【ニュース・ヘッドライン】
- 抗CTGF抗体が特発性肺線維症に効果
- ゼルボラフをエルドハイム・チェスター病に適応拡大申請
- スチバーガ、EUでも肝細胞腫に適応拡大
【新薬開発】
抗CTGF抗体が特発性肺線維症に効果
(2017年8月7日発表)
米国サンフランシスコのFibroGen(Nasdaq:FGEN)は、FG-019(pamrevlumab)の第二相特発性肺線維症(IPF)試験が成功したと発表した。第三相試験に向けて当局と相談する考え。提携交渉もアジェンダに上がっている様子だ。
FG-019は、組織のリモデリングや線維化に関与するCTGF(connective tissue growth factor)を標的とする抗体。今回の二重盲検偽薬対照試験は103人を組入れて48週間治療したところ、偽薬群のFVC %予測値が7.17%低下したのに対して試験薬群は4.33%の低下に留まり、治療効果は4.33%だった。FVCは各群129mLと308mL低下したので、治療効果は180mL程度ということになる。
IPF治療薬として承認されているロシュのEsbriet(pirfenidone、日本では塩野義のピレスパ)の試験ではFVC治療効果が150~235mL、ベーリンガー・インゲルハイムのOfev(nintedanib)は94~131mLだったので、見劣りしない。この試験は安全性サブスタディとしてEsbrietやOfevを服用している患者を57人組み入れており、もしアドオンでも単剤投与と同程度の進行抑制作用上乗せ効果があるようならば、効用が高まる。
リンク: FibroGenのプレスリリース
【承認申請】
ゼルボラフをエルドハイム・チェスター病に適応拡大申請
(2017年8月7日発表)
ロシュ・グループのジェネンテックは、Zelboraf(vemurafenib、和名ゼルボラフ錠)をBRAF V600E変異陽性のエルドハイム・チェスター病に用いる適応拡大申請を米国で行い、受理されたと発表した。優先審査で審査期限は12月7日。
エルドハイム・チェスター病は白血球の一種である組織球が異常増殖する希少疾患で、1930年以来、世界で500例が文献報告されている。5割程度の患者がBRAF V600E変異を持っている由だ。
ZelborafはBRAF阻害剤。2011年にBRAF V600E変異陽性悪性黒色腫用薬として米国で承認された。今回の適応拡大申請は、BRAF V600変異を持つ様々な癌に対する効果を検討したVE-BASKET試験に基づくとのこと。検索してもヒットしないが、おそらく、New England Journal of Medicine誌に治験論文が掲載された、NCT01524978試験のことだろう。
リンク: ジェネンテックのプレスリリース
リンク: Hymanらの治験論文(New England Journal of Medicine、2015年)
【承認】
スチバーガ、EUでも肝細胞腫に適応拡大
(2017年8月7日発表)
バイエルは、Stivarga(regorafenib、和名スチバーガ)を肝細胞腫に用いる適応拡大がEUで承認されたと発表した。切除不能で同社のNexavar(sorafenib)に反応しなくなった患者の二次治療に用いるもので、米国では今年4月に、日本でも6月に、承認されている。
NexavarはVEGF受容体阻害剤でBRAFやCRAFも阻害する。Stivargaはsorafenibの一部を置換したもの。VEGFR阻害剤は数多いが肝細胞腫に効果を示したものは少ない。
リンク: バイエルのプレスリリース
今週は以上です。
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