【ニュース・ヘッドライン】
- トランプ大統領、サイケデリックの開発を後押し
- FDA、サイケデリック3剤にCNPV供与
- 経口セマグルチドを小児T2Dに承認申請へ
- ユルトミリスをIgA腎症に適応拡大申請へ
- エンスプリングはMOGADに有効
- ノボ、経口鎌状赤血球症薬を承認申請へ
- アストラゼネカ、抗IL-33抗体の2週毎投与試験も成功
- ウェリレグの3剤併用腎細胞腫試験はフェール
- ガザイバを全身性エリテマトーデスに適応拡大申請
- 重症筋無力症のsiRNA薬を承認申請
- Praxis社、抗癲癇薬2剤を相次いで承認申請
- L型アミノ酸輸送体のPET造影剤を承認申請
- パドセブを筋層浸潤膀胱癌の周術期薬物療法に適応拡大申請
- Grace Therapeutics、一発承認ならず
- CHMP、4月の会議報告
- 重度難聴の遺伝子療法薬が承認
- Ala-Ala、1歳も使えるようになった
- MSD、HIV感染症の新規配合錠が承認
- モデルナ、欧州でインフルエンザ・COVID-19混合ワクチンが承認
- 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会
【今週の話題】
トランプ大統領、サイケデリックの開発を後押し
(2026年4月18日発表)
トランプ米国大統領はサイケデリックに関する執行命令を下した。既存の治療薬に十分応答しない、深刻な精神疾患に有効な薬の実用化を後押しする。具体的には、
サイケデリックは5-HT2A受容体作動を通じて精神状態に影響する物質で、LSDやMDMAなどが様々な形で用いられている。米国では、好ましくない作用を持ち便益が確立していない物質として、麻薬取締法の中で規制が最も厳しいスケジュール1指定されている。今回の執行命令は、薬効や安全性のハードルを引き下げる意図は感じられない。
近年の失敗例はLykos Therapeutics(旧称MAPS PBC)。23年にMDMA(midomafetamine)をPTSD(トラウマ後ストレス離障害)の精神療法補助剤として承認申請したが、臨床試験の実施方法や安全性確認が不十分と見なされ、審査完了通知を受領した。同社以外にも複数の新興企業が臨床開発を進めており、1~2年後に第1号が承認されるかもしれない。
リンク: トランプ大統領の大統領執行命令
FDA、サイケデリック3剤にCNPV供与
(2026年4月24日発表)
上記執行命令を受けて、FDAはサイケデリックを医療用に開発している3社にCNPVを供与したことなどを発表した。社名等は記されていないが、メディアの取材などにより下記と判明している。
ホワイトハウス発表文でも言及されているibogaineに関しては、DemeRx NBのDMX-1001(noribogaine)のアルコール使用障害における臨床試験を認可した。DemeRx側は数日前に公表済み。活性成分はibogaineの長期作用性代謝物で、幻覚性や依存性がない由。ibogaineの過去の臨床研究では突然死などの懸念が見られたようだが、こちらはどうなのだろうか?
リンク: FDAのプレス・リリース
【新薬開発】
経口セマグルチドを小児T2Dに承認申請へ
(2026年4月23日発表)
ノボ ノルディスクは10~17歳の二型糖尿病におけるsemaglutide錠の血糖管理効果を評価した前期第3相試験、Pioneer Teensがポジティブな結果になったと発表した。今年下期に欧米で対象年齢拡大申請する考え。このGLP-1作用剤は皮下注用がOzempicやWegovyの製品名で二型糖尿病や肥満症などに承認されている。経口剤も二型糖尿病薬Rybelsusが19~20年に米欧日で、肥満症用薬Ozempic錠が25年12月に米国で、二型糖尿病用新製剤Ozempic錠が26年2月に米国で、成人患者向けに承認されている。
今回の試験では3mg、7mg、14mgを偽薬と比較したとのことなのでRybelsusを用いたと推測されるが、成人用と同様に、Ozempic錠(1.5mg、4mg、9mgが相当)の承認も求めるのだろう。
リンク: プレス・リリース
ユルトミリスをIgA腎症に適応拡大申請へ
(2026年4月21日発表)
アストラゼネカは、長期作用性C5補体阻害剤Ultomiris(ravulizumab-cwvz)が第3相I CAN試験で主目的を達成した。高リスクIgA腎症を対象に腎機能悪化を遅らせる効果を検討したところ、共同主評価項目の一つである34週24時間UPCR(尿蛋白クレアチニン比)が偽薬比有意に下回った。近年承認されたIgA腎症用薬と同様に、このデータで加速承認を取得し、共同主評価項目の106週eGFR(推算糸球体濾過量)で本承認切替を狙う考えのようだ。
Ultomirisは米欧日などで発作性夜間ヘモグロビン尿症などの治療薬として承認されている。
リンク: プレス・リリース
エンスプリングはMOGADに有効
(2026年4月21日発表)
ロシュはEnspryng(satralizumab-mwge)が第3相MOGAD(抗ミエリン・オリゴデンドロサイト糖蛋白抗体関連障害)試験で主目的などを達成したと発表した。適応拡大申請に向かうのではないか。
グループの中外製薬が創製した、抗IL-6受容体リサイクリング抗体。20~21年に日米欧でAQP4-IgG抗体陽性のNMOSD(視神経脊髄エンスクトラム障害)の治療薬として承認された。MOGADは中枢神経系組織のミエリン・オリゴデンドロサイト糖蛋白が自己抗体に攻撃され、視神経、骨髄、脳などで予測不能な発作的症状が表れる。脳脊髄液でIL-6の増加が見られるようだ。今回、AAN(米国神経学会)で結果発表されたMETEOROID試験は12歳以上の患者を組入れて、体重に応じて60~180mgを最初の3回は2週毎、その後は4週毎に皮下注したところ、再燃が偽薬群比68%少なかった(p=0.0025)。試験薬群の87%は48週間に一度も再燃しなかった(偽薬群は67%)。主な有害事象は注射箇所反応、インフルエンザ、関節痛など。
Enspryngは甲状腺眼症でも第3相試験の一本で突出減少奏効率が53%と偽薬群の23%を有意に上回り、もう一本も49%対31%と、p=0.0715だが数値上は上回った。被験者の2割強が解析対象から外れているのでintent to treatでは低くなるかもしれないが、いずれにせよ、この用途でも適応拡大申請するのだろうか?
リンク: プレス・リリース
ノボ、経口鎌状赤血球症薬を承認申請へ
(2026年4月20日発表)
ノボ ノルディスクはetavopivatが第3相Hibiscus試験で主目的を達成したと発表した。承認申請する考え。22年にForma Therapeutics(Nasdaq:FMTX)を10億ドル超で買収して入手した、PKR(赤血球ピルビン酸キナーゼ)のアロステリック・アクティベイタで、鎌状赤血球症で生成されるヘモグロビンSの重合化を抑制するなどの作用を持つ。今回、12歳以上の385人を偽薬群と400mg一日一回経口投与群に無作為化割付けして52週間追跡したところ、52週VOC(血管閉塞クリーゼ)が偽薬比27%低下した。time to the first event分析もメジアン38.4週対20.9週と、より長く抑制した。
リンク: プレス・リリース
アストラゼネカ、抗IL-33抗体の2週毎投与試験も成功
(2026年4月20日発表)
アストラゼネカは抗IL-33抗体MEDI3506(tozorakimab)が第3相MIRANDA試験で主目的などを達成したと発表した。先に成功した2本は300mgを4週毎皮下注したが、本試験は同用量を2週毎皮下注しており、データが公表された段階で効果や忍容性がどう変わるのか、チェックすることになる。
この3本は、10箱年以上の喫煙歴を持つ症候性COPDで吸入薬を2剤以上服用しても中度以上の増悪が起きる患者を組入れて、1年間の中重度増悪リスクを偽薬と比較した。主評価項目は禁煙しているサブグループだけが対象だが、現在の喫煙者も含む全体の解析も統計的に有意且つ臨床的に意味のある改善を見たとのこと。
リンク: プレス・リリース
ウェリレグの3剤併用腎細胞腫試験はフェール
(2026年4月21日発表)
MSDとエーザイは第3相LITESPARK-012試験が中間解析でフェールしたと発表した。腎細胞腫の再発治療や切除後アジュバント療法に有効な薬が一次治療に無効というのは意外だが、限界効用逓減則が当て嵌まったのか、もしかしたら忍容性が悪化したのかもしれない。
この日本も参加した進行腎細胞腫1次治療試験は、653人の患者を3群に無作為化割付けして、MSDの抗PD-1抗体Keytruda(pembrolizumab)とエーザイがMSDと共同開発販売しているVEGF阻害剤Lenvima(lenvatinib)の併用(21~22年に米欧日で承認)を対照群として、HIF-2アルファ阻害剤Welireg(belzutifan)と3剤併用する群と、新規抗CTLA-4抗体MK-1308(quavonlimab)と3剤併用する群(実際はpembrolizumabとの合剤であるMK-1308AをLenvimaと併用)のPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)と全生存期間を検討した。
主評価項目が二つあり群間比較も2種類あるので検出力が高く設定されているのだろうが、中間解析で全生存期間もフェールするというのは案外だ。
リンク: プレス・リリース
【承認申請】
ガザイバを全身性エリテマトーデスに適応拡大申請
(2026年4月21日発表)
ロシュは米国で抗CD20抗体Gazyva(obinutuzumab)を成人の活性期全身性エリテマトーデスに適応拡大申請し受理されたと発表した。審査期限等は不明。EUでも申請済みとのこと。
303人を組入れた第3相ALLEGORY標準療法アドオン試験で、52週SLI-4達成率(SELENA SLEDAIスコアが4点以上改善など)が76.7%と偽薬群の53.5%を有意に上回った。深刻有害事象の発生率は各群15.9%と11.9%だった。
リンク: プレス・リリース
重症筋無力症のsiRNA薬を承認申請
(2026年4月21日発表)
Regeneron Pharmaceuticals(Nasdaq:REGN)は、AAN(米国神経学会)やLancetでの治験成績発表に合わせて、26年に第1四半期に米国でcemdisiranを重症筋無力症(gMG)の治療薬として承認申請していたことを明らかにした。年内に他の地域でも申請する考え。
成人の抗AChR抗体陽性gMG患者に600mgを12週毎皮下注した第3相NIMBLE試験で、24週MG-ADL総スコアが偽薬比2.3点低下した。200mgを米国でCHAPLE症候群用薬として承認されているVeopoz(pozelimab-bbfg)200mgと4週毎皮下注した群も同1.74点低下したが、申請されたのは単剤のみのようだ。
深刻な治療連関有害事象の発生率は単剤群が3%、偽薬群14%、併用群は9%。筋無力症悪化という有害事象の発生率が各群1%、17%、5%となっており、便益の裏返しみたいになってしまっている。
cemdisiranは、Alnylam Pharmaceuticals(Nasdaq:ALNY)からライセンスした、補体C5を標的とするsiRNA薬。19年に開始された両社の広範な研究開発提携の成果で、第2相で良好な結果を出したが、Regeneronは提携を離脱、Alnylamも開発を停止、と紆余曲折の末、24年になってRegeneronが単独開発を決めた経緯がある。
リンク: プレス・リリース
Praxis社、抗癲癇薬2剤を相次いで承認申請
(2026年3月30日発表、4月14日発表)
Praxis Precision Medicines(Nasdaq:PRAX)は今年3月に続いて4月にも別の抗癲癇薬を承認申請しFDAに受理されたと発表した。見落としていたため3月受理分から記すと、PRAX-562(relutrigine)は持続性ナトリウム電流優先的阻害剤の経口液。SCN2A/SCN8A変異型DEE(発達性及び癲癇性脳症)に用いる。2歳以上の患者を組入れたEMBOLD試験の承認申請用コフォート(76人)で16週てんかん頻度が偽薬比53%低下した(p<0.0002)。2変異型どちらにも整合的な結果が出た。優先審査を受け、審査期限は26年9月27日。
SCN2AとSCN8Aは電位依存性Naチャネルの各NaV1.2とNav1.6をコードする遺伝子。米国の推定患者数5000人という希少遺伝子性疾患で、小児用薬バウチャを受領する可能性があるようだ。同社はそれ以外の変異型患者も組入れたEMERALD試験を実施中で、今年下期に開票する見込み。成功なら市場規模が年5億ドルから20億ドルに拡大と期待している。
リンク: プレス・リリース(relutrigine、26年3月30日)
PRAX-944(ulixacaltamide HCL)は成人の本態性振戦の治療薬として承認申請され、審査期限は27年1月29日。T型カルシウム・チャネル・ブロッカーで、CTC(小脳-視床-皮質)回路における異常な神経発火を阻害することで振戦発作を予防する。米国で実施された第3相Essential 3試験の偽薬対照治療試験部分で60mg(20mgから漸増)一日一回経口投与群の12週mADL11がベースライン比4.3低下(改善)と偽薬群の1.7低下を有意に上回り、リード・イン期に試験薬を全員に投与し応答者を無作為化割付けした離脱試験部分で4週応答維持率が55%と偽薬にスイッチした群の33%を上回った(p=0.037)。薬品関連治療時発現有害事象による離脱率は治療試験の試験薬群が27.0%、偽薬群は1.7%、離脱試験のリード・イン期は28.1%だった。
リンク: プレス・リリース(ulixacaltamide、26年4月14日)
L型アミノ酸輸送体のPET造影剤を承認申請
(2026年4月10日発表)
オーストラリアのTelix(ASX:TLX)は米国でPixclara(foretyrosine F 18)を再承認申請し受理されたと発表した。審査期限は26年9月11日。
神経膠芽腫の診断や治療効果を特定するためにL型アミノ酸輸送体LAT1とLAT2をPET造影するもの。米国で承認されている類薬はないとのこと。同社は24年に承認申請したが追加的薬効確認試験を求められた模様だ。1年足らずの期間に完了したのかどうかは明らかではない。
リンク: プレス・リリース
パドセブを筋層浸潤膀胱癌の周術期薬物療法に適応拡大申請
(2026年4月20日発表)
アステラス製薬とファイザーは、米国でPadcev(enfortumab vedotin-ejfv)を筋層浸潤膀胱癌(MIBC)の術前術後療法に適応拡大申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は26年8月17日。日本も参加した第3相EV-304試験(MSD側ではKeyNote-B15試験)で治癒的膀胱全摘・骨盤リンパ節郭清術を受ける白金薬が適応になる患者にKeytrudaと併用したところ、2年EFS(無イベント生存率)が79.4%と、gemcitabineとcisplatinの術前投与だけ施行した群の66.2%を上回り、ハザード・レシオは0.53だった。副次的評価項目の全生存期間のハザード・レシオも0.65、有意だった。G3以上の有害事象発生率は各群75.7%と67.2%。
このTPOにおけるPadcevとKeytrudaの併用は白金薬不適/拒否の患者を組入れた試験も成功、米国では昨年11月に承認され、日本でも今年1月に一変申請されている。
リンク: プレス・リリース
【承認審査・委員会】
Grace Therapeutics、一発承認ならず
(2026年4月23日発表)
Grace Therapeutics(Nasdaq:GRCE)はGTx-104(nimodipine新製剤)をaSAH(脳動脈瘤によるくも膜下出血)の治療薬として米国で承認申請していたが、審査完了通知を受領した。浸出物、前臨床毒性評価、製造委託会社における製造問題などの指摘事項があった模様。追加的臨床情報は要求されなかった由。会社側は対処可能と記しているが、株価はほぼ半減した。
GTx-104はカルシウム・ブロッカーnimodipineをナノパーティクル化することで点滴静注できるようにしたもの。100人余を組入れた第3相経口nimodipine対照試験で薬物関連低血圧が有意に少なく、転帰(90日mRS)も上回った。aSAHによる死亡例が5人対2人と多かったことが気になるが、治療関連ではないとのことだ。
リンク: プレス・リリース
CHMP、4月の会議報告
(2026年4月24日発表)
EUの薬品審査機関であるEMAの医薬品科学的評価委員会、CHMPは、以下の新薬などの承認に肯定的意見を纏めた。順調なら2~3ヶ月以内にEU全域で承認されることになる。
リンク: EMAプレス・リリース
サノフィのCenrifki(tolebrutinib)はブルトン型チロシン・キナーゼ阻害剤。血液癌ではなく、成人の、過去2年間に再発を伴わなかった、二次性進行型多発硬化症に用いる。第3相試験で症状が進行するハザード・レシオが0.69と有意に低かった。最も厄介な副作用は薬物誘導性肝障害。尚、再発寛解型多発硬化症の第3相二本はフェールした。米国でも承認申請されたがこの2点が主因で審査完了通知を受領した。
ノバルティスのItvisma(onasemnogene abeparvovec-brve) は、脊髄性筋萎縮症(SMA)の点滴静注用AAV遺伝子療法薬であるZolgensmaを髄腔内投与用に仕立てた新製剤。2歳以上のSMN1遺伝子に両アレル変異を持つ5q MSAに用いる。米国では25年11月に承認、日本でもゾルゲンスマ髄注として4月に承認されたところ。
Arrowhead Pharmaceuticals(Nasdaq:ARWR)のRedemplo(plozasiran)はapolipoprotein C-IIIを沈黙させるsiRNA薬。成人の家族性カイロミクロン血症候群におけるトリグリセライド値の抑制に用いる。米国では昨年11月に承認。
適応拡大が支持されたのは、まず、アッヴィの経口CGRP受容体拮抗剤、Aquipta(atogepant)。片頭痛予防薬としては21~26年に米欧日で承認されているが、今回、片頭痛の急性期治療に用いることが支持された。日本でも申請中。
大塚製薬のInaqovi(decitabine、cedazuridine;米国名はInqovi)はDNAメチル化阻害薬とその代謝を抑制する薬を合剤にすることで前者を経口投与できるようにしたもの。未治療の急性骨髄性白血病で標準的な寛解導入療法に適さない成人患者に、既承認の単剤投与に加えて、venetoclaxと併用することが支持された。米国では審査期限が5月25日に延期された。
BMSのOpdivo(nivolumab)は12歳以上の未治療ステージIII/IV古典的ホジキンリンパ腫にAVDレジメン(doxorubicin、vinblastine、dacarbazine併用)と併用することが支持された。SWOG 1826試験でPFS(無進行生存期間)が、OpdivoではなくファイザーのAdcetris(brentuximab vedotin)を併用した群を有意に上回った。米国では3月に承認。
CSL BehringのPrivigen(人免疫グロブリン)は、はしかの曝露前/後予防に用いることが支持された。ワクチン禁忌/不適な患者に、ガイドラインなどを参考にした上で、適否を決定する。
アッヴィのVenclyxto(venetoclax;米名Venclexta)は成人の未治療慢性リンパ性白血病に、既承認のobinutuzumab併用に加えて、Imbruvica(ibrutinib)併用やアストラゼネカのCalquence(acalabrutinib)併用(更にobinutuzumab追加可)が支持された。後者は第3相AMPLOFY試験がエビデンスと推測され、米国でも申請中。Imbruvica併用のエビデンスは当方は把握できていない。
一方、CHMPが否定的で申請撤回となったのは、まず、Soleno Therapeutics(Nasdaq:SLNO)のdiazoxide choline延長放出性新製剤。米国ではプラダー・ウィリ症候群における過食の治療薬Vykat XRとして25年に承認されたが、CHMPはエビデンスの頑強性やニトロスアミン不純物などから懐疑的で、4月に同社の買収を決めたNeurocrine Biosciencesの意向を受けて、撤回を決めた。
ノバルティスは放射性医薬品Pluvicto(lutetium Lu 177 vipivotide tetraxetan)を無症状/軽度症状のPSMA陽性転移去勢抵抗性前立腺癌でアンドロゲン受容体経路阻害剤後に悪化したが未だ化学療法の候補にはならない、プリキモに適応拡大申請し、米国では25年3月に承認されたが、EUは撤回となった。別のアンドロゲン受容体経路阻害剤にスイッチする群と比較した第3相PSMAfore試験でPFSハザード・レシオが0.41となったが、CHMPは、対照群が妥当ではないことや延命効果が確認されていないことなどから否定的に見ていた。
何とも言い難いのがBMSのOpdualag(relatlimab、nivolumab)。切除不能/転移悪性黒色腫の一次治療nivolimab対照試験に基づき22年に米欧で承認されたが、主評価項目であるPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)のハザード・レシオが0.75、メジアン値は10.1ヶ月対4.6ヶ月と良好だったものの、4割強を占めたPD-L1陽性(≧1%)サブグループでは大差なかったため、EUはPD-L1陰性の患者に限定している。BMSは限定解除を申請したようだが、CHMPは認めず、それでも、データ収載は認めることを決めた。3年追跡後の描写的解析に関する治験論文が刊行されているが、PD-L1陽性サブグループにおけるPFSのハザード・レシオは0.98だったものの、全生存期間は0.78と、陰性サブグループの0.83と大差なく、難解だ。
【承認】
重度難聴の遺伝子療法薬が承認
(2026年4月23日発表)
FDAは、Regeneron Parmaceuticals(Nasdaq:REGN)のOtarmeni(lunsotogene parvec-cwha、これまでDB-OTOと呼ばれていた)を小児と成人のOTOF遺伝子両アレル変異を伴う重度聴力喪失(90dB HL超)用薬として加速承認した。CNPV(FDA委員長国家的優先バウチャ)案件で、承認申請受理から61日で光速承認した。同社は米国患者に無償提供する。
外有毛細胞機能が保持され、蝸牛インプラント未設置の患者に、7.2x10^12vgを蝸牛内点滴投与する。CHORD試験で生後10ヶ月から16歳の20人に投与したところ、16人で24週時点の聴力が改善した(PTA検査値70dB HL以下)。このうち、48週経過した患者全てが応答を維持しており、12人中5人は正常域(25dB HL以下)に到達した。有害事象は中耳炎、悪心嘔吐、眩暈など。市販後コミットメントとして、この試験で効果の持続性や、言語発達やQOL改善効果を追跡調査する
OTOF関連難聴は米国の新生児のうち年50人程度の超希少疾患。内耳の有毛細胞の蝸牛で変換された電気信号を聴神経に伝達する上で重要な役割を果たす、otoferlin蛋白の遺伝子に機能喪失・低下変異がある。Otarmeniはotoferlinをコードする遺伝子とそれを有毛細胞特異的に発現させるMyo15プロモータをアデノ随伴ウイルス・ベクターで導入するもの。Decibel Therapeuticsとの共同研究が成功し、同社を買収して入手した。
同社は、Otarmeni承認と合わせて、トランプ米国大統領が一部の製薬会社に求めたディールに応える意向を表明した。米国における薬価を主要海外市場の水準を意識して決定すること、コレステロール治療薬Praluent(alirocumab)をTrumpRx.govで販売すること、米国内で研究開発施設や製造施設に大きな投資を行うことなどだ。薬価引き下げ命令や3年間の特別課税が免除されることになる。
リンク: FDAのプレス・リリース
リンク: Regeneronのプレス・リリース(Otarmeni承認)
リンク: 同(薬価抑制策)
Ala-Ala、1歳も使えるようになった
(2026年4月22日発表)
サノフィはFDAがTzield(teplizumab-mzwv、別称Ala-Ala)の対象年齢拡大を承認したと発表した。22年に8歳以上のステージ2一型糖尿病(高血糖ではないが高目で膵島細胞自己抗体を持ち、二型糖尿病とは考えられない)患者がステージ3(症候性)に進展するリスクを抑制する薬として承認されたが、薬物動態や安全性の試験に基づき、1~7歳にも使えるようになった。
23年にProvention Bioを買収して入手した、CD3エプシロン鎖に結合する抗体医薬。昨年10月には8歳以上の最近診断されたステージ3一型糖尿病という適応拡大申請が受理され、CNPV(FDA委員長の国家的優先バウチャ)も受領した。こちらはベータ細胞の機能を示すサロゲート・マーカーである負荷後Cペプチド濃度というサロゲート・マーカーに基づくもので、78週の数値が偽薬を有意に上回った。
リンク: プレス・リリース
MSD、HIV感染症の新規配合錠が承認
(2026年4月21日発表)
MSDはFDAがIdvynso(doravirine、islatravir:和名はイドビンソ配合錠)を承認したと発表した。成人のHIV-1感染症で、抗レトロウイルス療法によりウイルスRNA量を50コピー/mL未満に抑制できている、ウイルス学的治療フェール歴を持たず、doravirine抵抗性置換を持たない患者がスイッチできる。CYP3A強誘導剤などとの併用は禁忌。日本では3月に承認された。
doravirineは非ヌクレオシド系逆転写阻害剤で、18~20年にPifeltro/ピフェルトロ名で米欧日で承認された。islatravirはヌクレオシド系逆転写酵素トランスロケーション阻害剤と呼ばれ、ウイルスのDNA鎖に組み込まれて伸長を妨げる。大類洋博士らがヤマサ醤油や最初の抗HIV薬を発見した満屋裕明博士との共同研究を通じて特定した。Idvynsoは0.25mg含有だが、高量を投与した試験で一部の患者にリンパ球減少症が発生したため用量を減らして改めて第3相試験を実施した経緯がある。
スイッチ試験ではウイルス抑制維持率がスイッチせず従来の薬を使い続けた群と非劣性だった。治療が成功しているならば敢えてスイッチするニーズは小さいだろうから、初めて治療を受けるナイーブ患者向けが重要な市場になりそうだ。昨年11月に一次治療Bictarvy(bictegravir、emtricitabine、tenofovir alafenamide)対照試験で非劣性解析が成功したので、適応拡大申請されるのではないか。
リンク: プレス・リリース
モデルナ、欧州でインフルエンザ・COVID-19混合ワクチンが承認
(2026年4月21日発表)
モデルナは欧州委員会がmCOMBRIAXを承認したと発表した。25年に米日欧で承認された新規COVID-19予防用ワクチン、mNEXSPIKEと、新開発の季節性インフルエンザmRNAワクチン、mRNA-1083を配合した2価混合ワクチンで、50歳以上が対象。臨床試験で、インフルエンザ・ワクチンのFluzone HDまたはFluarixを同社のもう一つのCOVID-19ワクチンであるSpikevaxと同時接種した群と比べて、免疫原性が非劣性だった。
米国でも同時期に申請されたが、なぜか、受理されず、FDAと相談の末、50~64歳と65歳以上に分けて承認申請することになった。審査期限は26年8月5日なのでシーズンには間に合いそうだ。カナダやオーストラリアでも承認申請中。
リンク: プレス・リリース
【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】
| PDUFA | |
|---|---|
| 26/4推 | サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、8歳以上の最近診断されたステージ3の一型糖尿病、CNPV案件) |
| 26/4推 | アストラゼネカのbaxdrostat(難治高血圧症) |
| 26/4/30 | Axsome TherapeuticsのAuvelity(dextromethorphan Hbrとbupropion HCI、アルツハイマー性激昂) |
| 26/5推 | GSKのArexvy(高リスク18-49歳のRSV性下部気道疾患予防) |
| 26/5推 | ビーワン・メディシンズのBGB-11417(sonrotoclax、マントル細胞腫) |
| 26/5推 | WockhardtのZaynich(zidebactamとcefepime、グラム耐性菌感染症) |
| 26/5/10 | argenxのVyvgart(efgartigimod alfa-fcab、抗体陰性全身性重症筋無力症) |
| 26/5/18 | 第一三共のEnhertu(fam-trastuzumab deruxtecan-nxki、早期乳癌術前療法) |
| 26/5/24 | エーザイのLeqembi皮下注(lecanemab-irmb、早期AD、維持療法限定解除) |
| 26/6推 | ギリアド・サイエンシズのHepcludex(bulevirtide、D型肝炎) |
| 26/6推 | GSKのtebipenem pivoxil hydrobromide (複雑性尿路感染症) |
| 26/6推 | ファイザーのHympavzi(marstacimab-hncq、インヒビターを持つA/B型血友病) |
| 26/6/2 | 第一三共のDatroway(datopotamab deruxtecan-dlnk、mTNBC1L) |
| 26/6/5 | ArvinasのARV-471(vepdegestrant、ER1陽性乳癌) |
| 26/6/16 | 塩野義製薬のensitrelvir(COVID-19曝露後発症予防) |
| 26/6/19 | MSDのWelireg(belzutifan)とKeytruda(pembrolizumab)、併用で腎細胞腫術後療法 |
| 26/6/20 | Achieve Life Sciencesのcytisinicline(禁煙補助、CNPV案件) |
| 26/6/27 | SobiのNASP(Nanoecapsulated Sirolimus plus Pegadricase、管理不良痛風) |
| 26/6/29 | LantheusのLNTH-2501 (Ga-68 edotreotide Injection、神経内分泌腫瘍のPET造影剤) |
| 26/6/30 | Ionis PharmaceuticalsのTryngolza(olezarsen、重度高トリグリセライド血症) |
| 26/6/30 | Viridian TherapeuticsのVRDN-001(veligrotug、甲状腺眼症) |
| 諮問委員会 | |
| 26/4/30 | 腫瘍学諮問委員会(アストラゼネカのcamizestrantとcapivasertib) |
今週は以上です。