2023年7月1日

第1109回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • PPAR作動剤の胆汁性胆管炎試験が成功 
  • エプコリタマブの適応拡大を相談へ 
  • トリアゴニストで体重が2割減少 
  • PTC社、vatiquinoneのミトコンドリア関連癲癇試験もフェール 
  • HDAC阻害剤をDMDに承認申請 
  • PDE3/4阻害剤をCOPDに承認申請 
  • ファイザーも血友病Bの遺伝子療法を承認申請 
  • 複合セフェムを承認申請 
  • テロメラーゼ阻害剤を承認申請 
  • FDA諮問委員会、骨化性線維異形成症用薬の承認を支持 
  • 高量アイリーアは承認先送り 
  • UCB、二重特性抗体の適応拡大審査がまた長引く 
  • 血友病Aの遺伝子療法が承認 
  • ラ島細胞療法が承認 
  • 週一回型成長ホルモンが承認 
  • UCBの筋無力症用薬も承認 



【新薬開発】


PPAR作動剤の胆汁性胆管炎試験が成功
(2023年6月30日発表)

フランスのイプセンとGENFIT(Nasdaq/Euronext:GNFT)は、GFT505(elafibranor)の第3相原発性胆汁性胆管炎(PBC)試験で主目的を達成したと発表した。標準療法であるUDCA(ursodeoxycholic acid)に十分応答しない患者161人を試験薬(80mg錠を一日一回経口投与)追加群と偽薬追加群に2:1割付けして52週時点の応答率(アルカリフォスファターゼがULN(通常値上限)の1.67倍未満且つ15%以上減少、且つ総ビリルビンがULN以下になった患者の比率)を比較したところ、各群51%と4%で有意な差があった。副次的評価項目ではALP正常化率も有意差があったが掻痒スコアはトレンドに留まった。承認申請に向けて欧米の審査機関などと相談する考え。

PBCは米国で10万人当り24~39人、欧州では同じく22人程度が罹患と推測される、女性に多い希少疾患。胆汁が胆管から漏れて肝臓に障害を与える。Intercept Pharmaceuticals(Nasdaq:ICPT)のファルネソイドX受容体アゴニスト、Ocaliva(obeticholic acid)が今回と類似した試験で同じような成績を上げ、16年に欧米で加速承認された。

GFT505はPPARアルファとデルタのデュアル・アゴニスト。日本ではPPARアルファ・アゴニストのベザフィブラートがオフレーベル使用されている模様なので、今回の成功はそれほど意外感はない。

リンク: 両社のプレスリリース


エプコリタマブの適応拡大を相談へ
(2023年6月27日発表)

アッヴィとジェンマブは、後者が創製し前者と米国などで共同開発販売している抗CD3xCD20抗体Epkinly(epcoritamab-bysp)の第1/2相EPCORE NHL-1試験についてアップデートした。難治/再発巨細胞型B細胞リンパ腫を組み入れたコフォートの成績に基づき5月に米国で加速承認、日欧でも承認審査中だが、今回、難治/再発濾胞性リンパ腫コフォートで良好な成績を上げたため、承認審査機関と相談する考え。

二次以上の全身性治療歴を持ち、被験者の7割は抗CD20抗体にもアルキル化剤にも抵抗性を示したが、Epkinlyの投与で128人中82%がORR(客観的反応率、独立評価委員会方式)を達成、メジアン反応持続期間は未達だった。メジアン追跡期間は公表されていない。

Epkinlyは皮下注用薬。当初は週一回投与で用量漸増していくが、目標用量に到達する第3回は投与後24時間入院して副作用に備える必要がある。おそらく今回の適応でも同様だろう。

リンク: 両社のプレスリリース


ADA:トリアゴニストで体重が2割減少
(2023年6月26日発表)

ADA(米国糖尿病学会)で各社のGLP-1作用剤等の第2相試験の詳細が明らかにされた。先行二社の一つであるイーライリリーはADAとNew England Journal of Medicine誌でLY3437943(retatrutide)の肥満症試験などの結果を発表した。GLP-1受容体とGIP受容体に加えてグルカゴン受容体も作動する『トリアゴニスト』で、1~12mgを週一回皮下注したところ、24週間で体重が7~17.5%低下した(偽薬群は2%)。48週時点で9~24%と更に低下しており、GLP-1作用剤やデュアル・アゴニストを凌ぐトップクラスの実力がありそうだ。二型糖尿病試験では0.5~12mgで24週時点のHbA1cが最大2%低下した。偽薬群は0%、同社のGLP-1作用剤アゴニスト、Trulicity(dulaglutide、1.5mg)を投与した群は1.4%低下に留まった。

更に、NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)の第2相では1~12mgを24週間投与したところ肝臓脂肪が43~82%低下した。

GLP-1作用剤は悪心嘔吐など忍容性に難があり、承認最大用量における効果は自動車における10.15モード燃費のようなものだ。便益と危険のバランスを考えるためには大規模な試験が必要。第3相は来年にも開始される見込み。

リンク: イーライリリーのプレスリリース

追いかける集団も増えてきた。ファイザーは二種類の経口GLP-1作用剤の第2相試験を並行実施していたが、PF-06882961(danuglipron)に軍配を上げた。二型糖尿病試験でHbA1cが最大1.16%低下、体重も最大4.1kg低下した。秋に肥満症試験も開票する見込み。

一方、そーせいの創薬プラットフォームを利用して発見したPF-07081532(lotiglipron)は開発中止となった。薬物相互作用や肝機能検査値異常などが見られたため。

リンク: ファイザーのプレスリリース


PTC社、vatiquinoneのミトコンドリア関連癲癇試験もフェール
(2023年6月29日発表)

PTC Therapeutics(Nasdaq:PTCT)はPTC-743(vatiquinone)の第2/3相小児ミトコンドリア関連癲癇試験がフェールしたと発表した。24週治療しても運動発作の減少が有意水準に到達せず、開発中止を決めた。

ミトコンドリアのエネルギー・酸化ストレス経路に関わる15-lipoxygenaseの阻害薬。5月に第3相フリードライヒ運動失調症のフェールが発表された。一部の患者や一部の評価項目には効果の兆候が見られたため当局と相談する考えは変わっていない。

リンク: 同社のプレスリリース

【承認申請】


HDAC阻害剤をDMDに承認申請
(2023年6月29日発表)

イタリアのItalfarmacoは米国でITF2357(givinostat)をデュシェンヌ型筋ジストロフィー用薬として承認申請し受理された。優先審査を受け、審査期限は12月21日。ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤の経口液で、過剰なHDACが神経再生を妨げ炎症をトリガーするのを防ぐ。第3相EPIDYS試験で6歳以上の歩行可能な患者179人を偽薬と2対1割付けして18ヶ月治療し、階段を4段上がるのに必要な時間の変化を比較したところ、1.78秒の差が生じた(p=0.0345)。試験薬群は3人が有害事象で治験を離脱した。

リンク: 同社のプレスリリース(Business Wire)


PDE3/4阻害剤をCOPDに承認申請
(2023年6月27日発表)

英国のVerona Pharma(Nasdaq:VRNA)は米国でRPL554(ensifentrine)をCOPDの維持療法薬として承認申請した。PDE3/4阻害剤で一日二回ネブライザ吸入する。専らLAMA(長期作用性ムスカリン拮抗剤)またはLABA(長期作用性ベータ作用剤)だけしか使っていない中重度COPD患者を組入れた二本の維持療法試験で第12週における一秒量(FEV1)の12時間曲線下面積が偽薬比90mL前後、改善した。中重度増悪抑制率は一本では42%、p=0.01だったがもう一本は36%、p=0.0505に留まった。

Vernalisが18年にLigand Pharmaceuticals(Nasdaq:LGND)に買収された時に導出されたPDE3とPDE4のデュアル・アンタゴニストで、気管支拡張作用と炎症抑制作用の両方を持つとされる。

リンク: Veronaのプレスリリース


ファイザーも血友病Bの遺伝子療法を承認申請
(2023年6月27日発表)

ファイザーはPF-0683843(fidanacogene elaparvovec)を米国で承認申請し受理された。審査期限は来年第2四半期とだけ公表されている。EUでも承認申請が受理された。

血友病Bの遺伝子療法で、アデノ関連ウイルスをベクターとして高活性多型であるPadua型の第IX因子を肝細胞特異的に発現させる。14年にSpark Therapeutics(後にロシュが子会社化)からライセンスした。中程度重度/重度の患者45人を組入れた第3相単群試験で出血年率が1.3と、第IX因子などによる予防的投与を行ったリードイン期間中の4.43と比べて71%減少した。薬物関連深刻有害事象は2名で発生、一人はステロイドによる免疫抑制中の十二指腸潰瘍出血、もう一人は免疫調停性肝アミノトランスフェラーゼ上昇。

類薬ではオランダのuniQure biopharma(Nasdaq:QURE)が開発し20年にCSL BehringにライセンスしたrhAAV5-FIX-Padua、Hemgenix(etranacogene dezaparvovec-drlb)が昨年11月に米国で承認、今年2月にはEUでも条件付き承認されている。リスト・プライスが350万ドルという、高価な治療だが、難治血友病の治療は元々、高額になりがちだ。

リンク: ファイザーのプレスリリース


複合セフェムを承認申請
(2023年6月26日発表)

Allecra TherapeuticsはExblifep(cefepime、enmetazobactam)をFDAに承認申請した。第4世代セファロスポリンと新開発のベータ・ラクタマーゼ阻害剤の合剤で、グラム陰性菌による複雑尿路感染症/急性腎盂腎炎の治療に用いる。約1000人を組入れて前者を2mg、後者を0.5gずつ、8時間毎2時間静注点滴を7~14日反復したところ、テスト・オブ・キュアにおける総合的奏効率(臨床的治癒かつ微生物学的根絶)が79.1%と、piperacillin 4gとtazobactam 0.5gを投与した群の58.9%比非劣性だった。優越性解析も成功した。臨床的治癒率より微生物学的根絶率の差が大きかった。治療時発現有害事象率は各群50%と44%だった。

対照薬がZosyn/Tazocinとして発売された30年前と比べて、ESBL(基質特異性拡張型βラクタマーゼ)産生菌の増加が課題になっている。今回の試験ではESBL産生菌感染者に対する総合奏効率の群間差が特に大きかった。

リンク: 同社のプレスリリース(Business Wire)


テロメラーゼ阻害剤を承認申請
(2023年6月20日発表)

Geron(Nasdaq:GERN)はGRN163(imetelstat)をFDAに承認申請した。テロメラーゼ阻害剤で、寿命を短くする薬、ではなく、低/中程度1リスクの骨髄異形成症候群の成人の輸血依存貧血症を治療する。エリスロポイエチン生成刺激剤に応答しない、または不適な患者が適応と想定している。第3相試験では40%が輸血不要になった(偽薬群は15%)。有害事象は骨髄抑制で、貧血発生率が19.5%と偽薬群の6.8%を上回ったことがほろ苦い感じだ。

ジョンソン・エンド・ジョンソンがライセンスして血小板増多症などにテストしていた頃、FDAが肝臓酵素上昇を懸念して完全治験停止命令を出したことがある。今回の試験でもG3のALT上昇が3.4%で発生したが偽薬群は5.1%なので増えるようには見えず、薬物誘導性肝障害の試金石であるHyの法則に該当する症例はなかったとのこと。

リンク: Geronのプレスリリース

【承認審査・委員会】


FDA諮問委員会、骨化性線維異形成症用薬の承認を支持
(2023年6月29日発表)

FDAはEMDAC(内分泌学代謝学薬諮問委員会)を招集し、イプセンが進行性骨化性線維異形成症(FOP)用薬として承認申請したpalovaroteneについて意見を聞いた。便益に関しては10人が支持、4人が認めず、便益が危険を上回るかという問いは11人対3人で支持が増加した。カナダやUAEでは既に承認、EUはCHMPが否定的意見と評価が分かれており、FDAも全面的に支持しているようには見えないが、近年は難病用薬のハードルが低下しているようにも見えるので、承認に一歩近づいたと受け止めるべきだろう。

FOPは骨格筋や腱、靱帯などの線維性組織が骨化し、運動機能が進行性に悪化する、先天性で罹患率は100万人に1.36人の超希少疾患。palovaroteneは19年に買収したClementia Pharmaceuticalsがロシュからライセンスしたレチノイン酸受容体ガンマ・アゴニスト。ほとんどのFOPで見られるACVR1/ALK2遺伝子の機能獲得変異による過剰シグナルを調停する作用が見られる模様だ。第3相試験はフェールしたがデータの平方根変換がワークしなかった模様で、この処理を行わない事後的解析では新規異所性骨化量が自然歴比有意に少なかった。諮問委員会の論点は、FDAが例外的に受け入れた、この事後的解析の信憑性と、過去の治験停止命令の原因となった成長板早期閉鎖リスク、そして、異所性骨化に伴うフレアが自然歴データより多いことの評価。諮問委員は事前に設定された解析計画が適切でなかったと判定。成長板早期閉鎖は適応年齢を絞ることで対処されるのではないか。フレアの増加は長期的なインプリケーションがあるかもしれないので、長期追跡を市販後コミットメントとするのではないか。

リンク: イプセンのプレスリリース


高量アイリーアは承認先送り
(2023年6月27日発表)

Regeneron Pharmaceuticals(Nasdaq:REGN)はEylea(aflibercept)の高量版を米国で承認申請し、他社から購入したバウチャを用いて優先審査を獲得したが、審査完了通知を受領した。薬剤充填工程を担う第3者施設がFDA査察後に指摘事項を受領したことが唯一の理由とのことだ。日本でも承認申請中。

加齢性黄斑変性や湿潤型加齢性黄斑変性の代表的な治療薬でVEGFと免疫グロブリンの融合蛋白を硝子体注射する。既存の2mg製剤は製剤特許が27年に失効する。また、他社が数ヶ月に一回投与するだけで足りる画期的新薬を発売、競合が激化した。8mgの高量版の第3相では月一回で3回投与した後は12週毎または16週毎と間隔を広げたが、48週時点の視力改善は2mg 8週毎投与(当初の5回は月一回)と非劣性だった。

今回、上記試験の2年データも公表された。投与間隔は浮腫など眼球の状態に基づき調整するプロトコルが採用されているが、8週毎群も12週群も8割以上の患者が頻度を上げないで済んだ。43%の患者が20週毎以上に広げることが認められる基準に到達、27%は24週毎に広げられる基準に達した。この20/24週毎が承認申請されているかどうかは明らかではない。

リンク: 同社のプレスリリース


UCB、二重特性抗体の適応拡大審査がまた長引く
(2023年6月26日発表)

UCBは抗IL-17AxIL-17F二重特異性抗体Bimzelx(bimekizumab)を中重度プラク乾癬の治療薬として開発、21年に日欧で承認を獲得したが、米国は審査が長引き、1年半後に審査完了通知を受領した。昨年11月に追加情報を提出し、今第2四半期中に承認の可否が通知されるはずだったが、第3四半期に遅れる見込みになった。理由は不明。

第1サイクルの審査遅延の主因はFDAがCOVID-19関連の渡航制限により欧州工場の査察ができなかったこと、承認されなかった主因は査察で指摘事項があったことだ。再申請の審査はクラス2(6ヶ月審査)なので、内容は不明だが、元々、簡単に対応/審査できるようなものではなかったのだろう。

リンク: 同社のプレスリリース

【承認】


血友病Aの遺伝子療法が承認
(2023年6月29日発表)

FDAはBioMarin Pharmaceutical(Nasdaq:BMRN)のRoctavian(valoctocogene roxaparvovec-rvox)を成人の重症血友病Aの治療薬として承認した。AAV5(アデノ随伴ウイルス5型)に対する抗体を持つ一部の患者には効果が低減/喪失するため、コンパニオン診断薬として承認されたARUP LaboratoriesのAAV5DetectCDxで事前に検査して陰性患者だけに用いる。

欠乏する第VIII因子の遺伝子をAAV5ベクターで導入する、この疾患では初めての遺伝子療法。臨床試験では3年間の年率出血頻度が平均2.6回と、予防的治療を受けていたラン・イン期間中の5.4回と比べて52%低下した。尚、昨年8月に承認されたEUのレーベルでは4.8回から0.8回に8割以上低下したと記されているが、FDAは、追跡期間中に第VIII因子による予防的治療を受けた患者に関してはそれ以前のデータしか考慮しない独自解析を行った模様だ。

上記はメジアン3年間のデータだが、治療効果は1年目、2年目と漸減する傾向が見られる。バイオマリンは被験者を最大15年、市販後の患者は15年以上、追跡する計画。FDAのプレスリリースは肝細胞腫の理論的懸念にも言及している。

米国の重症血友病A患者6500人のうち2500人程度が適応になる見込み。正味価格は190万ドル程度の見込みだが、患者が応答しなかった場合は全額を、4年以内に応答しなくなった場合は按分額を、医療保険組織に返還する考え。重症血友病の治療は年40万ドルとも言われているので、第VIII因子の投与などが5年間ゼロになれば元を取れる計算になる。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: Biomarinのプレスリリース


ラ島細胞療法が承認
(2023年6月28日発表)

FDAはCellTransのLantidra(donislecel-jujn)を一型糖尿病用薬として承認した。重度低血糖が起き易く血糖管理が上手くいかない成人患者が適応になる。死者のランゲルハンス島由来の同種細胞療法で、肝門脈に点滴投与する。反応に応じて再投与できる。臨床試験では低血糖症を自覚できない一型糖尿病患者30人に延べ56回移植したところ、21人が1年以上インスリン不要になり、うち10人は5年以上不要だった。一方、5人はインスリン不要にならなかった。有害事象は移植時の裂傷や出血、移植細胞からの微生物感染症、そして、免疫抑制療法の合併症など。臨床試験では1名が感染症による多臓器不全で死亡した。

CellTransはこの技術を開発したイリノイ大学の研究者が実用化のために設立した。

リンク: FDAのプレスリリース


週一回型成長ホルモンが承認
(2023年6月28日発表)

ファイザーの週一回皮下注用成長ホルモン製剤、Ngenla(somatrogon-ghla)がFDAに承認されたと発表した。日欧では昨年、承認されたが、米国は審査期間延長や審査完了通知で遅延した。3~17歳の成長ホルモン欠乏症患者を組み入れた第3相試験で0.66mg/kg/日を週一回投与した群の身長が年率10.1cm伸長、somatropinを0.034mg/kg/日群、毎日投与した群の9.8cmと同程度だった。

ヒト成長ホルモンのN端末とC端末にヒト絨毛性ゴナドトロピンのベータ鎖の一部を結合して半減期を長期化したもの。OPKO Health(Nasdaq:OPK)が13年にイスラエル企業を買収して入手し、翌年、ファイザーに開発商業化権をライセンスした。

米国のリスト・プライスは月$8300とのことなので日本より安いように見える。

リンク: 同社のプレスリリース


UCBの筋無力症用薬も承認
(2023年6月27日発表)

UCBはFDAがRystiggo(rozanolixizumab-noli)を成人の重症筋無力症(gMG)の治療薬として承認したと発表した。欧日でも承認審査中。同社はC5インヒビターzilucoplanも米欧日で承認申請中。

Rystiggoは胎児性Fc受容体(FcRn)に結合する抗体医薬。21年に米日欧で承認されたアルジェニクス(Euronext & Nasdaq:ARGX)のVyvgart(efgartigimod alfa-fcab)も抗FcRnフラグメントなので似ている。適応面の違いは、Rystiggoはアセチルコリン受容体(AChR)に対する自己抗体を持つタイプ(gMGの85~90%を占める)だけでなく、MuSK(筋特定的チロシン・キナーゼ)に対する自己抗体を持つタイプ(抗AChR抗体陰性gMGの5~70%を占める)も適応になること。

投与方法は週一回、体重に応じた用量を10分前後かけて持続皮下注する。自己注が可能なようだ。6回反復投与し、必要があれば、数週後に再開する。一方、Vyvgartは点滴用薬として承認されたが6月に米国で1分皮下注用のVyvgart Hytruloが承認された。週一回、4回投与し、必要に応じて数週間おいて再開する。日欧でも申請中。投与時間はVyvgartのほうが短いが自己注不可なので、Rystiggoのほうが患者には好都合かもしれない。

一番重要なのは薬効の違いだが、主評価項目や評価時期が異なるため比較は難しい。

リンク: UCBのプレスリリース

【当面の主なFDA審査期限、諮問委員会】


PDUFA:
  • 23年6~8月推 ファイザーのPF-06863135(elranatama、多発骨髄腫)
  • 23年7月推 アストラゼネカのBeyfortus(nirsevimab、0歳児等のRSV下部気道感染症予防)
  • 23/7/6   エーザイ/バイオジェンのLeqembi(lecanemab-irmb、本承認切替)
  • 23/7/23  Verrica PharmaceuticalsのVP-102(cantharidin、伝染性軟属腫)
  • 23/7/24  第一三共のVanflyta(quizartinib、FLT3-ITD陽性AML1L導入・地固め)
  • 23/7/28  Citius PharmaceuticalsのI/ONTAK(持続性難治性CTCL)



今週は以上です。

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