2026年1月3日

第1240回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • 抗sclerostin抗体の骨形成不全症試験が二本ともフェール 
  • 糖原病Ia型の遺伝子療法を承認申請 
  • Inovio、承認申請は受理されたが... 
  • 眼科用ベバシズマブは承認されず 
  • relacorilantの副腎皮質ホルモン過剰症用途は審査完了 
  • 乗り物酔いの新薬が承認 
  • 当面の主なFDA審査期限 


【新薬開発】


抗sclerostin抗体の骨形成不全症試験が二本ともフェール
(2025年12月29日発表)

Ultragenyx Pharmaceutical(Nasdaq:RARE)はUX143(setrusumab)が第3相骨形成不全症試験二本で主目的を達成できなかったと発表した。経費抑制策を始める考え。

sclerostinを標的とする完全ヒト化抗体。ノバルティスからパイプラインを取得して設立された英国のMereo BioPhrma(Nasdaq:MREO)から欧州以外の地域での開発販売権を取得した。第2/3相Orbito試験の第3相ポーションで5~25歳の患者159人を組入れて臨床的骨折頻度を偽薬と比較したが、大差なかったようだ。第3相Cosmic試験で2~6歳の患者69人を組入れてこちらは静注ビスフォスフォン酸と比較したところ、点推定値は良かったが有意ではなかった。副次的評価項目のBMD(骨塩密度)は第2相同様、有意に改善した。

FDAは、先般、骨粗鬆症用薬の開発に際して2年間の全腰BMDをサロゲート・マーカーとすることを認める旨、発表している。骨形成不全症は約9割の患者でコラーゲンに関わる遺伝子変異が見られるなど病因病態が異なり、また、臨床試験のフェールは厳密にいえば薬が敗因とは限らないが、皮肉なタイミングのようにも感じられる。

リンク: プレスリリース

【承認申請】


糖原病Ia型の遺伝子療法を承認申請
(2025年12月30日発表)

Ultragenyx Pharmaceutical(Nasdaq:RARE)はDTX401(pariglasgene brecaparvovec)を糖原病Ia型の治療薬として米国で承認申請したと発表した。この疾患はG6Pase(グルコース-6-ホスファターゼ)の遺伝子変異によりグリコーゲンが臓器に蓄積、命に係わる低血糖や肝腫大が発現する。治療は成人の場合は一日300mg以上のコーンスターチを夜間を含め3~4時間毎に摂取する必要がある。推定患者数は世界で6000人。DTX401はG6Paseの遺伝子をアデノ随伴ウイルス8型を用いて患者に導入する。8歳以上の患者46人を組入れて一回投与した第3相試験で、血糖管理を損なわずにコーンスターチ摂取量を41%抑制できた(偽薬群は10%)。有害事象は多くの患者で肝臓関連事象が発生したがコルチコステロイド事前投与で抑制でき、G3は1例だけだった。

リンク: プレスリリース


Inovio、承認申請は受理されたが...
(2025年12月29日発表)

Inovio Pharmaceuticals(Nasdaq:INO)は米国でINO-3107を難治呼吸器乳頭腫(RRP)用薬をして加速承認するよう申請し受理されたと発表した。審査期限は2026年10月30日。朗報に聞こえるが、受理通知には、加速承認に値することを示す十分な情報は提出されていないとの予備的結論に至った旨、記されている由。第2次トランプ政権下のFDAは審査担当部署の評価を上役が覆す事例が散見されるため、即断はできないが、ハイリスクと受け止めた方がよさそうだ。

INO-3107はRRPを齎す6型と11型のヒト・パピローマ・ウイルスのタンパクをエンコードするDNAプラスミドを電気穿孔法で細胞内に送り込む、T細胞免疫刺激的遺伝子療法。第1/2相試験(32人)で72%が投与開始後1年間の切除術回数半減を達成した。

リンク: プレスリリース

【承認審査・委員会】


眼科用ベバシズマブは承認されず
(2026年12月31日発表)

Outlook Therapeutics(Nasdaq:OTLK)はONS-5010(bevacizumab-vikg)を新生血管加齢性黄斑変性の治療薬として開発し24年にEUと英国でLytenava(bavacizumab gammma)名で承認を取得、25年に独英でロンチしたが、米国は梃子摺っている。22年に申請したが情報不足を指摘され撤回、同年に再び申請したが臨床成績や生産体制面の理由で審査完了となり、追加的ranibizumab対照試験がフェールした後の再申請も審査完了、追加情報を提出したが、今回、3度目の審査完了通知を受領した。追加情報がメカニカルな情報や自然歴データなどであったことが明らかにされたが、もっと早くディスクローズすべきだったのではないか?それはそれとして、米欧で判断が分かれたのはなぜだろう?

リンク: プレスリリース


relacorilantの副腎皮質ホルモン過剰症用途は審査完了
(2026年12月31日発表)

Corcept Therapeutics(Nasdaq:CORT)はCORT-125134(relacorilant)を24年に副腎皮質ホルモン過剰症用薬として、25年7月には白金抵抗性卵巣癌用薬としても、承認申請しているが、前者は審査完了通知を受領した。中々のサプライズで株価は半減した。GRADIENT試験では最大血圧がベースライン値の139mmHgから22週で6.6mmHg低下し、偽薬群の136mmHgから2.1mmHg低下を有意に上回ったが、高血圧治療薬として考えるならば、5mmHg位の治療効果があってもよかったのではないか。有害事象では、腰や腹部、四肢など様々な部位での疼痛発生率が偽薬を上回っている点も気になるところだ。そもそも、申請当時のプレス・リリースでは目標適応症が副腎皮質ホルモン過剰症だったが、今回、この疾患における高血圧に変わっている。上記2試験は高血糖の患者も組入れており、血糖降下作用も確認されているはずなので、申請途中で効能を減らしたのではないかとも疑われる。

白金抵抗性卵巣癌はnab-paclitaxelに追加する便益を検討したROSELLA試験でPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)が有意に改善した。但し、ハザード・レシオの0.70と比べて、メジアン値は6.5ヶ月対5.5ヶ月と差がそれほどでもない。共同主評価項目である全生存期間の数値は夫々0.69、16.0ヶ月、11.5ヶ月と良好でp=0.012だが閾値はクリアできなかった模様だ。審査期限は26年7月11日、欧州では25年10月に承認申請された。

リンク: プレスリリース

【承認】


乗り物酔いの新薬が承認
(2026年12月30日発表)

戦う製薬会社、Vanda Pharmaceuticals(Nasdaq: VNDA)は、FDAがNereus(tradipitant)を乗り物酔いの治療薬として承認したと発表した。13年前にイーライリリーからライセンスした NK1阻害剤。乗船前に85mgまたは170mgを一回投与した第3相試験二本で、一本は嘔吐率が偽薬比半減、もう一本では5~7割低かった。主な有害事象は傾眠や疲労。CYP3A4相互作用に注意要。妊婦や授乳婦、小児、重度腎障害、軽度以上の肝障害に関する十分な試験は実施されていない。

開発は胃麻痺用途が先行したが、FDAが12週以上の投与を行う前に犬などの毒性試験を実施するよう求め部分的治験停止命令を出したため、連邦ワシントンDC地裁に提訴したものの認められず、生体模倣システムで代用した。12週治療する試験が二本フェールした後に承認申請してみたが承認されなかった。乗り物酔い用途でも不服申立てや提訴を繰り返し、遂にFDAから承認を勝ち取った。

リンク: プレスリリース

【当面の主なFDA審査期限】


PDUFA
26/1推Disc MedicineのDISC-0974(bitopertin、赤芽球性(骨髄性)プロトポルフィリン症、CNPV案件)
26/1/5Denali TherapeuticsのDNL310(tividenofusp alfa、ハンター症候群)
26/1/10Atara Biotherapeuticsのtabelecleucel(移植後リンパ増殖性疾患)
26/1/13Travere TherapeuticsのRE-021(sparsentan、巣状分節状糸球体硬化症を追加)
26/1/14Sentynl TherapeuticsのCUTX-101(copper histidinate、メンケス病)
26/1/17JNJのTAR-200(gemcitabine 膀胱内留置用、非筋層浸潤膀胱癌)
26/1/28Tenpoint TherapeuticsのBrimochol PF(carbacholとbrimochol tartrate、老視)
26/1/31Aquestive TherapeuticsのAnaphylm(dibutepinephrine、アナフィラキシー等)
26/1/31Pharmingのleniolisib(4-11歳の活性期phosphoinositide 3-kinase deltaに適応拡大)
26/2推サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、8歳以上の最近診断されたステージ3の一型糖尿病、CNPV案件)
26/2推JNJのTecvayli(teclistamab-cqyv)とDarzalex Faspro(daratumumab、hyaluronidase-fihj)、多発骨髄腫、CNPV案件)
26/2/8RegenxbioのRGX-121(clemidsogene lanparvovec、MPS II型)
26/2/20MSDのKeytruda(pembrolizumab、白金抵抗性卵巣癌)
26/2/21Vanda PharmaceuticalsのBysanti(milsaperidone、統合失調症と双極障害I型)
26/2/25大鵬薬品のInqovi(decitabineとcedazuridine、新患急性骨髄性白血病一次治療)
26/2/28Regeneron PharmaceuticalsのDupixent(dupilumab、アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎)
25/2/28Ascendis PharmaのTransCon CNP(navepegritide、軟骨無形成症)
26/3推Atara Biotherapeuticsのtabelecleucel(リンパ増殖性疾患)
26/3推Concert TherapeuticsのCORT-125134(relacorilant、白金抵抗卵巣癌)
26/3推ノボ ノルディスクのAwiqli(insulin icodec、二型糖尿病)
26/3推ノボ ノルディスクのWegovy(semaglutide 最大用量7.2mg、CNPV案件)
26/3推アストラゼネカのbaxdrostat(難治高血圧症)
26/3/6BMSのSotyktu(deucravacitinib、乾癬性関節炎適応拡大)
26/3/16Aldeyra TherapeuticsのADX 102(reproxalap、ドライアイ)
26/3/20Rhythm Pharmaceuticalsのsetmelanotide(後天的視床下部性肥満症)
26/3/24GSKのGSK2330672(linerixibat、原発性胆汁性胆管炎)
26/3/28Rocket PharmaceuticalsのKresladi(marnetegragene autotemcel、重度白血球接着不全症1型)



今週は以上です。