2016年2月14日

2016年2月14日号



【ニュース・ヘッドライン】

  • アッヴィ、子宮筋腫治療薬の第三相が成功 
  • インサイト、ジャカビの固形癌用途は開発中止 
  • CTI、pacritinibの承認申請を撤回 


【新薬開発】


アッヴィ、子宮筋腫治療薬の第三相が成功
(2016年2月10日発表)

アッヴィ(NYSE:ABBV)はelagolixの二本目の第三相試験が成功したと発表した。グローバル試験で、北米中心に実施された一本目の試験は昨年1月に成功発表済み。2017年に承認申請の計画。

2010年にニューロクライン(Nasdaq:NBIX)から経口ゴナドトロピン放出ホルモン拮抗剤NBI-56418をライセンスしたもので、経口投与できることと二種類の用量用法から選択できることが特徴。第三相試験では150mgを一日一回投与と200mg一日二回をテスト、どちらも非月経時骨盤痛と月経痛を偽薬比有意に改善した。効果は200mg一日二回のほうが高いが有害事象による治験離脱やホットフラッシュ、BMD低下が若干増加する。

リンク: アッヴィのプレスリリース

インサイト、ジャカビの固形癌用途は開発中止
(2016年2月11日発表)

インサイト(Nasdaq:INCY)はJAK1/2阻害剤Jakafi(ruxolitinib、欧州名Jakavi、和名ジャカビ)を骨髄線維症治療薬として開発、米国では11年に、欧州ではノバルティスによって12年に発売された。腫瘍学でも開発中だが、固形癌については一部を除いて中止すると発表した。リードインディケーションであった膵癌の第三相試験が無益性で中止になり、結腸直腸癌の第二相試験もフェールしたため。血液癌は続行する。

JAKはインターロイキンなどの受容体の細胞内シグナル伝達に係わる酵素で、阻害するとIL-6などが調停する炎症免疫反応や血球数が抑制される。インサイトはもう一つのJAK1/2阻害剤baricitinibをリウマチ性関節炎治療薬としてイーライリリーと共同開発、リリーが1月に米国で承認申請したところだ。骨髄抑制するので血液癌に有効であっても不思議はないが、固形癌は斬新な用途だけに注目されていた。

リンク: インサイトのプレスリリース

【承認審査・委員会】


CTI、pacritinibの承認申請を撤回
(2016年2月8日発表)

CTIバイオファーマ(Nasdaq:CTIC)と開発販売パートナーであるバクスアルタ(NYSE:BXLT)はpacritinibを1月に米国で承認申請したが、早くも撤回した。安全性懸念が浮上したため。

pacritinibはJAK2阻害剤。赤血球や血小板の生成に係わるJAK1を阻害しないため、上述のJakafi(ruxolitinib)を使うことができない血小板数がマイクロリットル当り5万個未満の骨髄線維症患者の充足されないニーズに応える薬として承認申請された。対象患者は限られるが取り敢えず一本目の第三相試験のデータに基づいて承認を取り、10万個未満の患者を組み入れた二本目の試験の結果を待って適応拡大する計画だった。

ところが、2月8日付の第一報によると、2月3日にFDAから臨床試験部分停止命令を受領した。一本目のPERSIST-1試験で試験薬群と対照群(医師が選んだJAK2阻害剤以外の薬を用いる)の間に死亡数の偏りがあったため。特に、24週間の試験完了後に対照薬から試験薬にスイッチした患者で死亡が増えたとのことだ。

2月9日付けの第二報によると、2月8日に臨床試験完全停止命令を受領、承認申請撤回となった。二本目のPERSIST-2試験でも死亡例に偏りがあり、頭蓋内出血、心不全、心停止が増加した由。

この三つの重度有害事象はJAK阻害剤の作用と無関係であるようには感じられない。今後、ファイザーの抗リウマチ薬Xeljanz(tofacitinib、和名ゼルヤンツ)も含めて、検討されるのではないだろうか。

pacritinibは12年にS*BIO社から開発資産を取得、13年にバクスアルタに世界商業化権を供与したもの。バクスアルタは英国のシャイアが320億ドルで買収する予定。

リンク: CTIのプレスリリース(2/8付)
リンク: 同(2/9付け)



今週は以上です。

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