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7月, 2021の投稿を表示しています

第1010回

【ニュース・ヘッドライン】 COVID-19関連:   ロナプリーブが暴露後予防にEUA  コミナティの効果のオンセットとディケイ  MMWR:ワクチン接種してもデルタ株には要警戒  その他の領域:   デュピクセントの第3相蕁麻疹試験が成功  ロシュ、二重特異性抗体を網膜疾患に承認申請  NHE3阻害剤は承認されず  インサイトの抗PD-1抗体は承認されず  sulopenemは承認されず  BMS、オプジーボ単剤の肝細胞腫適応を返上  ヌーカラが鼻ポリープに適応拡大  ウプトラビの静注用製剤が承認  キイトルーダ、TNBC切除術付随療法が今度は承認  2月に加速承認されたメルファラン系新薬に死亡リスク浮上  【COVID-19関連】 ロナプリーブが暴露後予防にEUA (2021年7月30日発表) FDAは、リジェネロン・ファーマシューティカルズのREGEN-COV(casirivimabとimdevimab、和名ロナプリーブ)をCOVID-19感染者の濃厚接触者や同施設入居者の暴露後予防に用いることをEUA(非常時使用認可)した。前者は1.8メートル以内に24時間累積で15分以上いた人、後者は高齢者施設や刑務所入所者などを指す。年齢12歳以上かつ体重40kg以上で、ワクチン接種を完了していない、あるいは免疫抑制剤使用などにより免疫が低下している人が適応。点滴または皮注、一回投与だが、継続的暴露が予想される人は4週毎投与も可。 この抗SARS-CoV-2カクテルは重症化リスクを持つ軽中度COVID-19感染症患者に発症後10日以内に点滴・皮注することがEUAされているが、少なくとも現時点では、入院・酸素投与が必要な患者に対する便益は示されていないと注記されている。また、投与方法は点滴が強力推奨で、皮注はやむを得ない場合に限定されているが、今回はなぜか限定されていない。 今回のほうが使いやすく、需要拡大に資するだろう。ワクチン接種未完了者などに限定されたのは意外だが、中和抗体補充療法は感染またはワクチン接種により自力で抗体を作れた人にはあまり効かなそうなので、止むを得ない。 臨床試験では、ベースライン時点でRT-PCRまたは血清陰性だった人では症候性感染症の発症を81%抑制、全被験者でも6...

第1009回

【ニュース・ヘッドライン】 COVID-19関連:   ロナプリーブが日本で世界初承認  EMA、IL-1受容体アンタゴニストの適応拡大申請を受理  CHMP、モデルナのワクチンを12-17歳に接種しても良い  EMAもGBSをヤンセンのワクチンのリスクとして記載  その他の領域:   ノバルティス、アロステリックABL阻害剤を承認申請  ファイザーのJAK阻害剤二剤、承認が更に遅延  tenapanorの承認が遅延  CHMP、ポンペ病用薬の承認に肯定的意見  家族性肝内胆汁うっ滞の対症療法が承認  アフリカ睡眠病の経口治療薬が米国でも承認  MSD、15価肺炎球菌結合ワクチンが承認  ☆休む予定でしたが間に合ったのでリリースします 【COVID-19関連】 ロナプリーブが日本で世界初承認 (2021年7月20日発表) リジェネロン・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:REGN)および米国外における開発販売パートナーであるロシュは、ロナプリーブ(カシリビマブ、イムデビマブ)が日本でCOVID-19治療薬として承認されたと発表した。ロシュの日本子会社である中外製薬が申請していたもので、12歳且つ体重40kg以上の小児・成人で酸素投与の必要がないが重症化リスク因子を持つ軽症から中等症Iの入院患者に用いる。 両社によると、この抗SARS-COV-2抗体カクテルが承認されたのは世界で初めて。米独仏伊などで既に販売されているので違和感があるが、非常時使用認可(EUA)制度に基づくもので正式な販売承認ではないので、日本の特例承認とは異なるという整理なのだろう。 適応は若干異なり、米国のEUAは外来患者が対象で、ファクトシートには入院患者に対する便益は確立していないと記されている。オックスフォード大学が主導したRECOVERY試験では、入院患者のうち抗SARS-CoV-2抗体陰性サブグループ(全被験者の1/3)の死亡率が24%と通常医療のみの30%を有意に下回ったが、抗SARS-CoV-2抗体陽性患者では便益が見られず、全集団の解析でも有意な差はなかった。当該サブグループの66%はベースライン時点で酸素投与を、20%は非侵襲的換気を受けていたので、日本の適応範囲とはあまり一致しない。 リジェネロ...

第1008回

  【ニュース・ヘッドライン】 COVID-19関連:   ヤンセンのワクチンでギラン・バレー報告  その他の領域:   ANAがAuhelmの加速承認に不満を表明  GSK、HIF-PH阻害剤の第3相がすべて成功  キイトルーダ、TNBC補助療法試験がEFS達成  オプジーボとヤーボイの頭頚部癌一次治療試験が目的未達  FDA諮問委員会、エベレンゾの承認に反対  ROCK2阻害剤が慢性移植片宿主病に承認  FDA、観察的試験に基づきプログラフを肺移植患者向けに承認  ダラキューロが七つ目の適応・用法を獲得  ☆来週はお休みします 【COVID-19関連】 ヤンセンのワクチンでギラン・バレー報告 (2021年7月12日発表) ジョンソン・エンド・ジョンソン傘下のJanssen Pharmaceuticalは、COVID-19ワクチンの米国におけるファクト・シート(パッケージ・インサート類似の説明資料)を改訂し、接種後42日間にギラン・バレー症候群のリスクが高まることを警告した。欧州で承認されているアストラゼネカのワクチンも承認審査機関が同様なリスクについて検討しており、アデノウイルス・ベクターを使うワクチンのクラス・イフェクトなのかもしれない。 ファクトシートには詳細は記されていないが、CDC(疾病予防管理センター)を情報源とする報道によると、報告数は100例で、うち95例は深刻な入院事例、一人は死亡した。接種実績は1250万人とのことなので、発症頻度はおよそ10万人に一人となる。発症時期として多いのは接種後2週間。専ら男性で、年齢は50代以上が多いとのことだ。 ワクチンは健康な人が対象なので高い安全性が求められる。免疫刺激に伴うリスクは避けられないので、リスクと便益を定量的に評価することが重要だ。 CDCの纏めによると、米国におけるワクチン接種後のアナフィラキシーの頻度は100万人当たり2~5人。ヤンセンのワクチンのTTS(血栓性血小板減少を伴う血栓症候群)頻度は接種回数1260万回に対して確認症例が38例で、50歳未満の女性のリスクが比較的高い。三種類のワクチンの接種後死亡報告は3.31億回に対して5946例(0.0018%)となっているが、FDAが副作用か否かを問わず全ての死...

第1007回

【ニュース・ヘッドライン】 COVID-19関連:   ブースター・ワクチンは有効だが時期尚早  インド企業の弱毒化ワクチン、第3相成功  プラスミドDNAワクチンの第3相が世界で初めて成功  CureVacのmRNAワクチンの効率は47%のみ  ワクチンの極めて稀な副作用  その他の領域:   Aduhelmの承認過程を監査するようFDA長官代行が要請  アルツハイマー病薬のレーベルが早くも変更  キイトルーダの胃・GEJ腺癌適応を自主返上へ  ジャディアンスのHFpEF試験が成功  Pepaxtoの早期患者試験が部分停止に  一型糖尿病予防薬は審査完了に  FDA、バイエルのMRAを糖尿病性腎症に承認  FDA、膀胱癌用抗体薬物複合体を本承認  キイトルーダが局所進行性の皮膚扁平上皮癌にも承認 【COVID-19関連】 ブースター・ワクチンは有効だが時期尚早 (2021年7月8日発表) ファイザーとBioNTech(Nasdaq:BNTX)は、COVID-19のリピッド・ナノパーティクルmRNAワクチンComirnaty(tozinameran、和名コミナティ)の開発に成功、21年の年商は150億ドルと、ワクチンのベストセラーであるPrevnarの3倍近くに達する見込みだ。但し、成功が大きければ大きいほど一巡後の落ち込みも大きくなるので、経営陣は打撃吸収策を練る必要がある。両社やModernaの戦略は、Prevnarなどのハイテク・ワクチンと比べて低く抑えられている価格を引き上げることと、国家備蓄やブースター・ショット需要を開拓すること。数量が落ち込んでも価格を7~9倍に引き上げることができれば売上高を維持できる計算だ。 一方、行政や医療従事者はこのような発言にクールに反応している。今回も意見が分かれた。 ファイザーとBioNTechは、Comirnatyを二回接種した人に6ヶ月おいてもう一回接種する試験の中間解析が良好な結果になったと発表した。野生株やベータ株(南アで初発見)に対する中和抗体価が2回目接種後の5~10倍に増加した。論文発表やFDA/EMAに報告する予定。 一方、HHS(米国保健福祉省)傘下のCDC(疾病予防管理センター)とFDAは、現段階では、ワクチン接種を完了したア...

第1006回

  【ニュース・ヘッドライン】 CRISPR技術が臨床で初めて有効性を示した  リンヴォックの潰瘍性大腸炎試験が成功  イエスカルタの二次治療試験が成功  カボメティクス錠の肝臓癌一次治療、今一つな結果に  Multikine、10年間かけた第3相がフェール  ギリアド、効果が半年続く抗HIV薬を承認申請  【今週の話題】 CRISPR技術が臨床で初めて有効性を示した (2021年6月26日発表) 米国マサチューセッツ州ケンブリッジのCRISPR/Cas9遺伝子編集技術開発会社、Intellia Therapeutics(Nasdaq:NTLA)と共同開発パートナーのRegeneron Pharmaceuticals(Nasdaq:REGN)は、NTLA-2001の第1相試験中間解析結果をNew England Journal of Medicine誌や学会で発表した。ポリニューロパチーを有する遺伝性ATTRアミロイドーシスの患者6人に0.1mg/kgまたは0.3mg/kgを一回点滴静注したところ、血清TTR(トランスサイレチン)が各52%と87%減少した。最大は96%減少した患者も一名いた。深刻な有害事象は見られなかった。 現在は1mg/kgのコフォートに組入れ中。今後、至適用量が決まったらそのコフォートの組入れを拡大し、良好な結果になれば、心筋症型も含めて、承認申請のためのpivotal studyに進む予定。 ATTRアミロイドーシスはTTRの遺伝子に変異があり、トランスサイレチンが代謝されずに蓄積する。NTLA-2001は肝臓のTTRの遺伝子を切断・不活化する。 この疾患ではAkcea Therapeutics/Ionis Pharmaceuticals(Nasdaq:IONS)のTegsedi(inotersen)とアルナイラム(Nasdaq:ALNY)のOnpattro(patisiran、和名オンパットロ)が17~18年に欧米で承認されている。前者は遺伝子アンチセンス技術、後者はRNA干渉技術に立脚しており、広い意味では、何れもゲノム研究の成果といえる。何れも血清TTRが70~90%減少する。 NTLA-2001は反復投与が不要な可能性もあるが、新しい技術なのでリスクもありそうだ...