ワクチンは140~170ドルともっと高いので、ワクチンが安価だった時代の代表格であるインフルエンザ・ワクチンにも逆価格破壊の時が来ているのだろう。

参考:米国のインフルエンザ・ワクチン価格
製品名メーカー価格($)対象年齢等
Fluzone TIVサノフィ20.8786ヶ月児以上
Fluarix TIVGSK21.086ヶ月児以上
FluLaval TIVGSK21.086ヶ月児以上
FluMist TIVアストラゼネカ26.202-49歳。弱毒生。点鼻用
Flucelvax TIVSeqirus43.5426ヶ月児以上。犬細胞培養
Fluzone HD TIVサノフィ86.2365歳以上。抗原量が4倍
Flublok TIVサノフィ86.239歳以上。昆虫細胞培養
Fluad TIVSeqirus86.2365歳以上、アジュバント添加
注:26/27シーズンの民間価格(CDC調べ)。

リンク: プレス・リリース

【承認】


テビペネムが17年遅れで米国でも承認
(2026年6月17日発表)

FDAはGSKのUtebzi(tebipenem pivoxil)を成人の複雑尿路感染症(腎盂腎炎を含む)の治療薬として承認した。大腸菌、肺炎桿菌、エンテロバクター・クロアカ複合体、クレブシエラ・オキシトカ、大便連鎖球菌による感染が対象で、経口治療薬の選択肢が限られている、あるいは他に無い場合に適応になる。第3相PIVOT-PO試験で600mgを6時間おきに7~10日間投与する便益をimipenem・cilastatin(MSDのPrimaxin合剤など)と比較したところ、17日前後における全般的応答率(臨床的治癒且つ細菌学的駆除)が58.5%対60.2%となり、修正群間差-1.3、95%下限-7.5%となり、非劣性解析(閾値は10%)をクリアした。治療関連治療時発現有害事象が各群12.5%と9.4%の患者で発生した。

2009年に日本で承認されたカルバペネム系で初の経口剤、Meiji Seikaファルマのオラペネムを導入したもの。オリジンはワイスと言われているが、2017年に欧米権を取得したSpero Therapeutics(Nasdaq:SPRO)の年次報告書では匿名に付されている。第3相試験を一本実施して21年に承認申請したが、臨床成績が不十分と見なされ、22年6月に審査完了通知を受領した。GSKはその3ヶ月後にライセンスし、上記試験を中間解析で成功させ、FDA指摘事項について25年12月に完全回答したもの。

リンク: プレス・リリース

【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】


PDUFA
26/6/20Achieve Life Sciencesのcytisinicline(禁煙補助、CNPV案件)
26/6/27SobiのNASP(Nanoecapsulated Sirolimus plus Pegadricase、管理不良痛風)
26/6/29LantheusのLNTH-2501 (Ga-68 edotreotide Injection、神経内分泌腫瘍のPET造影剤)
26/6/30Ionis PharmaceuticalsのTryngolza(olezarsen、重度高トリグリセライド血症)
26/6/30Viridian TherapeuticsのVRDN-001(veligrotug、甲状腺眼症)
26下ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV/AIDS)
26下ギリアド・サイエンシズのTrodelvy(sacituzumab govitecan-hziy、laur/mTNBC1L PD-L1阻害剤不適向けと併用)
26/7推Intra-Cellular TherapeuticsのCaplyta(lumateperon、統合失調症増悪予防)
26/7推武田薬品のrusfertide(真性多血症)
26/7/3Ascelia Pharma ABのOrviglance(manganese chloride tetrahydrate、重度腎障害患者の肝MRI造影剤)
26/7/6Orca BioのOrca-T(血液癌の制御性T細胞・幹細胞移植)
26/7/7Vera Therapeuticsのatacicept(IgA腎症)
26/7/17Celcuityのgedatolisib(HR+her2-進行乳癌)
26/7/23Elevar Therapeuticsのcamrelizumabとrivoceranib(肝細胞腫)
26/7/23サノフィのSarclisa(isatuximab-irfc、多発骨髄腫用薬の皮下注用新製剤)
26/7/24大塚製薬のcentanafadine(ADHD)
26/8推Priovant Therapeuticsのbrepocitinib(皮膚筋炎)
26/8推武田薬品のTAK-861(oveporexton、ナルコレプシータイプ1)
26/8推Regeneron PharmaceuticalsのREGN2477(garetosmab、進行性骨化性線維異形成症)
26/8推JNJのImaavy(nipocalimab-aahu、温式自己免疫性溶血性貧血)
26/8推アストラゼネカのAZD9833(camizestrant、ESR1変異乳癌)
26/8/5モデルナのmRNA-1010(季節性インフルエンザ・ワクチン)
26/8/13LantheusのMK-6240(MCIにおけるtau NFTのPET検査)
26/8/17BMSのiberdomide(多発骨髄腫)
26/8/17Mandos LLCのVTS-270(adrabetadex、幼児発症型ニーマン・ピック病C型)
26/8/17ファイザー/アステラス製薬のPadcev(enfortumab vedotin-ejfv、筋層浸潤膀胱癌術前術後、pembrolizumab併用)
26/8/22Capricor TherapeuticsのCAP-1002(deramiocel、DMD)
26/8/23Ultragenyx PharmaceuticalのDTX401(pariglasgene brecaparvovec、糖原病Ia型)
26/8/24エーザイのLeqembi皮下注(lecanemab-irmb、早期AD、維持療法限定解除)
26/8/25Jazz PharmaceuticalsのZiihera(zanidatamab-hrii、her2陽性胃、胃食道接合部、胃食道腺腫)
26/8/25BeOne MedicinesのTevimbra(tislelizumab、her2陽性胃、胃食道接合部、胃食道腺腫)
26/8/27ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV)
26/8/28ITMのITM-11(177Lu-edotreotide、胃腸膵神経内分泌腫瘍)
26/8/30ファーマエッセンシアのBesremi’ropeginterferonalfa-2b-njft、本源性血小板血症追加)


今週は以上です。