【ニュース・ヘッドライン】
- 大塚、Dacogen改良薬の最初の第三相がフェール
- Nektar社、新規鎮痛剤の承認申請をFDAが受理
- Nektar社、新規鎮痛剤の承認申請をFDAが受理
- Progenics社の放射線療法薬をFDAが承認
- 塩野義、ムルプレタが米国でも承認
- ノバルティス、EUで片頭痛予防薬が承認
- 大塚、レキサルティがEUで承認
- オプジーボ、EUで黒色腫切除術後アジュバントに適応拡大
- EMA、自主回収中の降圧剤の癌のリスクは5000人に一人
【新薬開発】
大塚、Dacogen改良薬の最初の第三相がフェール
(2018年7月31日発表)
大塚製薬と米国子会社のアステックスは、SGI-110(guadecitabine)の第三相試験がフェールしたと発表した。強度化学療法が不適なAML(急性骨髄性白血病)の一次治療における全生存期間や完全寛解率を実薬(低用量cytarabine、decitabine、azacytidine)と比較したが、有意に上回ることができなかった。
このDNAメチル化阻害剤は、大塚が13年に子会社化したアステックスが開発したdecitabineのプロドラッグで、分布や半減期を向上。DNA外からDNAメチルトランスフェラーゼ1を阻害できる特性もあるようだ。Dacogenは米国ではMDS(骨髄異形成症候群)にしか承認されていないが欧州では強度化学療法不適の一次性、二次性AMLの一次治療にも承認されている。
改良薬の宿命は効果または安全性が既存薬を上回らなければならないこと。既にGE化したdecitabineと同じでは新薬の高薬価を正当化できないからだ。
guadeceitabineはAMLの再発治療や、MDSまたは慢性骨髄単球性白血病(CMML)の再発治療でも第三相試験が進行中。
リンク: 大塚製薬のプレスリリース(和文)
【承認申請】
Nektar社、新規鎮痛剤の承認申請をFDAが受理
(2018年7月30日発表)
Nektar Therapeutics(Nasdaq:NKTR)は、FDAがNKTR-181の承認申請を受理したと発表した。新開発の経口ミュー・オピオイド受容体(OPRM1;MOR)アゴニストで、オピオイド治療歴のない慢性腰痛の治療に用いる。米国ではオピオイドの乱用が重大な社会問題・政治問題になっている。NKTR-181はどのような経路で摂取してもBBB通過が遅いため、薬物乱用されにくい可能性がある。審査期限は来年5月29日。
リンク: Nektarのプレスリリース
【承認】
Progenics社の放射線療法薬をFDAが承認
(2018年7月30日発表)
FDAは、Progenics Pharmaceuticals(Nasdaq:PGNX)のAzedra(iobenguane I 131)を12歳以上の褐色細胞腫や傍神経節腫の治療に用いることを承認した。これらの疾患で抗癌剤が承認されたのは初。ヨーベングアン・スキャン陽性の、切除不能または局所進行性転移性で、全身性抗がん剤を必要とする患者が適応になる。後期第二相試験では25%の患者が降圧剤を半減することができた。二次的評価項目であるRECISTベースの総合反応率は22%だった。
3ヶ月置いて二回、静注する。価格は一回147000ドルとなる模様。
リンク: FDAのプレスリリース
リンク: Progenicsのプレスリリース
塩野義、ムルプレタが米国でも承認
(2018年8月1日発表)
塩野義製薬の米国子会社は、FDAがMulpleta(lusutrombopag、和名ムルプレタ)を待機的な観血的手技に関連する出血リスクが高い慢性肝疾患患者における血小板減少症の治療薬として7月31日に承認したと発表した。発売は9月の予定。
トロンボポエチン受容体作動薬で、日本では15年に承認されている。
リンク: 塩野義のプレスリリース
ノバルティス、EUで片頭痛予防薬が承認
(2018年7月30日発表)
ノバルティスは、Aimovig(erenumab)がEUで片頭痛薬として承認されたと発表した。アムジェンが創製した抗CGRP受容体完全ヒト化抗体で、月一回皮注。両社はアルツハイマー病や片頭痛領域で共同開発提携を結んでおり、Aimovigはノバルティスが欧州などの販売を担う。共同販売する米国では5月に承認された。
臨床試験では慢性片頭痛の月間片頭痛日数が6日強減少し、偽薬群の4日強減少を上回った。間歇片頭痛試験では、各3日前後と2日弱減少した。
リンク: ノバルティスのプレスリリース
大塚、レキサルティがEUで承認
(2018年7月31日発表)
大塚製薬は、Rxulti(brexpiprazole、米名Rexulti、和名レクサルティ)がEUで承認されたと発表した。非定型向精神薬Abilify(aripiprazole)の構造転換で、統合失調症の治療に用いる。ルンドベックと共同開発販売しており、19年前半に発売の予定。米国では15年に承認されている。
リンク: 大塚のプレスリリース(pdfファイル)
オプジーボ、EUで黒色腫切除術後アジュバントに適応拡大
(2018年7月31日発表)
BMSは、OPdivo(nivolumab)を悪性黒色腫完全切除後のアジュバント(再発予防)に用いる適応拡大がEUで承認されたと発表した。CheckMate-238では18ヶ月無再発生存率が66.4%とYervoy(ipilimumab)群の52.7%を有意に上回った。米国でも昨年12月に承認されている。
リンク: BMSのプレスリリース
【医薬品の安全性】
EMA、自主回収中の降圧剤の癌のリスクは5000人に一人
(2018年8月2日発表)
Zhejiang Huahai Pharmaceuticalで製造された原薬を使用している一部のバルサルタン製剤が世界中で自主回収されている。理由は、発がん物質であるN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)の混入が発覚したため。2012年の新生産プロセス導入がきっかけと疑われているようだ。
EMAのリリースで目を引くのは、動物試験での観察を元に癌のリスクを暫定的に推測していることだ。最大承認用量の320mg/日を7年間服用し続けたとして、癌の増加は5000人に一人とのこと。EU市民が一生のうちに癌になるリスクは3人に一人と明記しており、相対的には大きなリスクではないことになる。
問題の原薬を使用していた製薬会社は、製品サンプルを検査してNDMA混入量を確認することになっている。
医薬品審査機関は、自主回収や安全性懸念が浮上するたびに、担当医に相談せずに服薬を止めないよう念を押すのが通例である。だが、患者側としては辛い物を食べた途端に勝手に吐き出してはいけないと言われるようなもので、どうしたらよいのか当惑するばかりだ。それだけに、EUが具体的な推定数字を示したことは評価できる。
リンク: EMAのプレスリリース
今週は以上です。
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