【ニュース・ヘッドライン】
- FDA、GSKのleucovorinの承認を撤回
- アムジェン、皮下注用テプロツムマブの第3相が成功
- Nuvalent、第2の分子標的薬を承認申請
- Ultragenyx、サンフィリッポ症候群A型用薬の再申請が今度は受理
- Replimuneの腫瘍溶解性ウイルス療法は今回も承認されず
- 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会
【今週の話題】
FDA、GSKのleucovorinの承認を撤回
(2026年4月10日発表)
FDAは、4月10日付のFederal Register(米国連邦政府官報)で、GSKのWellcovorin(leucovorin calcium)の承認を同日付で撤回すると発表した。GSKの要請に基づき、5mg錠と25mg錠の承認を取消す。
この葉酸誘導体は米国では1983年に承認され、今日でもmethotrexateなどの副作用を緩和する用途で広く用いられているが、既にGE化していてGSKはとっくの昔に販売を打ち切っている。ところが、昨年、FDAからCFD(脳葉酸欠乏症)に適応拡大申請するよう要請を受け、11月に申請、今年6月に、症例報告などに基づき、葉酸受容体1の遺伝子であるCFD-FOLR1に変異が確認された小児成人の脳葉酸欠乏症向けに承認された。体重40kg以上の患者の例では1~2mg/kg/日且つ最大330mg/日の範囲で用量調整し一日1~6回に分けて経口投与、一回25mg以下が望ましいというアバウトな用量・用法だ。
Wellcovorinが無くてもGE薬で代用できるが、GE薬のレーベルには承認の根拠となるデータや推奨される用法用量は記載されていないので、結局のところ、文献や、もし収載されているならばコンペンディア等を参照して適否を判断し投与する時代に戻ることになる。米国はこれらの根拠があれば未承認用途に用いることも不可能ではないので、実態的には承認前も後も大して変わらない。同様に、GSKの適応拡大申請も、取消要請も、形だけと言って良いだろう。やり方としては日本の開発要請、希望企業募集のほうが合理的と感じられる。
リンク: Federal Registerの当該頁(4月10日付)
【新薬開発】
アムジェン、皮下注用テプロツムマブの第3相が成功
(2026年4月6日発表)
アムジェンは甲状腺眼症用薬Tepezza(teprotumumab-trbw)の皮下注用新製剤が第3相偽薬対照試験で主目的等を達成したと発表した。承認申請に向かうのではないか。
23年にHorizon Therapeuticsを買収して入手した、抗IGF-1R抗体。20~25年に米日欧で中重度活動性甲状腺眼症の3週毎60~90分点滴静注用薬として承認された。皮下注用はon body injectorで2週毎に5分足らずの時間、投与する。今回の日本も参加したTEPEZZA OBI試験は成人の中重度活動性甲状腺眼症を対象に、24週間治療後の突出応答率(眼球突出が2mm以上減少、かつ反対側が2mm以上突出しない)を偽薬と比較した。各群76.7%と19.6%、有意な差があった。副次的評価項目である突出減少は平均3.17mm対0.80mmだった。主な有害事象は筋痙攣、耳鳴り、体重減など。軽中度の注射箇所反応が見られたが、投与中断/中止に至るものではなかった。
リンク: プレス・リリース
【承認申請】
Nuvalent、第2の分子標的薬を承認申請
(2026年4月7日発表)
米国マサチューセッツ州ケンブリッジのNuvalent(Nasdaq:NUVL)は米国でNVL-655(neladalkib)を承認申請したと発表した。想定適応症はチロシン・キナーゼ阻害剤(TKI)歴を持つ進行ALK陽性非小細胞性肺癌。血管脳関門透過性を持つALK阻害剤で、TRK(tropomyosin receptor kinase)は阻害しないため中枢神経系副作用が小さく、ALK阻害剤誘導性変異であるG1202R変異にも強い。First-in-humanであるALKOVE-1試験の第2相ポーションで、150mg一日一回経口投与を受けた253人におけるORR(客観的反応率、盲検独立中央評価)が31%、その64%で反応が12ヶ月以上持続した。中枢神経系疾患を持つ92人ではORR32%、12ヶ月持続率71%だった。既存のALK阻害剤の中でG1202R変異に活性を持つlorlatinibによる治療歴を持つ患者190人ではORR26%、メジアン反応持続期間17.6ヶ月と、それ以外の63人における46%、1年持続率80%より低かった。
第3相はTKI未経験のALK陽性非小細胞性肺癌450人を組入れて、PFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)を中外製薬/ロシュのAlecensa(alectinib)と比較している。
同社は昨年、血管脳関門透過性を持ちG2032R変異にも有効なROS1阻害剤、NVL-520(zidesamtinib)を成人のROS1-TKI歴を持つ局所進行/転移非小細胞性肺癌に承認申請しており、今年9月18日に審査期限を迎える。neladalkibが優先審査指定されたら、年内に2剤が相次いで承認される可能性が生まれる。
リンク: プレス・リリース
Ultragenyx、サンフィリッポ症候群A型用薬の再申請が今度は受理
(2026年4月2日発表)
Ultragenyx Pharmaceutical(Nasdaq:RARE)はFDAがUX111(rebisufligene etisparvovec)の再承認申請を受理したと発表した。審査期限は26年9月19日。
10万人に一人という希少な常染色体劣性遺伝性疾患であるサンフィリッポ症候群A型(ムコ多糖症IIIA型)の遺伝子療法。欠乏するSGSH遺伝子をアデノ随伴ウイルス9型を用いて導入する。脳脊髄液ヘパラン硫酸をサロゲート・マーカーとして米国で24年に加速承認申請したが、審査完了通知を受領した。CMC(化学、製造、管理)に関する指摘を受けた模様だ。臨床成績などに関する指摘はなかったとのこと。今年1月にCMC問題に回答するとともに長期追跡データを追加提出したが、不十分と指摘され、今回、やっと受理された。
リンク: プレス・リリース
【承認審査・委員会】
Replimuneの腫瘍溶解性ウイルス療法は今回も承認されず
(2026年4月10日発表)
Replimune Group(Nasdaq:REPL)は24年11月に米国でRP1(vusolimogene oderparepvec)を成人の抗PD-1抗体による治療歴を持つ進行黒色腫向けに承認申請したが、25年7月に続き、2回目の審査完了通知を受領した。1巡目の審査は、生物学的製剤を担当するCBERや腫瘍学薬を担うOCEのトップが介入したのではないかと見る向きもあり、その後、この2名が退任/退任決定したことから、一部で期待も広がっていたが、結局駄目だった。
興味深いのは、今回、openFDAサイトでいち早く審査完了通知が公開されたこと。ページ数も3頁から7頁に増えている。それによると、バイアスなどを避けるために1巡目とは異なるメンバーが審査したが、Office of Therapeutic Products(OTP)もOncology Center of Excellence(OCE)も薬効の挙証が不十分という結論で一致した。そもそも、21年の段階で、承認申請を意図した試験である第2相IGNYTE試験のデザインにFDAは疑問を呈していた。nivolumab併用でORRが3割台だったが、抗PD-1抗体中/後に進行した患者とはいえ、本当にnivolumab単剤ではこれだけの成果が上がらないのか?前治療で化学療法と併用した患者と抗PD-1抗体だけだった患者を分けて考える必要はないのか?同社は自然歴との比較も実施しているが、患者背景が様々なので比較可能なのか明らかではない。
同社は加速承認後薬効確認試験という位置付けの第3相試験の途中経過も提出した模様だが、目標症例数の10分の1に過ぎない40例の、事前に設定された評価項目ではないPFS解析なので、信頼性が十分ではない。そもそも、加速承認を取るためには承認の段階で市販後薬効確認試験に目標症例数の過半を組入れ終わっていることが望ましいはずだ。会社側は下記プレス・リリースで開発中止の可能性も示唆しており、FDAは、加速承認してもフェーズIVコミットメントを果たさないリスクを懸念したかもしれない。
この用途ではIovance Biotherapeutics(Nasdaq:IOVA)の自家TIL(腫瘍浸潤リンパ球)療法、Amtagvi(lifileucel)が24年に米国で加速承認されている。抗PD-1抗体と、BRAF阻害剤が適応になるならBRAF阻害剤による治療歴を持つ成人の局所進行/転移黒色腫を組入れた第2相でORRが31%、その43%は12ヶ月以上持続した。160人中12人が治療関連と見做される死亡だったことが枠付き警告されている。今回の第2相は前例と何が違うのか、今のところ明らかではない。AmtagviもEUではCHMPが薬効の度合いや死亡リスクに懸念を示し申請撤回に至っている。インにせよアウトにせよ紙一重であることが窺われる。
リンク: Raplimuneのプレス・リリース
リンク: 審査完了通知(26年4月10日付)
リンク: 審査完了通知(25年7月21日付)
【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】
| PDUFA | |
|---|---|
| 26/4推 | サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、8歳以上の最近診断されたステージ3の一型糖尿病、CNPV案件) |
| 26/4推 | Regeneron PharmaceuticalsのDB-OTO(otoferlin変異による小児難聴、CNPV案件) |
| 26/4推 | アストラゼネカのbaxdrostat(難治高血圧症) |
| 26/4/13 | Travere TherapeuticsのRE-021(sparsentan、巣状分節状糸球体硬化症を追加) |
| 26/4/23 | サノフィのSarclisa(isatuximab-irfc、多発骨髄腫用薬の皮下注用新製剤) |
| 26/4/23 | Grace TherapeuticsのGTx-104(点滴静注用nimodipine、脳動脈瘤によるくも膜下出血) |
| 26/4/28 | MSDのMK-8591A(doravirineとislatravir、HIV-1感染症) |
| 26/4/29 | サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、1-7歳のステージ2一型糖尿病) |
| 26/4/30 | Axsome TherapeuticsのAuvelity(dextromethorphan Hbrとbupropion HCI、アルツハイマー性激昂) |
| 26/5推 | GSKのArexvy(高リスク18-49歳のRSV性下部気道疾患予防) |
| 26/5推 | ビーワン・メディシンズのBGB-11417(sonrotoclax、マントル細胞腫) |
| 26/5推 | WockhardtのZaynich(zidebactamとcefepime、グラム耐性菌感染症) |
| 26/5/10 | argenxのVyvgart(efgartigimod alfa-fcab、抗体陰性全身性重症筋無力症) |
| 26/5/18 | 第一三共のEnhertu(fam-trastuzumab deruxtecan-nxki、早期乳癌術前療法) |
| 26/5/24 | エーザイのLeqembi皮下注(lecanemab-irmb、早期AD、維持療法限定解除) |
| 26/6推 | ギリアド・サイエンシズのHepcludex(bulevirtide、D型肝炎) |
| 26/6推 | GSKのtebipenem pivoxil hydrobromide (複雑性尿路感染症) |
| 26/6推 | ファイザーのHympavzi(marstacimab-hncq、インヒビターを持つA/B型血友病) |
| 26/6/2 | 第一三共のDatroway(datopotamab deruxtecan-dlnk、mTNBC1L) |
| 26/6/5 | ArvinasのARV-471(vepdegestrant、ER1陽性乳癌) |
| 26/6/16 | 塩野義製薬のensitrelvir(COVID-19曝露後発症予防) |
| 26/6/19 | MSDのWelireg(belzutifan)とKeytruda(pembrolizumab)、併用で腎細胞腫術後療法 |
| 26/6/20 | Achieve Life Sciencesのcytisinicline(禁煙補助) |
| 26/6/27 | SobiのNASP(Nanoecapsulated Sirolimus plus Pegadricase、管理不良痛風) |
| 26/6/29 | LantheusのLNTH-2501 (Ga-68 edotreotide Injection、神経内分泌腫瘍のPET造影剤) |
| 26/6/30 | Ionis PharmaceuticalsのTryngolza(olezarsen、重度高トリグリセライド血症) |
| 26/6/30 | Viridian TherapeuticsのVRDN-001(veligrotug、甲状腺眼症) |
| 諮問委員会 | |
| 26/4/30 | 腫瘍学諮問委員会(アストラゼネカのcamizestrantとcapivasertib) |
今週は以上です。
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