2020年12月19日

第978回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • COVID-19:米国でもワクチン接種を開始 
  • COVID-19:ModernaのワクチンもEUA 
  • COVID-19:テムセルのCOVID-19試験がフェール 
  • COVID-19:インサイト/ノバルティスのJAK阻害剤はフェール 
  • MSD/エーザイ、キイトルーダとレンビマの内膜腫試験が成功 
  • アッヴィ、アトピー試験でリンヴォックがデュピクセントに勝つ 
  • ノボ、EUでもセマグルチドを肥満症に承認申請 
  • アムジェン、KRAS-G12C阻害剤を承認申請 
  • 武田、好酸球性食道炎用薬を承認申請 
  • PCSK9のRNA介入薬は工場査察遅延で審査完了に 
  • FDA諮問委員会、エンレストのHFpEF適応拡大に前向きな評価 
  • CHMP、エンハーツなどの承認を支持 
  • ギリアド、米国ではジセレカのリウマチ適応を断念 
  • FDA、レルゴリクスを前立腺癌に承認 
  • FDA、タグリッソを肺癌摘出後療法に承認 
  • FDA、Xpovioを多発骨髄腫の二次治療に承認 
  • GSK、ベンリスタがループス腎炎に承認 
  • MacroGenics、her2を標的とするFc最適化抗体が承認 
  • 日光角化症治療薬が承認 


【今週の話題】


COVID-19:米国でもワクチン接種を開始
(2020年12月11日発表)

FDAは、ドイツのBioNTech(Nasdaq:BNTX)が創製しファイザーと共同開発しているCOVID-19ワクチン、BNT162b2を12月11日にEUA(非常時使用認可)した。12月14日に接種を開始。16歳以上が適応。当初は医療従事者や高齢者施設入居者が優先される。

ファイザーは今月と来年第1四半期に1億回分(5000万人分)を供給する。米国政府は5億回分を追加するオプションを保有しているはずだが、第2四半期の分は行使しないうちに欧州や日本などに取られてしまったようで、不足分はModerna(Nasdaq:MRNA)などのワクチンで補うことになる。政府は多額の補助金の交付先であるModernaに追加発注するとともに、Catalentなどの受託生産会社に対して、他の薬の生産を先送りしてでもワクチンやその成分の生産を優先するよう要請したようだ。

冷蔵庫での保存可能期間は5日程度と短く、輸送や長期保管はファイザーが開発した零下70℃(±10℃)に保つ専用ボックスで最長10日間保存できる。箱を開けた後でも5日毎に氷を補充すれば最長30日間保存できるようだ。専用ボックスはドライアイスが蒸発して外に出るので航空輸送に適さないのではないかとの指摘があり、現に、いち早く接種を開始した英国ではEU離脱前の港湾の渋滞に巻き込まれ輸入が遅延しているらしい。英国はドイツなどの生産拠点に近いのでまだ良いが、コンテナ船だと4週間かかる日本は航空輸送できるのだろうか?

BNT162b2はSARS-CoV-2のスパイク蛋白のmRNAを一部修飾してリピッド・ナノパーティクルに封入したもの。30mcgを21日置いて2回、筋注する。バイアル一瓶が5回分となっているが、実際には大目に入っている模様であり、FDAは、当面の供給量が限られていることから、6~7回分、取ることを認めた。但し、保存剤が入っていないこともあり、異なったバイアルの使い残しを寄せ集めて一回分に充てることは認めていない具体的な安全性担保策はファイザーと協議する。

有害事象はワクチンに付き物の注射箇所反応、疲労、頭痛、筋痛、悪寒、関節痛、発熱など。概して二回目のほうが発生率が高い。高齢者は発生率が若干低い。第2/3相試験における深刻な有害事象の発生率は、16-55歳では0.4%(偽薬群は0.3%)、56歳以上では0.8%(0.6%)だった。

第2/3相試験では、症候性感染症の罹患数(ベースライン時点で感染していなかった人を対象に、2回目の接種の7日後からカウント)が偽薬群の162人(感染率0.9%)に対してワクチン群は8人に留まった。ワクチン効率(感染リスク削減率)は95%、65歳以上に限定しても94%、75歳以上だけの集計では100%だった。また、感染し来院した時点で重症だった症例は偽薬群が3人、ワクチン群は1人だった(症例数が少ないせいか、2回目接種前の感染も含めた各9人と1人という数値が広く流布されている)。

効果については確立していないものが少なくない。まず、持続性。この試験は平均2ヶ月足らずしか追跡していない。感染者が自分で作る抗体は経時的に減少していくことが知られており、ワクチンが誘導する抗体も長期間保たないかもしれない。一方で、液性免疫が減衰しても細胞性免疫は長期間続くかもしれない。インフルエンザ・ワクチンのように毎年接種する必要があるのか、2年に一回なのか、半年に一回なのか、今後の検証が必要だ(海外の報道で、接種した医療従事者が『ずっと感染を防ぐことができるのだから副作用を2~3日我慢するのは容易』とコメントしていたが、誤解を招きかねない)。

第二に、無症候性感染予防効果が十分に検討されていないこと。ワクチンはウイルスが体内で増殖するのを抑え、咳などの症状が出るのを防ぐ。咳が出なければ飛沫感染のリスクも下がるはずだが、COVID-19は無症候性感染者がおそらく症候性感染者と同じくらいいて、そのような人からも感染することが知られている。ワクチンの予防効果の一部は、単に症候性感染が無症候性感染にシフトしているだけかもしれないので、感染防止効果はもっと小さいかもしれない。

オックスフォード大学/アストラゼネカのAZD1222の英国第2/3相試験では毎週RT-PCR検査を行って無症候性感染を掬いあげたが、対照群(英国試験では髄膜炎菌ワクチンを接種)における発生率は症候性感染と同程度と高いのにもかかわらず、ワクチン効率は症候性感染よりだいぶ低かった。

図表:AZD1222の感染予防効果

ワクチン群感染率対照群感染率ワクチン効率95%信頼区間
初回半量投与例:
 症候性感染症0.2%2.2%90.0%67.4, 97.0
 無症候性感染症0.6%1.5%58.9%1.0, 82.9
標準用量投与例:
 症候性感染症0.6%1.6%60.3%28.0, 78.2
 無症候性感染症1.0%1.0% 3.8%-72.4, 46.3
注:第2/3相COV002試験の結果。
出所:Voyseyら(Lancet、2020年)より作成。


ワクチン効率が経時的に低下していく可能性も含めて、ワクチンは『遊びのライセンス』でも『免疫パスポート』でもないことを肝に銘ずるべきである。

第三に、合併症や潜在的な後遺症を防ぐ効果は検討されていない。COVID-19は診断時の症状が重くなくても突然悪化することがあるが、臨床試験では診断時の重症例しかカウントしてない。感染時の死亡リスクも症例不足で良く分からない。軽快後も味覚臭覚異常が数ヶ月間続いたり、心筋炎など肺以外の臓器に病変が残った症例報告が複数出ているが、感染時の症状発現を抑制できれば後遺症も抑制/短縮化できるのか、分からない。

第四は、サブグループにおける効果や安全性。免疫低下者や免疫抑制剤利用者、15歳以下の小児における効果は不明。治験では感染歴を持つ人にも有益だったが症例数が少ないため確立したとは言えない。

安全性に関しても未解決の問題が残っている。妊婦に危険であることを示すシグナルはないが、授乳も含めて、安全性が確立したとはいえない。尤も、米国の学会などは、妊婦は感染時の重症化リスクが高いので、接種を躊躇すべきでないと呼びかけている。

このワクチンに重いアレルギー反応を起こしたことのある人は禁忌だが、他のワクチンや鶏卵・ピーナツなど食品のアナフィラキシー歴を持つ人はどうなのか、良く分からない。第2/3相試験ではアナフィラキシー歴は除外条件だったからだ。FDAは、接種を行う場合はepinephrineなどのアナフィラキシー治療薬を準備するよう念を押した。CDC(連邦政府の疾病管理予防センター)は重度アレルギー歴のある人は事前に医師と相談し、接種後は通常の15分ではなく30分様子を見ることを推奨している。

接種開始後、英国では2名、米国でも2名の医療従事者が接種後に重度アレルギー反応を起こしたと報じられている。英国の2名はepinephrineを携行していた由なので、過去に何らかの重度アレルギー反応歴があるのだろう。米国の2名のうち1名はアレルギー歴はないとのことだが、接種の10分後にアナフィラキシー反応が現れ、epinephrineとステロイドで間歇的に治療を受けたが、未だ退院していないようだ。4例目は接種の10分後に目の腫脹や意識朦朧、喉のかすれが現れた。epinephrineとfamotidine(H2ブロッカー)、diphenhydramine(抗ヒスタミン)による治療を受けて1時間足らずで退院した。

Moderna社のワクチンでは、ワクチン関連深刻有害事象として2例の顔面腫脹が報告された。何れも美容用皮膚充填剤注入歴があり、免疫反応の可能性があるようだ。二人とも軽快したが、該当する人には注意を促すべきだろう(誰が伝えるかは難問だが)

第2/3相試験ではワクチンによる疾病増強(ワクチンによって感作された人が感染すると免疫が過剰反応して重症化する現象)を疑わせるシグナルは出ていないが、症例数が少なく、発症後の追跡期間も十分ではないだろうから、まだ油断はできないだろう。デング熱ワクチンなどで発生したのは免疫誘導が不十分だったからとも言われているので、数ヶ月経って免疫が低下した段階で感染した患者をよく追跡して、重症患者は減らせるが重症になると危機的状態/死亡例が多い、などということがないよう、確認する必要があるだろう。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: 医療従事者向けファクトシート
リンク: ファイザーとBioNTechのプレスリリース

COVID-19:ModernaのワクチンもEUA
(2020年12月18日発表)

FDAは、Moderna(Nasdaq:MRNA)のmRNA-1273をCOVID-19ワクチンとしてEUA(非常時使用認可)した。18歳以上が対象。前日にはVRBPAC(ワクチン等生物学的製品諮問委員会)が承認の当否を検討、21人中20人が承認に賛成、棄権が1人と圧倒的多数が支持した。一週間前のBioNTech/ファイザーのBNT162b2に関する票決は22人中賛成17人、反対4人、棄権1人で反対票もあったが、接種実績が少ない16-17歳も対象にすることに反対する委員がいたからで、ワクチン自体の問題ではなさそうだ。今回の棄権1票を投じたのはNIH(米国立衛生研究所)所属の感染症や病理学を専門とする医学博士で、ワクチンを広範囲にEUAすること自体に反対である模様だ。BNT162b2の諮問委員会では反対票を投じている。

議論が集中したのは、第3相試験の参加者がEUA後にワクチン接種を望んだ場合に、どう対応するか。追跡期間は2ヶ月程度と異常に短いので本来なら盲検解除せずに長期間、追跡するのがベストだが、接種を禁じるのは臨床研究の倫理に反する可能性がある。ファイザーは、個々の被験者が接種対象になった段階で偽薬群の患者にワクチンを接種していないことを通知し、自発的に接種するのを容認する考えだが、ModernaはEUAと同時に盲検解除する考えを示したため、先週以上の議論になった。結論は出ず、FDAがメーカーと協議して決めることになる。

盲検を維持する(偽薬群の患者のワクチン接種を抑制する)のは事実上、難しい。そもそも、これらのワクチンは8割前後の確率で注射箇所痛が出る。偽薬は1割前後なので、被験者はどちらを接種したのか、ある程度の検討が付くだろう。接種を禁じても無断で受けてしまうかもしれない。結局、私たちはCOVID-19ワクチンの2ヶ月を超える期間における有効性や安全性を知ることはできないだろう。

mRNA-1273はSARS-CoV-2のスパイク蛋白のmRNAを修飾してリピッド・ナノパーティクルに封入したワクチン。BNT162b2のように超低温で保存する必要がないので物流保存面では扱いやすい。輸送・長期備蓄は零下20℃(通常の医療用冷凍庫)で6ヶ月、医院では2-8℃(通常の冷蔵庫)で30日間安定的に保存できる。

NIHが主導した第3相試験では、27817人をワクチン群と偽薬群に無作為化割付して二回目接種からメジアン2ヶ月強、追跡した。100mcgを4週置いて二回筋注し、二回目の接種の14日後以降の症候性感染を観察した。

結果は、偽薬群の感染者185人に対してワクチン群は11人で、ワクチン効率は94.1%だった。18-64歳のサブグループでは95.6%、65歳以上では86.4%と若干下がるが、95%信頼区間は90-96%の範囲でオーバーラップしている。

重症症例は各群30人とゼロだった(但し、最終解析後にワクチン群で重症例が1人、報告され、確認作業中)

主な有害事象の発現率は、注射箇所痛が91%、疲労68%、頭痛63%、筋痛60%、関節痛45%、悪寒43%など。深刻有害事象の発生率は1.0%で偽薬群と同じだった。

ワクチン関連と見なされる深刻有害事象は4例で、難治性悪心嘔吐が1人、顔面腫脹が2人、リウマチ性関節炎が1人。リウマチ以外は解消した。顔面腫脹2人は美容用皮膚充填剤の注入歴を持っており、これが関与した可能性がある。

BNT162b2の第2/3相試験ではベル麻痺が4例発生した(偽薬群はゼロ)。mRNA-1273の第3相でも3例発生している(偽薬群は1例)。米国における罹患率は1万人当たり3人程度なので、これくらいは発生しても異常ではないが、市販後監視の要チェック項目だろう。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: Moderna社のプレスリリース
リンク: Moderna社の諮問委員会結果に関するプレスリリース(12/17付)

COVID-19:テムセルのCOVID-19試験がフェール
(2020年12月17日発表)

オーストラリアのMesoblast(ASX:MSB)は、remestemcel-Lの危機的COVID-19感染症試験がフェールしたと発表した。18歳以上の人工呼吸器を必要とする300人を米国の施設で組入れて、偽薬または200万個/kgを3日置いて2回、点滴静注して、30日全死亡を43%削減する効果を立証する予定だったが、180例の中間解析で、達成の可能性は著しく小さいと判明した。

remestemcel-Lは成人健常者の骨髄から抽出した間葉系幹細胞を培養したもの。日本で移植片宿主病の治療薬テムセルとして販売されているが、米国では二回、承認申請したが承認されなかった。

11月にノバルティスにCOVID-19を含む急性呼吸窮迫症候群用途での開発販売生産権を供与することで合意したが、まだ実施していないので、キャンセルになるかもしれない。

リンク: Mesoblastのプレスリリース(pdfファイル)

COVID-19:インサイト/ノバルティスのJAK阻害剤はフェール
(2020年12月14日発表)

ノバルティスは、骨髄線維症などの治療薬として承認されているJAK1/2阻害剤、Jakafi(ruxolitinib、和名ジャカビ)の第3相COVID-19試験、RUXCOVIDがフェールしたと発表した。12歳以上の挿管/ICU入室していないCOVID-19感染者432人を組入れて、5mgを一日二回、14日間(医師の判断で更に14日間延長可)経口投与する効果を29日間に亘って偽薬と比較したが、死亡、人工呼吸器管理、またはICU入室した患者の比率が12.0%と偽薬群の11.8%と大差なかった。

ruxolitinibはインサイト(Nasdaq:INCY)から米国外での開発販売権をライセンスしたもの。JAK1/2阻害剤ではイーライリリーがインサイトからライセンスしてリウマチ性関節炎などの治療薬として商業化したOlumiant(baricitinib、和名オルミエント)が、11月に、酸素投与/人工呼吸器管理の2歳以上の患者にremdesivirと併用するEUA(非常時使用認可)を取得している。同じJAK1/2阻害剤でありながら明暗が分かれたが、オフターゲット作用の違いが影響した可能性がありそうだ。また、COVID-19感染症の試験はremdesivirでも米国試験が成功してWHO試験がフェールするなどチグハグが目立っており、成功した試験でも軽症患者から人工呼吸器管理まで全ての段階の患者における有効性は確立していない。本来ならもっとサブグループに分けて検討すべきなのかもしれないが、残念なことに、そんなことを言っている暇がないのが現状だ。

リンク: ノバルティスのプレスリリース


【新薬開発】


MSD/エーザイ、キイトルーダとレンビマの内膜腫試験が成功
(2020年12月16日発表)

VEGFR阻害剤Lenvima(lenvatinib、和名レンビマ)を共同開発販売しているエーザイとMSDは、Keytruda(pembrolizumab、和名キイトルーダ)と併用で行った第3相子宮内膜腫二次治療試験、KEYNOTE-775が成功したと発表した。治癒的手術不能で白金薬による治療歴を持つ患者をKeytruda(200mgを3週毎点滴静注)・Lenvima(20mgを一日一回経口投与)併用群と医師が選んだ薬(doxorubicinまたはpaclitaxel)群に無作為化割付して共同主評価項目のPFS(無進行生存期間)と全生存期間を比較したところ、全集団でも、ミスマッチ修復能を保持しているサブグループの解析でも、有意に上回っていた。データは未公表。

この併用は第2相試験に基づき19年に米国で加速承認されている。第3相の成功で本承認切替えを申請することになるだろう。

リンク: 両社のプレスリリース

アッヴィ、アトピー試験でリンヴォックがデュピクセントに勝つ
(2020年12月10日発表)

アッヴィは、リウマチ性関節炎などの治療薬として承認されているJAK1阻害剤、Rinvoq(upadacitinib、和名リンヴォック)の後期第3相アトピー性皮膚炎実薬対照試験が成功したと発表した。全身性治療の対象になる中重度の患者を組入れて、第16週までにEASI症状スコアが75%以上改善した患者の比率をリジェネロン/サノフィの抗IL-4Rアルファ・サブユニット抗体Dupixent(dupilumab、デュピクセント)と比較したところ、各71%と61%、p=0.006と有意な差があった。シーケンシャルに行われた副次的評価項目の解析では当初2週間の改善や、掻痒や湿疹の軽快でも、有意な差があった。

この試験では、日欧では承認されているが米国では未承認の30mg一日一回投与が採用されたためか、深刻な有害事象の発生率が2.9%対1.2%と数値上上回った。短期間の試験であるせいか、この薬の要注意点である悪性腫瘍や心臓疾患、静脈血栓は発生しなかったが、インフルエンザによる気管支肺炎による死亡1例が治療時発現有害事象とされた。

Rinvoqは今年10月に日本で中重度アトピー性皮膚炎の適応追加申請が行われた。

リンク: アッヴィのプレスリリース


【承認申請】


ノボ、EUでもセマグルチドを肥満症に承認申請
(2020年12月18日発表)

ノボ ノルディスクは、米国に続いてEUでもsemaglutideを肥満症の体重管理薬として承認申請した。BMIが30kg/m2以上、または27kg/m2以上で一つ以上の体重関連併存疾患を持つ患者に、カロリー抑制食事療法や運動療法と併用する。米国では優先審査バウチャーを用いたため来夏にも承認される可能性がある。

semaglutideは二型糖尿病薬Ozempic(和名オゼンピック)の活性成分で週一回皮注用のGLP-1作用剤。Ozempicは一回0.5mgまたは1mgを投与するが、肥満症用途では2.4mgまで漸増していく。68週間の第3相試験三本では体重がベースラインの100~105kgから9~16%低下し、偽薬より6~12%多く低下した。離脱試験では、20週間のランイン期間中に2.4mgまで増量できた、902人中803人の患者を継続群と偽薬スイッチ群に無作為割付して48週間追跡したところ、継続群の体重は更に7.9%低下したが、偽薬群は6.9%増加した。

リンク: 同社のプレスリリース

アムジェン、KRAS-G12C阻害剤を承認申請
(2020年12月16日発表)

アムジェンはAMG 510(sotorasib)をKRASの遺伝子にG12C変異を持つ局所進行性/転移非小細胞性肺癌の二次治療薬としてFDAに承認申請した。G12C変異はそれだけで腫瘍化をもたらすドライバー・ミューテーションと見なされており、非小細胞性肺癌線維腫の13%、結腸直腸癌の3-5%、その他の癌では1-2%で見られる。阻害するために結合すべき部位が中々見つからなかったが、アムジェンを筆頭に、複数のコンパウンドが臨床入りした。

New England Journal of Medicine誌で刊行された第1/2相試験の中間解析では、KRAS-G12C変異非小細胞性肺炎に960mg/日を投与した34例(メジアン2治療歴)のORR(客観的反応率)は35.3%だった。承認申請に用いられたデータは1月のIASLC(国際肺癌学会)で発表する予定。

リンク: 同社のプレスリリース

武田、好酸球性食道炎用薬を承認申請
(2020年12月16日発表)

武田薬品は、Eohilia(budesonide)をFDAに承認申請し受理されたと発表した。優先審査を受ける。承認されれば米国で初の好酸球性食道炎治療薬となる。

好酸球性食道炎は免疫性疾患で、症状は区々だが多くは嚥下障害を伴う。Eohiliaはコルチコステロイドの経口懸濁液で、粘性を持つため食道局所的に作用する。FDAから希少疾患用薬指定とブレークスルー・セラピー指定を受けている。

リンク: 同社のプレスリリース(和文)


【承認審査・委員会】


PCSK9のRNA介入薬は工場査察遅延で審査完了に
(2020年12月18日発表)

ノバルティスは、Leqvio(inclisiran)をアテローム硬化性心血管疾患の再発予防と家族性高脂血症の治療薬として承認申請し、EUでは高コレステロール血症と混合異脂血症の治療薬として今月、承認されたが、FDAからは審査完了通知を受領した。欧州の生産委託先の工場査察がCOVID-19の影響で全くできていない模様だ。年内もスケジュールが決まる可能性がありそうだが、承認が来年にずれ込むことになった。

inclisiranはRNA介入薬のスペシャリストであるアルナイラム・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:ALNY)からライセンスした、PCSK9のmRNAを切断する皮注用薬。メディスンズ・カンパニーを今年、97億ドルで買収して入手した。

リンク: 同社のプレスリリース

FDA諮問委員会、エンレストのHFpEF適応拡大に前向きな評価
(2020年12月16日発表)

FDAは心臓腎臓薬諮問委員会を招集し、ノバルティスのNEP・アンジオテンシンII受容体拮抗剤、Entresto(sacubitril/valsartan)の適応を駆出力低下型の心不全(HFrEF)だけでなく駆出力維持型(HFpEF)にも拡大することについて意見を求めた。意外なことに12人の委員が賛成し反対は一人だった。審査期限は21年第1四半期。

何故意外だったかと言うと、エビデンスとなるPARAGON-HF試験は僅かにフェールしたからだ。心血管死・心不全入院のハザードレシオがvalsartan群と比べて0.87とそれほどよくなく、p=0.059なので統計的に有意ではなかった。FDAは担当医の評価を第三者が査読する過程でサンプル数が減少し治験の検出力が低下したことなどに配慮している模様だ。

FDAは既にGE化したアルドステロン拮抗剤、spironolactoneもフェールしたTOPCAT試験をエビデンスとしてFDA主導でHFpEFに適応拡大する考えのようだ。トランプ政権下で顕著になった承認のハードル低下の実例がまた一つ増えそうだ。

FDAの質問はこれらの試験が『何らかの適応を支持する十分なエビデンスを提供しているか』という茫洋としたものなので、最終的な適応範囲は今後の検討待ちになりそうだ。Entrestoの場合、PARAGON-HF試験の対象は駆出力45%以上、HFrEFにおけるエビデンスであるPARADIGM-HF試験は40%以下が対象なので、40-45%が空白地帯になっている。また、Entrestoの便益は駆出力が低いほど大きいように見える。ASE(米国心エコー図学会議)は53%から73%を正常値と見做しており、このレンジの患者も含むべきかどうかなど、悩ましい点が多い。

リンク: ノバルティスのプレスリリース

CHMP、エンハーツなどの承認を支持
(2020年12月11日発表)

EUの薬品審査機関であるEMAの医薬品科学的評価委員会、CHMPは、12月の会合で、第一三共のエンハーツなどの承認に肯定的意見を纏めた。順調なら2~3ヶ月以内にEU全域で承認されることになる。

リンク: EMAのプレスリリース

Enhertu(trastuzumab deruxtecan、和名エンハーツ)はher2陽性転移乳癌用薬として承認申請され、加速評価により条件付き承認が支持された。抗her2抗体と細胞毒を結合した抗体薬物複合体で、2種類以上の抗her2薬歴を持つ患者が適応になる。アストラゼネカが共同開発販売している。米国で昨年12月、日本では今年3月に、承認された。臨床試験では間質性肺疾患のリスクが見られたが、胸部画像所見がCOVID-19感染症と類似しているため、5月に日本で注意が促された。

リンク: EMAのプレスリリース

同じく条件付き承認が支持されたのが、Dynavax(Nasdaq:DVAX)の慢性B型肝炎ワクチン、Heplisav B。先天性免疫に係るTLR9を作動するアジュバントを配合して免疫原性を増強した。接種回数が2ヶ月間に2回と、既存ワクチンの6ヶ月間に3回より少ないことが長所。一方、適応は18歳以上と、需要の中心である小児向けが外されている。

リンク: EMAのプレスリリース

BMSの子会社となったセルジーンのInrebic(fedratinib)はJAK2阻害剤。原発性、または二次性(真性多血症や本態性血小板血症から移行)の骨髄線維症に用いることが支持された。サノフィが2010年に買収したTargeGenの開発品で、臨床試験でウェルニッケ脳症が発生したことなどから開発中止となったが、共同発明者の一人が治験参加者の希望に応じて開発を続行、承認申請まであと一歩の段階で開発会社をセルジーンに契約一時金11億ドル、承認達成報奨金12.5億ドル、売上目標達成報奨金最大45億ドルの巨額で売却した経緯を持つ。米国では昨年8月に承認。

リンク: EMAのプレスリリース

アストラゼネカのLumoxiti(moxetumomab pasudotox)は再発・難治有毛細胞白血病薬として例外的環境条項に基づき承認することが支持された。プリン・ヌクレオシド・アナログを含む2種類以上の治療歴を持つ患者が適応になる。NCI(米国立癌研究所)が主導した第3相で持続的完全寛解率が30%だった。治療時発現有害事象による治験離脱は溶血性尿毒症症候群(HUS)によるものが5%の患者で、毛細管漏出症候群(CLS)が3%で、発生した。

有毛細胞腫で高発現するCD22を標的とする抗体フラグメントにPE38細胞毒を結合した抗体薬物複合体。05年にGenencor社から権利を取得したケンブリッジ・アンティボディを06年にアストラゼネカが買収した。米国では18年に承認。

リンク: EMAのプレスリリース

イーライリリーのRetsevmo(selpercatinib、米国名Retevmo)はRET阻害剤。免疫療法歴且つ又白金薬歴を持つRET融合陽性非小細胞性肺癌の成人、sorafenib歴且つ又lenvatinib歴を持つRET融合陽性甲状腺癌の成人、そしてcabozantinib且つ又vandetanib歴を持つRET変異陽性甲状腺髄様腫の成人と12歳以上の青少年に条件付き承認することが支持された。

19年に80億ドルで買収したLoxo Oncologyの主要パイプラインの一つ。米国では今年5月に承認。

リンク: EMAのプレスリリース

ヴィーヴ・ヘルスケアのRukobia(fostemsavir)は多剤抵抗性HIV感染症のサルベージ療法。第3相試験で48週奏効率が54%だった。15年にBMSから買収した抗HIV薬パイプラインの一つで、HIVのエンベロープのgp120に結合して宿主細胞に結合・侵入するのを妨げる、アタッチメント・インヒビター。

リンク: EMAのプレスリリース

フランスの腎臓薬開発販売会社、Advicenne (Euronext: ADVIC)のSibnayalはクエン酸カリウムと炭酸水素カリウムの顆粒合剤で、遠位腎細管性アシドーシスの治療に処方薬として用いることが支持された。1歳以上が適応になる。服用頻度が一日二回と、既存薬の3-6回より少なく、夜間に服用する必要がなく、忍容性も上回るようだ。

リンク: EMAのプレスリリース

Seagen(Nasdaq: SGEN、旧称シアトル・ジェネティクス)のTukysa(tucatinib)はher2チロシン・キナーゼ阻害剤。her2を標的とする二剤以上の治療歴を持つ局所進行/転移her2陽性乳癌に用いることが支持された。臨床試験では、trastuzumab、pertuzumab、およびtrastuzumab emtansineによる治療歴を持つ患者にtrastuzumabおよびcapecitabineと併用したところ、PFS(無進行生存期間)や全生存期間がtrastuzumab・capecitabine・偽薬併用群を有意に上回った。G3以上の有害事象は下痢や肝機能検査値異常など。18年に6億ドルで買収したCascadian Therapeutics(旧称Oncothyreon)のコンパウンド。米国では今年4月承認。

リンク: EMAのプレスリリース

適応拡大が支持されたのは、

・MSDのKeytruda(pembrolizumab)。マイクロサテライト不安定性が高い(MSI-H)、またはミスマッチ修復機能欠損(dMMR)を持つ切除不能/転移結腸直腸癌の一次治療に化学療法と併用する。
・独メルク/ファイザーのBavencio(avelumab)。局所進行/転移尿路上皮種で白金ベースの一次治療後に癌が進行しなかった患者の維持療法。二週毎に800mgを60分点滴静注する。
・アッヴィのRinvoq(upadacitinib)。DMARDs不応/反応不十分な活性期乾癬性関節炎に単剤またはMTXと併用で投与する。
・ジョンソン・エンド・ジョンソンのSpravato(esketamine)。精神的非常事態にある中重度の大うつ病の急速治療に標準治療薬と併用で点鼻投与する。ASPIRE I/II試験に基づくものなので、米国で昨年10月に承認された、自殺思慮を持つ大うつ病の患者の鬱症状の急速治療と類似した適応と推定される。
・Swedish Orphan Biovitrum(SOBI)の Doptelet(avatrombopag)。難治性原発性慢性免疫性血小板減少症の成人に用いる。元々は山之内アメリカで開発されていたスロンボポイエチン受容体アゴニストで、変遷を経てSOBIが19年に企業買収を通じて入手した。
・サノフィのPlavix/Iscover(clopidogrel)。中高度リスク(ABCD2スコア4以上)の一過性脳虚血発作、またはマイナー(NIHSS≦3)な虚血性脳卒中を起こしてから24時間以内の患者にアスピリンと併用で21日間投与する。その後は単剤投与。二本の試験で主要虚血イベントや脳卒中がアスピリンだけの群より3割程度、少なかった。

最後に、EUは7月にギリアド・サイエンシズ(Nasdaq:GILD)のVeklury(remdesivir)を条件付き推奨したが、適応を『明確化』した。酸素補給を必要とする肺炎を合併した、12歳以上かつ体重40kg以上の小児と成人のCOVID-19感染患者が適応になるが、酸素補給の内容を、治療開始時にロー/ハイ・フロー酸素または非侵襲的換気管理を受けていることと限定した。承認の根拠となった臨床試験では、人工呼吸器/ECMO管理下の患者には便益が見られなかったことを今になって直視したのだろう。尚、CHMPはWHOが主導したSolidarity試験がフェールしたためremdesivirの再検討を行っているが、進捗に関する発表は未だない。

リンク: EMAのプレスリリース

ギリアド、米国ではジセレカのリウマチ適応を断念
(2020年12月15日発表)

ギリアド・サイエンシズ(Nasdaq:GILD)は、ベルギーのガラパゴス社から共同開発販売権を取得したJAK1阻害剤、Jyseleca(filgotinib、和名ジセレカ)について、米国でリウマチ性関節炎薬として承認取得することを断念するとともに、提携範囲を縮小すると発表した。

Jeselecaは今年9月に日欧で中重度活性期リウマチ性関節炎治療薬として承認されたが、米国は審査完了となった。ラットやイヌの試験で精子形成障害が見られ、申請用量である200mg一日一回投与では十分な安全域を確保できないことが理由。ギリアドはリウマチ性関節炎や過敏性腸症候群の男性患者を組入れて、長期的な精子影響や可逆性を検討しているが、FDAは、もっと大規模な試験を要求しているようだ。

このため、承認取得を断念するとともに、ガラパゴスに1.6億ユーロを払って欧州におけるリウマチ性関節炎や承認申請中の潰瘍性大腸炎の開発販売から撤退し、クローン病の開発は続けるが、乾癬性関節炎や強直性脊椎炎の開発は中止する。

尚、日本などでの販売権や販売認可は継続保持する考え。日本はエーザイが販売・共同販促しており、来年上期に中重度活性期潰瘍性大腸炎の一変申請を行う考え。

リンク: ギリアドのプレスリリース


【承認】


FDA、レルゴリクスを前立腺癌に承認
(2020年12月18日発表)

FDAは、Myovant Sciences(NYSE:MYOV)のOrgovyx(relugolix)を前立腺癌用薬として承認した。ゴナドトロピン放出ホルモン受容体拮抗剤で、経口剤は初めて。

オリジンは武田薬品で、日本では19年に子宮筋腫用薬として承認された。米国では子宮筋腫の治療に際してエストロゲンなどと併用することで副作用を緩和する、アドバック療法が盛んであるため、estradiolやnorethindrone acetateを配合した合剤を開発、欧米で承認審査中。

Myovantは昨年、大日本住友製薬が子会社化した。

リンク: FDAのプレスリリース

FDA、タグリッソを肺癌摘出後療法に承認
(2020年12月18日発表)

FDAは、アストラゼネカのTagrisso(osimertinib、和名タグリッソ)をEGFRの遺伝子にエクソン19欠損またはエクソン21L858R置換を持つ非小細胞性肺癌の切除後アジュバント療法として用いる、適応拡大を承認した。対象となる患者数は日米欧中で6万人と推定されている。ADAURA試験では、無病生存のハザードレシオが偽薬比0.20と大変良好な結果だった。G3以上の有害事象の発現率は10%と偽薬群の3%を上回った。

Tagrissoは上記と同じ変異を持つ転移癌などに承認されている。

リンク: FDAのプレスリリース

FDA、Xpovioを多発骨髄腫の二次治療に承認
(2020年12月18日発表)

FDAは、Karyopharm Therapeutics(Nasdaq:KPTI)のXpovio(selinexor)を多発骨髄腫の二次治療にジョンソン・エンド・ジョンソンのVelcade(bortezomib)およびdexamethasoneと併用することを承認した。第3相試験ではPFS(無進行生存期間)のメジアン値が13.9ヶ月とVelcade・dexamethasoneだけの9.5ヶ月を上回り、ハザードレシオは0.70だった。

承認申請が受理されたのは今年7月で、審査期限より3ヶ月早く承認された。

Xpovioはエクスポーティン1阻害剤。昨年、多発骨髄腫のサルベージ薬として欧米で承認された。

リンク: 同社のプレスリリース

GSK、ベンリスタがループス腎炎に承認
(2020年12月17日発表)

グラクソ・スミスクラインは、Benlysta(belimumab)を18歳以上のループス腎炎の治療に用いる適応拡大がFDAに承認されたと発表した。12年にヒューマン・ジノム・サイエンシズを36億ドルで買収して入手した抗BLyS完全ヒト化抗体で、全身性エリトマトーデス治療薬として米国で承認されてから9年経ったが、需要が再拡大しており、生産能力の増強を進めている。

448人の活性期ループス腎炎患者を組入れた第3相試験では、ステロイドなどを用いる標準療法にBenlystaを追加した群の腎奏効率が43%となり、偽薬追加群の32%を上回った。

リンク: GSKのプレスリリース

MacroGenics、her2を標的とするFc最適化抗体が承認
(2020年12月16日発表)

MacroGenics(Nasdaq:MGNX)は、FDAがMargenza(margetuximab-cmkb)を承認したと発表した。成人のher2陽性転移乳癌で、転移後を含めて2以上の抗her2レジメン歴を持つ患者が適応になる。化学療法と併用する。

エビデンスである第3相SOPHIA試験では、IHC法で3+またはISH法で陽性のher2陽性転移乳癌でHerceptin(trastuzumab)及びPerjeta(pertuzumab)による治療歴を持つ患者に化学療法(capecitabine、eribulin、gemcitabine、またはvinorelbine)と併用したところ、PFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)がメジアン5.8ヶ月とtrastuzumab・化学療法併用群の4.9ヶ月を上回り、ハザードレシオ0.76、p=0.033だった。全生存期間の解析は未成熟。

転移乳癌におけるPFSはカプランマイヤーカーブが歪になりがちだ。本試験でメジアン値の差がハザードレシオと比べて小さいのも、この歪みが影響したのだろう。進行の判定は主としてCT画像などに基づいて行うので、プロトコルに則り、症状が増悪しなくても定期的にスキャンして確認することになるが、転移性乳癌でよく見られる現象は、対照群は定期検査時期が来る前に検査を受け進行認定されるケースが試験薬群より多く、試験薬群は定期検査時の進行認定が対照群より多くなる。カプラン・マイヤーカーブを見れば定期検査の時期が分かるくらい、歪なラインになりがちだ。本試験のようなオープンレーベル試験では医師のバイアスが検査のタイミング、ひいては進行認定時期を速めてしまう懸念があるのではないかと私は思う。第三者が盲検で査読しているが、担当医が進行例として報告しなかったら査読の対象にならない。

バイアスの余地が小さい全生存の解析を確認したいが、最終解析は21年上期になる見込み。1年前に発表された中間解析ではハザードレシオ0.89、p=0.326、メジアン値は試験薬群19.8ヶ月、対照群は21.6ヶ月と、統計学的にはまだ評価するには早すぎるとはいえ、それほど印象的なものではない。

リンク: 同社のプレスリリース
リンク: FDAのプレスリリース

日光角化症治療薬が承認
(2020年12月15日発表)

Athenex(Nasdaq:ATNX)は、FDAがKlisyri(tirbanibulin)を顔や頭皮の日光角化症の治療薬として承認したと発表した。来年第1四半期に提携先のAlmirall社がロンチする予定。

Srcキナーゼ阻害剤プラットフォームを使って創製したSrc・微小管阻害剤の軟膏。第3相試験二本で顔や頭皮の病変に一日一回、5日間塗布したところ、第57日完全寛解率が5割前後と対照群の1割前後を大きく上回った。有害事象は塗布箇所の掻痒や疼痛が各1割前後の患者で発生した。

リンク: Athenexのプレスリリース





今週は以上です。

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