2018年10月28日

2018年10月28日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • アムジェン、米国でレパーサを6割値下げ 
  • ESMO:リムパーザがBRCAm卵巣癌に大きな効果 
  • ESMO:キイトルーダ、頭頚部癌の一次治療試験が成功 
  • ESMO:テセントリクも肺癌一次治療試験が成功 
  • ESMO:タカラバイオのHF10は日本のP2試験が今一つ 
  • バイエル、非転移性去勢抵抗性前立腺癌の第三相が成功 
  • CTAD:BAN2401の追加解析は説得力が弱い 
  • ルンドベック、新規向精神薬の最初の第三相がフェール 
  • FDAがゾフルーザをインフルエンザ流行前に承認 


【今週の話題】


アムジェン、米国でレパーサを6割値下げ
(2018年10月24日発表)

アムジェンは、コレステロール治療薬Repatha(evolocumab、和名レパーサ)の米国における価格を年14,520ドルから年5,850ドルに引き下げると発表した。トランプ大統領が医薬品の高価格を批判していることに応えたり、メディケア患者の自己負担緩和に加えて、同社やリジェネロン/サノフィの抗PCSK9抗体の売上が伸び悩んでいるのを梃子入りする狙いもあるのではないか。

高薬価批判に対する製薬業界の反論の一つは、医療保険や薬品給付管理組織における『薬価差益』だ。製薬会社は優先使用薬リストに収載してもらうためにリベートを払っているが、加入者の自己負担額は定価に基づいて決定されるので、リベートが還元されない。そこで、製薬会社は、薬を買うだけの余裕のない患者にクーポンを提供しており、Repathaの場合、月5ドルで足りる。

ここで問題になるのが、米国にはメディケア/メディケイドという民間の共助組織とは性格も考え方も異なる制度が存在することだ。最恵国待遇条項があるため最も有利な条件と同等以上の条件を要求できるが、民間の契約形態が変化していく中で、何がリベートで何が違うのか、何がOKで何が禁止なのか、色々な意見の食い違いが発生している。最近も、複数の製薬会社が司法省との和解に応じ、巨額の和解金を支払った。

民間保険加入者にクーポンを提供するならメディケア加入者にもそうするのが公平だが、メディケアは。自分たちの得にはならないせいか、禁じている。このため、自己負担に耐えられない高齢者や、65歳になって民間保険からメディケアに移行した患者が、Repathaの処方箋を貰っても薬を買わないケースが多いようだ。

今回の新価格は、65%のHMO/PBMに対するリベート控除後の価格と同じとのことだ。年5,850ドルなら日本や英国の保険薬価と大差ない。要するに、今までの定価が、値引きを大きく見せかけるために下駄をはかせた『通常価格』だったのである。

WAC(問屋取得価格)と正味価格の格差を縮小する動きは他社でも見られるようになった。製薬会社が高い薬価を付けてHMO/PBOが薬価差益で潤う、Win-Winの関係は変わりつつある。

リンク: アムジェンのプレスリリース


【新薬開発】


ESMO:リムパーザがBRCAm卵巣癌に大きな効果
(2018年10月21日発表)

アストラゼネカとMSDは、Lynparza(olaparib、リムパーザ)の第三相SOLO1試験の結果をESMO(欧州臨床腫瘍学会)で発表した。3年PFS(無進行生存)率が倍増という大きな成果を上げた。

この試験は、BRCA遺伝子変異を持つ末期卵巣癌で白金薬レジメンによる一次治療を受けて部分反応以上だった患者391例を組入れて、300mg錠を一日二回服用する維持療法群と偽薬群のPFSを比較したもの。結果はハザードレシオが0.30、36ヶ月PFSは60.4%と偽薬群の26.9%を大きく上回った。2年経って完全反応の患者は投薬を中止するプロトコルが導入されており、抵抗もあった模様だが、中止後の経過は良好のようである。アストラゼネカは適応拡大申請に向かう考え。

BRCAはDNA損傷の修復に係る蛋白の遺伝子で、有害変異を持つ患者は卵巣癌や乳癌のリスクが高まる。LynparzaはPARP(ポリアデノシン5’二リン酸リボースポリメラーゼ)阻害剤。DNA損傷の修復メカニズムを妨げるのでBRCA有害変異細胞は遺伝子損傷や複製ミスを修復できず、大きな打撃を受ける。アストラゼネカは06年にKuDOSを買収して入手、14年に欧米で初承認された。その間には、買収時に発生した無形資産の減損を計上したり、米国では審査途中で適応が大きく変わったり、紆余曲折の連続だった。

リンク: MSDのプレスリリース

ESMO:キイトルーダ、頭頚部癌の一次治療試験が成功
(2018年10月22日発表)

MSDは、Keytruda(pembrolizumab、和名キイトルーダ)のKEYNOTE-048試験の結果をESMOで発表した。難治性転移性扁平上皮頭頚部癌の第三相一次治療試験で、Keytrudaモノセラピーと白金薬・5-FU・Keytruda併用レジメンを白金薬・5-FU・Erbitux(cetuximab)を併用するEXTREME試験レジメンと比較したところ、中間解析で成功認定された。

モノセラピー群のOSは、CPS(腫瘍や腫瘍浸潤免疫細胞のPD-L1発現度)が20以上のサブグループ分析でOSのハザードレシオ0.61、同じく1以上のグループでは0.78と統計的にも臨床的にも有意な結果になった。次に、Keytruda併用群のOSは、PD-L1発現度を問わない全ユニバースの解析でハザードレシオ0.77となった。

奇妙なことに、PFSはどの解析でも有意差がなかった。OpdivoやTecentriqの効果とTMB(腫瘍変異負荷)の関連性を検討した試験ではPFSと異なりOSでは関連性が見られなかった。これらの事例が示唆するのは、抗PD-1/PD-L1の真価を探るにはPFSではなくOSを重視すべきということだ。

リンク: MSDのプレスリリース

ESMO:テセントリクも肺癌一次治療試験が成功
(2018年10月22日発表)

ロシュはTecentriq(atezolizumab、和名テセントリク)のIMpower130試験の結果をESMOで発表した。非扁平上皮非小細胞性肺癌の一次治療試験で、carboplatinとnab-paclitaxelの標準療法と、Tecentriqを追加する三剤併用の効果を比較したところ、共同主評価項目のOSとPFSのどちらも成功した。

OSはハザードレシオ0.79、p=0.033、メジアンは18.6ヶ月で標準療法の13.9ヶ月を上回った。PFSはハザードレシオ0.64、p<0.0001、メジアンは各7.0ヶ月と5.5ヶ月だった。

抗PD-1/PD-L1のうちOpdivo(nivoluman)は非小細胞性肺癌の試験成績が見劣りする。Opdivo自身の問題なのか、検出力や除外基準など治験デザインの違いが原因なのか、事例が積み重なるにつれて明らかになっていくだろう。

尚、Tecentriqの併用試験でしばしばnab-paclitaxelが採用されているのは、免疫を抑制するステロイドでプリトリートする必要がないからであるようだ。

リンク: ロシュのプレスリリース

ESMO:タカラバイオのHF10は日本のP2試験が今一つ
(2018年10月19日発表)

タカラバイオが開発している腫瘍溶解性ウイルス、HF10(canerpaturev)の日本で行われた第二相試験の結果がESMOで発表された。黒色腫の二次治療としてYervoy(ipilimumab)と併用したところ、最良客観的反応率(ベストORR)が7.4%(27例中2例)だった。通常の薬効確認試験で用いられるORRはベストORRより低く出ることが多いので、この併用療法の効果はこれ以下ということになる。

米国で実施された第二相Yervoy併用試験は43例のベストORRが49%、うち完全反応は18%だった。類似した薬であるアムジェンのImlygicはYervoy併用でORR39%だったので、同程度の効果があるかもしれないと思っていた。

日米の成績の差異はYervoyが犯人である可能性も指摘されている。今回の試験では9割の患者がOpdivoによる治療歴があったが、日本における藤沢らの後顧的研究によれば、Opdivo歴を持つ患者にYervoyを使った症例のベストORRは3.3%、60例中2例だけだった。

しかし、Yervoyという薬は伝統的な免疫強化療法と同様に延命効果はあるがORRは海外でも低い。米国承認の根拠となった試験では、Yervoy単剤投与群のベストORRは10.9%だったが、Yervoyとgp100を併用した群では5.7%だった。gp100単剤投与群は1.5%だったので、Yervoyの効果は3.2~10.9%の範囲という計算になる。単剤投与群と併用群の95%信頼区間の重複に注目すると、6.3~8.4%の範囲と推定することもできる。

何れにせよ、今回のベストORRだけでは併用の必要性は感じられない。OpdivoをYervoyと併用するのと比べて効果もエビデンスの質も見劣りする。もっときちんとした試験で延命効果を確認すべきである。

HF10は名古屋産業科学研究所の技術を用いて開発した弱毒化自然変異株HSV-1。承認のハードルが低い再生医療等製品として承認申請される見込み。国内の開発販売権は大塚製薬が保有している。

リンク: タカラバイオのプレスリリース

バイエル、非転移性去勢抵抗性前立腺癌の第三相が成功
(2018年10月24日発表)

バイエルは、BAY-1841788/ODM-201(darolutamide)の第三相試験が成功したと発表した。非転移性の去勢抵抗性前立腺癌(nmCRPC)を組入れてdarolutamide群(600mgを一日二回経口投与)と偽薬群に2対1割付して無転移生存期間を比較したもので、データは後日発表予定。

オライオン(OMX:ORNAV)から共同開発販売権を取得したアンドロゲン受容体阻害剤。前立腺癌は次々と新薬が登場しており、nmCRPCではジョンソン・エンド・ジョンソンのErleada(apalutamide)が今年2月に、アステラス/ファイザーのXtandi(enzalutamide)の適応拡大が7月に、米国で承認された。

リンク: バイエルのプレスリリース

CTAD:BAN2401の追加解析は説得力が弱い
(2018年10月25日発表)

エーザイは、抗アミロイド・ベータ抗体BAN2401の第二相早期アルツハイマー病試験の追加解析をCTAD(アルツハイマー病臨床試験会議)で発表した。この試験は主評価項目である12ヶ月時点のベイズ確率による進行抑制効果の解析がフェール。18ヶ月時点の伝統的な手法による解析は最高用量群が成功したが、伝統的な考え方では主評価項目がフェールしたら事後の解析は仮説検定的と見做すべきでない。

内容的にも、最高用量群は治験の途中で欧州の承認審査機関がApoE4陽性患者の組入れを止めるよう要請したため、偽薬群や他の用量の群と比べて当該症例数が少なく、患者背景に偏りがある。

今回の追加解析では、偽薬群の患者はApoE4陽性でも陰性でも疾病進行スピードに大差なかったことが示された。ApoE4陽性は老人性アルツハイマー病のリスク因子だが、進行スピードに大差ないなら、最高用量群のApoE4陽性比率が30%と偽薬群の71%と大差であったとしても、大きな影響はなかったのかもしれない。

一方、最高用量はApoE4陽性サブグループの進行を63%抑制し、ApoE4陰性群は7%のみという解析は説得力が弱い。ApoE4陽性サブグループの解析対象は、最高用量群は10例に過ぎず、残りの、無作為化割付数の8割に相当する多くの患者が対象外になっているのだ。偽薬群の解析対象は113例で打ち切りは35%だけである。

もし忍容性に難があり8割がドロップアウトするなら普及しないだろう。ApoE4陽性の新規組入れ中止を伝えられた医師が心配して既に組入れられた患者を早めに離脱させたのだとしたら、試験結果にバイアスが生じていることになる。

リンク: エーザイのプレスリリース(和文)
リンク: エーザイの学会発表スライド(pdfファイル)

ルンドベック、新規向精神薬の最初の第三相がフェール
(2018年10月25日発表)

ルンドベックは、Lu AF35700の一本目の第三相難治性統合失調症試験がフェールしたと発表した。薬物療法に十分に反応しない患者をrisperidoneまたはolanzapineで治療するランインを行い、不応例を継続投与群と試験薬群(10mg群と20mg群)に無作為化割付けしてPANSS総合スコアの10週後の変化を比較したが、有意な差はなかった。

Lu AF35700はD2受容体と比べてD1受容体選択的で、5-HT2Aや5-HT6受容体にも作用するため、D2受容体選択的な向精神薬に反応しない患者や、錐体外路症状に不耐な患者に適していることが期待される。FDAが難治性統合失調症用途でファーストトラック指定している。

リンク: ルンドベックのプレスリリース


【承認】


FDAがゾフルーザをインフルエンザ流行前に承認
(2018年月日発表)

FDAは、Xofluza(baloxavir marboxil、和名ゾフルーザ)を12歳以上の合併症のないインフルエンザ感染症の治療薬として承認した。ロシュやジェネンテックが塩野義製薬から導入したCap依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤で、一回経口投与で足りる点が最大の長所。インフルエンザ罹患期間を短縮する効果はタミフルと大差なさそうだがウイルス量減少は有意に早いので、もし他者にうつすリスクが小さいなら、学生や高齢者施設入居者などに特に適しているだろう。

インフルエンザの治療方針は国により濃淡があり、米国は日本同様に前向きなほうだが、治療薬の承認審査では高リスク患者(喘息症や糖尿病などの持病を持ち合併症のリスクが高い)とそれ以外を区分けしている。Xofluzaは高リスク患者試験も成功したのので、早晩、対象患者拡大が認められるだろう。

トランプ大統領に言われるまでもなく、米国は薬価が高い。ゾフルーザは日本の一日薬価は約4700円だが、米国のWACは150ドルと3倍に跳ね上がる。タミフルなど既存薬の日米格差が影を落としている。こうなると、ロシュの分も含めて世界年商30億ドル以上という塩野義の野望が現実味を帯びてくる。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: ジェネンテックのプレスリリース





今週は以上です。

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2018年10月21日

2018年10月21日


【ニュース・ヘッドライン】

  • ESMO:テセントリク、トリプルネガティブ乳癌の第三相成功 
  • ESMO:ノバルティスのPI3K阻害剤の第三相成功 
  • ESMO:PARP阻害剤はBRCA変異前立腺癌にも有効 
  • ESMO:METエクソン14スキップ変異肺癌にMET阻害剤が有効 
  • ECTRIMS:中外、新規抗IL-6受容体抗体の第三相視神経脊髄炎試験が成功 
  • ロシュ、カドサイラのアジュバント試験が成功 
  • キイトルーダ、レンビマではなくインライタ併用試験が成功 
  • アイガー、ベスタチンのリポジショニングを断念 
  • ノバルティス、SMAの遺伝子療法を承認申請 
  • アッヴィ、ImbruvicaをCLL一次治療に適応拡大申請 
  • ノバルティス、イラリスの心血管適応はペンディングに 
  • オプジーボ、高TMB肺癌の承認審査が遅延 
  • FDA諮問委員会、シャイアの5HT4受容体作動剤の承認を支持 
  • FDA諮問委員会、元々はノバルティスの5HT4受容体部分作動剤の承認を支持 
  • CHMPがシャイアの新薬などに肯定的意見 
  • FDA、ファイザーのPARP阻害剤を承認 
  • リジェネロン、デュピクセントが喘息症に適応拡大 


【新薬開発】


ESMO:テセントリク、トリプルネガティブ乳癌の第三相成功
(2018年10月20日発表)

ロシュは7月にTecentriq(atezolizumab、テセントリク)の第三相トリプルネガティブ乳癌試験の成功を発表した。PD-1/PD-L1阻害剤は様々な腫瘍に有効だがトリプルネガティブ乳癌にPFS(無進行生存期間)延長効果を示したのは初めて。今回、ESMO(欧州臨床腫瘍学会)で具体的な内容が公表された。

このIMpassion130試験は、エストロゲン受容体とプロゲスチン受容体、her2の全てが陰性の切除不能局所進行性/転移性乳癌の初治療として、nab-paclitaxelと偽薬またはTecentriqを併用して、治験医判定によるPFSと全生存期間を比較したもの。結果は、PFS中央値がITTベースで各5.5ヶ月と7.2ヶ月となり、ハザードレシオ0.80、95%CI0.69-0.92、PD-L1陽性のサブグループ分析では各5.0ヶ月、7.5ヶ月、0.62、0.49-0.78となった。

全生存解析はまだ中間解析段階で有意差は出ていない。ITTベースでは各17.6ヶ月、21.3ヶ月、0.84、0.69-1.02。PD-L1陽性のみの解析では15.5ヶ月、25.0ヶ月、0.62、0.45-0.86となっている。

深刻な有害事象の発生率は18%対23%で増加した。

ロシュは適応拡大申請の予定。

リンク: ロシュのプレスリリース

ESMO:ノバルティスのPI3K阻害剤の第三相成功
(2018年10月20日発表)

ESMOでは、ノバルティスのアルファ特定的PI3K阻害剤、BYL719(alpelisib)の第三相試験のデータも発表された。ホルモン受容体陽性、her2陰性の転移性乳癌を組入れた試験で8月に成功発表されている。

アロマターゼ阻害剤による治療歴(CDK4/6阻害剤併用の有無を問わない)を持つ患者を、fulvestrantとBYL719(300mgを一日一回、経口投与)を併用する群と偽薬を併用する群に無作為化割付して、PFSを比較したところ、主解析対象であるPIK3CA変異コフォートでメジアン11.0ヶ月と偽薬併用群の5.7ヶ月を上回り、ハザードレシオ0.65、95%CIは0.50-0.85だった。主な有害事象は高血糖、ラッシュ、下痢など。有害事象による治験離脱は5%対1%で若干増加した。

PI3Kは代表的な腫瘍関連蛋白で様々な阻害薬が開発されたが、成果は芳しくなく、最近もロシュがRG7604/GDC-0032(taselisib)を第三相試験の成功後に開発中止している。データを見比べると、BYL719はハザードレシオがRG7604より良いこともさるながら、それ以上に、有害事象治験離脱が少ないことが目立つ(RG7604は17%)。

リンク: ノバルティスのプレスリリース

ESMO:PARP阻害剤はBRCA変異前立腺癌にも有効
(2018年10月19日発表)

Clovis Oncology(Nasdaq:CLVS)は、Rubraca(rucaparib)の第二相転移性前立腺癌試験の結果をESMOで発表した。16年にBRCA1/2変異を持つ卵巣癌に承認されたポリ(ADP-リボーゼ)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤だが、BRCA変異のある前立腺癌にも有効である可能性が示された。

この試験は、生殖細胞系または体細胞系BRCA1/2変異などの遺伝子署名を持つ転移性去勢抵抗性前立腺癌で抗アンドロゲンとタクサン系の治療歴を持つ患者を組入れた単群試験。中間解析でcORR(確認客観的奏効率)が25例中44%、cPSA(確認前立腺特異抗原)反応率が45例中51%だった。この試験に基づき、FDAからブレークスルー・セラピー指定された。

BRCAとPARPは、遺伝子複製時の複製ミスを修復する二つの異なったメカニズムに夫々関わっている。BRCA1/2悪性変異があると修復されず癌化リスクが上昇する。癌化細胞は複製転写が活発でその分新たな変異が起きやすいので、PARPを阻害することで正常な(?)複製転写を妨げることができる。

卵巣癌のうちBRCA1/2変異を持つのは、生殖細胞系変異で約18%、体細胞系は約7%とされる。今回の試験では、循環腫瘍DNA検査で12%が該当した。腫瘍標本に基づく判定と比較したところ、74%の症例で一致したとのことだ。

Rubracaは世界で最初に臨床入りしたPARP阻害剤で、11年にファイザーからライセンスしたもの。

リンク: Clovisのプレスリリース

ESMO:METエクソン14スキップ変異肺癌にMET阻害剤が有効
(2018年10月19日発表)

ノバルティスは、ESMOでINC280(capmatinib)のMETエクソン14スキップ変異末期非小細胞性肺癌の第二相試験の結果を発表した。独立放射線学的委員会が盲検で査読したORRが治療未経験者で72.0%、経験者で39.1%と良好。G3/4の有害事象発生率は33.1%だった。

第二相なのにわざわざ盲検査読を行ったところを見ると、このデータに基づいて承認申請する意図なのではないだろうか。非小細胞性肺癌のうち当該変異を持つのは3-4%とのこと。

INC280は2009年にインサイト(Nasdaq:INCY)から導入したc-MET受容体チロシンキナーゼ阻害剤。同時に導入したJAK阻害剤は11年にJakafi(ruxolitinib)として承認されており、両方承認されたら、大変な成功率だ。

リンク: ノバルティスのプレスリリース

ECTRIMS:中外、新規抗IL-6受容体抗体の第三相視神経脊髄炎試験が成功
(2018年10月15日発表)

中外製薬は、SA237(satralizumab)のSAKURASky試験の結果をECTRIMS(欧州多発性硬化症学会)で発表した。抗AQP4抗体陽性の視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD)または視神経脊髄炎の83例をSA237群(120mgを最初の3回は2週毎、その後は4週毎に皮注)と偽薬群に無作為化割付して再発までの期間を比較したところ、ハザードレシオ0.38、p=0.0184、48週無再発率は各群88.9%と66.0%だった。深刻有害事象は各群大差なく、死亡やアナフィラキシー例はなかった。

SA237はリサイクリング抗体技術を適用してActemra(tocilizumab)が結合離散を繰り返すように改良、作用を長期化したもの。日韓台湾以外ではロシュがRG616として開発している。

リンク: 中外のプレスリリース

ロシュ、カドサイラのアジュバント試験が成功
(2018年10月15日発表)

ロシュは、Kadcyla(ado-trastuzumab emtansine、和名カドサイラ)の第三相KATHERINE試験が成功したと発表した。her2陽性早期乳癌でネオアジュバント治療によっても病理学的完全反応を達成できなかった患者を組入れて、浸潤性腫瘍の再発リスクをHerceptin(trastuzumab)と比較したところ、有意に低かった。データはサン・アントニオ乳癌シンポジウムで発表する考え。

KadcylaはHerceptinの抗her2抗体に細胞毒を繋げたものなので、Herceptinを上回ったのは順当な結果だ。第一三共のDS-8201など類薬が複数、開発段階にあるので、迎え撃つために積極的に適応拡大を行う必要がある。

リンク: ロシュのプレスリリース

キイトルーダ、レンビマではなくインライタ併用試験が成功
(2018年10月18日発表)

MSDは、Keytruda(pembrolizumab)の第三相KEYNOTE-426試験が成功したと発表した。末期/転移腎細胞腫の一次治療としてKeytruda(200mg 3週毎点滴静注)とInlyta(axitinib、5mg一日二回経口投与)を併用してSutent(sunitinib)単剤と全生存期間や無進行生存期間を比較したところ、中間解析で両方成功した。

MSDといえばエーザイのLenvima(lenvatinib)やアストラゼネカのLynparza(olaparib)の共同開発販売権を大金を払って取得している。ファイザーのInlytaでなく同じVEGFR阻害剤のLenvimaと併用したほうが収益にプラスなはずだが、この試験を開始した当時はまだ提携話が煮詰まっていなかったのかもしれない。

リンク: MSDのプレスリリース

アイガー、ベスタチンのリポジショニングを断念
(2018年10月16日発表)

アイガー・バイオファーマシューティカル(Nasdaq:EIGR)は、ubenimexの第二相下肢リンパ浮腫試験がフェールしたと発表した。開発は中止し、研究者主導試験の支援だけに留める。

ubenimexは日本化薬がベスタチンとして四半期以上前に発売した成人性急性非リンパ性白血病用薬の活性成分。アイガーは15年にロイコトリエンB4加水分解酵素が関与する疾患における欧米などの開発販売権を取得、肺動脈高血圧症などのPOC試験を実施したが成功しなかった。

リンク: アイガーのプレスリリース


【承認申請】


ノバルティス、SMAの遺伝子療法を承認申請
(2018年10月18日発表)

ノバルティスは、脊髄性筋萎縮症(SMA)の遺伝子療法薬、AVXS-101を日米欧で承認申請したことを18年第3四半期決算発表と合わせて明らかにした。5月に87億ドルを投じて買収したAveXis(Nasdaq:AVXS)がNationwide Children's Hospitalのライセンスで開発したもので、SMN遺伝子の二重連鎖DNAと連続的プロモータをrAAV9カプシドシェル・ベクターで導入する。

リンク: ノバルティスの決算発表プレスリリース

アッヴィ、ImbruvicaをCLL一次治療に適応拡大申請
(2018年10月17日発表)

アッヴィは、Imbruvica(ibrutinib)を慢性リンパ性白血病の一次治療に用いる適応拡大申請がFDAに受理されたと発表した。優先審査を受ける。iLLUMINATE試験に基づくもので、ロシュのGazyva(obinutuzumab)との併用をGazyvaとchlorambucilの併用と比較したところ、PFS(無進行生存期間、独立委員会が査読)が有意に上回った。

リンク: アッヴィのプレスリリース


【承認審査・委員会】


ノバルティス、イラリスの心血管適応はペンディングに
(2018年10月18日発表)

ノバルティスは、抗IL-1ベータ抗体のIlaris(canakinumab、和名イラリス)を心筋梗塞歴を持つ高感度CRP値が高い患者の二次予防薬としてFDAに承認申請したが、審査完了に終わったことを決算発表リリースで明らかにした。原因は不明。第三相のCANTOS試験が成功したが、p値はそれほど低くなく、治療効果が十分かどうかも意見が分かれるかもしれない。

リンク: ノバルティスのプレスリリース

オプジーボ、高TMB肺癌の承認審査が遅延
(2018年10月19日発表)

BMSは、高TMB(腫瘍変異負荷)転移性非小細胞性肺癌の一次治療にOpdivo(nivolumab)とYervoy(ipilimumab)を併用する適応拡大を欧米で承認申請しているが、審査が遅れることを明らかにした。

発端は、低TMBサブグループの全生存期間解析結果を追加提出したことのようだ。高TMBサブグループはメジアン23ヶ月と化学療法群の16.7ヶ月を上回り、ハザードレシオ0.77だったが、95%信頼区間は0.56-1.06で有意ではなかった。一方、低TMBサブグループは各16.2ヶ月、12.4ヶ月、0.78、0.61-1.00となっており、データ上は、TMBの多寡で区別しなければならないようには感じられない。

リンク: BMSのプレスリリース

FDA諮問委員会、シャイアの5HT4受容体作動剤の承認を支持
(2018年10月18日発表)

FDA胃腸薬諮問委員会は、シャイアが慢性特発性便秘治療薬として承認申請したResolor(prucalopride)を検討し、10人の委員全員が承認を支持した。審査期限は12月21日。

ジョンソン・エンド・ジョンソンから欧州の権利を取得したMovetis社を2010年に4.2億ユーロで買収して取得した5HT4受容体作動剤で、欧州では09年に承認されたが、米国はFDAが癌原性懸念から治験停止を命じ、開発が遅れていた。

癌原性懸念は解消した模様。心血管疾患リスクについては、シャイアが英国などでの市販後監視データを分析、既存の治療法と比べてリスクが高まらないことを明らかにした。

リンク: シャイアのプレスリリース

FDA諮問委員会、Sloanの5HT4受容体部分作動剤の承認を支持
(2018年10月17日発表)

FDA胃腸薬諮問委員会は、Sloan PharmaがIBS-C治療薬として再発売承認申請したZelnorm/Zelmac(tegaserod)を検討、12人の委員のうち11人が承認を支持した。元々はノバルティスが開発し米国では2002年に承認を取得したが、鬱病や心血管イベントの懸念から、07年に一部の国を除いて販売中止。その後、15年にUS WorldMedsの子会社であるSloan Pharmaが治験許可を継承、18年に再発売に向けて再承認申請したもの。

諮問委員会は低心血管疾患リスクの女性に用いるべきと判断。重度症候性患者に限定すべきという意見もあったが、実効性に対する疑念などから、少数意見に留まった。

CHMPがシャイアの新薬などに肯定的意見
(2018年10月19日発表)

EUの薬品審査機関であるEMAの科学的評価委員会、CHMPは、10月の会合で、シャイアの遺伝性血管浮腫治療薬などの承認に肯定的意見を纏めた。順調なら2~3ヶ月以内にEU全域で承認されることになる。

リンク: EMAのプレスリリース

肯定的意見を受けたのは、まず、シャイアのTakhzyro(lanadelumab-flyo)は血漿カリクレインに結合する完全ヒト化抗体。遺伝性血管浮腫で発作を防ぐためルーチン予防が必要な患者に用いる。2週間または4週間に一回の皮注と、競合薬と比べて投与の手間や頻度が小さい。

15年にヒト抗体をバクテリオファージに作らせるファージディスプレイ技術を持つDyaxを59億ドルと達成報奨金6.4億ドル相当で買収して入手したコンパウンド。米国では今年8月に承認されている。

リンク: EMAのプレスリリース
リンク: シャイアのプレスリリース

サノフィのDengvaxiaはデングウイルスの4価ワクチン(弱毒化、生)。デングは初回感染は軽いが二回目は重くなると言われている。Dengvaxiaは未感染者が摂取するといざ感染した時に深刻な状態になるリスクがあることが判明。公費で接種キャンペーンを行ったフィリピンで大きな問題になった。

CHMPは、WHOと同様に、風土病地域に住む9-45歳の未感染者に絞って承認を支持した。抗体検査は手間暇がかかるので、未感染者であることを確認しない国や地域もあるかもしれないので、この限定の有効性は曖昧だ。尚、EU居住者のほとんどが対象外となる。

リンク: EMAのプレスリリース
リンク: サノフィのプレスリリース(pdfファイル)

CSLベリングのOptaflu/Flucelvaxは犬の腎細胞で培養したインフルエンザワクチン。今回、鶏卵ベースのワクチンと同様な、A型とB型のインフルエンザウイルス各二種類を配合した4価ワクチンの承認が支持された。

アストラゼネカのBevespi Aerosphere(glycopyrronium、formoterol fumarate)は長期作用性ムスカリン拮抗剤と長期作用性ベータ2作用剤の固定用量合剤で、COPDの治療に用いる。13年にPearl Therapeuticsを5.6億ドル及び達成報奨金5.9億ドルで買収して入手した。

リンク: アストラゼネカのプレスリリース

Lupin Europe GmbHのNamuscla(mexiletine hydrochloride)は、非ジストロフィー性筋緊張障害(欧州で7500人の希少疾患)の初めての治療薬。活性成分は欧州で70年代に承認された抗不整脈薬。非ジストロフィー性筋緊張障害では筋細胞のNaイオンチャネルを阻害し、筋収縮を抑制、こわばりを緩和する。

リンク: EMAのプレスリリース

適応拡大では、MSDのKeytruda(pembrolizumab)を黒色腫の完全切除後のアジュバント療法として単剤投与することが支持された。リンパ節に及ぶ患者が適応になる。

リンク: EMAのプレスリリース


【承認】


FDA、ファイザーのPARP阻害剤を承認
(2018年10月16日発表)

FDAはファイザーのTalzenna(talazoparib)をBRCA変異陽性転移性乳癌に承認した。生殖細胞系または体細胞系BRCAに有害または有害と疑われる変異を持つ、her2陰性の局所進行性/転移性乳癌が適応になる。再発治療か否かは問わない。臨床試験ではPFSがメジアン8.6ヶ月と、対照群(capecitabineやeribulinなどから医師が選択)の5.6ヶ月を上回り、ハザードレシオは0.54、統計的に有意だった。

重要な有害事象はMDS(骨髄異形成症候群)やAML(急性骨髄性白血病)、骨髄抑制、胚胎児毒性など。

同じPARP阻害剤ではアストラゼネカのLynparza(olaparib)も類似した適応に承認されている。コンパニオンダイアグのスティックはどちらもMyriadのBRACAnalysis。WAC(卸向け販売価格)は月13886ドルの見込みで、これもLynparzaと同程度。

ファイザーが16年に買収したMedivationがその前年にバイオマリン社から資産取得したもの。ファイザー自身のPARP阻害剤は上記のようにClovis Oncologyが開発してRubraca(rucaparib)として販売しており、複雑だ。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: Myriadのプレスリリース
リンク: バイオマリンのプレスリリース

リジェネロン、デュピクセントが喘息症に適応拡大
(2018年10月19日発表)

リジェネロン・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:REGN)とサノフィは、Dupixent(dupilumab、和名デュピクセント)を喘息症の治療に用いる適応拡大がFDAに承認されたと発表した。中重度の好酸球性または経口コルチコステロイド依存の12歳以上の患者が適応になる。200mgまたは300mgを二週毎に皮注する。日本や欧州でも審査中。

IL-4受容体のアルファサブユニットに結合するトランスジェニックマウス由来の完全ヒト化抗体で、アトピー性皮膚炎治療薬として欧米で17年に、日本でも18年1月に、承認された。慢性副鼻腔炎の適応拡大試験も成功、第三の適応症になりそうだ。

リンク: 両社のプレスリリース







今週は以上です。

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2018年10月14日

2018年10月14日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • ジレニア、遅ればせながらフェーズIVコミットメント終了 
  • オプジーボ、小細胞性肺癌二次治療試験がフェール 
  • JNJ、S-ケタミンを欧州でも承認申請 
  • ノバルティス、SPMS用薬の承認申請受理 
  • FDA諮問委員会、救急用合成オピオイドの承認を支持 
  • G蛋白偏向MORアゴニストは委員の評価が分かれた 
  • ADA-SCIDの酵素補充療法が米国で承認 
  • イグザレルト、CAD/PADに適応拡大 
  • イグザレルト、TAVR試験が途中で打ち切りに 


【新薬開発】


ジレニア、遅ればせながらフェーズIVコミットメント終了
(2018年10月10日発表)

ノバルティスは、再発寛解型多発硬化症治療薬Gilenya(fingolimod、和名はノバルティスがジレニア、田辺三菱はイムセラ)のASSESS試験のヘッドラインを発表した。承認用量である0.5mgを投与した群は年率再発率が0.153とCopaxone群の0.258を下回り、p=0.0138と有意な差があった。0.25mg群も数値上は下回ったが有意差はなかった。

ノバルティスはGilenyaが米国で2010年に承認された時にこの試験の結果を15年7月までに提出するコミットメントを行ったが、組入れが順調に進まず、3年遅れとなった。GilenyaもCopaxoneも標準療法なので、集客不振は半量投与群の設定がボトルネックとなったのだろう。

FDAが半量試験を求めたのは、不整脈や感染症などのリスクに鑑み、至適用量をもう一度検討させる意図と推測される。その意味では、今回の結果はノバルティスに都合の良いものであった。用量設定の妥当性と、競合薬に対する優位性が明確になり、FDAに対してもテバに対しても胸を張ることができそうだ。

本試験で用いられたCopaxoneの20mg製剤(一日一回皮注)は既にGE化したが、米国での需要は40mg製剤(週3回皮注)にシフトしている。40mgの効果が20mgより高い訳ではないので、今回の結果を40mg製剤に当てはめてもよいのではないか。

リンク: ノバルティスのプレスリリース

オプジーボ、小細胞性肺癌二次治療試験がフェール
(2018年10月12日発表)

BMSは、Opdivo(nivolumab)のCM-331試験の結果を発表した。小細胞性肺癌の二次治療における延命効果をtopotecan(承認されている地域ではamrubicinも可)と比較したが、優越性を確認できなかった。

Opdivoは8月に米国で小細胞性肺癌の三次治療に用いることが承認された。加速承認なので、19年7月までに延命効果が既存の薬より優れていることを示すエビデンスを提出する必要があり、ちょっと困ったことになった。BMSだけでなく、最近気前よく加速承認しているFDAも、規律を示すために強く出るべきか、気長に待つか、悩まざるを得ないだろう。

小細胞性肺癌ではロシュのTecentriq(atezolizumab)の三剤併用試験が成功、今後、承認・普及していくだろう。一次治療で抗PD-L1抗体を用いた患者に二次治療で抗PD-1抗体を用いる意味があるかどうか、不明なので、BMSなど他の会社は、改めて薬効確認試験をロンチするか、Tecentriqのレジメンが承認されていない国でTecentriqと同様な二剤併用対照試験を行うか、適応拡大を断念するか、開発方針を練り直す必要がありそうだ。

普通の薬なら非劣性試験でもよいはずだが、抗癌剤はあまり見ない。深刻な副作用リスクがあるので薬効が非劣性であるだけでは同等と言い難いことが理由かもしれない。

リンク: BMSのプレスリリース


【承認申請】


JNJ、S-ケタミンを欧州でも承認申請
(2018年10月10日発表)

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、JNJ54135419(esketamine)を抗鬱剤としてEUに承認申請したと発表した。麻酔薬ケタミンのS異性体で、NMDA受容体を非競合的、活性依存的に拮抗し、ドパミンの再取込を阻害する。一日二回、点鼻する。難治性患者向けとされ、EUでは、二種類の薬による治療歴を持つ患者の三次治療薬という位置付けのようだ。米国でも9月に承認申請。

リンク: JNJのプレスリリース(pdfファイル)

ノバルティス、SPMS用薬の承認申請受理
(2018年10月8日発表)

ノバルティスは、BAF312(siponimod)を二次進行型多発性硬化症(SPMS)の治療薬として欧米で承認申請し、受理されたと発表した。SPMSは再発寛解型が進行して寛解期が無くなった状態。BAF312は同社のGilenya(fingolimod)と同じスフィンゴシン1燐酸(S1P)受容体アゴニストだが、免疫細胞などで発現するS1P1や神経細胞などのサバイバルに関与するS1P5に選択的で、S1P3作用が小さいため血管や筋細胞に対する毒性が小さい可能性がある。

臨床試験ではEDSSに基づく障害進行ハザードレシオが偽薬比0.79と有意な差があった。深刻な有害事象は18%と偽薬群の15%より多く発生した。血球、肝臓、心臓など様々な疾患が増加した。

米国は、ウルトラジェニクスから1.3億ドルで買収した優先審査バウチャーを使い、審査期限は19年3月となった。

リンク: ノバルティスのプレスリリース


【承認審査・委員会】


FDA諮問委員会、救急用合成オピオイドの承認を支持
(2018年10月12日発表)

FDAの麻酔鎮痛薬製品諮問委員会は、AcelRx Pharmaceuticals(Nasdaq:ACRX)が承認申請したDsuvia(sufentanil舌下錠)を検討し、13人の委員中10人が便益が危険を上回ると判定した。審査期限は11月3日。

Dsuviaは、高力価合成オピオイドであるsufentanilをディスポーザブル・プリフィルド・シングルドース・アプリケータに収めたもの。救急医療ではオピオイドを静注や硬膜外投与し、戦場では筋注することもあるようだ。Dsuviaは効果発現まで15分、1時間後にピークと通常の経口オピオイドより早いため、代替的な選択肢になりうる。米軍が開発資金を助成した。

EUでは今年6月にDzuveo名で承認された。

リンク: AcelRxのプレスリリース
リンク: 同社HPのDsuviaの解説(アプリケータの写真付き)

G蛋白偏向MORアゴニストは委員の評価が分かれた
(2018年10月11日発表)

同委員会は、Trevena(Nasdaq:TRVN)のTRV130(oliceridine)に関しては、賛成7人、反対8人と票が分かれた。静注オピオイドが必要な中重度疼痛の成人の治療薬として承認申請されたが、実薬対照試験が実施されておらず効果や安全性を比較できないことがボトルネックになった模様だ。米国ではオピオイド乱用が深刻な社会問題になっており、効果や安全性面で特に優れている薬でないかぎり冷淡に受け止められてしまうようだ。

TRV130はMOR(ミュー・オピオイド受容体)アゴニストで、MORの細胞内シグナル伝達経路のうちG蛋白をベータ・アレスチンより優先的に刺激するため、オピオイドにつきものの呼吸抑制や胃腸障害が起きにくいと考えられる。作用のオンセット・オフセットが早いという特徴もある。臨床試験でこれらの長所が確認されれば承認の道が開けるのではないか。

リンク: Tevenaのプレスリリース


【承認】


ADA-SCIDの酵素補充療法が米国で承認
(2018年10月5日発表)

FDAはLeadiant BiosciencesのRevcovi(elapegademase-lvlr)をADA-SCID(アデノシン・デアミナーゼ欠損による重症免疫不全症)の成人・小児の治療薬として承認した。

ADA-SCIDはアデノシン・デアミナーゼの遺伝子異常によりデオキシアデノシンがデオキシイノシンに変換されずに細胞内に蓄積。リンパ球が障害を受け重度の免疫不全を生じる。Leadiant社は酵素補充療法のAdagen(pegademase bovine)を販売しているが、Revcoviはウシ小腸由来ではなく遺伝子組換え品。

同社は希少疾患用薬のスペシャリストで、昨年2月にSigma-Tau Pharmaceuticalsから社名変更した。

リンク: Leadiantのプレスリリース

イグザレルト、CAD/PADに適応拡大
(2018年10月12日発表)

バイエルは、Xa阻害剤Xarelto(rivaroxaban、和名イグザレルト)を慢性冠動脈疾患や末梢動脈疾患の再発予防に用いる適応拡大がFDAに承認されたと発表した。低量アスピリンと併用で、2.5
mgを一日二回服用する。COMPASS試験では、MACE(主要有害心血管イベント)のリスクがアスピリンだけの群より24%小さかった。主に心血管死と虚血性脳卒中が少なかった。大出血は増加した。

尚、この試験は抗血小板薬併用(Dual Antiplatelet Therapy)が必要な患者は除外しており、二剤併用同士の優劣は検討されていない。

リンク: バイエルのプレスリリース


【医薬品の安全性】


イグザレルト、TAVR試験が途中で打ち切りに
(2018年10月3日発表)

バイエルがXarelto(rivaroxaban)の未承認用途に関するヘルスケア・プロフェッショナル・レターを発出していたことが判明した。TAVR(経カテーテル的大動脈弁置換術)後の血栓性疾患予防効果をclopidogrelと比較したGALILEO試験で死亡率などに群間の偏りが生じたというもの。

この試験は10mgを一日一回投与して、全死亡や脳卒中、全身性塞栓、心筋梗塞、肺塞栓症、深静脈血栓症、症候性弁塞栓などをclopidogrel(75mg一日一回)と比較した。最初の90日間は両群ともアスピリン(75~100mgを一日一回)を併用した。Xarelto群は中間解析で全死亡(6.8%対3.3%)や血栓塞栓、出血などの発生率が高かったとのことである。

リンク: バイエルのDear Healthcare Professional Letter(アイルランドの医療用製品規制局のサイト、pdfファイル)





今週は以上です。

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2018年10月7日

2018年10月7日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • EASD:イーライリリー、GIP/GLP-1受容体アゴニストなどのデータを発表 
  • EASD:GSK、GLP-1受容体アゴニストのCVOが成功 
  • アドセトリス、PTCLの一次治療試験成功 
  • ブルーバード・バイオ、ベータサラセミアの遺伝子療法をEUで承認申請 
  • Karyopharm、画期的作用機序の多発骨髄腫用薬の承認申請をFDAが受理 
  • もう一つのhATTR治療薬が承認 
  • Paratek、二つの抗生物質が相次ぎ承認 
  • ヘムライブラが米国でインヒビターを持たないA型血友病にも承認 
  • EMA、キノロン系抗生剤を市場回収・用途制限へ 


【新薬開発】


EASD:イーライリリー、GIP/GLP-1受容体アゴニストなどのデータを発表
(2018年10月4日発表)

イーライリリーは、GIP/GLP-1受容体デュアルアゴニストであるLY3298176の後期第二相二型糖尿病試験の結果をEASD(欧州糖尿病研究学会)とLancet誌で発表した。高用量は忍容性に問題がありそうだが、中間用量でも既存のGLP-1受容体アゴニストより血糖降下作用や体重減少作用が大きそうだ。

この試験は、二型糖尿病患者300人を偽薬群、1mg、5mg、10mg、15mg、Trulicity(dulaglutide)1.5mgの6群に無作為化割付して、26週後のHbA1cの変化を比較したもの。何れも週一回、皮注。

血糖降下剤は薬効評価の対象とすべきポピュレーションや期間に関する見解が定まっておらず、現状ではFDAとEMAが異なった解析を要求している。そのせいか、この試験でもイーライリリーのプレスリリースとLancet論文のA1c値が異なっている。後者のmITTによる解析だけ記すと、上記各群の低下は0.06%、1.06%、1.73%、1.89%、1.94%、1.21%だった。LY3298176の5mg以上は効果がTrulicityより高そうだ。

GLP-1受容体アゴニストは糖尿病薬には珍しく体重が減るのが特徴。この試験では、各群の体重が0.4、0.9、4.8、8.7、11.3、2.7kg減少した。ここでも5mg以上はTrulicityより大きな数値が出ている。15mg群の11kgというのは体重管理薬でも中々見れないほど大きい。

このクラスの薬の弱点は悪心や嘔吐などの胃腸毒性で、各群の発生率は9.8、23.1、32.7、51.0、66.0、42.6%。GLP-1作動剤の売れ筋であるTrulicityの数値が許容水準と考えると、10mg以上はあまりよくないことになる。有害事象で治験を離脱した患者の比率は5mgが9%、10mgが6%、15mgは24%、Trulicity11%となっており、15mgの忍容性は劣る。おそらくこれが理由で、15mg群のA1c目標達成率は10mg群より低い。

ノボ ノルディスクも長期作用性GLP-1誘導体、Ozempic(semaglutide)がTrulicity群も設定された臨床試験で良さそうな数値を出している。データと照らし合わせると、LY3298176の10mgのほうが効果が高いように見えるが、もし忍容性が十分でなく5mgしか実用化されなかった場合、差別化は難しそうだ。

イーライリリーは2022年頃の承認申請を計画している模様。

リンク: イーライリリーのプレスリリース
リンク: Friasらの治験論文(Lancet)

EASDではSGLT2阻害剤のJardiance(empagliflozin、和名ジャディアンス)の第三相一型糖尿病試験の結果も発表された。他のSGLT2阻害剤の試験と同様に、高量で糖尿病性ケトアシドーシスのリスクが見られたので、低量の薬効が十分かどうかが論点になりそうだ。

二型糖尿病の承認用量である10mgと25mgに加えて2.5mgもテストしたところ、偽薬調整後A1cが0.2~0.5%低下した。この数字を見てもわかるように、試験薬群ではインスリンの使用量を減らすことにも成功した。

低血糖は増加しなかった。糖尿病性ケトアシドーシスは2.5mg群では偽薬並みだったが10mgと25mgでは増加した。このため、適応拡大申請するとしたら2.5mgになりそうだ。

リンク: イーライリリーのプレスリリース

また、DPP4阻害剤のTradjenta/Trajenta(linagliptin、和名トラゼンタ)の心血管アウトカム試験、CARMELINAの結果も発表された。6979人の心血管リスクの高い二型糖尿病の成人を組入れて、Trajentaを使う群と使わない群のMACE(心血管疾患死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)のリスクをメジアン2.2年間追跡したところ、両群同程度だった。腎機能低下や心不全入院のリスクも同程度だった。

リンク: イーライリリーのプレスリリース

EASD:GSK、GLP-1受容体アゴニストのCVOが成功
(2018年10月2日発表)

EASDとLancet誌では、グラクソ・スミスクラインのGLP-1受容体アゴニスト、Tanzeum/Eperzan(albiglutide)の心血管アウトカム試験が成功したことも発表された。9463人の高リスク患者をメジアン1.6年間追跡したところ、MACE(心血管疾患死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)の発生率が7.1%と対照群の9.0%を下回り、非劣性解析だけでなく優越性解析も成功した。

Human Genome Sciences社が企業買収で獲得したアルブミン融合技術を用いて半減期を長期化した遺伝子組換え型ヒトGLP-1で、14年に欧米で二型糖尿病薬として承認されたが、ライセンス後に同社を買収したGSKは、昨年、事業の選択と集中を推進する目的で、販売を中止した。今回のHarmony試験の成功を受けて、事業譲渡努力を続ける予定。

リンク: GSKのプレスリリース

アドセトリス、PTCLの一次治療試験成功
(2018年10月2日発表)

シアトルジェネティクス(Nasdaq:SGEN)と武田薬品は、Adcetris(brentuximab vedotin、和名アドセトリス)の第三相一次治療試験が成功したと発表した。

CD30陽性PTCL(末梢T細胞リンパ腫)における標準レジメンであるCHOP(cyclophosphamide、doxorubicin、vincristine、prednisolone)と、このうちvincristineに代えてAdcentrisを使うレジメンの第三者査読PFS(無進行生存期間)を比較したところ、ハザードレシオ0.71、p=0.011と有意に改善した。二次的評価項目である全生存期間もハザードレシオ0.66、p=0.0244となった。

詳細はASH米国血液学会で発表する予定。

Adcetrisはシアトルジェネティクスが開発し北米以外では武田薬品が開発販売する、CD30を標的とする抗体とMMAE細胞毒をリンカーで繋げた抗体薬物複合体。ホジキン型リンパ腫、全身性異形成大細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫などに承認されている。今回のPTCLでも適応拡大申請される見込み。

リンク: 両社のプレスリリース(和文)


【承認申請】


ブルーバード・バイオ、ベータサラセミアの遺伝子療法をEUで承認申請
(2018年10月5日発表)

ブルーバード・バイオ(Nasdaq:BLUE)は、LentiGlobinの販売承認申請をEMA欧州薬品局が受理したと発表した。加速審査を受ける。適応は、輸血依存のベータセラサミアでbeta0/beta0遺伝子型ではない成人と青年。

患者数が世界で288000人と推定される重度遺伝子疾患で、ベータグロブリンの遺伝子欠損が原因でヘモグロビンが欠乏する。LentiGlobinはex vivo遺伝子療法で、患者から採取・精製したCD34陽性細胞にレンチウイルスベクターを用いてベータグロブリン(T87Q置換型)を導入する。臨床試験では多くの患者が赤血球輸血不要になった。ヘモグロビンを殆ど作れないbeta0/beta0型でも輸血が減少した。

リンク: ブルーバード・バイオのプレスリリース

Karyopharm、画期的作用機序の多発骨髄腫用薬の承認申請をFDAが受理
(2018年10月5日発表)

Karyopharm Therapeutics(Nasdaq:KPTI)は、FDAがKPT-330(selinexor)の承認申請を受理したと発表した。優先審査を受け、審査期限は来年4月6日。

腫瘍抑制的な作用を持つ蛋白を細胞核の外に輸送する蛋白、exportin 1に結合・阻害する経口剤。多発骨髄腫でアルキル化剤、ステロイド、免疫調整剤2剤、プロテアソーム阻害剤2剤、Darzalex(daratumumab)の全ての治療歴を持つ『ペンタ難治性』多発骨髄腫に用いる。

リンク: Karyopharmのプレスリリース


【承認】


もう一つのhATTR治療薬が承認
(2018年10月5日発表)

Ionis Pharmaceuticals(Nasdaq:IONS)とその関連会社であるAkcea Therapeutics(Nasdaq:AKCA)は、FDAがTegsedi(inotersen)をhATTR(先天性トランスサイレチン調停アミロイドーシス)の成人のポリニューロパチー治療薬として承認したと発表した。

アルナイラム(Nasdaq:ALNY)のOnpattro(patisiran)も同じ用途で8月に欧米で承認されている。TegsediはIonisの得意分野であるアンチセンス技術、Onpattroはアルナイラムの得意であるsiRNA技術を用いて創製された。夫々の治験成績を見ると、Onpattroのほうが効果が高そうだ。TegsediはOnpattroと同じ年45000ドルで発売されるが、Onpattro同様に不応時返金制などが導入されるのではないか。

リンク: 両社のプレスリリース

Paratek、二つの抗生物質が相次ぎ承認
(2018年10月2日発表)

Paratek Pharmaceuticals(Nasdaq:PRTK)は、FDAがテトラサイクリン系抗生剤を承認したと同日に二回、発表した。一つはNuzyra(omadacycline)で、地域感染細菌性肺炎と急性皮膚皮膚構造感染症の治療に用いる。スペクトラムがグラム陽性菌、陰性菌、非定型菌、薬物耐性菌などと広く、注射用と経口剤を揃えていて一日一回投与で足りることが特徴。レーベルには、moxifloxacin対照試験で奏効率は非劣性だったが死亡率がやや高かったことが記されている。欧州でも申請中。

omadacyclineは共同開発歴が豊富で、99年にグラクソと、03年にバイエルと、05年にMSDと、09年にノバルティスと提携した。一因は、抗生物質の開発の難しさだろう。耐性菌対策の取っておきの薬は取って置かれて中々使われない難があるのだ。製薬会社の開発意欲を高めるために、使っても使わなくても毎年一定額を支払う定額課金モデルの導入が幾つか国で検討されているようだが、米国やドイツのように保険組織が細分化されている国では簡単には進まないかもしれない。

リンク: Paratekのプレスリリース(Nuzyra)

もう一つはSeysara(sarecycline)。9歳以上の中重度尋常性ざ瘡の治療に、一日一回経口投与する。こちらは逆にスペクトラムが狭いことが特徴。

Alleragan(NYSE:AGN)が米国の権利を取得し承認申請したが、先月、権利をAlmirallに譲渡した。Paratekの売上ロイヤルティ率は一桁台後半から二桁台前半。

リンク: 同(Seysara)

ヘムライブラが米国でインヒビターを持たないA型血友病にも承認
(2018年10月4日発表)

ロシュは、FDAがHemlibra(emicizumab-kxwh、和名ヘムライブラ)の適応拡大を承認したと発表した。07年に、A型血友病のうちインヒビターを持ち血液凝固第VIII因子が無効な患者の出血予防薬として承認されたが、今回、インヒビターのない患者の予防も承認された。また、週一回投与に加えて、二週間または四週間に一回の投与法も認められた。

リンク: ロシュのプレスリリース

【医薬品の安全性】


EMA、キノロン系抗生剤を市場回収・用途制限へ
(2018年10月5日発表)

EMA(欧州薬品庁)のPRAC(薬物監視リスク評価委員会)は、フルオロキノロン系とキノロン系の抗生剤の使用を制限するようEMAに勧告した。稀にではあるが、筋、腱、骨、神経系の副作用が発生して障害が長期間持続することがあるため。

適応から除外されるのは、自然軽快が見込まれる、あるいは重度ではない、感染症、『旅行者の下痢』の予防、再発性下部尿路感染症、フルオロキノロン/キノロン系の使用による深刻副作用歴、軽度・中程度深刻感染症の治療(多剤不適例を除く)。高齢者や腎障害、臓器移植歴、全身性コルチコステロイド同時使用例は特に注意が必要。

全てのキノロンと一部のフルオロキノロンは適応がなくなるため市場から回収されることになる。

PRACは副作用の最初の兆候が現れたら治療を止めるよう医療従事者に勧告した。具体的には、腱の炎症や断裂、筋痛・筋力低下、関節痛・腫脹、ピンや針で刺されたような痛み、疲労感、うつ病、混乱、自殺思考、睡眠障害、視覚・聴覚障害、味覚臭覚異常など。

リンク: EMAのプレスリリース







今週は以上です。

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