2020年11月28日

第975回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • COVID-19:トランプ大統領が使った抗体医薬がEUA 
  • COVID-19:アストラゼネカのワクチンも治験成功 
  • COVID-19:レムデシビルの評価分かれる 
  • ブドウ膜黒色腫の第3相試験が成功 
  • FDA、抗GD2抗体を神経芽腫用薬として承認 
  • アルナイラム、原発性高シュウ酸尿症I型用薬が米国でも承認 
  • ゾフルーザが米国で暴露後予防に適応拡大;小児は米国もダメ 


【今週の話題】


COVID-19:トランプ大統領が使った抗体医薬がEUA取得
(2020年11月23日発表)

FDAはリジェネロン・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:REGN)のcasirivimab(REGN-10933)とimdevimab(REGN-10987)をEUA(非常時使用認可)した。軽・中等症のCOVID-19感染症で重症化リスクが高く、発症後10日以内の、成人や12歳以上且つ体重40kg以上の小児に、両剤を1200mgずつ、60分以上かけて点滴静注する。一回投与で足りる。

『重症化リスクが高い』の定義は、BMI≧35、慢性腎疾患、糖尿病、免疫低下疾患、免疫抑制剤使用、年齢65歳以上、55歳以上で心血管疾患や高血圧症、またはCOPDなどの慢性呼吸器疾患、または12~17歳で著高BMI値/鎌状赤血球病/心疾患/脳性まひなどの神経発達障害/気管支切開や胃瘻、陽圧換気を受けている患者、または毎日の服薬が必要な喘息症などの慢性呼吸器疾患。

臨床試験では28日間の入院・ER入室した患者の比率が3%と偽薬群の9%より小さかった。尚、重症化リスクが高くない患者も含む全被験者における比率は各2%と4%となっている。また、この試験では各剤4000mgずつ投与する群も設定されたが、効果は高まらず、過敏反応などの副作用は増加した。

非常に残念なことに、ベースライン時点でで入院・酸素投与が必要な患者に対する便益は確認されておらず、むしろ、ハイフロー酸素や人工呼吸器が必要な重症患者に投与すると悪化させる可能性がある。トランプ大統領は入院前に呼吸困難になり酸素投与を受けたが入院時点では一旦軽快していたと報じられているが、このような患者に投与するのは妥当なのか、避けるべきなのか、悩ましい。

また、上記試験の主評価項目であるウイルス量抑制効果に着目すると、ベースライン時点で抗SARS-CoV-2抗体を持っていた患者には効果が見られなかった。抗SARS-CoV-2抗体の補充療法なので、意外ではない。リジェネロンは治療前にスクリーニングする手法も検討しているが、FDAは無視しているようだ。論拠は不明。ウイルス量より入院・ER入室リスクのほうが重要という判断は賛成できるが、後者のイベント数は各群ごく少数であり、サブグループ評価ができない。抗体保有サブグループの症状軽快までのメジアン期間は各群同程度だった。本当に無視して良いのか、心配だ。

両剤は感染から回復した患者の抗体などから創製したIgG1型ヘテロテトラマー抗体で、リジェネロンは二剤のカクテルをREGN-COV2という開発コードで呼んでいる。連邦政府と4.5億ドル相当の生産・供給契約を結んでおり、今月末までに8万人分、1月末までに30万人分を用意する予定。連邦政府は国民に無償で提供する。1日に20万人近くが診断されている国なので到底足りないが、抗体医薬なので量産が難しいのだろう。

米国外は開発生産提携先のロシュが担当する。二社合計で治療用途に年200万人分、探索中の用途である暴露後予防で年800万人分程度の生産を計画している。

尚、リジェネロンのプレスリリースに明記されているように、両剤はFDAから承認されていない。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: 医療従事者向けファクト・シート(pdfファイル)
リンク: リジェネロンのプレスリリース

COVID-19:アストラゼネカのワクチンも治験成功
(2020年11月23日発表)

アストラゼネカは、オックスフォード大学が創製したCOVID-19ワクチン、AZD1222/ChAdOx1 nCoV-19の第3相試験が中間解析で成功したと発表した。承認審査機関に条件付き承認/早期承認などを申請するとともに、低所得国でも使えるようにWHOにEUL(非常時使用リスティング)を求める考え。

このワクチンは、増殖不能処理を行った遺伝子組換え型チンパンジー・アデノウイルス(ChAdOx1)にSARS-CoV-2のスパイク蛋白の遺伝子などを導入したもので、接種後に体内で当該遺伝子が翻訳され、抗原となる。ChAdOx1技術のワクチンは過去に300人程度の接種実績しかなく、大規模な試験はCOVID-19ワクチンが初めてだ。

中間解析の対象は英国の第2/3相試験とブラジルの第3相試験。18歳以上の患者に1ヶ月以上おいて二回接種し、終了後更に14日経った後の感染を追跡した。英国試験では週一回、拭い液を検査して感染の有無を確認した。対照群は、英国試験は髄膜炎菌結合ワクチン、ブラジル試験は二回目の接種は偽薬を使った。

用量は5x10^10 vp(ウイルス・パーティクル)を使ったが、一部の患者は一回目に半量しか接種しなかった。報道によると、オックスフォード大学が至適用量を誤解していたことにアストラゼネカが気付き、二回目とその後に開始した被験者は全量を接種したという経緯のようだ。

実際は、誤解していたのはアストラゼネカのほうかもしれない。初回半量サブグループ2741人におけるワクチン効率は90%、全量サブグループ8895人では62%、合計では70.4%で、何れもp≦0.0001という結果になったからだ。忍容性についてはワクチン関連の深刻有害事象はなかったことだけが開示された。

効果に付いて二点、検討したい。先に第3相結果が発表されたmRNAワクチン二品のワクチン効率は95%前後なので、70.4%というのは見劣りする。当方で前提を置いて推算したところ95%信頼区間は55~80%となった。BNT162b2は90~97%、mRNA-1237は86~98%なので、重なっていない。但し、英国試験は無症候感染者も多く検出しているはずなので、ワクチンのお陰で症状が出ないで済んだような患者は、本試験では感染と診断されるが他の試験では診断されないような現象が起きても不思議ではない。夫々のワクチンの試験における症候性感染者だけのデータが明らかになればリンゴとリンゴを比較することが可能になるだろう。

奇妙なのは初回半量サブグループのほうが好成績であることだ。ウイルスベクターに対する抗体が影響しているのかもしれない。

アデノウイルスは抗体を持っている人が少なくなく、そのような人がアデノウイルスを使ったワクチンを接種しても抗原遺伝子が発現される前にウイルスが抗体に攻撃されて、十分な効果を発揮できないことになりかねない。現に、CanSino Biologics(HKEX:6185)のアデノウイルス5(Ad5)-nCOVワクチンの第2相では、抗Ad5抗体保有者における免疫原性が小さかった。この現象を回避するために、ロシアが世界に先駆けて接種開始したスプートニクVワクチンは一回目はAd26ベース、二回目はAd5ベースと、ウイルスベクターを使い分けている。

オックスフォード大学がヒトではなくチンパンジーに感染するウイルスを使っているのも同じ理由だ。しかしそれでも、二回接種すると一回目にできた抗体が二回目はもっと強力にワクチンを分解してしまうかもしれない。このような現象が過去の試験で見られたのかどうか、気になるところだ。

尤も、初回半量サブグループの成績が全量サブグループより良いと断定できるかどうかは曖昧だ。そこで、再び95%信頼区間を推算してみた。全体の感染者数は131人と発表されている。対照群の被験者数はワクチン群の対応するサブグループと同じ、感染率は対照群全体の感染率と同じと前提した。結果は、初回半量サブグループのワクチン効率の95%信頼区間は63~98%、全量サブグループは42~75%となった。63~75%の部分が重なっているので、二つの解析結果が矛盾するとは言い難いことになる。

アストラゼネカは初回半量レジメンを承認申請する考えだが、点推定値が示すほど効果が高いかどうかは議論の余地がありそうだ。

さて、アストラゼネカは米国でEUAを得ることができるだろうか?米国でも別途、第3相試験を行っているが、9月に英国試験で横断性脊髄炎様症例が発見されたため中断、英国は数日後に再開できたが、米国は10月23日まで再開認可が下りなかったため、遅れているはずだ。FDAはCOVID-19被害者が多いアフリカ系などマイノリティを一定割合組入れるようワクチン開発者に要請しているが、英国とブラジルのデータだけでは充足できないのではないか。

AZD1222の長所は、通常の冷蔵設備で6ヶ月以上、保存や輸送が可能であること。特に低所得国では好都合だ。アストラゼネカ/オックスフォード大学は、パンデミック下では製造コストに治験費用として20%を上乗せした価格、つまり、利益ゼロで供給するとコミットしており、事実、ブラジルなどとの供給契約では一回分が2~4ドルとmRNAワクチンの10分の1程度に留まっている。価格の点でも低所得国には魅力的だ。

リンク: アストラゼネカのプレスリリース

COVID-19:レムデシビルの評価分かれる
(2020年11月25日発表)

FDAは10月にギリアド・サイエンシズのVeklury(remdesivir)をCOVID-19入院患者の治療薬として本承認したが、11月20日にWHOがSOLIDARITY試験の結果に基づいて使用を推奨しない暫定的ガイドラインを刊行したことに触発されたのか、承認の根拠を改めて説明するプレスリリースを発出した。主要エビデンスであるACTT-1試験が無作為化割付偽薬対照二重盲検であるのに対して、SOLIDARITY試験は複数の介入方法を標準療法だけの群と比較した、偽薬を使わないオープンレーベル試験であることや、ACTT-1試験で示された、回復を早めたり症状を改善したりする効果はSOLIDARITY試験でも否定されていないことを指摘した。

ACTT-1試験のデザインのほうが優れているのは確かであり、特に、症状改善のようなソフトな評価項目は二重盲検が重要だ。しかし、例えば人工呼吸器装着のようなイベントは、その医療施設/国の慣習や機器のアベイラビリティによって、時期がずれる可能性がある。評価項目(効能)としては罹患期間より死亡リスク削減のほうが価値が高いが、ACTT-1試験は十分な検出力がなかった。

SOLIDARITY試験のもう一つの価値は症例数が多いことだ。remdesivirの解析に用いられた症例だけでも5000人を超え、ACTT-1試験の5倍だ。治療に忙殺される時期に、治験の概要を説明して患者同意書を取得し、様々なデータを都度報告しなければならない現場の負担を多少でも緩和すべく二重盲検を採らず、オープンレーベル試験の欠点を少しでも緩和すべくハードな評価項目を採用し、そのために多くの患者を組入れた。

従って、この二本はどちらも一長一短であり、どちらかを依怙贔屓することはできないだろう。

remdesivirの試験成績で溜息が出るのは、サブグループ分析や他の試験の成績が区々であることだ。下表のように、ベースライン時点で人工呼吸器/ECMO装着患者に関しては、どちらの試験でも、死亡リスクが高まる可能性が示されている。統計的に有意ではないが、十分な検出力はないだろうから、安全性指標に関する鉄則である、『疑わしきはクロ』を当てはめる必要があるのではないか?

ギリアド自身が主導した、酸素投与を必要としない入院患者のオープンレーベル試験では、5日コースの症候改善オッズ比が標準療法のみの群より有意に高かったが、10日コースは大差なかった。10日経たないうちに退院した患者が多かったため10日コースのメジアン投与期間は6日に留まっており、1日かそこらの違いで明暗が分かれたのは理解に苦しむ。

FDAは年齢12歳以上、体重40kg以上の全ての入院患者に使うことを承認しているが、様々な組織のガイドラインは、人工呼吸器/ECMO装着患者には推奨しなかったり、区々だ。新たな臨床試験が行われることはないだろうから、今後も不透明感が続くことになる。

二試験の概要

SOLIDARITYACTT-1
地域世界欧米亜
薬効解析対象数5,4511,062
二重盲検×
BL重症比率76%89%
発症後メジアン経過日数不明6日
死亡リスクRR 0.95 nsHR 0.73 ns
(BL酸素投与無し)0.900.82
(BL酸素投与)0.85-
(BLローフロー酸素)0.30
(BLハイフロー酸素)1.02
(BL人工呼吸器)1.201.13
退院リスク不明RR 1.29 ss
注:BL=ベースライン、RR=レート比、HR=ハザードレシオ、ss=統計的に有意、ns=有意ではない。重症は酸素投与以上の措置が必要な状態を指す。
出所:SOLIDARITY試験論文草稿やACTT-1試験論文から作成

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: WHOのプレスリリース(11/20付)
リンク: EMAのプレスリリース(11/20付)
リンク: SOLIDARITY試験論文草稿(medRxiv)
リンク: ACTT-1試験論文(New England Journal of Medicine)


【新薬開発】


ブドウ膜黒色腫の第3相試験が成功
(2020年11月23日発表)

オックスフォード大学発のベンチャーであるImmunocore(未上場)は、IMCgp100(tebentafusp)の第3相ブドウ膜黒色腫試験が中間解析で成功したと発表した。承認申請に向かうのではないか。

ブドウ膜黒色腫は新患が世界で年8000人、米国だけだと1600~2000人の希少疾患。手術や放射線療法などで治療されるが、5割は転移し、その5割は1年以内に死亡すると言われている。腫瘍学では抗PD-1/PD-L1抗体が席巻しているが、ブドウ膜黒色腫は遺伝子変異が少ないため免疫療法応答性が低い。

IMCgp100は親和性増強可溶性T細胞受容体と抗CD3短鎖可変領域フラグメントの融合蛋白。腫瘍細胞の表面のペプチド・HLA複合体で抗原提示されるgp100を認識し、T細胞を活性化させる。

HLA-A*0201陽性患者の転移ブドウ膜黒色腫378人を組入れて一次治療における延命効果を医師が選んだ薬(8割の医師がKeytruda(pembrolizumab)を選択)と比較した第3相試験ではハザードレシオが0.51、p値は0.0001を下回った。カプラン・マイヤー推定による1年生存率は73%で対照群の58%を上回った。

リンク: 同社のプレスリリース


【承認】


FDA、抗GD2抗体を神経芽腫用薬として承認
(2020年11月25日発表)

FDAはY-mAbs Therapeutics(Nasdaq:YMAB)のDanyelza(naxitamab-gqgk)を難治/再発性高リスク神経芽腫用薬として加速承認した。骨/骨髄の神経芽腫で前治療に安定化以上の反応を示した1歳以上の小児や成人が適応になる。4週サイクルで第1、3、5日に3mg/kgを点滴静注する。サイクル開始前後の5日間にGM-CSFを一日一回、皮注する。

エビデンスは第二相試験の反応率および反応持続期間。201試験ではORR(客観的反応率)が45%、その30%で反応が6ヶ月以上持続した。12-230試験では各34%と23%だった。

深刻な点滴関連反応と神経毒性(重度神経性疼痛、横断性脊髄炎、可逆性後頭白質脳症症候群など)が枠付警告された。外来治療可能だが、投与前にプリメディケーションを行い、治療後は2時間、密接にフォローする。

DanyelzaはMemorial Sloan Kettering Cancer Center(MSK)の研究者が創製した抗GD2ヒト化抗体。 Thomas Gad会長兼創業者兼社長は娘が2歳の時に高リスク神経芽腫と診断され、MSKで抗GD2マウス抗体による治療を受けた。再発後は抗B7-H3抗体omburtamabベースの治療も受けた。Gad会長はnaxitamabとomburtamabをライセンスして開発、後者の承認申請は受理されなかったのでやりなおしになるが、Danyelzaの承認で最初の目標を達成した。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: y-mAbsのプレスリリース

アルナイラム、原発性高シュウ酸尿症I型用薬が米国でも承認
(2020年11月23日発表)

FDAは、アルナイラム・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:ALNY)のOxlumo(lumasiran)を小児・成人の原発性高シュウ酸尿症I型(PH1)治療薬として承認した。EUでも今月、承認されている。

PH1はアラニン:グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼの欠損により肝臓内にグリオキシル酸が蓄積する。シュウ酸過剰になりカルシウムが腎臓などで蓄積、腎障害や尿路結石を合併する。患者数は欧米で1000~1700人と推定されている。

アルナイラムはRNA介入に特化した新薬開発販売会社。Oxlumoはグリコール酸酸化酵素の遺伝子であるHAO1のmRNAに介入する。3ヶ月毎に皮注する。臨床試験では尿と血漿のシュウ酸が減少した。重度あるいは深刻な有害事象は発生しなかった。投与実績は月齢4ヶ月から61歳まで幅広い。

同社は希少小児疾患用薬優先審査バウチャを取得した。希少疾患や小児疾患だけでなく様々な病気の治療薬の承認申請を行う時に、このバウチャを使って優先審査を求めることができる。転売も可能で、最近では他社が1億ドル弱で売却した。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: アルナイラムのプレスリリース(11/24付)

ゾフルーザが米国で暴露後予防に適応拡大;小児は米国もダメ
(2020年11月23日発表)

FDAはロシュのXofluza(baloxavir marboxil)をインフルエンザ感染者に接触した12歳以上の小児と成人の発症を予防する、暴露後予防に適応拡大した。塩野義製薬が創製した画期的な作用機序を持つインフルエンザ治療薬で、今回の用途は10月に日本で第二部会を通過、11月にはEUでCHMPの肯定的意見を得た。日本で実施された感染者の家族を組入れた臨床試験では、10日間の発症率が1%と偽薬群の13%を大きく下回った。有害事象発現率は各22.2%と20.5%だった。被験者の3/4は家族の発症後24時間以内に投与を受けており、曝露後予防というよりは発症前の早期に治療したという印象。受験に備えてタミフルを服用する予防法とは異なる。

先に発売された日本を中心に因果関係を否定できないアナフィラキシーやショックが十例以上、報告されており、FDAもプレスリリースにリスクを明記した。更に、乳製品やカルシウム強化飲料、緩下剤、制酸剤、カルシウムあるいは鉄、マグネシウム、セレン、アルミ、亜鉛、を含有する経口サプルメントと一緒に服用しないよう注意した。

ロシュと塩野義製薬は12歳未満の小児の治療や予防でも申請したが、FDAも、第二部会も、CHMPも、首肯しなかった。臨床試験で変異ウイルスの発現がしばしば見られたことが原因だろう。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: ロシュのプレスリリース(11/24付)







今週は以上です。

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