2019年2月3日

2019年2月3日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • アーリーダは転移性去勢感受性前立腺癌にも有効 
  • 武田、デング熱ワクチンの第三相の初回解析成功 
  • ファイザーの抗NGF抗体も第三相成功 
  • アレクシオン、ソリリス後継薬のaHUS試験成功 
  • ロシュ、抗アミロイドベータ抗体のアルツハイマー病試験を繰上げ中止 
  • Alkermesの鬱病治療用合剤は承認されず 
  • 大日本住友米国子会社のパーキンソン病用薬は承認されず 
  • アヴェオ、tivozanibの米国再承認申請を先送り 
  • CTI、pacritinibの欧州承認申請を撤回 
  • CHMPがテバの片頭痛予防薬などの承認を支持 
  • イムブルビカ、ガザイバ併用が米国で承認 
  • EMA、直接的経口抗凝固薬の出血リスクを検討へ 


【新薬開発】


アーリーダは転移性去勢感受性前立腺癌にも有効
(2019年1月30日発表)

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、Erleada(apalutamide)の第三相TITAN試験が中間解析で目的達成したと発表した。データは学会などで発表される見込み。類薬であるアステラス/ファイザーのXtandi(enzalutamide、和名イクスタンジ)との差を一歩縮めることになるが、後発の不利を払拭するにはXtandiを上回るデータが必要だろう。

TITAN試験は前立腺癌で薬物去勢療法に感受だが転移してしまったmCSPC患者1050人余を組入れて、アンドロゲン除去療法(ADP)にErleadaを追加する効果を偽薬追加群と比較した。主評価項目は放射線学的PFS(無進行生存期間)と全生存期間。独立データ監視委員会が中間解析でどちらも目的達成と判定した。

ErleadaはXtandiを創製した医学者が第二世代品として開発、ジョンソン・エンド・ジョンソンに権利売却したもの。Xtandiから6年遅れて18年2月に米国で承認され、今年1月にEUで承認、日本でもアーリーダ名で第二部会を通過した。

リードインディケーションである非転移性去勢抵抗性前立腺癌での開発はErleadaが先んじたが5ヶ月後にXtandiもFDAから承認取得、EUはXtandiが3ヶ月先んじた。こうなると、Erleadaが明らかに優れていると考える理由はないため、医療施設としては市販年数でも適応範囲でも上回るXtandiを優先的にストックすることになりがちである。

今回の適応であるmCSPCではXtandiも第三相が成功したことが昨年12月に発表されている。元々の計画では2020年に終了する予定だったが、早期目的達成を目指してプロトコルを変更したことが寄与して、Erleadaより一足先に成功発表できた。。

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、米国でテストステロン合成阻害剤Zytiga(abiraterone acetate、和名ザイティガ)の残存特許が無効認定され、いつGE薬が承認されても不思議のない状態だ。適応がオーバーラップするため、GE化したら販促リソースをErleadaに振り向けることになろう。それでも、Xtandiを明らかに上回るデータを出さない限り、Xtandiのシェアを脅かすことはできないだろう。

リンク: JNJのプレスリリース

武田、デング熱ワクチンの第三相の初回解析成功
(2019年1月30日発表)

武田薬品は、デング熱ワクチンTAK-003(通称DENVax)の第三相試験の初期解析が成功したと発表した。ラテンアメリカとアジアの4-16歳の20100人を組入れて90日置いて2回、皮注して予防効果を偽薬群と比較したもの。今年後半に更に6ヶ月間追跡した解析を行って、血清型や感染歴の有無等に基づくサブポピュレーション分析を行った上で承認申請に向かう予定。

13年にInviragen社を買収して入手した開発品で、デング熱の原因になる4種類の株のうち2型ウイルスをベースに残りの1、3、4型の抗原遺伝子を導入した4価弱毒化生ワクチン。15年以降にメキシコやフィリピンなどで承認・発売されたサノフィのDengvaxiaは弱毒化黄熱病17Dウイルスにデングウイルスの抗原遺伝子を導入したもの。TAK-003はデングウイルスの非構造蛋白も含有しているところが主な相違点。

Dengvaxiaは発売後に意外な現象が発見された。臨床試験では4種類の株について感染を4-8割削減する効果を示したが、臨床試験で初めてデングウイルスに感作した人がその後に感染すると症状が重くなりがちになるというのだ。理由は諸説あるが、デングウイルスは元々、初回の感染では症状が出ないことが珍しくなく、重い症状が出るのは二回目の感染時に免疫記憶が過敏反応するから、という説がもし正しいとしたら、ワクチン接種はそれ自体が両刃の剣ということになる。Dengvaxiaは適応が感染歴のある人だけに限定され、現在、欧米でも承認審査中だ。

このようなリスクを検討するため、武田薬品は臨床試験に参加するすべての被験者から接種前の血液サンプルを取得した。血清抗体価を測定することで感染歴の有無を判定し、予防効果や感染時の重症度を検討できることになる。もし同様な現象が見られた場合、Dengvaxiaと同じように抗体検査を行って感染歴が確認された人だけに接種するプロトコルになるだろう。

よくわからないのは、このプロトコルがワークするのか?子宮頸がんワクチンはヒトパピローマウイルスに持続感染している人が接種しても効果が小さいことが第三相試験で判明した。私は事前検査が導入されるのではないかと想像していたが、欧米でも日本でも、この不都合な真実は無視された。検査の手間暇が主因だろう。先進国でもそうなのだから、デング熱が流行する国々で検査の費用やロジスティクスの負担が受け入れられるのだろうか?

リンク: 武田薬品のプレスリリース(和文)
リンク: TAK-003の第三相試験の治験登録(ClinicalTrials.gov)

ファイザーの抗NGF抗体も第三相成功
(2019年1月29日発表)

ファイザーと開発販売パートナーのイーライリリーは、抗NGF抗体PF04383119(tanezumab)の二本目の第三相変形性関節炎試験も成功したと発表した。今年下期に承認申請する考え。

NGFはジェネンテックが発見した神経成長因子で、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などの仮説探索的試験が行われたが奏功しなかった。意外にも疼痛感受性が高まる様子が見られたため、一転して、抗NGF抗体を鎮痛剤として開発することになった。元々は制癌物質のはずだったTNFが抗体の標的に転じた前例を彷彿させる。ジェネンテックは中枢神経系の研究開発部門をスピンアウトしたことがあり、このRinat社を06年に買収してtanezumabなどを入手したのがファイザーだ。

開発は順調ではなかった。2010年に第二相、第三相試験で変形性関節炎の急速な悪化や無腐性骨壊死、関節置換術などのリスクが見られ、FDAが他社の抗NGF抗体も含めて治験停止を命じたのだ。12年には諮問委員会が臨床開発続行を支持したが、他社の毒性試験で末梢神経毒性が見られ臨床でも発生したため、腫瘍学以外の治験は部分停止となった。他社の多くは開発断念したが、ファイザーはイーライリリーとリスクシェアリング提携を結び、追加毒性試験を実施して治験停止解除に成功、6本7000人級の第三相試験を行った。

今回の二試験は、膝や股関節の中重度変形性関節炎で複数の既存薬に十分に反応しなかった日米欧などの患者計1500人強を偽薬、2.5mg、5mgの3群に無作為化割付して8週毎に皮注し、鎮痛効果などを検討した。主評価項目はWOMAC鎮痛サブスケール、WOMAC身体機能サブスケール、患者自身の症状全般評価の三種類。結果は、5mgは三項目とも偽薬比有意だったが、2.5mgはWOMACのサブスケール二本だけだった。一本目は両用量とも成功していた。

上述の副作用はRPOA(急速進行型変形性関節症)というカテゴリーで報告されている。発生率は2.1%、偽薬群は0%。一本目は1.3%対0%なので同じような結果だ。このうち、比較的症状の軽い加速関節空間狭窄(1型)が3分の2を占め、関節損傷・劣化(2型)が3分の1となった。

抗NGF抗体の治療効果を上記サブスケールや全般評価の数値の変化率で表現すると10%前後であり、特効薬という感じはしない。既存の薬に反応しない患者のサルベージセラピーなのだろう。そうであったとしても、関節炎の治療を期待して使った薬で急速悪化してしまった患者は、誰を恨めばよいのか。

リンク: 両社のプレスリリース

アレクシオン、ソリリス後継薬のaHUS試験成功
(2019年1月28日発表)

アレクシオン(Nasdaq:ALXN)は、Ultomiris(ravulizumab-cwvz)の非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)適応拡大試験が成功したと発表した。上期中に米国で、その後に欧州や日本でも承認申請する予定。

Ultomirisは長期作用性抗C5抗体で、同社の主力製品であるSoliris(eculizumab、和名ソリリス)より半減期が3-4倍長く、点滴静注用である点では同じだが頻度が8週毎とSolirisの2週毎よりかなり少ない。薬効は非劣性。18年12月に米国で発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬として承認され、欧州でも承認審査中。

今回のaHUSはSolirisの主用途の一つなので重要な適応拡大プロジェクトだ。補体阻害剤治療歴を持たない患者を組入れて26週間治療し、血栓性微小血管症の完全反応率を評価したところ、53.6%となった。構成要素のうち血小板数正常化は56名中83.9%、LDH正常化は76.8%、血清クレアチニン25%改善は58.9%が達成した。深刻有害事象は肺炎や高血圧など。4名が死亡したが薬物関連と評価されてはいない由。

リンク: アレクシオンのプレスリリース

ロシュ、抗アミロイドベータ抗体のアルツハイマー病試験を繰上げ中止
(2019年1月30日発表)

ロシュは、RG7412(crenezumab)の第三相早期アルツハイマー病試験二本の中止を発表した。中間解析で独立データ評価委員会が無益性(継続しても成功の可能性が低い)を認定したため。家族性アルツハイマー病予防の第二相は継続する予定。複数の先行類薬の第三相がフェールしたことや、第二相の裏付けが弱いことを考えれば、決して意外とは言えないだろう。

RG7412はアミロイドベータに結合するヒト化抗体で、特徴は固定領域がIgG4型であること。免疫細胞との連携はIgG1型のほうが強力で、通常、IgG4型を採用するのは標的が正常細胞の表面蛋白であるケースだ。例えば、腫瘍免疫を増強するために免疫細胞の抑制刺激受容体であるPD-1に結合する抗PD-1抗体はKeytrudaもOpdivoもIgG4型、抑制的免疫細胞や腫瘍細胞が発現するPD-L1に結合する抗体はTecentriq、Imfinzi BavencioともIgG1型となっている。

ロシュがIgG4型の抗体で第三相を開始したのは、抗アミロイドベータ抗体の典型的な副作用であるARIA(アミロイド関連画像異常)を回避する狙いがあったようだ。凝集したアミロイドベータを抗体で攻撃すると近辺の組織に飛び火して血管原性浮腫のような副作用が発生しがちで、特に、APOE4という老人性アルツハイマー病と関連する数少ない遺伝子多型を持つ患者では発生率が高まる。そこで、ミクログリア細胞を刺激しにくいIgG4型の抗体を、IgG1型より多量に投与することで、効果と副作用のバランスの改善を図った。

今回の第三相は60mg/kgを4週毎点滴静注と、軽中度アルツハイマー病の第二相試験で臨床的効用の兆しを示した15mg/kgの4倍を投与した。先行して第三相入りしフェールした他社品と比べても高量だ。尤も、この用量選択はモデル分析に基づくもので、至適用量決定試験はオミットされている。第二相では臨床的評価項目は有意差なし、PETによるアミロイドベータ試験もフェール、但し脳脊髄液のアミロイドベータは減少となっており、裏付けが十分とは言えない。

抗アミロイド抗体の第三相をエーザイと進めているバイオジェンの決算発表電話会議では、BIIB037(aducanumab)の中間無益性解析の計画に関する質問が多数出たようだ。タイミング的にはもうそろそろだが、ノーコメントに終始した模様。

リンク: ロシュのプレスリリース


【承認審査・委員会】


Alkermesの鬱病治療用合剤は承認されず
(2019年2月1日発表)

Alkermes(Nasdaq:ALKS)は米国でALKS 5461(samidorphan, buprenorphine)を難治性鬱病治療薬として承認申請していたが、審査完了通知を受領したと発表した。薬効のエビデンスとなるべき臨床データが不十分と指摘された。

samidorphanはミュー・オピオイド受容体アンタゴニスト、buprenorphineは同受容体のアゴニストかつカッパ・オピオイド受容体アンタゴニストで、併用することによってカッパ拮抗作用だけを生かすアイディア。第三相は三本実施されたが二本がフェールした。このため、昨年11月の諮問委員会で23人中20人が承認に反対した。

リンク: Alkermesのプレスリリース

大日本住友米国子会社のパーキンソン病用薬は承認されず
(2019年1月30日発表)

大日本住友製薬の米国子会社、サノビオン・ファーマシューティカルズは、パーキンソン病のオフタイム治療薬として承認申請していたAPL-130277(apomorphine)について、FDAから審査完了通知を受領したと発表した。追加的な情報や分析の提出を求められたが追加的な臨床試験は求められていないとのことなので、内容次第では早期の完全回答が可能かもしれない。

APL-130277はAquestive Therapeutics(Nasdaq:AQST)のPharmFilm技術を用いた舌下投与用フィルム製剤。apomorphineは薬の効果が減衰してパーキンソン病症状が出るオフタイムのレスキュー薬として皮注製剤が既に実用化されているが、経口投与できるなら簡便だ。このような背景を考えると、指摘事項は薬効や安全性というよりは、皮注用薬との薬物動態の相違辺りではないか。スイッチ需要を考えれば、用量換算方法も知りたいところである。

16年に6.2億ドルで買収したCynapsusTherapeuticsの開発品。

リンク: サノビオンのプレスリリース
リンク: Aquestive Therapeuticsのプレスリリース

アヴェオ、tivozanibの米国再承認申請を先送り
(2019年1月31日発表)

アヴェオ・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:AVEO)は、AV-951(tivozanib)を5月までに米国で再承認申請する計画を撤回、第三相試験の全生存期間最終解析の結果が第4四半期に出るのを待つ考えであることを明らかにした。

初回申請時にFDAも諮問委員会も薬効に疑問を呈した最大の理由である延命効果の欠如が、今回の試験の中間解析でも再現されたため、死亡者数が増加して治験の検出力が高まるのを待つ。最終解析は当初は8月の予定だったが、生存期間が想定より長く推移していることなどから、第4四半期にもう一度解析を行い最終とする。

tivozanibは07年にキリンからアジア以外の地域でライセンスしたVEGFR阻害剤。末期腎細胞腫の第三相で主評価項目のPFS(無進行生存期間)がNexavar(sorafenib)を上回ったが、全生存の解析はメジアン28.8ヶ月対29.3ヶ月と大差なく、ハザードレシオは1.245、p=0.105と、点推定値はむしろ悪かった。このため、12年9月に米国で承認申請したものの、審査完了通知を受領した。

開発販売提携していたアステラス製薬は、前後して、EUでの承認申請を断念、最終的に全権利返還したが、EUは上記データに基づき17年に承認しており、評価が機関や会社によって異なることを示唆している。

腎細胞腫の三次治療薬として実施した追加試験は、PFSのNexavar群比ハザードレシオが0.74、p=0.02となったが、全生存期間は1.06で有意差がなかった。その後、打切り例の追加調査を行ったところ、後者が1.12と更に上昇したことが今回、公表された。

最終解析の成功を期待するのは楽観的だろう。別途、非劣性試験を行えば成功するだろうが、15年遅れでNexavar並みの薬を上市してもアピールしないし、NexavarのGE化も脅威になる。結局、アステラスの判断が正しかったのではないか。

リンク: アヴェオのプレスリリース

CTI、pacritinibの欧州承認申請を撤回
(2019年2月1日発表)

CTI Biopharma(Nasdaq:CTIC)は、JAK2阻害剤pacritinibの欧州における承認申請を撤回すると発表した。CHMPの会議で否定的意見をまとめる方向であることを通知されたため。第3四半期に追加的第三相試験を開始する予定。

骨髄線維症の治療薬として開発されているが、16年に第三相試験の一本で死亡率に偏りが見られ、米国ではFDAがフル・クリニカルホールドを命じ、CTIは承認申請を撤回した。EUも一旦、申請撤回したが、17年6月に血小板減少症を伴う骨髄線維症に限定して再承認申請していた。

結局、欧米共に追加試験を実施してから承認申請することになる。

リンク: CTIのプレスリリース

CHMPがテバの片頭痛予防薬などの承認を支持
(2019年2月1日発表)

EUの薬品審査機関であるEMAの科学的評価委員会、CHMPは、1月の会合で、テバのAjovy(fremanezumab)などの承認に肯定的意見を纏めた。順調なら2~3ヶ月以内にEU全域で承認されることになる。

リンク: EMAのプレスリリース

Ajovy(fremanezumab)は抗CGRPヒト化抗体。片頭痛を予防する皮注薬。ジェネンテックのスピンアウトであるRinat社を買収したファイザーから権利を取得した会社をテバが14年に買収したもの。米国では昨年9月に承認、日本は大塚製薬がインライセンスした。

リンク: EMAのプレスリリース

ファイザーのVizimpro(dacomitinib)は汎erbBチロシンキナーゼ阻害剤。局所進行性・転移性の非小細胞性肺癌でEGFR活性化変異を持つ成人の一次治療薬として単剤投与する。一次治療や再発治療試験が行われ、Tarceva(erlotinib)対照試験はフェールしたがIressa(gefitinib)対照一次治療試験でPFS(無進行生存期間)が有意に上回った。米国では昨年9月、日本は今年1月に承認されている。

リンク: EMAのプレスリリース

適応拡大では、アストラゼネカのForxiga(dapagliflozin、和名フォシーガ)を一型糖尿病に用いることが支持された。糖尿病性ケトアシドーシスのリスクが高まるため、適応はBMIが27kg/m2以上の肥満・オーバーウェイトの患者に限定、インスリンが低量で足りる患者には推奨されない。ケトアシドーシスや低血糖を回避するためインスリン用量の調整に留意する。専門医が使うことを想定。この適応拡大は日本でも承認審査中。

リンク: EMAのプレスリリース

このほかに、以下の適応拡大も支持された。

・中外製薬が創製し海外ではロシュが販売するHemlibra(emicizumab、和名ヘムライブラ)をインヒビターを持つA型血友病だけでなく持たない患者の出血予防に用いること。

・ロシュのMabThera(rituximab、和名リツキサン)を尋常性天疱瘡(PV)の治療に用いること。

・ロシュのTecentriq(atezolizumab、和名テセントリク)をAvastin(bevacizumab)やpaclitaxel、carboplatinと4剤併用で転移性非扁平上皮非小細胞性肺癌の一次治療に用いること。但し、EGFR変異やALK変異のある場合は適切な標的療法が優先。

・MSDのKeytruda(pembrolizumab、和名キイトルーダ)をcarboplatinおよびpaclitaxel(またはnab-paclitaxel)と併用で転移性扁平上皮非小細胞性肺癌の一次治療に用いること。

・リジェネロン/サノフィのPraluent(alirocumab、和名プラルエント)を確立したアテローム硬化性の心血管疾患に用いて心血管リスクを削減すること。


【承認】


イムブルビカ、ガザイバ併用が米国で承認
(2019年1月28日発表)

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、Btk阻害剤Imbruvica(ibrutinib、和名イムブルビカ)を慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)の一次治療にロシュのGazyva(obinutuzumab)と併用する適応拡大がFDAに承認されたと発表した。

iLLUMINATE試験に基づくもので、chlorambucilとobinutuzumabを併用した実薬対照群と比べて、PFS(無進行生存期間、独立評価委員会査読)のハザードレシオが0.23となり、統計的に有意だった。メジアンは未達、対照群は19.0ヶ月。有害事象による治験離脱は16%対9%で増加した。

Imbruvicaは13年に米国でマントル細胞リンパ腫の二次治療に単剤投与する薬として初承認。CLL/SLLは二次治療や一次治療に用いることが承認されているが、いわゆる化学療法薬を使わないレジメンは、他の薬も含めて、今回が初。

リンク: JNJのプレスリリース


【医薬品の安全性】


EMA、直接的経口抗凝固薬の出血リスクを検討へ
(2019年2月1日発表)

EMAは、直接的経口抗凝固薬を非弁性心房細動の血栓予防に用いた症例の疫学試験の結果を検討すると発表した。主要出血のリスクが銘柄により異なっていたり、制限や特別警告、注意事項などの順守状況に対する懸念を持たせるものであったことが理由。EMAは、この試験のインプリケーションや、使用条件変更の必要性を検討する。

検討対象は、BMS/ファイザーのEliquis(apixaban、和名エリキュース)、ベーリンガー・インゲルハイムのPradaxa(dabigatran etexilate、和名プラザキサ)、バイエル/ジョンソン・エンド・ジョンソンのXarelto(rivaroxaba、和名イグザレルトn)。疫学試験の結果は未公表。抄録が数日内にEUの承認後試験登録に掲載される予定で、登録番号は16014である由。

リンク: EMAのプレスリリース(pdfファイル)
リンク: EUの承認後試験登録第16014号







今週は以上です。

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