2026年5月23日

第1260回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • リリーのトリプルG、2本目の第3相も成功 
  • Sobi、新規痛風用薬の第3相が成功 
  • Sobi、新規痛風用薬の第3相が成功 
  • バイオマリン、ボックスゾゴの軟骨低形成症試験が成功 
  • ビンゼリックスのPsA治療効果はスキリージより高い 
  • MSD、中華TROP2標的ADCのグローバル試験が成功 
  • 小児くる病の酵素補充療法が臨床的転帰を改善せず 
  • バイエル、ケレンディアを一型糖尿病の慢性腎疾患に承認申請 
  • バイエル、XIa阻害剤を日米で承認申請 
  • バイエル、her1/2阻害剤を一次治療に適応拡大申請 
  • CHMP、新薬3剤などの承認を支持 
  • 第一三共の抗TROP2ADCがTNBC一次治療に適応拡大 
  • ギリアドのD型肝炎治療薬、高用量のみ承認 
  • アストラゼネカ、アルドステロン合成酵素阻害剤が承認
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【新薬開発】


リリーのトリプルG、2本目の第3相も成功
(2026年5月21日発表)

イーライリリーは、LY3437943(retatrutide、通称トリプルG)が第3相TRIUMPH-1試験で主目的と全副次的評価項目を達成したと発表した。成人の肥満症/高リスクオーバーウェイト(糖尿病合併は除く)を偽薬、4mg、9mg、12mgの4群に無作為化割付けして80週間治療し、体重(ベースライン値112.7kg)の減少率を比較したところ、各群3.9%、17.6%、23.7%、25.0%となり、主評価項目である9mg群と12mg群、及び副次的評価項目の4mg群ともに、偽薬群を有意に上回った(Treatment Regimen Estimandベース、efficacy estimandベースでは各群2.2%、19.0%、25.9%、28.3%)。有害事象治験離脱率は各群4.9%、4.1%、6.9%、11.3%、ジセステジア(ヒリヒリ感など)発生率は0.9%、5.1%、12.3%、12.5%だった。

昨年12月に膝変形性関節炎を伴う肥満症/オーバーウェイトを組入れた第3相Triumph-4試験も成功している。どちらも体重減少率は同程度だったが、今回の試験だけで採用された4mgも十分な効果と良好な忍容性が持つことが確認された。また、上記有害事象発生率のうち12mg群の数値は今回のほうが低かった。

GLP-1、GIP、グルカゴンの受容体の作動剤。残りの第3相肥満症試験は年内に開票する見込みで、承認申請が近づいている。二型糖尿病の第3相も進行中。

リンク: プレス・リリース


Sobi、新規痛風用薬の第3相が成功
(2026年5月21日発表)

Sobi(Swedish Orphan Biovitrum)はpozdeutinuradが第3相REDUCE 2試験で主目的を達成したと発表した。米豪台などの施設で血清尿酸値高値の痛風患者800人超を偽薬、50mg、75mgの3群に無作為化割付けして一日一回、反復投与したところ、奏効率(第6月の数値が6mg/dL未満)が各群8.1%、56.6%、69.2%となった。もう一本のREDUCE 1試験は今下期に成否判明する見込み。

腎臓近位管のトランスポーターで尿酸の排出を調整するURAT1の阻害薬の一つ。2月にArthrosi Therapeuticsを当初金9.5億ドル、目標達成報奨金5.5億ドルで買収して入手した。

リンク: プレス・リリース

バイオマリン、ボックスゾゴの軟骨低形成症試験が成功
(2026年5月20日発表)

バイオマリンファーマシューティカルはVoxzogo(vosoritide)がCanopy-HCH-3試験で主目的を達成したと発表した。第3四半期に米国で適応拡大申請する考え。欧州などでも計画している。

C型ナトリウム利尿ペプチドの類縁体。21~22年に欧米日で軟骨無形成症治療薬として承認された。今回の試験は、軟骨無形成症よりは軽い、軟骨低形成症(HCH)の小児80人を組入れて1年間投与し、AGV(年率成長ベロシティ)を偽薬群と比較したところ、2.33cmの群間差があった。尚、軟骨無形成症の試験では1.57cmだった。

リンク: プレス・リリース


ビンゼリックスのPsA治療効果はスキリージより高い
(2026年5月19日発表)

UCBは、今年3月、後期第3相乾癬性関節炎試験で同社の抗IL-17A・IL-17F二重特性抗体、Bimzelx(bimekizumab-bkzx)の効果がアッヴィの抗IL-23p19抗体Skyrizi(risankizumab-rzaa)を有意に上回ったと発表したが、学会発表を前にトップラインを公表した。この日本も参加したBE BOLD試験は成人の活性期乾癬性関節炎でバイオ薬は未経験、または一種類の抗TNFアルファ抗体に不十分応答/不耐の患者553人を2剤に無作為化割付けして二重盲検下で第16週のACR50奏効率を比較した。結果は49%対38%となった。

各剤の第3相偽薬対照試験でも、Bimzelxは一本が43.9%(偽薬修正後33.9%)、もう一本が43.4%(同36.7%)となり、Skyriziは26.4%(同15.4%)と20.3%(13.5%)だったので、まあ順当な結果だろう。

リンク: プレス・リリース


MSD、中華TROP2標的ADCのグローバル試験が成功
(2026年5月18日発表)

MSDはMK-2870(sacituzumab tirumotecan)が第3相内膜腫試験で主評価項目二点を達成したと発表した。データは未公表。承認申請に向かうのではないか。

中国のKelun Pharmaceutical(002422.SZ)の子会社であるKelun-Biotech(6990.HK)から大中国圏以外での権利を取得した抗体医薬複合体(ADC)。新規トポイソメラーゼ阻害剤とTROP2を標的とする抗体を7対4の比率で結合した。リンカーも既存の抗体と異なった特徴を持っているようだ。中国では24年に切除不能局所進行/転移トリプル・ネガティブ乳癌の二次治療以降に初承認され、一部のホルモン受容体陽性乳癌や一部のEGFR陽性非扁平上皮非小細胞性肺癌にも適応拡大した。

今回の日本も参加したTroFuse-005試験は、白金ベース化学療法と抗PD-(L)1免疫療法歴を持つ進行/難治内膜腫/癌肉腫776人を組入れて、4mg/kgを2週毎点滴静注する群と医師が選んだ治療(doxorubicinまたはpaclitaxel)の転帰をオープン・レーベルで比較した。主評価項目はPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)と全生存期間。中間解析で両方達成した。

同社はKeytruda(pembrolizumab)の特許切れを控えパイプライン導入・臨床開発に拍車を掛けている。MK-2870は婦人科癌や肺癌などで17本の第3相が進行中。抗TROP2抗体Trodelvy(sacituzumab govitecan-hziy)を販売開発しているギリアド・サイエンシズやDatroway(datopotamab deruxtecan-dlnk)を販売開発する第一三共がお尻に火が点いたと焦り、投資に先走っても不思議はない状況になっている。三共にとってMSDは、敵に回すと手ごわい、かといって味方につけても油断できない、因縁の相手だ。

リンク: プレス・リリース


小児くる病の酵素補充療法が臨床的転帰を改善せず
(2026年5月18日発表)

バイオマリンファーマシューティカルはBMN 401が第3相ENPP1(ectonucleotide pyrophosphatase/phosphodiesterase 1)欠乏症試験で主目的の一つを達成したが、臨床的転帰はフェールしたと発表した。

ENPP1欠乏症はくる病の一種で、常染色体性劣性遺伝子変異により血管や軟組織、骨が石灰化する。乳児型は命に係わり、小児型はくる病2型を発症することが多く、青年成人は骨軟化症を合併することがある。BMN 401は25年にInozyme Pharmaを2.7億ドルで買収して入手した酵素補充療法。今回のEnergy 3試験は標準療法を受けている1~12歳の患者を試験薬群(2.4mg/kgを週一回皮下注)と偽薬群にオープン・レーベルで2対1割付けして52週間治療した。PPi(無機ピロリン酸)の増加に有意な差が見られたが、RGI-C(放射線学的全般的印象変化)はフェールした。副次的評価項目のRSS(くる病重症度尺度)や成長Zスコア等もフェールした。

26年下期に承認申請する計画だったが、予断を許さなくなった。元々はPPiだけが主評価項目であり、ClinicalTrials.govにはこれしか記載されていないが、当局との相談を踏まえて臨床的評価項目を追加したとのこと。FDAが無機ピロリン酸はサロゲート・マーカーとして確立したものではないと考えていることを示唆している。

リンク: プレス・リリース

【承認申請】


バイエル、ケレンディアを一型糖尿病の慢性腎疾患に承認申請
(2026年5月21日発表)

バイエルは非ステロイド系ミネラルコルチコイド受容体拮抗剤Kerendia(finerenone)を一型糖尿病患者の慢性腎疾患に適応拡大申請し受理されたと発表した。優先審査だが審査期限は公表していない。第3相GINE-ONE試験に基づくもので、6ヶ月の治療で尿アルブミン・クレアチニン比が偽薬比25%低下した。治療時発現深刻有害事象の発生率は11.8%で偽薬群の11.5%と大差なかった。有害事象は高カリウム血症などが増加した。

Kerendiaは二型糖尿病患者の慢性腎疾患の治療薬として21~22年に欧米日で承認された。

リンク: プレス・リリース


バイエル、XIa阻害剤を日米で承認申請
(2026年5月19日発表)

バイエルは活性化血液凝固第XI因子阻害剤BAY 2433334(asundexian)を日米で承認申請し受理されたと発表した。米国と、先に申請した中国で優先審査指定された。目標適応/効能は、非心原性の虚血性脳卒中(IS)または一過性脳虚血発作(TIA)の再発予防。米州欧日中などで実施された第3相OCEANIC-STROKE試験で、軽中度のIS/高リスクTIAの初発から72時間以内の患者12327人を組入れて、50mgまたは偽薬を抗血小板薬(2剤併用可)と共に投与したところ、再発のハザード・レシオが0.74、p<0.001、発生率は6.2%対8.4%となった(New England Journal of Medicine誌論文による)。

抗血小板薬や抗凝固薬の泣き所は出血リスクだが、共同主評価項目である大出血(ISTH基準)のリスクはハザード・レシオ1.10、発生率は1.9%と1.7%で大きな差はなかった。深刻有害事象の発生率も19.2%と19.5%だった。

asundexianは後期第2相PACIFIC-Stroke試験でも症候性IS/TIA発生率が50mg群は5.4%と偽薬群の8.3%を数値上、下回った。但し、検出力の小ささを補うためMRI診断による隠れ脳梗塞もカウントした主評価項目はフェールした。

尚、Xa阻害剤が適応になる心房細動患者の第3相IS予防試験、OCEANIC-AFは、apixaban比非劣性であることを確認できず、中間解析で無益認定された。卒中/全身性塞栓症が98人(1.3%)対26人(0.4%)、ハザード・レシオ3.79、心筋梗塞/卒中/心血管死は155人対77人、一方、大出血事故は17人対53人だった。

リンク: プレス・リリース
リンク: OCEANIC-STROKE治験論文抄録(Sharmaら、NEJM)


バイエル、her1/2阻害剤を一次治療に適応拡大申請
(2026年5月18日発表)

バイエルは米国でHyrnuo(sevabertinib)を一次治療に適応拡大申請し受理されたと発表した。こちらも優先審査。変異型her2と野生/変異型EGEGFRのチロシン・キナーゼ阻害剤で、25年11月に、成人の全身性治療歴を持ち、her2チロシン・キナーゼ・ドメイン活性化変異のある局所進行/転移非扁平上皮非小細胞性肺癌に加速承認された。エビデンスは第1/2相SOHO-01試験のher2標的薬未治療コフォートと、抗her2抗体薬物複合体歴を持つコフォートにおけるORR(客観的反応率、盲検独立中央評価)と反応持続期間。今回の申請は同試験のコフォートFに基づくもの。

Hyrnuoは日本も参加した第3相SOHO-02試験中。her2活性化変異を持つ成人の未治療進行非小細胞性肺癌におけるPFSを白金薬ベース標準療法と比較するもので、今回の申請の加速承認後薬効確認試験という格好だ。

リンク: プレス・リリース

【承認審査・委員会】


CHMP、新薬3剤などの承認を支持
(2026年5月22日発表)

EUの薬品審査機関であるEMAの医薬品科学的評価委員会、CHMPは、以下の新薬などの承認に肯定的意見を纏めた。順調なら2~3ヶ月以内にEU全域で承認されることになる。

リンク: EMAプレス・リリース

アストラゼネカのEtcamah(camizestrant)は選択的エストロゲン受容体零落剤。成人のエストロゲン受容体陽性her2陰性局所進行/転移乳癌で、内分泌療法及びCDK4/6阻害剤による一次治療を受け進行はしてはいないがESR1変異が検出された場合に、CDK4/6阻害剤(palbociclib、ribociclib、またはabemaciclib)と併用する。閉経前/中の場合はLHRHアゴニスト/アンタゴニストも併用。定期的にctDNA検査を行って高リスク患者をスクリーニングし次の治療にスイッチする新しい手法をテストした第3相SERENA-6試験のPFS(無進行生存期間)解析に基づく申請だが、4月のFDA腫瘍学薬諮問委員会では支持3人、反対6人だった。全生存期間の延長が未確認であることが主因のようだ。ひとことで言えば、二次治療を早く始めれば効果も早く尽きるのではないかという懸念だろう。日本でも今月、第2部会で討議される予定。

ベーリンガー・インゲルハイムのJascayd(nerandomilast)はPDE4阻害剤。成人のPPF(進行性肺線維腫)やIPF(特発性肺線維症)の治療に18mgを一日2回、経口投与する(pirfenidone併用時以外は9mgに減量可)。25年10月に米国と中国で、日本でも今月、承認された。

ノバルティスのVijoice(alpelisib)はPI3K阻害剤。100万人に10人程度の超希少疾患であるPROS(PIK3CA関連過成長スペクトラム障害)を罹患し全身性治療が必要な重度または命に関わる状態の2歳以上の小児と成人に用いる。CUP(人道的な見地から未承認の薬を当局の承認の下に患者に提供するプログラム)に参加した患者の後顧的チャート・リビューに基づき、条件付き承認が支持された。米国では22年に加速承認されたが、EUはCHMPが否定的であったため一旦、申請撤回となり、今回、ゴールインした。

この活性成分はPiqray名で、ある種の乳癌に承認されている。

適応拡大/剤形追加が支持されたのは以下の通り(小児適応は原則的に割愛)。
  • 第一三共のEnhertu(trastuzumab deruxtecan):成人の治療歴のある切除不能/転移her2陽性(IHCで3+)固形癌(但し、他に満足できる治療オプションがない場合)。日本では3月に承認、米国でも4月に加速承認。
  • BMSのErbitux(cetuximab):成人のBRAF V600E変異のある転移結腸直腸癌に、一次治療の場合はFOLFOXレジメンとencorafenibの併用、二次治療以降はencorafenibのみ併用。
  • Pierre Fabre のBraftovi(encorafenib):成人のBRAF V600E範囲のある結腸直腸癌の一次治療にcetuximab及びFOLFOXレジメンと併用。なぜか、Erbituxと異なり上記二次治療用途は記されていない。
  • アストラゼネカのFasenra(benralizumab):12歳以上で体重35kg以上の小児と成人の管理不良好酸球増多症候群(血液学的な二次性疾患である場合は除く)。米日では今月、承認された。
  • Accord HealthcareのHetronifly(serplulimab):成人の切除不能/局所進行/転移扁平上皮非小細胞性肺癌の一次治療としてcarboplatinおよびnab-paclitaxelと併用。上海復宏漢霖生物技術からライセンスした抗PD-1抗体。日本はエーザイがライセンスし開発中。
  • ファイザーのPadcev(enfortumab vedotin)とMSDのKeytruda(pembrolizumab)の併用:白金薬不適/拒否の筋層浸潤膀胱癌の術前・術後療法。米国では昨年11月承認、日本でも申請中。
  • アッヴィのMaviret(glecaprevir、pibrentasvir):3歳以上の小児と成人の急性C型肝炎。17年に欧米日で慢性C型肝炎に承認されている。
  • アッヴィのTepkinly(epcoritamab):成人の難治/再発性濾胞性リンパ腫にlenalidomideおよびrituximabと併用。米国では昨年11月に承認、日本でも一変申請中。
  • ギリアド・サイエンシズのTrodelvy(sacituzumab govitecan):成人の切除不能局所進行/転移トリプル・ネガティブ乳癌の転移後初治療(但し、抗PD-(L)1抗体不適の場合)。日米でも適応拡大申請中。
  • ノボ ノルディスクのSogroya(somapacitan):成長障害(4歳までにキャッチ・アップ成長が見られない低出生体重児)とヌーナン症候群。米国では2月に承認(但し前者の適応範囲/定義は異なる)。
  • ノボ ノルディスクのWegovy経口錠(semaglutide):成人の肥満症/高リスクオーバーウェイト。米国では昨年12月に光速承認。

一方、否定的意見となったのは、Cis Bio InternationalのDeqtynet(copper (64Cu) oxodotreotide)。成人の分化神経内分泌腫瘍患者におけるソマトスタチン受容体過剰発現を検査するPET造影剤で、薬効や忍容性は問題ないようだが、類薬の希少疾患排他権が残っていることが原因という。ノバルティス・グループのAdvanced Accelerator Applicationsが2016年12月にSOmaKit TOC(edotreotide)の承認を取得しており、gallium (68Ga) chlorideで標識する担体だが、適応が同じで薬効や安全性が特に優れるとのエビデンスを持たない類似薬、と判定されてしまった模様。まあ、あと7ヶ月の辛抱だろう。

リンク: EMAプレス・リリース

【承認】


第一三共の抗TROP2ADCがTNBC一次治療に適応拡大
(2026年5月22日発表)

FDAは第一三共の抗TROP2抗体薬物複合体、Datroway(datopotamab deruxtecan-dlnk)の適応拡大を承認した。成人の、抗PD-(L)1抗体が治療オプションにならない切除不能/転移トリプル・ネガティブ乳癌の一次治療に用いるもの。第3相TROPION-B02試験で全生存期間がメジアン23.7ヶ月と化学療法群の18.7ヶ月を上回り、ハザード・レシオ0.79、統計的に有意だった。尚、この試験では、間質性肺疾患/肺臓炎併発やそのステロイド治療歴、あるいは臨床的に顕著な角膜疾患は除外条件だった。この用途は日本でも一変申請中。

リンク: プレス・リリース


ギリアドのD型肝炎治療薬、高用量のみ承認
(2026年5月22日発表)

ギリアド・サイエンシズはFDAがHepcludex(bulevirtide-gmod)を承認したと発表した。成人の、肝硬変を伴わない、または代償性の、慢性D型肝炎の治療薬。ウイルスが肝細胞の塩胆汁酸共輸送体NTCPに結合し細胞内に侵入するのを阻害する。第3相MYR301試験で48週複合応答率が2mg/日群は45%、10mg/日群は48%となり、偽薬群の2%を大きく上回った。

EUでは20年に条件付き承認、23年に上記試験に基づき本承認切替となった。厄介なのは用量で、EUは第2相で用いられた2mgだけしか承認していない。また、第3相の10mg群は実際には8.5mgしか投与していなかったことが判明した模様で、FDAは8.5mgを承認した。2mgは承認されていない。

リンク: プレス・リリース
リンク: 米国のPI
リンク: EUのSPC


アストラゼネカ、アルドステロン合成酵素阻害剤が承認
(2026年5月18日発表)

アストラゼネカはFDAがBaxfendy(baxdrostat)を難治高血圧症の治療薬として承認したと発表した。日本も参加した第3相BaxHTN試験で成人の管理不良(2種類併用しても血圧管理不十分)または治療抵抗性(3剤併用でも不十分)患者に1mgまたは2mgを一日一回、追加投与したところ、12週座位最大血圧が各群14.5mmHgと15.7mmHg低下し、偽薬追加群の5.8mmHg低下を有意に上回った。2mgが推奨用量、但し主な有害事象である高カリウム血症や低ナトリウム血症のリスクのある患者は1mg。

CYP11B2遺伝子がコードするアルドステロン合成酵素の経口阻害薬。CYP11B1がコードする11ベータ水酸化酵素(コルチゾールの合成に関わる)に対する親和性は低い。19年にロシュからライセンスし開発したCinCor Pharmaを23年に買収して入手した。優先審査バウチャを用いて早期承認を図った。今月、UAEで世界初承認、EUでも承認申請中。

リンク: プレス・リリース

【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】


PDUFA
26/4推サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、8歳以上の最近診断されたステージ3の一型糖尿病、CNPV案件)
26/5推GSKのArexvy(高リスク18-49歳のRSV性下部気道疾患予防)
26/5推ビーワン・メディシンズのBGB-11417(sonrotoclax、マントル細胞腫)
26/5推WockhardtのZaynich(zidebactamとcefepime、グラム耐性菌感染症)
26/5推アストラゼネカのAZD9833(camizestrant、ESR1変異乳癌)
26/5/10argenxのVyvgart(efgartigimod alfa-fcab、抗体陰性全身性重症筋無力症)
26/5/18第一三共のEnhertu(fam-trastuzumab deruxtecan-nxki、早期乳癌術前療法)
26/6推GSKのtebipenem pivoxil hydrobromide (複雑性尿路感染症)
26/6推ファイザーのHympavzi(marstacimab-hncq、インヒビターを持つA/B型血友病)
26/6/16塩野義製薬のensitrelvir(COVID-19曝露後発症予防)
26/6/18アストラゼネカのTruqap(capivasertib、PTEN欠乏HSPC)
26/6/19MSDのWelireg(belzutifan)とKeytruda(pembrolizumab)、併用で腎細胞腫術後療法
26/6/20Achieve Life Sciencesのcytisinicline(禁煙補助、CNPV案件)
26/6/27SobiのNASP(Nanoecapsulated Sirolimus plus Pegadricase、管理不良痛風)
26/6/29LantheusのLNTH-2501 (Ga-68 edotreotide Injection、神経内分泌腫瘍のPET造影剤)
26/6/30Ionis PharmaceuticalsのTryngolza(olezarsen、重度高トリグリセライド血症)
26/6/30Viridian TherapeuticsのVRDN-001(veligrotug、甲状腺眼症)
諮問委員会
26/5/28VRBPAC:26/27シーズンのCOVID-19ワクチン株選定について
26/6/18VRBPAC:モデルナのmFLUSIVA(季節性インフルエンザmRNAワクチン)


今週は以上です。

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