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10月, 2020の投稿を表示しています

第971回

  【ニュース・ヘッドライン】 COVID-19:リジェネロンも抗体医薬の入院患者試験組入れを部分停止  COVID-19:リジェネロンの抗体医薬の外来治療試験が成功  アッヴィ、老眼治療薬を承認申請へ  ファイザー、JAK1阻害剤をアトピー性皮膚炎に承認申請  リジェネロン/サノフィ、抗PD-1抗体をNSCLC1Lに承認申請  第一三共/アストラゼネカ、米国でもエンハーツを胃癌に効能追加申請  JNJ、Xareltoを下肢血行再建術後血栓予防に適応拡大申請  ドライアイのステロイド治療薬が承認  【今週の話題】 COVID-19:リジェネロンも抗体医薬の入院患者試験組入れを部分停止 (2020年10月30日発表) リジェネロン・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:REGN)は二種類の抗SARS-CoV-2抗体のカクテルであるREGN-COV2を軽中等症外来患者や中等症重症入院患者の治療、そして濃厚接触者などの暴露後予防に第2/3相や第3相試験を実施中。外来治療試験は仮説検証的コフォートの解析が良好な結果になったことが発表された(次項参照)が、中等重症入院患者試験は独立データ監視委員会がハイフロー酸素投与や人工呼吸器装着コフォートの新規組み入れを一時停止するよう勧告した。安全性に係るシグナルが見られたため。ローフロー酸素投与や酸素投与不要患者のコフォートの組入れは継続する。また、外来治療試験については組入れ停止勧告していない。 イーライリリーの抗SARS-CoV-2抗体医薬、LY-CoV555(bamlanivimab)も、NIAID(米国立アレルギー・感染症研究所)主導の入院患者試験、ACTIV-3の新規組入れが中止になった。元々はREGN-COV2と同様に安全性懸念が生じて組入れ停止になったのだが、精査の結果、安全性面での顕著な群間差は見られなかったものの、便益も見られなかった。NIAIDやイーライリリーの外来治療試験や予防試験は続行。 リジェネロンの入院患者試験は、ハイフロー酸素/人工呼吸器患者の追加分析で暗雲が晴れて再開される可能性が未だ残っているが、別々に行われた類似した薬の試験が似たような結果になってきたことを考えると、抗体医薬は肺炎を合併し呼吸窮迫が重症化した患者には無効、あるいは...

第970回

  【ニュース・ヘッドライン】 COVID-19:FDA諮問委員会の論点  COVID-19:レムデシビルが本承認に  バイエル、新薬が第3相で糖尿病性腎症の悪化を抑制  ダラザレックスの幹細胞移植後地固め試験が成功  MSDの肺炎球菌ワクチン、複数の第3相が成功  ユニバーサル・インフルエンザ・ワクチンの第3相がフェール  アストラゼネカ、タグリッソのアジュバント療法を承認申請  ファイザー、20価肺炎球菌結合型ワクチンを承認申請  【今週の話題】 COVID-19:FDA諮問委員会の論点 (2020年10月22日発表) FDAは10月22日にワクチン等生物学的製品諮問委員会を招集し、COVID-19ワクチンの承認審査基準などについて意見を聞いた。論点は多岐にわたり、多数決やコンセンサス形成を目的とする会議でもないため報道者泣かせだが、諮問委員から異論が出た主要な点について、各種報道等に基づき、まとめたい。 現在、欧米の企業では独BioNTech/ファイザーや米Moderna社、アストラゼネカ、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどがリピッド・ナノパーティクル法やアデノウイルス法によるmRNAワクチンの大規模な第3相試験を実施している。BioNTech/ファイザーとModernaは年内にもEUA(非常時使用認可)を申請する計画だ。 FDAはガイダンス草案を公表すると共に、今回、主要な論点について意見を求めた。尚、個々のワクチンの当否については承認申請後に改めて諮問委員会が招集される見込み。 まず、安全性に関しては、追跡期間が議論になった。FDAは第3相試験の被験者の過半について最終接種(上記のうちJNJ以外は2回接種を採用)後に2ヶ月以上追跡するよう求めた。ワクチンの有害事象は接種後1~2ヶ月の間に表面化することが多いからだ。反対意見は、期間というよりは、重症化リスクの高いサブグループ(高齢者、特定の疾患、マイノリティ)の症例数が不足することを懸念する声や、ワクチン開発者からは、割合ではなく実数で判断すべきという声もあった(JNJは6万人規模なのでその5割となると先行3社の第3相の全員に匹敵する)。 ワクチンの有効率(感染者を何割減らせるか)に関しては、FDAは点推定値50%、95%信頼区間...

第969回

  【ニュース・ヘッドライン】 COVID-19:remdesivir、WHOの試験はフェール!  COVID-19:remdesivir、WHOの試験はフェール  COVID-19:JNJもワクチンの投与を一時停止  バイエル、PI3K阻害剤の第3相が成功  BMS、S1PR1/5調節剤の潰瘍性大腸炎試験が成功  大塚製薬、8億ドルで買収した会社の開発品がフェール  経口抗真菌薬を承認申請  Agios社、IDH1阻害剤の欧州承認申請を撤回  CHMP、KiteのCAR-Tなどの承認を支持  FDA、キイトルーダをホジキンリンパ腫の二次治療薬として承認  FDA、リジェネロンのエボラ治療用抗体カクテルを承認  アレクシオン、高濃度ユルトミリスが承認  FDA、妊娠20週以降はNSAIDsを服用しないよう勧告  【今週の話題】 COVID-19:remdesivir、WHOの試験はフェール! (2020年10月15日公開) WHOが主導したCOVID-19入院患者の大規模治療試験、SOLIDARITYの治験論文の原稿が査読前論文サーバーであるmedRxivのウェブサイトで公開された。ギリアド・サイエンシズ(Nasdaq:GILD)のVeklury(remdesivir)はNIH(米国立衛生研究所)が主導したACTT-1試験で入院期間短縮効果を示し、死亡リスク抑制作用は有意ではなかったが点推定値自体は良かった。主としてこの試験のデータに基づき米国でEUA(非常時使用認可)、EUで条件付き承認、日本でも特例承認されたが、今回の試験では死亡リスクも入院期間も対照群(各地域の標準的医療のみ)と大差なかった。 用量や投与期間(10日間)はACTT-1試験と同じ。死亡リスクの検出力はSOLIDARITY試験のほうがはるかに高いので信頼性も高い。入院期間に関しても症例数が多いSOLIDARITY試験のほうが信頼できるはずだが情報量が少ないので、良く分からない。 査読の過程で判断材料に使われた指標や記述が変わることもあるので、論文と第三者による論評が刊行された段階で、改めて、ACTT-1試験などとの整合性が論じられることになりそうだ。 SOLIDARITYの特徴:無作為化割付対照試験。オープン・レ...

第968回

  【ニュース・ヘッドライン】 COVID-19:オルミエントの便益は限定的  COVID-19:リジェネロンも抗体医薬をEUA申請  COVID-19:アストラゼネカの抗体医薬も第3相入り  心筋ミオシン活性化薬のアウトカム試験が成功  ジャズ、Xywavの過眠症試験が成功  ファイザー、イブランスのアジュバント試験がまたフェール  SOBI、化学療法誘導性血小板減少症の予防試験がフェール  【今週の話題】 COVID-19:オルミエントの便益は限定的 (2020年10月8日発表) 既報のように、インサイト(Nasdaq:INCY)がイーライリリーと共同開発販売しているJAK1/2阻害剤Olumiant(baricitinib、和名オルミエント)は、NIAID(米国アレルギー・感染症研究所)主導のACTT-2試験が成功。COVID-19感染入院患者にVeklury(remdesivir)と併用するとVeklury・偽薬併用より退院が1日早まることが明らかになった。今回、学会発表に合わせてもう少し詳しいデータが発表されたが、今一つ感は払拭されなかった。 この試験は、肺CT所見または呼吸機能低下のある患者1000人超を組入れて偽薬併用群とOlumiant併用群の回復(退院又は医療ケア不要化)までの期間を比較したところ、メジアン値は各8日と7日、発生率比は1.16、p=0.04だった。特に、ベースライン時点で酸素投与を受けていたサブグループやハイ・フロー酸素/非侵襲的換気を受けていたサブグループの便益が大きかったようだ。副次的評価項目に関しては、症状改善オッズ比は1.3、p=0.04、29日死亡率は各7.8%と5.1%でp=0.09だった。 このように、p値は何れも0.01以上で統計学的に高度に有意とは言えない。死亡率の数値は良好だが有意ではない。罹患期間は1日短縮するがインフルエンザ治療薬の治療効果が5日から4日に2割短縮と比べると短縮率が小さい。上記サブグループにおける効果がどの程度だったのか、知りたいものだ。 p値が0.01を上回ったので本来ならもう一本、試験を成功させることが望ましい。イーライリリー自身も入院患者600人の第3相を行っているが、remdesivirやdexamethasone...

第967号(臨時発行)

  今週はCOVID-19抗体医薬などトピックスが多いので臨時的に発行しました 【ニュース・ヘッドライン】 COVID-19:トランプ大統領の入院(備忘録)  COVID-19:イーライリリー、抗体医薬のEUAを申請  COVID-19:EMA、BioNTech/ファイザーのワクチンのローリング審査を開始  早産予防用のプロゲスチンの承認が終焉へ  アムジェン、G12C変異KRAS阻害剤の第2相が良績に  オプジーボの非小細胞性肺癌ネオアジュバント試験が成功  BMS、メラノーマ術後アジュバント試験でオプジーボ・ヤーボイ併用がフェール  イデベノンのデュシェンヌ筋ジストロフィー試験がフェール  Y-mAbs、FDAがomburtamabの承認申請を受理せず  【今週の話題】 COVID-19:トランプ大統領の入院(備忘録) (2020年10月6日時点) トランプ大統領が感染したのは、ブラジルや英国の首脳の前例があるので、驚きではないが、治療内容と退院の速さには驚かされる。日本でも色々な報道があるが推測だけで根拠のない言説も見られるので、最低限ではあるもののファクト・ファインディングを行って備忘録としたい。以下、日付は現地時間。 COVID-19陽性確認時期:トランプ大統領がツイッターで公表したのは10月2日(金)午前1時ごろ。検査を受けたのは10月1日にヒックス大統領顧問の感染が確認されたことがきっかけ。一部報道によると、10月1日に迅速検査で陽性判定が出たため精度の高い検査を受け、夜分に陽性であることが確認された。 感染時期:不明。疑われているのは9月26日にホワイトハウスの園庭で行われた連邦最高裁判事を指名する式典だ。出席者がマスクは付けずに抱擁したりしていた。8人が後に陽性となった。 入院治療: 10月2日、米軍のWalter Reed National Military Medical Centerに入院。症状は発熱、酸素飽和度が低下し酸素投与を1時間程度実施(複数の報道によると入院前にも投与した)。薬物療法は、主治医の発表によると、リジェネロン・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:REGN)の抗体医薬カクテル、REGN-COV2を8mg投与。他に亜鉛、famotidin...

第966回

  【ニュース・ヘッドライン】 COVID-19:トランプ大統領はリジェネロンの抗体カクテルを使用!  COVID-19:EMAがアストラゼネカのワクチンのローリング審査を開始  アルナイラム、高シュウ酸尿症I型用薬の幼児試験が成功  レルゴリクスの前立腺癌進行抑制効果はリュープロリドと大差ない  アイアンウッド社、コレセベラムの逆流性食道炎適応を断念  サノフィ、ポンペ病の酵素補充療法をEUで承認申請  JNJ、ウプトラビの静注用を米国で承認申請  テムセルは米国では審査完了に  FDA、オプジーボとヤーボイの併用を悪性胸膜中皮腫に適応拡大  塩野義、米国でcefiderocolが適応拡大  【今週の話題】 COVID-19:トランプ大統領はリジェネロンの抗体カクテルを使用! (2020年9月29日発表) トランプ大統領はリジェネロン・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:REGN)のREGN-COV2(8g)による治療を受けたようだ。主治医が公表したと米国の複数のメディアが報道している。米国はギリアド・サイエンシズ(Nasdaq:GILD)のVeklury(remdesivir)やGE薬であるdexamethasoneが承認されている。トランプ大統領は、かって、hydroxychloroquineが有効と発言したこともある。それにもかかわらず自分が感染すると誰にも言わなかった薬を使うのだから、流石、セレブは違う。ちょうど初期臨床データが発表されたところなので、概観してみよう。 REGN-COV2は、SARS-CoV-2ウイルスが細胞に侵入する時に用いるスパイク蛋白の異なった受容体結合ドメインに結合する二種類の抗体、REGN10933とREGN10987のカクテル療法。イーライリリーが先日発表したLY-CoV555のデータからも明らかなように、一種類の抗体だけでは耐性が生じてしまう可能性があり、リリー自身も含めて多くの会社がカクテル化している。リジェネロンは深刻な感染症であるエボラ・ウイルス疾患の治療に用いる三種類の抗体のカクテル、REGN-EB3の開発に成功した、大きな実績を持っている。 入院治療、外来治療、そして家庭内感染予防に用いる第1/2/3相試験が進行中。リジェネロンは外来治療試験...