2019年10月13日

2019年10月13日号

【ニュース・ヘッドライン】

  • ピーナツアレルギー減感作療法用パッチ薬、FDAが承認申請受理 
  • FDA、イーライリリーの片頭痛治療薬を承認 
  • FDA、エボラ迅速検査を承認 
  • ノバルティス、AMD治療薬が米国で承認 
  • 赤芽球性プロトポルフィリン症の治療薬が米国でも承認 


【承認申請】


ピーナツアレルギー減感作療法用パッチ薬、FDAが承認申請受理
(2019年10月4日発表)

フランスのDBV Technologies(Euronext:DBV)は、Viaskin Peanutをピーナツアレルギー治療薬としてFDAに承認申請し受理されたと発表した。審査期限は来年8月5日。

減感作療法用のパッチ薬で、第三相試験では4-11歳の患者に250mcgのピーナッツ蛋白を一日一回、12ヶ月間経皮投与したところ、奏効率が35.3%と偽薬群の13.6%を上回った(p=0.00001)。但し、差の95%信頼区間は12.4-29.8%で、95%下限が15%を上回るという目標を達成することはできなかった。

同社は昨年10月に承認申請したが、生産手順や品質管理に関する情報が不十分とみなされたため12月に撤回、今年8月に再申請していた。

リンク: DBVのプレスリリース(pdfファイル)


【承認】


FDA、イーライリリーの片頭痛治療薬を承認
(2019年10月11日発表)

FDAはイーライリリーのReyvow(lasmiditan)を片頭痛治療薬として承認した。ファースト・イン・クラスの選択的セレトニン5-HT1Fアゴニストで、50mg、100mg、または200mgを一日一回経口投与した二本の第三相試験で2時間後頭痛解消率が偽薬群を有意に上回った。主な有害事象はめまいや鎮静、知覚異常、疲労など。服用後8時間は自動車や機械の運転を避けるべき。

片頭痛の代表的な治療薬であるトリプタン系5HT1D受容体アゴニストと異なり、5-HT1F受容体を選択的に作動するため、心血管リスクが小さいと考えられている。

薬物嗜好試験でリスクが見られたため、麻薬取締局が規制スケジュールを決定してから発売する予定。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: イーライリリーのプレスリリース

FDA、エボラ迅速検査を承認
(2019年10月10日発表)

FDAは、OraSure Technologies(Nasdaq:OSUR)のOraQuick Ebola Rapid Antigen Testを承認した。血液や死体口腔液を元にエボラウイルス疾患を迅速検査するもので、最終的な診断は別途確定する必要がある。

エボラウイルス疾患はコンゴ民主共和国などサブサハラ地域で定期的に流行している。FDAは2014年の流行時に非常時使用承認(EUA)制度に基づいてエボラウイルス検査を承認したが、その後も通常の承認に向けてメーカーと協議を進めてきた。その成果が今回の承認だ。

審査の迅速性と正確性を両立するための便法として参考になるのではないか。

リンク: FDAのプレスリリース

ノバルティス、AMD治療薬が米国で承認
(2019年10月8日発表)

ノバルティスは、FDAがBeovu(brolucizumab)を滲出型AMD(加齢黄斑変性症)の治療薬として承認したと発表した。

VEGF-Aを標的とする眼科用抗体医薬としては同社が共同開発販売しているジェネンテックのLucentis(ranibizumab)やリジェネロン(Nasdaq:REGN)がバイエルと共同開発販売しているEylea(aflibercept)が既にあるが、Beovuはウサギの抗体をヒト化した短鎖フラグメントで分子量が26キロダルトンと、Eyleaの115キロダルトンだけでなく抗体フラグメントであるLucenisの48 kDaと比べても小さいのが特徴。

第三相試験では視力改善効果や忍容性がEyleaと非劣性だった。この臨床試験では最初の三回は月一回、その後は8-12週毎に硝子体注射と、Eylea(最初の三回は月一回、その後は8週毎)より投与間隔を空けることが可能だった。48週間の試験だが、5割強の患者が12週毎で足りた。

現実の医療では臨床試験と異なった用法を採用するケースもあるだろうし、定期投与ではなく改善したらしばらく様子を見て悪化したら再治療という方針を採用する医師もいるだろう。このため、投与スケジュールの違いがどの程度アピールするかは不透明なところがある。また、上記試験で一部の二次的評価項目ではEyleaより効果が高かったことがレーベルには記載されなかった。一方、眼内炎の発現率が4%とEyleaの1%より高かったことが明らかにされた。

brolucizumabは09年にスイスのESBATechを達成報奨金含めて5.9億ドルで買収して入手したコンパウンド。Lucentisは北米ではジェネンテックが独占販売し、他の地域では売上ロイヤルティ負担があるがBeovuは制約がない。

リンク: ノバルティスのプレスリリース

赤芽球性プロトポルフィリン症の治療薬が米国でも承認
(2019年10月8日発表)

FDAは、オーストラリアのClinuvel Pharmaceuticals(ASX:CUV)のScenesse(afamelanotide)を初の赤芽球性プロトポルフィリン症(EPP)治療薬として承認した。

EPPは常染色体優性遺伝性疾患で、フェロケラターゼの遺伝子欠損によりヘム生合成過程の中間体であるプロトポルフィリンIVが皮膚などに蓄積、日光など光線と反応して皮膚の痛みや腫れを起こす。Scenesseはアルファ-MSH(メラニン細胞刺激ホルモン)の類縁体でMC1-R(メラノコルチン-1受容体)を作動しメラニンの産生を増強、皮膚を光線や紫外線から守る。アルファ-MSHは数秒しか持たないが、Scenesseは皮下インプラントで2ヶ月に一回の埋め込みで足りる。

効果は限定的で、日を浴びても痛くならない時間が若干増える程度。FDAは治療中もサン・プロテクションを行うよう勧告している。14年12月にEUで例外的環境条項に基づき承認されたが、18/6期の売上高は2100万ドル余に留まっている。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: Clinuvelのプレスリリース(pdfファイル)





今週は以上です。

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