2023年10月1日

第1122回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • ベネクレクスタ、適応拡大試験がフェールも承認申請を協議へ 
  • JNJ、二剤併用が単剤に勝つ 
  • カイロミクロン血症の第3相が成功 
  • ルタテラのGEP-NETs一次治療試験が成功 
  • 抗CD47抗体にまたまた悲報 
  • REGN、新規リンパ腫用薬を承認申請 
  • 統合失調症の新規合剤を承認申請 
  • Akebia、バダデュスタットを米国で再承認申請 
  • FDA諮問委員会もALSの細胞療法を支持せず 
  • 難治ポンペ病用併用療法が承認 
  • 画期的抗鬱剤が30年を経て遂に承認 
  • 武田、皮下注用エンタイビオが米国でも承認 
  • 眼検査後瞳孔散大治療薬が承認 


【新薬開発】


ベネクレクスタ、適応拡大試験がフェールも承認申請を協議へ
(2023年9月29日発表)

アッヴィはVenclexta(venetoclax)の第3相Canova試験のヘッドラインを公表した。多発骨髄腫では最も多く見られる第11染色体と第14染色体の転座を持つ患者を対象とした試験で、主評価項目は有意ではなかったが点推定値はあと一歩、延命効果のトレンドも見られたため、承認申請に向けて規制機関と相談する考え。

Venclextaは癌細胞のアポトーシスを妨げるbcl-2に結合し阻害する作用を持ち、慢性リンパ性白血病や急性骨髄性白血病の治療に用いられている。米国ではジェネンテックが共同販売している。

Canova試験は成人の二次以上の治療歴を持つt(11;14)陽性難治再発多発骨髄腫263人を組入れて、dexamethasoneの併用薬としてVenclextaを使う群とBMSのPomalyst(pomalidomide)を使う群のPFS(無進行生存期間、独立評価委員会方式)を比較した。結果は、PFSのハザードレシオは0.823、p=0.237、メジアン値は各群9.9ヶ月と5.8ヶ月となり、点推定値はあと一歩、但しp値はあと百歩。主評価項目がフェールしたので副次的評価項目の解析は探索的なものになってしまうが、ORRの名目pは0.001未満、全生存のハザードレシオは0.697、名目p0.067、メジアン32.4ヶ月対24.5ヶ月と、好ましい方向を向いている。

尚、Venclextaは19年にFDAが臨床試験部分停止命令を出したことがあるが、治療プロトコルの見直しや無益性判定基準の見直し、そしてリスク管理策の導入などを経て、3ヶ月後に解除された。部分停止命令の発端は、Velcade(bortezomib)及びdexamethasoneのレジメンに追加した第3相P3BELLINI試験で、PFSのハザードレシオが0.63と大変良い結果が出たものの死亡率が21%対11%と非常に多かったため。ClinicalTrials.govによるとBELLINI試験の全生存期間ハザードレシオは1.191、p=0.385とのことなので、フェールはフェールだが倍増するわけではなかった。それにしても、PFSを妄信すべきでないことを示す一例だ。

PFSは全生存期間より早く有意差を検出できるので主評価項目に採用されることが多いが、この二本の試験はあべこべの結果になってしまった。

リンク: 同社のプレスリリース


JNJ、二剤併用が単剤に勝つ
(2023年9月28日発表)

ジョンソン・エンド・ジョンソン・グループのJanssen Pharmaceutical Companiesは、EGFRとMETの二重特異性抗体Rybrevant(amivantamab-vmjw)と第3世代EGFRチロシン・キナーゼ阻害剤JNJ-73841937(lazertinib)の併用第3相試験、MARIPOSAで主評価項目を達成したと発表した。EGFRにエクソン19欠損などの抵抗性変異を持つ局所進行性/転移性非小細胞性肺癌のフロントライン試験で、1074人の患者を併用群とアストラゼネカのEGFR阻害剤Tagrisso(osimertinib)群に無作為化割付けして非盲検下でPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)を比較したところ、統計的に有意且つ臨床的に意味のある差があった。副次的評価項目の全生存期間も中間解析で好ましい傾向が現れているとのこと。データは学会で発表する予定。

Rybrevantは21年に欧米でEGFRにエクソン20挿入型活性化変異を持つ非小細胞性肺癌に用いることが承認された。lazertinibは韓国のYuhanがOscotecの米国子会社からライセンスしてJanssenに韓国外の権利を導出したもの。T790M変異やL858変異に高い活性を持ち、血管脳関門を通過し、野生型EGFRには作用しない。

この併用法は第3相MARIPOSA-2試験も先日、成功が発表された。EGFRにエクソン19欠損やL858R置換のある局所進行性/転移性非小細胞性肺癌でTagrisso歴を持つ患者を組入れて、carboplatin及びpemetrexedの標準療法にこの二剤またはRybrevantだけを追加する便益を検討したところ、PFS(同)が統計的有意且つ臨床的に意味のある延長を見た。

アストラゼネカも黙って見ていない。類似した患者層を対象にTagrissoとpemetrexed及び白金薬を併用する便益を検討した第3相FLAURA2試験の成功が5月に発表された。但し、全生存期間の中間解析は未成熟とは言えハザードレシオ0.9とそれほどでもなく、G3以上の有害事象がTagrissoだけの群よりかなり多かった。

ヤンセンの二剤併用も全生存の解析がどうなるか、忍容性はどの程度損なわれるのか、など、今後の発表が注目される。

リンク: JNJのプレスリリース


カイロミクロン血症の第3相が成功
(2023年9月26日発表)

Ionis Pharmaceuticals(Nasdaq:IONS)は、olezarsenの第3相家族性カイロミクロン血症候群(FCS)試験で主目的を達成したと発表した。24年の早期に欧米で承認申請する考え。承認されれば初めての治療薬になる。同社にとっては自社販売薬第一号にもなる。

FCSはリポプロテイン・リパーゼの産生不良や機能低下によりカイロミクロンの分解が進まず、トリグリセライドが高値に推移する。100万人当り1~2人の超希少疾患。olezarsenはトリグリセライドの代謝を制御するapoC-IIIのmRNAを阻害するアンチセンス・オリゴヌクレオチド。19年にEUでは条件付き承認されたWaylivra(volanesorsen)と同じ核酸配列を持つが、N-acetyl-galactosamine(GalNAc)を結合して力価や忍容性を向上した。

今回の第3相Balance試験は18歳以上の患者66人を組入れて低脂肪食とスタチンなどの標準療法を施行するとともに、偽薬、50mgまたは80mgを4週毎に皮下注し、6ヶ月後のトリグリセライド値を比較したところ、80mg群は偽薬比有意な差があった(尚、Waylivraの承認用法は300mg週一回皮下注)。FCSの主要な合併症である急性膵炎はゼロだった(偽薬群は11件)。

急性膵炎はゼロ。肝腎毒性は見られず、血小板数の臨床的に意味のある現象は見られなかった。一名死亡したが薬物関連とは見られていない。

Waylivraは血小板減少や出血事故のリスクが見られ、FDAが18年に審査完了通知を発出したのはこれが主因と推測される。今回の試験でも血小板減少が全く見られなかった訳ではなさそうであり、また、超希少疾患の試験なのでリスクを厳密に査定することはできないが、重大事故が発生しなかったことは取り敢えず一安心だ。GalNAc技術は他の開発品にも関わる重要なイノベーションであることからも注目できる。

リンク: 同社のプレスリリース


ルタテラのGEP-NETs一次治療試験が成功
(2023年9月25日発表)

ノバルティスはLutathera(lutetium Lu 177 dotatate)の第3相NETTER-2試験が成功したと発表した。米国では適応内と思われるがエビデンスが充実した。EUなどでは既存治療進行性の限定を解除する一部変更申請に向かうのではないか。

17年にAdvanced Accelerator Applicationsを39億ドルで買収して入手した、放射線核種標識ソマトスタチン類縁体。18年に米国でソマトスタチン受容体陽性の膵・消化管神経内分泌腫(GEP-NETs)用薬として承認された。30年以上の市販歴を持つソマトスタチン類縁体、octreotideの低量と併用する。この時のエビデンスは、進行性高分化進行/転移中腸カルチノイド腫瘍を組入れてPFS(無進行生存期間、独立評価委員会方式)を標準用量octreotideと比較したNETTER-1試験と、前腸や後腸のNETsも組入れた単一施設expanded accessプログラムにおけるORR(客観的反応率)だった。

NETTER-2試験は未治療の胃腸または膵臓のNEPs222人を組入れて併用療法と標準用量octreotideのみのPFSを比較したところ、統計的に有意な、また、臨床的に意味のある改善を見た。5年前に積み残した虫食い箇所を埋めたことになる。数値は未公表。

リンク: 同社のプレスリリース


抗CD47抗体にまたまた悲報
(2023年9月26日発表)

ギリアド・サイエンシズはGS-4721(magrolimab)の二本目の第3相試験、ENHANCE-2を無益中止したことを明らかにした。TP53に変異のある急性骨髄性白血病におけるazacitidine併用時の延命効果をvenetoclax・azacitidine併用または強化化学療法と比較する試験で、当初の予定にはなかった中間解析を行ったところ、独立データ監視委員会が無益認定した。安全性は両群同程度であった由。

スタンフォード大学の研究者が15年に設立したForty Seven社を20年に49億ドルで買収して入手した抗CD47抗体。22年にFDAが治験の部分停止命令を出したが、第3相試験三本は既に中間解析に必要な症例数を組入れ済みだったため、結果が注目されていた。しかし、高リスク骨髄異形成症候群の一次治療azacitidine併用試験、ENHANCE-1が、当初から計画されていた中間解析で全生存期間がazacitidine単剤を上回る可能性は著しく低いと無益認定された。今回は3ヶ月間に二回目のネガティブ・ニュースだ。残るはENHANCE-3試験。強化化学療法に適さない急性骨髄性白血病の一次治療において、venetoclaxとazacitidineの併用レジメンに追加する便益を検討している。

CD47は血液癌や乳癌などで高発現する膜貫通型表面分子。マクロファージなどのSIRPアルファ受容体に結合し、この細胞を貪食するなというシグナルを送る。magrolimabの後期第1相ではazacitidine併用でTPS53変異型の急性骨髄性白血病に特に良さそうな完全寛解率を挙げた。

最近は抗CD47抗体を巡るネガティブなニュースが陸続している。ALX Oncologyは急性骨髄性白血病や骨髄異形成症候群の臨床試験を中止した。アッヴィはI-Mabからライセンスした抗47抗体を返品した。

リンク: 同社の声明
(フェールした試験に関する発表はプレスリリースではなく声明として発出する方針のようだ)

【承認申請】


REGN、新規リンパ腫用薬を承認申請
(2023年9月29日発表)

Regeneron Pharmaceuticals(Nasdaq:REGN)は、8月のEUに続いて、米国でもREGN1979(odronextamab)を非ホジキン型リンパ腫用薬として承認申請し受理された。優先審査を受け、審査期限は24年3月31日。成人の二種類以上の全身性治療歴を持つ難治性/再発性の濾胞性リンパ腫(FL)とびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に用いる。

CD20とCD3を標的とする二重特異性抗体。昨年のASH(米国血液学会)における発表によると、FL121人における完全反応率は75%、CAR-T治療歴のないDLBCL130人では31%、ある31人では32%だった。治療関連死亡者が3人いた(肺炎、進行性多巣性白質脳症、全身性真菌症)。期中にFDAの部分停止命令に応じてプロトコル変更を実施したためサイトカイン放出症候群の発生率大きく改善したとのことだが、変更後の全体的な成績はどうだったのか、知りたいところだ。

リンク: 同社のプレスリリース


統合失調症の新規合剤を承認申請
(2023年9月28日発表)

米国ボストンのKaruna Therapeutics(Nasdaq:KRTX)はKarXT(xanomeline、trospium)を米国で統合失調症治療薬として承認申請した。前者は新規ムスカリンM1・M4受容体アゴニスト、後者は他社が過活動膀胱治療薬として実用化した末梢性ムスカリン受容体アンタゴニストで、併用することにより前者の好ましくない作用をオフセットして望ましい作用だけを発揮させるアイディアだ。急性期治療試験二本では5週後にPANSSが20ポイント程度低下し、偽薬群の10~12ポイント低下を有意に上回った。治療関連深刻有害事象や治療関連有害事象による離脱は少し増える程度だった。

前者はイーライリリーがアルツハイマー病薬として開発したが失神など有害事象の発生率が高かった。しかし、Karunaの第3相試験では失神は発生せず、心拍数の上昇が見られたが治療を継続するうちに改善した由。

リンク: 同社のプレスリリース


Akebia、バダデュスタットを米国で再承認申請
(2023年9月28日発表)

米国ケンブリッジのAkebia Therapeutics(Nasdaq:AKBA)は米国でvadadustatを透析期慢性腎疾患の成人患者の貧血治療薬として再承認申請した。日本など35ヶ国で承認されているが、FDAはHIF-PH(低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素)阻害剤などの貧血症治療薬の心血管有害事象に懸念を持っており、vadadustatは心血管安全性試験でリスクがエポエチン製剤と比べて非劣性ではなかったことや、薬物誘導性肝障害が散見されたことなどから、22年3月に審査完了通知を出した。同社はFDR(公式紛争解決)を請求し、追加試験をオミットして再申請する道筋が示唆されたため、今回の再申請に至った。日本での数万人分の市販後調査(薬物誘導性肝障害はゼロ)も提出した様子だ。

リンク: 同社のプレスリリース

【承認審査・委員会】


FDA諮問委員会もALSの細胞療法を支持せず
(2023年9月27日発表)

FDAはCTGTAC(細胞、組織、遺伝子療法諮問委員会)を招集し、BrainStorm Cell Therapeutics(Nasdaq:BCLI)が軽中度ALS(筋萎縮性側索硬化症)用薬として承認申請したNurOwnについて意見を聞いた。18人の委員のうち17人が不支持と圧倒的多数が便益を認めなかった。審査期限は12月8日。同社の株価は20年に4ドル台から急騰し10月には17ドル台に乗せたが、翌月、第3相がフェールするや下落に転じ、今年9月はとうとう1ドル割れし、風前の灯火状態だ。

NurOwnは骨髄由来の間葉系幹細胞を採取し神経栄養因子を多く分泌するよう分化・増殖させたもの。第3相では急速進行性の患者189人を組入れて偽薬または試験薬を8週毎に3回、髄腔内投与して、ALSFRS-Rスコアの改善が閾値を超える奏効率を比較したところ、数値上は上回ったもののp=0.453とフェールした。数値自体の平均改善幅は両群大差なかった。会社側は、既に進行してしまった患者を除外したサブグループ分析でp=0.05だったことなどに基づき承認申請したが、品質管理面の欠陥などから、受理されなかった。異議申立ても受け入れられず、file over protestという最後の手段に進み、諮問委員会の直前には適応を軽中度患者に限定するなどの手管も使ったが、不首尾に終わりそうだ。

リンク: 同社のプレスリリース
リンク: FDAの声明(21年3月2日付)

【承認】


難治ポンペ病用併用療法が承認
(2023年9月28日発表)

アミカス・セラピューティクス(Nasdaq: FOLD)はFDAがPombiliti(cipaglucosidase alfa-atga)とOpfolda(miglustat)を遅発性ポンペ病の治療薬として承認したと発表した。体重が40kg以上で、酵素補充療法に十分応答しない患者が適応になる。Opfoldaカプセルを経口投与し、1時間後にPombilitiを4時間点滴静注する。2週毎に繰り返す。

Pombilitiはポンペ病患者で欠乏しているGAAの遺伝子組換え型酵素補充療法。細胞内取込みを向上する糖鎖最適化が行われている。Opfoldaの活性成分はゴーシェ病やニーマンピック病の治療に用いられているが、今回の併用法ではPombilitiに結合、安定化して活性を高める。

アミカスのExecutive ChairmanであるJohn Crowleyが娘のために開発し事業をジェンザイムに売却したalglucosidase alfaと比較した第3相優越性確認試験では、主評価項目である52週後の6分歩行テストが対照群と大差なくフェールした。副次的評価項目の%努力肺活量は低下が小さく、名目的p値は0.023だった。治験開始までalglucosidase alfaによる治療を受けていた患者ではどちらも良好な数値が出た一方で、少数の未経験者における数値は良くなかったため、FDAはこのサブグループに限定して承認した。

欧州でもPombilitiは今年3月に、Opfoldaは6月に、承認された。

リンク: 同社のプレスリリース


画期的抗鬱剤が30年を経て遂に承認
(2023年9月28日発表)

米国テキサス州のFabre-Kramer Pharmaceuticals(以下、FK社)は、FDAがEXXUA(gepirone)を成人の大鬱病の治療薬として承認したと発表した。5HT1A受容体アゴニストで、これだけを作動する抗鬱剤は初。代表的な抗鬱剤と比べて性的不全や体重増加副作用が見られないことが特徴。抗鬱剤のクラス・レーベルである自殺思慮・行動が枠付き警告された。禁忌は一定以上のQT延長や重度肝障害、3A4強阻害薬との併用、モノアミン酸化酵素を阻害する薬を服用中または中止後14日以内。

同社は93年にブリストル マイヤーズ スクイブから権利を取得した。開発権を供与したオルガノン(後にシェリング・プラウ、そしてMSDが子会社化)が第3相試験を実施したが一勝一敗で、99年に承認申請を断行したものの受理されず、01年には申請が受理されたが02年に非承認可能通知を受領、03年に修正申請も04年に再び非承認可能通知を受領し、FK社に権利返還した。

FK社は追加試験を二本実施したがやはり一勝一敗となり、07年に修正承認申請したが三度目の非承認可能通知を受領した。15年に紛争調停手続きの要請が受け入れられたが、諮問委員会は13人中9人が承認に反対した。その後、QT延長試験などのデータを追加して22年に再承認申請したところ、今回、承認に至った。何故承認されたのかは明らかではない。レーベルに載っている臨床試験の薬効データは上記二本の成功した試験のもので、12本実施して成功は2本だけという成績には変わりがないようだ。

30年の努力が実ったといえば聞こえがいいが、この薬を必要としている患者にとっては、30年も待たされたことになる。何とかならなかったのだろうか?

リンク: 同社のプレスリリース


武田、皮下注用エンタイビオが米国でも承認
(2023年9月28日発表)

武田薬品はEntyvio(vedolizumab)の皮下注用プリフィルド・ペンが米国で中重度活性期潰瘍性大腸炎の維持療法として承認されたと発表した。寛解導入期は静注用製剤を30分点滴するが、3回目からの維持療法期は108mgを二週毎皮下注で足りる。

抗アルファ4ベータ7インテグリン抗体で、静注用はクローン病にも承認されているが皮下注用は未だ承認審査中。EUでは20年に承認。日本でも今年、両方の適応で相次いで承認されている。

リンク: 同社のプレスリリース(和文)


眼検査後瞳孔散大治療薬が承認
(2023年9月27日発表)

ヴィアトリス(Nasdaq:VTRS)とOcuphire Pharma(Nasdaq:OCUP)は、Ryzumvi 0.75%点眼液(phentolamine)が瞳孔散大薬の解毒剤としてFDAに承認されたと発表した。24年上期に発売予定。

米国ではアドレナリン作用剤や副交感神経遮断剤による瞳孔散大措置を伴う眼検査が年1億回施行されている。検査が終了しても最大24時間、霞目などの副作用が残る。そこで、措置の1時間後に点眼して瞳孔径を元に戻す。有害事象は刺痛、灼熱感、結膜充血、味覚異常など。

アルファ1と2のアドレナリン・アンタゴニストを点眼薬にしたもので、Ocuphireが開発、米欧日印中などの三用途における開発商業化権を取得したFamyGen Life Sciencesが同時にヴィアトリスに商業化権を供与した。

リンク: 両社のプレスリリース


【当面の主なFDA審査期限、諮問委員会】


PDUFA
23年4QファイザーのBraftoviとMektovi(BRAF-V600E変異型非小細胞性肺癌に併用)
23年4QアストラゼネカのAZD5363(capivasertib、局所進行性/転移性乳癌)
23年4QイーライリリーのLY3002813(donanemab、MCI/軽度アルツハイマー病)
23年4Q推イーライリリーのtirzepatide(体重管理薬)
23年10月ファイザーのMenABCWY(5価髄膜炎菌ワクチン)
23年10月推ファイザーのetrasimod(中重度潰瘍性大腸炎)
23年10月推ArdelyxのXphozah(tenapanor、高リン血症)
23/10/8 Alnylam PharmaceuticalsのOnpattro(patisiran、TTR調停アミロイドーシスによる心筋症)
23/10/13BMSのOpdivo(nivolumab、悪性黒色腫アジュバント一変)
23/10/16MSDのKeytruda(pembrolizumab、非小細胞性肺癌術前術後補助療法に一変)
23/10/17ArdelyxのXphozah(tenapanor、透析期CKDの高リン血症)
23/10/22Orasis PharmaceuticalsのCSF-1(pilocarpine、老眼)
23/10/22Regeneron PharmaceuticalsのDupixent(dupilumab、慢性特発性蕁麻疹に一変)
23/10/26Santhera Pharmaceuticalsのvamorolone(デュシェンヌ型筋ジストロフィー)
諮問委員会
23/10/4 ODAC:US WorldMedsのeflornithine(小児神経芽細胞腫)
23/10/5 ODAC:アムジェンのLumakras(sotorasib、KRAS-G12C変異NSCLCの本承認切替)
23/10/31CTGTAC:Vertex/Crisprのexagamglogene autotemcel(ベータサラセミアと鎌状赤血球病)
23/11/17PADAC:MSDのgefapixant(難治慢性咳嗽)

今週は以上です。

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