2023年3月4日

第1092回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • 抗XIIa抗体がHAEアタックを89%抑制 
  • テセントリクとカボメティクスの併用がまたフェール 
  • ヤンセンがPARP阻害剤・CYP17阻害剤合剤を承認申請 
  • オプジーボを未転移悪性黒色腫の術後補助療法に申請 
  • キイトルーダをNSCLC術前術後療法に承認申請 
  • FDA諮問委員会が高齢者向けRSVワクチンを支持 
  • 心ミオシン活性化剤は承認されず 
  • リムパーザのキモナイーブCRPC適応拡大は米国では遅延へ 
  • VeruのCOVID-19用薬はEUAされず 
  • フリードライヒ運動失調症用薬が承認 
  • 抗IL-6Rアルファ抗体が多発筋痛症に適応拡大 


【新薬開発】


抗XIIa抗体がHAEアタックを89%抑制
(2023年2月26日発表)

CSL(ASX:CSL)は昨年8月に抗血液凝固XIIa因子抗体CSL312(garadacimab)の第3相試験成功を明らかにしたが、具体的な内容をAAAAI(米国アレルギー喘息・免疫学会)で発表した。遺伝性血管浮腫(HAE)の患者63人を試験薬群と偽薬群に3対2割付けして6ヶ月間の発作頻度を比較したところ、試験薬群は平均で0.27回/月となり、偽薬群の2.01/月より86.5%少なかった。ベースライン時点の発作頻度の違いを調整後では89.2%減少した。試験薬群は61.5%が発作無しで済んだ(偽薬群はゼロ)。有害事象による投与中止は発生しなかった。年内に承認申請する予定。

HAE発作を抑制する薬は複数存在するが、CSL312の特徴は、ブラジキニン阻害剤より上流のXIIaを標的としていること。また、投与頻度は月一回皮下注と少ない。直接比較試験は行われていないので効果の多寡は曖昧だが、大きな違いはなさそうだ。

リンク: 同社のプレスリリース


テセントリクとカボメティクスの併用がまたフェール
(2023年3月2日発表)

Exelixis(Nasdaq:EXEL)は20年にロシュとVEGFR阻害剤Cabometyx(cabozantinib)とTecentriq(atezolizumab)の併用試験で提携し、三本開始したが、非小細胞性肺癌試験に続いて、腎細胞腫試験もフェールした。どちらも抗PD-1/PD-L1抗体歴を持つ患者が対象で、銘柄と併用薬を変えても上手くいかないということなのだろう。

今回のCONTACT-03試験は抗PD-1/PD-L1抗体歴のある局所進行/転移腎細胞腫を組入れて、Cabometyxモノセラピー群とCabometyx・Tecentriq併用群のPFS(無進行生存期間、独立放射線学的評価)と全生存期間を比較した。今回、前者の解析がフェールした。

Cametyxはモノセラピーで一次治療や再発治療に、Opdivo(nivokumab)併用で一次治療に、承認されている。Tecentriqは腎細胞腫の第3相がなかなか成功しない。

リンク: Exelixisのプレスリリース

【承認申請】


ヤンセンがPARP阻害剤・CYP17阻害剤合剤を承認申請
(2023年2月28日発表)

ジョンソン・エンド・ジョンソン・グループのJanssen PharmaceuticalはAkeega(niraparib、abiraterone acetate)を米国でも承認申請した。成人のBRCA変異のある転移性去勢抵抗性前立腺癌に用いる。EUでは2月にCHMPが肯定的意見をまとめた。

前者の活性成分はGSKの卵巣癌用薬Zejulaに用いられているPARP阻害剤で、Janssenは16年にTesaro(後にGSKが買収)から前立腺癌などに関する開発販売権を取得した(日本市場は対象外)。Tesaroは12年にMSDからライセンスした。後者はJanssenが前立腺用薬Zytigaとして販売しているCYP17阻害剤。元々は英国のBTGとICRの共同研究の成果である模様だ。

既に他社のPARP阻害剤がabiraterone acetate併用で承認されており、AkeegaはBRCA変異型専用なので少なくともレーベルの上では適応がやや狭くなる。一方、合剤なのでピルバーデンは半分で済み、販促面ではZytigaで培ったパイプが活用できるだろう。

リンク: 同社のプレスリリース


オプジーボを未転移悪性黒色腫の術後補助療法に申請
(2023年2月28日発表)

ブリストル マイヤーズ スクイブはOpdivo(nivolumab)をステージIIB/IICの悪性黒色腫の完全切除後アジュバント療法に用いる適応拡大を欧米で申請した。米国の審査期限は10月13日。

CheckMate-76K試験で1年無再発生存率が89%と偽薬群の79%を上回り、ハザードレシオは0.42、統計的に有意だった。G3/4の治療関連有害事象発生率は各群10%と2%、それによる治験離脱率は15%と3%だった。

OpdivoはステージIIIb/cとステージIVの悪性黒色腫の完全切除後アジュバント療法が17~18年に米欧で承認されている。

ライバルのKeytruda(pembrolizumab)はステージIIIが18~19年に、ステージIIは21~22年に、欧米で承認された。ステージIIにおけるハザードレシオはOpdivoのほうが良好だが、直接比較試験ではないので優劣は明確ではない。

リンク: BMSのプレスリリース


キイトルーダをNSCLC術前術後療法に承認申請
(2023年3月1日発表)

MSDは2月28日にKeytruda(pembrolizumab)の第3相試験二本のフェールを発表したが、翌日には、別の試験の成功を公表した。

KEYNOTE-671試験は中間解析で共同主評価項目の一つが目的達成認定された。切除可能なステージII、IIIA、またはIIIBの非小細胞性肺癌におけるネオアジュバント(化学療法併用)とアジュバント(モノセラピー)の便益を偽薬(ネオアジュバントは化学療法併用)と比較したところ、EFS(無進行生存期間)が有意に改善した。もう一つの全生存期間は未だ成熟していないようだ。

開票はもっと前だった模様で、米国で適応拡大申請し受理されたことも公表された。審査期限は10月16日。

Keytrudaは1月にステージIB、II、IIIAの非小細胞性肺癌の切除後に化学療法によるアジュバント療法を受けた患者に用いることが米国で承認された。今回の成功で対象が広がるとともに、治療タイミングが早くなる。

類薬ではロシュのTecentriq(atezolizumab)が21年にステージII、IIIAでPD-L1陽性(≧1%)の非小細胞性肺癌を切除し化学療法によるアジュバントを受けた患者向けに米日欧で承認されている。また、ブリストル マイヤーズ スクイブのOpdivo(nivolumab)は22年にPD-L1不問でステージIIとIIIAに米国で承認された。

リンク: 同社のプレスリリース

フェールしたのはKEYNOTE-641とKEYNOTE-789。前者はキモナイーブmCRPC(転移去勢抵抗性前立腺癌)におけるアンドロゲン枯渇療法とenzalutamideの併用法に追加する便益を検討したが、中間解析の結果、共同主評価項目であるrPFS(放射線学的無進行生存期間)も全生存期間も偽薬追加群と大差なかったことから、独立データ監視委員会が無益性を認定、打ち切りが決まった。Keytrudaは化学療法併用試験や化学療法歴のあるmCRPCを組入れた試験、転移去勢感受性前立腺癌試験も無益認定されており、4連敗。

KEYNOTE-789はEGFR変異のある非扁平上皮非小細胞性肺癌でEGFR阻害剤歴を持ち適応になる場合はosimertinibも経験済みの患者を組入れて、pemetrexedと白金薬ベース化学療法のレジメンに追加する便益を検討した。どちらも数値上改善したが事前に設定された閾値をクリアできなかった。

どちらの試験も安全性面の新たな懸念材料は発生しなかったが、深刻有害事象は偽薬比増加した。

適応拡大プロジェクトは大きな実と低い枝にぶら下がる取り易い実から狩っていくので、特許切れが近づくにつれ、臨床試験のフェールも増えていく。

リンク: MSDのプレスリリース(2/28付)

【承認審査・委員会】


FDA諮問委員会が高齢者向けRSVワクチンを支持
(2023年3月1日発表)

FDAはVRBPAC(ワクチン及び関連生物学的製剤諮問委員会)を招集し、ファイザーとGSKがそれぞれ承認申請した60歳以上を対象とするRSVワクチンについて意見を聞いた。どちらもRSVが細胞内に侵入する時にドッキングさせるF蛋白の融合前構造を抗原とする一回筋注用ワクチンで、ファイザーのAbrysvoはRSV-AとRSV-Bの二価ワクチン、GSKのArexvyはRSV-AベースでAS01-Eアジュバント入りである点が異なっている。

Abrysvoは2月28日に審議され、7人の委員が便益を支持、4人が不支持、一人は棄権した。安全性に関しても7対4、棄権1で支持が不支持を上回った。Arexvyは3月1日に審議され、薬効は12人が全員支持、安全性は10人が支持、2人が不支持だった。

通常ならどちらも良好な結果だが、Abrysvoに違和感を感じるのは、ワクチンは健康な、感染するとは限らない一般人口を対象とするので危険を大きく上回る便益が望まれ、票決も支持が不支持を大きく上回るべきだからだ。近年の画期的ワクチンである子宮頸癌ワクチンは06年の諮問委員会で全員一致で支持された。新規ウイルスであるCOVID-19に対する未知の技術であるmRNAベースのワクチン、Comirnaty、17人が賛成、4人反対、1人棄権だった。なぜAbrysvoは反対が1/3も占めたのか、良く分からない。逆に、なぜArexvyの反対がAbrysvoより少なかったのかも良く分からない。ここまでの差があるようには見えないからだ。

薬効面の留意すべき点は、被験者に占める重症化リスク保有者(COPDなど)の比率がそれほど高くないことや、第3相における偽薬群の重症感染率や入院率があまり高くなかったこと。後者はCOVID-19が流行しRSVが例年ほど流行しなかったことも影響したのだろう。60歳以上の全員にRSVワクチンを接種すべきというのはコンセンサスではないようなので、RSV感染症の怖さが浮き彫りになるようなデータなら違った結果になったかもしれない。

安全性面の懸念材料は、ワクチンの極稀な副作用の一つであるギラン・バレー症候群(GBS)やその亜型であるミラー フィッシャー症候群がAbrysvoで2例、Arexvyで1例、見られた。FDAは前者はワクチン関連疑い例、後者はワクチン関連と見なしている。経過は、接種の7~9日後に発症、入院し、治癒まで3~6ヶ月かかった。頻度は1~2万人に一人と低く、絶対数が少ないので真の値はもっと少ない可能性も否定できないが、60歳以上の人口全体がGBSを発症するリスク(10万人年当り1.5~3人と推定されている)と比べて一桁高く、7~9日間に発症するリスクと考えると二桁高いことになる。

GSKの第3相でRSVによる下部気道疾患を罹患し入院したのは両群合わせて2人だった(どちらの群かは不明)。GBSによる試験薬群の入院は1例だったので、入院リスクは打っても打たなくても大差ない、と考えることも不可能ではない。便益を向上するためには、接種対象を感染時の重症化リスクの高い人に絞ったほうが良いのかもしれない。GBSリスクは接種後数日だけだとしたら、便益が2~3年続くことが今後、確認されれば、危険・便益バランスを再考する余地が生まれる。

Arexvyは、4価インフルエンザ・ワクチンと同時接種する時の安全性を検討した試験で、ADEM(急性播種性脳脊髄炎)が2例発生し、一人は死亡した。発生率は0.5%。FDAはどちらかのワクチンとの関連疑い例と見なしている。RSVワクチンを接種すべき人はインフルエンザ・ワクチンの必要性も高いだろうから、気になるところだ。

ファイザーは市販後にGBS及び関連疾患のリスクを精査する臨床試験やファーマコビジランス試験を行う考え。GSKもファーマコビジランス試験を行う予定。

Arexvyの審査期限は5月3日。Abrysvoは5月とだけ発表されている。FDAは便益が危険を上回ると判断している模様なので、承認が見込まれる。CDC(米国疾病管理予防センター)のACIP(ワクチン接種委員会)が接種勧奨範囲をどのように判断するかも注目される。

米国では年17.7万人の高齢者がRSV感染により入院し、14,000人が死亡すると推定されている。予防薬は乳幼児向けの抗体医薬が承認されているが、高齢者向けはない。60年前に不活化ワクチンの臨床試験が実施されたが、接種後に感染すると重症化する抗体依存的感染増強現象が多発し実用化に至らなかった。

ワクチン効率
Abrysvo偽薬
患者数16,30616,308
RSV LRTD罹患者数(2症状以上)1133
 (1000人年当り)1.23.6
 ワクチン効率(信頼区間)66.7%(28.8-85.8)
RSV LRTD罹患者数(3症状以上)214
 (1000人年当り)0.21.5
 ワクチン効率(信頼区間)85.7%(32.0-98.7)
Arexvy偽薬
患者数12,46612,494
RSV LRTD罹患者数740
 (1000人年当り)1.05.8
 ワクチン効率(信頼区間)82.6%(57.9-94.1)
RSV LRTD重症罹患者数117
 (1000人年当り)0.12.5
 ワクチン効率(信頼区間)94.1%(62.4-99.9)
注:RSV LRTD=RSVによる下部気道疾患。Abrysvoの信頼区間は96.66%、ArexvyはARSV LRTDは96.95%、重症例のみは95%。

リンク: ファイザーのプレスリリース(2/28付)
リンク: GSKのプレスリリース(3/1付)


心ミオシン活性化剤は承認されず
(2023年2月28日発表)

Cytokinetics(Nasdaq: CYTK)はCK-1827452(omecamtiv mecarbil)をNYHAクラスII-VIの駆出率低下心不全の治療薬として米国で承認申請していたが、審査完了通知を受領した。複合評価項目で偽薬比統計的に有意な差が見られたが、治療効果は小さく、p値が一本の試験だけで承認するには十分低くなく、重要なアウトカムである心血管死抑制作用が確立していないことなどがネックとなった。12月の諮問委員会でも11人中8人が支持しなかった。

FDAはもう一本実施するよう提案したが、同社はこれ以上の投資は行わない考えだ。昨年4月に米国で承認されたブリストル マイヤーズ スクイブのCamzyos(mavacamten)と同じ心ミオシン阻害剤で、同じ閉塞性肥大性心筋症の第3相の結果が年内に判明しそうなCK-3773274(aficamten)に重点をシフトする。

リンク: 同社のプレスリリース


リムパーザのキモナイーブCRPC適応拡大は米国では再遅延へ
(2023年3月2日発表)

アストラゼネカと共同開発販売パートナーのMSDは、FDAがPARP阻害剤Lynparza(olaparib)の適応拡大申請に関する諮問委員会を4月28日に招集すると発表した。優先審査指定を受け、審査期限は22年第4四半期に設定されたが、延期された。諮問委員会招集でまた遅れることになる。理由は不明。

LynparzaはBRCA変異のある転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)でenzalutamide及びabirateroneによる治療後に進行した患者に単剤投与することが20年に欧米日で承認されている。今回のアジェンダは、化学療法未治療のmCRPCを対象にabiraterone及びprednisoneのレジメンに追加する用途用法。第3相PROpel試験で主評価項目のrPFS(放射線学的無進行生存期間)がメジアン24.8ヶ月と偽薬追加群の16.6ヶ月を上回り、ハザードレシオは0.66、統計的に有意だった。副次的評価項目の全生存期間は最終解析でメジアン値が各群42.1ヶ月と34.7ヶ月、ハザードレシオは0.81で、統計的に有意ではなかったが点推定値は好ましいものだった。

悩ましいのは適応範囲だ。この試験は遺伝子修復機構が十分か不全かを問わずに組入れたが、相同組換え修復不全(HRR)サブグループはrPFSハザードレシオが0.50、非HRRサブグループは0.76と差があった。但し、全生存期間のハザードレシオは各0.66と0.69で大差なかった。一方、切り口をBRCA変異に変えると、全生存期間のハザードレシオは変異ありなら0.29だが、なしでは0.91とかなり鮮明な差があった。PARP阻害剤はPFSが延命効果に必ずしも繋がらない。サブグループ分析結果は製品によって区々で、それが実力の差なのか、ノイズなのか、よくわからない。

EUは臨床的に化学療法が適さないmCRPCの成人に用いることを昨年12月に承認した。FDAは如何?

リンク: 両社のプレスリリース


VeruのCOVID-19用薬はEUAされず
(2023年3月2日発表)

米国マイアミの新薬開発会社、Veru(Nasdaq:VERU)は、FDAがVERU-111(sabizabulin)のEUA(非常時使用認可)を見送ったことを公表した。臨床試験で大変良い結果を出したが、症例数が少なく、第三の因子が影響した可能性もあるため、もう一本実施するよう求めた。諮問委員会でも反対が多数を占めたので、意外ではない。

VERU-111は微小管阻害剤。リード・インディケーションは乳癌だったが、インフルエンザウイルスの細胞内移動に微小管が関与するという論文などに触発され、COVID-19用薬としての開発に着手した。米州やブルガリアの施設に入院した中等症/重症COVID-19患者でARDS(急性呼吸窮迫症候群)または死亡リスク因子を持つ患者204人を組み入れて、9mgを一日一回経口投与する群と偽薬群に2対1割付けして60日死亡リスクを比較したところ、150人の中間解析で各群20%と45%、相対リスク削減率55%、p=0.0029という成績を叩き出し、成功認定された。

最終解析でも各群18.7%と38.6%と有意な差が見られ、サブグループ分析も良好な結果となった。群間の偏りは、65歳以上の比率やdexamethasoneやremdesivirの併用率の点で試験薬群がやや有利だったが、ここまで大きな差を説明できるほどではなかった。一方で、偽薬群の死亡率の高さを説明するのも困難で、試験薬群が良かったのではなく偽薬群が何らかの理由で悪かった可能性も考えざるを得ない。

作用機序があいまいであることもあり、FDAはエビデンスの頑強性に疑念を示した。昨年11月に開催された肺・アレルギー用薬諮問委員会でも13人の委員のうち8人が便益が確立していないと判定した。

同社は追加試験の実施を考えている。

リンク: 同社のプレスリリース

【承認】


フリードライヒ運動失調症用薬が承認
(2023年2月28日発表)

Reata Pharmaceuticals(Nasdaq:RETA)はFDAがSkyclarys(omaveloxolone)を16歳以上の青少年と成人のフリードライヒ運動失調症用薬として承認したと発表した。第3相試験で48週後のmFARS(修正フリードリッヒ運動失調症レーティング・スケール)が偽薬群を有意に上回った(n=82、p=0.014)。有害事象は頭痛、悪心、腹痛、肝機能検査値異常など。報道によると価格は年37万ドル(値引き前)。希少小児疾患用薬を開発した企業に対するご褒美である優先審査バウチャを獲得した。

フリードライヒ運動失調症は常染色体劣性遺伝性神経変性疾患。遺伝子変異によりミトコンドリア蛋白であるフラタキシンの機能が低下、運動失調症や歩行能力低下を招く。米国の推定患者数は5000人。SkyclarysはNrf2アクティベータ。ミトコンドリア機能不全や酸化ストレスを緩和する。

リンク: 同社のプレスリリース
リンク: FDAのプレスリリース


抗IL-6Rアルファ抗体が多発筋痛症に適応拡大
(2023年2月28日発表)

Regeneron Pharmaceuticals(Nasdaq:REGN)とサノフィは、FDAがKevzara(sarilumab)を成人のリウマチ性多発筋痛症に用いることを承認したと発表した。コルチコステロイドで治療しても十分に応答しない、または、コルチコステロイドの漸減中/中止後に再燃した患者が適応になる。

前者が創製した抗IL-6Rアルファ完全ヒト化抗体で、17年に米欧日で中重度リウマチ性関節炎用薬として承認された。類薬は複数あるが、今回の適応を取得したのは初。52週間の第3相SAPHYR試験で持続的寛解率が28.3%と偽薬群の10.3%を上回った(p=0.0193)。深刻有害事象の発現率は20.7%と偽薬群の13.6%を上回った。

リンク: 両社のプレスリリース





今週は以上です。

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