2024年2月25日

第1143回

【ニュース・ヘッドライン】

  • HIV治療薬を飲みたがらない患者には持効性注射薬 
  • タグリッソ、肺癌CRT後維持療法試験が成功 
  • デュピクセントを好酸球性COPDにも申請 
  • セルヴィエ、IDH阻害剤を欧米申請 
  • BMS、KRAS阻害剤を大腸癌に適応拡大申請 
  • 第一三共、第3の抗体医薬を承認申請 
  • 遅報:ネモリズマブが欧米でも承認申請 
  • 遅報:デニロイキンを米国で再申請 
  • 複雑性尿路感染症の複合セフェム、承認がお預けに 
  • FDA、Pepaxtoの承認取消しを遂に決定 
  • CHMP、ALS用薬などの承認に肯定的意見 
  • ESBL産生菌にも強い複合セフェムが承認 
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【新薬開発】


HIV治療薬を飲みたがらない患者には持効性注射薬
(2024年2月21日発表)

NIAID(米国立アレルギー・感染症研究所)は、第3相LATITUDE試験の盲検を解除し、経口標準療法群の患者にViiVヘルスケアの持効性注射用薬、Cabenuva(cabotegravir、rilpivirine)にスイッチするよう提案することを決定した。中間解析で全ての評価項目における優越性が見られたため。アドヒアランス(指示通り服薬)に難のあるHIV/AIDS患者にはCabenuvaのほうが良いことが示唆された。但し、データは未公表なので不透明な点が多々ある。

この試験は、共同治験グループのACTGが米国の施設でアドヒアランスに難のあるHIV/AIDS患者を組入れて実施した。ロンチは2019年で、Cabenuvaの承認の2年前。最初にSOC(経口剤3剤による標準療法)を24週間施行してウイルスを抑制してから、継続投与する群とCabenuvaにスイッチする群に無作為化割付けして48週間投与し、治療フェール率(HIV-1 RNAが200c/mL以上に増加、または試験薬の永続的中止)を比較した。

良く分からないのは、アドヒアランスに難がある人がなぜ当初の24週間の治療でウイルス抑制できたのか?おそらく、200c/mLまたは50c/mLの閾値を下回った患者だけを無作為化割付けしたのだろうが、何れにせよ、アドヒアランスに難のある人の中で比較的悪くない人だけをスクリーニングすることにならなかっただろうか?治験登録によると、当初治療段階では目標を達成した被験者に経済的インセンティブを与えたとのことなので、無作為化割付け期間に入った途端、アドヒアランスが本来の姿に戻って急悪化したということなのだろうか?

もう一つの疑問は、前後して実施された承認申請用第3相試験で優越性が見られなかったこととの整合性。初めて治療を受ける患者と、治療歴のある患者の二本の試験とも、48週フェール率(HIV-1 RNAが5c/mL超に増加)が2%となり、SOC継続投与群の各2%と1%と比べて劣っていなかった。
投与中止・追跡不能率はCabenuva群は4%と6%、SOC群は二本とも4%だった。おそらく、LATITUDE試験はこの指標の群間差が大きかったのだろう。

リンク: NIAIDのプレスリリース
リンク: 治験登録(ClinicalTrials.gov)
リンク: ViiVのプレスリリース


タグリッソ、肺癌CRT後維持療法試験が成功
(2024年2月19日発表)

アストラゼネカは、EGFR阻害剤Tagrisso(osimertinib)の第3相LAURA試験で主目的を達成したと発表した。データは学会発表する考え。適応拡大申請も計画している。

切除不能なステージIII非小細胞性肺癌でEGFRに変異を持つ患者216人を組入れて、治癒的化学放射線療法後の維持療法として80mgを一日一回投与したところ、PFS(無進行生存期間)が偽薬比統計的有意な、かつ臨床的に意味のある、改善を見た。副次的評価項目の全生存期間は未成熟で今後も継続するが、改善のトレンドが示された。

Tagrissoはある種のEGFR変異を持つ成人の非小細胞性肺癌のうち、以下のセッティングで使用することが米国などで承認されている:切除可能癌では摘出術後付随療法として単剤投与、局所進行癌では化学療法併用、転移癌では化学療法併用または単剤投与、そしてEGFRチロシン・キナーゼ阻害による治療歴を持つ癌に単剤投与だ。パズルの残ったマス目がまた一つ埋まりそうだ。

リンク: 同社のプレスリリース

【承認申請】


デュピクセントを好酸球性COPDにも申請
(2024年2月23日発表)

Regeneron Pharmaceuticals(Nasdaq:REGN)と開発販売パートナーのサノフィは、Dupixent(dupilumab)を成人の二型炎症を伴うCOPD(慢性閉塞性肺疾患)に用いる適応拡大を米国で承認申請し受理された。既存薬で治療しても増悪を十分に防げない、管理不良患者に追加投与する。第3相試験では中重度急性増悪頻度が偽薬群より一本では30%、もう一本では34%、少なかった。優先審査を受け、審査期限は24年6月27日。承認されたら米国で30万人程度が適応になると推定されている。

リンク: 両社のプレスリリース


セルヴィエ、IDH阻害剤を欧米申請
(2024年2月20日発表)

セルヴィエは欧米でvorasidenibをIDH変異のあるびまん性グリオーマ用薬として承認申請し受理された。米国は優先審査を受け審査期限は8月20日。EUでも加速審査を受け、年後半に結果が出る見込み。

成人型びまん性グリオーマの2割、ステージ2や3では100%で見られるIDH1/2変異を標的とする経口剤。20年にAgios Pharmaceuticalsから腫瘍学事業を買収して入手した。IDH変異陽性グレード2グリオーマで切除術後に病変が残存または再発し初めて薬物治療を受ける患者を組入れた第3相試験で、PFS(無進行生存期間、盲検独立評価委員会による放射線学的評価)の偽薬比ハザードレシオが0.39、メジアン値は27.7ヶ月と11.1ヶ月だった。G3以上の有害事象発生率は22.8%(偽薬群は13.5%)、G3以上のALT上昇が9.6%(同0%)で発生した。

リンク: セルヴィエのプレスリリース


BMS、KRAS阻害剤を大腸癌に適応拡大申請
(2024年2月20日発表)

ブリストル マイヤーズ スクイブはKrazati(adagrasib)をKRASにG12C変異を持つ局所進行/転移結腸直腸癌に適応拡大申請し受理された。cetuximabと併用する。優先審査を受け、審査期限は6月21日。

エビデンスは、様々な腫瘍に様々な薬と併用または単剤投与する便益を検討しているKRYSTAL-1試験におけるORR(客観的反応率)とのこと。

1月に48億ドルで買収したMirati TherapeuticsのKRAS-G12C阻害剤で、22年に米国でKRAS-G12C変異陽性の局所進行/転移非小細胞性肺癌の2次治療薬として加速承認、先月にはEUでも条件付き承認された。

リンク: BMSのプレスリリース


第一三共、第3のADCを承認申請
(2024年2月19日発表)

第一三共は、アストラゼネカと共同開発している抗体薬物複合体(ADC)、DS-1062(datopotamab deruxtecan、通称Dato-DXd)を米国で承認申請し受理されたと発表した。審査期限は12月20日。

非小細胞性肺癌などで発現するTROP2(別名EGP-1)を標的とする抗体とトポイソメラーゼ阻害剤を1対4の比率で結合したもの。非扁平上皮非小細胞性肺癌の2/3次治療に用いることを想定している。

第3相TROPION-Lung01試験で、白金薬、及び、分子標的薬が適応になる場合は当該薬、それ以外は抗PD-1/L1抗体による治療歴を持つ進行/転移非小細胞性肺癌約600人を組入れて6mgを3週毎点滴静注する効果を実薬であるdocetaxelと比較したところ、PFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)のハザードレシオが0.75と統計的に有意な改善を見た。メジアン値は4.4ヶ月対3.7ヶ月とあまり大きな差がない一方で、12ヶ月無進行生存率は30%対18%と比較的大きな差が出ている。共同主評価項目である全生存期間は未だ成熟していないが、昨年のESMO(欧州臨床腫瘍学会)での発表によると、ハザードレシオ0.90、メジアン値は12.4ヶ月対11.0ヶ月と、あまり大きな差は出ていない。有害事象面ではG3以上の間質性肺疾患(査読後)の発生率が3.4%対1.4%と上回り、過半は死亡した。その過半は病気の進行が原因と見なされているが、気になるところではある。実薬対照試験なので満足すべき、副作用で一人死んでも50人の寿命が1ヶ月延びるなら受け入れるべき、と考えることもできるが、shouldではないだろうから、難しい所だ。

会社側も悩んだのだろう、数値が良好な非扁平上皮サブグループに限定して申請した。PFSのハザードレシオは0.63、メジアン5.6ヶ月対3.7ヶ月、全生存でもハザードレシオ0.77と、臨床的に意味のある差が示唆されている。一方で、扁平上皮肺癌サブグループの全生存期間はdocetaxelより数値上短いことになり、その原因分析も並行して行う必要があるだろう。

悩ましさを一層高めるのは、ギリアド・サイエンシズの抗EGP-1抗体Trodelvy(sacituzumab govitecan-hziy)の類似した内容・規模の第3相、EVOKE-01試験がフェールしたことだ。全生存期間がdocetaxelを有意に上回らず、扁平上皮腫でも、それ以外でも、数値上上回るだけだった。完全に同じ薬の完全に同じ試験ではないので比較検討できない可能性もあるし、この種の食い違いは特に珍しくもないが、検討課題にはなりうる。

非扁平上皮腫限定でも優先審査指定されなかったところを見ると、FDA側も念入りな検討が必要と考えているのではないか。

リンク: 同社ののプレスリリース(和文、pdfファイル)


遅報:ネモリズマブが欧米でも承認申請
(2024年2月14日発表)

スイスのガルデルマは欧米でnemolizumabを結節性掻痒と青年成人の中度アトピー性皮膚炎の治療薬として承認申請し受理されたと発表した。米国は優先審査を受ける。

中外製薬から日本と台湾以外の市場でライセンスした皮下注用抗IL-31受容体A抗体。日本はマルホが皮膚科領域における開発販売権を取得、22年にアトピー性皮膚炎用薬ミチーガとして承認取得した。

ガルデルマが実施した第3相では、奏効率(IGAが0または1に改善)が結節性掻痒試験では一本が26%(偽薬群は7%)、もう一本は36%(同11%)、アトピー試験では36%(同25%)と38%(同26%)だった。

リンク: ガルデルマのプレスリリース


遅報:デニロイキンを米国で再申請
(2024年2月13日発表)

米国ニュージャージー州のCitius Pharmaceuticals(Nasdaq:CTXR)は、Lymphir(denileukin diftitox)を米国で再承認申請したと発表した。全身性治療歴を持つ成人の難治/再発皮膚T細胞リンパ腫用薬として承認申請したが、23年に審査完了通知を受領したため、製造過程における検査や管理に関する指摘事項に対応・回答したもの。

99年に米国で承認されたONTAK(denileukin diftitox)の高純度新製剤。16年にエーザイから日亜以外での開発販売権を取得したDr. Reddy'sから21年に権利を取得したもの。臨床試験ではステージI~IIIサブグループにおけるORR(客観的反応率、独立評価委員会方式)が36.2%で、95%信頼区間の下限は成否判定閾値である25%と同じだった。メジアン反応持続期間は6.5ヶ月。

Citiusは承認取得後に事業をスピンアウトする考えである模様。

リンク: Citiusのプレスリリース

【承認審査・委員会】


複雑性尿路感染症の複合セフェム、承認がお預けに
(2024年2月23日発表)

米国ペンシルバニア州の未上場新興製薬会社、Venatorx Pharmaceuticalsは、cefepimeと新開発のベータ・ラクタマーゼ阻害剤taniborbactamを感受する微生物による複雑性尿路感染症の治療薬として承認申請していたが、審査完了通知を受領した。CMC(化学、製造、管理)に関わる指摘事項があった模様。薬効や安全性に関する問題は指摘されていない由。

第3相試験では、meropenemを投与した群と比べて奏効率の非劣性検定が成功し、シーケンシャルに実施された優越性検定も成功した。米国ニュージャージー州の未上場製薬会社、Melinta Therapeuticsが米国の開発商業化権を保有している。

リンク: Venatorxのプレスリリース


FDA、Pepaxtoの承認取消しを遂に決定
(2024年2月23日発表)

FDAは3年前に多発骨髄腫のサルベージ療法として加速承認したOncopeptides(Nasdaq Stockholm:ONCO)のPepaxto(melphalan flufenamide)に関して、承認取消しを決定した。市販後薬効確認pomalidomide対照試験がフェールし、PFS(無進行生存期間、治験医評価)が有意に伸びなかっただけでなく、全生存期間のハザードレシオが1.10、メジアン値は19.7ヶ月対25ヶ月と、死亡リスクが高まる可能性が浮上。2023年の法改正を生かして、迅速承認取消に動いた。

欧州では昨年12月に3次治療薬として承認された。同社は承認撤回を示唆したことがあるが、決定ではないようだ。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: Oncopeptidesのプレスリリース


CHMP、ALS用薬などの承認に肯定的意見
(2024年2月23日発表)

EUの薬品審査機関であるEMAの医薬品科学的評価委員会、CHMPは、以下の新薬などの承認に肯定的意見を纏めた。順調なら2~3ヶ月以内にEU全域で承認されることになる。

リンク: EMAのプレスリリース

バイオジェンのQalsody(tofersen)は成人のSOD1(スーパーオキシドディスムターゼ1) 変異型ALS(筋委縮性側索硬化症)のアンチセンス薬。ALSの2%程度、家族性ALSの10%程度が該当する。米国で昨年4月に加速承認、CHMPは例外的環境条項に基づく承認を是認した。臨床試験で脳脊髄液中のSOD1や血漿中のニューロフィラメント軽鎖(神経損傷のマーカー)が減少した。ALSFRS-R機能評価尺度の改善は有意ではなかったが好ましい影響があった。ALSの平均生存期間は2~5年とされるので延命効果が望まれるが、確認されてはいない。

リンク: EMAのプレスリリース

Filspari(sparsentan)はアンジオテンシンIIタイプ1受容体とエンドテリンA受容体のアンタゴニスト。成人の原発性IgA腎症の治療に用いる。昨年2月に米国で加速承認、CHMPも条件付き承認に肯定的意見をまとめた。蛋白尿減少や、腎疾患の進行遅延の便益を持つ。深刻副作用は急性腎障害など。催奇性がある。CSLグループのVifor PharmaがTravere Therapeutics(Nasdaq:TVTX)から欧州などにおける権利を取得したもの。オリジンはブリストル マイヤーズ スクイブのようだ(BMS-346567)。

腎症治療薬の開発は第3相の中間解析で尿蛋白クレアチニン比の改善作用を確認して加速/条件付き承認を申請し、最終解析でeGFR改善作用を確認して本承認に切替えるのが一般的な手順のようだが、Filspariは最終解析でFDAが推奨する解析方法による主評価項目がフェールした。EU推奨方法による副次的評価は高度ではないものの有意だったので、両機関の評価が注目されたが、CHMPは腎疾患の進行遅延と明記しており、試験成功と受け止めたのだろう。

リンク: EMAのプレスリリース

アストラゼネカ・グループのAlexionのVoydeya(danicopan)は補体D因子を阻害する経口剤。成人のPNH(発作性夜間ヘモグロビン尿症)で、同社の補体C5因子阻害剤Soliris(eculizumab)やUltomiris(ravulizumab)による治療を受けても残余溶血性貧血症のある患者に追加投与する。肝機能検査値異常やブレークスリー溶血が生じることがある。他の補体阻害剤と同様に、癌や血液異常の潜在的リスクを否定することができないため監視が必要。1月に日本で承認された。

リンク: EMAのプレスリリース

BeiGene(百済神州、Nasdaq:BGNE、HKEX:6160)のTizveni(tislelizumab)は抗PD-1抗体。成人の局所進行切除不能/転移NSCLC(非小細胞性肺癌)に関する3適応・用法が支持された(腫瘍細胞の50%以上でPD-L1陽性かつEGFR/ALK変異の無い非扁平上皮NSCLCの一次治療にpemetrexed及び白金薬と併用、扁平上皮NSCLCの一次治療にcarboplatin及び(nab-)paclitaxelと併用、そして、白金薬と、もし適応になるならEGFRやALKの分子標的薬による治療歴のあるNSCLCにモノセラピー)。

この活性成分は食道扁平上皮腫の二次治療薬Tevimbraとして昨年9月にEUで承認されているが、NSCLC用途は別製品という扱いのようだ。

21年にノバルティスが欧米日本などの権利をライセンスしたが、FDAが中国だけで実施された試験に疑問を呈したためか、23年9月に返還した。今回の適応のうち、一次治療は中国試験に基づくものと推測される。

リンク: EMAのプレスリリース

インサイトのZynyz(retifanlimab)も抗PD-1抗体。成人の治癒的手術や放射線療法の対象にならない転移/難治局所進行メルケル細胞腫に単剤投与する。条件付き承認ではない。米国では昨年3月に加速承認された。

リンク: EMAのプレスリリース

CSL SeqirusのA(H5N1)インフルエンザ・ワクチン二品も肯定的意見を得た。一つはzoonotic(人獣共通感染症)ワクチンCelldemic。動物由来の感染症が流行した時に用いる。もう一つはパンデミック・ワクチンIncellipan。条件付き承認で、A(H5N1)型インフルエンザの流行時にパンデミック・ワクチンとして最終承認を申請する。どちらも弱毒化A/turkey/Turkey/1/2005 (H5N1)株 (NIBRG 23)から精製したヘマグルチニンとノイラミニダーゼ表面抗原を配合、MDCK細胞で培養、M59C.1アジュバントを添加、7.5mcg/0.5mL懸濁液。中身は同じようなもので薬事法上の取り扱いが異なるだけなのではないかと感じられる。米国でも20年に同社のAudenzaというパンデミック・ワクチンが承認されている。

リンク: EMAのプレスリリース(Celldemic)
リンク: EMAのプレスリリース(Incellipan)

以下の適応拡大も肯定的意見を得た。

  • JNJグループのJanssen-Cilag InternationalのCarvykti(ciltacabtagene autoleucel):成人の難治/再発多発骨髄腫における適応範囲が拡大(各種限定のうち、抗CD38抗体歴が削除、lenalidomide抵抗性が追加、前治療歴が3レジメンから1レジメンに緩和)。米国は3月に諮問委員会上程予定。

  • MSDのKeytruda(pembrolizumab):切除可能非小細胞性肺癌で再発リスクが高い患者の術前、術後アジュバント。米国は昨年10月に承認。

  • ブリストル マイヤーズ スクイブのReblozyl(luspatercept):骨髄異形成症候群における赤血球生成刺激剤不応という限定を解除。

  • 【承認】


    ESBL産生菌にも強い複合セフェムが承認
    (2024年2月22日発表)

    FDAはフランスのAllecra Therapeuticsが承認申請したExblifep(cefepime、enmetazobactam)を成人の感受する微生物による複雑尿路感染症(腎盂腎炎を含む)の治療薬として承認した。前者は第4世代セファロスポリン、後者は新開発のベータ・ラクタマーゼ阻害剤。第3相試験では総合的奏効率が79.1%とpiperacillin及びtazobactam(Zosynの配合成分)を投与した群の58.9%を上回り、非劣性解析だけでなく優越性解析も成功した。ESBL(基質特異性拡張型ベータ・ラクタマーゼ)産生菌サブグループにも73.7%対51.5%と良好な成果を上げた。治療時発現深刻有害事象の発生率は各群4.3%と3.7%だった。

    EUでは1月に成人の複雑尿路感染症、院内感染肺炎、これらの感染に伴う菌血症の治療薬としてCHMPの肯定的意見を受けている。

    Allecraは未上場のベンチャー系企業であるためか、承認に関するプレスリリースは発出していない(2月25日時点)。

    リンク: FDAのAllecra社宛て承認通知(pdfファイル)
    リンク: Exblifepの処方情報(FDAサイト、pdfファイル)

    【当面の主なFDA審査期限、諮問委員会】


    PDUFA
    24年1QイーライリリーのLY3002813(donanemab、MCI/軽度アルツハイマー病)
    24/2/26 Minerva NeurosciencesのMIN-101(roluperidone、統合失調症の陰性症状)
    24年3月推BeiGeneのBrukinsa(zanubrutinib、FL obinutuzumab併用)
    24年3月推BeiGeneのtislelizumab(未治療食道扁平上皮腫)
    24年3-4月ロシュのRG6107(crovalimab、発作性夜間ヘモグロビン尿症)
    24/3/4Vanda PharmaceuticalsのHetlioz(tasimelteon、入眠障害追加)
    24/3/13Mirum社のLivmarli(maralixibat、進行性家族性管内胆汁鬱滞症に一変)
    24/3/14 Madrigal社のMGL-3196(resmetirom、NASH/MASH)
    24/3/14 BMSのBreyanzi(lisocabtagene maraleucel、CLL追加)
    24/3/18 Orchard TherapeuticsのOTL-200(atidarsagene autotemcel、異染性白質ジストロフィー)
    24/3/21ItalfarmacoのITF2357(givinostat、DMD)
    24/3/26MSDのMK-7962(sotatercept、肺動脈高血圧症)
    24/3/27 AkebiaのVafseo(vadadustat、透析期CKDの貧血症)
    24/3/31Regeneron社のREGN1979(odronextamab 、一部のリンパ腫)
    諮問委員会
    24/3/5MIDAC:Lumicellのpegulicianine(乳腺腫瘍摘出後の残存腫瘍造影)
    24/3/14ODAC:Geronのimetelstat sodium(骨髄異形成症候群)
    24/3/15ODAC:Legend/JNJのCarvyktiとBMSのAbecma(多発骨髄腫)



    今週は以上です。

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