【ニュース・ヘッドライン】
- サノフィ、西アフリカ睡眠病治療薬を承認申請
- アラガン、複合セファロスポリンが適応拡大
- FDA、オベチコール酸の用法遵守を警告
【承認申請】
サノフィ、西アフリカ睡眠病治療薬を承認申請
(2018年1月31日発表)
サノフィは、fexinidazoleを西アフリカ睡眠病(ガンビア・ヒト・アフリカ・トリパノソーマ症)の治療薬としてEMA(欧州薬品庁)に承認申請し受理されたと発表した。EU域外だけで販売する予定だが、医薬品審査のリソースを持たない国々に代わってEMAが意見を表明する制度がある。
アフリカ睡眠病はツェツェバエが媒介する寄生虫感染症で、中枢神経に侵入すると髄膜脳炎を起こし、昏睡状態を経て死に至る。原因寄生虫は二種類あるがガンビア種による西アフリカ睡眠病が9割以上を占める。WHOが予防・治療対策を再開した後は減少傾向にあり、年間死者数は3000人以下に減った。
fexinidazoleは1970年代にヘキスト(現在のサノフィ)が創製したが商品化には至らなかった。05年にDNDi(顧みられない病気のための新薬イニシアティブ)がガンビア・トリパノソーマに対する活性を発見、09年にサノフィと共同開発を開始した。
西アフリカ睡眠病の治療は中枢神経症状の有無に応じて選択するが、fexinidazoleはどちらにも有効で経口投与可能なので利便性が高い。
リンク: サノフィのプレスリリース
【承認】
アラガン、複合セファロスポリンが適応拡大
(2018年2月1日発表)
アラガン(NYSE:AGN)は、Avycaz(ceftazidimeとavibactamの合剤、欧州名Zavicefta)をグラム陰性菌による院内感染肺炎(人工呼吸器関連肺炎を含む)の治療に用いる適応拡大がFDAに承認されたと発表した。
30年前に発売された第3世代セフェム系抗生物質と新開発の非ベータラクタム系ベータラクタマーゼ阻害剤を組み合わせた複合剤で、2時間点滴静注する。第三相試験では28日全死亡率が9.6%となり、meropenemによる治療を受けた群の8.3%と比べて統計的に非劣性だった(群間差の95%信頼区間は-2.4、5.3%)。
Avycazは米国では15年にグラム陰性菌による複雑腹腔内感染症と複雑尿道感染症の治療薬として初承認。翌年、欧州で院内感染肺炎を含む三適応症で承認された。
リンク: アラガンのプレスリリース
【医薬品の安全性】
FDA、オベチコール酸の用法遵守を警告
(2018年2月1日発表)
FDAは、インターセプト・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:ICPT)のOcaliva(obeticholic acid)に関する安全性情報を発出し、肝機能低下患者に用いる場合は投与頻度を減らす必要があることをレーベルで枠付き警告したことを通知した。通常は5mg一日一回で開始し3ヶ月後に効果が不十分なら10mg/日に増量できるが、Child-Pugh分類でBまたはCの患者は、5mg週一回で開始し、最大でも10mg週二回に抑えなければならない。
Ocalivaは胆汁酸誘導体で16年に欧米で原発性胆汁性肝硬変(PBC)の治療薬として承認された。市販後に死亡報告が19件あり、うち7例は肝機能低下にも関わらず毎日5mgを服用していた。PBC患者のうち、Child-Pugh分類でBまたはCは2~3%である模様。
Ocalivaは非アルコール性脂肪性肝炎でも第三相段階。一日25mgを投与する群も設定されるので安全性監視が重要だ。もし許容範囲内であったとしても、臨床試験の成績は選ばれた医療施設が選りすぐられた患者に通常以上の注意を払って治療・フォローアップした結果なので、現実の医療では治療効果はもっと低く、副作用や用法違反はもっと多く発生すると考えるべきである。
リンク: FDAの安全性通知
今週は以上です。
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