2026年4月4日

第1253回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • アストラゼネカ、肝細胞腫TACE付随3剤併用試験でPFSを達成 
  • アストラゼネカ、新規低ホスファターゼ症用薬の第3相が成功 
  • AAD:田辺、プロトポルフィリン症用薬の試験成績を発表 
  • トレプロストのIPF試験が2本目も成功 
  • MSDの経口PCSK9阻害剤、3本目の第3相が成功 
  • Viridian社、皮下注用甲状腺眼症薬の第3相が成功 
  • Cogent社、c-KIT阻害剤をGISTにも承認申請 
  • Scholar Rock、SMA用薬を再承認申請 
  • Egetis社、MCT8欠乏症用薬を米国でも承認申請 
  • アイリーア8mgの2年目20週毎投与が承認 
  • イーライリリーの経口GLP-1作用剤が承認 
  • Vertexの嚢胞性線維症薬、カバー率が95%に上昇 
  • バイオジェン、高量スピンラザが米国でも承認 
  • FDA:タブネオスは日本で多くの深刻肝毒性例 
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【新薬開発】


アストラゼネカ、肝細胞腫TACE付随3剤併用試験でPFSを達成
(2026年4月2日発表)

アストラゼネカは、日本も参加した第3相EMERALD-3試験で主目的のPFS(無進行生存期間)を達成したと発表した。切除不能肝細胞腫のTACE(肝動脈化学塞栓術)を受ける患者を組入れて、同社の抗CTLA4抗体Imjudo(tremelimumab-actl)と抗PD-L1抗体Imfinzi(durvalumab)そしてエーザイのVEGFR阻害剤Lenvima(lenvatinib)による周術期薬物療法の便益をTACEだけの群と比較したもの。全生存期間も中間解析で好ましいトレンドが見られたとのこと。尤も、過去のTACE付随試験ではPFSが成功しても全生存の改善が見られなかった事例もあり、また、ImjudoとImfinziだけを併用した群もPFSや全生存期間が向上するトレンドが見られた由なので、解釈は複雑だ。全容の発表や全生存の最終解析結果が待望される。

Imfinziは類似したデザインの第3相EMERALD-1試験で抗VEGF抗体bevacizumabと併用したところ、PFSがTACEだけの群を有意に上回った(ハザード・レシオ0.77、p=0.032、メジアン値は15ヶ月対8.2ヶ月)。一方、G3/4有害事象発現率も45%対23%で上回った。全生存期間の解析は未成熟。良く分からないのは、bevacizumabを併用しなかった群のPFSハザード・レシオは0.94、メジアン値は10.2ヶ月となりフェールしていることだ。Imfinziは不要なのかもしれないが、作用機序を考えれば、全生存期間におけるハザード・レシオはもう少し良いかもしれない。PFS解析結果は24年1月のASCO胃腸学会で発表されたが、未だ承認されたという話は聞かず、会社側は延命効果が確認されるのを待っている状態なのではないか。

Lenvimaは、TACEを受ける患者にMSDの抗PD-1抗体Keytruda(pembrolizumab)と併用した第3相LEAP-012試験で偽薬比ハザード・レシオが0.66、メジアン値は14.6ヶ月対10.0ヶ月と良好な成績を上げ、その時点では全生存期間もハザード・レシオ0.8(95%信頼区間0.57-1.11)、p=0.0867と悪くはなさそうな数値が出ていたが、1年後、全生存期間の中間解析がフェールし成功の見込みも低いことから治験終了となった。

リンク: プレス・リリース


アストラゼネカ、新規低ホスファターゼ症用薬の第3相が成功
(2026年3月31日発表)

アストラゼネカはALXN1850(efzimfotase alfa)の第3相低ホスファターゼ症試験3本の結果を公表した。日欧米で承認されている同社の酵素補充療法、Strensiq(asfotase alfa)の第2世代品で、低量を、週3~6回ではなく2週に1回、皮下注するだけで足りる。

メインの薬効確認試験と言えるMULBERRY試験は、Strensiqによる治療を受けていない2~11歳の患者29人を試験薬と偽薬に2対1割付けして24週間投与し、25週のRGI-C(放射線学的全般的状態変化)を比較したところ、統計的に有意且つ臨床的に意味のある差があった。副次的評価項目のRSS(くる病重症度スコア)も有意に改善。6分歩行テストも偽薬群より改善した。また、Strensiqによる治療を受けている2~11歳の43人を組入れて、試験薬にスイッチする群とStrensiqを継続する群をオープン・レーベルで比較したCHESTNUT試験では、安全性が確認され、副次的評価項目のRGI-CやRSSも維持された。

Strensiqは欧米では周産期・幼児期発症型や少年期発症型の低ホスファターゼ症が適応で、低フォスファターゼ症患者の8割を占める成人の多くはunmet medical needになっている。ALXN1850はHICKORY試験でStrensiqによる治療を受けていない12歳以上の青少年・成人患者124人を偽薬群と2対1割付けして効果を25週の6分歩行テストで計測したが、トレンドに留まった。成人発症型サブグループの偽薬群の成績が想定以上だったことが影響した模様で、小児発症型サブグループでは臨床的に意味のある便益が見られた由だ。

以上を踏まえると、Strensiqが適応になる患者に関してはALXN1850のほうが投与頻度が少ない分、良さそうに見える。但し、Strensiqは自然歴対照試験で死亡リスクや侵襲的人工呼吸器装着リスクを大きく抑制する作用が確認されており、症状改善のエビデンスだけで足りるのか、議論の余地があるかもしれない。成人患者向けが承認されれば市場性が大きく膨らむが、主評価項目がフェールした以上、サブグループ分析や副次的/支持的解析結果を総合的に評価することが必要であり、現時点では不透明だ。

リンク: プレス・リリース


AAD:田辺、プロトポルフィリン症用薬の試験成績を発表
(2026年3月30日発表)

田辺ファーマはAAD(米国皮膚科学会)で選択的メラノコルチン1受容体作動剤dersimelagonの第3相INSPIRE試験成績を発表した。光線過敏症の既往を有する12歳以上の小児・成人の赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)およびX連鎖性プロトポルフィリン症(XLP)患者165人を偽薬群と試験薬群(200mgを一日一回経口投与)に無作為化割付けして、12-16週における、日光曝露に伴う前駆症状が発現するまでの時間を評価したところ、偽薬比23分余遅く、p=0.004と有意に改善した。副次的評価項目では総疼痛イベントも39%少なかった。有害事象はメラノサイト性母斑などが増加した。米国でローリング承認申請に着手している。

プロトポルフィリン症は遺伝子性疾患で血球などにプロトポルフィリンが蓄積し、皮膚が光線過敏を示す。日光曝露が続くと疼痛が発現し、数日間持続する可能性もあるようだ。

リンク: プレス・リリース(和文)


トレプロストのIPF試験が2本目も成功
(2026年3月30日発表)

United Therapeutics(Nasdaq:UTHR)は、Tyvaso(treprostinil、ネブライザ吸入用)の第3相IPF(特発性肺線維症)試験がTETON-2に続きTETON-1も主目的を達成したと発表した。FVC(努力肺活量)の52週間の悪化が49.9mLと偽薬群の136.4mLを下回り、偽薬調整後で95.6mL改善、統計的に有意だった。nintedanibなど承認薬の同時使用や喫煙、酸素療法の併用の有無を問わず便益が見られた。副次的評価項目である臨床的悪化リスクも有意に低下した。忍容性面で新たなシグナルは見られなかった。夏の終わりまでに適応拡大申請する考え

TyvasoはプロスタグランジンI2製剤。09年に米国で、22年には日本でも持田製薬のトレプロストとして、肺高血圧症向けに承認された。

リンク: プレス・リリース


MSDの経口PCSK9阻害剤、3本目の第3相が成功
(2026年330月日発表)

MSDは経口PCSK9(proprotein convertase subtilisin/kexin type 9)阻害剤のMK-0616(enlicitide decanoate)を高脂血症などの治療薬として開発中で、既に3本の第3相試験の成功が公表されている。このうち、実薬対照試験であるCORALreef AddOn試験の成績がACC(米国心臓学会)で発表された。アテローム硬化性心血管疾患が既往または高リスクでスタチンを服用している高脂血症患者301人を、enlicitide(20mg)群、ACL阻害剤のbempedoic acid(180mg)群、NPC1L1阻害剤のezetimibe(10mg)群、そしてbempedoic acid(180mg)とezetimibe(10mg)を併用する群に2:1:1:2割付けして56日間投与したところ、enlicitide群のLDL-Cは64.6%低下し、bempedoic acid群比56%、ezetimibe群比36%、併用群比28%低下と優れた治療効果を示した。

類似した患者層を組入れた偽薬対照試験、CORALreef Lipidsでは偽薬修正後で5-6割の治療効果を示した。ヘテロ接合性家族性高脂血症のスタチン・アドオン試験であるCORALreef HeFHでも偽薬修正後6割近く低下した。日本も参加しているアウトカム試験も進行中。米国のIRA(インフレ抑制法)の影響で承認申請が遅れる可能性もあったようだが、昨年12月にはFDAからCNPV(委員長の国家的優先バウチャ)を受領しており、承認申請に向かいそうだ。

リンク: プレス・リリース


Viridian社、皮下注用甲状腺眼症薬の第3相が成功
(2026年3月30日発表)

米国のViridian Therapeutics(Nasdaq:VRDN)は抗IGF-1R抗体VRDN-003(elegrobart)が第3相活性期甲状腺眼症試験、REVEAL-1で主目的を達成したと発表した。24週PRR(眼球突出応答率)が4週毎投与群は54%、8週毎群は63%となり、偽薬群の18%を有意に上回った。副次的評価項目である突出の減少幅も有意に上回った。慢性期患者を組入れたREVEAL-2試験の結果は第2四半期に判明する見込み。

同社は類薬のVRDN-001(veligrotug)を甲状腺眼症の治療薬として欧米で承認申請しており、米国のPDUFA(処方薬ユーザー・フィー法に基づく審査完了目標日)は今年6月30日。10mg/kgを3週毎に点滴静注する。一方、elegrobartは半減期が長いため4~8週毎の投与が可能で、オートインジェクターで皮下に自己注することを想定している。ただ、今回の試験成績は競合品などと比べてやや見劣りする。

日本は25年7月にキッセイ薬品が両剤の権利を取得している。

リンク: プレス・リリース

【承認申請】


Cogent社、c-KIT阻害剤をGISTにも承認申請
(2026年4月1日発表)

Cogent Biosciences(Nasdaq:COGT)は米国でCGT9486(bezuclastinib)の消化管間質腫瘍(GIST)における承認申請を完了したと発表した。imatinibによる治療歴を持つ患者を組入れた第3相PEAK試験で、PFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)がメジアン16.5ヶ月とsunitinib群の9.2ヶ月を上回り、ハザード・レシオは0.50だった。一方、治療関連投与中止の発生率は各群7.4%と3.8%だった。

この申請はFDAがReal-Time Oncology-Reviewの対象としており、昨年12月に申請され今年12月30日に審査期限を迎える非進行全身性肥満細胞症用途と前後して承認される可能性があるだろう。進行した全身性肥満細胞腫等の承認申請用試験でもORR(客観的反応率)が49%という成績を挙げており、今上期中に承認申請する考え。

CGT9486はc-KIT阻害剤でD816V変異などのエクソン17変異型に活性を持つ。第一三共が2011年に買収したPlexxikonからPLX9486をライセンスした企業が、株式公開企業の換骨奪胎型逆買収を経て、社名を上記に変更したもの。

リンク: プレス・リリース


Scholar Rock、SMA用薬を再承認申請
(2026年3月31日発表)

Scholar Rock(Nasdaq:SRRK)はSRK-015(apitegromab)をFDAに再承認申請したと発表した。フィル・フィニッシュ工程を担う、ノボ ノルディスクが買収し運営しているCatalentのIndiana施設で発生した製造問題の余波を受けた複数の企業の一つで、昨年9月に審査完了通知を受領した。その後、FDAとの相談やノボ・FDA間の協議を経て、問題の施設の再査察は未だこれからだが、米国における第2のフィル・フィニッシュ施設の情報も含めて、提出した。同社は、FDAが30日内に受理し審査期限を9月下旬に設定すると予想している。

TGFベータ・スーパーファミリーの一つであるmyostatinの前駆体・不活性体であるproMyostatinに結合する抗体。活性化されるのを妨げ、筋力低下を抑制する。欧州でも審査中で、会社側は年央に審査結果と予想している。

リンク: プレス・リリース


Egetis社、MCT8欠乏症用薬を米国でも承認申請
(2026年3月27日発表)

スウェーデンのEgetis Therapeutics AB(Nasdaw Stockholm:EGTX)は米国でEmcitate(tiratricol)をMCT8(モノカルボン酸トランスポーター8)欠乏症用薬として承認申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は26年9月28日。

この疾患は超希少なX染色体性遺伝子疾患で、甲状腺ホルモンの一つであるT3を細胞内に移送するトランスポータが欠乏し、知能や運動機能の発達障害が表れる。tiratricolはT3甲状腺ホルモン類縁体で、フランスで甲状腺ホルモン抵抗性症候群などの治療薬として半世紀の市販歴がある。細胞膜を通過するのにMCT8を必要としない。EUでは25年2月にRare Thyroid Therapeutics International ABが承認を取得。米国は別途、ReTRIACt離脱試験を実施して投与を止めると血清T3水準が増加してしまうことを確認し、親会社に相当するEgetisが承認申請した。尚、日本は23年に藤本製薬が権利を導入している。

リンク: プレス・リリース

【承認】


アイリーア8mgの2年目20週毎投与が承認
(2026年4月2日発表)

Regeneron Pharmaceuticals(Nasdaq:REGN)はFDAがEylea HD(aflibercept 8mg)の20週毎投与を承認したと発表した。新生血管加齢性黄斑変性や糖尿病性網膜症の治療に用いる場合には、8mgを最初は4週毎に3回、硝子体内注射した後に、状態に応じて8~16週毎投与に移行し、応答が持続しないようなら4週毎に戻すことを検討するというプロトコルだったが、今回、応答が1年以上持続する場合は20週毎投与にシフトするオプションが承認された。

同社はEylea HDに関して適応症や用法に関する様々な変更申請を行ったが、ノボ ノルディスクが買収したCatalant Indiana工場の製造問題に巻き込まれ、承認が遅れていた。プリフィルド・シリンジの承認も遅れているが、充填委託会社を変更して申請中で、今月中に審査結果が判明する見込みだ。

リンク: プレス・リリース


イーライリリーの経口GLP-1作用剤が承認
(2026年4月1日発表)

イーライリリーはFDAがFoundayo(orforglipron)を成人の肥満症や体重関連医療問題を伴うオーバーウェイトの治療薬として承認したと発表した。カロリー抑制食事療法及び身体活動強化と共に施行する(第3相試験では週150分以上の身体活動を行うようカウンセリングした)。GLP-1作用剤だが注射ではなく一日一回経口投与する。製剤が第3相試験までのものと異なっており、第3相では各群6mg、12mg、または36mgを目標に用量漸増したが、最終製品は0.8mg一日一回で開始して30日おきに2.5mg、5.5mg、そして、成果や忍容性に応じて、目標用量である9mg、14.5mg、または17.2mgに漸増する。経口GLP-1作用剤の承認はノボ ノルディスクのsemaglutideを含有するWegovyピル(肥満症)、Ozempicピル(二型糖尿病)、Rybelsus(同)に次ぐ。

Foundayoの第3相成績は、糖尿病を合併しない患者を組入れたATTAIN-1試験では72週間の体重減少が目標用量群により7~11%となり、偽薬群の2%を上回った。糖尿病合併者を組入れたATTAIN-2試験では5~9%対2%で上回った。尚、Wegovy 25mgピルは糖尿病非合併患者のOASIS-4試験で13%対2%で上回った。ノボ ノルディスクが肥満薬の学会で発表した、ATTAIN-1試験とOASIS-4試験のポピュレーション調整非直接的比較研究、ORIONによると、減量率はWegovyのほうが3%上回った。直接比較試験を行えばはっきりするかもしれないが、この程度の差だとノイズを拾ってしまうリスクもありそうだ。

18年に中外製薬からライセンスしたもの。ロシュが第一選択権を持っていたが行使しなかった。FDAのCNPV(委員長国家的優先バウチャ)を受領しており、承認申請から50日で承認された。

図表:CNPV案件の審査結果
企業対象疾患など結果
USAntibioticsAugmentin XR(amoxicillin、
clavulanate potassium)
重要な抗菌剤の国内生産承認(25/12)
Disc MedicineDISC-0974(bitopertin)赤芽球性プロトポルフィリン症審査完了(26/2)
ベーリンガー・インゲルハイムHernexeos(zongertinib)her2陽性肺癌承認(26/2、44日審査)
ジョンソン エンド ジョンソンTecvayli(teclistamab-cqyv)
・Darzalex Faspro(daratumumab、
hyaluronidase-fihj)併用
多発骨髄腫承認(26/3、55日審査)
ノボ ノルディスクWegovy 7.2mg(semaglutide)肥満症承認(26/3、54日審査)
イーライリリーorforglipron肥満症承認(26/4、50日審査)
出所:FDA発表を基に作成

リンク: イーライリリーのプレス・リリース
リンク: FDAのCNPV供与案件承認に関するプレス・リリース


Vertexの嚢胞性線維症薬、カバー率が95%に上昇
(2026年4月1日発表)

Vertex Pharmaceuticals(Nasdaq:VRTX)は、嚢胞性線維症用3剤合剤であるAlyftrek(vanzacaftor、tezacaftor、deutivacaftor)とTrikafta(elexacaftor、tezacaftor 、ivacaftor)の有効範囲追加がFDAに承認されたと発表した。主因であるCFTR変異には様々なものがあり、同社は第1号製品のKalydeco(ivacaftor)が2012年に欧米で初承認されて以降、様々な変異型の臨床試験やin vitro試験を行い、有効範囲を確認してきた。今回、Alyftrekは564変異型に、Trilaftaは521変異型に、有効である旨の記述がレーベルに掲載された。米国の対象患者が800人増加し、嚢胞性線維症患者の95%をカバーできるようになった由だ。10年間、よくやり遂げましたね。

リンク: プレス・リリース


バイオジェン、高量スピンラザが米国でも承認
(2026年3月30日発表)

バイオジェンは、FDAが脊髄性筋萎縮症用薬Spinraza(nusinersen)の高用量規格・レジメンを承認したと発表した。16年に初承認時の用量用法は12mgを当初は第0、14、28、58日に、その後は4ヶ月毎に、髄腔内投与する。高用量レジメンは当初は50mgを第0、14日に、その後は39mgを4週毎に、髄腔内投与する。第2/3相DEVOTE試験のパートBで、第6月のCHOP-INTENDが初承認時のエビデンスであるENDEAR試験のシャム群の適合例20人を有意に上回った。死亡または永続的換気(人工呼吸器装着など)のリスクもハザード・レシオが0.33、p=0.0006だった。尚、この試験は12mgレジメンを施行する群も設定されているが、日本の資料によると、CHOP-INTENDが12mg群比ハザード・レシオ0.70だったがp=0.33なので有意水準ではない。

高用量レジメンは日本では昨年9月に承認、EUでも今年1月に承認されたが、米国ではCMC(化学・製造・管理)に関わる追加情報などを求められ承認が遅れていた。

リンク: プレス・リリース

【医薬品の安全性】


FDA:タブネオスは日本で多くの深刻肝毒性例
(2026年3月31日発表)

FDAはアムジェンのANCA関連血管炎用薬Tavneos(avacopan)に関する安全性通達を発出した。このC5a受容体阻害剤は21年9月に日本でライセンシーのキッセイ薬品が世界初承認を取得し、アムジェンも翌月に米国で、22年1月にはEUでも、承認を取得した。薬物誘導性肝障害のリスクは承認前から知られていたが、市販後に致死例やVBDS(胆管消失症候群)合併例が報告されているため、改めて連絡した。FDAは、24年10月までの期間にavacopanとの関連性に関する合理的なエビデンスのある76例を特定した。うち死亡は8人、入院は54例あった。深刻な合併症であるVBDSは7例で3人が死亡した。地域的には極めて偏っており、日本が66例、米国5例、欧州4例などとなっている。

FDAは、定期的に肝機能検査などを行い、ALT/AST(通常上限の3倍超)やALP(同2倍超)の異常上昇や症候性胆汁鬱滞などが見られた場合は投与を中止、代替的治療法などを検討するよう推奨している。

リンク: プレス・リリース

【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】



PDUFA
26/4推サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、8歳以上の最近診断されたステージ3の一型糖尿病、CNPV案件)
26/4推Regeneron PharmaceuticalsのDB-OTO(otoferlin変異による小児難聴、CNPV案件)
26/4推アストラゼネカのbaxdrostat(難治高血圧症)
26/4/3バイオジェンのSpinraza(nusinersen、高用量追加)
26/4/6Orca BioのOrca-T(血液癌の制御性T細胞・幹細胞移植)
26/4/10ReplimuneのRP1(vusolimogene oderparepvec、進行黒色腫)
26/4/13Travere TherapeuticsのRE-021(sparsentan、巣状分節状糸球体硬化症を追加)
26/4/23サノフィのSarclisa(isatuximab-irfc、多発骨髄腫用薬の皮下注用新製剤)
26/4/23Grace TherapeuticsのGTx-104(点滴静注用nimodipine、脳動脈瘤によるくも膜下出血)
26/4/28MSDのMK-8591A(doravirineとislatravir、HIV-1感染症)
26/4/29サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、1-7歳のステージ2一型糖尿病)
26/4/30Axsome TherapeuticsのAuvelity(dextromethorphan Hbrとbupropion HCI、アルツハイマー性激昂)
26/5推GSKのArexvy(高リスク18-49歳のRSV性下部気道疾患予防)
26/5推ビーワン・メディシンズのBGB-11417(sonrotoclax、マントル細胞腫)
26/5推WockhardtのZaynich(zidebactamとcefepime、グラム耐性菌感染症)
26/5/10argenxのVyvgart(efgartigimod alfa-fcab、抗体陰性全身性重症筋無力症)
26/5/18第一三共のEnhertu(fam-trastuzumab deruxtecan-nxki、早期乳癌術前療法)
26/5/24エーザイのLeqembi皮下注(lecanemab-irmb、早期AD、維持療法限定解除)
諮問委員会
26/4/30腫瘍学諮問委員会(アストラゼネカのcamizestrantとcapivasertib)

審査期限変更:Orca BioのOrca-T(血液癌の制御性T細胞・幹細胞移植)は7月6日に、LantheusのLNTH-2501 (Ga-68 edotreotide Injection、神経内分泌腫瘍のPET造影剤)は8月29日に、変更。
訂正とお詫び:アストラゼネカの二品の腫瘍学諮問委員会は、4月30日と書くべきところを3日と誤記していました。

今週は以上です。

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