2026年2月21日

第1247回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • FDAが一転、モデルナのインフルエンザ・ワクチン承認申請を受理 
  • ノバルティス、BTK阻害剤の慢性誘発性蕁麻疹試験が成功 
  • シロシビンの難治鬱病試験が2本目も成功 
  • アキシチニブの加齢性黄斑変性試験が成功 
  • ファイザーのビラフトビ、FOLFIRI併用試験も成功 
  • リリー、レットヴィモの早期NSCLC試験が成功 
  • ガザイバの自己免疫性疾患試験がまたまた成功 
  • ノバルティス、市販後薬効確認試験がフェールし本承認を申請へ 
  • ロシュ、giredestrantを承認申請 
  • 抗アクティビン抗体を承認申請 
  • 高リスク腎移植の拒絶反応抑制薬を承認申請 
  • BMS、多発骨髄腫の新薬を承認申請 
  • 小野薬品、PCNSL用BTK阻害剤を承認申請 
  • CNPVはゲットしたが承認されず 
  • Ultragenyxの遺伝子療法、再申請が受け入れられず 
  • PTC社、DMD用薬の承認申請を撤回 
  • カルケンス・ベネクレクスタ併用が未治療CLL/SLLに承認 
  • Vanda、iloperidoneと生物学的同等の新規化学物質が承認 
  • ジファミラストが米国でも承認 
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【今週の話題】


FDAが一転、モデルナのインフルエンザ・ワクチン承認申請を受理
(2026年月日発表)

モデルナは、FDAがmRNA-1010の承認審査を開始すると発表した。実薬対照試験の対照薬が高齢者に関しては不適切として一旦は申請を却下したが、タイプA会議を経て、高齢者向けは加速承認の申請と変更することで容認した。審査期限は26年8月5日。

mRNA-1010は季節性インフルエンザの予防用mRNAワクチン。50歳以上を対象に欧米やカナダ、オーストラリアで承認申請し、米国以外は受理されたが、FDAは第3相感染予防試験(P304試験)の対照薬が通常用量品のみで、65歳以上に推奨される高量品が採用されなかったことから、RTF(申請拒否)した。65歳以上の免疫原性試験(P303試験)ではFluzone HDを有意に上回っており、FDAは、それまで、高量版比較が望ましいが通常版でも可という判断を示していたようだ。

判断が二転、三転した原因は不明。RTF通知は生物学的製剤の承認審査などを担うCBER(生物学的製品評価研究センター)のヘッドで、インフルエンザ・ワクチンやCOVID-19ワクチンなどに関してコンセンサスとは異なる見解を持つVinayak Prasad名だったが、一部報道によると高官が、別の報道によるとトランプ大統領がMarty Makary FDA長官に直談判で、介入した。

手続き面で不思議なのは申請の受理日だ。PDUFA日が8月5日ということは、モデルナは優先審査バウチャを用いて申請したので、受理日は2月5日ということになる。RTF通知は2月3日付なので、その後の2日間にタイプA会議でモデルナが修正案を打診し内諾を得て申請し受理されたことになるが、非現実的だ。そもそも、モデルナがRTF通知の受領を公表したのは2月10日なので、その時点では既に再申請が受理されていたことになる。

おそらく、特殊性に鑑み、PDUFA起算日を可能な限りバックデートして少しでも早く承認されるよう配慮したのだろう。トランプ大統領なら何でもあり、日本の法は人の下に人を作らずだが、米国は大統領の下に国民や他国を作っているということなのだろうか。

リンク: プレス・リリース

【新薬開発】


ノバルティス、BTK阻害剤の慢性誘発性蕁麻疹試験が成功
(2026年2月18日発表)

ノバルティスはRhapsido(remibrutinib)が第3相REMIND試験のさらに二つのコフォートで主目的を達成したと発表した。適応拡大申請に向かうのではないか。

Rhapsidoは選択的BTK(ブルトン型チロシン・キナーゼ)阻害剤で、25年9月に米国で成人の抗ヒスタミン薬に十分応答しない慢性特発性蕁麻疹用薬として承認された。日本でも承認審査中。今回の日本も参加した試験は、H1ブロッカーに十分応答しない慢性誘発性蕁麻疹における効果を検討したもの。3種類の慢性誘発性蕁麻疹のうち、症候性皮膚描記型コフォートは一足先に奏効率(12週Total Fricスコア完全反応率)を達成、米国で適応拡大申請された。今回、寒冷蕁麻疹コフォート(所定の温度で刺激しても発症しない患者の比率)とコリン性蕁麻疹コフォート(完解率)も成功した。データは何れも未公表。

リンク: プレス・リリース


シロシビンの難治鬱病試験が2本目も成功
(2026年2月17日発表)

英国のCompass Pathways(Nasdaq:CMPS)は、COMP360(psilocybin)が第3相COMP 006治療抵抗性鬱病試験で主目的を達成したと発表した。米国の患者だけを組入れたCOMP 005試験と同程度の治療効果が見られた。FDAと相談の上、26年第4四半期に承認申請する考え。

シロシビンはマジックマッシュルームの成分で、米国でも日本でも麻薬取締法の対象。依存性はないとされる。006試験は北米や欧州の施設で568人を1mg群(実質的な偽薬群)、10mg群、25mg群に1:1:2割付けして3週おいて2回投与し、第6週のMADRS(Montgomery-Asberg Depression Rating Scale)をベースラインと比較した。25mg群は、1mg群と比べて、3.8点改善した(p<0.001)。米国の施設で258人を偽薬群と25mg群に1:2割付けした005試験の3.6点(p<0.001)と同様な結果になった。治療時発現深刻有害事象の発現率は2%、自殺思慮/行動が増加するリスクは見られなかった模様。

リンク: プレス・リリース


アキシチニブの加齢性黄斑変性試験が成功
(2026年2月17日発表)

米国マサチューセッツ州のOcular Therapeutix(Nasdaq:OCUL)は、Axpaxli(axitinib硝子体腔インプラント)が第3相新生血管加齢性黄斑変性(nAMD)維持療法試験で主目的を達成したと発表した。導入療法試験も進行中だが、結果を待たずに505(b)(2)申請する考え。

同社は生体吸収性ハイドロジェルを用いて活性成分を長期持続放出させる技術を持っており、2018年にDextenza(dexamethasone眼科用インサート)が眼科手術後の目の炎症や疼痛の治療薬としてFDAに承認された。Axpaxliは腎細胞腫などに承認されているVEGF受容体拮抗剤、axitinibを持続放出する新製剤。エビデンスとなる第3相SOL-1試験は複雑で、未治療のnAMD患者にaflibercept(Regeneron社/バイエルのEylea) 2mgを治験開始の8週前と4週前に硝子体注射して、応答者を試験薬群(0.45mg)とaflibercept群(2mg)に無作為化割付けして1回投与し、52週間観察した。主評価項目は36週における奏効維持率。ETDRSチャートで検査して悪化が15字以内なら奏効維持とした。結果は各群74.1%と55.8%となり統計的に有意な差があった。プレス・リリース添付のスライドによると、スクリーニング時点の平均BCVA(最良矯正視力)は70字、aflibercept2回投与後の無作為化割付け時点では80字で、52週後に奏効維持した患者の悪化は両群とも2~3字だった。第52週時点の奏効維持率も各65.9%と44.2%で有意な水準だった。

有害事象は飛蚊症や白内障、結膜出血などが増加し、白内障の深刻有害事象が1例見られた(対照群はゼロ)。52週間の目の有害事象発生率は各群53%と34%、それ以外は49%と42%だった。詳細は2月25~28日にサン・ディエゴで開催されるMacula Society年次総会で発表予定。

この試験は事前にFDAの特別プロトコル評価(SPA)を受けているので何か事情があるのだろうが、違和感があるのは、Eyleaの用法が承認されているものとは違うことだ。2週おいて3回投与した後も4週毎に投与するスケジュールなので、本試験は途中で活性薬対照試験から偽薬対照試験に切り替わっていることになる。また、Eyleaは8mgも承認されている。米国承認が遅れて本試験には間に合わなかったと推察されるが、維持療法としての効果がEyleaを上回る、とは言えないのではないか。

もう一本のSOL-R試験(ClinicalTrials.govでは303試験)はafilbercept 8mgも合わせて3群を設定し、48週のETDRSの非劣性検定を行う予定。現実の医療では、Eyleaのような抗VEGF抗体の導入療法が奏功したら、維持期は定期投与ではなく検査で悪化が認められたら投与する方針が多いと言われている。SOL-R試験ではETDRSが15字ではなく、5字以上喪失し且つCSFT(中心領域網膜厚)が75mcm以上増加したらレスキュー・セラピーを施行する、現実の医療に近いプロトコルを採用している。

リンク: プレス・リリース


ファイザーのビラフトビ、FOLFIRI併用試験も成功
(2026年2月17日発表)

ファイザーは、BRAF阻害剤Braftovi(encorafenib)が第3相BREAKWATER試験のコフォート3でPFS(無進行生存期間、独立中央評価)を達成したと発表した。適応拡大申請に向かうのではないか。

この試験はBRAF-V600E変異のある転移結腸直腸癌の一次治療における様々な標準療法に追加する便益を検討したもの。mFLOFOX6とcetuximabのレジメンに追加したコフォートは既に成功、ORR(客観的反応率、盲検独立中央評価)が61%と追加しなかった群の40%を大きく上回り、米国では24年に、日本でも25年11月に、適応拡大が承認された。コフォート3はFOLFIRIとcetuximabのレジメンに追加する便益を検討したもの。1月のASCO GI(米国臨床腫瘍学会胃腸癌シンポジウム)で64.4%対39.2%と有意な改善を示したことが発表され、今回、主要副次的評価項目であるPFSも統計的に有意且つ臨床的に意味のある改善が確認された。データは未公表。

リンク: プレス・リリース


リリー、レットヴィモの早期NSCLC試験が成功
(2026年2月16日発表)

イーライリリーは、Retevmo(selpercatinib)が第3相LIBRETTO-432試験で主目的を達成したと発表した。データは学会等で発表する考え。適応拡大申請について言及はしていない。

20~22年に米欧日でRET遺伝子融合変異を持つ根治切除不能甲状腺癌など向けに承認されたRET阻害剤。欧米ではRET融合変異を持つ進行非小細胞性肺癌にも承認されているが、今回はもっと早い段階の、ステージIB~IIIAのRET融合陽性非小細胞性肺癌で根治的放射線療法/切除術などを受けた患者151人を、日本を含むグローバルな施設で試験薬群と偽薬群に無作為化割付けした。主評価項目はステージII~IIIAサブグループにおけるEFS(無イベント生存期間、治験医評価)。統計的に有意且つ臨床的に意味のある違いがあった。

副次的評価項目の全生存期間の解析は未成熟だがポジティブなトレンドが見られたとのこと。ClinicalTrials.govに記載されている副次的評価項目にはサブグループ分析はリストアップされていないので全体の解析なのかもしれないが、副次的評価項目の1番目に記されている全体のEFSについては言及されていないので、良く分からない。

リンク: プレス・リリース
リンク: LIBRETTO-432試験の概要(ClinicalTrials.gov)


ガザイバの自己免疫性疾患試験がまたまた成功
(2026年2月16日発表)

ロシュは抗CD20糖鎖改変抗体Gazyva(obinutuzumab)が第3相MAJESTY試験で主目的を達成したと発表した。成人の原発性膜性腎症患者142人を組入れて2年間治療し、完解率をmTOR阻害剤tacrolimusと比較したところ、統計的に有意且つ臨床的に意味のある差があった。欧米で適応拡大申請する考え。

この疾患は免疫複合体が糸球体基底膜に沈着し肥厚させる。欧米の罹患者数は各9万人前後と推定されているようだ。Gazyvaが承認されれば初の治療薬になる。

Gazyvaは昨年第4四半期に自己免疫性疾患における開発が続々と成果を挙げた。米欧で活性期ループス腎炎に適応拡大、第3相特発性ネフローゼ症候群のINShore試験が成功、全身性エリテマトーデスのALLEGORY試験も成功した。今年は3適応症で承認申請されることになる。

リンク: プレス・リリース


ノバルティス、市販後薬効確認試験がフェールし本承認を申請へ
(2026年2月13日発表)

ノバルティスはVanrafia(atrasentan)の市販後薬効確認試験のフェールと、本承認切替申請の計画を明らかにした。類似前例もあるが、FDA上層部の考え方が同じとは限らないので要注意だろう。

アッヴィからライセンスしてIgA腎症用薬として開発したChinook Therapeuticsをノバルティスが買収して入手した、経口エンドセリンA受容体拮抗剤。第3相ALIGN試験で36週UPCR(尿蛋白クレアチニン比)が偽薬を有意に上回り、25年4月に米国で成人の急速進行性原発性免疫グロブリンA(IgA)腎症治療薬として加速承認された。この試験などでeGFR(推算糸球体濾過量)の悪化を抑制する作用を確認することが市販後コミットメントとなっていたのだが、偽薬修正後で2.39mL/分/1.73m2と上回ったものの両側p=0.057と有意水準に達しなかった。評価時期は一日一回投与を完了した4週間後に当たる136週だが、132週時点では2.59mL/分/m2で名目両側p=0.039と、高度ではないがまあまなな数値が出ている。

IgA腎症薬の開発では、今回のように、9ヶ月程度経った時点でUPCRというサロゲート・マーカーの改善を評価・証明した上で加速承認を取得し、2年以上追跡した後のeGFRを評価して臨床的便益を確認できたら本承認切替を狙うのが一般的だ。今回の結果は本来ならまずいはずだが、フェールしても本承認された前例がある。Travere Therapeutics(Nasdaq:TVTX)のFilspari(sparsentan)だ。23年2月に加速承認、eGFR解析はp=0.058だったが24年9月に本承認された。FDAは会社側と異なる解析を行ったようで、治療効果(1.2mL/分/1.73m2)もp値(0.0168)も会社側が一年前に発表した数値から変わっていた。EUも24年4月の条件付き承認を25年4月に本承認に切り替えている。EU向けの評価項目は会社発表でもp=0.037だったので、意外ではなかったのだが、何れにせよ、解析方法が少し変わるだけで有意にも無意にもなるナイーブな評価項目であることが窺われる。

尤も、Filspariの試験は実薬対照試験なので、有意に上回らなくても効かないとは言えない。今回は偽薬対照なのだから同じでは困る。治療効果はこちらの方が大きいが群間差だけでは二本の試験の比較可能性を垣間見ることすらできない。

発表内容が限られているためノバルティスの判断が妥当なのかどうか、分からないが、一つだけ言えるのは、現在のFDA首脳部はサロゲート・マーカーに慎重で臨床的便益を重視する傾向があることだ。

リンク: プレス・リリース

【承認申請】


ロシュ、giredestrantを承認申請
(2026年2月20日発表)

ロシュ/ジェネンテックは米国でRG6171(giredestrant)を承認申請し受理されたと発表した。審査期限は26年12月18日。欧州などでも申請する考え。

選択的エストロゲン受容体零落作用とエストロゲン受容体拮抗作用を持つ経口剤。成人のエストロゲン受容体陽性(ER+)、her2陰性(her2-)、ESR1陽性の局所進行/転移乳癌で内分泌療法に進行または応答後再発した患者に用いる。エビデンスは日本も参加した第3相evERA試験。早期乳癌の摘出術後または局所進行/転移後に内分泌療法及びCKD4/6阻害剤治療を受け不応/再発のER+her2-局所進行/転移乳癌を組入れて、mTOR阻害剤everolimusと併用する便益を標準療法(everolimusをexemestane、fulvestrant、またはtamoxifenと併用)と比較した(閉経前/中の女性はLHRHアゴニストも併用)。共同主評価項目であるESR1変異陽性サブグループにおけるPFS(無進行生存期間、担当医評価)はメジアン値が各群9.99ヶ月と5.45ヶ月、ハザード・レシオは0.38で高度に有意だった。全生存期間は未成熟だがハザード・レシオ0.62(95%信頼区間0.38-1.02)と好ましい方向を指している。

もう一つの共同主評価項目であるintent-to-treatベースの解析も順に8.77ヶ月対5.49ヶ月、0.56(0.44-0.71)、全生存期間のハザード・レシオは0.69(0.47-1.00)と似たような結果になっており、ESR1陰性/不明サブグループのデータが注目されたが、ESR1限定で申請されたということは、便益があると断定できるような数値ではなかったのだろう。

RG6171は、昨年11月に、日本も参加した早期乳癌術後アジュバントにおける第3相lidERA Breast Cancer試験の中間解析で主目的を達成しており、ロシュは数週内に米国などで承認申請する考え。ER+her2-局所進行/転移乳癌の一次治療palbociclib併用試験、第3相persevERAも今上期中に成否判明する見込み。

リンク: プレス・リリース


抗アクティビン抗体を承認申請
(2026年2月19日発表)

Regeneron Pharmaceuticals(Nasdaq:REGN)はREGN2477(garetosmab)を進行性骨化性線維異形成症(FOP)用薬としてFDAに承認申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は今年8月とのみ公表している。同社の研究者が機能を特定したactivin-Aに結合する抗体で、日本も参加した第3相OPTIMA試験で16歳以上の一型activin A受容体関連FOP患者63人を偽薬、3mg/kg、10mg/kg群の何れかに無作為化割付けして4週毎に56週間投与したところ、新規異所性骨化病変数が各群19、1、2病変となり、両用量群とも偽薬比p値が0.03を下回った。副次的評価項目の臨床的憎悪頻度は用量依存的に低下し、高用量は偽薬比有意だった。有害事象は鼻血、毛髪の成長増加、膿瘍、挫創など。第2相LUMINA-1試験では、無作為化割付け対照試験後のオープン・レーベル延長試験で試験薬の投与を受けた43人中5人が死亡し、FDAが治験停止を命じたことがあったが、試験薬との関連性が疑われる症例はなかった。第3相の深刻有害事象発生数は各群2人、1人、2人と第2相(偽薬群は24人中2人、10mg/kg群は20人中4人)と比べても群間差が縮小している(サンプル数は少ないが)。

進行性FOPは全身の筋肉やその周囲の膜、腱、靭帯などが徐々に硬くなって骨に変わり、手足の可動域が狭まったり背中が変形したりする。BMPの受容体である膜貫通型受容体、ACVR1(別名ALK2)蛋白の変異型がActivin Aにより活性化されることが原因と考えられている。世界の患者数は900人と僅少だが未診断/誤診の潜在患者も多いと推測されている。治療薬は22~26年にカナダ、米国、日本でイプセンのレチノイン酸受容体ガンマ作動剤、Sohonos(palovarotene)が米国の場合で8歳以上の女性と10歳以上の男性患者向けに承認された。臨床成績は新規異所性骨化量が外部自然歴対照群と比べて半分以下だった。

リンク: プレス・リリース


高リスク腎移植の拒絶反応抑制薬を承認申請
(2026年2月18日発表)

スエーデンのHansaBiopharma(Nasdaq Stockholm:HNSA)は米国でimlifidaseを高リスク腎移植の付随療法として承認申請し受理されたと発表した。優先審査を要求していたが認められたかどうかは不明。化膿レンサ球菌由来の開裂酵素で免疫グロブリンGの長鎖を特異的に零落し、ADCC(抗体依存性細胞傷害)やCDC(補体依存性細胞傷害)を妨げる。EUでは2020年に第2相試験に基づき、殆どのドナーに対する抗体を持ち適切な移植腎が見つからない患者向けにIdefirix名で条件付き承認された。米国は第3相ConfIdeSに64人を組入れて、1年後のeGFR(推算糸球体濾過率)を対照群(各施設の基準に応じて血漿交換、免疫グロブリン輸血、抗CD20抗体、抗C5抗体eculizumabを投与または適合腎が見つかるまで待機)と比較したところ、有意に上回った。

リンク: プレス・リリース


BMS、多発骨髄腫の新薬を承認申請
(2026年2月17日発表)

ブリストル マイヤーズ スクイブは米国でiberdomideを難治再発多発骨髄腫用薬として承認申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は26年8月17日。

セレブロンに結合してイカロスやアイオロスなどの転写因子の零落を誘導し、腫瘍細胞の増殖抑制、腫瘍細胞死の促進および免疫賦活効果の誘導を行う、同社がCELMoD(cereblon E3 ligase modulator)と呼ぶ化合物の第一号。同社のサリドマイドなどの標的もcereblonとされるが、どのような違いがあるのだろうか?承認申請のエビデンスは第3相EXCALIBER-RRMM試験。1~2次治療歴を持ち最終治療抵抗性の患者を組入れて、daratumumab及びdexamethasoneと3剤併用するIberDdレジメンと、iberdomideではなくbortezomibを併用するDVdレジメンを比較するもので、中間解析で共同主評価項目である微小残存病変(MRD)陰転率が有意に上回った。もう一つのPFSは26年に開票する見込み。

MRDに基づく承認は、今年1月にJanssen BiotechのDarzalex Faspro(daratumumab、hyaluronidase-fihj、和名ダラキューロ)が自家造血幹細胞移植(ASCT)が適さない新患多発骨髄腫に適応拡大した前例がある。FDAは、先月、MRDに基づく加速承認申請を容認するガイダンス資料も公開している。

リンク: プレス・リリース


小野薬品、PCNSL用BTK阻害剤を承認申請
(2026年2月16日発表)

小野薬品は、米国子会社であるDeciphera Pharmaceuticalsがtirabrutinibを再発又は難治のPCNSL(中枢神経系原発リンパ腫)用薬として承認申請しFDAに受理されたと発表した。審査期限は今年12月18日。

ブルトン型チロシン・キナーゼ(BTK)阻害剤。日本では20年に再発/難治PCNSLと原発性マクログロブリン血症、およびリンパ形質細胞リンパ腫に承認された。欧米はギリアド・サイエンシズがライセンスしていたことがあるが、最初に腫瘍学用途を、その後に他の用途も、返上した模様だ。今回の申請は、日本で承認後に米国で実施した第2相PROSPECT試験に基づくもの。48人に投与したところ、客観的反応率67%、メジアン反応持続期間は9.3ヶ月だった。

リンク: プレス・リリース

【承認審査・委員会】


CNPVはゲットしたが承認されず
(2026年2月13日発表)

Disc Medicine(Nasdaq:IRON)は昨年9月に米国でDISC-0974(bitopertin)を12歳以上の赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)の治療薬として加速承認申請し、10月にはCNPV(FDA委員長の国家的優先バウチャ)を取得したが、審査完了通知を受領した。CNPV案件は承認審査が1~2ヶ月に短縮される可能性があるが、臨床成績以外を事前に提出することが前提のようなので、今回、4ヶ月余かかったのは前例にはならないだろう。同社は今年第4四半期に結果が見込まれる第3相試験の結果を待つ考え。

EPPは常染色体性優性遺伝性疾患。フェロケラターゼの欠損によりヘム変換が進まずプロトポルフィリンIVが骨髄や赤血球、皮膚などに蓄積、日光過敏などの症状をもたらす。米国の推定患者数は6000人。オーストラリアのClinuvel Pharmaceuticals(ASX:CUV)が開発したメラノコルチン-1受容体アゴニスト、Scenesse(afamelanotide)インプラント製剤が14年にEUで、19年には米国でも19年に、承認されている。メラトニン類似物質の産生を増強し、日光下無疼痛時間をやや増やすことができる。

bitopertinはGlyT1阻害剤。ヘム合成に必要なグリシンの細胞内流入を増強する。ロシュが統合失調症の陰性症状治療薬として開発したが第3相がフェール、21年にDisc社が導入した。AURORA試験で全血遊離プロトポルフィリンIX(PPIX)が40%低下、偽薬群の8%増加と有意な差があったが、光線過敏症状関連の副次的評価項目はトレンドに留まった。このため、FDAは、PPIXが減れば日光下無疼痛時間を長期化できると考えることは可能だが確認されてはいないことを指摘した。第3相APOLLO試験の主評価項目はScenesseと同様な日光化無疼痛時間なので、達成なら今度こそ承認の道が開けるだろう。

それにしても不思議なのは、このプロジェクトがなぜCNPV案件なのかということだ。EPP治療薬は既にあるので、優先順位がものすごく高いようには感じられない。米国の政治献金は企業ではなく個々の役職員が拠出するため分かり難いところがあるが、民主党の知事や市長がいる地域で不法移民の大規模摘発を行ったりする政権なので、モヤモヤ感が残る。

リンク: プレス・リリース
リンク: FDAの審査完了通知(FDAサイト)


Ultragenyxの遺伝子療法、再申請が受け入れられず
(2026年2月12日発表)

Ultragenyx Pharmaceutical(Nasdaq:RARE)は24年12月に米国でrebisufligene etisparvovecをムコ多糖症IIIA型用薬として承認申請したが、審査期限より1ヶ月早い25年7月にCMC(化学製造管理)が不十分として審査完了通知を受領した。今年1月にCMC問題の回答と臨床試験の長期追跡データを再申請したが、今回、Incomplete Response Letterを受領した。会社側はCMC追加データを提出する考え。

22年にAbeona Therapeutics(Nasdaq:ABEO)からライセンスした遺伝子療法。アデノ随伴ウイルス9型をベクターとして患者で欠損しているSGSH(N-sulfoglucosamine sulfohydrolase)の遺伝子を導入する。臨床試験で脳脊髄液ヘパラン硫酸というサロゲート・マーカーが用量依存的に減少した。CMC問題は外部からは窺い知れないのでコメントの余地がない。

リンク: プレス・リリース


PTC社、DMD用薬の承認申請を撤回
(2026年2月12日発表)

PTC Therapeutics(NASDAQ: PTCT)は米国でTranslarna(ataluren)をデュシェンヌ型筋ジストロフィー用薬として承認申請していたが、撤回した。最初の承認申請は10年前、受理されなかったがfile over protestと呼ばれる救済措置を経て受理を勝ち取ったが、FDAも諮問委員会も薬効を認めず17年に審査完了通知を受領した。24年に再申請したが、フィードバックは依然として否定的で、今回、撤回に至った。

EUでは14年にCHMPが否定的意見を纏めたが、再審査で逆転し、条件付き承認を獲得した。しかし、追加試験がフェールし、11年後に条件付き承認が失効した。

有効性を示すエビデンスは不十分だが他に有効な薬がなく患者が困っているので迅速承認する、という制度は日米欧に存在するが、科学が進歩するのは裏返せば私たちが知らないことがまだまだ一杯あるということなので、認知症に承認された薬が実は効かなかったなんて話は決して珍しくない。きちっと再評価して過ちを正すことも医学の進歩である。

リンク: プレス・リリース

【承認】


カルケンス・ベネクレクスタ併用が未治療CLL/SLLに承認
(2026年2月20日発表)

FDAはアストラゼネカのBTK阻害剤Calquence(acalabrutinib)とアッヴィとジェネンテックのVenclexta(venetoclax)を成人の未治療CLL/SLL(慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫)に併用する用法追加を承認した。エビデンスとなる第3相AMPLIFY試験では抗CD20抗体obinutuzumab(ロシュのGazyva)と3剤併用した群も良さそうな成績を上げ、EUでは昨年6月に両方とも承認されたが、米国はなぜか2剤併用だけだった。

この試験は、成人の未治療CLL/SLL(分子標的薬が適応になる17p欠損型やTP53変異型は除外)をAV群(Calquenceは56週間、Venclextaは8週遅れで開始し48週間、どちらも経口投与)、AVO群(更にobinutuzumabも投与)、そして標準療法群(fludarabine、cyclophosphamide及びrituximab、または、bendamustineとrituximab)に無作為化割付けして、AV群と標準療法群のPFS(無進行生存期間、独立委員会評価)を比較した。メジアン値は未達対47.6ヶ月、ハザード・レシオは0.65、有意だった。副次的評価項目の全生存期間は未成熟だがハザード・レシオが0.42(95%上限0.70、但し多重性を補正すると有意ではない)と好ましい数値が出ているはずだが、レーベルにはメジアン41ヶ月の追跡で死亡率は各群6%と14%であったことしか記されていない。忍容性面では骨髄抑制は標準療法より少なかったが、COVID-19感染率が21%対4%、G3/4は6%対1.5%と、上回った。

承認されなかったのでレーベルには記載されていないが、副次的評価項目であるAVO群と標準療法群の比較は、PFSのハザード・レシオが0.42とAV群より良さそうな数値が出ており、特に、カプラン・マイヤー・カーブを見ると、AV群は2~3年経った辺りから悪化しAVO群の曲線を下方に突き抜けている。その段階では多くの患者が無進行生存しているので、ノイズと一蹴するわけにもいかず、AVOに軍配を上げたくなる。ところが、AVO群の全生存期間のハザード・レシオは0.75(95%上限1.16)と、AV群ほどではない。COVID-19死亡率を見ると、AV群は3.4%、AVO群は8.7%、標準療法群は7.2%となっており、AV群だけ低かったこともある程度影響しているのかもしれない。悩ましいデータ群だが、FDAがAVレジメンしか認めなかったことで、一層考え込んでしまう。

リンク: プレス・リリース


Vanda、iloperidoneと生物学的同等の新規化学物質が承認
(2026年2月20日発表)

Vanda Pharmaceuticals(Nasdaq:VNDA)は、FDAがBysanti錠(milsaperidone)を承認したと発表した。成人の双極障害I型における躁または混合症状の急性期治療と、成人統合失調症の急性期治療及び再発予防に用いる。活性成分は同社のFanapt(iloperidone)と相互変換する。承認のエビデンスは生物学的同等性試験で、レーベルにはiloperidoneの治験成績が掲載されている。それでもプレス・リリースには新規化学物質(New Chemical Entity)と記されており、IPは2040年代まで有効のようだ。

26年第3四半期にロンチする予定。iloperidoneは2016年以降に3社のジェネリックが承認されたが、何れも打切り(discontinued)となっており、急ぐ必要はなさそうだ。

iloperidoneはEUでも承認申請されたが、用量漸増に数日かかり作用が発揮されるまで時間がかかるため急性期治療には適さないことやQT延長リスクなどから承認されなかった。

リンク: プレス・リリース


ジファミラストが米国でも承認
(2026年2月13日発表)

AuroBindoは、子会社であるAcrotech Biopharmaの新薬が米国で承認された旨をインド証券取引所に届出た。大塚製薬が日本で21年に承認取得したアトピー性皮膚炎のPDE4阻害剤、モイゼルトを米国市場で導入したもので、2歳以上の軽中度アトピー性皮膚炎が適応になる。Acrotech社は16年に大塚からライセンスしたMedimetriksから権利譲渡を受けたもの。治験成績は当方は未だ把握できていない。

因みに承認通知は免疫学・炎症オフィスのヘッドであるNikolay P. Nikolov, MD名となっている。トップダウンで当否を決めた時だけCDERやCBERのヘッド名で回答するのだろうか?

リンク: AuroBindoのインド証券取引所届出書類

【当面の主なFDA審査期限】


PDUFA
26/2推サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、8歳以上の最近診断されたステージ3の一型糖尿病、CNPV案件)
26/2推JNJのTecvayli(teclistamab-cqyv)とDarzalex Faspro(daratumumab、hyaluronidase-fihj)、多発骨髄腫、CNPV案件)
26/2/25大鵬薬品のInqovi(decitabineとcedazuridine、新患急性骨髄性白血病一次治療)
26/2/28Regeneron PharmaceuticalsのDupixent(dupilumab、アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎)
25/2/28Ascendis PharmaのTransCon CNP(navepegritide、軟骨無形成症)
26/3推Atara Biotherapeuticsのtabelecleucel(リンパ増殖性疾患)
26/3推Concert TherapeuticsのCORT-125134(relacorilant、白金抵抗卵巣癌)
26/3推ノボ ノルディスクのAwiqli(insulin icodec、二型糖尿病)
26/3推ノボ ノルディスクのWegovy(semaglutide 最大用量7.2mg、CNPV案件)
26/3/6BMSのSotyktu(deucravacitinib、乾癬性関節炎適応拡大)
26/3/16Aldeyra TherapeuticsのADX 102(reproxalap、ドライアイ)
26/3/20Rhythm Pharmaceuticalsのsetmelanotide(後天的視床下部性肥満症)
26/3/24GSKのGSK2330672(linerixibat、原発性胆汁性胆管炎)
26/3/28Rocket PharmaceuticalsのKresladi(marnetegragene autotemcel、重度白血球接着不全症1型)
26/3/29LantheusのLNTH-2501 (Ga-68 edotreotide Injection、神経内分泌腫瘍のPET造影剤)
26/4推アストラゼネカのbaxdrostat(難治高血圧症)
26/4/3バイオジェンのSpinraza(nusinersen、高用量追加)
26/4/5Denali TherapeuticsのDNL310(tividenofusp alfa、ハンター症候群)
26/4/6Orca BioのOrca-T(血液癌の制御性T細胞・幹細胞移植)
26/4/8BMSのOpdivo(nivolumab、未治療の進行性古典的ホジキンリンパ腫)
26/4/10ReplimuneのRP1(vusolimogene oderparepvec、進行黒色腫)
26/4/13Travere TherapeuticsのRE-021(sparsentan、巣状分節状糸球体硬化症を追加)
26/4/23サノフィのSarclisa(isatuximab-irfc、多発骨髄腫用薬の皮下注用新製剤)
26/4/23Grace TherapeuticsのGTx-104(点滴静注用nimodipine、脳動脈瘤によるくも膜下出血)
26/4/28MSDのMK-8591A(doravirineとislatravir、HIV-1感染症)
26/4/29サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、1-7歳のステージ2一型糖尿病)
26/4/30Axsome TherapeuticsのAuvelity(dextromethorphan Hbrとbupropion HCI、アルツハイマー性激昂)

今週は以上です。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。