投稿

8月, 2023の投稿を表示しています

第1117回

  【ニュース・ヘッドライン】 ウゴービ、今度は心不全試験が成功  カボメティクス、NET試験が成功、mCRPC試験はフェール  レットヴィモの甲状腺髄様腫試験が成功  キイトルーダ・レンビマ併用試験がまたフェール  Rybrevantの化学療法併用をsBLA  イクスタンジを高リスク去勢感受性前立腺癌に適応拡大申請  セルヴィエ、IDH1阻害剤の適応拡大を申請  Geron社、テロメラーゼ阻害剤の優先審査ならず  胎児のRSV予防ワクチンが米欧で承認  【新薬開発】 ウゴービ、今度は心不全試験が成功 (2023年8月25日発表) ノボ ノルディスクはGLP-1作用剤Wegovy(semaglutide)のSTEP HFpEF試験の結果をESC(欧州心臓学会)とNew England Journal of Medicine誌で発表した。駆出率を保持している心不全(HFpEF)の肥満症患者における心不全症状改善効果が確認された。既に承認されている適応と推測されるが、臨床的な便益が確立すれば保険還付を受けられるようになるだろう。先ごろ成功発表された心血管疾患再発予防試験、SELECTとともに、レーベル収載申請を行う考え。 今回の試験は、承認用量である2.4mgを週一回、52週間に亘り皮下注射して、KCCQ-CSS(カンザスシティ心筋症質問票-臨床要約スコア)の変化を偽薬群と比較したところ、各群16.6点と8.7点上昇(改善)し、有意な差があった。共同主評価項目である体重も各群13.3%と2.6%減少し有意差があった。副次的評価項目の6分歩行テストは各群21.5メートルと1.2メートル改善した。深刻有害事象の発生率は試験薬群より低かったが有害事象による治験離脱率は各群13%と5%だった。 SELECT試験の主評価項目は心血管死/非致死的心筋梗塞/非致死的卒中という重大イベントの複合評価項目だった。今回は症状や身体的制限に関する患者の主観的評価で、心不全の確立した評価手法とのことだが、客観性や迫力の点で見劣りする。 他剤では、ベーリンガー・インゲルハイム/イーライリリーのSGLT2阻害剤Jardiance(empagliflozin)がEMPEROR-Preserved試験でHFpEFの心血管死/心不...

第1116回

  【ニュース・ヘッドライン】 HIF-2アルファ阻害剤はVHL病関連以外の腎臓癌にも有効  Tukysaはカドサイラ併用も有効  IgA腎症治療薬の本承認を申請  抗CD20xCD3抗体を欧州で承認申請  デルゴシチニブのクリーム製剤を欧州で承認申請  チクングニア熱ワクチンの承認遅延  VMAT2阻害剤がハンチントン舞踏病に適応拡大  CHAPLE症候群用薬などが承認  イプセン、異所性骨化抑制薬が承認  ファイザーの抗BCMAxCD3抗体も承認  【新薬開発】 HIF-2アルファ阻害剤はVHL病関連以外の腎臓癌にも有効 (2023年8月18日発表) MSDはWelireg(belzutifan)の第3相LITESPARK-005試験で主評価項目の一つを達成したと発表した。抗PD-1/L1抗体とVEGFRチロシン・キナーゼ阻害剤による治療歴を持つ進行腎細胞腫を組入れて120mgを一日一回経口投与する効果を実薬であるeverolimusと比較したところ、盲検独立中央評価委員会が中間解析でPFS(無進行生存期間)が統計的に有意に優れると認定した。臨床的に見ても意味のある差があった由。共同主評価項目である全生存期間はトレンドに留まっており、継続追跡して次の解析に向かう。 低酸素誘導因子2アルファ(HIF-2α)の阻害薬で、21年に米国で即時手術の必要はないフォンヒッペル・リンドウ病(VHL)関連腎細胞腫などに用いることが承認された。臨床試験でORR(客観的反応率、独立評価委員会方式)が49%、深刻有害事象の発生率は15%だった。HIF-2は酸欠時に活性化される転写因子で、HIF-2をスクラップする酵素を阻害する薬が日本などで貧血治療薬として承認されている。Weliregは裏返しなので重度貧血症のリスクがあるが、発現時に赤血球生成因子で治療することは推奨されていない。レーベルによると試験されていないことが理由とのことだが、何故試験されなかったのかは不明。 リンク: MSDのプレスリリース Tukysaはカドサイラ併用も有効 (2023年8月16日発表) Seagen(Nasdaq:SGEN)は、her2チロシン・キナーゼ阻害剤Tukysa(tucatinib)の第3相HER...

第1115回

【ニュース・ヘッドライン】 ノバルティス、BTK阻害剤の慢性蕁麻疹試験が成功  ウゴービの心血管アウトカム試験が成功  打ち切られた第3相社交不安障害試験が良好な結果に  Bavarian Nordic、チクングニア・ワクチンの二本目の第3相が成功  Basilea、MRSA作用剤を16年ぶりに米国申請  放射線療法の副作用対策用薬は承認されず  EU、ノバルティスの鎌状赤血球症用薬の承認を取消  Akeegaが米国でも承認  ヤンセン、またまた多発骨髄腫用薬が承認  第2のRET阻害剤も本承認切替え  【新薬開発】 ノバルティス、BTK阻害剤の慢性蕁麻疹試験が成功 (2023年8月9日発表) ノバルティスはLOU-064(remibrutinib)の第3相慢性特発性蕁麻疹試験二本で主目的を達成したと発表した。抗ヒスタミンに十分応答しない患者を組入れて25mgを一日二回、経口投与したところ、第12週の疾病活性スコア(weekly urticaria activity score)が偽薬比有意に改善した。同薬のようなBTK阻害剤は肝毒性が散見されるが、当試験では群間の偏りは見られなかった由。延長試験で長期投与時の効果や安全性を確認し24年に承認申請する予定。 BTK阻害剤は血液癌に承認されているが、remibrutinibは慢性疾患に開発されており、多発硬化症でも第3相入りしている。 リンク: 同社のプレスリリース ウゴービの心血管アウトカム試験が成功 (2023年8月8日発表) ノボ ノルディスクは大ヒット中の体重管理用薬Wegovy(semaglutide)の心血管疾患(CVD)再発防止試験、SELECTのヘッドライン結果を公表した。年齢が45才以上、BMIが27kg/m2以上で糖尿病歴のないCVD患者17,604人を偽薬群と試験薬群(2.4mgを週一回皮下注)に無作為化割付けして最大5年間追跡し、MACE(心血管死、非致死的心筋梗塞、または非致死的脳卒中)の何れかが発生するまでの期間を比較したところ、試験薬群は20%少なかった。個々のイベントでも優越していた。肥満症やオーバーウェイトを治療する意義は必ずしも確立しておらず、医療予算の配分の面では優先順位が高いとは言い難いが、...

第1114回

【ニュース・ヘッドライン】 価格破壊型ベンチャーが幕引きへ  レットヴィモ、一次治療試験が成功  アムジェン、抗DLL3 BiTE抗体の承認申請を検討  TAAR1アゴニストの第3相がフェール  ACIP、Beyfortusの接種勧奨を支持  米国版テムセルは今度も承認されず  アステラスの地図状萎縮治療薬が承認  経口産後鬱治療薬が承認  ロンサーフとベバシズマブの併用が承認  GSKの抗PD-1抗体が悪性遺伝子変異を持つ内膜腫の一次治療薬に承認  【今週の話題】 価格破壊型ベンチャーが幕引きへ (2023年8月1日発表) 米国の新興医薬品開発会社EQRx(Nasdaq:EQRX)は、Revolution Medicines(Nasdaq:RVMD)の買収オファーに同意した。株式交換方式で、比率はEQRxの臨時株主総会の前に最終決定するが、Revolutionの株価に大きな変動がなければ、およそ10億ドルに相当すると推測される。 EQRxは中国企業が開発したme-too-drugを米国で既存薬より安価に販売するユニークな戦略を打ち上げていた。創立者はFoundation Medicine(ロシュが買収)やBlueprint Medicenesなど多くのバイオベンチャーの創立者/共同創立者でもある著名なアントレプレナーのAlexis Borisy。ソフトバンクのベンチャー・キャピタルの出資先でもある(今年1月にグループ内の株式移転がSECに届出されている)。 翰森製薬集団が中国で2020年に承認取得したEGFRチロシン・キナーゼ阻害剤や、基石薬業が21年に中国で承認取得した抗PD-L1抗体を欧州で承認申請した。しかし、米国では、FDAが中国で実施された臨床試験のデザインや結果に関する信憑性に疑問を表明したため、戦略が行き詰った。 Revolution Medicinesも氏が取締役を務める新興医薬品開発会社で、RASが駆動する癌の治療薬を複数、開発している。ベンチャー企業の資金調達が容易でなくなった今日でもキャッシュ・リッチで、今回の買収も新たなキャッシュと従業員の獲得が狙いでパイプラインの開発は中止する考えのようだ。 人的な繋がりを考えれば、華々しく立ち上げた価格破壊型ベンチャーの幕引きを図っ...