2020年12月5日

第976回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • COVID-19:英国がワクチンの一時的供給を認可 
  • COVID-19:Moderna社もワクチンを申請 
  • 武田、抗CMV薬の第3相が成功 
  • ノバルティス、ジャカビの慢性GvHD試験が成功 
  • Agios社、ピルビン酸キナーゼ欠乏症用薬の第3相が成功 
  • lurbinectedinの市販後コミットメント試験がフェール 
  • Ovid社、アンジェルマン症候群の第3相がフェール 
  • JNJ、EGFR・MET二重特異性抗体を承認申請 
  • ROCK2阻害剤のGvHD承認申請が受理 
  • 経口血漿カリクレイン阻害剤が承認 
  • Vanda社、メラトニン作用剤がスミス・マギニス症候群に適応拡大 
  • RET阻害剤がある種の甲状腺癌に適応拡大 
  • ゾレアが鼻ポリープに適応拡大 


【今週の話題】


COVID-19:英国がワクチンの一時的供給を認可
(2020年12月3日発表)

英国の薬品審査機関であるMHRA、はBioNTech/ファイザーのCOVID-19ワクチン、BNT162b2を『承認』した。正確に言えば、販売承認ではなく非常時における一時的供給認可という建付け。数日内に、最初は高齢者介護施設入居者/就業者や医療/社会的介護従事者を中心に、接種を開始する予定。ロシアや中国が既に開始しているが、欧米などで数万人規模の第3相試験を行って効果や安全性を検討したワクチンの接種は初めてとなる。

医療従事者向け情報という欧州の添付文書に類似した文書が公開されたので、重要な点だけまとめておこう。

対象:
・12歳以上。
・活性成分や添加物にアレルギーを持つ人は禁忌。
・抗凝固薬や易出血性疾患で筋注禁忌の人は原則禁忌。
・高熱を伴う重度疾患を発症している人は注意が必要。
・妊婦は禁忌ではないが推奨はしない。接種前と二回目の接種の2ヶ月以上後までは妊娠を避けるべき。
・授乳中の女性は接種すべきでない。
・免疫低下(免疫抑制剤使用も含む)では免疫反応低下の可能性。
・免疫抑制剤や他のワクチンとの同時使用に関するデータはない。

接種方法:
・21日置いて2回筋注

有害事象:
・注射箇所疼痛(発現率:80%超)、疲労(60%超)、頭痛(50%超)、筋痛(30%超)、悪寒(30%超)、関節痛(20%超)、発熱(10%超)など。通常は軽中等症、2~3日で解消する。
(英国で承認されている筋注用インフルエンザワクチンの数値と比べて、疼痛、疲労、頭痛の発現率が高い)。
・発現率1~10%の有害事象:注射箇所の発赤、同腫脹、嘔気
・同、0.1~1%:リンパ節腫脹、倦怠感
・同、0.1%未満:記載なし

効果:
・2回目の接種の7日後時点で感染歴がなかった36621人におけるワクチン効率:95.0%
・うち、65歳以上のサブグループ:94.7%
・   75歳以上のサブグループ:100%
・全被験者(約44000人)におけるワクチン効率:94.6%
・感染歴を持つサブグループにおけるワクチン効率:記載なし
・重症疾患予防効果:記載なし(メーカー側はプレスリリースで公表しているが)

物流保管:
・195バイアル/箱(975回分)
・有効期限は零下80~60℃で6ヶ月。輸送は専用コンテナで最長15日間可能。
・解凍後は希釈前なら2~8℃で5日間保存可能。希釈後は2~25℃の環境下で6時間以内に使う。

リンク: MHRAのプレスリリース
リンク: 医療従事者向け情報(pdfファイル)

COVID-19:Moderna社もワクチンを申請
(2020年11月30日発表)

Moderna(Nasdaq:MRNA、発音はモダーナ)はCOVID-19ワクチンのmRNA-1273を各地で承認申請した。米国ではEUA(非常時使用認可)を求めている。EUAは非常事態に限定して使用を認めるもので、現今の大流行が鎮静化したら終了する。正式な販売承認ではない。現時点では2ヶ月かそこらの感染予防/安全性データしかないが、数ヶ月追跡したデータを取得次第、正式な承認申請を行う考えではないか。EUでは条件付き承認を求めている。ここでも、第3相試験などの長期追跡データを提出して正式承認を得ることになろう。同社によると、スイスやイスラエル、シンガポールでもローリング審査中。途上国のために、WHO(世界保健機関)にPQ(事前審査)やEUL(非常時使用リスト)の申請も予定。

FDAは12月17日にVRBPAC(ワクチン等生物学的製剤諮問委員会)を招集して意見を聞く予定。当方は12月10日のVRBPACでBioNTech(Nasdaq:BNTX、英語読みはバイオンテック)/ファイザーがEUA申請したBNT162b2と共に検討されることを想定していたが、一週遅れとなった。

EUの薬品審査機関であるEMAは、承認申請の内容が万全であることを前提に、BNT162b2は遅くとも12月29日に開催されるCHMP特別会議で、mRNA-1273は遅くとも21年1月12日の特別会議で、結論を出す計画。こちらは二週遅れだ。

この二つのワクチンはSARS-CoV-2のスパイク蛋白のmRNAをリピッド・ナノパーティクルに封入したもの。mRNA-1473は100mcgを4週間置いて二回筋注する。3万人規模の第三相試験で感染者は11人、偽薬群は185人でワクチン効率は94.1%だった。重症はゼロ対30人、COVID-19感染による死亡者はゼロ対一人だった。これらの数値は二回目の接種の2週間後以降の感染をカウントしたもの。

因みに、BNT162b2は30mcgを3週間置いて二回筋注。4万人規模の第三相で感染歴のない被験者の感染は8人、偽薬群は162人でワクチン効率95%。重症は1人対9人。これらの数値は二回目の接種の1週間後以降の感染をカウントした。

リンク: Modernaのプレスリリース
リンク: FDAの諮問委員会招集発表


【新薬開発】


武田、抗CMV薬の第3相が成功
(2020年12月4日発表)

武田薬品は、TAK-620(maribavir)の第三相難治性・抵抗性サイトメガロウイルス(CMV)感染症治療試験が成功したと発表した。承認申請に向かう見込み。

CMVは造血幹細胞移植や臓器移植後の免疫抑制療法を受けている患者でしばしば表面化する感染症。今回の第3相では、400mgを一日二回、8週間に亘って経口投与し、ウイルス消失奏効率を実薬(ganciclovir、valganciclovir、foscarnet、cidofovirの中から医師が選択)と比較した。データは未発表。

第2相試験では反応率が72%と、グラクソ・スミスクラインが開発した代表的な抗CMV薬であるvalganciclovirの56%を上回った(規模が小さいせいか有意ではない)。やや気になるのは深刻有害事象の発現率が10%とvalganciclovirの2%より高かったこと。これらの数値は400mg群と800mg群、1200mg群の合計だが、効果だけでなく深刻有害事象も用量相関があるようには見えない。第3相でも、第2相と同様に、急性移植片宿主病や腎不全などが多く発生した可能性がある。

抗CMV薬はポリメラーゼを阻害する薬が多いが、maribavirはCMV複製の様々なプロセスを阻害する模様だ。03年にグラクソ・スミスクラインから権利を取得したViroPharmaが06年に他家造血幹細胞移植後のCMV感染予防薬として第3相試験を行ったが、09年に発症率4.4%と偽薬群の4.8%を僅かに下回るだけという結果が出て、肝移植試験とともに打切りとなった。

13年にViroPharmaを買収したシャイアが用量を4倍以上に増やして上記第2相治療試験を成功させ、19年にシャイアを買収した武田が、11年前の敵を討った格好。

リンク: 武田薬品のプレスリリース(英文)

ノバルティス、ジャカビの慢性GvHD試験が成功
(2020年12月4日発表)

ノバルティスは7月にJakafi(ruxolitinib)の第3相慢性移植片宿主病(GvHD)試験が成功したことを明らかにしているが、今回、データを公表した。24週間の治療で奏効率が49.7%と、最良治療(Best available therapy)群の25.6%を有意に上回った。適応拡大申請へ向かう見込み。

Jakafiはインサイト(Nasdaq:INCY)から米国以外での開発販売権を取得したJAK1/2阻害剤。骨髄線維症などに加えて、19年には難治性急性GvHDの治療に用いることが米国で承認された。

リンク: ノバルティスのプレスリリース

Agios社、ピルビン酸キナーゼ欠乏症用薬の第3相が成功
(2020年12月1日発表)

Agios Pharmaceuticals(Nasdaq:AGIO)は、AG 348(mitapivat)の第3相ピルビン酸キナーゼ(PK)欠乏症試験が成功したと発表した。ヘモグロビン値が10 g/dL以下で輸血依存ではない成人患者80人を組入れてヘモグロビン量を偽薬と比較したところ、奏効率(ベースライン比1.5 g/dL以上増加した患者の比率)が40%と偽薬群の0%を有意に上回った。

有害事象による治験離脱はゼロ。忍容性は第2相試験と同様だった由。第2相では27人中5人で深刻有害事象が発生したので、油断はできない。

輸血依存患者を組入れた単群試験の結果を待って、21年に欧米で承認申請する考え。

PK欠乏症は遺伝性の希少疾患。赤血球でATPが不足、変形能がなくなり脾臓で捕捉されてしまう。貧血、脾腫、胆石などを合併する。

AG 348はPKR(ピルビン酸キナーゼR)のアロステリック・アクティベイター。一日二回、経口投与する。一回5mgで開始して20mgそして50mgと増量していく。PK欠乏症と鎌状赤血球病でFDAから希少疾患用薬指定を受けている。

リンク: 同社のプレスリリース

lurbinectedinの市販後コミットメント試験がフェール
(2020年12月3日発表)

スペインのPharmaMar(MSE:PHM)と米国のJazz Pharmaceuticals(Nasdaq:JAZZ)は、Zepzelca(lurbinectedin)の第3相化学療法併用試験がフェールしたと発表した。6月に米国でモノセラピーが加速承認された時の市販後コミットメント試験なので痛い。用法が若干違うので直ぐに承認取消になるようなことはないだろうが、新たな試験を立ち上げるなどして『俺は俺の責務を全うする』決意を見せた方が良いだろう。

PharmaMarが開発したアルキル化剤、Yondelis(trabectedin、和名ヨンデリス)の類縁体で、白金薬レジメンによる治療歴を持つ転移小細胞性肺癌に3.2mg/m2を3週毎に点滴静注することが承認されている。105人を組入れた試験でORR(客観的反応率、独立放射線学的評価)が30%、メジアン反応持続期間は5.1ヶ月、有害事象は骨髄抑制関連が多かった。

今回の試験は白金薬レジメン後に進行した小細胞性肺癌の二次治療試験で、2.0mg/m2をdoxorubicinと併用する延命効果を、医師が選んだレジメン(topotecanまたはCAVレジメン<cyclophosphamide、doxorubicin、vincristineの三剤併用>)と比較した。プレスリリースには明記されていないが、優越性解析がフェールしたものと推測される。有害な効果はなかったとのことなので、数値は大差なかったか若干劣る程度だったのだろう。

lurbinectedinは16年に中外製薬が日本での権利をライセンスし第1相試験を開始したが、同社のパイプライン表には載っていないので、返還したのかもしれない。

リンク: 両社のプレスリリース

Ovid社、アンジェルマン症候群の第3相がフェール
(2020年12月1日発表)

希少神経学的疾患に特化した新薬開発会社であるOvid Therapeutics(Nasdaq:OVID)は、OV101(gaboxadol)の第3相アンジェルマン症候群試験がフェールしたと発表した。4~12歳の97人と薬物動態や安全性を評価するため2~3歳の7人を組入れて12週間に亘って毎日経口投与したが、主評価項目であるCGI-I-AS(Clinical Global Impression-Improvement-Angelman syndrome)スケールの改善が0.7ポイントに留まり、偽薬群の0.8ポイントと大差なかった。副次的評価項目やサブグループ分析でも効果が見られなかった。開発中止になるのではないか。

gaboxadolはデルタ選択的なGABAA受容体作動剤。ルンドベックがライセンスして一時はMSDとも提携して不眠症などの用途で開発したが、15年にOvid社に導出した。

アンジェルマン症候群は母親由来の遺伝子のみが発現するUBE3A(ubiquitin protein ligase E3A)の遺伝子の機能喪失変異による重度の精神発達障害。

リンク: 同社のプレスリリース


【承認申請】


JNJ、EGFR・MET二重特異性抗体を承認申請
(2020年12月3日発表)

ジョンソン・エンド・ジョンソン・グループのJanssen Pharmaceuticalは、JNJ-61186372(amivantamab)をEGFRエクソン20挿入変異を持つ転移非小細胞性肺癌の二次治療薬として米国で承認申請した。承認されるまでの繋ぎとしてEAP(未承認薬をFDAの認可の下に提供するプログラム)もロンチした。

amivantamabはGenmab社のDuoBody技術を用いて創製したEGFRとMETに結合する抗体医薬。EGFR活性化変異を持つ非小細胞性肺癌はEGFRチロシンキナーゼ阻害剤が適応になるが、第1世代はL858M変異などの抵抗性変異を誘導するリスクがある。第2世代品はこのような癌の多くに有効だが、エクソン20挿入変異に有効な薬は初めて。この変異の判定は次世代シーケンサーを使う。

承認申請の根拠となる第1相試験では、エクソン20挿入変異を持つ非小細胞性肺癌に第2相の推奨用量である1050mg(体重80kg以上は1400mg)を投与したサブグループ39人のORR(客観的反応率)が36%、承認申請の対象である白金薬による治療歴を持つ29人だけだと41%、だった。メジアン反応持続期間は10ヶ月。治療関連深刻有害事象の発現率は6%で蜂巣炎、間質性肺疾患、肩胸痛など。

同社は韓国のYuhanが韓国のOscotecの米国子会社であるGenoscoからライセンスした第3世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤、lazertinibの韓国以外での開発販売権を取得、amivantamabと併用で
EGFRエクソン19欠失/L858R置換陽性非小細胞性肺癌の一次治療osimertinib対照第3相試験を開始する考え。

リンク: JNJのプレスリリース

ROCK2阻害剤のGvHD承認申請が受理
(2020年11月30日発表)

Kadmon(Nasdaq:KDMN)はKD025(belumosudil)を慢性GvHD(移植片宿主病)治療薬として承認申請し受理されたと発表した。優先審査で審査期限は21年5月30日となっているが、Real-Time Oncology Reviewパイロット・プログラムの対象なのでもっと早く承認される可能性もありそうだ。

KD025は、免疫細胞の分化や細胞の線維化に係るリン酸化酵素、ROCK2(Rho-associated coiled-coil kinase 2)を阻害してTh17細胞をダウンレギュレートしTreg細胞を増強する。

二次までの治療歴を持つ患者に200mgを一日一回または二回、経口投与した第2相試験では、一日一回群の総合反応率が73%、95%信頼区間下限は60%、一日二回群は各74%と62%となり、95%下限が30%以下という帰無仮説を否定することができた。インサイト/ノバルティスのJAK1/2阻害剤、Jakafi(ruxolitinib、和名ジャカビ)や、アッヴィ/JNJのBTK阻害剤、Imbruvica(ibrutinib)のような最近の新薬による治療歴を持つ患者でも総合反応率が60%を超えた。

深刻有害事象の発現率は34%、有害事象による死亡は5人でうち一人は薬物関連疑い例。10%の患者が薬物関連疑いの有害事象により治験を離脱した。

Surface Logix社がNano Terraに買収された後の2011年にKadmonが世界権をライセンスした。日本周辺は20年にMeiji Seikaファルマが開発商業化権を取得。

リンク: 同社のプレスリリース


【承認】


経口血漿カリクレイン阻害剤が承認
(2020年12月3日発表)

BioCryst Pharmaceuticals(Nasdaq:BCRX)といえば注射用インフルエンザ治療薬Rapivab(peramivir、和名ラピアクタ)の開発者として有名だが、第2の製品であるOrladeyo(berotralstat)がFDAに承認された。経口血漿カリクレイン阻害剤で、12歳以上のHAE(遺伝性血管性浮腫)患者の増悪予防に用いる。経口剤は初。

第3相のAPeX-2試験では150mgを一日一回、経口投与したところ、HAEアタックの月間頻度が治験前の2.9回から1.3回に減少し、偽薬群(2.3回)と比べて44%少なかった(p<0.001)。既存薬の治験成績よりだいぶ見劣りするが、激しい痛みや死亡する可能性もあるHAEアタックのリスクが高まっても注射用薬からスイッチすることを望む患者には選択肢になるだろう。有害事象は腹痛、嘔吐、下痢など。過量投与すると用量依存的にQT延長リスクが高まるので注意する。報道によると問屋取得価格は年48.5万ドル。

欧州でも承認審査中。日本は米国より2ヶ月遅れて今年2月に承認申請されたが先駆け指定のようだ。承認後は鳥居薬品が販売する。

リンク: 同社のプレスリリース

Vanda社、メラトニン作用剤がスミス・マギニス症候群に適応拡大
(2020年12月1日発表)

Vanda Pharmaceuticals(Nasdaq:VNDA)はHetlioz(tasimelteon)をスミス・マギニス症候群の不眠治療に用いる適応拡大がFDAに承認されたと発表した。小児用に新開発した経口液製剤は来年第1四半期に上市する予定。

この病気は17p11.2遺伝子の欠失による発達障害。米国で15000~25000出生に一人の希少疾患。遺伝ではなく特発性であることが多い。最も多い症状は概日リズムの逆転による重度睡眠障害。

Hetliozはメラトニンの受容体であるMT1/2を作動する経口剤で、BMSがBMS-214778として開発していたものを04年にライセンスした。14~15年に米欧で非24時間障害(全盲者の多くで見られる睡眠障害)の治療薬として承認された。

今回の適応では、25人を組入れた臨床試験で総睡眠時間が41分改善した(偽薬群は20分改善、p=0.013)。3月に適応拡大申請した時は受理されなかったが、8月に受理、優先審査で承認となった。

リンク: 同社のプレスリリース

RET阻害剤がある種の甲状腺癌に適応拡大
(2020年12月1日発表)

FDAはBlueprint Medicines(Nasdaq:BPMC)のGavreto(pralsetinib)をある種の甲状腺癌に用いることを加速承認した。今年9月にRET融合陽性転移非小細胞性肺癌用薬として承認したばかりだが、今回は審査期限よりほぼ3ヶ月早い承認。Real-Time Oncology Reviewパイロット・プログラムの対象になるとやっぱり速い。

高度選択的高力価RET阻害剤。甲状腺癌ではRETも阻害するVEGFR阻害剤がRET変異型に承認されているが、Gavretoは12歳以上で全身性治療を必要とする進行/転移RET変異陽性甲状腺髄様腫と、全身性治療を必要とし放射性ヨウ素不応のRET融合陽性甲状腺癌が適応になる。400mgを一日一回、食中服用する。

前者の癌では、VEGFR阻害剤2剤の治療歴を持つ患者55人におけるORR(客観的反応率)は60%で、その79%は反応が半年以上持続、持たない患者29人ではORR66%、反応半年持続率84%だった。後者の癌では、9人におけるORR89%、全員で反応が半年以上続いた。

ロシュとの共同開発で、米国では共同販売、中国以外の海外ではロシュが商業化する。

リンク: FDAのプレスリリース

ゾレアが鼻ポリープに適応拡大
(2020年12月1日発表)

ロシュは、Xolair(omalizumab、和名ゾレア)を鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎の治療に用いる適応拡大がFDAに承認されたと発表した。点鼻ステロイドに十分反応しない、18歳以上の患者が適応になる。第3相のmometasoneアドオン試験二本でポリープが縮小し、鼻詰まりが緩和した。

IgEに結合するヒト化抗体で03年に難治性重度喘息症の治療薬として初承認され、慢性特発性蕁麻疹やアレルギー鼻炎に用途を広げてきた。ジェネンテックが07年に買収したTanox社のコンパウンドで、ノバルティスと共同販売している。

リンク: ロシュのプレスリリース







今週は以上です。

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