2023年10月29日

第1126回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • 大塚、ADHD用薬の第3相が成功 
  • GSK、RSVワクチンを50代にも承認申請へ 
  • ESMO:Dato-DXdは既存薬より一歩前進? 
  • ESMO:EGFRデュアル・キリングの効果 
  • ESMO:Pluvictoの前立腺癌ポストARP阻害剤試験の続報 
  • ESMO:Seagen、二剤のPMS試験が成功 
  • ESMO:カボメティクスが神経内分泌腫瘍に著効 
  • フルミストの自己点鼻を承認申請 
  • ACIP、高リスク・グループに対するMpoxワクチン勧奨を継続 
  • 「解離性」ステロイドがDMDに承認 
  • バビースモがRVOに適応拡大 
  • オンボーが米国でも承認 
  • IDH1阻害剤が骨髄異形成症候群に適応拡大 
  • CHMP、GLP-1作用剤の甲状腺癌問題に関してアップデート 


【新薬開発】


大塚、ADHD用薬の第3相が成功
(2023年10月27日発表)

大塚製薬は、centanafadineの第3相小児ADHD試験二本で統計的に有意な改善作用が示されたと発表した。13~17歳を組み入れた試験も、6~12歳の試験も、二用量群の平均と高用量群のADHD-RS-5評価尺度改善が偽薬群を有意に上回った。低用量群はフェールした模様だ。長期安全性試験などを経て承認申請に向かう予定。

17年にNeurovanceを買収して入手した、ノルエピネフィリンとドパミンの再取込阻害剤で、セロトニンの再取込も阻害する。2020年に成人ADHDの第3相二本がポジティブな結果になったが、小児向けは開発が遅れ、買収時の暖簾の減損を計上したことがある。

ClinicalTrials.govによると、成人試験は100mgまたは200mgを一日二回経口投与した。両試験、両用量ともAIDRS評価尺度が偽薬比有意に改善したが、一本のp値は低量が0.02、高量が0.04でそれほど低くない。一方、今回の小児試験はXRカプセルを一日一回経口投与した。13~17歳の試験は164.4mg群と328.8mg群を設定、もう一本はClinicalTrials.gov上では4~12歳が対象となっており、用量は体重に応じて決定としか記されていない。

暖簾償却が発表された当時、なぜ成人ADHDだけでも承認申請しないのか不思議に思ったが、XRカプセルに切替を狙ったのかもしれない。

リンク: 同社のプレスリリース(和文)


GSK、RSVワクチンを50代にも承認申請へ
(2023年10月25日発表)

GSKは米欧日で60歳以上向けに承認されたRSVワクチン、Arexvyの50~59歳における効果を60歳以上と比較した液性免疫原性非劣性試験がポジティブな結果になったと発表した。対象年齢拡大申請を行う予定。ACIP(ワクチン接種諮問委員会)で発表されたデータによると、RSV A型にもB型も、RSV感染時の下部気道疾患発症リスクが高い人たちにもそうでない人たちにも、免疫原性が見られた。

リンク: GSKのプレスリリース


ESMO:Dato-DXdは既存薬より一歩前進?
(2023年10月24日発表)

先週に続いて、10月23日に閉幕したESMO(欧州臨床腫瘍学会)の発表を振り返る。第一三共は複数のADC(抗体医薬複合体)が臨床段階にあり、開発が進んでいるher2標的ADC、Enhertu(trastuzumab deruxtecan)とTROP標的ADC、DS-1062(datopotamab、略称Dato-DXd)に関するアストラゼネカ提携に続いて、her3標的ADCのU3-1402(patritumab deruxtecan)などを対象とするMSDとの共同開発販売提携も戦術発表された。意外な組み合わせで、MSDは自社ADCプログラムも進めているが、44年前の恩讐は彼方に去ったのかもしれない。

第一三共とアストラゼネカはDato-DXdの第3相試験のうち、肺癌と乳癌の単剤投与実薬対照試験の結果を発表した。24年3月までに承認申請する考え。

TROPION-Lung01試験は、進行/転移非小細胞性肺癌で、白金薬と、分子標的薬適応になる癌は分子標的薬、それ以外は抗PD-1/PD-L1抗体による治療歴を持つ600人を組入れて、PFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)と全生存期間をdocetaxelと比較した。ハザードレシオ0.75、メジアン値は各群4.4ヶ月と3.7ヶ月で、統計的に有意な差があった。被験者の3/4を占めた非扁平上皮非小細胞性肺癌ではハザードレシオ0.63、メジアン5.6ヶ月対3.7ヶ月と、統計的に有意且つ臨床的に意味のある差があった由。

共同主評価項目である全生存期間の中間解析は好ましい方向を向いているが未成熟で未だ有意差は出ていない。G3以上の治療関連有害事象発生率は25%対41%、G3以上の間質性肺疾患(ILD)の発生率は3.4%対1.4%で、試験薬群では7人が死亡、但しうち4人は治験医が病気の進行によるものと判定している。

TROPION-Breast01試験は、ホルモン受容体陽性、her2陰性/低発現の手術不能/転移性乳癌で、内分泌療法不応/不適、1~2次の化学療法歴を持つ患者732人を試験薬群と化学療法群(capecitabine、gemcitabine、eribulin mesylate、vinorelbineの中から担当医が選択)に無作為化割付けしてPFS(同上)と全生存期間を比較した。前者はハザードレシオ0.63、メジアン6.9ヶ月対4.9ヶ月となり、統計的にも臨床的にも意味のある差が見られた。後者は未成熟だが、ハザードレシオは中間解析で0.84と少なくとも向きは正しい方向を向いている。G3以上の治療関連有害事象発生率は各群21%と45%、試験薬群の間質性肺疾患の発生率は3%で、一人が死亡した。試験薬群のILD発生率は3%で、一人が死亡した。

実薬対照試験なので一歩でも前進すれば意味があるが、高価な新薬がGE薬と対抗するには価格に見合う効果がほしい所だ。肺癌試験はメジアン値の差が1ヶ月足らずで、Enhertuと同様に重度ILDリスクも見られるので、今回発表程度では印象が薄い。全生存期間のハザードレシオが0.8を下回るか、結果を待ちたい。一方、乳癌試験のほうはPFSも、全生存期間の点推定値も、好ましい結果だ。

リンク: 両社のプレスリリース(肺癌試験、和文、pdfファイル)
リンク: 同(乳癌試験、同)


ESMO:EGFRデュアル・キリングの効果
(2023年10月23日発表)

ジョンソン・エンド・ジョンソン・グループのJanssenは、抗EGFRxMET二重特異性抗体Rybrevant(amivantamab)の市販後薬効確認試験の成功(先週記載)に続いて、第3世代EGFRチロシン・キナーゼ阻害剤JNJ-73841937(lazertinib)を併用した第3相実薬対照試験の結果を公表した。前者は21年に欧米でEGFR遺伝子にエクソン20挿入活性化変異を持つ転移非小細胞性肺癌に用いることが承認された。今回の二本はEGFR遺伝子にエクソン19欠損又はL858R置換のある局所進行/転移非小細胞性肺癌が対象で、MARIPOSA試験は一次治療における便益をアストラゼネカのTagrisso(osimertinib)と比較、MARIPOSA-2試験はTagrisso歴を持つ患者約650人を組入れて、carboplatin及びpemetrexedの標準療法に追加する便益を検討した。

一次治療試験はJanssenの二剤を併用した群のPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)のメジアン値が23.7ヶ月、Tagrisso群は16.6ヶ月、ハザードレシオは0.70で統計的に有意だった。参考群であるRybrevantだけを追加する群のPFSはメジアン18.5ヶ月だった。副次的評価項目の全生存期間の解析は未成熟だが、二剤併用群のハザードレシオ0.80、95%信頼区間0.61-1.05と、好ましい方向を向いている。

ポストTagrisso試験はPFS(同上)がメジアン8.3ヶ月と化学療法だけの群の4.2ヶ月を上回り、ハザードレシオ0.44、統計的に有意だった。Rybrevantだけを追加した群はメジアン6.3ヶ月、ハザードレシオ0.48、統計的に有意。良く分からないのは全生存期間の中間解析で、Rybrevant追加群のハザードレシオは0.77(95%信頼区間0.49-1.21)と好ましい方向を指しているが、二剤追加群は0.96(0.67-1.35)と案外だ。前提イベント数に到達する前の中間解析なので今後のフォローアップ待ちだ。

リンク: JNJのプレスリリース(MARIPOSA)

リンク: 同(MARIPOSA-2)


ESMO:Pluvictoの前立腺癌ポストARP阻害剤試験の続報
(2023年10月23日発表)

ノバルティスはPluvicto(lutetium Lu 177 vipivotide tetraxetan)の第3相PSMAfore試験の第2次中間解析結果を報告した。PSMA陽性の転移去勢抵抗性前立腺癌で、enzalutamideなどの第2世代アンドロゲン受容体経路(ARP)阻害剤歴を持ち、化学療法や免疫療法、放射線療法は未だ受けていない、PARP阻害剤が適応にならない患者468人を組入れて、7.4 Gbqを6週毎に6回照射する群と、前治療とは異なる第2世代ARP阻害剤を投与する群のPFS(無進行生存期間、放射線学的評価)を比較した試験で、第1次中間解析で目的を達成したことが昨年12月に公表されたが、延命効果は明確でなかった。

今回の解析では、PFSのハザードレシオは前回と大差ない0.41、メジアン値は12.0ヶ月と5.6ヶ月、全生存期間のハザードレシオはクロスオーバーの調整前で1.16(95%信頼区間0.83-1.64)、調整後でも0.80(同0.48-1.33)で有意差が出ていない。対照群の84%が進行判定後にPluvictoにクロスオーバーしたことや、最終解析に必要なイベント数の45%しか到達していないことを考えるとやむを得ないが、次回の75%到達時の解析で明確な答えが出るか注目される。FDAが全生存期間を重視している模様で、ノバルティスは23年中の適応拡大申請を見送る。

Pluvictoはドイツの癌研究所DKFZとハイデルベルグ大学病院が共同開発した放射性医薬品で、PSMAに結合し局所的にベータ線照射を行う。18年にEndocyte社を21億ドルで買収して入手した。22年に米欧で成人のPSMA陽性転移去勢抵抗性前立腺癌でARP阻害剤とtaxaneベース化学療法歴を持つ患者にアンドロゲン枯渇療法薬と併用することが承認された。FDAが供給不足医薬品にリストアップしていたがやっと解除された。

リンク: 同社のプレスリリース


ESMO:Seagen、二剤のPMS試験が成功
(2023年10月22日発表)

Seagenは抗ネクチン4抗体薬物複合体Padcev(enfortumab vedotin)とMSDのKeytruda(pembrolizumab)を尿路上皮癌に併用する用法と、子宮頸癌用抗TF抗体薬物複合体Tivdak(tisotumab vedotin)の市販後薬効確認試験が成功したと発表した。米国における承認範囲よりやや広範な患者を組入れており、本承認切替に加えて、一部変更も申請することになりそうだ。

EV-302/KN-A39試験は局所進行/転移尿路上皮腫の一次治療を受ける患者886人を組入れて、Padcev・Keytruda併用群とcisplatinまたはcarboplatinをgemcitabineと併用する群の全生存期間やPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)を比較したもので、どちらも中間解析で目的達成した。前者はハザードレシオ0.47、メジアン値は31.5ヶ月対16.1ヶ月と大変良い成績。後者も同様に0.45、12.5ヶ月、6.3ヶ月と好成績。

一つ気になるのは、PD-L1陰性の患者でも陽性患者と同様な差が見られたのだろうか?抗PD-1/PD-L1抗体の尿路上皮腫試験は上手く行ったり行かなかったり区々で、成功してもPD-L1陰性サブグループにおける便益が明確でないケースがしばしば見られるからだ。陰性にはPadcevだけで十分という可能性も無視できないだろう。

リンク: Seagenのプレスリリース

TivdakのinnovaTV 301試験は難治/転移子宮頸癌で難治/転移後の一次治療歴を持つ502人を組入れて医師が選んだ化学療法と比較した。主評価項目の全生存期間はハザードレシオ0.70、メジアン値は各11.5ヶ月と9.5ヶ月で、まあまあな成績だ。G3以上の治療時発現有害事象発生率は各群29.2%と45.2%。

尚、Seagenはファイザーに買収されることで合意しており、反トラスト局の認可待ち状態。

リンク:


ESMO:カボメティクスが神経内分泌腫瘍に著効
(2023年10月22日発表)

Exelixis(Nasdaq:EXEL)はVEGFR阻害剤Cabometyx(cabozantinib)の第3相神経内分泌腫瘍(NET)試験の詳細を発表した。米国で適応拡大申請する考え。

このCABINET試験は米国立癌センターがExelixisとコラボで資金提供した医師共同試験。治療歴のある進行膵NET93人のコフォートと、胃腸や肺などを原発とする膵外NET197人のコフォートにおけるPFS(無進行生存期間、担当医評価)を偽薬群と比較したところ、中間で目的達成が認定された。膵NETではハザードレシオ0.27、メジアン値は11.4ヶ月と3.0ヶ月、膵外NETでは各0.45、8.3ヶ月、3.2ヶ月だった。

Cabometyxは腎細胞腫などに承認されている。

リンク: 同社のプレスリリース

【承認申請】


フルミストの自己点鼻を承認申請
(2023年10月24日発表)

アストラゼネカは点鼻用4価インフルエンザ弱毒化生ワクチンFluMistを自己噴霧する用法追加申請を米国で行い、受理された。18~49歳は本人が、2~17歳は介護者や保護者が投与する。審査期限は来年第1四半期の見込みで、順調なら24/25年シーズンから使用可能になる。

FluMistは子会社のMedImmuneが07年に米国で発売した、注射が嫌な人に適したワクチン。1~64歳向けに承認申請されたが症例不足と判定され、現在でも50歳以上は適応外。米国では皮下注射用の3倍の価格で発売されたことや、15~17年頃にワクチン効率の著減が見られたことなどから、年商は2億ドル前後に留まり、需要の大半は欧州、となっている。日本では第一三共がライセンスし、承認申請から足掛け7年、今年3月に承認された。

CDC(米国疾病管理予防センター)はほぼ全国民にインフルエンザ・ワクチンの接種を勧奨しているが、接種率は5割前後と推定されている。米国では薬局で接種することも可能で、施設別の推定シェアは4年前の6%から16%に上昇しているが、主流は医療スタッフによる投与だ。点鼻薬なら使いやすいだろうから、接種率引き上げに資するかもしれない。

リンク: 同社のプレスリリース

【承認審査・委員会】


ACIP、高リスク・グループに対するMpoxワクチン勧奨を継続
(2023年10月25日発表)

CDC(米国疾病管理予防センター)のACIP(ワクチン接種諮問委員会)は、22年に、Mpox(旧称サル痘)のアウトブレイクが発生したため、高リスク・グループの人たちにワクチン接種を勧奨したが、今回、アウトブレイクが終わっても勧奨継続を勧告した。弱毒化生ワクチンJynneosを供給しているBavarian Nordic(Nasdaq Copenhagen:BAVA)は、正式に決定されたら24年上期に上市すると発表した。

高リスク・グループとは、最近、性病を罹患したり、複数のセックス・パートナーを持つなどの、ゲイなどの人々。該当人口は200万人程度で、そのうち既に接種したのは23%と推定されている。一方、患者を治療する可能性のある医療従事者についてはルーチンな接種を勧奨しなかった。

米国は22年にアウトブレイクが発生、これまでに3万人が発症し54人が死亡したが、23年に入り新患が1日1件程度に減少した。現在は中国が多いようだ。

リンク: Bavarian Nordicのプレスリリース

【承認】


「解離性」ステロイドがDMDに承認
(2023年10月27日発表)

スイスのSanthera Pharmaceuticals(SIX:SANN)は、FDAがAgamree(vamorolone)をデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の治療薬として承認したと発表した。10月にEUのCHMP(医薬品委員会)が4歳以上を対象に肯定的意見をまとめたが、FDAは適応下限を2歳とした。

DMDの治療にしばしば用いられるコルチコステロイドの一種で、骨代謝や成長には悪影響しないため、解離性コルチコステロイドと呼ばれている。経口懸濁液。欧州の施設で4~6歳の歩行可能な少年121人を組入れたVISION-DMD試験で、6mg/kg/日群の起立テスト成績が偽薬比有意に改善した。治療効果は0.06起立/秒。試験薬群は6秒から4.6秒に改善、偽薬群は0.1秒悪化した。一方、2mg/kg/日はフェールした。6分歩行テストや10メートル走行テストは両用量とも有意差があった。

6mg/kg/日群はprednisoneを0.75mg/kg投与した群とポスト・ホック優越性検定がフェールした。

有害事象は内分泌機能変化、免疫抑制/感染症、心血管/腎機能変化、胃腸穿孔、行動気分障害、骨影響、眼科影響、生/弱毒化ワクチン併用禁忌。

米国メリーランド州のReveraGen Biopharmaからライセンスして開発したもの。米国やカナダ、メキシコではCatalyst Pharmaceuticalsが商業化する。

リンク: Santheraのプレスリリース(pdfファイル)


バビースモがRVOに適応拡大
(2023年10月27日発表)

ロシュはFDAがVabysmo(faricimab-svoa)をRVO(網膜静脈閉塞症)に伴う黄斑浮腫の治療に用いる適応拡大を承認したと発表した。網膜中心静脈閉塞症と網膜静脈分岐閉塞症の二本の第3相で視力改善がRegeneron/サノフィのEylea(aflibercept)比非劣性だった。

Angiopoietin-2とVEGF-Aに結合する二重特異性抗体で、nAMD(新生血管加齢性黄斑変性)やDME(糖尿病性網膜浮腫)の治療薬としても承認されている。6mgを硝子体注射する。米国で承認されている投与スケジュールは適応により若干異なり、4週毎投与で開始するのは同じだが、nAMDは5回目から検査結果に基づき8週毎、12週毎、16週毎の何れか、DMDは5回目から4週毎もしくは8週毎、または7回目から8週毎、そしてRVOでは4週毎に6ヶ月間治療する。

リンク: 同社のプレスリリース


オンボーが米国でも承認
(2023年10月26日発表)

イーライリリーはFDAがOmvoh(mirikizumab-mrkz)を成人の中重度活性期潰瘍性大腸炎用薬として承認したと発表した。IL-23のp19サブユニットに選択的に結合する薬がこの用途で承認されたのは初。

日本では今年3月、EUでも5月に承認されたが、米国は製造問題が理由で一旦、審査完了通知を受領し、遅延した。

リンク: 同社のプレスリリース


IDH1阻害剤が骨髄異形成症候群に適応拡大
(2023年10月24日発表)

セルビエは、IDH1(イソクエン酸脱水素酵素1)阻害剤Tibsovo(ivosidenib)が米国でIDH1変異陽性難治再発骨髄異形成症候群に適応拡大したと発表した。18人に投与した臨床試験で寛解率が38.9%、客観的反応率は83.3%だった。IDH1変異は癌化の初期段階を駆動する変異で、骨髄異形成症候群の3-4%で見られる。

Tibsovoは18年に米国でIDH1変異難治再発急性骨髄性白血病に承認された。セルビエはAgios Pharmaceuticalsから腫瘍学ポートフォリオを買収して入手した。

リンク: 同社のプレスリリース

【医薬品の安全性】


CHMP、GLP-1作用剤の甲状腺癌問題に関してアップデート
(2023年10月27日発表)

EUの医薬品ファーマコビジランス・リスク評価委員会、PRACは、GLP-1作用剤の幾つかの副作用懸念に関して検討を行っているが、甲状腺癌との因果関係を示す新たなエビデンスはないと結論した。製薬会社が引き続き監視し、文献を含め、新たなエビデンスを取得したら定期報告時に報告する。

GLP-1作用剤は齧歯類の癌原性試験で甲状腺C細胞腫瘍の増加が見られた。この腫瘍はヒトで言えば甲状腺髄様腫に該当するとのことだ。EUの処方情報によると、GLP-1受容体が甲状腺C細胞腫瘍を調停するメカニズムに対する感受性が齧歯類は特に高いので、ヒトのリスクにつながる可能性は低いと考えられるが、完全に否定することはできない。米国のレーベルも概ね同じで、但し、甲状腺髄様腫を罹患もしくは家族歴を持つ人、または多発内分泌新生物症候群2型(MEN2)の患者は禁忌としている。今回のPRAC発表は、従来の見解を維持することを意味する。

リンク: PRACのプレスリリース

【当面の主なFDA審査期限、諮問委員会】


PDUFA
23年4QアストラゼネカのAZD5363(capivasertib、局所進行性/転移性乳癌)
23年4QイーライリリーのLY3002813(donanemab、MCI/軽度アルツハイマー病)
23年4Q推イーライリリーのtirzepatide(体重管理薬)
23年11月推 武田薬品のTAK-755(先天的血栓性血小板減少性紫斑症)
23/11/17Phathom Pharmaceuticalsのvonoprazan(びらん性胃食道逆流症)
23/11/23Aldeyra TherapeuticsのADX 102(reproxalap、ドライアイ)
23/11/27BMSのrepotrectinib(ROS1陽性非小細胞性肺癌)
23/11/27SpringWorksのnirogacestat(デスモイド腫瘍)
23/11/30Hutchmed/武田のfruquintinib(結腸直腸癌)
23/11末ValnevaのVLA1553(チクングニア熱ワクチン)
諮問委員会
23/10/31CTGTAC:Vertex/Crisprのexagamglogene autotemcel
(ベータサラセミアと鎌状赤血球病)
23/11/16ODAC:Acrotech BiopharmaのFolotyn(pralatrexate)とBeleodaq(belinostat)
市販後薬効確認が遅延している件
23/11/17PADAC:MSDのgefapixant(難治慢性咳嗽)


今週は以上です。

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