2025年3月22日

第1199回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • 米国連邦政府、経口COVID-19ワクチンの開発支援を打ち切り 
  • ゾルゲンスマは2-17歳のSMAにも有効 
  • UCB、チミジン・キナーゼ2欠乏症治療試験の成績を学会発表 
  • 経口化膿性汗腺炎用薬を承認申請へ 
  • 副甲状腺機能低下症の第3相が成功 
  • GvHDリスクの小さい他家造血幹細胞の第3相が成功 
  • 抗体核酸結合体のDMD試験が成功 
  • 免疫グロブリンがポリオ後症候群の歩行能力を改善 
  • ロイバント、筋無力症の第3相成功も申請しない 
  • バイエル、ケレンディアを心不全に申請 
  • ハンター症候群用薬を米国で承認申請 
  • ハンルイ、抗PD-1抗体がFDAに承認されず 
  • アムヴトラがATTR心筋症に適応拡大 
  • トレムフィアがクローン病に適応拡大 
  • ファビハルタがC3腎症に適応拡大 
  • キイトルーダがPD-L1陽性her2陽性胃癌の一次治療に本承認 
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【今週の話題】


米国連邦政府、経口COVID-19ワクチンの開発支援を打ち切り
(2025年3月20日発表)

米国カリフォルニア州のVaxart(Nasdaq:VXRT)は米国連邦政府の補助金などを得て昨年9月に経口COVID-19ワクチンの後期第2相試験を開始したが、2月21日に事業中止命令(Stop work order)を受領した。24年12月期決算発表に合わせて公表したもの。トランプ政権発足後、政府がモデルナのインフルエンザ・COVID-19二種混合ワクチンの開発支援を中止する懸念が報じられていたが、事業削減やワクチン批判の犠牲者が出始めた。

同社はNIH(米国立衛生研究所)などが推進するProject NextGenの対象に選定され、後期第2相試験の費用として6570万ドル、順調に進めば最大で4億5600万ドルの補助金を得る予定だった。後期第2相は成人における追加免疫の安全性や便益をmRNAワクチンと12ヶ月間比較する計画で、第1部に当たるセンチネル・コフォート(安全性を確認するために徐々に組入れる)は昨年12月に400人の組入れを完了した。

しかし、プロジェクト・マネージャーのAdvanced Technology Internationalから事業中止命令を受けた。撤回/変更されない限り、90日以内に中止することになる。センチネル・コフォートの追跡は容認されているようだが、症例数が十分ではないことや、第2部に予定していたKP.2対応ワクチンではなくXBB対応ワクチンを用いたことなどから、承認申請には使えないのではないかと思われる。

金利上昇などを受けてバイオ・ベンチャーの資金調達環境が悪化しており、人員削減に踏み切る企業が増加しているなか、補助金打切りは大きな痛手になりそうだ。

リンク: 同社のプレスリリース

【新薬開発】


ゾルゲンスマは2-17歳のSMAにも有効
(2025年3月19日発表)

ノバルティスは、Muscular Dystrophy Association Clinical and Scientific Conferenceで学会発表される、OAV101 IT(onasemnogene abeparvovec、髄腔内投与)の第3相STEER試験の結果概要を公表した。この脊髄性筋萎縮症(SMA)の遺伝子療法は点滴静注用製剤が2歳未満の1型(乳児期発症)患者向けに米日欧で承認されているが、2歳以上18歳未満の2型(遅発性)患者にも有効であることが示された。年内に米欧日で承認申請する考え。

本試験は初めて治療を受ける、座ることはできるが補助なしでは歩けない患者126人を組入れて、一回投与する効果や安全性を検討した。主評価項目のHFMSE(Hammersmith機能的運動尺度拡大版)総スコアが52週後に2.39点改善し、シャム群(投与の振りだけ)の0.51点改善を有意に上回った。

尤も、2~5歳だけを組入れた第1/2相STRONG試験ではHFMSEが9.3ヶ月後に5.9点改善しており、期待を下回った。

有害事象の発現率は両群同程度だった。点滴静注用は深刻な急性肝障害のリスクが枠付き警告されているが、本試験の75人ではHyの法則(肝毒性のベンチマーク)該当例は無かった。

リンク: 同社のプレスリリース


UCB、チミジン・キナーゼ2欠乏症治療試験の成績を学会発表
(2025年3月19日発表)

UCBは、昨年12月に欧米でチミジン・キナーゼ2欠乏症用薬として承認申請したdoxecitineとdoxribtimineの併用療法のデータをMDA(筋ジストロフィー協会)臨床科学学会で発表した。この酵素はミトコンドリアのピリミジン・サルベージ経路で重要な役割を果たしており欠乏すると筋力が低下、歩行や摂食、呼吸能力に障害が出る。罹患率は100万人に1.64人の超希少疾患。12歳以下で発症するタイプと12歳以上のタイプに分かれるようだ。

両剤はピリミジン・ヌクレオシド/ヌクレオチドで、筋骨格ミトコンドリアDNAに組入れられ遺伝子複製数や筋骨格機能を改善すると考えられている。2022年に買収したゾジェニックス社の開発品。

薬効のエビデンスは各種文献や早期アクセス・プログラムにおける投与例などの治療成績を、治療を受けなかった患者のデータと比較したもの。12歳以下で発症した患者群では全生存のハザードレシオが0.06~0.08と極めて大きな違いがあった。運動能力の改善や、人工呼吸器を装着していた患者の一部は外すことができた。治療時発現有害事象は下痢など。

学会抄録によると12歳以上で発症した患者群でも好ましいトレンドが見られたようだ。

リンク: UCBのプレスリリース
リンク: MDA 2025抄録P257(Hiranoら、12歳未満コフォートの生存分析)
リンク: 同、P255(Garoneら、12歳未満コフォートの機能評価)
リンク; 同、P256(Scagliaら、12歳以上コフォートの生存・機能評価)




経口化膿性汗腺炎用薬を承認申請へ
(2025年3月17日発表)

インサイト(Nasdaq:INCY)はINCB-54707(povorcitinib)の第3相化膿性汗腺炎(HS)試験が二本とも成功したと発表した。承認申請する考え。

経口JAK1阻害剤。第3相は日本を含むグローバルの施設で既存薬に応答不十分、不耐、適応外の成人中重度HS患者を二本合計で約1200人組入れて偽薬、45mg、75mg一日一回投与群に無作為化割付けし、HiSCR奏効率を比較した。STOP-HS1試験では各群29.7%、40.2%、40.6%、同2試験では28.6%、42.3%、42.3%となり、両試験、両用量とも偽薬比有意に増加した。バイオ薬歴を持つサブグループでは群間差が更に広がった。

尚、奏効の定義は、ANカウント(膿瘍と炎症性結節の合計数)が半減以上し、かつ、膿瘍数及び排膿性瘻孔数が増加しないこと。

治療時発現有害事象はざ瘡などが増加したものの、G3以上のものの発生率は各群大差なかった。

HSはUCBのBimzelx(bimekizumab-bkzx)やノバルティスのCosentyx(secukinumab)のような抗IL-17抗体が承認されている。povorcitinibの治療効果はバイオ薬より小さく見えるが、直接比較試験ではないので、確かな違いは、経口投与できることだけだ。

リンク: 同社のプレスリリース


副甲状腺機能低下症の第3相が成功
(2025年3月17日発表)

アストラゼネカは、AZP-3601(eneboparatide)の第3相副甲状腺機能低下症試験で主目的を達成したと発表した。承認申請に向かうのではないか。

昨年、フランスのAmolyt Pharmaを8億ドル及び達成報奨金2.5億ドルで買収して入手した副甲状腺ホルモン受容体1選択的アゴニスト。今回のCaALYPSO試験は標準治療を受けている慢性副甲状腺機能低下症の成人202人を試験薬を一日一回皮下注する群と偽薬群に無作為化割付けして、24週奏効率を比較した。アセンディス・ファーマのYorvipath(palopegteriparatide)の第3相と同様に、カルシウムや活性化ビタミンDを服用せずにアルブミン調整血清カルシウム水準が正常化した患者を奏功とした。結果の数値は未公表。

Yorvipathのほかに武田薬品のNatpara(全長副甲状腺ホルモン)も欧米で承認されているが、24年一杯で製造中止となった。

リンク: アストラゼネカのプレスリリース


GvHDリスクの小さい他家造血幹細胞の第3相が成功
(2025年3月17日発表)

米国カリフォルニア州の未上場バイオ企業、Orca Bioは、他家HST(造血幹細胞移植)用薬Orca-Tが第3相試験で主目的を達成したと発表した。承認申請に向けて当局と相談する考え。

HLA適合ドナー由来のT細胞・造血幹細胞製品。採取から患者に投与するまで72時間というスピードと、他家HSCT移植に伴うcGvHD(慢性移植片宿主病)のリスクが小さいことが特徴。

このPrecision-T試験は急性白血病などの187人を組入れて、骨髄破壊的前処理後に試験薬とmTOR阻害剤tacrolimusを併用する群と、標準的他家HSCTとtacrolimus及びmethotrexateを併用する群のcGvHDなき生存を比較した。結果は、ハザードレシオが0.26でp<0.00001、1年無cGvHD生存率が78%対38%と良好。副次的評価項目のうち全生存中間解析はハザードレシオが0.49、p=0.118と好ましいトレンドがあり、1年生存率は各群94%対83%だった。中重度cGvHD発生率が13%対44%、病気が再発していないのに死亡した患者の比率が3%対13%となっており、cGvHD抑制作用が延命効果を押し上げているように見える。

リンク: 同社のプレスリリース


抗体核酸結合体のDMD試験が成功
(2025年3月17日発表)

米国カリフォルニア州のAvidity Biosciences(Nasdaq:RNA)はAOC 1044(delpacibart zotadirsen、通称del-zota)の第3相筋ジストロフィー試験で主要バイオマーカーの改善に成功したと発表した。年内に加速承認を申請する考え。

del-zotaは、エクソン44をスキップさせるPMO(ホスホロジアミデートモルフォリノオリゴ核酸)に抗TfR1(トランスフェリン受容体1)ヒト化抗体を結合して、細胞内取込みを向上したもの。エクソン44スキップで治療可能なデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療に用いる。鶏と卵をごちゃ混ぜにした親子丼のような適応名だが、既存類薬と同様に、遺伝子検査で欠失パターンを調べて治療の当否を決める。

第1/2相EXPLORE44試験に26人の患者を組入れて5mg/kgを6週毎または10mg/kgを8週毎に3回静注し、完了の28日後に筋骨格細胞における薬剤濃度やジストロフィン量などを評価したところ、偽薬群を有意に上回った。5mg/kg群はジストロフィン量が正常水準の58%まで改善し、クレアチニン・キナーゼが80%低下した。10mg/kg群の数値は明らかにされていないが5mg/kgと大差なかったようだ。

この試験は5mg/kg群の患者のうち2人がアナフィラキシーや注射箇所反応で治験からドロップアウトしたことが昨年8月に公表され、安全性が懸念されたが、その後は発生していない模様。

リンク: 同社のプレスリリース


免疫グロブリンがポリオ後症候群の歩行能力を改善
(2025年3月13日発表)

スペインの血液製剤会社、Grifols(MCE:GRF)は、Flebogamma 5% DIFがポリオ後症候群(PPS)の第2/3相試験で主目的を達成したと発表した。適応追加申請するかどうかは言及されていない。

PPSはポリオ感染から10年以上経って発症する疾患。Flebogammaは原発性免疫不全症候群の治療薬として承認されているヒト免疫グロブリン。当試験では191人の患者を組入れて1g/kgを月一回静注する効果を偽薬と比較した。主目的である52週時点の修正2分歩行距離はベースライン比12.75m改善し、偽薬群の6.07m改善を有意に上回った。

世界で1200-2000万人がポリオ感染歴を持ち、うち25-40%は将来PPSを発症する可能性があるとのこと。

リンク: 同社のプレスリリース


ロイバント、筋無力症の第3相成功も申請しない
(2025年3月19日発表)

Roivant(Nasdaq:ROIV)は、プロジェクト子会社であるImmunovant(Nasdaq:IMVT)が実施したIMVT-1401(batoclimab)の第3相中重度筋無力症試験で主目的を達成したと発表した。承認申請はせず、フォロー・オンのIMVT-1402を臨床入りさせる考え。

主評価項目はアセチルコリン受容体陽性サブグループにおける12週MG-ADL。偽薬群はベースライン比で+3.6、340mg週一回投与群は+4.7、680mg週一回群は+5.6だった。試験薬群は免疫グロブリン量も各群64%と74%低下した。

開発断念の理由は記されていないが、甲状腺眼症の後期第2相でLDL-C値が用量依存的に40~65%増加しており、今回も再現されたのかもしれない。

リンク: 同社のプレスリリース

【承認申請】


バイエル、ケレンディアを心不全に申請
(2025年3月17日発表)

バイエルは米国でKerendia(finerenone)を心不全に適応拡大申請し受理されたと発表した。LVEF(左心駆出率)が40%以上の駆出率保持・軽度低下患者に用いることを想定している。優先審査指定され、第3四半期に結果を見込んでいる。日欧などでも申請済み。

日本も参加した第3相FINEARTS-HF試験で心血管死/心不全入院・緊急受診のリスクを偽薬と比較したところ、率比0.84、p=0.007だった。有害事象は高カリウム血症の増加。複合腎評価項目の解析はハザードレシオ1.33(95%信頼区間0.94-1.89)でフェールした。

リンク: 同社のプレスリリース


ハンター症候群用薬を米国で承認申請
(2025年3月13日発表)

米国メリーランド州のRegenxbio(Nasdaq:RGNX)は、24年決算発表と合わせて、RGX-121(clemidsogene lanparvovec)をハンター症候群(MPS II型)の治療薬としてFDAに加速承認申請したと発表した。

ハンター症候群はX染色体劣性遺伝性の超希少疾患。ライソソームのiduronate-2-sulfataseの遺伝子が欠乏、ヘパラン硫酸が分解されず蓄積する。酵素補充療法である武田薬品のElaprase(idursulfase)や、日本ではJCRファーマの中枢神経浸透性製品、イズカーゴ(パビナフスプアルファ(遺伝子組換え))も承認されている。

RGX-121はアデノ随伴ウイルス9型をベクターとしてiduronate-2-sulfataseの遺伝子を脳室内に投与する。CAMPSIITE試験で5歳以下の神経障害性患者10人に投与したところ、疾病活動性のバイオマーカーである脳脊髄液におけるへバラン硫酸D2S6コンポ―ネントが第16週に86%低下し、8人では正常水準に達した。試験薬関連が疑われる深刻有害事象は肝機能検査値異常が1例発生したがステロイド投与で解消した。

同社は日本新薬とRGX-121やRGX-111(MPS I型用薬として開発中)の米亜における商業化で提携している。

リンク: 同社のプレスリリース

【承認審査・委員会】


ハンルイ、抗PD-1抗体がFDAに承認されず
(2025年3月21日発表)

Jiangsu Hengrui Pharmaceuticals(江蘇恒瑞医薬、上海:600276)は23年に抗PD-1抗体camrelizumabをFDAに肝細胞腫用薬として承認申請していたが、24年5月に続き、2回目の審査完了通知を受領した。製造に関する指摘事項やCOVID-19に関わる連邦職員の渡航制限は解消したが、新たな製造問題を指摘された模様だ。

同社は米中欧亜露などの施設で第3相試験を実施、切除不能肝細胞腫の一次治療にVEGFR-2阻害剤rivoceranib(中国名apatinib)と併用する便益をsorafenibと比較検討したところ、全生存期間のハザードレシオ0.62、メジアン生存期間22.1ヶ月対15.2ヶ月という良好な成果を取得し、中国では23年2月に承認取得したが、米国は難航している。rivoceranibの中国外の権利を持つElevar Therapeuticsやその親会社のHLB(028300:KS)は現時点ではプレスリリースを出していない様子だが、併用法しか申請されていないので、おそらく、道連れになっただろう。

リンク: 江蘇恒瑞医薬のプレスリリース(中国語、上海証券取引所のサイトより)

【承認】


アムヴトラがATTR心筋症に適応拡大
(2025年3月20日発表)

Alnylam Pharmaceuticals(Nasdaq:ALNY)は、Amvuttra(vutrisiran)をATTR-CM(トランスサイレチン型心アミロイドーシス)に用いる適応拡大をFDAが承認したと発表した。遺伝子変異の有無を問わない。第3相HELIOS-B試験で死亡または心血管有害事象の発生を偽薬比28%抑制し、6分間歩行テストでも有意な差があった。同社のOnpattro(patisiran)はFDAが適応拡大を承認しなかったが、より大規模な試験を行ない臨床的に重要な便益を確立したことが奏功した格好。日欧でも申請中。

Amvuttraは二重連鎖RNA介入薬。トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの治療薬として米欧日で承認されている。

リンク: 同社のプレスリリース


トレムフィアがクローン病に適応拡大
(2025年3月20日発表)

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、抗IL-23p19サブユニット抗体Tremfya(guselkumab)を中重度活性期クローン病に用いる適応拡大をFDAが承認したと発表した。バイオ薬を含む既存治療に応答不十分または不耐の患者を組入れた第3相試験3本で、インダクション期でもメンテナンス期でも、臨床的寛解率や内視鏡的反応率が偽薬を有意に上回った。内視鏡的反応率は同社の抗IL-12/23p40サブユニット抗体Stelara(ustekinumab)を投与した群と比べても有意な差があった。

インダクションは200mg静注点滴と、200mg皮下注を2回繰り返す方法がある。メンテは200mg皮下注を4週毎、または100mg皮下注を8週毎の二用法がある。

日本でも適応拡大申請中。

リンク: 同社のプレスリリース


ファビハルタがC3腎症に適応拡大
(2025年3月20日発表)

ノバルティスは、可逆的B因子阻害剤Fabhalta(iptacopan)を成人のC3腎症の治療に用いる適応拡大がFDAに承認されたと発表した。第3相APPEAR-C3G試験で200mgを一日二回、経口投与したところ、24時間UPCR(尿蛋白クレアチニン比)が偽薬比35%低下した。副次的評価項目のeGFR(推定糸球体濾過率)も偽薬比2.2mL/分/1.73m2改善したが有意水準には達しなかった。

C3腎症は100万人に2~3人の超希少疾患で、補体系が糸球体を攻撃、血尿などを引き起こすほか、腎不全のリスクを高める。EUでは2月にCHMPが肯定的意見をまとめた。日本でも適応拡大申請中。

Fabhaltaは補体代替経路を阻害して血漿C3水準を改善する作用を持ち、23年に米国で発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬として承認された。莢膜細菌感染症のリスクが枠付き警告されている。

リンク: ノバルティスのプレスリリース


キイトルーダがPD-L1陽性her2陽性胃癌の一次治療に本承認
(2025年3月19日発表)

FDAはMSDのKeytruda(pembrolizumab)をPD-L1陽性(CPS≧1)でher2も陽性の胃・胃食道接合部腺腫の一次治療薬として承認した。抗her2抗体trastuzumab、fluoropyrimidine、及び白金薬と併用する。

21年に加速承認された適応が本承認に切替えられたもの。加速承認時のエビデンスはKEYNOTE-811試験におけるORR(客観的反応率、盲検独立中央評価)とメジアン反応持続期間だったが、今回は同試験のPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)と全生存期間。後者はメジアン20.1ヶ月と上記3剤と偽薬を併用した群の15.7ヶ月を上回り、ハザードレシオは0.79だった。

尚、当初の加速承認はPD-L1不問だったが、PFS解析でCPS≧1サブグループにしか効果が見られなかったため、23年に適応限定された。

リンク: FDAのプレスリリース

【当面の主なFDA審査期限、諮問委員会】



PDUFA
25年3月推アッヴィのABBV-399(telisotuzumab vedotin、cMET陽性非扁平上皮非小細胞性肺癌)
25/3/26GSKのGSK2140944(gepotidacin、女性の非複雑尿路感染症)
25/3/27Milestone PharmaceuticalsのCardamyst(点鼻用etripamil、発作性上室性頻拍)
25/3/27Soleno Therapeuticsのdiazoxide choline(プラダー・ウィリ症候群)
25/4推JNJのnipocalimab(全身性筋無力症)
25/4推ノバルティスのatrasentan(IgA腎症)
25Q2アストラゼネカのImfinzi(durvalumab、筋層浸潤膀胱癌)
25/4/2Aldeyra TherapeuticsのADX 102(reproxalap、ドライアイ)
25/4/3ExelixisのCabometyx(cabozantinib、神経分泌細胞腫追加)
25/4/18RegeneronのDupixent(dupilumab、特発性慢性蕁麻疹追加)
25/4/21BMSのOpdivoとYervoy(nivolumabとipilimumab、肝細胞腫一次治療追加)
25/4/26TelixのPixclara(18F-floretyrosine、神経膠腫PET造影剤)
25/4/29Abeona TherapeuticsのEB-101(prademagene zamikeracel、劣性栄養障害型表皮水疱症)
25/4/29Stealth BioTherapeuticsのelamipretide(バース症候群)



今週は以上です。

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