【ニュース・ヘッドライン】
- JNJ、S1P1調節剤を承認申請へ
- オプジーボ、ヤーボイ併用で肺癌試験が成功
- ヴィーブ、Dovatoのスイッチ試験成功
- アステラス、EUでXtandiの適応拡大申請
- バーテックス、嚢胞性線維症のトリプル・コンビ薬を承認申請
- CHMPがNRTK陽性固形腫瘍の新薬などに肯定的意見
- Shield社の経口鉄製剤が米国でも承認
- FDA、経鼻投与用グルカゴンを承認
- CHMP、ジレニアを妊婦禁忌に
- FDA、潰瘍性大腸炎用途でゼルヤンツを警告強化
【新薬開発】
JNJ、S1P1調節剤を承認申請へ
(2019年7月25日発表)
ジョンソン・エンド・ジョンソン・グループのヤンセンは、ponesimodの第三相再発型多発硬化症試験、OPTIMUMが成功したと発表した。年内に欧米で承認申請する計画。
ponesimodは97年にロシュからスピンアウトしたアクテリオンのS1P1調節剤。06年にロシュと共同開発を開始したが、09年にロシュがジェネンテックを完全子会社化し提携解消したため、単独でPOCを進めることになった。15年に今回のOPTMUM試験を開始。アクテリオンは17年にJNJに買収されたが、開発品を承継したIdorsia Pharmaceuticalsがponesimodの売上に係る収益権を保有している。
OPTIMUMは1133人の患者をponesimod(20mg)またはサノフィのAubagio(teriflunomide、14mg)、を一日一回経口投与する群に無作為化割付して2年間追跡した二重盲検試験。主評価項目は年率再発率で、優越性検定。副次的評価項目では疲労症状や造影検査による病変の変化などを検討している。
主評価項目と多くの副次的評価項目で成功したとのことだが、具体的な数値は9月のECTRIM欧州多発硬化症学会で発表される見込み。なぜAubagioを対照薬に選んだのか、有害事象によるドロップアウトがどの程度影響したのか、などに注目する必要がありそうだ。
リンク: JNJのプレスリリース
オプジーボ、ヤーボイ併用で肺癌試験が成功
(2019年7月24日発表)
BMSは、抗PD-1抗体Opdivo(nivolumab)の進行性非小細胞性肺癌一次治療試験であるCheckMate-227試験の全生存解析の結果を発表した。様々な患者に様々な併用法を施行して様々な解析を行ったテンコ盛り試験に相応しく、成功したものもしなかったものもあった。
この試験は先行して行われたPFS(無進行生存期間)解析が成功し適応拡大申請されたがFDAやEMAに承認されなかった。二兎を追うものは一兎も得ず、と教訓を垂れたいところだが、Yervoy(ipilimumab)併用が成功したので、非小細胞性肺癌の需要をすべてKeytruda(pembrolizumab)に持っていかれるというワーストケース・シナリオからは脱却できそうだ。
227試験はパート1a、1b、2の三部作。1aは28-8 pharmaDxアッセイでPD-L1陽性と判定された患者をモノセラピー群、Yervoy併用群、または化学療法群に割り付けた。1bは陰性患者をYervoy併用群、化学療法併用群、または化学療法群に割り付けた。パート2はPD-L1発現不問で化学療法併用と化学療法を比べた。試験薬が多いせいか、二重盲検ではない。
主評価項目は治験開始後に一部変更された。共同主評価項目の一つは、パート1aと1bに組入れられた患者のうちTMB≧10 mut/Mb(腫瘍における遺伝子変異頻度が百万塩基当り10以上)のサブグループを対象としたPFS解析で、上記のように、昨年2月に成功発表された。ハザードレシオ0.58と良好で、対応する全生存解析はハザードレシオ0.79、95%信頼区間0.56-1.10と検出力不足なのか有意差は出ていないが悪くはなかった。
にもかかわらず、EMAもFDAも、適応拡大申請を認めなかった。理由は明らかではないが、TMBに基づくスクリーニングの妥当性が明確にならなかったからではないか。全生存の解析結果は10 mut/Mb未満のサブグループと大差ないからだ。過去のOpdivoやロシュのTecetriq(atezolizumab)の第二相試験でも、PFSの応答予測因子としては有望そうに見えたが全生存との相関性は判然としなかった。閾値はこの第二相の事後的解析に基づいて決定された模様なので、妥当でなかった可能性も検討しなければならないだろう。
今回発表されたのは残りの共同主評価項目である二つの全生存解析。まず、パート1aにおけるYervoy併用群と化学療法群の全生存期間の比較は有意に上回った。具体的なデータは今後の学会で発表される予定。高価なバイオ薬の併用なので、Keytrudaの化学療法併用試験のデータと見比べて、お値段以上なのか吟味する必要がありそうだ。
次に、パート2に組入れられた患者のうち扁平上皮腫以外の症例(非扁平上皮非小細胞性肺癌)における化学療法併用と化学療法のみの比較。フェールした。ハザードレシオ0.86(95%信頼区間<CI>0.69-1.08)、メジアンは18.8ヶ月対15.6ヶ月で2ヶ月強の差、1年生存率67.3%対59.2%となっており、あと一歩だった。また、主評価項目ではないが扁平上皮非小細胞性肺癌患者の探索的全生存解析はハザードレシオ0.69(95%CI0.50-0.97)、メジアンは18.3mヶ月対12.0ヶ月と、見た目の良い数値が出ている。
Keytrudaの対応する治験成績は、非扁平上皮非小細胞性肺癌がハザードレシオ0.49(95%CI0.38-0.64)、メジアンは未達対11.3ヶ月となっており、信頼区間がBMSのそれとオーバーラップしていないので、真の値は大差ないと推定することはできない。一方、扁平上皮腫は各0.64(0.49-0.85)、16.7ヶ月、12.1ヶ月と大きくは違わない。
Opdivoの非小細胞性肺癌一次治療はモノセラピー試験がフェールし、全売上高でもKeytrudaの後塵を浴びることになってしまった。現状ではPD-L1強陽性(TPS≧50)にはKeytrudaモノセラピー、それ以外は化学療法併用というのが標準的な治療方針だが、Opdivo・Yervoy併用レジメンの成績次第で、新たな選択肢が生まれることになる。
リンク: BMSのプレスリリース(Opdivo・Yervoy併用群の成功について)
リンク: 同(Opdivo・化学療法併用群のフェールについて)
ヴィーブ、Dovatoのスイッチ試験成功
(2019年7月24日発表)
グラクソ・スミスクラインと塩野義製薬、ファイザーのHIV/AIDS薬合弁であるヴィーブ・ヘルスケアは、DovatoのTANGO試験の結果をIAS(国際AIDS学会)で発表した。
Dovatoは活性成分二剤で足りる初めての抗HIVレジメンとして19年に欧米で承認された、インテグラーゼ阻害剤dolutegravirと核酸系逆転写阻害剤lamivudineの固定用量合剤。適応は初めて抗ウイルス剤治療を受けるHIV/AID患者に限定されているが、患者数は治療中のほうがはるかに多い。
TANGO試験は、代表的な核酸系逆転写阻害剤であるTAF(tenofovir alafenamide fumarate)を含む多剤併用療法でウイルス抑制に成功している安定的なHIV/AIDS患者を組入れて、治療を継続する群とDovatoにスイッチする群の治療失敗(48週後にHIV-1 RNA量が50コピー/mL以上)率を比較したもの。両群とも1%未満で、調整後の失敗率の差は-0.3%となり、非劣性だった。50コピー未満維持成功率は93.0%対93.2%でこれも非劣性。有害事象による治験離脱は1%未満対4%で若干多かったが、スイッチ試験ではよくあることだ。
臨床試験は選ばれた医療施設の選ばれた医師が、組入れ基準や除外基準に即して厳選した患者を、格別な注意を払いながら治療するので、現実の医療では効果がもっと低く、有害事象はもっと多いと受け止めるべきである。抗ウイルス薬は途中で服用を止めると耐性ウイルスが生じる確率が高まるが、二剤レジメンはその懸念が強い。Dovatoの承認は2年間のGEMINI試験の1年目のデータに基づくものなので、2年目やそれ以降に治療失敗が増えないか、チェックする必要がある。
その意味で重要なGEMINI試験二本の2年間の成績がIASで発表された。奏効率(96週時点で50コピー/mL未満)が86%と、dolutegravir、emtricitabine、tenofovirの三剤を併用した群の90%と非劣性。有害事象治験離脱率は両群3%だった。非劣性といっても数値上は低いので、説得力は今一つなのではないか。
リンク: GSKのプレスリリース(スイッチ試験について)
リンク: 同(ナイーブ試験の96週成績について)
【承認申請】
アステラス、EUでXtandiの適応拡大申請
(2019年7月24日発表)
アステラス製薬は、経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤Xtandi(enzalutamide、和名イクスタンジ)を転移性ホルモン感受性前立腺がんに用いる適応拡大をEUに申請し受理された。アンドロゲン除去療法(ADT)と併用する。ARCHES試験では偽薬・ADT併用群と比べてPFS(無進行生存期間、放射線学的評価)のハザードレシオが0.39、p<0.0001だった。全生存の解析は未成熟。G3/4有害事象の発生率は両群大差なかった。
もう一つのエビデンスであるENZAMET試験では、ADT併用群とADT・非ステロイド系抗アンドロゲン併用群の全生存期間を比較した。ハザードレシオ0.67、p=0.002、3年生存率は各80%と72%だった。痙攣や疲労の発現率や、有害事象投与中止率はXtandi群のほうが高かった模様。
リンク: アステラス製薬のプレスリリース
バーテックス、嚢胞性線維症のトリプル・コンビ薬を承認申請
(2019年7月22日発表)
バーテックス・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:VRTX)は、新開発のCFTRコレクター、VX-445(elexacaftor)を既承認の二剤(CFTRポテンシエイターivacaftorとCFTRコレクターtezacaftor)と組み合わせたトリプル・コンビ・レジメンをFDAに承認申請した。CFTR遺伝子にF508欠損(ホモ接合型、またはヘテロでもう一つは最小機能変異)を持つ嚢胞性線維症の治療に用いる。
バーテックスは優先審査を求めた。嚢胞性線維症の患者は世界で75000人程度と推定されているが、今回の新薬が実用化されれば治療対象が現在の44000人から68000人に増加する見込み。
プレスリリースには明記されていないが、第三相試験では朝は三剤配合錠、夕方は一日二回服用が必要なivacaftor(製品名Kalydeco)だけを服用したので、VX-445単剤ではなくFDC薬を承認申請したものと推察される。
リンク: バーテックスのプレスリリース
【承認審査・委員会】
CHMPがNRTK陽性固形腫瘍の新薬などに肯定的意見
(2019年7月26日発表)
EUの薬品審査機関であるEMAの科学的評価委員会、CHMPは、7月の会合で、バイエルのVitrakvi(larotrectinib)などの承認に肯定的意見を纏めた。順調なら2~3ヶ月以内にEU全域で承認されることになる。
リンク: EMAのプレスリリース
Vitrakvi(larotrectinib)はトロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)阻害剤。TRKの遺伝子であるNTRKの遺伝子が他の遺伝子と融合し、TRKが異常活性化している固形癌に用いる。臨床試験では67%の患者が反応し、その88%は6ヶ月以上持続した。適応が病変部位ではなく遺伝子変異に基づく薬はEU初。判定はIHC検査陽性だけでは足りず次世代シーケンサーで確認する必要があるようだ。
適応になるのは固形癌のうち1%程度である模様。臨床試験で応答例があったのは軟組織肉腫や唾液腺癌、幼児線維肉腫、甲状腺がん、肺癌など。
米国では昨年11月に承認された。
17年にLoxo Oncology社から共同開発販売権を取得したところ、今年初めにイーライリリーに買収されたため、支配権変動条項に基づき開発販売権を完全取得した。
リンク: EMAのプレスリリース
リンク: バイエルのプレスリリース
次に、GW Pharmaceuticals(Nasdaq:GWPH) のEpidyolex(cannabidiol)。レノックス・ガストー症候群やドラベ症候群の2歳以上の患者のてんかん発作の治療に、clobazamと共に用いる。米国では昨年6月にEpidiolex名で承認。
カンナビジオールは大麻の成分だが、陶酔効果に係るCB1受容体作動作用は持たないとされる。臨床試験では失立発作が4割前後減少した(偽薬群は1-2割減少)。
リンク: EMAのプレスリリース
リンク: GW Pharmaceuticalsのプレスリリース
カナダのTheratechnologies(TSX:TX)のTrogarzo(ibalizumab)は、CD4の細胞外ドメイン2に結合するヒト化抗体。多剤抵抗性HIV-1感染症で適切な多剤併用レジメンを構築できない患者に、2週毎点滴静注する。
Tanox社がバイオジェンからライセンスして開発していたが、07年にTanoxを買収したジェネンテックが台湾の会社にライセンスアウトした。Theratechnologiesは欧米などでの販売権を持っている。
リンク: EMAのプレスリリース
リンク: Theratechnologiesのプレスリリース(pdfファイル)
Acorda Therapeutics(Nasdaq:ACOR)のInbrijaはlevodopaの吸入用製剤。パーキンソン病はドパミンによく反応するが、次第に作用が減弱するウェアリング・オフを経験するようになる。このような時に必要に応じて使うのがInbrijaだ。米国では昨年12月に承認。
リンク: EMAのプレスリリース
リンク: Acordaのプレスリリース
適応拡大では、まず、BMSの抗SLAMF7ヒト化抗体、Empliciti(elotuzumab、和名エムプリシティ)を多発骨髄腫の三次治療としてpomalidomide及び低量dexamethasoneと併用する用法追加が支持された。代表的な治療薬であるlenalidomide及びプロテアソーム阻害剤による治療歴を持ち、最終治療に疾病安定化しなかった患者が適応になる。米国は昨年11月に承認、日本は今年2月に用量用法追加申請された。
リンク: EMAのプレスリリース
リンク: BMSのプレスリリース
次に、MSDの抗PD-1ヒト化抗体、Keytruda(pembrolizumab、和名キイトルーダ)を進行腎細胞腫の一次治療にaxitinibと併用する適応拡大。米国では今年4月に承認された。Opdivo(nivolumab)とYervoy(ipilimumab)の併用はPD-L1陽性だけが対象なので、Keytrudaのレジメンのほうが適応が広い。
リンク: EMAのプレスリリース
ロシュの抗PD-L1ヒト化抗体、Tecentriq(atezolizumab、和名テセントリク)は二種類の適応拡大が支持された。一つは進展型小細胞性肺癌の一次治療。carboplatin及びetoposideと併用する。米国は今年3月に承認、日本も審査中。もう一つは転移性非扁平上皮非小細胞性肺癌の一次治療。carboplatin及びnab-paclitaxelと併用する。EGFR活性化変異やALK融合蛋白を持つ癌は除く。
リンク: EMAのプレスリリース
リンク: ロシュのプレスリリース(小細胞性肺癌)
リンク: 同(非扁平上皮非小細胞性肺癌)
大鵬薬品のLonsurf(trifluridineとtipiracilを配合、和名ロンサーフ)は転移性結腸直腸がんのサルベージ療法として承認されているが、モノセラピー限定であることの明記と、転移性胃癌の三次治療にモノセラピーを施行することが支持された。後者は米国では今年2月に承認。
リンク: EMAのプレスリリース
加齢性黄斑変性などVEGFが関連する網膜疾患の治療薬、Lucentis(ranibizumab、和名ルセンティス)を未熟児網膜症の治療に用いることも支持された。ゾーンI(ステージ1+から3+まで)、ゾーンII(ステージ3+)、またはAP-ROPと呼ばれる進行の早いタイプが適応になる。Lucentisはジェネンテックが創製、北米以外ではノバルティスが開発販売している。
未熟児網膜症はレーザーを何万発も打つのが標準的治療だが、細胞が痛むので長期的な予後が危惧される。Lucentisもレーザー治療対照試験の症例を長期追跡調査するので網膜剥離・失明リスクを削減する効果や正常な成長発達を妨げる有害作用の多寡が明確になっていくだろう。
リンク: EMAのプレスリリース
リンク: ノバルティスのプレスリリース
このほかに、アクテリオンのSoliris(eculizumab、和名ソリリス)を視神経脊髄炎(NMOSD)の治療に用いる適応拡大も支持された。抗アクアポリン4自己抗体を持つ、NMOSDの7-8割を占めるタイプが適応になる。また、ジョンソン・エンド・ジョンソンのStelara(ustekinumab、和名ステラーラ)を中重度活性期潰瘍性大腸炎に用いることも支持された。
日米でも適応拡大申請中。現在は乾癬や乾癬性関節炎、クローン病などの治療に承認されている。最後に、MSDのZerbaxa(ceftolozaneとtazobactamの合剤、和名ザバクサ)を院内感染肺炎(人工呼吸器関連肺炎を含む)の治療に用いる適応拡大。米国では6月に承認済み。
さて、6月に否定的意見をまとめた三剤の承認申請について、メーカー側の再審要請を受け入れたことも発表された。まず、UCBがアムジェンと共同開発した抗スクレロスチン抗体、Evenity(romosozumab、和名イベニティ)。骨折リスクの高い骨粗鬆症の治療薬として承認申請されたが、臨床試験で心筋梗塞や脳卒中が増加したり75歳以上のサブグループで死亡例が増加する懸念が浮上、米国では枠付き警告された。日本では発売後3ヶ月で重篤な脳・心血管疾患が11例報告された。治療を続けても効果が減弱するため日本でも米国でも12ヶ月間限定であることなど、難しい薬である。
ノバルティスのRevolade(eltrombopag、和名レボレード)を重度再生不良性貧血に用いる適応拡大申請と、PTC Therapeutics(Nasdaq:PTCT)のTranslarna(ataluren)を歩行可能なジストロフィン遺伝子ナンセンス変異陽性患者だけでなく歩行不能患者にも用いる適応拡大申請も、再審査が決まった。
【承認】
Shield社の経口鉄製剤が米国でも承認
(2019年7月26日発表)
Shield Therapeutics(LSE:STX)は、FDAがAccrufer(ferric maltol)を成人の鉄欠乏症の治療薬として承認したと発表した。塩ではないので経口鉄不耐の鉄欠乏性貧血症患者にも使える可能性があり、静注用製剤の代替的選択肢になる。欧州ではFeraccru名で16年に承認、Norgine社が販売。米国は販売提携交渉中。
リンク: Shield社のプレスリリース
FDA、経鼻投与用グルカゴンを承認
(2019年7月24日発表)
FDAはイーライリリーのBaqsimiを4歳以上の重度低血糖症の治療薬として承認した。使い捨てディバイスでグルカゴン粉末をそのまま経鼻投与できるので、重度低血糖症という救急事態に注射用薬を調整する手間が省ける。失神時でも使えるようだ。注射用グルカゴンと異なる特有の有害事象としては、鼻詰まりや涙目、充血が見られる。
カナダのLocemia Solutionsから世界権を取得したもの。
リンク: FDAのプレスリリース
【医薬品の安全性】
CHMP、ジレニアを妊婦禁忌に
(2019年7月26日発表)
CHMPは、多発性硬化症治療薬Gilenya(fingolimod)を妊婦禁忌にするよう勧告した。新生児が心臓、腎臓、骨、筋肉などに欠陥を持つ確率は2-3%だがGilenya服用者は倍という研究結果を踏まえたもの。治療開始前に妊娠検査を行い、再生産年齢の女性に用いる場合は避妊を徹底する。
Gilenyaはノバルティスが田辺三菱製薬からライセンスして開発販売しているS1PR調整剤。日本ではノバルティスがジレニア名で、田辺三菱がイムセラ名で販売している。
リンク: EMAのプレスリリース
FDA、潰瘍性大腸炎用途でゼルヤンツを警告強化
(2019年7月26日発表)
FDAは、ファイザーのXeljanz(tofacitinib、和名ゼルヤンツ)について、一部用途の限定・警告強化を行った。リウマチ性関節炎や乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎の治療薬として承認されているJAK3阻害剤だが、リウマチ性関節炎の安全性確認試験で高用量群(10mgを一日二回投与)に肺塞栓や死亡リスクが見られたため、この用量が承認されている潰瘍性大腸炎のレーベルを見直したもの。
EMAも今年5月に、血栓リスクが高い患者には10mgを用いないよう暫定的勧告を行っているが、FDAは、潰瘍性大腸炎の適応を、他の薬では十分に反応しない、または重度有害事象を経験した患者に限定した。同時に、この用量は血栓リスクが死亡リスクが高まることを枠付警告した。
FDAによると、当該臨床試験で発生した肺塞栓の頻度は19例/3884人年、TNF阻害剤を用いた対照群は3例/3982人年だった。死亡は45例/3884人年、対照群は25/3982人年だった。
リンク: FDAのプレスリリース
今週は以上です。
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