【ニュース・ヘッドライン】
- FDA、ノボに有害事象報告関連の警告状
- オルニチントランスカルバミラーゼ欠乏症試験の中間解析が成功
- 肢体型筋ジストロフィー用薬を承認申請へ
- ビンゼレックスがPsAでスキリージに勝つ
- Vertex社、IgA腎症用薬を承認申請へ
- BMS、第2のCELMoDの第3相が成功
- 新規作用機序の抗癲癇薬の第3相が成功
- ロシュ、giredestrantの今度の第3相はフェール
- Capricor、他家細胞療法をDMDにまた申請
- 第一三共、エンハーツの術後療法を米国でも申請
- 欧州でテクベイリを多発骨髄腫二次治療に承認申請
- ジニイズの肺癌適応、ノボの道連れで承認されず
- イデベノンは米国では今回も承認されず
- イプセン、タゼメトスタットの自主的販売中止を決定
- ロイコボリンを脳葉酸欠乏症に承認
- ソーティクツが乾癬性関節炎に適応拡大
- 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会
【今週の話題】
FDA、ノボに有害事象報告関連の警告状
(2026年3月10日発表)
FDAはノボ ノルディスクに送付した警告状を公表した。25年1月と2月の査察で発見された市販後有害薬品経験(PADE)報告義務に関わるもので、その後数回の照会や回答を経て、3月5日付で発出した。ノボは15日以内に対策を開始し報告しなければならない。ノボは迅速かつ全面的に対応する旨のプレス・リリースを出した。
ヒット商品が出ると法令順守関連の業務も多忙を極めるだろうし、ライフスタイルに関わる製品はマスメディアやSNSで好悪様々な、信頼性も玉石混交の情報や意見が乱れ飛び、医師や患者の考え方も様々なので、報告される症例の評価集計作業は大変だろう。患者側が報告を望まないケースもあるだろう。だが、それは競合他社も同じ。知識集約産業なのだから、情報処理能力も競争力の一つであることを社内に周知徹底すべきだろう。
リンク: FDAの警告状
リンク: ノボのプレス・リリース
【新薬開発】
オルニチントランスカルバミラーゼ欠乏症試験の中間解析が成功
(2026年3月12日発表)
Ultragenyx Pharmaceutical(Nasdaq:RARE)はDTX301(avalotcagene ontaparvovec)がオルニチン・トランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症の第3相試験の中間解析で主目的の一つを達成したと発表した。もう一つの主目的は最終解析時に行うので、27年には結果が判明するのではないか。プレス・リリースは承認申請のタイミングについては触れていない。
OTC欠乏症は尿素サイクル異常症の一つ。アンモニアを分解する肝臓酵素の一つであるOTCが欠乏し、様々な障害が発生しうる。罹患率は数万人に一人と言われている。治療はタンパク抑制食や安息香酸ナトリウムなどのアンモニア・スカベンジャー薬など。DTX301はOTCの発現を促すAAV8遺伝子療法。今回の第3相Enh3ance試験は37人の患者を偽薬群と無作為化割付けして一回点滴静注した。今回達成したのは36週血漿アンモニア量。24時間曲線下面積が偽薬比18%低下、p=0.018だった。もう一つは64週完全応答率(タンパク制限食とアンモニア・スカベンジャー薬を中止)。偽薬群は36週後にクロスオーバーして更に64週追跡する。36週時点では試験薬群はタンパク摂取が13%増加しアンモニア・スカベンジャー薬は27%減らすことができた。
様々な患者評価指標も改善が見られたようだ。有害事象は軽中度の肝反応が一番多く、ステロイド治療を受けた。深刻有害事象は急性肝炎が1例発生したがステロイド治療で解消した。
リンク: プレス・リリース
肢体型筋ジストロフィー用薬を承認申請へ
(2026年3月11日発表)
BridgeBio Pharma(Nasdaq:BBIO)は、MDA(筋ジストロフィー協会)の学会で、ある種の肢体型筋ジストロフィー(LGMD)の治療薬として開発しているBBP-418の第3相試験の12ヶ月中間解析結果を発表した。プレス発表は昨年の成功発表時のものとほぼ同じだが、忍容性の指標なども公表された。今年上期中に米国で承認申請し、年内承認を目指す。主評価項目である36ヶ月臨床評価(North Star Assessment for Limb Girdle Muscular Dystrophyに基づく)は未成熟だが、加速承認ではなく通常承認を狙っている。
LGMDは下肢などの筋力が低下し歩行能力低下などの症状が現れる。遺伝子疾患だが原因遺伝子は様々。BBP-418は糖アルコールの一種であるリビトールの経口液用顆粒製剤。体内で患者で欠乏するアルファ・ジストログリカンに返還される。今回の第3相FORTIFY試験は、旧分類では2I型、新分類ではR9 FKRP関連型と呼ばれる、fukutin関連蛋白の遺伝子であるFKRPの機能低下変異が関わるサブタイプの一つに該当する、12歳以上の患者を米欧豪の施設で組入れて、体重に応じて9gまたは12gを1日2回投与した。このタイプは血清クレアチン・キナーゼが高値であることが多いが、12ヶ月の治療で38%が正常化した。100メートル歩行テストは偽薬比31秒早く完了、10メートル歩行テストはベースライン比0.13メートル/秒改善し偽薬群の0.10メートル/秒を上回った。プレス・リリースにはp値などは記されていない。
安全性はG3以上の治療時発現有害事象発生率が5.4%(偽薬群5.3%)、深刻治療時発現有害事象は5.4%(7.9%)と両群大差なかったようだ。
リンク: プレス・リリース
ビンゼレックスがPsAでスキリージに勝つ
(2026年3月11日発表)
UCBはBimzelx(bimekizumab-bkzx)が乾癬性関節炎の実薬対照試験でアッヴィのSkyrizi(risankizumab)を有意に上回る奏効率を示したと発表した。データは学会発表する考え。
21~23年に欧日米でプラク乾癬治療薬として承認された抗IL-17A・IL-17F二重特異性抗体。23~24年には欧日米で活性期乾癬性関節炎(PsA)に適応拡大した。今回の日本も参加したBE BOLD試験はバイオ薬未経験またはTNFアルファ阻害剤不十分応答/不耐の成人の活性期PsA患者553人を組入れた無作為化割付け二重盲検ダブル・ダミー試験。主評価項目の16週ACR50奏効率が有意に上回った。数値は未公表。
各剤の偽薬対照試験の成績を見ると、バイオ薬未経験の患者を組入れた第3相の16週ACR50はBimzelxが43.9%(偽薬群は10.0%)、抗IL-23p19抗体Skyriziは26.4%(同11.1%)。BimzelxはTNFアルファ阻害剤歴を持つ患者の試験で43.4%(同6.8%)、Skyriziはバイオ・ナイーブとTNFアルファ阻害剤1剤だけ経験をほぼ半々で組入れた試験で20.3%(6.8%)となっている。異なった試験のデータを比較するのは禁じ手だが、UCBが直接比較試験に踏み切ったのが頷ける。
リンク: プレス・リリース
Vertex社、IgA腎症用薬を承認申請へ
(2026年3月9日発表)
Vertex Pharmaceuticals(Nasdaq:VRTX)はpovetaciceptがIgA腎症の第3相試験で中間主評価項目を達成したと発表した。3月中に、優先審査バウチャも用いて、加速承認を申請する考え。
IgA腎症は自己の免疫グロブリンA(IgA)に対する抗体が生じて複合体が腎臓の糸球体に蓄積する。治療はACE阻害剤/ARBやステロイド製剤などが承認されているが、B細胞の活性化等に関わるAPRILとTACIの相互作用を妨げる新薬が米国で続々と浮上している。25年11月には大塚ホールディングスの子会社のVisterraが抗APRIL抗体Voyxact(sibeprenlimab-szsi)の承認を取得。同月、Vera Therapeutics(Nasdaq:VERA)がTACI・IgG1融合蛋白ataciceptの加速承認を申請し、審査期限は26年7月7日と決まった。povetaciceptは、24年に49億ドルで買収したAlpine Immune Sciencesが開発した、APRILとBAFFを高力価阻害する融合蛋白。何れも自己皮下注用で、投与頻度はVoyxactとpovetaciceptが4週毎、ataciceptは毎週。
今回の日本も参加したRAINIER試験は、成人のIgA腎症患者480人を組入れて80mgを4週毎皮下注する便益と安全性を検討した。IgA腎症の他の承認申請用試験と同様に、共同主評価項目である36週時点の24時間uPCR(尿蛋白クレアチニン比)の中間解析が成功したら加速承認を申請し、もう一つのeGFR(推算糸球体濾過率)スロープを達成したら本承認切替申請する計画だ。前者は偽薬比49.8%低下と、Voyxactと概ね同じような成績になった。アジア太平洋地域などのサブグループも、それ以外の地域のサブグループも、良好な結果が出ている。深刻有害事象発生率は3.0%と偽薬群の4.3%と大差なかった。
リンク: プレス・リリース
BMS、第2のCELMoDの第3相が成功
(2026年3月9日発表)
ブリストル マイヤーズ スクイブはmezigdomideが第3相SUCCESSOR-2試験で主目的を達成したと発表した。もう一本進行中だが、データを学会発表すると共に当局に通知すると記しているので、承認申請に向かうのかもしれない。
この日本も参加した試験は同社のRevlimid(lenalidomide)と抗CD38抗体による一次以上の治療歴を持ち最終治療抵抗性の再発/難治多発骨髄腫525人を組入れて、標準療法の一つであるアムジェンのプロテアソーム阻害剤Kyprolis(carfilzomib)をdexamethasoneと併用するレジメンに追加する便益をオープン・レーベルで検討した。主評価項目はPFS(無進行生存期間)。数値は未発表。
もう一本のSUCCESSOR-1試験は1~3次治療歴を持つ再発/難治多発骨髄腫を対象に、武田ミレニアムのプロテアソーム阻害剤Velcade(bortezomib)及びdexamethasoneと3剤併用する便益をmezigdomideではなく同社のPomalyst(pomalidomide)を併用する標準療法と比較する。主評価項目はPFS。始まったのはこっちが先で、ClinicalTrials.govでは主目的完了が前回アクセスした時の25年11月から27年1月に変更されている。
mezigdomideは同社がCELMoD(セレブロンE3リガーゼ・モジュレーター)と呼ぶ小分子薬の第2号。第1号のiberdomideは、1~2次治療歴を持ち最終治療抵抗性の再発/難治多発骨髄腫にジェンマブ/JNJの抗CD38抗体Darzalex(daratumumab)及びdexamethasoneと併用する便益をiberdomideではなくVelcadeを併用する標準療法と比較した第3相EXCALIBER-RRMM試験の中間解析で共同主評価項目のMRD(微小残存病変陰性率)を達成、今年2月にFDAが新薬承認申請を優先審査で受理したところだ。
上記2剤はどう棲み分けるのだろう?多発骨髄腫は過去30年間に新薬が輩出し、最初から3剤、4剤併用する30年前には信じられなかったような贅沢な治療が可能になった。選択肢が増えて複雑になった面もあり、BMSのように複数の開発品を持っている会社は何をどう使い分けるか、贅沢な悩みに直面し、市販後は、医師や患者も巻き込まれることになる。
リンク: プレス・リリース
新規作用機序の抗癲癇薬の第3相が成功
(2026年3月9日発表)
Xenon Pharmaceuticals(Nasdaq:XENE)はXEN1101(azetukalner)が第3相焦点起始発作治療試験で主目的を達成したと発表した。もう一本進行しており今年第3四半期に米国で承認申請する考え。
Kv7カリウム・チャネル・オープナーという新規作用機序の抗癲癇薬。欧州と米州の施設で360人を第3相X-TOLE2試験に組入れ、偽薬、15mg、または25mgを一日一回、経口で食事と共に、12週間、追加投与する便益を検討したところ、月間焦点発作頻度がベースライン比で各群10.4%、34.5%、53.2%減少した。後期第2相試験でも偽薬、10mg、20mg、25mg群の焦点発作頻度が18.2%、33.2%、46.4%、52.8%低下しており、概ね似たような結果になっている。
一方、治療時発現有害事象による投与中止が各群3.2%、4.8%、14.5%で発生し、深刻治療時発現有害事象も同2.4%、3.2%、5.6%となっており、25mgは効果が高いが忍容性もやや見劣りする。
リンク: プレス・リリース
ロシュ、giredestrantの今度の第3相はフェール
(2026年3月9日発表)
ロシュは選択的エストロゲン受容体零落剤RG6171(giredestrant)が第3相persevERA試験で主目的を達成せず、トレンドに留まったと発表した。内分泌療法に感受しているエストロゲン受容体陽性(ER+)、her2陰性(her2-)の局所進行/転移乳癌の一次治療としてCDK4/6阻害剤palbociclibと併用する便益をpalbociclibとファイザーのアロマターゼ阻害剤letrozpleを併用する群と比較したところ、主評価項目のPFS(無進行生存期間、治験医評価)が上回ったものの有意水準に達しなかった。
giredestrantは第3相evERA試験で、術後アジュバントあるいは局所進行/転移後に内分泌療法療法とCKD4/6阻害剤治療を受けたことのあるER+her2-の局所進行/転移乳癌を対象に、mTOR阻害剤everolimusと併用する便益を標準療法(everolimusをexemestaneなど3剤の何れかと併用)と比較したところ、共同主評価項目である全集団のPFS(同上)とESR1変異型サブグループにおけるPFSが大きく上回り、米国でESR1変異型向けに承認申請された。更に、ER+her2-の中高リスク早期乳癌の術後アジュバント療法試験、第3相lidERA Breast Cancerも中間解析でIDFS(無侵襲性疾患生存期間)が内分泌療法群を上回り、米国などで承認申請される予定。ここまでは順調だったが、今回は取りこぼした。他にも複数のやや異なった患者層の第3相が進行中。尚、以上の試験には日本の施設も参加している。
リンク: プレス・リリース
【承認申請】
Capricor、他家細胞療法をDMDにまた申請
(2026年3月10日発表)
Capricor Therapeutics(Nasdaq:CAPR)は24年に米国でCAP-1002(deramiocel)を第2相試験に基づきデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)用薬として承認申請し、25年7月にComplete Response Letter(審査完了通知)を受領したが、第3相の成功を踏まえてComplete Response(完全回答)した。これらのネーミングは元々、分かり難いが、同社は審査完了通知がキャンセルされたと言っているため、余計分かり難い。まあ、クラスII回答でPDUFA(処方薬ユーザー課金法に基づく審査完了目標日)は26年8月22日ということだけ記憶しておけばよいだろう。
健常者の心筋などの心細胞塊を精製した細胞性医薬品。移植するとエクソソームを分泌し酸化ストレスや炎症、線維化を抑制、筋細胞の生成を促し運動機能や心機能の改善が期待される。日本新薬が米日欧の独占販売権を持っている。第2相HOPE-2試験で上腕機能の中度以上の低下を伴うDMD患者8人の上腕機能や心機能が偽薬群を上回った。しかし、FDAは保守的な統計解析手法に基づき有意な差はないと判定、諮問委員会が招集される予定だったが、官報の前刷りが公開された直後にキャンセルされた。一説によると、生物学的製剤の審査を担当するCBERの審査担当者らは承認に前向きだったが、センター長で、先日、退任が発表されたVinay Prasadが反対したのだという。
米国で105人を組入れて12ヶ月追跡した第3相HOPE-3は、上腕機能総スコアの悪化が偽薬比54%小さかった(p=0.029)。左室駆出率(n=83)の低下も91%小さかった(p=0.041)。成功したはずの第2相がFDAの解釈ではフェール、という経緯があるので、この成績は議論の余地は無いのか、気になるところだ。p値は決して低くなく盤石と胸を晴れるほどでもない。
リンク: プレス・リリース
第一三共、エンハーツの術後療法を米国でも申請
(2026年3月9日発表)
第一三共は、アストラゼネカと共同開発販売している抗her2抗体薬物複合体、Enhertu(fam-trastuzumab deruxtecan-nxki)の適応拡大を米国で申請し受理されたと発表した。術前療法を施行しても浸潤性残存病変が残ったher2陽性(IHC3+またはISH+)早期乳癌に術後薬物療法として単剤投与するもので、似たような薬であるロシュの Kadcyla(ado-trastuzumab emtansine)と比較した第3相DESTINY-Breast05試験でIDFS(無浸潤性疾患生存期間)が大きく上回った。優先審査を受け、審査期限は26年7月7日。
リンク: プレス・リリース
欧州でテクベイリを多発骨髄腫二次治療に承認申請
(2026年3月10日発表)
ジョンソン エンド ジョンソンはTecvayli(teclistamab)を再発/難治骨髄腫の2次治療に適応拡大すべくEUに申請した。第3相MajesTEC-9試験に基づくもの。lenalidomideと抗CD38抗体を含む1~3次治療歴のある患者に単剤する便益をPVdレジメン(pomalidomide、bortezomib、dexamethasoneの3剤併用;米国は未承認だが欧州では承認されている)またはKdレジメン(carfilzomibとdexamethasoneの2剤併用)を施行する群と比較したところ、中間解析でPFSのハザード・レシオが0.18、全生存期間は0.60となった。
リンク: プレス・リリース
【承認審査・委員会】
ジニイズの肺癌適応、ノボの道連れで承認されず
(2026年2月27日発表)
インサイト(Nasdaq:INCY)は抗PD-1抗体Zynyz(retifanlimab-dlwr)を肛門管扁平上皮腫などの用途で米欧日で承認取得している。転移非小細胞性肺癌の1次治療白金レジメン併用も第3相POD1UM-304試験が成功し、米国で適応拡大申請していた模様だが、審査完了通知を受領した。プレス・リリースは出ていないが、2月にSEC(米国連邦証券取引委員会)に適宜開示資料として届出ていた。承認されなかったのはノボ ノルディスクのCatalent Indiana工場の製造問題だけが原因とのこと。製造受託の大手であるCatalentをノボが買収した時は他社から様々な懸念が表明されたが、買収後は今回のような思わぬトラブルが相次いでいる。
リンク: インサイトのSEC提出資料(Form 8-K)
イデベノンは米国では今回も承認されず
(2026年2月27日付)
Open FDAサイトで今年2月に送付された審査完了通知が数件、開示された。Chiesi FarmaceuticiがidebenoneをLHON(レーバー遺伝性視神経萎縮症)用薬として承認申請し審査完了通知を受領していたことが明らかになった。
idebenoneは武田薬品が創製した合成コエンザイムQ10製剤。1986年に日本でアバン名で承認されたが市販後薬効確認試験がフェールし12年後に承認取消となった。ミトコンドリア機能改善作用に注目したスイスのSanthera Pharmaceuticalsが先天性ミトコンドリア疾患であるLHONに開発しEUで承認申請し、2015年に青少年向けに例外的条項に基づき承認を取得した。その後、Chiesiが欧米などの権利を取得した。
FDAは、2本の薬効確認試験がフェールし自然歴対照試験は試験薬群の症例が2011~19年のデータであるのに対して自然歴は1959~2016年と期間が長く、標準療法や報告基準などが異なる可能性があり、また、ドロップアウトが多いことなどから、エビデンスが不十分と判定した。
リンク: FDAのCRL
イプセン、タゼメトスタットの自主的販売中止を決定
(2026年3月9日発表)
イプセンは、EZH2阻害剤Tazverik(tazemetostat)を根治手術不適転移/局所進行類上皮肉腫やある種の再発/難治濾胞性リンパ腫の治療薬として開発販売していたが、販売や臨床試験・早期アクセス・プログラムにおける投与を自主的に中止すると発表した。市販後薬効確認試験である後期第1相/第3相試験のSYMPHONY-1試験で再発/難治濾胞性リンパ腫の二次治療としてlenalidomide及びrituximabと3剤併用する便益を検討していたところ、血液系二次性悪性腫瘍が過去の試験より高頻度で発生し、独立データ監視委員会が危険が便益を上回ると判定したため。中国の販売権を持つHutchmedも自主回収と治験中止の手続き開始を発表した。
承認用法は単剤投与なので、販売を中止するほどでもないように見えるが、加速承認を維持するためには別途、薬効確認試験を実施する必要がある。商業的な要素も考慮したのかもしれない。一部報道によると、21年に日本で承認取得したエーザイは、現時点で二次性悪性腫瘍が添付文書記載の範囲を超えて増加という報告はない、と回答している模様。
リンク: イプセンのプレス・リリース
リンク: Hutchmedのプレスリリース(GLOBE NEWSWIRE)
【承認】
ロイコボリンを脳葉酸欠乏症に承認
(2026年3月10日発表)
FDAはGSKのWellcovorin(leucovorin calcium)の適応拡大を承認した。葉酸受容体1の遺伝子であるCFD-FOLR1遺伝子に変異が確認されたCFD(脳葉酸欠乏症)の成人小児に、体重40kg以上の患者の場合で1~2mg/kg/日かつ最大330mg/日を1日1~6回に分けて経口投与する。一回投与量は25mg以下が望ましく、75mgを超えてはいけない。代謝酵素であるMTHFSを欠乏する患者には推奨しない。
CFD用薬が承認されたのは初めてだが、それ以上に画期的なのは、GSKが既に販売を中心している製品に関して、FDAが各種症例報告に基づいて評価しGSKに適応拡大申請を求めたこと。医師はGSK品のレーベルに基づきGE薬を処方することになる。
CFDは100万人当り1人以下の超希少疾患。発達遅延や運動障害、癲癇などを発現する。leucovorinは葉酸誘導体で、癌やリウマチの治療に用いられる葉酸代謝拮抗剤の副作用を緩和する。FDAによる症例報告の集計分析によると、生後2ヶ月から33歳の評価対象患者27人のうち24人で神経症状などが程度は区々だが改善し、残りの3人も、CFDは進行性疾患であるにも関わらず、進行が見られなかった。5-MTHF量は評価対象7人の全員で増加し、5人は正常水準(40nmol/L以上)に達した。
FDAのMakary長官は自閉症にも有効と考えているようだが今回の適応拡大には含まれていない。その代わりに、下記プレス・リリースの中で、自閉症状を伴うCFD患者にもメリットがありうることに言及している。
リンク: プレス・リリース
リンク: Wellcovorinのレーベル
ソーティクツが乾癬性関節炎に適応拡大
(2026年3月6日発表)
ブリストル マイヤーズ スクイブはFDAがSotyktu(deucravacitinib)を成人の活性期乾癬性関節炎に適応拡大することを承認したと発表した。日欧などでも申請中。
22~23年に米日欧で中重度プラク乾癬症治療薬として承認された選択的アロステリックTYK(チロシン・キナーゼ)2阻害剤。バイオ薬未経験やTNF阻害剤歴を持つ患者を組入れて6mgを一日一回経口投与した試験で、第16週ACR20などが偽薬群を有意に上回った。
リンク: プレス・リリース
【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】
| PDUFA | |
|---|---|
| 26/3推 | サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、8歳以上の最近診断されたステージ3の一型糖尿病、CNPV案件) |
| 26/3推 | Regeneron PharmaceuticalsのDB-OTO(otoferlin変異による小児難聴、CNPV案件) |
| 26/3推 | ノボ ノルディスクのAwiqli(insulin icodec、二型糖尿病) |
| 26/3推 | ノボ ノルディスクのWegovy(semaglutide 最大用量7.2mg、CNPV案件) |
| 26/3/6 | BMSのSotyktu(deucravacitinib、乾癬性関節炎適応拡大) |
| 26/3/16 | Aldeyra TherapeuticsのADX 102(reproxalap、ドライアイ) |
| 26/3/20 | Rhythm Pharmaceuticalsのsetmelanotide(後天的視床下部性肥満症) |
| 26/3/24 | GSKのGSK2330672(linerixibat、原発性胆汁性胆管炎) |
| 26/3/28 | Rocket PharmaceuticalsのKresladi(marnetegragene autotemcel、重度白血球接着不全症1型) |
| 26/3/29 | LantheusのLNTH-2501 (Ga-68 edotreotide Injection、神経内分泌腫瘍のPET造影剤) |
| 26/4推 | アストラゼネカのbaxdrostat(難治高血圧症) |
| 26/4/3 | バイオジェンのSpinraza(nusinersen、高用量追加) |
| 26/4/5 | Denali TherapeuticsのDNL310(tividenofusp alfa、ハンター症候群) |
| 26/4/6 | Orca BioのOrca-T(血液癌の制御性T細胞・幹細胞移植) |
| 26/4/8 | BMSのOpdivo(nivolumab、未治療の進行性古典的ホジキンリンパ腫) |
| 26/4/10 | ReplimuneのRP1(vusolimogene oderparepvec、進行黒色腫) |
| 26/4/13 | Travere TherapeuticsのRE-021(sparsentan、巣状分節状糸球体硬化症を追加) |
| 26/4/23 | サノフィのSarclisa(isatuximab-irfc、多発骨髄腫用薬の皮下注用新製剤) |
| 26/4/23 | Grace TherapeuticsのGTx-104(点滴静注用nimodipine、脳動脈瘤によるくも膜下出血) |
| 26/4/28 | MSDのMK-8591A(doravirineとislatravir、HIV-1感染症) |
| 26/4/29 | サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、1-7歳のステージ2一型糖尿病) |
| 26/4/30 | Axsome TherapeuticsのAuvelity(dextromethorphan Hbrとbupropion HCI、アルツハイマー性激昂) |
| 26/5推 | GSKのArexvy(高リスク18-49歳のRSV性下部気道疾患予防) |
| 26/5推 | ビーワン・メディシンズのBGB-11417(sonrotoclax、マントル細胞腫) |
| 26/5/10 | argenxのVyvgart(efgartigimod alfa-fcab、抗体陰性全身性重症筋無力症) |
| 26/5/18 | 第一三共のEnhertu(fam-trastuzumab deruxtecan-nxki、早期乳癌術前療法) |
| 26/5/24 | エーザイのLeqembi皮下注(lecanemab-irmb、早期AD、維持療法限定解除) |
| 諮問委員会 | |
| 26/4/3 | 腫瘍学諮問委員会(アストラゼネカのcamizestrantとcapivasertib) |
今週は以上です。
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