【ニュース・ヘッドライン】
- イーライリリーの週一回型インスリンも第3相成功
- アストラゼネカ、新型コロナ用新型抗体を承認申請へ
- ノボ、ヘムライブラ対抗品を承認申請へ
- ゾコーバ、グローバル第3相はフェール
- MSD、抗TIGHT抗体の第3相がフェール
- テセントリク、TNBC試験がまたフェール
- 経口ペネムを再び承認申請
- Elevarが審査完了通知を受領
- Dynavax、B型肝炎ワクチンの適応追加はならず
- アセンディス、副甲状腺機能低下症用薬の審査が長期化
- アムジェンの抗DLL3xCD3抗体が承認
- ブレヤンジが濾胞性リンパ腫の3次治療に承認
- EMAの安全性委員会も早産予防薬の販売中止を勧告
- 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会
【新薬開発】
イーライリリーの週一回型インスリンも第3相成功
(2024年5月14日発表)
イーライリリーは週一回皮下注用インスリンLY3209590(insulin efsitora alfa)の二本の第3相二型糖尿病試験が成功したと発表した。残りの3本も年内に開票する見込みで、来年には承認申請に向かうのではないか。ノボ ノルディスクの約2年遅れとなる。
変異型単鎖インスリンと免疫グロブリンG2の固定領域を結合した融合蛋白。二本のうち、日本の施設も参加したQWINT-2試験では、インスリン未経験者を組入れて52週間投与し、insulin degludec一日一回投与と比較した。結果は、HbA1c(ベースライン平均は約8.2%)が各群1.34%と1.26%低下し、非劣性解析が成功した。副次的評価項目である、GLP-1作用剤併用の有無に基づくサブグループ分析も成功した。作用の安定性の指標である、血糖値が一定範囲内に収まっていた時間では試験薬が若干上回った。
もう一本のQWINT-4試験は基礎インスリンと一日二回以上の食前インスリンを用いている患者を組入れて26週間治療し、insulin lispro(食前インスリン)と併用する効果をlispro・degludec併用と比較した。両群ともA1cがベースライン値の約8.2%から1.07%低下し非劣性だった。
(尚、上記の数値はefficacy estimandベースで、患者がスケジュール通りキチンと注射して持続的重度低血糖のレスキュー治療もなかったらこうなるという数値だ。同社はGLP-1/GIP作用剤のプレスリリースでもこのベースで報告しているが米国のレーベルにはtreatment policy estimandベースしか記されていない。前者は新技術の科学的評価に適するが、後者の方が現実の医療で得られる成果に近い。)
インスリンは効かなくて良い時に効きすぎると低血糖を招きかねないのが要注意点だ。重度または臨床的に重要な低血糖イベントの人年当り発生率は前者の試験が各群0.30と0.16、後者が0.19と0.14だった。インスリンに対する慣れの問題なのかナイーブ試験の群間差が比較的大きい。
ノボ ノルディスクの週一回型インスリン、Awiqli(insulin icodec)はEUでは3月にCHMP(医薬品科学的評価委員会)を通過しまもなく承認されるはずだが、米国は審査期間が延長され今月24日紙は諮問委員会に上程される。FDAが何に注目しているのか、リリーの開発品にも当てはまる可能性があるのか、注目される。
リンク: イーライリリーのプレスリリース
アストラゼネカ、新型コロナ用抗体医薬を承認申請へ
(2024年5月16日発表)
アストラゼネカは長期作用性抗SARS-Cov2抗体AZD3152(sipavibart)の第1/3相SUPERNOVA試験で第3相ポーションが成功したと発表した。免疫力低下者の予防薬として今年下期に承認申請する考え。
同社は21~22年に二種類の抗体のカクテルであるEvusheld(tixagevimab、cilgavimab)をCOVID-19感染症の曝露前予防薬として米欧日で発売したが、XBB.1.5などの感受しない株が増加したため、23年以降は殆ど使われなくなった。予防はワクチンが有効だが、免疫が低下する病気や免疫抑制治療を受けている患者は抗体獲得力が低いため、代替的な手段も求められている。該当するのは人口の4%程度だが、COVID-19による入院、ICU入室、死亡例の25%を占めるとのことだ。
sipavibartはオックスフォード大学発のベンチャー企業、RQ BiotechnologyがBA.1感染者の血清から単離した抗体に、作用を長期化したり抗体依存的疾病増強リスクを緩和したりする装飾を付したもの。高度に保存された領域に結合するため、F456L変異を持つ株(EG.5.1やXBB.1.5.10など)以外の変異株に有効性が見込まれる。
第3相ポーションでは主評価項目の180日症候性COVID-19感染症リスクが、全変異株に関しても、F456L変異の無い株だけの解析でも、Evusheldまたは偽薬を投与した群より低かった。前者の治験結果はF456L変異のある株の流行次第で変わるだろうから、後者の解析で十分だろう。
sipavibartは昨年11月に日本免疫不全・自己炎症学会が厚労大臣に早期使用の実現を要望している。
リンク: 同社のプレスリリース
ノボ、ヘムライブラ対抗品を承認申請へ
(2024年5月14日発表)
ノボ ノルディスクはMim8の第3相FRONTIER 2試験が良好な結果になったことを明らかにした。12歳以上のインヒビターを持つあるいは持たないA型血友病254人を予防的投与なし、Mim8を月一回皮下注、または週一回皮下注の3群に無作為化割付けして26週間の出血事象を比較したところ、治験の前に血液凝固因子の予防的投与を受けていなかったサブグループでは、月一回投与群は予防的投与非施行群と比べて99%、週一回群も97%、少なかった。月一回群は95%の患者が、週一回群は86%の患者が、出血事象を経験しなかった(非施行群はゼロ)。一方、治験前に予防的投与を受けていたサブグループでは、出血事象が治験前と比べて各群43%と48%減少した。無出血事象率は65%と66%だった(治験前の数値は不明)。
忍容性は良好で、死亡や血栓・塞栓事象は発生しなかった。1~11歳が対象の第3相FRONTIER 3試験も進行中。24年内にグローバルな承認申請を開始する考え。
Mim8は中外製薬/ロシュのHemlibra(emicizumab)と類似した二重特異性抗体。A型血友病で欠乏する血液凝固第8因子に代わって、活性化第IX因子と第X因子を架橋する。
リンク: ノボのプレスリリース
ゾコーバのグローバル第3相はフェール
(2024年5月13日発表)
塩野義製薬はNIH(米国立衛生研究所)と共に第3相ACTIV-2d/SCORPIO-HR試験を実施し、COVID-19に感染し発症5日以内の非入院患者におけるXocova(ensitrelvir)の有用性を検討したが、フェールした。主評価項目である、15症状全てに関して2日連続で消失するまでの期間が偽薬群より短かったものの有意水準には達しなかった。副次的評価項目の一つであるLong Covid発現率の比較もフェールした。先行類薬の第3相実施時期よりもウイルスの病原性が低下したためか、両群とも29日間の死亡はゼロ、COVID-19関連入院も少なかった。
Xocovaは3CLプロテアーゼ阻害剤。日本でウイルス抑制作用に基づき特例承認され、日本等で実施されたSCORPIO-SR試験に基づき通常承認された。SR試験では発症から72時間未満に割付けられたサブグループにおける5症状全てが消失するまでの期間がメジアン167.9時間と偽薬群の192.2時間を下回ったが、p値は0.0407と、一本の試験で承認を得るには心許ないものだった。
今回の試験でも6症状が1日以上快復するまでの期間に関する前回の試験と類似した感受性分析ではp<0.05だった。尚、本件に関する英語のプレスリリースは日本語のそれと若干異なっており、左記の「1日以上」は英文リリースによる。また、日本語リリースにはこの解析が事前に設定された副次的解析と記されているが、ClinicalTrials.govやNIHサイトにリンクのある治験計画書には列記されていない。
リンク: 同社のプレスリリース(和文)
リンク: 同(英文)
リンク: ACTIV-2d/SCORPIO-HR試験の22年6月23日時点におけるプロトコルのリンクがあるページ(NIHサイト)
MSD、抗TIGHT抗体の第3相がフェール
(2024年5月13日発表)
MSDはMK-7684A(抗TIGHT抗体vibostolimabと抗PD-1抗体pembrolizumabの合剤)の第3相KEYVIBE-010試験がフェールしたと発表した。ステージIIからIVまでの黒色腫を切除した再発リスクの高い患者を組入れてRFS(無再発生存期間)をKeytruda(pembrolizumab)と比較したが、独立データ監視委員会が中間解析で無益認定したため、打ち切りを決めた。免疫調停性有害事象による治験離脱が多かったことが響いた模様だ。
この併用は転移非小細胞性肺癌の第2相再発治療試験、KeyVibe-002試験でもPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)がdocetaxel群より悪く中止、docetaxelと三剤併用した群はPFSも全生存期間もdocetaxel比ハザードレシオが0.77前後と良好だったが有意水準には達しなかった。
第2、第3のPD-1/PD-L1を探す流れの中で有力視されたのが同じ免疫抑制刺激受容体であるLAG-3やTIGHTだ。前者はBMSのOpdualag(抗LAG-3抗体relatlimab-rmbwと抗PD-1抗体nivolumabの合剤)が欧米で悪性黒色腫用薬として承認されたが、他の適応や類薬の開発の足取りは重く、抗TIGHT抗体も今回のように今一つだ。抗CTLA-4抗体と同様に、免疫チェックポイント阻害剤を併用すると免疫関連副作用が高まり過ぎるのだろう。尤も、今回のフェールが目標量を投与できず真価を発揮できなかったのか、副作用で早死にする人が多かったのか、それともドロップアウトが前提より多すぎて検出力が低下したせいなのかは明らかではない。
MSDは小細胞肺癌など他の第3相試験は続行する考え。
リンク: 同社のプレスリリース
テセントリク、TNBC試験がまたフェール
(2024年5月15日発表)
ロシュは抗PD-L1抗体Tecentriq(atezolizumab)を難治急速進行性トリプル・ネガティブ乳癌(TNBC)の治療に用いる第3相Impassion132試験を実施したが、フェールした。早期がんの治癒的治療を受けてから12ヶ月以内に進行してしまった切除不能局所進行/転移性の患者594人を組入れて、化学療法(carboplatinとgemcitabineの併用またはcapecitabine)に追加する便益を検討したが、メジアン生存期間が12.1ヶ月と偽薬追加群の11.2ヶ月と大差なく、ハザードレシオは0.93、統計的に有意ではなかった。
切除不能局所進行/転移後のTNBCの一次治療レジメンにTecentriqを追加した試験はImpassion130でPFS(無進行生存期間)の延長に成功したが全生存期間はPD-L1陽性サブグループにしか効果が見られなかった。米国で19年にこのサブグループ限定で加速承認されたが、Keytruda(pembrolizumab)が同じような患者層に本承認されたことなどから、承認返上に至った。ステージII/IIIのTNBC切除を受けた患者を組入れたIMpassion030試験は23年に無益認定された。一方で、摘出術を予定する早期TNBCのネオアジュバント試験、Impassion031試験は、化学療法に追加した群のpCR(病理学的完全反応率)が57.6%と偽薬追加群の41.1%を有意に上回り、術後アジュバントも含めた便益を検討中。今回の解析はこれらの結果を踏まえてPD-L1陽性サブグループに限定されたが、結局、TNBCの第3相は一勝二敗一不鮮明となった。
リンク: Dentらの治験論文(Annals of Oncology)
【承認申請】
経口ペネムを再び承認申請
(2024年4月29日発表)
ダブリン籍の新興医薬品開発会社Iterum Therapeutics(Nasdaq:ITRM)は米国でsulopenem etzadroxilとprobenecidの二層錠の再承認申請を行った。適応は単純尿路感染症を想定している。sulopenemはペネム系抗生剤で、日本で1400例を超える投与実績がある。sulopenem etzadroxilはプロドラッグでペネム系では初の経口剤。probenecidは痛風治療薬だが有機アニオントランスポーター1阻害作用を持ちsulopenemの作用を長期化させる。
第3相の結果は区々で、単純尿路感染症における治療効果をciprofloxacinと比較したSURE1試験ではキノロン非感受菌感染者には優れた効果を示したが感受菌感染者の非劣性解析はフェールし、前者限定で20年に米国で承認申請したものの審査完了通知を受領、対照薬を変えてもう一本実施するようアドバイスされた。今年1月、FDAの特別プロトコル評価を受けて実施した第3相REASSURE試験が成功。Augmentin(amoxicillin/clavulanate)感受菌感染者922人における第12日のテスト・オブ・キュア評価で全般的奏効率が61.7%とAugmentin群の55.0%比で非劣性だった。群間差の95%下限は0.3となり優越性解析も成功した(際どい所だが)。
2015年にファイザーからライセンスしたもの。
リンク: Iterumのプレスリリース
【承認審査・委員会】
Elevarが審査完了通知を受領
(2024年5月27日発表)
韓国のHLB社(028300.KQ)の子会社であるElevar TheraoeuticsはVEGFR2阻害剤rivoceranibと抗PD-1抗体camrelizumabの併用を切除不能肝細胞腫用薬として米国で承認申請していたが、報道等によると、審査完了通知を受領した。MD Anderson Cancer Centerなど米中欧亜露ウクライナなど13ヶ国で実施した第3相試験で全生存期間などがsorafenibを有意に上回り、中国では両剤を販売しているJiangsu Hengrui Medicine(江蘇恒瑞医薬、上海:600276)が適応拡大の承認を取得した。しかし、FDAは、camrelizumabの製造体制査察後にも疑問が残ること、ロシアとウクライナの治験施設の査察が米国連邦政府の渡航制限によりできないこと、rivoceranibのエビデンスはcamrelizumab併用が主であるためこちらの薬だけ承認することはできないこと、を指摘した模様だ。
HLBは承認審査完了通知受領をYouTubeで発表した模様だが、ホームページを見てもプレスリリースは英語ページでも韓国語ページでも見当たらない(HTPPSシフトしていないためブラウザの設定次第で警告が出る点に注意)。韓国の証券取引法には違反しないのだろうか?Hengruiは中国語ページでプレスリリースを出している。
rivoceranibはAdvenchen Laboratoriesから05年にHengruiが中国で、07年にはLSK BioPharma(後にElevarに社名変更)がそれ以外の地域で、ライセンスしたもの。中国で14年以降、胃癌や肝細胞腫に承認されている。camrelizumabは中国で承認されているお手頃価格な抗PD-1/PD-L1抗体の一つで、19年以降、鼻咽頭癌や非小細胞性肺癌、食道扁平上皮腫などに承認されている。
リンク: Korea Biomedical Reviewの報道
リンク: Hengrui社のプレスリリース(中国語、pdfファイル)
リンク: HLBの発表ビデオ(YouTube、韓国語なので当方は内容未確認)
Dynavax、B型肝炎ワクチンの適応追加はならず
(2024年5月14日発表)
Dynavax(Nasdaq:DVAX)は欧米でB型肝炎ワクチンとして承認されているHEPLISAV-Bを血液透析を受けている成人に適応拡大すべく承認申請し、EUでは昨年10月に承認されたが、米国は審査完了通知を受領した。主エビデンスとなる第1相HBV-24試験の原データの過半が治験施設オペレータにより廃棄されてしまったため確認できないことや、そもそも被験者数が119人と少ないことなどから、便益や安全性の挙証が不十分と判定された。承認用法は2回接種だが今回は4回接種であることも警戒感を高めたかもしれない。
リンク: 同社のプレスリリース
アセンディス、副甲状腺機能低下症用薬の審査が長期化
(2024年5月14日発表)
デンマークのアセンディス・ファーマはTransCon PTH(palopegteriparatide)を副甲状腺機能低下症の副甲状腺ホルモン補充療法として承認申請し、EUでは昨年11月に承認されたが、米国では遅れている。薬剤含有量の変動を管理する戦略の妥当性に疑問が示され、23年5月に審査完了通知を受領、11月に回答し審査期限は今年5月14日に設定されたが、追加資料提出に伴い、8月14日に延期された。どのような資料を提出したのかは不明。
リンク: 同社のプレスリリース
【承認】
アムジェンの抗DLL3xCD3抗体が承認
(2024年5月16日発表)
FDAはアムジェンのImdelltra(tarlatamab-dlle)を難治/再発性進展型小細胞性肺癌用薬として加速承認した。白金薬ベースの化学療法による治療中/後に進行した癌に、初回は1mgを、第2回以降は10mgを第8日と第15日に、そしてその後は2週毎に、点滴静注する。第2相DeLLphi301試験でORR(客観的反応率、盲検独立中央評価)が40%、メジアン反応持続期間は9.7ヶ月だった。白金抵抗性癌(最後の投与から90日も経たずに進行)の27人ではORRが52%、それ以外の感受性患者42人では31%だった。
枠付き警告はクラス・ウォーニングであるサイトカイン放出症候群やICANS(免疫イフェクター細胞関連神経毒性症候群)など。G3以上の発現率はそれほど高くない。
小細胞性肺癌の8割で発現し健常細胞には発現しないDLL3(デルタ様リガンド3)とT細胞で発現するCD3に結合する二重特異性抗体。
リンク: FDAのプレスリリース
ブレヤンジが濾胞性リンパ腫の3次治療に適応拡大
(2024年5月15日発表)
FDAはブリストル マイヤーズ スクイブのBreyanzi(lisocabtagene maraleucel)を難治再発濾胞性リンパ腫の3次治療以降に用いる適応拡大を加速承認した。第2相TRANSCEND FL試験で2次治療歴を持つ94人におけるORR(客観的反応率、独立評価委員会方式)が95.7%、反応持続期間は中央値は未達、95%下限は18ヶ月となっている。有害事象は元々枠付き警告されているサイトカイン放出症候群や神経毒性など。
CD19を標的とするCAR-T(キメラ抗原受容体T細胞)療法で、これまでに難治/再発の大細胞型B細胞リンパ腫や慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫に承認されている。BTK阻害剤歴を持つ難治再発マントル細胞腫にも効能追加申請中。
リンク: 同社のプレスリリース
【医薬品の安全性】
EMAの安全性委員会も早産予防薬の販売中止を勧告
(2024年5月17日発表)
EMA(欧州薬品庁)のPRAC(ファーマコビジランス・リスク評価委員会)は、オーストリアやフランス、イタリアで早産予防などに用いられている17-OHPC(17-hydroxyprogesterone caproate)の承認を停止すべきと勧告した。CMDh(加盟国で相互認証や非中央手続きに基づき承認されている医薬品に関する協議を行うEMAの組織)が最終決定する。このプロゲスチン誘導体は米国でもFDAが23年4月に加速承認を撤回した。
主用途である早産予防では、米国で11年に加速承認を取得した会社が第3相PROLONG試験を実施したが早産リスクを抑制することができなかった。過去2年間に刊行されたメタアナリシス論文も同様な結論だった。一方、安全性に関しては、米国の医療保険組織の60年前の出生前管理記録とその後の癌登録を用いた後顧的疫学研究で17-OHPCに曝露した胎児の出生後の癌リスクが高い可能性が浮上した。但し、イベント数が少なく他のリスク因子が十分に考慮されていないためPRACは不確実な面が残ると判定した。それでも、便益があるようには見えず、危険が高まる疑いがあるので、承認に値しないと結論した。
日本でも使われていたはずだが、今はどうなのだろう?
リンク: EMAのプレスリリース
リンク: Murphyらの疫学研究論文(Am J Obstet Gynecol.、リンク先はPubMed Central)
【当面の主なFDA審査期限、諮問委員会】
PDUFA | |
---|---|
24/5/31 | BMSのBreyanzi(lisocabtagene maraleucel、再発/難治マントル細胞腫) |
24/6/4 | Catalyst PharmaceuticalsのFirdapse(amifampridine phosphate、LEMSにおける最大1日量を100mgに引き上げ) |
24/6/7 | GSKのArexvy(重症RSVリスクを持つ50~59歳に拡大) |
24/6/10 | Genfit/イプセンのGFT505(elafibranor、原発性胆汁性胆管炎) |
24/6/15 | BMSのAugtyro(repotrectinib、NTRK融合型固形癌に適応拡大) |
24/6/16 | GeronのGRN163L(imetelstat、輸血依存骨髄異形成症候群) |
24/6/17 | MSDのV116(21価肺炎球菌ワクチン) |
24/6/21 | SareptaのElevidys(delandistrogene moxeparvovec-rokl、DMD年齢制限解除) |
24/6/21 | BMSのKrazati(adagrasib、KRAS-G12C変異結腸直腸癌) |
24/6/21 | argenxのVyvgart Hytrulo(efgartigimod alfa and hyaluronidase-qvfc、慢性炎症性脱髄性多発神経障害を追加) |
24/6/21 | MSDのKeytruda(pembrolizumab、子宮内膜腫一次治療を追加) |
24/6/26 | Verona PharmaのRPL554(ensifentrine、COPD維持療法) |
24/6/26 | 第一三共のpatritumab deruxtecan(EGFR変異非小細胞性肺癌3次治療) |
24/6/27 | リジェネロンのDupixent(dupilumab、好酸球性COPDを追加) |
24/6/28 | ジェンマブ/アッヴィのEpkinly(epcoritamab-byspm濾胞性リンパ腫3次治療を追加) |
24/6/30 | Rocket PharmaceuticalsのRP-L201(marnetegragene autotemcel、重度白血球接着不全症1型) |
諮問委員会 | |
24/5/24 | EMDAC:ノボ ノルディスクのinsulin icodec(週一回皮下注用インスリン) |
24/6/4 | PDAC:Lykos TherapeuticsのMDMAカプセル(midomafetamine、PTSD補助療法) |
24/6/5 | VRBPAC:次シーズンのCOVID-19ワクチンの配合株を検討 |
24/6/10 | PCNSDAC:イーライリリーのLY3002813(donanemab、アルツハイマー病) |
今週は以上です。
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。