2026年1月24日

第1243回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • FDA:多発性骨髄腫用薬はMRDに基づき加速承認申請できる 
  • 抗OX40L抗体のアトピー試験が成功 
  • Corcept社、relacorilantが全生存期間も達成 
  • 毛細血管拡張性運動失調症のロイシン補充療法試験が成功 
  • ボッシュ、リファキシミン新製剤の肝性脳症一次予防試験がフェール 
  • 疾病装飾ポテンシャルを持つ変形性膝関節症用薬を承認申請 
  • Valneva、チクングニア熱ワクチンの米国販売を断念 
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【今週の話題】


FDA:多発性骨髄腫用薬はMRDに基づき加速承認申請できる
(2026年1月20日発表)

FDAは多発性骨髄腫用薬に関するガイダンス資料を公表した。MRD(微小残存病変)に基づく加速承認申請を容認するもので、開発期間短縮に資するだろう。

多発性骨髄腫は過去20年間に新薬が続々と登場し、かっては贅沢過ぎた3剤、4剤併用が今日では標準療法になっている。効果が高まる一方で、新薬開発のハードルも上がった。新患の場合で完全反応率90%、メジアン生存期間7~10年という標準療法を有意に上回るためには多くの患者を長期間追跡する必要があり、開発期間の長期化を招きかねない。

対応策として、FDAはMRDに基づく加速承認申請を認めた。複数の試験でPFS(無進行生存期間)や全生存期間との相関性が示されているからだ。24年の腫瘍学諮問委員会でも支持された。MRD陰転の閾値は、最低でも、骨髄穿刺液のシーケンサーまたはフローサイトメトリー検査により正常細胞10万個当たりの腫瘍細胞数が1個未満、となる。逸失例は非達成例とカウントする。一時的な偏りの検出を回避するために、MRD解析時点で患者組入れを完了している必要がある。同じ臨床試験、または別の臨床試験でPFS(無進行生存期間)や全生存期間の延長作用を確認して本承認を取得する必要がある。

寛解導入期、地固め期、維持療法期など複数のフェーズを跨ぐ試験を行う場合は、夫々のフェーズの寄与を評価できるようデザインすべき。多発性骨髄腫に進展する可能性のある、くすぶり型多発性骨髄腫やMGUS(意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症)は、MRDの有用性が確立していないため、対象外。

24年の諮問委員会ではサノフィの抗CD38抗体Sarclisa(isatuximab-irfc)の第3相IsKia試験のデータも参照されたが、未だ承認されていない(申請されているのかも明らかではない)。ブリストル マイヤーズ スクイブはCC-220(iberdomide)が2~3次治療の第3相EXCALIBER-RRMM試験の中間解析で共同主評価項目であるMRD陰転率を達成したと昨年9月に発表したが、その後に承認申請したかどうか、明らかではない。もう一つの主評価項目であるPFSが26年にも開票するのを待つ考えかもしれない。

リンク: FDAの関連頁

【新薬開発】


抗OX40L抗体のアトピー試験が成功
(2026年1月23日発表)

サノフィはSAR445229(amlitelimab)のアトピー性皮膚炎における第3相試験が更に2本成功したと発表した。但し、一本は一部の重要なな評価項目がフェールしており、満点の結果とは言えなそうだ。同社は承認申請する考え。

抗原提示細胞などが発現するOX40レガンドに対する抗体。T細胞のOX40に結合するのを妨げることで、イフェクターT細胞と制御的T細胞のバランスを調整する。第3相は体重40kg以上の患者の場合で250mg(初回は倍量)を12週毎または4週毎に皮下注する便益を検討した。主評価項目は複雑で、FDA向けは24週vIGA-AD奏効率。医師の全般的評価が0(寛解)または1(ほぼ寛解)、且つ、ベースライン比2段階以上改善を奏効とした。解析対象はnon-responder imputation(以下、NRI)方式で、24週までにレスキュー治療を受けたり、24週時点のデータが逸失している症例は非奏効例と分類した。EUや日本向けの主評価項目は、24週vIGA-AD奏効率と、EASI-75奏効率。どちらもTreatment policy(以下、TP)方式で、レスキュー治療を受けた患者に関しては24週時点の奏効評価があればそれを採用した。一般的に、intent-to-treatに近いとされる評価方法だ。

組入れ対象は3本とも12歳以上の小児・成人における既存療法不応不適の中重度アトピー性皮膚炎。COAST 1と2は単剤投与、SHORE試験は中力価局所性ステロイドかつまた局所性カルシニューリン阻害剤に追加投与する便益を検討した。2種類の用法を検討しているため閾値は偽薬比p値が0.025未満。結果は下表のとおりで、COAST 1試験とSHORE試験は米向けも欧日向けも達成したが、COAST 2試験は欧日向けはフェール、米向けも主要な副次的評価項目である、vIGA-AD 0/1かつ紅斑殆ど消失と定義された奏効率はフェールした。

忍容性は大きな問題はなさそうだ。皮膚アトピーという治療時発現有害事象の発生率が、SHORE試験では偽薬群5.6%、試験薬2群合計は2.7%と好ましい結果になっているが、COAST 2試験では各2.7%と5.3%と、逆になっている。


図表:amlitelimabの第3相成績

Non-responder imputationTreatment policy
偽薬12週毎投与4週毎投与偽薬12週毎投与4週毎投与
COAST 1
vIGA-AD 0/19.2%22.5%
p<0.01
21.1%
p<0.01
10.5%29.1%
p<0.001
26.5%
p<0.001
EASI-7519.1%39.1%
p<0.001
35.9%
p<0.001
27.6%50.3%
p<0.001
46.0%
p<0.001
COAST 2
GA-AD 0/114.8%25.7%
p≦0.025
25.3%
p≦0.025
18.8%27.7%
p=0.068
28.8%
p=0.031
EASI-7524.2%40.5%
p≦0.01
41.8%
p≦0.001
30.2%45.9%
p≦0.01
49.7%
p≦0.001
SHORE
vIGA-AD 0/116.8%32.3%
p≦0.01
28.7%
p≦0.01
16.8%32.9%
p≦0.01
29.9%
p≦0.01
EASI-7532.3%46.8%
p≦0.025
48.1%
p≦0.01
34.2%48.1%
p≦0.025
50.9%
p≦0.001
注:COAST 試験におけるEASI-75のp値は名目値

リンク: プレス・リリース


Corcept社、relacorilantが全生存期間も達成
(2026年1月22日発表)

米国カリフォルニア州の新興製薬会社、Corcept Therapeutics(Nasdaq:CORT)は、CORT-125134(relacorilant)が第3相白金抵抗性卵巣癌試験で共同主評価項目の全生存期間を達成したと発表した。昨年7月にPFS(無進行生存期間)データに基づき米国で承認申請したが、26年7月11日の審査期限に向けて、追い風になりそうだ。

経口選択的グルココルチコイド受容体拮抗剤。プロゲステロン受容体作動に伴う副作用が起きにくい。24年に副腎皮質ホルモン過剰症における高血圧または高血糖を治療する試験が成功し年末にFDAに承認申請したが、危険便益バランスが不十分とする審査完了通知を受領した。

今回のROSELLA試験は米欧韓などの施設で白金抵抗性卵巣癌の患者381人をnab-paclitaxel単剤投与群とrelacorilant併用群(nab-paclitaxelの用量は8掛けに抑制)に無作為化割付けした。盲検独立中央評価によるメジアンPFSは各群5.5ヶ月と6.5ヶ月、ハザード・レシオ0.70。今回判明した全生存期間は中間解析と大差なく、メジアン値が各群11.9ヶ月と16.0ヶ月、ハザード・レシオは0.65、p=0.0004だった。PFSの群間差は1ヶ月程度と小さく、中央評価は盲検だが対象となるのは割付けを知っている医師が進行と判定した症例だけであることも考慮すると万全とは言い難いが、メジアン生存期間の群間差は承認されている抗癌剤と遜色ない。

同社は欧州でも承認申請中。

リンク: プレス・リリース


毛細血管拡張性運動失調症のロイシン補充療法試験が成功
(2026年1月21日発表)

米国テキサス州の未上場製薬会社、IntraBioは、Aqneursa(levacetylleucine) が第3相毛細血管拡張性運動失調症試験で主目的などを達成したと発表した。速やかに欧米などで適応拡大申請する考え。

アミノ酸の一つであるロイシンの懸濁液用顆粒。24年に米国でニーマン・ピック病C型に承認され、今回、EUでも承認されたことが公表された(但し、EUは新規活性成分とは認めていない)。この疾患では体重35kg以上の場合で一日三回、合計4gを水やオレンジジュース、牛乳などに混ぜて経口投与する。

毛細血管拡張性運動失調症は7万人に一人の進行性常染色体劣性遺伝疾患。DNA損傷時の修復応答に関わるATM(Ataxia telangiectasia mutated)というキナーゼの遺伝子変異により、名前に含まれる2症状や免疫不全などを発現する。今回の303試験は小児と成人の患者を組入れて12週間投与する効果を偽薬と比較した。主評価項目のSARA(Scale for the Assessment and Rating of Ataxia)は1.92点低下(改善)、偽薬群は0.14低下、p<0.001。副次的評価項目のICARS(International Cooperative Ataxia Rating Scale)も-4.22対-1.69、p=0.003、CGI-I(Investigator’s Clinical Global Impression of Improvement)も-0.6対-0.2、p=0.02と有意な差があった。試験薬関連深刻有害事象は見られなかった。

リンク: プレス・リリース(Business Wire)


ボッシュ、リファキシミン新製剤の肝性脳症一次予防試験がフェール
(2026年1月23日発表)

カナダのBausch Health Companies(NYSE:BHC)は、Xifaxan(rifaximin)のamorphous solid soluble dispersion新製剤の第3相試験二本がフェールしたと発表した。

抗生物質のrifampinの誘導体で、米国で2004年に12歳以上の旅行者の下痢に、2010年に顕性肝性脳症に、2015年には下痢型過敏性腸症候群に、承認された。日本では2016年にあすか製薬が肝性脳症に伴う高アンモニア血症の治療薬として承認を取得している。米国で肝性脳症の用法特許切れが近づいており、更なるライフ・サイクル・マネジメントを狙って、薬物動態に優れる新製剤を用いて成人の肝硬変患者における肝性脳症の一次予防試験を実施したのだが、結実しなかった。

リンク: プレス・リリース

【承認申請】


疾病装飾ポテンシャルを持つ変形性膝関節症用薬を承認申請
(2026年1月6日発表)

米国カリフォルニア州の未上場医薬品開発会社、Biosplice Therapeuticsは、米国でSM04690(lorecivivint)を変形性膝関節症用薬として承認申請したと発表した。第3相試験で関節幅拡大を抑制する作用が窺われたことから、疼痛管理だけでなく進行を抑制する可能性があると期待しているようだ。但し、第3相二本はフェールし元々は延長試験の位置付けだったものが主エビデンスなので、受理されるか一抹の不安を感じる。

DYRK1A(dual-specificity tyrosine phosphorylation-regulated kinase 1A)とCLK2(CDC-like kinase 2)を阻害する膝関節内投与用懸濁液。中重度症候性変形性膝関節症に0.07mgを一回投与する第3相OA-10試験とOA-11試験が実施されたが、主評価項目である12週間の疼痛NRSの変化は偽薬群と大差なかった。偽薬対照期間の有害事象発生率は両群同程度だった。

ところが、52週間のOA-11試験を終えた患者(被験者の半分程度に当たる約270人)を偽薬と0.07mg群に無作為化割付けして一回投与したOA-07試験で、24週WOMAC(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index)疼痛尺度の群間差がp=0.044、48週時点では0.029とある程度の有意性が示された。48週WOMAC機能尺度もp=0.035だった。偽薬群から試験薬にクロスオーバーした患者では、48週後のmJSW(medial joint space width:X線画像上の関節幅)が、試験薬継続投与群の数値より有意に劣っていた。

二本の試験がフェール、もう一本はデザイン上の不透明さがありp値も一本で承認を取る時の一般的な要求水準(0.05x0.05=0.0025)をクリアしていないことなどを考えると、高リスク承認申請だろう。

尚、ClinicalTrials.govによると、これら3本の試験の結果を受領したがクオリティ・コントロール審査で照会すべき事項が浮上したためまだ掲載していない由。エビデンスの頑強性に不安を感じさせる。

リンク: プレス・リリース(GlobeNewswire)

【医薬品の安全性】


Valneva、チクングニア熱ワクチンの米国販売を断念
(2026年1月19日発表)

フランスのワクチン企業、Valneva SE(Euronext Paris:VLA)は、Ixchiqの米国における承認申請とIND(治験届)を撤回すると発表した。チクングニア熱の不活化生ワクチンで、23年に加速承認されたが、発売後もチクングニア熱様有害事象が散見され、昨年8月にFDAが承認停止した。チクングニア熱様深刻有害事象による入院が21件、死亡が3件報告されており、市販後薬効確認試験で臨床的な便益が未だ確認されていないため便益が危険を上回るとは断定できないことが理由。その後、FDAは、3種類のワクチンを同時接種した海外のヤング・アダルトに関する報告を受けて、INDもクリニカル・ホールドを命じた由。

Ixchiqは欧州やカナダ、ブラジルなどでも承認されており、EUは、24年の承認後に同様な理由で65歳以上の接種を一時的に禁止したものの、解除した。Valnevaはこれらの地域では販売を継続すると共に、市販後試験を継続する考え。

リンク: プレス・リリース

【当面の主なFDA審査期限】


PDUFA
26/1推Disc MedicineのDISC-0974(bitopertin、赤芽球性(骨髄性)プロトポルフィリン症、CNPV案件)
26/1/28Tenpoint TherapeuticsのBrimochol PF(carbacholとbrimochol tartrate、老視)
26/1/31Aquestive TherapeuticsのAnaphylm(dibutepinephrine、アナフィラキシー等)
26/1/31Pharmingのleniolisib(4-11歳の活性期phosphoinositide 3-kinase deltaに適応拡大)
26/2推サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、8歳以上の最近診断されたステージ3の一型糖尿病、CNPV案件)
26/2推JNJのTecvayli(teclistamab-cqyv)とDarzalex Faspro(daratumumab、hyaluronidase-fihj)、多発骨髄腫、CNPV案件)
26/2/8RegenxbioのRGX-121(clemidsogene lanparvovec、MPS II型)
26/2/20MSDのKeytruda(pembrolizumab、白金抵抗性卵巣癌)
26/2/21Vanda PharmaceuticalsのBysanti(milsaperidone、統合失調症と双極障害I型)
26/2/25大鵬薬品のInqovi(decitabineとcedazuridine、新患急性骨髄性白血病一次治療)
26/2/28Regeneron PharmaceuticalsのDupixent(dupilumab、アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎)
25/2/28Ascendis PharmaのTransCon CNP(navepegritide、軟骨無形成症)
26/3推Atara Biotherapeuticsのtabelecleucel(リンパ増殖性疾患)
26/3推Concert TherapeuticsのCORT-125134(relacorilant、白金抵抗卵巣癌)
26/3推ノボ ノルディスクのAwiqli(insulin icodec、二型糖尿病)
26/3推ノボ ノルディスクのWegovy(semaglutide 最大用量7.2mg、CNPV案件)
26/3推アストラゼネカのbaxdrostat(難治高血圧症)
26/3/6BMSのSotyktu(deucravacitinib、乾癬性関節炎適応拡大)
26/3/16Aldeyra TherapeuticsのADX 102(reproxalap、ドライアイ)
26/3/20Rhythm Pharmaceuticalsのsetmelanotide(後天的視床下部性肥満症)
26/3/24GSKのGSK2330672(linerixibat、原発性胆汁性胆管炎)
26/3/28Rocket PharmaceuticalsのKresladi(marnetegragene autotemcel、重度白血球接着不全症1型)
26/3/29LantheusのLNTH-2501 (Ga-68 edotreotide Injection、神経内分泌腫瘍のPET造影剤)


今週は以上です。

2026年1月17日

第1242回

【ニュース・ヘッドライン】

  • 田辺ファーマ、プロトポルフィリン症用薬の第3相が成功 
  • JNJ、テクベイリの第3相多発骨髄腫単剤投与試験が成功 
  • エプキンリのDLBCL市販後薬効確認試験がフェール 
  • ウィフガートを抗AChR抗体陰性gMGに適応拡大申請
  • ベスレミを本態性血小板血症に承認申請 
  • メルク、TGCT用薬を承認申請 
  • ラクオリア創薬導出品が米国で承認申請 
  • Travere社、FSGS適応拡大審査が3ヶ月延長 
  • ESV細胞療法は審査完了に 
  • メンケス病薬が承認 
  • FDA、GLP-1作用剤の自殺リスクをシロ判定 
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【新薬開発】


田辺ファーマ、プロトポルフィリン症用薬の第3相が成功
(2026年1月15日発表)

田辺ファーマはdersimelagonが第3相INSPIRE試験で赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)やX連鎖性プロトポルフィリン症(XLP)患者の光線過敏症状を抑制したと発表した。承認申請に向かおう。

EPPはフェロケラターゼの、XLPはデルタ-アミノレブリン酸合成酵素の、遺伝子変異が関わる疾患で、ヘム合成が妨げられ血中や組織にプロトポルフィリンが蓄積、日光に曝露すると疼痛などが発現する。7.5~20万人に一人の希少疾患。

dersimelagonは選択的メラノコルチン1受容体作動剤。eumelaninの分泌を促し皮膚を光線から防御する。EPPを対象としたPOC試験では、日光曝露下において光線過敏症の前駆症状が発現するまでの時間が100mg群は偽薬比53分、300mgは同62分、長かった。第3相は200mgを一日一回、16週間に亘り経口投与した。主評価項目は、日光曝露に伴う最初の前駆症状(灼熱感、ピリピリ感、そう痒感又は刺痛感)発現までの時間。データは今後、発表する。

EPPではオーストラリアのClinuvel Pharmaceuticals(ASX:CUV)の皮下インプラント用メラノコルチン1受容体作動剤Scenesse(afamelanotide)がEUでは14年に、米国では19年に承認されている。昨年9月にはDisc Medicine(Nasdaq:IRON)が米国でGlyT1阻害剤DISC-0974(bitopertin)を12歳以上のEPP/XLPに加速承認申請し、10月にCNPV(FDA委員長国家的優先バウチャ)を取得している。

リンク: プレス・リリース


JNJ、テクベイリの第3相多発骨髄腫単剤投与試験が成功
(2026年1月14日発表)

ジョンソン エンド ジョンソンは、Tecvayli(teclistamab-cqyv)が第3相MajesTEC-9実薬対照試験の中間解析でPFS(無進行生存期間、治験登録によると主評価項目)や全生存期間(副次的評価項目)を達成したと発表した。適応拡大申請に向かうのではないか。

BCMAとCD3に結合する二重特異性抗体。22~24年に欧米日で再発/難治多発骨髄腫用薬として承認された。米国は代表的な3クラスを含む4次以上の治療歴、EUは同じく3次以上の治療歴を持ち最終治療抵抗性、日本は標準治療不適を適応とした。

今回の日本も参加した試験はlenalidomide(Revlimid)と抗CD38抗体を含む1~3次治療歴を持つ再発/難治多発骨髄腫患者にTecvayliを単剤投与する便益を検討した。対照群は標準的療法であるPVdレジメン(pomalidomide、bortezomib、dexamethasoneの併用)またはKdレジメン(carfilzomibとdexamethasoneの併用)を施行した。PVdレジメンは米国ではなぜか未承認だが欧日では19年に承認されており、米国でもNCCTガイドラインが優先的、カテゴリー1の選択肢として推奨しているのでオフレーベル使用されている。

結果は、PFSのハザード・レシオが0.18、全生存期間は0.60と、大変良い数値が出た。独立データ監視委員会が盲検解除を推奨し、今回の発表が可能になった。

Tecvayliは先般、1~3次治療歴を持つ再発・難治多発骨髄腫に同社の抗CD38抗体であるDarzalex Faspro(daratumumab)と併用する用途用法で適応拡大申請された。第3相MajesTEC-3試験でpomalidomideまたはbortezomibをDarzalex Faspro及びdexamethasoneと併用した群に対するハザード・レシオがPFSは0.17、全生存期間も0.46と大変良い数値を出し、CNPV(FDA委員長の国家優先バウチャ)を受領している。

多発骨髄腫は1998年のthalidomideを皮切りに続々と新薬が投入され、IMiDs(免疫調停薬)、プロテアソム阻害剤、dexamethasone、抗CD38抗体、そして抗BCMAxCD3抗体やBCMA標的CAR-Tなど選択肢が増えると共に、併用の選択肢も増加して、何を一次治療に選び何を二次以降に用いるか、フロー・チャートが複雑化している。

リンク: プレス・リリース


エプキンリのDLBCL市販後薬効確認試験がフェール
(2026年1月16日発表)

ジェンマブは、アッヴィと共同開発販売しているCD3/CD20二重特異性抗体Epkinly(epcoritamab-bysp)が第3相EPCORE DLBCL-1実薬対照試験で副次的評価項目に良績を上げたが主評価項目の全生存期間は達成できなかったと発表した。COVID-19大流行の影響を受けた可能性があるようだが、DLBCLや試験薬以外の理由で死亡する被験者が多すぎて治療効果が目立たなかったのか、それとも試験薬の影響で免疫力が低下したことが響いたのかによっても、受け止め方が変わってくるだろう。

他の第3相DLBCL(大細胞型B細胞リンパ腫)試験二本が26年中に開票する見込みなので、名誉挽回し本承認切替の道が開けるか、注目される。

Epkinlyは23年に米欧日で再発/難治大細胞型B細胞リンパ腫の3次治療薬として承認された。米国は加速承認、EUは条件付き承認なので、市販後薬効確認試験でORR(客観的反応率)より臨床的に意味のある便益を確認する責務がある。24~25年に米欧日で承認された再発/難治濾胞性リンパ腫の3次治療ではFDAが課した市販後薬効確認試験が成功、昨年11月に加速承認が通常承認に切替えられた。

今回の日本も参加した試験は、高量化学療法や自家幹細胞移植に適さない成人の再発/難治DLBCL483人を組入れて、Epkinly単剤投与群と標準療法群(R-GemOxレジメン又はBRレジメンから医師が選択)の全生存期間を比較した。ハザード・レシオは0.96(95%信頼区間は0.77-1.20)となり、大差なかった。一方、副次的評価項目のPFS(無進行生存期間)はハザード・レシオ0.74(同0.60-0.92)と上回った。

ジェンマブは、昨年1月、COVID-19などの影響を軽減するために目標死亡数を増やしたので市販後薬効確認試験の結果報告が当初の計画より遅延する旨をFDAに通知している。FDAの加速承認通知や市販後コミットメント一覧サイトには試験名は記されていないが、おそらく今回の試験のことだろう。1年待っても改善しなかったことになる。

今年開票する二本はEpcore DLBCL-2と同-4。前者は新患900人を組入れて、R-CHOPレジメンに追加する便益を検討する。主評価項目はPFS。後者は再発/難治DLBCL360人を組入れて、lenalidomideと併用で最大48週間投与する便益をR-GemOX4と比較する。こちらも主評価項目はPFS。尚、Epkinlyだけ投与する群も設定されているが主/副次的評価項目の解析対象ではないようだ。

リンク: プレス・リリース


【承認申請】


ウィフガートを抗AChR抗体陰性gMGに適応拡大申請
(2026年1月13日発表)

argenx SE(Euronext/Nasdaq:ARGX)は、米国で抗FcRn抗体Vyvgart(efgartigimod alfa-fcab)をアセチルコリン受容体に対する自己抗体を持たないgMG(全身性重症筋無力症)に適応拡大し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は26年5月10日。

gMGの多くは抗AChR抗体を持つが2割程度は陰性。VyvgartはADAPT SERON試験で4週間投与したところ、MG-ADL日常生活スコア3.35点改善し、偽薬群の1.9点を有意に上回った。

リンク: プレス・リリース


ベスレミを本態性血小板血症に承認申請
(2026年1月13日発表)

ファーマエッセンシアはBesremi(ropeginterferonalfa-2b-njft)を米国で本態性血小板血症(ET)に適応拡大申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は26年8月30日。日本でも昨年9月に一変申請している。

19~23年に欧米日で真性多血症用薬として承認されたPEG化アルファ・インターフェロン。ETにおけるエビデンスである第3相SURPASS-ET試験で、hydroxyureaに不応不耐の患者74人を組入れて持続的応答率をanagrelideと比較したところ、各群43%と6%となった。治療関連深刻有害事象の発生率は各群2%と10%。この試験は中国や日本などアジアの施設が多く参加し北米の施設は少なかったが、同社はhydroxyurea歴のない患者も組み入れた北米だけの後期第2相試験も実施している。

リンク: プレス・リリース(Business Wire)


メルク、TGCT用薬を承認申請
(2026年1月12日発表)

Merck KGaAは米国でpimicotinibを腱滑膜巨細胞腫(TGCT)の全身性治療薬として承認申請し受理されたと発表した。上海のAbbisko Therapeuticsからグローバルにライセンスした経口CSF-1R阻害剤で、25年12月に中国で成人の摘出術不適な症候性TGCT用薬として承認されている。中国、欧州、北米で100人弱の患者を組入れた第3相MANEUVER試験で50mgを一日一回、経口投与する便益を検討したところ、客観的反応率や、副次的評価項目である疼痛や凝りなどの患者評価が、偽薬比有意に改善した。

類薬は第一三共のTuralio(pexidartinib)が19年に米国で承認されたがEUでは安全性や限定的な便益により承認されなかった。昨年、デシフェラ・ファーマシューティカルズのRomvimza(vimseltinib dihydrate)が欧米で承認された。pimicotinibが承認されれば肝毒性が比較的小さいCSF-1R阻害剤としては第2号になる。

リンク: プレス・リリース


ラクオリア創薬導出品が米国で承認申請
(2026年1月12日発表)

米国のSebela Pharmaceuticalsの胃食道薬部門であるBraintree Laboratoriesは米国でtegoprazanをびらん性食道炎や非びらん性逆流症(NERD)の治療薬として承認申請したと発表した。ラクオリア創薬から導入して韓国などで上市した韓国のHK inno.N社からサブライセンスしたP-Cab(カリウムイオン競合的アシッドブロッカー)で、NERDでは胸やけを偽薬比抑制し、びらん性食道炎の治療試験では奏効率がプロトン・ポンプ阻害剤のlansoprazoleを上回り、同寛解維持試験では奏効率がプロトン・ポンプ阻害剤を上回った。

リンク: プレス・リリース(PR Newswire)

【承認審査・委員会】


Travere社、FSGS適応拡大審査が3ヶ月延長
(2026年1月13日発表)

Travere Therapeutics(Nasdaq:TVTX)はFilspari(sparsentan)をFSGS(巣状分節状糸球体硬化症)用薬として米国で適応拡大申請しているが、PDUFA(処方薬ユーザー・フィー法)に基づく審査完了目標日が直前になって4月13日に延長された。FDAの要請に基づき便益に関する追加情報を提供したことが申請内容の主要な変更と見なされたようだ。

アンジオテンシンIIタイプ1(AT1)受容体とエンドテリンA受容体のアンタゴニストで、IgA腎症の治療薬として23~24年に米欧で承認された。FSGSはネフローゼ症候群の一つで、腎臓の糸球体が降下して進行性腎機能低下を発現する。8歳以上の原発性FSGSを組入れた第3相DUPLEX試験の中間解析で尿蛋白クレアチニン比の改善がirbesartan群を大きく上回った。同社は加速承認申請する道を探ったがFDAは否定的だったため、同試験の最終主評価項目であるeGFR(推算糸球体濾過率)のデータを待つことにしたが、結局、フェールした、投与開始当初はむしろ悪化してしまう傾向が見られ、足を引っ張った模様だ。FDAは適応拡大申請前の相談で否定的だった由であり、ハイ・リスク・プロジェクトだ。

リンク: プレス・リリース


ESV細胞療法は審査完了に
(2026年1月12日発表)

Atara Biotherapeutics(Nasdaq:ATRA)とPierre Fabre Laboratoriesは、夫々、FDAからtabelecleucelに関する審査完了通知を受領したと発表した。一回目の審査完了通知では触れられずその後のやり取りでも特別な指摘はなかった、臨床試験のエビデンス性に関して指摘を受けたとのことで、同社も、他の数社と同様に、FDAが前言を覆したと不満を表明した。

ドナー由来のT細胞をESV(エプスタイン・バー・ウイルス)で感作したB細胞と会合させた上で培養した細胞療法。同社は22年にEUで2歳以上のEBV陽性移植後リンパ増殖疾患患者の二次治療薬として例外的環境下承認を取得、24年には米国でも承認申請したが、材料調達先における製造問題により審査完了通知を受領した。Ataraは対策として人員の9割削減、EUなどでの開発販売権を供与したPierre Fabreに他の市場での権利も供与するとともに欧米における承認/申請を移管、などの戦略見直しを余儀なくされた。

アカデミアが主導した第3相試験では38人に投与したところ、ORR(客観的反応率、独立評価)が50%、反応した19人中11人が反応持続した。今回、FDAから、この試験のデザインや実施状況、解析方法が不適切との指摘を受けたようだ。両社は、事前の相談でも承認申請後でもこのような指摘はなかったと主張している。

他社事例を見ると、この種の青天の霹靂の原因は二種類あると推測される。一つはFDAがデータの分析中に何らかの発見をした場合。もう一つは、審査担当者や担当部署は承認するよう建議したが上層部が覆す場合。バイデン政権下のFDA委員長だったRobert Califf博士は心臓学の権威だが、医薬品担当部門の評価を重んじ自ら介入することは無かったように感じられる。一方、コンセンサスとは必ずしも合致しない見解を持つ現長官や小分子薬担当部署のトップはしばしば現場の評価に介入しており、もしかしたら、今回もこのパターンかもしれない。

リンク: プレス・リリース

【承認】


メンケス病薬が承認
(2026年1月12日発表)

FDAはZycubo(copper histidinate)を小児メンケス病用薬として承認した。メンケス病は銅を輸送するATPaseの遺伝子の一つであるATP7Aに異常があり、銅が腸管で吸収されず体内で欠乏、中心神経障害などを発現する。その9割を占める古典的メンケス病は10~25万出生に一人の希少疾患で男性が多く、乳児期に発症し典型的には3歳以上生存しない。Zycuboは銅の補充療法で1450mcg(銅換算で250mcg)を1歳未満の患者は一日2回、以上は1回、皮下注する。Nationwide Children's Hospitalの医師が主導した試験で、生後4週までに投与を開始した31人は、投与を受けていない外部対照群17人と比べた全生存ハザード・レシオが0.22、メジアン生存期間は各群14年と1.5年だった。生後4週以降に開始した35人と外部対照群16人の比較もハザード・レシオ0.27、5年体1.7年だった。

今回のFDAプレス・リリースは承認申請者の名前が記されている。Zydus Lifesciencesの米国子会社であるSentynl Therapeuticsだ。

リンク: FDAのプレス・リリース

【医薬品の安全性】


FDA、GLP-1作用剤の自殺リスクをシロ判定
(2026年1月13日発表)

米国の肥満症用GLP-1作用剤のレーベルには自殺思慮・行為リスクに関する情報が掲載されているが、FDAはメーカー側に削除するよう要請した。ノボ ノルディスクのSaxenda(liraglutide)とWegovy(semaglutide)と、イーライリリーのZepbound(tirzepatide)が対象。

この問題はノボの2製品の市販後有害事象報告で自傷/自殺思慮が2000万人年超当たり150例と目立ったことが契機。その後、FDAは24年1月に、EMAの薬物監視委員会も24年4月に、予備的評価でリスクが見られなかったことを発表しているが、後顧的コフォート研究などでも懸念は浮上しなかったとのこと。

リンク: FDAのプレス・リリース

【当面の主なFDA審査期限】


PDUFA
26/1推Disc MedicineのDISC-0974(bitopertin、赤芽球性(骨髄性)プロトポルフィリン症、CNPV案件)
26/1/28Tenpoint TherapeuticsのBrimochol PF(carbacholとbrimochol tartrate、老視)
26/1/31Aquestive TherapeuticsのAnaphylm(dibutepinephrine、アナフィラキシー等)
26/1/31Pharmingのleniolisib(4-11歳の活性期phosphoinositide 3-kinase deltaに適応拡大)
26/2推サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、8歳以上の最近診断されたステージ3の一型糖尿病、CNPV案件)
26/2推JNJのTecvayli(teclistamab-cqyv)とDarzalex Faspro(daratumumab、hyaluronidase-fihj)、多発骨髄腫、CNPV案件)
26/2/8RegenxbioのRGX-121(clemidsogene lanparvovec、MPS II型)
26/2/20MSDのKeytruda(pembrolizumab、白金抵抗性卵巣癌)
26/2/21Vanda PharmaceuticalsのBysanti(milsaperidone、統合失調症と双極障害I型)
26/2/25大鵬薬品のInqovi(decitabineとcedazuridine、新患急性骨髄性白血病一次治療)
26/2/28Regeneron PharmaceuticalsのDupixent(dupilumab、アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎)
25/2/28Ascendis PharmaのTransCon CNP(navepegritide、軟骨無形成症)
26/3推Atara Biotherapeuticsのtabelecleucel(リンパ増殖性疾患)
26/3推Concert TherapeuticsのCORT-125134(relacorilant、白金抵抗卵巣癌)
26/3推ノボ ノルディスクのAwiqli(insulin icodec、二型糖尿病)
26/3推ノボ ノルディスクのWegovy(semaglutide 最大用量7.2mg、CNPV案件)
26/3推アストラゼネカのbaxdrostat(難治高血圧症)
26/3/6BMSのSotyktu(deucravacitinib、乾癬性関節炎適応拡大)
26/3/16Aldeyra TherapeuticsのADX 102(reproxalap、ドライアイ)
26/3/20Rhythm Pharmaceuticalsのsetmelanotide(後天的視床下部性肥満症)
26/3/24GSKのGSK2330672(linerixibat、原発性胆汁性胆管炎)
26/3/28Rocket PharmaceuticalsのKresladi(marnetegragene autotemcel、重度白血球接着不全症1型)
26/3/29LantheusのLNTH-2501 (Ga-68 edotreotide Injection、神経内分泌腫瘍のPET造影剤)



今週は以上です。

2026年1月10日

第1241回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • インクレチン系薬は乾癬性関節炎にも有効 
  • HBVアンチセンス薬で持続的陰性化を達成 
  • Ziiheraが先輩抗her2抗体に勝つ 
  • 次世代TYK2阻害剤の第3相乾癬試験が成功 
  • インサイト、ミンジュビの一次治療試験が成功 
  • CD19系二重特異性抗体の第3相IgG4関連疾患試験が成功したが... 
  • 真性多血症治療薬を承認申請 
  • モデルナ、インフルエンザのmRNAワクチンを承認申請 
  • アラアラを7歳以下にも承認申請 
  • Vanda、メラトニン作用剤を時差ボケに適応拡大できず 
  • 当面の主なFDA審査期限 


【新薬開発】


インクレチン系薬は乾癬性関節炎にも有効
(2026年1月8日発表)

イーライリリーはGIP/GLP-1作用剤Zepbound(tirzepatide)が後期第3相TOGETHER-PsA試験でポジティブな成績を上げたと発表した。肥満またはリスク因子を持つオーバーウェイト(mow)を併発する乾癬性関節炎(関節症性乾癬)の患者を組入れて、同社の抗IL-17A抗体Taltz(ixekizumab)と併用する便益をTaltz単剤群と36週間比較したところ、主評価項目であるACR50と体重の複合評価項目だけでなく、ACR50奏効率だけの副次的評価項目も33.5%対20.4%、p<0.05と、高度に有意ではないものの、好ましい点推定値が出た。Taltzの承認申請用試験では24週ACR50が抗TNFアルファ抗体歴のある患者で35%、ない患者で40%ともっと高かったので、今回の試験のほうが治療抵抗性の高い患者を組入れたことになる。

肥満やmowは多くの疾病と関連性が見られ、米国は有病率が高いこともあり乾癬性関節炎の65%が該当するとされる。肥満/mowならどっちにせよZepboundが適応になるが、他の持病にも有益であることを明確にしたのは価値がありそうだ。体重管理薬の保険適応は以前より進捗しているように感じられるが、便益が拡大すれば費用対効果も改善するので、追い風になりうる。

肥満/mowを伴う尋常性乾癬を組入れたTOGETHER-PsO試験も進行中で今上期中に成否判明する見込み。

同社は中重度閉塞性睡眠時無呼吸を併発する肥満症を組入れたSURMOUNT-OSA試験でAHI(無呼吸低呼吸指数)改善作用を確認、米国で適応拡大・効能追加に成功した。EUは既存の承認の範囲内として適応追加を認めなかったものの、治験成績のレーベル収載は認めた。

リンク: プレス・リリース


HBVアンチセンス薬で持続的陰性化を達成
(2026年1月7日発表)

GSKはGSK3228836(bepirovirsen)が日本も参加した第3相慢性B型肝炎試験2本で主目的を達成したと発表した。既存のB型肝炎薬は投与を止めるとやがて再燃するが、本試験では止めてから24週経ってもウイルスのDNAや表面抗原が検出されない、「ファンクショナル・キュア」達成率がが偽薬群を有意に上回った。尤も、本試験の対象はウイルス量が諸低水準より少ない患者だけで、後期第2相試験では第3相のデザインに対応するサブグループにおける奏効率は1~2割だったので、慢性C型肝炎の治療レジメンほどの成果は上がらなそうだ。データ発表を注目したい。

Ionis Pharmaceuticals(Nasdaq:IONS)からライセンスした第2世代アンチセンス薬で、B型肝炎ウイルスの表面抗原などのmRNAに結合、発現を阻害する。第3相のB-Well 1試験と同2試験は、ヌクレオチド/ヌクレオシド(NA)薬による慢性B型肝炎の治療を受けている、スクリーニング段階でHBsAg量が3000IU/mL以下の患者を夫々900人程度組入れて、24週間の偽薬対照試験を行った後、試験薬群はNAだけを24週間投与、その後NAも中止して、更に24週経ってもHBsAgとHBV DNAが陰性の患者をファンクショナル・キュアと判定した。試験薬は300mg(負荷用量あり)を週一回皮下注した。

後期第2相のB-Clear試験では全被験者の奏効率(ファンクショナル・キュアと定義は同じと推測)がNA併用患者では9%、非併用者では10%だった。このうち、ベースライン時点のHBsAg量が3000IU/mL以下のサブグループではNA併用43人中5人、非併用24人中6人と若干上向いていた。

リンク: プレス・リリース
リンク: P2b治験論文(Yuenら、NEJM)


Ziiheraが先輩抗her2抗体に勝つ
(2026年1月6日発表)

Jazz Pharmaceuticals(Nasdaq:JAZZ)は抗her2二重特異性抗体Ziihera(zanidatamab-hrii)が第3相HERIZON-GEA-01試験でtrastuzumabを上回るPFS(無進行生存期間)を達成したと発表した。適応拡大申請に向かう考え。

抗her2抗体はロシュのHerceptin(trastuzumab)やPerjeta(pertuzumab)が代表的だが、ZiiheraはHerceptinが結合するエピトープとPerjetaが結合するエピトープの両方に結合・ブロックする。同社はZymeworks(NYSE:ZYME)から米欧日などの独占開発商業化権を取得しビーワン・メディシンズと共同開発、24~25年に米中欧でher2陽性の切除不能/転移胆道癌の二次治療薬として承認を取得した。

今回の日本も参加した試験は、her2陽性の切除不能局所進行/難治/転移性GEA(胃食道腺腫)の一次治療を受ける患者914人を組入れて、CAPOXレジメンあるいは5-FUとcisplatinの併用に、trastuzumab、Ziihera、またはZiiheraとビーワンの抗PD-1抗体Tevimbra(tislelizumab-jsgr)の二剤を追加する便益を検討した。共同主評価項目のうちメジアンPFSは各群8.1ヶ月、12.4ヶ月(trastuzumab群比ハザード・レシオ0.65)、12.4ヶ月(同0.63)となり、二試験薬群ともに標準療法を有意に上回った。

メジアン生存期間の中間解析は各群19.2ヶ月、24.4ヶ月(同0.80、但しp=0.0564)、26.4ヶ月(同0.72、p=0.0043)となった。

PFS面ではTevimbraを追加する必要はないように感じられ、メジアン生存期間の差も2ヶ月程度とすごく大きいわけではないので、26年央に予定される次の全生存期間中間解析が注目される。

G3以上の治療関連有害事象発生率は各群59.6%、59.0%、71.8%だった。

リンク: プレス・リリース


次世代TYK2阻害剤の第3相乾癬試験が成功
(2026年1月6日発表)

米国カリフォルニア州のAlumis(Nasdaq:ALMS)は高度選択的次世代TYK2アロステリック阻害剤とされるESK-001が第3相中重度尋常性乾癬試験二本で主目的を達成したと発表した。26年下期に承認申請する考え。

このONWARDS1とONWARDS2の両試験は約800人の患者を40mg一日二回経口投与群、偽薬群、apremilast(アムジェンのPDE-4阻害剤Otezla)一日二回経口投与群に2対1対1割付けして16週間投与し、試験薬群と偽薬群のPASI75とsPGAを比較した。結果発表は断片的で、二本の試験合計で試験薬群のPASI75達成率は74%、sPGA 0/1達成率は59%だったことだけ公表された。夫々の偽薬修正値は二本の試験で整合的だった由。副次的評価項目も達成した由なので、第24週におけるapremilast群との比較も達成したのだろう。

この試験は日本も参加した。昨年3月に科研製薬が日本で皮膚科領域に開発製造商業化する権利を取得している。

リンク: プレス・リリース


インサイト、ミンジュビの一次治療試験が成功
(2026年1月5日発表)

インサイト(Nasdaq:INCY)はMonjuvi(tafasitamab-cxix)が第3相frontMIND試験で主目的を達成したと発表した。今上期中に適応拡大申請する考え。

Fc装飾によりADCC(抗体依存的細胞毒性)を増強した抗CD19抗体。20~25年に米欧日で再発/難治DLBCL(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)や難治再発濾胞性リンパ腫などに承認された。今回の試験はDLBCLの新患でリスク評価が高中間または高である患者を組入れて、R-CHOP(rituximab、cyclophosphamide、doxorubicin、vincristine、prednisoneの併用レジメン)にMonjuviとlenalidomide(BMSのRevlimid)の二剤を追加する便益を検討した。PFS(無進行生存期間、治験医がLugano 2014基準に基づき評価)のハザード・レシオが0.75、p=0.019と有意に上回った。

リンク: プレス・リリース


CD19系二重特異性抗体の第3相IgG4関連疾患試験が成功したが...
(2026年1月5日発表)

Zenas BioPharma(Nasdaq:ZBIO)はZB012(obexelimab)が第3相IgG4関連疾患試験で主目的を達成したと発表した。数値がアムジェンの抗CD19抗体Uplizna(inebilizumab-cdon)と見比べて低いため株価が半減した。

CD19とFcガンマRIIbに結合するバイファンクショナル・モノクローナル抗体。ブリストル マイヤーズ スクイブが日本周辺や豪州における自己免疫疾患領域での権利を保有している。

今回のINDIGO試験はグローバル試験には珍しく、被験者194人のうち日本が54人と、欧州地域や米国地域を上回る患者を組入れている。試験薬は250mgを週一回皮下注。52週間追跡し、IgG4関連疾患のフレアが発生するリスクを比較したところ、発生率は26.8%と偽薬群の54.6%を大きく下回り、time to event解析のハザード・レシオは0.44、p=0.0005となった。深刻有害事象の発生率は、治療効果を反映したのか、偽薬群より少なかった。

IgG4関連疾患の適応を持つUpliznaはMITIGATE試験で52週間のフレア発生率が10.3%と偽薬群の59.7%を下回り、ハザード・レシオは0.13だった。この二つの試験は主評価イベントの定義や被験者の患者背景などが異なっているかもしれないので比較できるとは限らない。例えば、MITOGATE試験は被験者153人のうち日本人が27人と、日本で特定された疾患だけに比較的多いがINDIGO試験ほどではない。また、Upliznaは点滴静注用だがZB012は自己皮下注が想定されているので利便性は軍配が上がる。

リンク: プレス・リリース

【承認申請】


真性多血症治療薬を承認申請
(2026年1月5日発表)

武田薬品とProtagonist Therapeutics(Nasdaq:PTGX)は、TAK-121/PTG-300(rusfertide)を真性多血症用薬として米国で承認申請したと発表した。hepcidin類縁体で、鉄が細胞外にエキスポートされるのを妨げ、真性多血症に伴う赤血球の過剰生成を抑制する。伝統的な治療法である瀉血に依存している患者250人を組入れた試験で、rusfertideを週一回皮下注したところ、第20-32週に瀉血が適応にならなかった患者の比率が77%と偽薬群の33%を有意に上回った。EMA向け主評価項目である第0-32週の平均瀉血回数も0.5回対18回と大きく抑制された。

トランスジェニック・マウスの試験で良性/悪性の皮下腫瘍が見られFDAが臨床試験の完全停止を命じたことがあり、上記試験でも腫瘍の発現率が4.8%と偽薬群の0.7%を上回ったが、下記プレスリリースによるとリスクを示すエビデンスはなかった。

Protagonistは24年に武田薬品に共同開発商業化権を供与したが、オプト・アウト・オプションを持っており、承認申請の4~7ヶ月後の期間に、当初金最大4億ドルとマイルストーン金、そして14~29%の売上ロイヤルティの支払いと引き換えで提携を解消することができる。一部報道によると行使を考えているようだ。

リンク: プレス・リリース


モデルナ、インフルエンザのmRNAワクチンを承認申請
(2026年1月5日発表)

モデルナは50歳以上用の季節性インフルエンザ・ワクチン、mRNA-1010を欧米加豪で承認申請したと発表した。欧米韓台で実施した第3相実薬対照試験で相対的ワクチン効率(rVE)が26.6%(95%信頼区間16.7-35.4%)と既存のワクチンを凌ぐ感染予防効果を示した。A/H1N1型、A/H3N2型、B/Victoria型、65歳以上の各サブグループでも20~30%と上回った。

ヘマグルチニンをエンコードするmRNAワクチン。50mcgを一回、筋注する。季節性インフルエンザワクチンの既存製品の一部は、免疫力が低下している65歳以上に適した高量版も用意されているが、上記試験は標準用量版と比較しているため、高齢者にとってどちらが最適なのかは分からない。

リンク: プレス・リリース


アラアラを7歳以下にも承認申請
(2026年1月5日発表)

サノフィは米国でTzield(teplizumab-mzwv)を1~7歳のステージ2一型糖尿病薬として承認申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は4月29日。

CD3エプシロン鎖に結合する抗体医薬で、開発段階ではAla-Alaの愛称で呼ばれた。Provention Bioが開発し、22年に米国で8歳以上のステージ2一型糖尿病薬として承認を取得、その翌年にサノフィに買収された。一型糖尿病のステージ2は血糖値が閾値に達しておらず目立った症状もないが、症候性のステージ3に進行するリスクがある。Tzieldはステージ3までの期間を延長する。昨年10月に、8歳以上の最近診断されたステージ3一型糖尿病にも適応拡大申請しており、FDAから委員長国家的優先バウチャ(CNPV)を獲得した。

リンク: プレス・リリース

【承認審査・委員会】


Vanda、メラトニン作用剤を時差ボケに適応拡大できず
(2026年1月8日発表)

Vanda Pharmaceuticals(Nasdaq: VNDA)は2018年にHetlioz(tasimelteon)をジェット・ラグ障害(時差ぼけ)の治療薬として米国で適応拡大申請したが、中々承認されない。23年にはVandaの請求を受けた連邦コロンビア特別区地方裁判所がFDAに承認しない理由をもっと説明するよう求め、昨年10月にFDAが再々審査を開始したが、今回も承認されなかった。

HetliozはメラトニンのMT1/2受容体の作動剤。14~15年に米欧で非24時間障害(光を感受しない全盲者の睡眠障害)治療薬として承認された。20年に米国でスミス・マギニス症候群(17p11.2における遺伝子欠失に伴い睡眠障害を発現)に適応拡大したが、EUはCHMPが薬効確認試験の内容に疑問を呈し、否定的意見を出した。

ジェット・ラグ障害は普段より5時間早く寝るフェーズ・アドバンス・モデルによる第3相試験で睡眠潜時が偽薬比20分程度改善。7時間早く寝る同様な試験でも総睡眠時間が偽薬比60分程度増加、睡眠潜時が同15分減少、WASO(就寝後に覚醒していた時間)が70分程度減少した。

しかし、FDAは、飛行機で旅行する時の気圧の変化や身体的制約、騒音、明るさの変化など、ジェット・ラグ障害に関わる他の因子を考慮していないと評価。詳細は不明だが、19年の審査完了通知における指摘事項とそれほど変わっていないのではないかと感じられる。

リンク: プレス・リリース

【当面の主なFDA審査期限】


PDUFA
26/1推Disc MedicineのDISC-0974(bitopertin、赤芽球性(骨髄性)プロトポルフィリン症、CNPV案件)
26/1/10Atara Biotherapeuticsのtabelecleucel(移植後リンパ増殖性疾患)
26/1/13Travere TherapeuticsのRE-021(sparsentan、巣状分節状糸球体硬化症を追加)
26/1/14Sentynl TherapeuticsのCUTX-101(copper histidinate、メンケス病)
26/1/17JNJのTAR-200(gemcitabine 膀胱内留置用、非筋層浸潤膀胱癌)
26/1/28Tenpoint TherapeuticsのBrimochol PF(carbacholとbrimochol tartrate、老視)
26/1/31Aquestive TherapeuticsのAnaphylm(dibutepinephrine、アナフィラキシー等)
26/1/31Pharmingのleniolisib(4-11歳の活性期phosphoinositide 3-kinase deltaに適応拡大)
26/2推サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、8歳以上の最近診断されたステージ3の一型糖尿病、CNPV案件)
26/2推JNJのTecvayli(teclistamab-cqyv)とDarzalex Faspro(daratumumab、hyaluronidase-fihj)、多発骨髄腫、CNPV案件)
26/2/8RegenxbioのRGX-121(clemidsogene lanparvovec、MPS II型)
26/2/20MSDのKeytruda(pembrolizumab、白金抵抗性卵巣癌)
26/2/21Vanda PharmaceuticalsのBysanti(milsaperidone、統合失調症と双極障害I型)
26/2/25大鵬薬品のInqovi(decitabineとcedazuridine、新患急性骨髄性白血病一次治療)
26/2/28Regeneron PharmaceuticalsのDupixent(dupilumab、アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎)
25/2/28Ascendis PharmaのTransCon CNP(navepegritide、軟骨無形成症)
26/3推Atara Biotherapeuticsのtabelecleucel(リンパ増殖性疾患)
26/3推Concert TherapeuticsのCORT-125134(relacorilant、白金抵抗卵巣癌)
26/3推ノボ ノルディスクのAwiqli(insulin icodec、二型糖尿病)
26/3推ノボ ノルディスクのWegovy(semaglutide 最大用量7.2mg、CNPV案件)
26/3推アストラゼネカのbaxdrostat(難治高血圧症)
26/3/6BMSのSotyktu(deucravacitinib、乾癬性関節炎適応拡大)
26/3/16Aldeyra TherapeuticsのADX 102(reproxalap、ドライアイ)
26/3/20Rhythm Pharmaceuticalsのsetmelanotide(後天的視床下部性肥満症)
26/3/24GSKのGSK2330672(linerixibat、原発性胆汁性胆管炎)
26/3/28Rocket PharmaceuticalsのKresladi(marnetegragene autotemcel、重度白血球接着不全症1型)




今週は以上です。

2026年1月3日

第1240回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • 抗sclerostin抗体の骨形成不全症試験が二本ともフェール 
  • 糖原病Ia型の遺伝子療法を承認申請 
  • Inovio、承認申請は受理されたが... 
  • 眼科用ベバシズマブは承認されず 
  • relacorilantの副腎皮質ホルモン過剰症用途は審査完了 
  • 乗り物酔いの新薬が承認 
  • 当面の主なFDA審査期限 


【新薬開発】


抗sclerostin抗体の骨形成不全症試験が二本ともフェール
(2025年12月29日発表)

Ultragenyx Pharmaceutical(Nasdaq:RARE)はUX143(setrusumab)が第3相骨形成不全症試験二本で主目的を達成できなかったと発表した。経費抑制策を始める考え。

sclerostinを標的とする完全ヒト化抗体。ノバルティスからパイプラインを取得して設立された英国のMereo BioPhrma(Nasdaq:MREO)から欧州以外の地域での開発販売権を取得した。第2/3相Orbito試験の第3相ポーションで5~25歳の患者159人を組入れて臨床的骨折頻度を偽薬と比較したが、大差なかったようだ。第3相Cosmic試験で2~6歳の患者69人を組入れてこちらは静注ビスフォスフォン酸と比較したところ、点推定値は良かったが有意ではなかった。副次的評価項目のBMD(骨塩密度)は第2相同様、有意に改善した。

FDAは、先般、骨粗鬆症用薬の開発に際して2年間の全腰BMDをサロゲート・マーカーとすることを認める旨、発表している。骨形成不全症は約9割の患者でコラーゲンに関わる遺伝子変異が見られるなど病因病態が異なり、また、臨床試験のフェールは厳密にいえば薬が敗因とは限らないが、皮肉なタイミングのようにも感じられる。

リンク: プレスリリース

【承認申請】


糖原病Ia型の遺伝子療法を承認申請
(2025年12月30日発表)

Ultragenyx Pharmaceutical(Nasdaq:RARE)はDTX401(pariglasgene brecaparvovec)を糖原病Ia型の治療薬として米国で承認申請したと発表した。この疾患はG6Pase(グルコース-6-ホスファターゼ)の遺伝子変異によりグリコーゲンが臓器に蓄積、命に係わる低血糖や肝腫大が発現する。治療は成人の場合は一日300mg以上のコーンスターチを夜間を含め3~4時間毎に摂取する必要がある。推定患者数は世界で6000人。DTX401はG6Paseの遺伝子をアデノ随伴ウイルス8型を用いて患者に導入する。8歳以上の患者46人を組入れて一回投与した第3相試験で、血糖管理を損なわずにコーンスターチ摂取量を41%抑制できた(偽薬群は10%)。有害事象は多くの患者で肝臓関連事象が発生したがコルチコステロイド事前投与で抑制でき、G3は1例だけだった。

リンク: プレスリリース


Inovio、承認申請は受理されたが...
(2025年12月29日発表)

Inovio Pharmaceuticals(Nasdaq:INO)は米国でINO-3107を難治呼吸器乳頭腫(RRP)用薬をして加速承認するよう申請し受理されたと発表した。審査期限は2026年10月30日。朗報に聞こえるが、受理通知には、加速承認に値することを示す十分な情報は提出されていないとの予備的結論に至った旨、記されている由。第2次トランプ政権下のFDAは審査担当部署の評価を上役が覆す事例が散見されるため、即断はできないが、ハイリスクと受け止めた方がよさそうだ。

INO-3107はRRPを齎す6型と11型のヒト・パピローマ・ウイルスのタンパクをエンコードするDNAプラスミドを電気穿孔法で細胞内に送り込む、T細胞免疫刺激的遺伝子療法。第1/2相試験(32人)で72%が投与開始後1年間の切除術回数半減を達成した。

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【承認審査・委員会】


眼科用ベバシズマブは承認されず
(2026年12月31日発表)

Outlook Therapeutics(Nasdaq:OTLK)はONS-5010(bevacizumab-vikg)を新生血管加齢性黄斑変性の治療薬として開発し24年にEUと英国でLytenava(bavacizumab gammma)名で承認を取得、25年に独英でロンチしたが、米国は梃子摺っている。22年に申請したが情報不足を指摘され撤回、同年に再び申請したが臨床成績や生産体制面の理由で審査完了となり、追加的ranibizumab対照試験がフェールした後の再申請も審査完了、追加情報を提出したが、今回、3度目の審査完了通知を受領した。追加情報がメカニカルな情報や自然歴データなどであったことが明らかにされたが、もっと早くディスクローズすべきだったのではないか?それはそれとして、米欧で判断が分かれたのはなぜだろう?

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relacorilantの副腎皮質ホルモン過剰症用途は審査完了
(2026年12月31日発表)

Corcept Therapeutics(Nasdaq:CORT)はCORT-125134(relacorilant)を24年に副腎皮質ホルモン過剰症用薬として、25年7月には白金抵抗性卵巣癌用薬としても、承認申請しているが、前者は審査完了通知を受領した。中々のサプライズで株価は半減した。GRADIENT試験では最大血圧がベースライン値の139mmHgから22週で6.6mmHg低下し、偽薬群の136mmHgから2.1mmHg低下を有意に上回ったが、高血圧治療薬として考えるならば、5mmHg位の治療効果があってもよかったのではないか。有害事象では、腰や腹部、四肢など様々な部位での疼痛発生率が偽薬を上回っている点も気になるところだ。そもそも、申請当時のプレス・リリースでは目標適応症が副腎皮質ホルモン過剰症だったが、今回、この疾患における高血圧に変わっている。上記2試験は高血糖の患者も組入れており、血糖降下作用も確認されているはずなので、申請途中で効能を減らしたのではないかとも疑われる。

白金抵抗性卵巣癌はnab-paclitaxelに追加する便益を検討したROSELLA試験でPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)が有意に改善した。但し、ハザード・レシオの0.70と比べて、メジアン値は6.5ヶ月対5.5ヶ月と差がそれほどでもない。共同主評価項目である全生存期間の数値は夫々0.69、16.0ヶ月、11.5ヶ月と良好でp=0.012だが閾値はクリアできなかった模様だ。審査期限は26年7月11日、欧州では25年10月に承認申請された。

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【承認】


乗り物酔いの新薬が承認
(2026年12月30日発表)

戦う製薬会社、Vanda Pharmaceuticals(Nasdaq: VNDA)は、FDAがNereus(tradipitant)を乗り物酔いの治療薬として承認したと発表した。13年前にイーライリリーからライセンスした NK1阻害剤。乗船前に85mgまたは170mgを一回投与した第3相試験二本で、一本は嘔吐率が偽薬比半減、もう一本では5~7割低かった。主な有害事象は傾眠や疲労。CYP3A4相互作用に注意要。妊婦や授乳婦、小児、重度腎障害、軽度以上の肝障害に関する十分な試験は実施されていない。

開発は胃麻痺用途が先行したが、FDAが12週以上の投与を行う前に犬などの毒性試験を実施するよう求め部分的治験停止命令を出したため、連邦ワシントンDC地裁に提訴したものの認められず、生体模倣システムで代用した。12週治療する試験が二本フェールした後に承認申請してみたが承認されなかった。乗り物酔い用途でも不服申立てや提訴を繰り返し、遂にFDAから承認を勝ち取った。

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【当面の主なFDA審査期限】


PDUFA
26/1推Disc MedicineのDISC-0974(bitopertin、赤芽球性(骨髄性)プロトポルフィリン症、CNPV案件)
26/1/10Atara Biotherapeuticsのtabelecleucel(移植後リンパ増殖性疾患)
26/1/13Travere TherapeuticsのRE-021(sparsentan、巣状分節状糸球体硬化症を追加)
26/1/14Sentynl TherapeuticsのCUTX-101(copper histidinate、メンケス病)
26/1/17JNJのTAR-200(gemcitabine 膀胱内留置用、非筋層浸潤膀胱癌)
26/1/28Tenpoint TherapeuticsのBrimochol PF(carbacholとbrimochol tartrate、老視)
26/1/31Aquestive TherapeuticsのAnaphylm(dibutepinephrine、アナフィラキシー等)
26/1/31Pharmingのleniolisib(4-11歳の活性期phosphoinositide 3-kinase deltaに適応拡大)
26/2推サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、8歳以上の最近診断されたステージ3の一型糖尿病、CNPV案件)
26/2推JNJのTecvayli(teclistamab-cqyv)とDarzalex Faspro(daratumumab、hyaluronidase-fihj)、多発骨髄腫、CNPV案件)
26/2/8RegenxbioのRGX-121(clemidsogene lanparvovec、MPS II型)
26/2/20MSDのKeytruda(pembrolizumab、白金抵抗性卵巣癌)
26/2/21Vanda PharmaceuticalsのBysanti(milsaperidone、統合失調症と双極障害I型)
26/2/25大鵬薬品のInqovi(decitabineとcedazuridine、新患急性骨髄性白血病一次治療)
26/2/28Regeneron PharmaceuticalsのDupixent(dupilumab、アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎)
25/2/28Ascendis PharmaのTransCon CNP(navepegritide、軟骨無形成症)
26/3推Atara Biotherapeuticsのtabelecleucel(リンパ増殖性疾患)
26/3推Concert TherapeuticsのCORT-125134(relacorilant、白金抵抗卵巣癌)
26/3推ノボ ノルディスクのAwiqli(insulin icodec、二型糖尿病)
26/3推ノボ ノルディスクのWegovy(semaglutide 最大用量7.2mg、CNPV案件)
26/3推アストラゼネカのbaxdrostat(難治高血圧症)
26/3/6BMSのSotyktu(deucravacitinib、乾癬性関節炎適応拡大)
26/3/16Aldeyra TherapeuticsのADX 102(reproxalap、ドライアイ)
26/3/20Rhythm Pharmaceuticalsのsetmelanotide(後天的視床下部性肥満症)
26/3/24GSKのGSK2330672(linerixibat、原発性胆汁性胆管炎)
26/3/28Rocket PharmaceuticalsのKresladi(marnetegragene autotemcel、重度白血球接着不全症1型)



今週は以上です。