2016年1月31日

2016年1月31日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • BMS、オプジーボの頭頚部癌試験が成功 
  • MSD、C.ディフィシル再発予防薬を承認申請 
  • 第2のGC-C受容体アゴニスト 
  • ヴァリアント、抗IL-17受容体抗体を承認申請 
  • ジャディアンスの効能追加を申請 
  • CHMPがBMSの抗癌剤などに肯定的意見 
  • MSDの抗HCV薬が承認 
  • ハラヴェンの適応拡大 


【新薬開発】


BMS、オプジーボの頭頚部癌試験が成功
(2016年1月28日発表)

BMSは小野薬品と共同開発している抗PD-1抗体、Opdivo(nivolumab、和名オプジーボ)の適応拡大試験の成功を発表した。白金薬による治療歴のある頭頚部扁平上皮腫の患者を組入れて延命効果を実薬と比較したCheckMate-141試験で、独立データ監視委員会が延命効果を認定、繰上げ終了して対照群の患者もOpdivoを使えるようにすることを勧告した。

抗PD-1抗体は至適用量が曖昧なところがあるが、この試験では3mg/kgを2週間に一回という悪性黒色腫に単剤投与する時と同じ用量・用法を採用している。対照群は担当医がErbitux(cetuximab)、MTX、Taxotere(docetaxel)などから選択した。

リンク: BMSのプレスリリース

BMSは、Opdivoの対象患者拡大がFDAに承認されたことも発表した。同社のYervoy(ipilimumab)と併用で野生BRAF型の悪性黒色腫の一次治療に用いることが昨年、承認されているが、今回、変異BRAF型に使うことも認められた。悪性黒色腫の5割が該当する。

直ぐに承認されなかったのは、BRAF阻害剤が先に承認されているからだろう。一次治療薬として承認されるためには延命又はそれに準じる効果が確立している必要がある。BRAF阻害剤より著しく劣るなら承認されないだろう。今回の承認は完璧ではないエビデンスに基づく加速承認なので、別途、無作為化対照試験で確認する必要がある。

リンク: 同(対象患者拡大承認、1/23付)

【承認申請】


MSD、C.ディフィシル再発予防薬を承認申請
(2016年1月27日発表)

MSDはMK-6072(bezlotoxumab)をクロストリジウム・ディフィシル感染症の再発予防薬として米国で承認申請し、受理されたと発表した。審査期限は7月23日。EUでも申請済み。

C.ディフィシルはグラム陽性桿菌で下痢や腸炎をもたらす。院内感染が増加しており、米国では年数十万件発生。抗菌剤による腸内細菌の勢力変化が関連していると言われている。

bezlotoxumabはC.ディフィシルが分泌する毒素Bの中和抗体で、一回投与する。第三相試験の一本では12週再発率が17%と偽薬群の27%を下回り、もう一本も15%対25%で下回った。尚、毒素Aに対する抗体を投与する群や併用する群も設定されたが、効果はなかった。点滴後4週間の深刻な有害事象の発生率は偽薬群と大差なかった。

Massachusetts Biologic Laboratoriesとトランスジェニックマウス法による完全ヒト化抗体の技術を持つメダレックス(後にBMSが買収)が開発し、09年にMSDにアウトライセンスしたもの。

リンク: MSDのプレスリリース

第2のGC-C受容体アゴニスト
(2016年1月29日発表)

ニューヨークのシナジー・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:SGYP)はSP-304(plecanatide)を慢性特発性便秘の治療薬として米国で承認申請した。

Ironwood(Nasdaq:IRWD)がアラガン(NYSE:AGN)と共同開発し2012年に承認されたLinzess(linaclotide)と同じGC-C受容体アゴニストで、小腸液の分泌を促進し吸収を阻害する。第三相試験では持続的全般的奏効率が21%と偽薬群の10%を有意に上回った。有害事象による治験離脱は5%と偽薬群の1%より高かった。

リンク: シナジー社のプレスリリース

ヴァリアント、抗IL-17受容体抗体を承認申請
(2016年1月25日発表)

ヴァリアント・ファーマシューティカルズ(NYSE:VRX)は、アストラゼネカがbrodalumabを中重度乾癬の治療薬として欧米で承認申請したと発表した。米国は受理され、審査期限は11月16日。日本でもライセンシーの協和発酵が昨年7月に承認申請している。

IL-17やIL-25の受容体の一部を構成するIL-17受容体Aを標的とする完全ヒト化抗体。アムジェンが創製し日本や中国などの権利を協和発酵に導出、それ以外の地域ではアストラゼネカと炎症疾患用抗体医薬領域で共同開発提携した。ところが、2000例に及ぶ臨床試験で数例の自殺思慮・試行が観察されたため、アムジェンが撤収。アストラゼネカも権利をヴァリアントに供与した。

乾癬は直ちに命に係わる病気ではないので、アムジェンやアストラゼネカの判断は首肯できる。一方、ヴァリアントは新興企業なので思い切った開発・販売が可能だ。大きな売上は見込めず、市販後に副作用渦に巻き込まれる可能性すらあるが、危険を犯す価値があるほど契約条件が良かったのだろう。

リンク: ヴァリアントのプレスリリース

ジャディアンスの効能追加を申請
(2016年1月25日発表)

ベーリンガー・インゲルハイムと開発販売パートナーのイーライリリーは、Jardiance(empagliflozin、和名ジャディアンス)の心血管アウトカム試験のデータをFDAに追加申請したと発表した。

Jardianceは二型糖尿病患者の血糖治療薬。腎臓のトランスポータであるSGLT2を阻害して、一旦漉し取られた糖が尿から血中に戻るのを妨げる。FDAは糖尿病治療新薬について心血管安全性を確認するよう求めているため、両社は心血管疾患リスク因子を持つ7000人超を組入れてEMPA-REG試験を実施した。安全性確認試験なのでリスクが高まらなければ良いのだが、何と、心筋梗塞や心血管疾患死を防ぐ効果が示された。

血糖値を矯正するだけでは心筋梗塞などを予防することは出来ず、心血管アウトカム試験はActos(pioglitazone)のPROActive試験以外は全滅した。PROActive試験ではガイドラインに則った治療が行われたが偽薬群との間で血糖値に偏りがあった。Jardianceの試験では群間差がもっと小さかったので、血糖治療が効いたというよりは、Jardianceを使ったのが成功だったことになる。

効果は大きく、もし真実ならばSU剤やmetforminではなくJardianceを第一選択薬とすべきである。しかし、心血管疾患が減るメカニズムは不明のままであり、納得できない面もある。血圧が若干下がるが、降圧剤の直接比較試験のデータを見る限りでは、この程度の差では臨床的転帰は大きく変わらない。

分からないことはエキスパートの意見を聞くのが一番だ。治験実施施設の査察を含めて、治験データの分析・評価に卓抜した能力を持つFDAと、おそらく諮問委員会に上程されるだろうから、心血管分野のオピニオンリーダーの議論も聞くことができるだろう。

リンク: ベーリンガーのプレスリリース

【承認審査・委員会】


CHMPがBMSの抗癌剤などに肯定的意見
(2016年1月29日発表)

EUの薬品承認審査機関であるEMAの医薬品科学的評価委員会、CHMPが、1月の例会で、BMSの抗癌剤やアクテリオンの肺動脈高血圧症治療薬などに肯定的意見を出した。順調なら2~3ヶ月内にEU全域で承認されることになりそうだ。

リンク: EMAのプレスリリース

今回の新薬は三剤とも希少疾患用薬だ。この分野の魁となった二社が名を連ねたのは印象深い。BMSは循環器系などで多くの画期的新薬を開発してきたが、業界に先駆けて開発方針を転換、癌やウイルス、免疫学など基礎科学が飛躍的に前進し新薬のネタが輩出する領域に特化した。その成果の一つが腫瘍学の抗体医薬、もう一つがOrencia(abatacept)など免疫学の抗体医薬、そして二つが重なった巨大交点がOpdivo(nivolumab)だ。

今回、肯定的意見を受けたEmpliciti(elotuzumab)は抗SLAMF7ヒト化抗体で、多発骨髄腫の二次治療薬。骨髄腫細胞のSLAMF7を標的にして、NK細胞による破壊を誘導する。08年にPDLからライセンスしたものだが、PDLの新薬開発部門を買収したアッヴィとの共同開発に今日では変わっている。

Revlimid(lenalidomide)とdexamethasoneを併用するRdレジメンに追加した第三相試験では、メジアンPFS(無進行生存期間)が19.4ヶ月とRdレジメンだけの14.9ヶ月を上回り、ハザードレシオは0.7だった。点滴反応を緩和するためにH1ブロッカーやH2ブロッカー、acetaminophenでプリメディケーションする必要がある。

米国では昨年11月に承認。日本でも昨年12月に承認申請された。

リンク: EMAのプレスリリース
リンク: BMSのプレスリリース

アクテリオンは希少疾患用薬のスペシャリストだ。同社やアストラゼネカが買収したメディミューンは新しいビジネスモデルを開拓した。一国の患者は少なくても世界中を探せば増える。それでも需要は小さいが、値段を高くすれば投資を回収できる。支払い側にとっても、単価は高いが総額で見れば降圧剤やスタチン、血糖治療薬とは比べ物にならないくらい小さい。患者や製薬会社が喜び、社会負担も許容範囲という三方一両特を実現した。

今回、肯定的意見を受けたUptravi(selexipag) はIP受容体作動剤。肺動脈高血圧症の治療に、単剤又はエンドテリン受容体拮抗剤やPDE-5阻害剤に追加で用いる。プロスタサイクリンの受容体であるIP受容体を作動する薬は多数存在するが、経口剤は初めて。日本新薬からライセンスした。日本でも今年1月に承認申請された。

リンク: EMAのプレスリリース
リンク: アクテリオンのプレスリリース

Coagadexはヒト血液凝固第X因子で、第X因子欠乏症患者の出血の治療・予防に用いる。他の成分を含まないので使いやすい。英国のBio Products Laboratoryの製品。

同社は元々、英国の献血採取・製剤組織だったが、2013年に投資ファンドのベイン・キャピタルが株式の8割を2.3億ポンドで取得、民間企業となった。『輸入ワクチン・輸入血液製剤は一滴も入れさせない』と啖呵を切ってもニセモノを掴まされたのでは適わない。FDAは90年代に規制を激しく強化、世界中の血友病患者が必要な薬を入手できない事態になったが、薬の品質は向上した。患者にとってベストな方策という評価軸がぶれないようにしなければならない。

リンク: EMAのプレスリリース

【承認】


MSDの抗HCV薬が承認
(2016年1月28日発表)

FDAは、MSDのZepatierをC型慢性肝炎の治療薬として承認した。NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤のgrazoprevirを100mg、NS5A複製複合体阻害剤のelbasvirを50mg、配合した合剤。適応は遺伝子型1型と4型だけで6型は承認されなかったが、6型の患者は多くない。治療期間はウイルス型や治療歴などに応じて変動するが、12週間が多い。1a型はNS5A変異が発生し始めた模様で事前に検査してから用量や期間を決定するよう推奨している。

肝機能検査値異常が発生することがあり、中度以上の肝機能低下は禁忌。併用禁忌はトランスポータのOATP1B1/3を阻害する薬や3Aを強く誘導する薬、そしてefavirenz。

C型慢性肝炎では画期的治療薬が続々と登場している。ギリアドのSovaldiや合剤、アッヴィのViekiraは極めて高価であるため米国でも日本でも衝撃を招いているが、Zepatierのリストプライスは12週間分が54600ドルと、先発三剤の8~9万ドルよりだいぶ低く設定された。尤も、先発三剤の実勢価格と同程度とのことなので、見掛けは安くても値引きが小さいのかもしれない。

リンク: FDAのリリース
リンク: MSDのプレスリリース

ハラヴェンの適応拡大
(2016年1月28日発表)

FDAは、エーザイのHalaven(eribulin mesylate、和名ハラヴェン)の適応拡大を承認した。アントラサイクリン系などの化学療法歴のある、手術不能または転移性の脂肪肉腫に用いる。海洋生物から発見されたハリコンドリンの誘導体で微小管伸長阻害作用を持つ。2011年に転移性乳癌用薬として初承認された。

今回の承認の根拠となった第三相試験では軟組織肉腫の三次治療薬としての効能をdacarbazineと比較したところ、全生存期間がメジアン13.5ヶ月で2ヶ月上回った。このうち、脂肪肉腫のサブグループは15.6ヶ月で7ヶ月上回った。軟組織肉腫で延命効果が確立されたのは初めて。深刻な有害事象は白血球減少症(致死例もあり)、末梢神経症、QTc延長(致死例あり)、胎児毒性など。

リンク: FDAのリリース
リンク: エーザイのプレスリリース(和文)



今週は以上です。

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2016年1月24日

2016年1月24日号


【ニュース・ヘッドライン】


  • FAAH阻害剤の治験で犠牲者 
  • イーライリリーらがJAK阻害剤を承認申請 
  • エーザイ、レンビマの適応拡大申請 
  • FDA諮問委員会が雪で延期に 
  • アムジェン、Kyprolisの用法追加が承認 
  • EUがUCBの抗癲癇薬などを承認 

【今週の話題】


FAAH阻害剤の治験で犠牲者
(2016年1月19日発表)

ポルトガルのBial社は、第一相試験に参加した複数のボランティアが深刻な副作用を被ったことに深い後悔の意を表明した。ジョンソン・エンド・ジョンソンも同じ作用期序を持つコンパウンドの第二相試験を中断した模様。

Bialのコンパウンドは長期作用性脂肪酸アミド加水分解酵素(FAAH)阻害剤、BIA 10-2474。CROであるバイオトライアルがフランスのレンヌ大学で年初に反復投与を開始したところ、被験者の一人が脳死、4人が入院した。もう一人は無症状で退院した模様だが、6人中5人というのは大変な被害確率だ。

06年に英国で発生したTGN1412事件を髣髴させる。CD28を標的とするアゴニスティック抗体で、第一相試験でサイトカイン放出症候群が多発、被験者が次々と病院に運び込まれる事態になった。なぜ危険を予知できなかったのか?当時の報告書によると、抗体医薬の標的分子はヒトとマウス/ラットでは異なる為、前臨床試験で安全性や薬効を十分に確認することが難しい由である。

FAAH阻害剤は小分子薬のようなので、話が異なる。今回の事件の前の投与実績は84人で、中度以上の有害事象は発生しなかった由。急に毒性が高まった原因は、反復投与なのか、何らかの理由で不純物でも混入したのか?他社のFAAH阻害剤では同様な問題は発生していないのか?もしそうだとしたら、BIA 10-2474はどこが違うのか?

報道によると、ジョンソン・エンド・ジョンソンはJNJ-42165279の第二相鬱病・不安症試験を中断した。おそらく、当局がストップをかけたのだろう。臨床試験を行う組織や関係者は製薬会社と守秘契約を結ぶことが多い。知的所有権保護の観点から止むを得ないのかもしれないが、ヒヤリハット事例は人類共通の財産にしないと、同じ落とし穴に次々と転落する悲劇が起こりかねない。それだけに、情報の交通整理ができる唯一の存在である当局が果たすべき役割は大きい。

リンク: Bialのプレスリリース

【承認申請】


イーライリリーらがJAK阻害剤を承認申請
(2016年1月19日発表)

イーライリリーはLY3009104/INCB28050(baricitinib)を米国で承認申請した。インサイト(Nasdaq:INCY)からライセンスしたJAK1/2阻害剤で、一日一回経口投与して中重度活性期リウマチ性関節炎の治療に当てる。臨床試験では、奏効率がmethotrexateやHumiraより優れていた。

JAK阻害剤ではファイザーのXeljanz(tofacitinib、和名ゼルヤンツ)が12年に米国で、13年には日本でも中重度活性期リウマチに承認されたが、Xeljanzはin vitroでJAK3選択性が高かったのに対して、baricitinibは1と2に選択的であることが違い。何れにせよ、免疫抑制剤なので細菌やウイルス感染、腫瘍などに気をつける必要がある。

リンク: イーライリリーとインサイトのプレスリリース

エーザイ、レンビマの適応拡大申請
(2016年1月18日発表)

エーザイは、Lenvima(lenvatinib、和名レンビマ)を進行転移性腎細胞腫に用いる適応拡大申請がFDAに受理されたと発表した。優先審査で、審査期限は5月16日。EUでも今月、申請した。

LenvatinibはVEGF受容体などを阻害する小分子薬で、15年に日米で進行性放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺癌に承認された。

リンク: エーザイのプレスリリース(和文)

【承認審査・委員会】


FDA諮問委員会が雪で延期に
(2016年1月20日発表)

18日の大雪は電車が遅延・混雑して酷い目にあった。今週末も関東は平穏だが西日本などでは大雪だ。米国連邦政府が立地するワシントンDCも先週は大雪だった模様。FDAは1月22日に末梢中枢神経系薬諮問委員会を招集しSarepta Therapeutics(Nasdaq:SRPT)のAVI-4658(eteplirsen)を検討させる予定だったが、大雪を懸念して、延期した。

FDAは諮問委員会の1ヶ月前までにブリーフィング用資料を委員に送付し、数日に迫った段階で一般公開するのが通例である。先週号で書いたように、eteplirsenの評価は低かった。類薬であるdrisapersenと同様に、諮問委員会は支持しないだろうから、スケジュールが遅延しても大きな影響はないだろう。

リンク: Sareptaのプレスリリース

【承認】


アムジェン、Kyprolisの用法追加が承認
(2016年1月21日)

アムジェンはKyprolis(carfilzomib)の用法追加・レーベル変更申請が米国で承認されたと発表した。米国では製薬会社はレーベルに即した営業しかできないので、武田/ジョンソン・エンド・ジョンソンのVelcade(bortezomib、和名ベルケイド)を治験で負かしたことをレーベルに記載できたことはポジティブ。但し、今回は未だ全面勝利ではない。

Kyprolisは多発骨髄腫の二次治療薬。Velcadeと同じプロテアソーム阻害剤だが、結合箇所が異なり不可逆的に阻害する。末梢神経症のリスクが小さいが心血管リスクは上回る。

開発社であったProteolixをOnyxが09年に8.1億ドルで買収し、そのOnyxをアムジェンが13年に104億ドルで買収した。米国では2012年に多発骨髄腫の二次治療薬としてモノセラピーで初承認。昨年7月にはセルジーンのRevlimid(lenalidomide、和名レブラミド)及びdexamethasoneと三剤併用する用法が承認された。

9年先に承認されたVelcadeとの直接比較試験も多数開始され、今回の用法追加の根拠となったdexamethasone併用試験もVelcadeが対照薬だった。また、過去に承認された用法の2倍の量を投与するのも特徴的だ。

Kyprolis群のPFS(無進行生存期間)はメジアン18.7ヶ月でVelcadeとdexamethasoneを併用した群の9.4ヶ月を上回り、ハザードレシオは0.53と有意に優れていた。忍容性面では、G3以上の高血圧や心不全、急性腎不全が増加したがG2以上の神経症は少なく、有害事象による治験離脱や治療中の死亡数は両群同程度だった。

この試験のユニバースに関してはKyprolisのほうが良さそうだが、注意すべきは、第一に、被験者の54%がVelcade前治療歴を持っていたこと。不応患者は組入れず、前治療歴の有無で解析を階層化したとはいえ、Kyprolisに有利なバイアスがあったと言っても良いだろう。第二は、このようなことになった原因、即ち、Velcadeは一次治療でも広く用いられていることだ。Kyprolisの一次治療試験はまだ開票していないので、競争できるのは再発治療だけである。

武田陣営では、昨年11月に米国で、経口プロテアソーム阻害剤Ninlaro(ixazomib)がlenalidomide・dexamethasoneと三剤併用で多発骨髄腫の二次治療に用いる用法で承認された。Kyprolisは、二次治療でVelcadeのシェアを奪う一方で、Ninlaroに奪われる部分もあり、単純にはいかない。

リンク: アムジェンのプレスリリース

EUがUCBの抗癲癇薬などを承認
(2016年1月19日発表)

11月のCHMPで肯定的意見を得た新薬が続々とEUで承認された。

UCBのBriviact(brivaracetam、米国の製品名はRikelta)は部分癲癇の治療薬。癲癇は様々な薬が存在し過半の患者は発作をなくすことができるが、3割程度は十分に管理できない。Briviactはこのような難治性の患者に追加投与するアジャンクト用薬。

同社のKeppra(levetiracetam、和名イーケプラ)と同じシナプス小胞2A作動剤で、三種類の用量をテストした第三相試験では、発作半減成功率が35~39%で偽薬群の20%を有意に上回った。

リンク: UCBのプレスリリース(1/19付け)

バクスアルタ(NYSE:BXLT)のOncaspar (pegaspargase) は急性リンパ芽球性白血病の多剤併用療法に用いる。小児に多い病気なので、18歳以下の幼小児に用いることも承認されている。アスパラギン分解酵素をPEG化して作用の長期化と免疫原性の改善を企図した。ドイツで20年の市販歴を持つ。バクスアルタは7月にSigma-Tauから権利を取得。

リンク: バクスアルタのプレスリリース(1/19付け)

ドイツのBirken AGのEpisalvanは、皮膚の中間層損傷の治療に用いる。カバノキ樹皮抽出物で、炎症を調停したり、ケラチノサイトを補助したりして、損傷治癒を早める。

リンク: Birkenのプレスリリース(1/22付け)

Samsung BioepisのBenepaliはEnbrel(etanercept)のEUで初めてのバイオシミラー。リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、軸性脊椎関節炎、プラク乾癬の治療に用いる。関節リウマチの試験ではACR20が80.8%とEnbrelの81.5%と同程度だった。

同社は韓国のサムソン・バイオロジックスとバイオジェンの合弁会社で、他にも様々なバイオシミラーを開発・承認申請している。MSDが一部の地域での販売権を保有しているが、BenepaliのEUでの販売は対象外のようだ。

リンク: バイオジェンのプレスリリース(1/16付け)



今週は以上です。

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2016年1月17日

2016年1月17日号


【訂正とお詫び】


昨年12月20日付のジレニアの記事と1月10日付のTranslarnaの記事に誤りがありました。ジレニアの基底細胞腫報告は2151例ではなく151例です。Translarnaは核酸医薬ではありません。訂正・お詫びいたします。末尾に修正・再掲しましたのでご確認ください。

【ニュース・ヘッドライン】


  • bcl-2阻害剤の承認申請が欧米で受理 
  • レンビマをEUで腎細胞腫に適応拡大申請 
  • CometriqをEUで腎細胞腫に適応拡大申請 
  • 筋ジストロフィーの核酸医薬は承認されず 
  • コセンティクス、米で適応拡大 
  • 訂正:CHMPがジレニアの副作用リスクをアップデート 
  • 訂正:PTC、筋ジストロフィー治療薬の承認申請完了 


【承認申請】


bcl-2阻害剤の承認申請が欧米で受理
(2016年1月12日発表)

アッヴィは、ロシュ/ジェネンテックと共同開発しているABT-199/RG7601/GDC-0199(venetoclax)を欧米で承認申請し、受理されたと発表した。米国は優先審査される。慢性リンパ性白血病の二次治療薬で、予後が悪く既存薬の有効性が低い17番染色体短腕(17p)欠損に用いることもできる。EUではTP53変異にも有効と明記するよう求めている模様だ。

慢性リンパ性白血病の多くで過剰発現し、腫瘍のアポトーシス抵抗性を強化するbcl-2を選択的に阻害する小分子薬。アッヴィがアボットからスピンアウトする前の07年にジェネンテックと結んだbcl-2阻害剤領域での共同開発提携の産物。今回のプレスリリースは三社がそれぞれに出しているが、申請者はアッヴィのようだ。

承認申請の根拠となった第二相単群試験では、再発性難治性の患者107人(ほぼ前例17p欠損型)に一日一回、経口投与したところ、第三者委員会の査読に基づくORR(客観的反応率)が79%と良好な結果が出た。完全反応率(骨髄の血球数の回復が不完全でも可)は7.5%。1年生存率は86%だった。G3以上の有害事象は骨髄抑制や感染症。有害事象による死亡は4例で卒中、敗血症、心肺不全、肝障害。

腫瘍壊死症候群のリスクがあるため、低量で開始して5週間かけて一週間ごとに増量する。

リンク: アッヴィのプレスリリース

レンビマをEUで腎細胞腫に適応拡大申請
(2016年1月12日発表)

エーザイはEUでLenvima(lenvatinib、和名レンビマ)を腎細胞腫の二次治療に用いる適応拡大申請を行った。加速審査を受ける。

放射性ヨウ素に反応しない進行性分化甲状腺癌に承認されているが、患者数が少ないので一つ一つ適応を増やしていく必要がある。腎細胞腫はLenvimaのようなVEGF受容体阻害剤の代表的な用途で、ファイザーのSutent(sunitinb)を一次治療に、別のVEGF受容体阻害剤を二次治療に用いることも珍しくない。承認されれば対象患者が増加するが競合薬も増加することになる。

承認申請の根拠と推定される第二相試験では、24mg群、既承認薬であるeverolimusを投与する群、10mgとeverolimusを併用する群のPFS(無進行生存期間)を比較したところ、メジアン値が各群7.4ヶ月、5.5ヶ月、14.6ヶ月、everolimus群に対するハザードレシオはモノが0.61、併用は0.40となった。

今後の適応拡大は、肝細胞腫一次治療の第三相試験が年内に開票するのではないか。

リンク: エーザイのプレスリリース(和文)

CometriqをEUで腎細胞腫に適応拡大申請
(2016年1月11日発表)

エグゼリキシス(Nasdaq:EXEL)はEUでCometriq(cabozantinib)を腎細胞腫の二次治療に用いる適応拡大申請を行った。加速審査を受ける。米国でも昨年12月に申請、優先審査を受ける。

切除不能な末期/転移性甲状腺髄様腫に承認されているが、患者数が少ないので一つ一つ、適応を増やしていく必要がある。期待されたのは結腸直腸癌だが第三相がフェールした。腎細胞腫はCometriqのようなVEGF受容体阻害剤の代表的な用途で、ファイザーのSutent(sunitinb)を一次治療に、別のVEGF受容体阻害剤を二次治療に用いることも珍しくない。承認されれば対象患者が増加するが競合薬も増加することになる。

承認申請の根拠となった第三相試験では、PFS(無進行生存期間)がメジアン7.4ヶ月と既承認薬であるeverolimusの3.8ヶ月を上回り、ハザードレシオ0.58と、Lenvimaのモノセラピー群と同様な結果になった。延命効果は未だデータが成熟していないが良好なトレンドが出ている。

今後の適応拡大は、肝細胞腫二次治療の第三相試験が2017年に開票するのではないか。

リンク: エグゼリキシスのプレスリリース

【承認審査・委員会】


筋ジストロフィーの核酸医薬は承認されず
(2016年1月14日発表)

バイオマリン・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:BMRN)はKyndrisa(drisapersen)をデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療薬として欧米で承認申請したが、FDAからは審査完了通知を受領したと発表された。

類薬であるSarepta Therapeutics(Nasdaq:SRPT)のAVI-4658(eteplirsen)も1月22日に開催される諮問委員会のブリーフィング用資料が一般公開され、FDAの評価が厳しいことが判明した。

drisapersenは13年に第三相試験がフェール、歩行能力の悪化を緩和する効果が不十分だった。その後、パートナーであったグラクソ・スミスクラインが提携解消したこともあり、私は、eteplirsenと共に、パイプラインとしてはdeadと考えていた。それだけにFDAが承認申請を認めたのが意外だったが、結局、FDAの評価はブレてはいなかったことになる。

この二剤はDMDの多くでみられるジストロフィン遺伝子の変異・欠損を克服することを目的に開発された核酸医薬。遺伝子変異・欠損によって正常なジストロフィンを作れなくなる障害を、51番目のエクソンのRNAに介入してこの部位も欠くmRNAを作らせることによって制する。欠損があることに変わりはないが、ある程度機能するジストロフィンが作られるようになる。

DMDの遺伝子変異には様々なパターンがありこの二剤が有効なのは13%程度の患者だけだが、日本でエクソン53を標的とする類薬(7%程度に有効か)が開発されているように、対象を少しずつ広げることは不可能ではないだろう。

問題は、第一に、臨床的な効用を検討する試験がフェールしたことだ。eteplirsenの臨床試験はdrisapersenよりはるかに小さく、デザインも厳格ではないため、会社側の主張を第三者が否定するのは困難だが、今回、FDAが否定してくれた。第二は、機能性ジストロフィンの増加を示すデータの評価。drisapersenの時と同様に、eteplirsenの試験もデータの信憑性が不十分と判定された。

今月、承認申請されたPTCセラピュティクス(Nasdaq:PTCT)のTranslarna(ataluren)も第三相試験がフェールした。EUで条件付き承認されたが、CHMPは当初、否定的意見を下しており、順風満帆ではなかった。第三相がフェールしたので、承認が取り消される可能性もあるだろう。

リンク: バイオマリンのプレスリリース

【承認】


コセンティクス、米で適応拡大
(2016年1月15日発表)

ノバルティスは、FDAがCosentyx(secukinumab、和名コセンティクス)の適応拡大を承認したと発表した。14年に日本で、15年には欧米でも、プラク乾癬治療薬として承認された抗IL-17Aモノクローナル抗体だが、新たに、乾癬性関節炎や強直性脊椎炎に用いることが認められた。

留意点は用量・用法が同じではないこと。抗体医薬は用量反応相関の検討が難しく、至適用量が必ずしも明確ではない。Cosentyxの場合、乾癬の治療では300mgが標準用量で、患者によっては150mgでも足りる。週一回、4回の負荷用量を経てその後は4週間に一回投与する。乾癬性関節炎でも乾癬を併発する患者は同じだが、そうでない患者、および強直性脊椎炎の治療に充てる場合は、150mgが標準。負荷用量なしで最初から4週間に一回投与することも可。

リンク: ノバルティスのプレスリリース

【訂正】


2015年12月20日号と2016年1月10日号の記述を以下の様に修正します。

CHMPがジレニアの副作用リスクをアップデート
(2015年12月18日発表)

CHMPはノバルティス/田辺三菱製薬のGilenya(fingolimod、和名ジレニア又はイムセラ)の副作用についてアップデートした。まず、進行性多病巣性白質脳症(PML)のリスク。同じ多発性硬化症の治療薬であるバイオジェンのTysabri(natalizumab)で有名になった免疫抑制剤の副作用で、Gilenya服用者のPML症例のうちTysabri経験者の疑い例が17例あるが、未経験者の確認例も3例あった。こうなると、Gilenya自体にリスクがあると考えざるを得ないだろう。

もう一つは基底細胞腫で151例が報告されている。Gilenyaのこれまでの服用状況は21.9万人年とのことなので、一年間服用すると1450人に一人が、10年だと145人に一人が発症する計算になる。癌の中では予後が比較的良い、治療できる癌だが、患者は注意が必要だろう。

リンク: CHMPのプレスリリース

PTC、筋ジストロフィー治療薬の承認申請完了
(2016年1月8日発表)

PTCセラピュティクス(Nasdaq:PTCT)は、Translarna(ataluren)の米国におけるローリング承認申請が完了したと発表した。核酸医薬で、特定のタイプのデュシェンヌ型筋ジストロフィーに用いる。欧州では一昨年に条件付き承認されている。

第三相試験の結果提出を以て完了したのだが、この試験自体はフェールしたので承認されるかどうか、不確か。類薬が二品、すでに承認審査中なので、先行事例になりそうだ。バイオマリン・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:BMRN)のKyndrisa(drisapersen)はFDA審査官や諮問委員会の支持を得ることはできなかった。Sarepta(Nasdaq:SRPT)のAVI-4658(eteplirsen)は今月22日に諮問委員会の予定。

リンク: PTCのプレスリリース




今週は以上です。

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2016年1月10日

2016年1月10日号


【ニュース・ヘッドライン】


  • ASCO GU:ロシュ、抗PD-L1抗体の膀胱癌データをFDAに提出へ 
  • B型肝炎の新ワクチン、追加第三相試験が成功 
  • CMV予防薬の第三相がフェール 
  • PTC、筋ジストロフィー治療薬の承認申請完了 
  • CTIら、pacritinibのローリング申請完了 
  • 第二の抗IL-6受容体抗体が承認申請 


【新薬開発】


ASCO GU:ロシュ、抗PD-L1抗体の膀胱癌データをFDAに提出へ
(2016年1月8日発表)

ロシュは抗PD-L1ヒト化抗体RG7446/MPDL3280A(atezolizumab)の第二相局所進行性/転移性尿路上皮膀胱癌試験のアップデートデータをASCO米国臨床腫瘍学会の泌尿器生殖器腫瘍シンポジウムで発表するとともに、FDAなど承認審査機関に提出する予定であることを発表した。米国ではこの用途でブレークスルーセラピー指定を受けているので、承認申請することが認められる可能性がありそうだ。

小野薬品/BMSやMSDの抗PD-1抗体が受容体側をブロックするのに対して、抗PD-L1抗体はレガンドに結合・ブロックする。ロシュの開発戦略の特徴は、浸潤免疫細胞のPD-L1発現状況も検査して薬効との関連性を調べていること。今回のデータも発現度2~3(以下、強陽性)、1~3(陽性)、そして全ユニバース(ITT)の三つの切り口で解析している。

この試験は一次治療と再発治療の二つのコフォートがあるが前者はデータがまだ成熟していない。今回、再発治療コフォートのORR(客観的反応率)やPFS(無進行生存期間)のアップデートと、全生存期間のデータが明らかにされた。まず、ORRは強陽性が26%、陽性は18%、ITTは15%。完全反応だけだと各11%、6%、5%。6ヶ月無進行生存率は30%、23%、21%。12ヶ月生存率は48%、39%、36%でメジアン生存期間は11.4ヶ月、8.8ヶ月、7.9ヶ月となっている。

このデータを元に強陽性、弱陽性、陰性の夫々のORRを試算すると、強陽性は100例中26例で26%、弱陽性は107例中11例で10%、陰性は103人中10人で9%となる。やはり、PD-L1高発現癌のほうが得意そうだが、再発癌で他に治療法がない場合は10%でも有益と見なされることが多いので、限定するほどの差ではないだろう。

白金薬後の再発治療で第三相実薬対照試験中で、17年頃に結果が判明する見込み。FDAは延命効果ではなくバイオマーカーに基づいで加速承認する場合、第三相薬効確認試験の組入れがかなりな程度進捗していることを要件としているが、atezolizumabは充足している。このため、第三相試験の開票前に申請・承認される可能性がありそうだ。

リンク: ロシュのプレスリリース

B型肝炎の新ワクチン、追加第三相試験が成功
(2016年1月7日発表)

ダイナバクス・テクノロジーズ(Nasdaq:DVAX)は、B型肝炎予防用ワクチンHEPLISAV-Bの追加第三相試験が成功したと発表した。再承認申請に向かうのではないか。4年前の申請は成就しなかったが、今度は可能性がありそうだ。

HEPLISAVはB型肝炎ウイルスの表面抗原をTLR-9アゴニストと結合して免疫刺激力を強化したもの。既存製品であるGSKのEngerix-Bは三回接種であるのに対して、一ヶ月置いて二回接種で足りる。小児用は混合ワクチンの一部として既に普及しているため、ダイナバクスはアジア旅行者や慢性腎疾患患者、軍需などを想定して開発している。

12年に欧米で承認申請されたが米国は審査完了通知を受領、EUは申請撤回となった。過去の試験で多発血管性肉芽腫やギラン・バレー症候群が発生したことが理由と推測される。治療用医薬品とは異なり、予防用ワクチンは対象が健常者で稀だが深刻な疾患を防ぐことが目的なので、副反応のハードルが高い。既存製品が存在し便利さだけが比較長所である場合は尚更である。発生頻度が十分に低いことを確認するためには、千人に一人のリスクなら数千人、一万人に一人のリスクなら数万人の投与実績が必要だ。

今回の第三相は、18~70歳を対象としたEngerix-B対照試験。抗体保有率は全ユニバースの解析でも二型糖尿病だけでも、非劣性であることが確認され、さらに、優越性の解析も有意だった。安全性面では自己免疫疾患を重点的に監視したが群間の偏りなし、多発血管性肉芽腫やTolosa-Hunt症候群は発生しなかった。高安脈管炎が1例報告されたが、専門家パネルが治験医の診断を否定した。

今回の試験で安全性データベースが1万例を超えた。詳細分析で特に問題がなければ、今度は承認される可能性がありそうだ。

リンク: ダイナバクスのプレスリリース

CMV予防薬の第三相がフェール
(2015年12月28日発表)

Chimerix(Nasdaq:CMRX)はCMX001(brincidofovir)の第三相試験がフェールしたと発表した。造血細胞移植を受けた患者を組み入れてサイトメガロウイルス(CMV)感染症の予防効果を検討したところ、14週間の治療期間中は対照群より少なかったが、その後の10週間は多かった。有意ではないが死亡も多かった。

治療後の発症も死亡例も、GvHD(移植片対宿主病)でステロイドを多く投与した症例が多かった由。患者背景に偏りがあったのかもしれなが、いずれにせよ、臨床試験をやり直す必要がありそうだ。

cidofovirに脂肪を結合して力価を向上、腎毒性を緩和、経口投与を可能にしたもの。In vitroでエボラウイルスに活性が認められ臨床試験が実施されたが、時すでに遅く、被験者不足で中止。今回のCMV予防は本命用途だったが、残念な結果になった。

リンク: Chimerixのプレスリリース

【承認申請】


PTC、筋ジストロフィー治療薬の承認申請完了
(2016年1月8日発表)

PTCセラピュティクス(Nasdaq:PTCT)は、Translarna(ataluren)の米国におけるローリング承認申請が完了したと発表した。特定のタイプのデュシェンヌ型筋ジストロフィーに用いる。欧州では一昨年に条件付き承認されている。

第三相試験の結果提出を以て完了したのだが、この試験自体はフェールしたので承認されるかどうか、不確か。類薬が二品、すでに承認審査中なので、先行事例になりそうだ。バイオマリン・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:BMRN)のKyndrisa(drisapersen)はFDA審査官や諮問委員会の支持を得ることはできなかった。Sarepta(Nasdaq:SRPT)のAVI-4658(eteplirsen)は今月22日に諮問委員会の予定。

リンク: PTCのプレスリリース

CTIら、pacritinibのローリング申請完了
(2016年1月5日発表)

CTI BioPharma(Nasdaq:CTIC)とバクスアルタ(NYSE:BXLT)は、pacritinibのローリング承認申請を完了したと発表した。適応は、中高程度リスク骨髄線維症で血小板数がマイクロリットル当たり5万個未満と少ない患者。

JAK2/FLT阻害剤で、先行品であるインサイト/ノバルティスのJakafi(ruxolitinib、和名ジャカビ)と異なりJAK1を阻害しないので、赤血球や血小板を減らすリスクが小さい。勿論、血小板数が正常な患者にも有効だが、第三相試験二本のうち一本しか完了していないので、unmet Medical Needであるこの用途に限定して少しでも早く承認を得る意図。

バクスアルタは米国の利益を折半、海外は単独販売する。

リンク: CTIのプレスリリース

第二の抗IL-6受容体抗体が承認申請
(2016年1月8日発表)

リジェネロン(Nasdaq:REGN)とサノフィは、REGN88/SAR153191(sarilumab)を米国で承認申請し受理されたと発表した。審査期限は10月30日。抗IL-6受容体で、中重度活性期リウマチ性関節炎の治療に用いる。

抗IL-6受容体抗体といえば中外のヒト化抗体、Actemra(tocilizumab、和名アクテムラ)の類薬ということになる。直接比較試験も行われたので、どの程度の違いがあるのか、ないのか、明らかになるだろう。現時点ではバイオシミラーみたいなものと考えておけばよいだろう。

リンク: リジェネロンらのプレスリリース



今週は以上です。

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2015年12月27日

2015年12月27日号



【ニュース・ヘッドライン】


  • エグゼリキシス、腎細胞腫用薬を承認申請 
  • サノフィ、リキスミアとランタスのプリミックスを承認申請 
  • アストラゼネカ、痛風薬が米国で承認 
  • アクテリオン、肺動脈高血圧症治療薬が承認 


*** 新年は1月10日スタートの予定です。今年は読んで頂きありがとうございました。来年も宜しくお願いします。 ***


【承認申請】


エグゼリキシス、腎細胞腫用薬を承認申請
(2015年12月23日発表)

エグゼリキシス(Nasdaq:EXEL)はCometriq(cabozantinib)の米国における適応拡大申請を完了したと発表した。末期腎細胞腫の二次治療に用いるもので、臨床試験ではPFS(無進行生存期間)がメジアン7.4ヶ月とノバルティスのAfinitor(everolimus)を投与した群の3.8ヶ月を上回り、ハザードレシオ0.58、統計的に有意だった。全生存のハザードレシオは0.67、p=0.005だったが中間解析(閾値は0.0019)なので未だ有意差は出ていない。

CometriqはVEGFR2やmet、ret、kitなどを阻害する小分子薬で、末期・転移性切除不能甲状腺髄用癌用薬として米国で12年、EUでも14年に承認された。対象患者は少ないが、VEGFR阻害剤は既に様々な薬が様々な用途に承認されているので、Cometriqも適応拡大の余地が大きい。前立腺癌の第三相はフェールしたが、今回の腎細胞腫はVEGFR阻害剤の典型的な用途なので成功しても驚きはない。

リンク: エグゼリキシスのプレスリリース

サノフィ、リキスミアとランタスのプリミックスを承認申請
(2015年12月23日発表)

サノフィはGLP-1作用剤Lyxumia(lixisenatide、和名リキスミア)と管理放出性インスリンLantus(insulin glargine、和名ランタス)の合剤を米国で承認申請した。

LyxumiaはデンマークのZealand Pharmaからライセンスした一日一回皮注型製品。Lantusは一日一回皮注型インスリンのベストセラーで、特許切れを前に高濃度製剤が商品化されたが今回のプリミックスはLantusと同じ100単位/mL。

同様な合剤では、ノボ ノルディスクがXultophy(liraglutide、insulin degludec)を欧州で今年発売、米国でも9月に承認申請した。3ヶ月ビハインドだが、サノフィはRetrophinから2.45億ドルで買収した優先審査バウチャーを利用する考え。

サノフィはリジェネロンと共同開発した抗PCSK9抗体のPraluent(alirocumab)を承認申請した時もバイオマリン社から0.67億ドルで買収した優先審査バウチャーを使用、承認申請はアムジェンのRepatha(evolocumab)のほうが早かったが承認は先んじた。

余談になるが、RetrophinやTuring Pharmaceuticalsの創立者でCEOだったMartin ShkreliがFBIに証券詐欺の疑いで逮捕された。ヘッジファンド・マネージャー出身の変わり種で、Retrophinでは新薬の販売ではなく優先審査バウチャーを取得・転売することで大きな利益を上げ、Turingでは特許が失効した後も一社しか販売していない薬の権利を取得し価格を56倍に引き上げることで荒稼ぎをするなど、色々な点で注目されていた人物だ。

嫌疑内容は値上げ事件とは無関係のようだが、危ない橋を何度も渡りすぎたのだろう。

リンク: サノフィのプレスリリース

【承認】


アストラゼネカ、痛風薬が米国で承認
(2015年12月22日発表)

FDAはアストラゼネカのZurampic(lesinurad)を高尿酸血症の治療薬として承認した。選択的URAT1阻害剤で、腎臓近位管トランスポータであるURAT1を阻害して尿酸の排泄を促進する。allopurinolやfebuxostatのようなキサンチン酸化酵素阻害剤だけでは尿酸値を十分に管理できない患者に追加投与する。

第三相試験では200mgと400mgの二用量を検討したが、後者の群では心血管疾患や急性腎不全が増加した。モノセラピー試験でもリスクが見られた。このため、200mgのアドオン用途しか承認されず、急性腎不全のリスクが枠付き警告された。

12年に12.6億ドルで買収したArdea Biosciencesの開発品。

リンク: FDAのリリース
リンク: アストラゼネカのプレスリリース

アクテリオン、肺動脈高血圧症治療薬が承認
(2015年12月22日発表)

FDAはスイスのアクテリオン社のUptravi(selexipag)を肺動脈高血圧症の治療薬として承認した。08年に日本新薬からライセンスしたプロスタサイクリン受容体作動剤。この作用機序は肺動脈高血圧症治療薬では一般的だが、経口剤(一日二回服用)であることが特徴。臨床試験では増悪による入院や疾病進行のリスクを抑制することができた。2016年発売予定。

リンク: FDAのリリース
リンク: アクテリオンのプレスリリース



今週は以上です。

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2015年12月20日

2015年12月20日号

 

【ニュース・ヘッドライン】


  • Xa阻害剤の拮抗剤が承認申請 
  • FDA諮問委員会、エゼチミブの心血管リスク削減効果を認めず 
  • CHMP、アストラゼネカなどの新薬の承認を支持 
  • ブリディオン、遂に米国で承認 
  • Keytruda、末期黒色腫一次治療に承認 
  • ガーダシル9、対象年齢が拡大 
  • アムジェン、EUでウイルス療法が承認 
  • CHMPがジレニアの副作用リスクをアップデート 


【承認申請】


Xa阻害剤の拮抗剤が承認申請
(2015年12月18日発表)

サウス・サンフランシスコの新興製薬会社であるPortola Pharmaceuticals(Nasdaq:PTLA)は、PRT4445(andexanet alfa)を米国で承認申請したと発表した。遺伝子組換え型血液凝固第Xa因子で、Xarelto(rivaroxaban、和名イグザレルト)などのXa阻害剤を服用している患者が出血事故に会ったり緊急手術を受ける時に抗凝固作用をオフセットする目的で用いる。

PortolaはCor Therapeuticsで抗血小板薬Integrilin(eptifibatide)を開発したメンバーが02年にミレニアム・ファーマシューティカルズに企業買収された時に創設した会社。自社でも経口Xa阻害剤PRT054021(betrixaban)やP2Y12阻害剤PRT060128(elinogrel)を開発しているが、何れも類薬が存在するので、andexanet alfaが最大の出世作になりそうだ。

リンク: Portolaのプレスリリース

【承認審査・委員会】


FDA諮問委員会、エゼチミブの心血管リスク削減効果を認めず
(2015年12月14日発表)

FDAは内分泌代謝学薬諮問委員会を招集し、MSDのコレステロール治療薬、Zetia(ezetimibe、和名ゼチーア)やVytorin(simvastatinとezetimibeの合剤)の心血管リスク削減効果について検討した。IMPROVE-ITという長期大規模試験のエビデンスが存在するにも係わらず、効能追加に反対する委員が10名と賛成の5名を上回った。そこまで酷評しなくても、という意外な結果だが、何れにせよ小さな効果しかないので、大勢には影響ないかもしれない。

IMPROVE-IT試験は、急性冠症候群を発症して10日以内の患者を組入れて、同社のsimvastatinとVytorinの心血管疾患予防効果を比較した二重盲検試験。ezetimibeはLDL-C値を穏やかに引き下げる効果を持つが、心血管疾患を防ぐ効果は未だ確認されていない。各群の平均LDL-C値はベースライン時点の100mg/dLが1年後に69.9mg/dLと53.2mg/dLに低下しており、70mg/dLより更に引き下げる超強化治療に関する初のエビデンスという意義もある。

当初の解析計画では1万人を2年間追跡してリスクを9.375%削減する効果を検出する予定だったが、途中で目標症例数と追跡期間が拡大され、結局、1.8万人をメジアン6年間追跡した。このため、開票が3~4年遅れることになった。ezetimibeと言えばENHANCE試験の結果が中々公表されずデータ隠しの疑いが浮上したり、SHARP試験で癌の疑いが生じたりしたため、色々な意味で注目されていた。

結果は昨年のAHA米国心臓協会科学会議で発表された。ハザードレシオ0.936、95%信頼区間は0.89~0.99、p=0.016で高度ではないが有意な再発予防効果が示された。各群の発生率は7年時点のカプラン・マイヤー推定で34.7%と32.7%だった。非致死的心筋梗塞と非致死的虚血性脳卒中が有意に減少した一方で、死亡リスク削減効果は見られなかった。癌の発生率は各群10%で大差なかった。

諮問委員会に際して、FDAはエビデンスの頑強性に係わる弱点を三点、指摘した。第一は、6%というリスク削減率が臨床的に十分な意義を持つかどうか。通常は20%以上、欲しい所である。そもそも、95%上限は0.99なので、真の上乗せ効果は殆ど無い可能性が残っている。他に適当な選択肢がないのなら止むを得ないが、atorvastatinの80mgとかrosuvastatinの40mgが使えるかもしれない。

第二は、サブグループ分析。75歳以上(全症例の15%を占めた)には効果があったがそれ以外は有意差がなかった。また、糖尿病(27%)には効果があったがそれ以外には無かった。この二つは交互作用p値が0.05を下回っており、軽視できない。

第三は、フォローアップ率が不十分な可能性があること。全症例の11%が追跡不能となり打切り例として扱われた。7年時点の主評価項目発生率の差は2%に過ぎず、もし打ち切り例に大きな群間差が発生していたとしたら、結論がひっくり返ってしまうかもしれない。

上記の脆弱性の根源は、効果が小さいことだ。コレステロール治療薬の心血管疾患予防効果はLDL-C低下と相関するので、ezetimibeの効果が小さいであろうことは予見できた。そこで、アウトカム試験の検出力を決めるイベント発生数を増やすために組入れ数と観察期間を大きく取ったのだが、この方法にはリスクがある。

上記の第一番と第二番は、感度が高まりすぎた結果、仮説に置いた小さな効果より更に小さくても有意差が出てしまったり、ノイズを拾ってしまうリスクが顕在化したもの。第三番は、0.1mmの精度しかない機器であることを忘れて0.001mmの差を議論するのに似ている。

IMPROVE-IT試験は、小さな差を検出するために大規模な試験を行なう時の注意点を教えてくれた。

リンク: MSDのプレスリリース

CHMP、アストラゼネカなどの新薬の承認を支持
(2015年12月18日発表)

EUの薬品承認機関であるEMAの医薬品科学的評価委員会、CHMPは、12月の会議でアストラゼネカの抗癌剤などの承認に肯定的意見をまとめた。順調なら2~3ヶ月のうちにEU全域で承認されることになるだろう。

2015年一年間に肯定的意見を出した新薬は、ジェネリック品を含めて、93製品となった。

リンク: CHMPのプレスリリース

アストラゼネカのTagrisso(osimertinib)は、非小細胞性肺癌のうち、Tarceva(erlotinib)などのEGFR阻害剤による治療を既に受けた、EGFRにT790M変異を持つ患者に用いる。第二相試験の反応率データに基づく条件付き承認で、今後の試験で延命効果を確認する必要がある。

T790M変異は第一世代のEGFR阻害剤に反応しなくなった患者でしばしば見られる抵抗性変異。TagrissoはEGFR阻害剤だがこのタイプにも有効で、第二相単群試験二本の合計で反応率が66%だった。主な有害事象は下痢や皮膚毒性、深刻なものは肺の炎症が心臓障害、胎児毒性など。

米国では今年11月に承認。日本でも今年8月に承認申請された。

リンク: CHMPのプレスリリース
リンク:
リンク: アストラゼネカのプレスリリース

アストラゼネカのZurampic(lesinurad)は高尿酸血症の治療薬。キサンチン酸化酵素阻害剤だけでは十分に管理できない患者に追加投与する。URAT1阻害剤で、腎臓近位管のトランスポータを阻害して尿酸の再吸収を妨げる。第三相試験で、承認申請された用量の倍を投与した群では腎臓や心血管有害事象が増加した。

米国でも承認審査中。諮問委員会は安全性に疑義を持つ委員が7名、問題ないとする委員が6名、棄権1名と意見が分かれたが、承認については賛成10人、反対4人と賛成が上回った。

リンク: アストラゼネカのプレスリリース

イーライリリーのPortrazza(necitumumab)はEGFRを標的とする完全ヒト化抗体で、局所進行性・転移性でEGFR陽性の扁平上皮非小細胞性肺癌の一次治療に三剤併用する。第三相試験では、gemcitabineとcisplatinの二剤を投与した群のメジアン生存期間が9.9ヶ月であったのに対して、Portrazzaと三剤併用した群は11.5ヶ月と1ヶ月超の延命効果があった。

抗EGFRキメラ抗体のErbitux(cetuximab)を開発したイムクローン社がDyax社のファージディスプレイ技術を用いて創製したもの。イーライリリーは08年にイムクローンを65億ドルで買収した。

バイエルのKovaltry/Iblias(octocog alfa)は遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子。A型血友病の出血治療や予防に用いる。培養生産過程でヒトや動物由来のタンパクを使用していないこと、第VIII因子の全長を用いていることが特徴。

リンク: バイエルのプレスリリース

適応拡大・効能追加では、アストラゼネカの抗血小板薬Brilique(ticagrelor)の長期投与が支持された。現在は急性冠症候群の患者にアスピリン併用で90mgを一日二回投与することが承認されているが、一年経過後も高リスク患者については60mgを一日二回、継続投与する。PEGASUS TIMI-54試験では、3年間の心筋梗塞・脳卒中・心血管死発生率が7.77%と偽薬群の9.04%より低かった。

リンク: アストラゼネカのプレスリリース

イーライリリーのCyramza(ramucirumab、和名サイラムザ)を非小細胞性肺癌や結腸直腸癌の二次治療に用いることも支持された。前者はdocetaxelと併用。後者はFOLFIRI(irinotecan、5-FU、folinic acidの併用レジメン)と併用する。現在は胃癌の二次治療に承認されている。

VEGFR-2を標的とする完全ヒト化抗体で、上記のPortrazzaと同様に、イムクローンがファージディスプレイ技術で創製したもの。

さて、最近の話題はヘッジファンド出身の新興製薬会社社長の逮捕と、バイエル/ジョンソン・エンド・ジョンソンのXa阻害剤の試験に纏わる懸念である。CHMPが言及したので記しておこう。

Xarelto(rivaroxaban、和名イグザレルト)はROCKET-AF試験で心房細動患者の脳卒中を予防する効果がワーファリンと非劣性であることが確認され、欧米は11年に、日本でも12年に、この用途で承認された。ところが、この試験でワーファリン群の用量調整に用いられたPT-INR検査に欠陥が判明、米国でリコールされる事態になったのである。

ワーファリンはセラプティック・ウインドウが狭く、効きすぎると出血リスクが高まり、効かなさすぎると脳梗塞予防効果が低下する。同じ量を服用していても効果が変動するため、定期的に検査を行って用量を調整する必要がある。この検査が不適切であったならば、ワーファリンの効果がフルに発揮されなかった可能性があり、それと非劣性ならば、Xareltoの効果がワーファリンと非劣性ということは出来ないことになる。

この試験を主導したDuke Clinical Research Instituteがバイエルなどと連携して検証している模様。CHMPは16年の第1四半期に結論を出す考え。

リンク: バイエルのプレスリリース(ドイツ誌の報道に対するもの、12/9付け)

【承認】


ブリディオン、遂に米国で承認
(2015年12月17日発表)

MSDはBridion(sugammadex、和名ブリディオン)がFDAに承認されたと発表した。rocuroniumやneostigmineなどの筋弛緩剤に結合、患者が全身麻酔から覚めるのを早める。07年に日米欧で承認申請、EUは08年、日本は10年に承認されたが、米国は過敏反応の懸念や治験実施施設の立入り調査などで遅延、専ら日本で使われていた。

リンク: MSDのプレスリリース

Keytruda、末期黒色腫一次治療に承認
(2015年12月18日発表)

MSDは、抗PD-1抗体Keytruda(pembrolizumab)を悪性黒色腫の一次治療に用いることがFDAに承認されたと発表した。braf阻害剤が適応になるbraf-V600変異型にも承認された点でライバルのOpdivo(nivolumab)を半歩リードしたが、向こうも早晩、承認されるだろう。

BMSのYervoy(ipilimumab)と直接比較した第三相試験では、10mg/kgを二週間に一回投与した群の全生存ハザードレシオ(対Yervoy)が0.63、三週間に一回投与した群は0.69だった。尚、この試験で採用された用法は承認されず、2mg/kgを三週間に一回投与と従来と同じになった。抗PD-1抗体は用量反応相関があまり見られず、一方、免疫刺激による副作用は用量相関するため、OpdivoもKeytrudaも第三相試験の用法が至適でないことがある。

リンク: MSDのプレスリリース

ガーダシル9、対象年齢が拡大
(2015年12月15日発表)

MSDは、子宮頸がん予防ワクチンのGardasil 9の対象年齢拡大申請がFDAに承認されたと発表した。これまでは9~26歳の女性と9~15歳の男性に承認されていたが、新たに16~26歳の男性も適応となった。

子宮頸がんなどの原因であるヒトパピローマウイルスは性的感染するので、感染を根絶するには女性だけでなく男性も接種するのが理想的だ。米国ではワクチン委員会のACIPが、11~12歳の男女と、未接種なら20代の男女にも、接種を推奨している。

リンク: MSDのプレスリリース

アムジェン、EUでウイルス療法が承認
(2015年12月17日発表)

アムジェンは、Imlygic(talimogene laherparepvec)がEUで承認されたと発表した。ステージIIIB、IIIC、IVM1aの悪性黒色腫で内臓などに転移していない患者に用いる。

GM-CSFを組入れた遺伝子組換え型単純ヘルペスウイルスで、腫瘍細胞内で増殖するよう改変してある。腫瘍細胞に直接注射するとウイルスが増殖して腫瘍を破壊。暴露したウイルスとGM-CSFが刺激になって腫瘍抗原に対する免疫を誘導、他の腫瘍細胞を攻撃させる。第三相試験では、持続的反応率25%、総合反応率40%だった。延命効果は確認されていない。

リンク: アムジェンのプレスリリース

【医薬品の安全性】


CHMPがジレニアの副作用リスクをアップデート
(2015年12月18日発表)

CHMPはノバルティス/田辺三菱製薬のGilenya(fingolimod、和名ジレニア又はイムセラ)の副作用についてアップデートした。まず、進行性多病巣性白質脳症(PML)のリスク。同じ多発性硬化症の治療薬であるバイオジェンのTysabri(natalizumab)で有名になった免疫抑制剤の副作用で、Gilenya服用者のPML症例のうちTysabri経験者の疑い例が17例あるが、未経験者の確認例も3例あった。こうなると、Gilenya自体にリスクがあると考えざるを得ないだろう。

もう一つは基底細胞腫で151例が報告されている。Gilenyaのこれまでの服用状況は21.9万人年とのことなので、一年間服用すると1450人に一人が、10年だと145人に一人が発症する計算になる。癌の中では予後が比較的良い、治療できる癌だが、患者は注意が必要だろう。

リンク: CHMPのプレスリリース



今週は以上です。

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2015年12月13日

2015年12月13日号


【ニュース・ヘッドライン】


  • 早期乳癌の手術は早いほうが良い 
  • ASH:イムブルビカのマントル細胞腫試験成功 
  • ASH:ノバルティス、FLT阻害剤の第三相が成功 
  • アッヴィ、bcl阻害剤を承認申請 
  • ノボ、食後インスリンを承認申請 
  • ファイザー、Ibranceを用法追加申請 
  • ファイザー、ザーコリの適応拡大を申請 
  • FDA諮問委員会、テバの抗IL-5抗体を支持 
  • アレセンサ、米国でも承認 
  • アレクシオン、Kanumaが承認 
  • バクスアルタの遺伝子組換え型vWFも承認 
  • サノフィ、デング熱ワクチンがメキシコで初承認 


【今週の話題】



早期乳癌の手術は早いほうが良い
(2015年12月10日発表)

医師にも生活があるし人気の施設ほど込み合うので時には処置が遅れることもある。一例は休診時の急性心筋梗塞だろう。医師を呼び出すのがベストなのだろうが、薬物療法だけで月曜まで待つことも広く行われているようだ。勿論、患者の利益を無視しているわけではない。米国ではキチンと臨床研究を行って、直ぐに手術しても月曜まで待っても予後は大差ないことを確認している。

早期乳癌の切除手術は何ヶ月も順番待ちすることで有名だ。医療施設や医師の数に比べて患者が多いのでやむをえないのだろうが、患者に害はないのか?検証した米国の疫学研究がJAMA Oncology誌に刊行された。

Fox Chase Cancer CenterのBleicherらがSEER-Medicare Data BaseとNational Cancer Data Base(NCDB)を用いて分析したもので、前者は早期乳癌と診断された65歳以上の94544人、後者は18歳以上の新患115790人を対象に、30日以内に手術を受けた患者とそれ以降の患者の死亡リスクを比較した。

SEER-Medicareの分析では、手術が30日遅れる度に死亡リスクが高まった(ハザードレシオ1.09、95%信頼区間1.06~1.13)。診断時にステージIであった患者(ハザードレシオ1.13)も、ステージII(1.06)も、有意に高まった。乳癌関連死は、60日遅れる毎に増加した(ハザードレシオ1.26倍)。NCDBの分析でも、手術が30日遅れる度に死亡リスクが高まった(ハザードレシオ1.10、95%信頼区間1.07~1.13)。

不都合な真実だが、どちらのデータベースでも7割前後の患者は30日以内に手術を受けているので、手術が遅れたせいで早死にした患者は一部だけのはずだ。ハザードレシオは1.1なので遅れても被害はそれほど大きくない。更に、遅れた原因も医療施設の都合だけとは限らない。患者がセカンド・オピニオンを求めたり、仕事で忙しく後回しにしたのかもしれない。

それでも、医療が進むべき方向を指し示した研究であることに間違いは無い。手術待ちの行列を短くするために医療施設や行政に何ができるのか、検討すべきである。

リンク: Bleicherらの研究論文(JAMA Oncology、オープンアクセス)


【新薬開発】



ASH:イムブルビカのマントル細胞腫試験成功
(2015年12月7日発表)

迅速承認制度は有望な新薬を一刻も早く患者に届ける上で大きな貢献をしているが、薬効や安全性のエビデンスを十分に蓄積する前に市販することになるので、市販後も検証し続けることが重要だ。

アッヴィ(NYSE:ABBV)のBtk阻害剤Imbruvica(ibrutinib、和名イムブルビカ)は第二相試験のデータに基づいて米国で13年にマントル細胞腫に、14年には慢性リンパ性白血病にも、承認されたが、並行して第三相試験も実施された。ASH(米国血液学会)で多くの治験データが発表されたが、今回はマントル細胞腫の第三相試験に注目したい。直接比較試験で優れた効果を示した。

このRAY試験は、再発性難治性の患者に560mgを経口投与する群と、ファイザーのmTOR阻害剤であるTorisel(temsirolimus、和名トーリセル)を投与する群のPFS(無進行生存期間)を比較した。結果は、ハザードレシオ0.43、メジアン値は14.6ヶ月対6.2ヶ月と有意に優れていた。完全反応率は各26%と1%。有害事象による治験離脱は7%と26%だった。

承認審査機関に本承認・用法追加申請することになるだろう。慢性リンパ性白血病の第三相も成功し、承認審査中。

Imbruvicaはアッヴィが買収したファーマサイクリクスの開発品。買収前にジョンソン・エンド・ジョンソンが共同開発販売権を取得、米国外では主導権を持っている。

リンク: アッヴィのプレスリリース

ASH:ノバルティス、FLT阻害剤の第三相が成功
(2015年12月6日発表)

ノバルティスはPKC412(midostaurin)の第三相試験の結果をASHで発表した。変異型FLTを持つ急性骨髄性白血病(AML)がFLT阻害剤に応答することは以前から知られていたが、臨床試験は中々成功しなかったので、快挙と言えるだろう。

この試験は、60歳以下の初めて治療を受けるAML患者のうち、FLT3にTKD(チロシンキナーゼドメイン)変異あるいはITD(インターナルタンデムデュプリケーション)変異を持つ患者を組入れて、cytarabineとdaunorubicinを用いる導入・地固め療法と、更にPKC412を用いる療法を比較したもの。

結果は、全生存のハザードレシオが0.77となり死亡リスクが有意に減少した。メジアン生存期間は25ヶ月から74ヶ月に延長、5年生存率は43%から50%に上昇した。治療関連有害事象による死亡は2.5%で二剤だけの群の3.1%と大差なかった。

白血病は6種類に分類されるが、今後、研究が進めば更に細分化され、夫々に適した治療法が登場してくるだろう。FLT3変異はAMLの35%に見られるので、大きな小分類になりうる。ノバルティスは2016年に承認申請する予定。

リンク: ノバルティスのプレスリリース


【承認申請】



アッヴィ、bcl阻害剤を承認申請
(2015年12月6日発表)

アッヴィ(NYSE:ABBV)は、ASHの学会発表に合わせて、ABT-199(venetoclax)を欧米で承認申請したことを明らかにした。ジェネンテック/ロシュと共同開発したbcl-2阻害剤で、今回の承認申請は17番染色体短腕(17p)欠損型の再発性難治性慢性リンパ性白血病(CLL)の治療に当てるもの。

申請の根拠となった第二相単群試験では、107人中85人が反応した(ORR79%)。死亡例のうち、7例は病気の進行、4例は有害事象によるもので内容は脳卒中、敗血症、心肺不全、肝障害となっている。

bcl-2はリンパ球などのアポトーシス抵抗性に係わる蛋白で、CLLでは過剰発現が見られる。ジェンタ社がサノフィと提携してbcl-2阻害剤の第三相試験を実施したことがあるが、惜しくも有意水準に届かなかった。FLT阻害剤と同様に、今回の成功は快挙と言えるだろう。

注意点は、ABT-199は腫瘍壊死症候群(TLS)のリスクがあり、注意深く少しずつ増量する必要があること。具体的には、一日20mgで開始して週一回増量、5週後に維持用量の400mgまで持っていく。経口剤だが、一定期間、入院が必要かもしれない。

17p欠損は、診断されたばかりの患者には少ないが再発性難治性の患者では30~50%を占めると言われている。高リスクだが有効な薬は少なく、ABT-199は重要な選択肢になるだろう。

リンク: アッヴィのプレスリリース

ノボ、食後インスリンを承認申請
(2015年12月9日発表)

ノボ ノルディスクは、より速効性のインスリンを米国で承認申請した。同社のNovoRapid(insulin aspart)はミールタイム・インスリンと呼ばれ、従来のインスリンより遅いタイミングで注射しても間に合うが、今回のインスリンは食後でも間に合うというもの。ビタミンやアミノ酸を用いてinsulin aspartの初期の吸収を向上し作用のオンセットを早めたとのことだ。

リンク: ノボのプレスリリース

ファイザー、Ibranceを用法追加申請
(2015年12月10日発表)

ファイザーはIbrance(palbociclib)の用法追加申請を米国で行い、受理されたと発表した。優先審査を受ける。審査期限は来年4月。

IbranceはCKD4/6阻害剤で細胞分裂時の細胞周期進行を阻害、アポトーシスを誘導する。米国では今年2月に承認された。適応は、閉経後転移性乳癌のうちエストロゲン受容体陽性、her2陰性(全体の6割程度)の患者の一次治療。ノバルティスのアロマターゼ阻害剤、Femara(letrozole)と併用する。

今回の用法はプロゲスチン受容体陽性、her2陰性の患者にエストロゲン受容体零落剤fulvestrantと併用するもの。閉経前後を問わず、また、一次治療/二次治療の両方をカバーする。申請の根拠となったPALOMA-3試験では、PFS(無進行生存期間)がメジアン9.2ヶ月とfulvestrant単剤投与群の3.8ヶ月を上回り、ハザードレシオ0.42、統計的に有意だった。EUでも5月に承認申請が受理されている。

リンク: ファイザーのプレスリリース

ファイザー、ザーコリの適応拡大を申請
(2015年12月8日発表)

ファイザーはXalkori(crizotinib、和名ザーコリ)をROS1陽性非小細胞性肺癌に用いる適応拡大申請を米国で行い、受理されたと発表した。優先審査を受ける。審査期限は来年4月。

Xalkoriは11年に米国でALK変異陽性非小細胞性肺癌に承認された。日本の研究者がALK変異型肺癌の発見をNatureで発表したのは07年のことであり、ベンチとベッドを4年という超速で結びつけた快挙だった。

その後、ノバルティスや中外製薬/ロシュがXalkoriに反応しなくなった癌にも有効なALK阻害剤を発売。今後は一次治療でも競合が激化するだろう。ALK変異陽性は非小細胞性肺癌の5%程度と小さいのでパイの取り合いになる。ROS1陽性は非小細胞性肺癌の1%程度。ALK変異と重複しない模様なので承認されれば対象患者数が2割程度増えることになり、売上面では重要な適応拡大だろう。

臨床試験では、50人中3人が完全反応、33人が部分反応で、総合反応率は72%。メジアン反応持続期間は17.6ヶ月だった。

リンク: ファイザーのプレスリリース


【承認審査・委員会】



FDA諮問委員会、テバの抗IL-5抗体を支持
(2015年12月10日発表)

FDAの肺アレルギー薬諮問委員会は、テバ(NYSE:TEVA)が好酸球性喘息症用薬として承認申請した抗IL-5ヒト化抗体、reslizumabを討議し、18歳以上の患者に関しては14人の委員中11人が承認を支持したが、12~17歳については(症例数がごく少ないため)全員一致で反対した。審査期限は来年3月。

承認が支持されたのはポジティブだが、11月に承認されたグラクソ・スミスクラインの抗IL-5ヒト化抗体、Nucala(mepolizumab)は12~17歳も使うことが可能で、また、reslizumabのような命に係わるアナフィラキシーやクレアチンホスホキナーゼ上昇が見られないので、競争力に疑問が残る。

reslizumabは11年に買収したセファロンの開発品。

リンク: テバのプレスリリース


【承認】



アレセンサ、米国でも承認
(2015年12月11日発表)

FDAはジェネンテックのAlecensa(alectinib、和名アレセンサ)をALK陽性の局所進行性・転移性非小細胞性肺癌でファイザーのXalkori(crizotinib)を既に使った患者の二次治療薬として承認した。二本の第二相試験の反応率データに基づく承認で、一本は客観的反応率38%、メジアン反応持続期間7.5ヶ月、もう一本では44%と11.2ヶ月だった。

Alecensaは米国では第三のALK阻害剤。中外製薬が創製し、ジェネンテックやロシュにライセンスした。特徴は中枢神経移行性が高く排出されにくいこと。上記の治験では脳転移のある患者の61%が縮小・消失した。FDAはプレスリリースの中で、医師が理解すべき重要な作用と特筆している。

リンク: FDAのリリース
リンク: ジェネンテックのプレスリリース

アレクシオン、Kanumaが承認
(2015年12月8日発表)

FDAは、アレクシオン・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:ALXN)のKanuma(sebelipase alfa)をリソソーム酸リパーゼ(LAL)欠乏症の初めての治療薬として承認した。

LAL欠乏症は脂肪が肝臓や血管壁に蓄積する。生後直ぐに発症するWolman疾患と比較的遅いコレステロールエステル蓄積疾患の二種類あり、前者は6ヶ月以内に死亡することが多い。有病率は前者が100万出生に2人、後者は25人でどちらも希少疾患。

Kanumaは遺伝子組換え型LAL。急速進行型の乳幼児9人を組入れた試験では、6人が12ヶ月以上生存した。

ユニークなのは生産方法で、鶏の卵管細胞にLALの遺伝子を導入し卵白に分泌させる。導入される遺伝子は、米国の法体系では動物薬として扱われるため、FDAの動物薬担当部署が別途、鶏に悪影響を与えないことを確認した。また、環境に大きな影響を与えないことも確認した。

アレクシオンは超希少疾患用薬の開発販売会社。Kanumaは11年にSynageva BioPharmaを84億ドルで買収して入手した。

リンク: FDAのリリース

バクスアルタの遺伝子組換え型vWFも承認
(2015年12月8日発表)

FDAはバクスアルタ(NYSE:BXLT)のVonvendi(開発コードBAX111)をフォン・ヴィレブランド病の出血治療・管理薬として承認した。常染色体性遺伝子疾患で、罹患率は1~2%と思ったより高いが、病状は区々である模様だ。Vonvendiは遺伝子組換え型フォン・ヴィレブランド因子。第8因子を殆ど含んでいないため、不必要な量を同時供給しなくて済む。

リンク: バクスアルタのプレスリリース

サノフィ、デング熱ワクチンがメキシコで初承認
(2015年12月9日発表)

サノフィは、デング熱ワクチンのDengvaxiaがメキシコで承認されたと発表した。WHOの重点分野の一つでありながらワクチンの開発は難航、今回が嬉しい初承認となった。

残念なのは対象年齢で、9~45歳に限定された。アジアで実施された第三相試験は2~14歳を組入れたがラテンアメリカの試験は9~16歳だったので、当然といえば当然なのかもしれないが、9歳未満の犠牲者も多いはずである。

Dengvaxiaは弱毒化黄熱病ウイルスにデングウイルスの抗原遺伝子を導入したもので、4種類のセロタイプに対応している。08年にAcambisを5億ドルで買収して入手したもの。

リンク: サノフィのプレスリリース



今週は以上です。

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