【ニュース・ヘッドライン】
- COVID-19関連:
- FDA、エバシェルドのEUAを停止
- その他の領域:
- カービクティの二次治療試験が成功
- キイトルーダ、この日は一勝一敗
- 抗体医薬の第3相VAP試験がフェール
- KIT阻害剤を緩徐全身性肥満症に適応拡大申請
- ジャディアンスをCKDに適応拡大申請
- FDA諮問委員会、新規エキノカンジンの限定的使用承認を支持
- CHMPが乾癬治療薬の承認を支持
- ESR1変異乳癌用薬が承認
- 可逆的BTK阻害剤が承認
- キイトルーダもNSCLCアジュバントが承認
- 新規SGLT2阻害剤が周回遅れで承認
【COVID-19関連】
FDA、エバシェルドのEUAを停止
(2023年1月26日発表)
FDAは、アストラゼネカのCOVID-19用薬Evusheld(tixagevimab、cilgavimab)はEUA(非常時使用認可)されていないと発表した。感受しないウイルスが殆どになったため。感受ウイルスの比率が上昇する時に備えて薬剤は廃棄しないよう推奨した。
Evusheldは二種類の抗SARS-CoV-2抗体の同梱製品。米国で曝露前感染予防用途に、欧日では治療用途にも、承認されている。オミクロン株にも力価を維持することから抗SARS-CoV-2抗体医薬の中で唯一、EUAが維持されていたが、力価が大きく低下してしまう株が昨秋来、流行しだし、CDC(米疾病予防管理センター)の推定によると、今年1月15日の週には非感受株の比率がXBB.1.5は49%、BA.1.1は27%、BQ.1は13%、XBBは3%と、合わせて9割を超えるようになった。
FDAはEvusheldのレーベルを改訂し、EUAは非感受株比率が90%以下である場合に限定されることを明記した。90%は高すぎるように感じられるが、米国は広く、地域により流行株が異なるケースが散見されることや、流行株が一変した時に朝令暮改にならないよう、緩めにしたのだろう。医師は地域の流行状況を踏まえて採否を決める必要があり、これまで、FDAは州毎の当否判断を公表していた。
リンク: FDAのプレスリリース
【新薬開発】
カービクティの二次治療試験が成功
(2023年1月27日発表)
ジョンソン・エンド・ジョンソン・グループのJanssen PharmaceuticalはCarvykti(ciltacabtagene autoleucel)の第3相CARTITUDE-4試験の独立データ評価委員会が中間解析に基づき盲検解除勧告を行ったと発表した。PFS(無進行生存期間)をPVdレジメン(pomalidomide+bortezomib+dexamethasone)やDPdレジメン( daratumumab+pomalidomide+dexamethasone)と比較した試験で、データは未発表。目的が達成されたので適応拡大申請に向かうだろう。
BCMA(B細胞成熟抗原)を標的とするCAR-T(キメラ抗原受容体T細胞)療法で、22年に米欧日で再発難治多発骨髄腫のサルベージ薬として承認された。適応になるのは免疫調節剤、プロテアーゼ阻害剤、抗CD38抗体による、EUと日本は3次以上、米国は4次以上の治療歴を持つ患者。
今回の試験は1~3次治療歴を持つ患者が対象なので、承認されれば早期段階の治療が可能になる。
類薬ではBMS/2seventy bioのAbecma(idecabtagene vicleucel)が3次以上の治療歴を持つ患者再発難治多発骨髄腫に承認されており、2~4次治療歴を持つ患者を組み入れたKarMMa-3試験が昨年8月に中間解析で成功認定された。データが大差ないならば、二次治療に使えるCarvyktiのほうが有利だろう。
リンク: JNJのプレスリリース
キイトルーダ、この日は一勝一敗
(2023年1月25日発表)
MSDはKeytruda(pembrolizumab)の第3相試験二本の成否を夫々、発表した。ポジティブな結果になったのがKEYNOTE-966試験。進行/切除不能の胆管癌で一次治療を受ける1069人を組入れて、gemcitabineとcisplatinのレジメンに追加して全生存期間の延長を図ったもの。Keytrudaは200mgを3週毎に最長2年間投与した。データは今後、学会などで発表される。適応拡大申請に向かうだろう。
胆管癌ではアストラゼネカのImfinzi(durvalumab)のTopaz-1試験が21年に中間解析で成功認定され、22年に米欧日で適応拡大が認められた。gemcitabineとcisplatinの併用と比べて、Imfinziを追加したレジメンの全生存ハザードレシオは0.80、メジアン生存期間は12.8ヶ月対11.5か月で1.3ヶ月延びるだけだが2年生存率は25%対10%と、一部の患者にはある程度大きな効果を示した。
一方、転移ホルモン療法感受性前立腺癌(mCSPC)のKEYNOTE-991試験は中間解析で独立安全性監視委員会が無益認定したため中止が決まった。アンドロゲン枯渇療法と Xtandi(enzalutamide)を併用するレジメンに追加する便益を検討したが、共同主評価項目である全生存期間と放射線学的無進行生存期間の何れも、成功の見込みが僅少と判定された。G3~5の有害事象や深刻有害事象も増加した。
リンク: 同社のプレスリリース(KEYNOTE-966試験)
リンク: 同(KEYNOTE-991試験)
抗体医薬の第3相VAP試験がフェール
(2023年1月25日発表)
米国のAridis Pharmaceuticals(Nasdaq:ARDS)はAR-301の最初の第3相試験がフェールしたと発表した。COVID-19やウクライナ戦争の影響で目標症例数に到達しなかったことが敗因の可能性があり、同社は、規制機関と相談の上、二本目を開始する予定。
AR-301は黄色ブドウ球菌のアルファ毒素に結合し活性複合体の形成を妨げる、点滴静注用の抗体医薬。第3相はグラム陽性黄色ブドウ球菌による人工呼吸器関連肺炎の治療に際して、抗生剤による標準療法に追加する便益を検討した。主評価項目の21日臨床的治癒率は68.9%と偽薬群の57.6%を有意に上回ったが、p=0.23と有意ではなかった。240人を組入れる計画だったが、45施設で40ヶ月かけて174人と大きく下回り、黄色ブドウ球菌感染が濃厚な薬効解析対象は120人に留まったため、検出力が大きく低下したことが響いたのだろう。
薬物関連深刻有害事象は発生しなかった。全死亡率は各群23.0%と23.7%と大差なかった。肺炎による死亡は1.6%と5.0%だったので、それ以外の原因による死亡は試験薬のほうが多かったのだろう。
リンク: 同社のプレスリリース(Globe Newswire)
【承認申請】
KIT阻害剤を緩徐全身性肥満症に適応拡大申請
(2023年1月23日発表)
Blueprint Medicines(Nasdaq:BPMC)はAyvakit(avapritinib)を成人の緩徐全身性肥満症の治療に用いる適応拡大をFDAに承認申請し受理された。優先審査を受け、審査期限は5月22日。PIONEER試験でTSS症状スコアの低下が24週で15.6と偽薬群の9.2を有意に上回った。有害事象は末梢/眼窩周囲浮腫がやや増加した。
高力価高度選択的KIT阻害剤で、標準療法に抵抗性を示すPDGFRアルファ エクソン18変異型にも活性を持つ。20年に欧米でこのタイプの消化管間質腫瘍の4次治療薬として、21~22年には進行性全身性肥満細胞腫にも、承認された。全身性肥満細胞腫の9割は緩徐なので、高リスク・サブグループだけでも使用されるようになれば市場が拡大する。
リンク: 同社のプレスリリース
ジャディアンスをCKDに適応拡大申請
(2023年1月20日発表)
ベーリンガー・インゲルハイムと共同開発販売パートナーのイーライリリーは、Jardiance(empagliflozin)を成人の慢性腎疾患に用いる適応拡大を米国で申請し、受理された。審査期限は不明。
慢性腎疾患は既承認の二型糖尿病の合併症の一つであるが、二型糖尿ではない患者が過半を占めたEMPA-KIDNEYアウトカム試験で腎臓病進行・心血管死のリスクを28%抑制した。
SGLT2阻害剤で、慢性心不全の心不全入院・心血管死を抑制する用途でも承認されている。
リンク: 両社のプレスリリース
【承認審査・委員会】
FDA諮問委員会、新規エキノカンジンの限定的使用承認を支持
(2023年1月25日発表)
FDAは抗微生物薬諮問委員会を招集し、Cidara Therapeutics(Nasdaq:CDTX)が成人のカンジダ血症や侵襲性カンジダ症の治療薬として承認申請したRezzayo(rezafungin)について意見を聞いた。FDAは限定的使用(limited use indication)制度を適用する考えで、諮問委員会は、これを前提に、15人中14人が便益が危険を上回ると判定した。反対は1名で、全生存解析の信頼区間上限が高いことを危惧した。審査期限は3月21日。欧州でも承認審査中。
Seachaid Pharmaceuticalsからライセンスした新規エキノカンジン系抗真菌剤で、既存薬より効果が高い可能性があるが確立はしていない。現時点で最大の長所は週一回静注で足りること。既存のエキノカンジン系薬は一日一回、14~28日間投与するが、駆除/軽快したらアゾール系経口抗菌薬に『ステップ・ダウン』することが多いようだ。問題は、耐性菌や薬物相互作用が理由でアゾール系に適さない患者。米国は在宅点滴静注が可能だが、医療保険でカバーされていない場合、治癒退院の障害になる。
"limited use indication"というのは初耳だが、内容的には、2016年のFDA&C法改正で導入された、LPAD経路(Limited Population Pathway for Antibacterial and Antifungal Drugs)と同じに見える。細菌はどんどん変異して抗菌剤耐性を獲得するので人類も次々と画期的新薬を創出する必要があるが、現実にはむしろ低調化しているため、開発期間を短縮し費用を節減できるように、適応対象を絞り込む代わりに承認基準を緩和するもの。
今回の申請は第2相一本と第3相一本に基づくもの。rezafunginは週一回、2~4回投与。対照群はcaspofunginを一日一回、14~28日間投与したが、地域の治療ガイドラインに即して、fluconazoleにステップダウンすることが認められた。結果は、FDA向け主評価項目である30日全死亡率は各23.7%と21.3%で、群間差は2.4、非劣性解析の95%信頼区間は-9.7~14.4だった。limited use indicationなので非劣性マージンが20%と甘く設定されており、非劣性判定された。真の死亡率がfluconazoleの倍近くても容認することを意味する。
EMA向けの主評価項目である14日全般的治癒率は各59.1と60.6%で、群間差は-1.1(95%信頼区間-14.9~12.7)だった。ここでも、治癒率が10ポイント以上低くても容認することになる。
LPAD経路は治療方法がない、あるいは、限られている患者に使う薬が対象になるので、rezafunginも承認時はこの但し書きが付くことになろう。
安全性面では、エキノカンジン系のクラス・イフェクトと目される振戦の発生率が2.6%対ゼロで偏りがあったが、たった187人の試験なので信頼性は高くない。実数は4人とゼロで、もしクラス・イフェクトだとしたら対照群の数値も実態を表していないと考えるべきだろう。
rezafunginは米国ではMelinta Therapeutics(Nasdaq:MLNT)が、欧州などではMundipharmaが販売する。日本はCidaraが留保しているので、誰かがライセンスするかもしれない。
リンク: CidaraとMelintaのプレスリリース(Globe Newswire)
CHMPが乾癬治療薬の承認を支持
(2023年1月27日発表)
EUの薬品審査機関であるEMAの医薬品科学的評価委員会、CHMPは、BMSの乾癬治療薬の承認に肯定的意見を纏めた。順調なら2ヶ月以内にEU全域で承認されることになる。
リンク: EMAのプレスリリース
BMSのSotyktu(deucravacitinib)は選択的アロステリックTYK2阻害剤。JAKの一種でIL-23やIL-12などによる細胞内シグナル伝達を調停するチロシン・キナーゼ2を阻害する経口剤で、成人の全身性治療が候補になる中重度プラク乾癬に一日一回投与する。第3相試験の一つでは、同じ経口剤であるアムジェンのPDE4阻害剤、Otezla(apremilast)よりPASI 75やsPGAに基づく奏効率が有意に高かった。
昨年9月に米日で承認されている。
リンク: EMAのプレスリリース
適応拡大では、BMSのReblozyl(luspatercept)を成人のベータ・サラセミアで輸血依存ではない患者の貧血治療にも用いることが支持された。ドイツのPaionは麻酔薬Byfavo(remimazolam)を全身麻酔に用いることが支持された。現在は内視鏡検査における処置鎮静に承認されている。日本ではムンディファーマが全身麻酔用薬アネレムとして販売。バイエルのNubeqa(darolutamide)は転移リスクの高い非転移性去勢抵抗性前立腺癌に加えて、新たに、転移ホルモン感受性前立腺癌にdocetaxel及びアンドロゲン枯渇療法と併用することが支持された。米国では昨年8月に承認、日本も適応拡大審査中。
一方、否定的意見となった新薬は、イプセンが進行性骨化性線維異形成症の治療薬として申請したSohonos(palovarotene)。19年に10億ドル超で買収したClementia Pharmaceuticalsがロシュからライセンスして第3相試験を実施したが、主評価項目がフェールした。事後的評価項目に基づき欧米で承認申請したが、米国に続き、EUでも受け入れられなかった。レチノイン酸受容体ガンマの作動薬で、クラス・イフェクトである成長板早期閉鎖(成長期の患者における成長抑制)が見られたためFDAが14歳未満の患者の組入れ停止を命じている。薬効のエビデンスも第3相試験で事前に設定された目的を達成できなかったため事後的分析に立脚しており、更に、対照群は観察的研究に基づく外部データなので説得力が十分ではない。米国では今年第1四半期に修正申請を行う予定。
リンク: EMAのプレスリリース
JNJグループのJanssen-Cilag InternationalはImbruvica(ibrutinib)を自家造血幹細胞移植(ASCT)不適のマントル細胞腫の一次治療にbendamustine及びrituximabと併用する適応拡大を申請していたが、昨年12月に撤回した。CHMPは便益が限定的であることや感染症などの深刻な有害事象が見られること、そして、ASCTには適さないがこのようなリスクを忍容できる患者を判定するのは困難であることから、エビデンス不足と考えていた。
65歳以上のASCT不適患者を組入れた第3相SHINE試験ではPFS(無進行生存期間)が6.7年とbendamustineとrituximabだけの群の4.4年を上回り、ハザードレシオ0.75だったが、全生存期間はハザードレシオ1.07で有意ではなかった。有害事象死亡率が10.7%と対照群の6.1%を上回ったことも影響したのだろう。
リンク: EMAのプレスリリース
CHMP、Adakveoの薬効を再審査
(2023年1月27日発表)
CHMPはノバルティスのAdakveo(crizanlizumab)に関する審査開始を発表した。Pセレクチンを標的とする抗体医薬で、16歳以上の鎌状赤血球症の血管閉塞性疼痛クリーゼを抑制する薬として20年に第2相試験に基づき欧州で条件付き承認されたが、承認を維持するために必要な第3相試験、STAND試験がフェールしたため。
そもそも何故条件付き承認になったのか、明確ではない。米国は通常の承認だった。ClinicalTrials.govの記載を比較する限りでは第2相と3相の間には顕著な違いは感じられない。年齢下限が各16歳以上と12歳以上であること、組入れ数が各198人と254人、試験用量が前者は0.25mg/kgと承認用量の0.5mg/kg、後者は0.5mg/kgと0.75mg/kgであること位だ。第2相では血管閉塞性疼痛クリーゼの発生頻度が年率1.63回と、偽薬群の2.98回を有意に下回ったが、EUの審査文書には判定基準や逸失データの統計処理法が万全でなかったような記述があるので、これらの点や、臨床試験のエビデンスが一本だけであることが理由なのかもしれない。
第2相と異なった結果になった理由を想像するのは困難だ。データが未発表なので猶更だ。アップデートを待ちたい。
リンク: EMAのプレスリリース
リンク: ノバルティスのプレスリリース
【承認】
ESR1変異乳癌用薬が承認
(2023年1月27日発表)
FDAはイタリアのメナリニの子会社であるStemline TherapeuticsのOrserdu(elacestrant)を閉経後女性または成人男性のエストロゲン受容体陽性、her2陰性の進行/転移乳癌用薬として承認した。内分泌薬とCKD4/6阻害剤による一次以上の治療歴を持ち、ESR1(エストロゲン受容体1)のライガンド結合ドメインに機能喪失変異を持つ患者が適応になる。345mgを一日一回、食中服用した第3相試験では、PFS(画像審査委員会が盲検評価)が3.78ヶ月と標準療法群(fulvestrantやアロマターゼ阻害剤)の1.87ヶ月を上回り、ハザードレシオ0.55だった。有害事象は筋骨格痛、悪心嘔吐、コレステロールやTG値の上昇など。
第3相試験はESR1陰性の患者を含む全体のPFSも成功したが、陰性患者だけのハザードレシオは0.86で有意ではなかったためか、陽性限定となった。コンパニオン診断薬としてGuardant Health(Nasdaq:GH)のGuardant360 CDx ctDNAアッセイも承認された。
Radius Healthが06年にエーザイからライセンスし開発したが、経営不振により腫瘍学撤退を決め、20年にメナリニに資産譲渡したもの。
リンク: FDAのプレスリリース
可逆的BTK阻害剤が承認
(2023年1月27日発表)
イーライリリーのJaypirca(pirtobrutinib)が米国で成人の難治再発マントル細胞腫用薬として承認された。BTK阻害剤を含む二次以上の全身性治療歴を持つ患者が適応になる。第1/2相試験で120人中60人がORR(客観的反応率、独立評価委員会方式)となり、うち完全反応は15人だった。メジアン反応持続期間は8.3ヶ月。報道によると30日分の価格は21000ドルとなる模様。
19年に買収したLoxo Oncologyが17年にRedx PharmaからライセンスしたBTK阻害剤で、既存のBTK阻害剤と異なり共有結合しないので可逆的で、今回のように、既存のBTK阻害剤に抵抗性を持つ腫瘍にも有効。
リンク: イーライリリーのプレスリリース
キイトルーダもNSCLCアジュバントが承認
(2023年1月26日発表)
FDAはMSDのKeytruda(pembrolizumab)を非小細胞性肺癌の切除術後薬物療法に用いる適応拡大を承認した。ステージIB、II、IIIAの腫瘍を摘出し白金薬レジメン薬物療法を受けた患者が適応になる。ロシュのTecentriq(atezolizumab)が一足先に米日欧で承認されているが、PD-L1陽性ではない患者が適応になったのは初めて。
エビデンスとなるKEYNOTE-091試験では、全摘後に白金薬レジメンによるアジュバント療法を受けたサブグループ(被験者の86%)におけるメジアンDFS(無病生存期間、治験医評価)が58.7ヶ月と偽薬群の34.9ヶ月を上回り、ハザードレシオは0.73だった。尚、それ以外の患者におけるハザードレシオは1.25と逆の方向を指していた。有害事象は、過去の非小細胞性肺癌試験と比べて、甲状腺機能の低下や亢進、肺臓炎が増加した。また、心筋炎で2名(0.3%)が死亡した。
リンク: FDAのプレスリリース
新規SGLT2阻害剤が周回遅れで承認
(2023年1月23日発表)
TheracosBio(旧称Theracos)のBrenzavvy(bexagliflozin)が成人の二型糖尿病用薬として承認された。SGLT2阻害剤で、新味はないが、昨年12月に猫の糖尿病用薬として承認されたElanco Animal Health(NYSE:ELAN)のBexacatと同じ活性成分を用いていることが目を引く。Bexacatは体重3kg以上の猫に15mgフレーバー錠を一日一回投与するが、Brenzavvyは20mg錠を一日一回投与する。Bexacatの新患治療試験では56日奏効率が83%だった。Brenzavvyの第3相試験では第24週のA1cが偽薬比0.48%多く低下した。52週間のMACE+(不安定性狭心症を含む主要有害心臓イベント)の発生率は7.9%で対照群の10.1%を数値上下回り、ハザードレシオ0.77、95%上限1.08で非劣性だった。
有害事象はSGLT2阻害剤のクラス・イフェクトが数多く記されているが、Brenzavvy自身のデータとしては、上記MACE試験で下肢切断リスクが1000人年当り8.3件と対照群の同5.1件を上回ったことが明らかにされた。
リンク: TheracosBioのプレスリリース(Business Wire)
今週は以上です。
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