【ニュース・ヘッドライン】
- COVID-19:トランプ大統領はリジェネロンの抗体カクテルを使用!
- COVID-19:EMAがアストラゼネカのワクチンのローリング審査を開始
- アルナイラム、高シュウ酸尿症I型用薬の幼児試験が成功
- レルゴリクスの前立腺癌進行抑制効果はリュープロリドと大差ない
- アイアンウッド社、コレセベラムの逆流性食道炎適応を断念
- サノフィ、ポンペ病の酵素補充療法をEUで承認申請
- JNJ、ウプトラビの静注用を米国で承認申請
- テムセルは米国では審査完了に
- FDA、オプジーボとヤーボイの併用を悪性胸膜中皮腫に適応拡大
- 塩野義、米国でcefiderocolが適応拡大
【今週の話題】
COVID-19:トランプ大統領はリジェネロンの抗体カクテルを使用!
(2020年9月29日発表)
トランプ大統領はリジェネロン・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:REGN)のREGN-COV2(8g)による治療を受けたようだ。主治医が公表したと米国の複数のメディアが報道している。米国はギリアド・サイエンシズ(Nasdaq:GILD)のVeklury(remdesivir)やGE薬であるdexamethasoneが承認されている。トランプ大統領は、かって、hydroxychloroquineが有効と発言したこともある。それにもかかわらず自分が感染すると誰にも言わなかった薬を使うのだから、流石、セレブは違う。ちょうど初期臨床データが発表されたところなので、概観してみよう。
REGN-COV2は、SARS-CoV-2ウイルスが細胞に侵入する時に用いるスパイク蛋白の異なった受容体結合ドメインに結合する二種類の抗体、REGN10933とREGN10987のカクテル療法。イーライリリーが先日発表したLY-CoV555のデータからも明らかなように、一種類の抗体だけでは耐性が生じてしまう可能性があり、リリー自身も含めて多くの会社がカクテル化している。リジェネロンは深刻な感染症であるエボラ・ウイルス疾患の治療に用いる三種類の抗体のカクテル、REGN-EB3の開発に成功した、大きな実績を持っている。
入院治療、外来治療、そして家庭内感染予防に用いる第1/2/3相試験が進行中。リジェネロンは外来治療試験の初期データをプレスリリースやテレカンファレンスで公表した。予想された通り、ベースライン時点で抗体を持たない血清陰性患者では高いウイルス抑制作用や症状改善作用を示したが、血清陽性患者における効用は小さそうだ。入院の必要がない患者に普及させるためには、スパイク蛋白などに対する抗体の有無、あるいは、代替策として、ウイルス量を測定するアッセイの実用化が必要だろう。偽薬群のデータは、陰性患者は陽性患者より症状改善が遅く、受診・救急治療リスクも高いことも示しており、検査アッセイが普及すれば高リスク患者のスクリーニングにも転用できるかもしれない。
外来治療試験(NCT04425629)は米国の医療施設で2000人以上を組入れる無作為化割付二重盲検試験。偽薬、低用量(2.4g)、高用量(8g)を一回静注する三群が設定された。今回発表されたデータは症状のある患者を組入れるコフォートの最初の275人の記述的解析。COVID-19の治療試験は、通常、入院患者を対象としており、入院の必要がないほど軽症あるいは無症状の患者の自然歴に関するデータは限定的であるため、探索的分析を行った。
患者背景は平均年齢44歳と比較的若く、人種構成は米国の臨床試験としてはかなり異例でヒスパニック/ラテン系が55%を占めた。65%の患者がCOVID-19重症化リスク因子を持っていた。
軽症/無症状の患者は自家製の抗体でウイルスを抑制できていて補充療法であるREGN-COV2の便益が小さい可能性がある。このため、本試験では事前にスパイク蛋白に対する免疫グロブリンGまたはA、あるいはヌクレオカプシドに対する免疫グロブリンGを検査したところ、被験者の41%が陰性、45%が陽性、そして14%が不明だった。
全被験者の解析結果は、7日間の鼻咽頭ウイルス量減少(単位:log10コピー/mL、以下同じ)が各群1.41、1.64、1.92となり、偽薬比p値は低用量群が0.20、高用量群は0.0049だった。血清陰性サブグループでは各1.38、1.89、1.98減少し、p値は各0.06、0.03だった。陽性サブグループのデータは開示されていない。
ベースライン値を見ると、抗体の有無とウイルス量(鼻咽頭ぬぐい液ベース)に関連性が見られた。臨床転帰とも関連性が見られ、偽薬群の血清陰性サブグループは症状軽度化所要日数がメジアン13日であったのに対して陽性サブグループは7日と短く、第29日までに受診/救急医療を受けた患者の比率は各15%と6%だった。
REGN-COV2の臨床効果も血清陰性サブグループのほうが大きく、メジアン症状軽度化所要日数は偽薬群が13日であったのに対して低用量群は6日(p=0.09)、高用量群は8日(p=0.22)だった。一方、血清陽性サブグループは各群7日、7日、9日で大差なかった。また、陰性サブグループの受診/救急率は各群15%、5%、8%だった。
こうして見ると用量反応関係が見られないが、抗体医薬にはありがちなことで、市販後に用量や決定方法(体重依存から固定に、など)が変更された前例もある。
公表された安全性の指標(G2以上の点滴反応や過敏反応、深刻有害事象、治療発現有害事象による点滴中断)は発生数が各群0~2人と少数すぎて、まだ何とも言えないだろう。
今回の解析はプルーフ・オブ・コンセプトとして重要だが、この薬を一番必要としている重症入院患者の罹患期間短縮効果や死亡リスク削減効果が判明するのはまだこれからだ。症状の重い患者は血清陽性が少ない可能性が高いが、もし陽性患者に対する臨床的効果が弱かったら、重症患者に対しても抗体/ウイルス量検査が必要になるのではないか。
COVID-19ワクチンや抗体医薬の開発で先行している会社は、以前から米国政府などの支援を受けて適切な予防・治療法のない感染症に関する研究開発を進めてきた。リジェネロンも17年に米国保健福祉省と最大10病原体に対する抗体開発でパートナーシップを締結、新規ウイルスに対する抗体医薬を短期間で実用化するプラットフォーム(VelociSuite rapid response technologie)をブラッシュアップしてきた。米国政府の『ワープ・スピード作戦』の一環で数万回分の抗体医薬を生産・供給すべく4.5億ドル相当の契約を結んでいる。米国はREGN-COV2についても国民に無償で提供する考えだ。
8月にはロシュと生産開発販売提携し、生産能力を月産25万回分程度に増強する目途を立てた。ロシュは第3相試験の費用を分担し、米国以外の地域を担当する。
リンク: リジェネロンのプレスリリース
リンク: NCT04425629試験登録(ClinicalTrials.gov)
COVID-19:EMAがアストラゼネカのワクチンのローリング審査を開始
(2020年10月1日発表)
EMA(欧州薬品庁)は、CHMP(医薬品科学的評価委員会)がCOVID-19ワクチンのローリング審査を開始したと発表した。対象はアストラゼネカがオックスフォード大学と共同開発しているAZD1222。
ローリング審査は公衆衛生の非常時に有望な医薬品やワクチンの承認審査を前倒しで開始してスピードアップするもの。前例としては4月にギリアド・サイエンシズ(Nasdaq:GILD)のVeklury(remdesivir)のローリング審査を開始し、6月の正式な承認申請受理を経て、7月に条件付き承認した。
今回は、前臨床試験や早期臨床試験の予備的データで抗体/T細胞免疫の誘導能を示したため、ローリング審査を決定、まず前臨床データの審査を開始した。
AZD1222はオックスフォード大学が創製した遺伝子ワクチン。ヒトが抗体を持たない、チンパンジーに感染するアデノウイルスの遺伝子を組換えて増殖不能にしたものをベクターとして、SARS-CoV-2ウイルスのスパイク蛋白の遺伝子を体内に導入する。細胞内で発現すると抗原となり免疫を誘導する。
第3相試験まで進んでいるが、7月と9月に神経学的有害事象例が発生、中断した。前者はワクチンの副作用ではなく多発性硬化症の発現と判定され、再開された。後者はAZD1222との関係があるともないとも言えないまま、英国やブラジル、日本などで治験が再開。米国は警戒的で、報道によると、FDAがチンパンジー・アデノウイルスを使った他のワクチンの臨床データの提出を求めた模様。COVID-19の臨床試験は数万人規模だが、他のワクチンの接種実績は総計300例程度なので、たいして役に立たないのではないか。
EMAのローリング審査も現時点の対象は前臨床データなので、上記神経学的有害事象に関する洞察は得られないだろう。
稀だが深刻な副作用は、薬やワクチンが原因であったとしても、被害者の側にも何らかの素因があるかもしれない。解明することは被害者が増えるのを防ぐだけでなく、他の人が有益な治療を享受できるようにするためにも重要だ。だが、残念ながら、症例数が少ないことや副作用被害者との関係が悪化しがちであることなどから、解明は困難である。結局、できるだけ多くの人に投与して、有害事象症例を蓄積するしか解決策はない。
リンク: EMAのプレスリリース
【新薬開発】
アルナイラム、高シュウ酸尿症I型用薬の幼児試験が成功
(2020年9月30日発表)
RNA介入薬開発販売会社のアルナイラム・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:ALNY)はALN-GO1(lumasiran)を成人の原発性高シュウ酸尿症I型(PH1)の治療薬として欧米で承認申請しているが、3ヶ月児から6歳までの患者39人を組入れて6ヶ月間投与した第三相単群試験が成功したと発表した。尿硝酸塩:クレアチニン比率が臨床的に意味のある低下を示したとのこと。重度有害事象や深刻有害事象は見られなかった。データはASN(米国腎臓学会)が10月に開催するKidney Week 2020で発表する計画。
原発性高シュウ酸尿症 I 型は肝臓のペルオキシソームに存在するアラニン:グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼの欠乏により、グリオキシル酸が蓄積、シュウ酸過剰により腎臓などにカルシウムが蓄積する。罹患率は5~6万人に一人と推定されている。lumasiranはグリコール酸酸化酵素の遺伝子、HA01を標的とするRNA介入薬で、シュウ酸の生産を抑制する。欧米で希少疾患用薬指定やブレークスルー・セラピー指定/PRIME指定を受けている。
リンク: 同社のプレスリリース
レルゴリクスの前立腺癌進行抑制効果はリュープロリドと大差ない
(2020年9月29日発表)
武田薬品の経口GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)受容体拮抗剤、relugolixは、昨年1月に日本で子宮筋腫治療薬レルミナ(レルゴリクス)として承認され、あすか製薬が販売している。前立腺癌用途は欧米での導出先であるMyovant Sciences(NYSE:MYOV)が米国で今年4月に承認申請、審査期限は今年12月20日となっている。エビデンスとなる臨床試験では、アンドロゲン感受性進行前立腺癌に120mg(初回は360mg)を一日一回、経口投与して効果をleuprolideの3ヶ月デポ製剤と比較したところ、テストステロン抑制奏効率が各群96.7%と88.8%となり、非劣性であることが確認された。
今回、転移癌サブグループの48週無去勢抵抗生存率の解析結果が発表されたが、各群74%と75%となり、優越性解析がフェールした。承認審査には影響しないだろうが、ジェネリック化した薬と臨床効果が大差ないなら大きなシェアは取れないだろう。
Myovantは婦人科向けに作用の異なるホルモン製剤を併用することでGnRH受容体拮抗剤の副作用を緩和するアドバック療法用の合剤(relugolix 40 mg、estradiol 1.0 mg、norethindrone acetate 0.5 mgを配合)を開発、欧米で子宮筋腫による過剰出血の治療薬として承認審査中だ。利便性という長所があるので、前立腺癌用途より有望だろう。
Myovant Sciences(NYSE:MYOV)はヘッジファンドマネージャーのVivek Ramaswamyが創設しソフトバンクのファンドが巨額投資を行ったことでも有名なRoivant Sciencesグループの一員。Roivantは19年に大日本住友製薬が資本業務提携を結び、Roivantに出資するとともに、Myovantなどを子会社化した。
リンク: Myovantのプレスリリース
アイアンウッド社、コレセベラムの逆流性食道炎適応を断念
(2020年9月29日発表)
アイアンウッド(Nasdaq:IRWD)は胆汁酸吸着剤colesevelamの新製剤であるIW-3718を難治性GERD(逆流性食道炎)の治療薬として開発、プロトンポンプ阻害剤に追加する用法で第3相試験を二本実施していたが、302試験の中間解析が不満足な結果になったことから開発中止を決めた。赤字抑制のため人員削減を行う予定。
colesevelamは三共(当時)が米国でジェルテックス社(当時)からライセンス、2000年にLDL-C治療薬として承認を取得し、08年には二型糖尿病の血糖治療に適応拡大した。IW-3718はDepomed(18年にAssertio Therapeuticsに社名変更)のAcuformドラッグデリバリー技術を用いて薬剤が胃に数時間留まり活性成分を徐放するようにしたもの。後期第2相試験で胸やけ症状スコアの改善に成功、18年に第3相に進んだ。
しかし、COVID-19の影響などから組入れが予定を遅延したため、続行の当否を判断するために独立データ監視委員会に302試験のアドホック中間薬効評価を行うよう要請した。事前に設定された基準がすべて満たされるようなら続行し、すべて駄目なら次のアクションを検討する考えだったが、後者のシナリオが実現してしまった。
リンク: 同社のプレスリリース
【承認申請】
サノフィ、ポンペ病の酵素補充療法をEUで承認申請
(2020年10月2日発表)
サノフィは、avalglucosidase alfa(通称NeoGAA)をポンペ病の治療薬としてEUに承認申請し、受理されたと発表した。2000年代央に欧米でポンペ病薬として承認されたMyozyme/Lumizyme(alglucosidase alfa)を改変し、筋細胞におけるM6P受容体親和性を高めた酵素補充療法。3歳以上の患者を組入れた第3相遅発型ポンペ病試験で呼吸機能改善作用がalglucosidase alfaと非劣性だった。統計学的に有効な検定ではないが、6分歩行テストで32メートル改善と対照群の2メートル改善よりかなり良い数値が出ていることが注目される。乳児発症型を組入れた第2相も実施されている。
リンク: サノフィのプレスリリース
JNJ、ウプトラビの静注用を米国で承認申請
(2020年9月30日発表)
ジョンソン・エンド・ジョンソン・グループのヤンセン・ファーマシューティカルは、肺動脈高血圧症治療薬Uptravi(selexipag、和名ウプトラビ)の静注用新製剤をFDAに承認申請したと発表した。selexipagは日本新薬からライセンスしたPGI2受容体作動剤で錠剤が15~16年に日米欧で承認されている。
持効製剤ではなく、錠剤を服用している患者が何らかの理由で一時的に服用できなくなった時の代替策のようだ。臨床試験では初日は朝夕に経口剤、2日目は朝夕に静注、3日目は朝は静注、夕は錠剤、4~9日目は朝夕に錠剤を投与しており、ごく短期間の使用を想定しているのではないか。
リンク: JNJのプレスリリース
【承認審査・委員会】
テムセルは米国では審査完了に
(2020年10月2日発表)
オーストラリアのMesoblast(ASX:MSB、Nasdaq:MESO)はremestemcel-Lを小児急性移植片宿主病(GvHD)治療薬として米国で承認申請し、8月の腫瘍学諮問委員会で10人中9人の支持を獲得したが、結局、審査完了通知を受領した。FDAは対照試験で効果を確認することを推奨している由。
remestemcel-Lは健常者から採取したヒト間葉系幹細胞を培養した、細胞性医薬品。日本でJCRファーマが急性GvHD治療薬テムセルとして販売するなど、幾つかの国で承認されているが、米国では中々承認されず、元々の開発会社であるオサイリス・セラピューティクス(Nasdaq: OSIR)は13年にMesoblastに事業売却した。
FDAの諮問委員会ブリーフィング資料によると、懸念は主に二点。第一は生産ロットごとの同一性評価が困難であること。間葉系幹細胞はドナー毎の個人差が大きく、培養によって更に差が広がる可能性がある。remestemcelは作用機序が明確でなく、力価評価方法が確立していないため、どの程度ムラがあり、どの程度までなら許容できるのか分からない。手元にある医薬品が本当に効くかどうか、曖昧だ。
第二は、臨床成績が区々であること。日本で実施された臨床試験については言及されていないが、欧米で行われた試験は成人、小児を組入れた無作為化割付対照試験は何れもフェールしたため、薬効の裏付けになりうるのは単群試験の反応率データだけである。数値を見ると試験によりかなり大きな差があり、患者の状態など第三の因子の影響が大きいことが疑われる。このため、無作為化割付対照試験を行う以外の方法で評価することは困難とFDAは考えている。
remestemcel-LはCOVID-19による急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の第3相試験が4月に米国で開始された。人工呼吸器を必要とする18歳以上の患者300人を組入れて、GvHDと同じ2x10^6個/kgを3日置いて二回、点滴静注する手法の30日全死亡率を偽薬と比較する。この試験が成功すれば新たな市場が開けるとともに、広い意味ではARDSもGvHDも似たような病気なので、FDAが求める無作為化割付対照試験のエビデンスになりうるかもしれない。
リンク: Mesoblastのプレスリリース
【承認】
FDA、オプジーボとヤーボイの併用を悪性胸膜中皮腫に適応拡大
(2020年10月2日発表)
FDAは、BMSのOpdivo(nivolumab)とYervoy(ipilimumab)を併用で切除不能な悪性胸膜中皮腫の一次治療に用いることを承認した。審査期限より5ヶ月早いとのことなので、適応拡大申請の受理から何日も経たないうちに承認した計算になる。プレスリリースにはRTOR(リアル・タイム・オンコロジー・リビュー)パイロット・プログラムの対象とは記されていないので、RTORが試験段階から実用段階に近づいてきたことを示唆しているのだろう。
承認の根拠となったCheckMate-743試験では、Opdivo(3mg/kg、2週毎)とYervoy(1mg/kgを6週毎)を併用した群のメジアン生存期間は18.1ヶ月と化学療法群の14.1ヶ月を上回り、ハザードレシオは0.74(95%信頼区間0.61-0.89)だった。胸膜中皮腫は上皮型か否かで化学療法の第一選択が変わるが、Opdivo・Yervoy併用は不問のようだ。非上皮型におけるメジアン生存期間が16.9ヶ月と化学療法の8.8ヶ月を上回りハザードレシオは0.46(0.31-0.70)。一方、上皮型におけるメジアン生存期間は18.7ヶ月、化学療法群は16.2ヶ月でハザードレシオが0.85(同0.68-1.06)となっている。
リンク: FDAのプレスリリース
塩野義、米国でcefiderocolが適応拡大
(2020年9月29日発表)
塩野義製薬はカルバペネム耐性菌にも活性を持つ新規作用機序の点滴静注用セファロスポリン、cefiderocolを開発し、19年に米国でFetroja名で、今年4月にはEUでFetcroja名で、承認を取得した。18歳以上のグラム陰性菌による複雑性尿路感染症・腎盂腎炎の治療に用いる。危機的多剤耐性グラム陰性菌感染症の臨床試験で死亡リスクが活性対照薬より高かったことから、他に適切な治療薬がない、または限定的な場合に用いるデモシカ・ドラッグになっている。
今回、18歳以上のグラム陰性菌による院内細菌性肺炎や人工呼吸器関連肺炎の治療に用いる適応拡大がFDAに承認された。2000mgを8時間毎に3時間点滴静注したところ、28日死亡率が22.1%とmeropenemを投与した群の21.1%と比べて非劣性だった。
リンク: 同社のプレスリリース(和文)
今週は以上です。
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