2019年1月20日

2019年1月20日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • 米国連邦政府閉鎖の影響でビーナッツアレルギー治療薬の承認審査が遅延 
  • イムブルビカの適応拡大試験がフェール 
  • リリーの抗PDGFRアルファ抗体、市販後薬効確認試験がフェール 
  • テセントリク、NSNSCLC一次治療レジメンを追加申請 
  • ビンダケル、米国で承認申請受理 
  • ImmunomedicsのADCは承認見送り 
  • サノフィのSGLT阻害剤、FDA諮問委員会の意見は二分 
  • イベニティ、FDA諮問委員会で支持されたが 
  • Exelixis、VEGFR阻害剤が肝臓癌に適応拡大 
  • オプジーボとヤーボイの併用、EUで腎細胞腫に承認 
  • 第二世代アンドロゲン伝達阻害剤がEUで承認 


【今週の話題】


米国連邦政府閉鎖の影響でビーナッツアレルギー治療薬の承認審査が遅延
(2019年1月14日発表)

米国連邦政府の予算成立が遅れているため、昨年12月21日以降、政府組織の一部が閉鎖され多くの職員が一時帰休となっている。FDAに関しては、食品汚染など重要な事態に対処する機能が維持されるだけでなく、食品などに関する業務の一部は別途成立した法律で予算が確保されており、更に、医薬品や医療機器などの承認審査はユーザー課金制度に基づく受益者拠出が大きなウェイトを占めているため直ぐには影響が出ないはずである。

医薬品関係で影響が出そうなのは、新たな承認申請だ。ユーザー課金制度の対象になる承認申請は、予算が成立するまで徴収できないため、受理されない。希少疾患用薬や中小企業による申請(何れも課金免除)、そしてユーザー課金制度の対象にならない承認申請は受理される可能性があるが、スタッフの給与を払えないので審査を開始できないのではないか。

ユーザー課金制度に基づいて既に申請受理された品目でも審査期限に間に合わない事態が想定される。ユーザー課金残高はあと1ヶ月で枯渇する模様であり、政府閉鎖が長期化すると影響が更に広がる可能性がある。

このような中、最初の被害が明らかになった。Aimmune Therapeutics(Nasdaq:AIMT)が、FDAから、連邦予算が成立するまでAR101の承認審査を開始しない旨の通知を受けたのだ。AR101はピーナッツのアレルゲンを含有する減感作療法薬で、小分子薬や抗体医薬と異なりユーザー課金制度の対象ではないため、現状では審査原資がないのだ。

リンク: Aimmune社のSEC提出資料(form 8-K)

今四半期に審査期限を迎える薬は承認審査がかなり進んでいるだろうから、大きく遅延するとは考えにくいが、それでも、注視は必要だ。以下にリストアップした新薬や適応拡大の帰趨に注目したい。

審査期限:1月26日
Duchesnay社のOsphena(ospemifene)。閉経後中重度性交痛の治療薬を膣乾燥に適応拡大。17年に塩野義製薬から北米での販売権を取得したもの。

1月29日
大日本住友製薬の米国子会社のAPL-130277(apomorphine)。パーキンソン病オフ症状治療薬。レスキュー用途で用いられている注射用薬を舌下投与できるようにした新製剤。

1月31日
Alkermes(Nasdaq:ALKS)のALKS 5461。難治性鬱病用薬。ミュー・オピオイド受容体拮抗剤samidorphanの副作用をミュー・オピオイド受容体アゴニスト/カッパ・オピオイド受容体アンタゴニストのbuprenorphineで相殺するアイディア。

1月中(推)
メルクのcladribine錠。再発寛解型多発硬化症。元々は血液癌の治療薬として承認されたDNA合成阻害薬を錠剤化して新用途に開発。最初の承認申請から8年を経て17年に欧州で承認。

2月6日
Ablynx(Euronext Brussels:ABLX)のCablivi(caplacizumab)。後天性血栓血小板減少性紫斑症。二価抗von Willebrand因子ナノ抗体。欧州では昨年9月に承認。

2月13日
Motif Bio(Nasdaq:MTFB)のMTF-100(iclaprim)。MRSAを含むグラム陽性菌による急性細菌性皮膚皮膚構造感染症。オリジンはロシュ。

2月15日
ボシュ・ヘルスケア(NYSE:BHC)のDuobrii(halobetasol propionate, tazarotene)。尋常性乾癬治療薬。昨年11月に承認された高力価ステロイドにレチノイドを配合したローション。

2月16日
MSDのKeytruda(pembrolizumab)。多発骨髄腫切除後のアジュバント療法に適応拡大。抗PD-1抗体。

2月24日
インサイト(Nasdaq:INCY)のJakafi(ruxolitinib)。骨髄線維症や真性赤血球増加症の治療に承認されているJAK1/2阻害剤をステロイド不応急性GvHD(移植片対宿主病)に適応拡大。

2月中(推)
ノボ ノルディスクのNN7088(turoctocog alfa pegol)。A型血友病用のPEG化遺伝子組換え型第VIII因子。

3月中ノバルティスのBAF312(siponimod)。二次進行性多発硬化症の治療に用いるスフィンゴシン1燐酸受容体アゴニスト。ウルトラジェニクスから1.3億ドルで買った優先審査バウチャを使って審査期間を短縮した。

3月11日
リジェネロン(Nasdaq:REGN)/サノフィのDupixent(dupilumab)。アトピー性皮膚炎の適応を12-17歳に広げる対象年齢拡大。 抗IL-4Rアルファサブユニット抗体。

3月12日
ロシュのTecentriq(atezolizumab)。切除不能局所進行性・転移性トリプル・ネガティブ乳癌の一次治療としてAbraxaneと併用する適応拡大。抗PD-L1抗体。

3月14日
Aerie Pharmaceuticals(Nasdaq:AERI)のRoclatan(netarsudil, latanoprost)。緑内障治療に用いるRhoキナーゼ阻害剤とプロスタグランディンF-2アルファを配合する点眼液。

3月18日
同じくロシュのTecentriq(atezolizumab)。進展型小細胞性肺癌の一次治療に適応拡大。

3月19日
Sage Therapeutics(Nasdaq:SAGE)のZulresso(brexanolone)。出産後の鬱病。GABA-A受容体の選択的ポジティブアロステリックモジュレーターで入院患者に60時間連続点滴静注する。同じ作用機序を持つ経口剤も産後鬱病と通常の鬱病に第三相試験中で、こちらは塩野義製薬が日本の権利をライセンスした。

3月20日
Jazz Pharmaceuticals(Nasdaq:JAZZ)のJZP-110(solriamfetol)。ナルコレプシーや閉塞性睡眠障害に伴う成人の過度の眠気に用いる選択的ドーパミン・ノルエピネフィリン再取込阻害剤。Aerial BioPharmaからライセンス。

3月22日
Lexicon Pharmaceuticals(Nasdaq:LXRX)/サノフィのZynquista(sotagliflozin)。SGLT阻害剤で既存薬との違いはSGLT2選択的ではないことと、リード・インディケーションは一型糖尿病で承認申請されたこと。

3月中
シャイアのGattex(teduglutide)。短腸症候群による栄養物点滴依存を改善するGLP-2作用剤の適応を1-17歳に広げる対象年齢拡大。NPS Pharmaceuticalsが開発、欧州などの権利はナイコメッド社が07年に取得したが11年に武田薬品に買収された後、12年に欧米で承認されたにもかかわらず、13年に権利返還した。NPSはシャイアが15年に買収、そのシャイアは先ごろ、武田の子会社となったため、Gattexが出戻った。

3月中(推)
アッヴィのImbruvica(ibrutinib)。慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫の一次治療として、既承認のモノセラピーに加えて、抗CD20糖鎖改変抗体のGazyva(obinutuzumab)と併用する用法追加申請。Btk阻害剤。ジョンソン・エンド・ジョンソンと共同開発販売。


【新薬開発】


イムブルビカの適応拡大試験がフェール
(2019年1月18日発表)

アッヴィ(NYSE:ABBV)は、Imbruvica(ibrutinib)の第三相転移性膵腺腫一次治療試験がフェールしたと発表した。nab-paclitaxel・gemcitabineの標準的療法とImbruvicaを追加した三剤併用療法のPFS(無進行生存期間)とOS(全生存期間)を比較したが、どちらで見ても有意差がなかった。

過去の臨床試験の裏付けはあったのだろうか?治験登録で検索してもPubMedで論文検索してもImbruvicaの膵癌試験はヒットしなかった。最近よく見かける、複数の癌種の100例以上を組入れる後期第一相試験や前臨床でシグナルがあったのかもしれない。何れにせよ、膵癌一次治療試験はフェールした薬が多いので、失望感は小さい。

リンク: アッヴィのプレスリリース

リリーの抗PDGFRアルファ抗体、市販後薬効確認試験がフェール
(2019年1月18日発表)

イーライリリーは、Lartruvo(olaratumab)の第三相軟組織肉腫試験、ANNOUNCEがフェールしたことを明らかにした。治癒的放射線療法・手術不適の進行軟組織肉腫をdoxorubicinで治療する時に併用する薬として16年に欧米で条件付き承認/加速承認された抗PDGFRアルファ抗体で、今回の試験で本承認を得る予定だったが、承認取消の可能性すら生じた。

承認の根拠となった第2相試験では、メジアン生存期間が26.5ヶ月とdoxorubicinだけの群の14.7ヶ月を上回り、階層化ハザードレシオ0.463、統計的に有意だった。PFS(無進行生存期間)やORR(客観的反応率)は有意な差がなかったが、数値自体は決して悪くなく、n=129と小規模な試験であることが影響と考えることが可能だった。

イーライリリーは販促停止を決定。現在治療を受けていて便益を得ている患者は引き続き利用できる。今後の方針を医薬品承認審査機関と相談する考え。

Lartruvoは08年に65億ドルで買収したイムクローン社のパイプラインの一つ。今回の事態を受けて無形資産減損を計上する予定。

米国で市販後薬効確認試験がフェールして加速承認取消となった前例としては、Avastin(bevacizumab)の転移性乳癌適応がある。EUの条件付き承認制度も薬効確認できなかったら承認取消となる。但し、臨床試験のフェールには、薬のフェールと実験のフェールの二種類ありうるので、データを精査して後者の可能性があるならば、セカンドチャンスを得られるだろう。

リンク: イーライリリーのプレスリリース


【承認申請】


テセントリク、NSNSCLC一次治療レジメンを追加申請
(2019年1月17日発表)

ロシュはTecentriq(atezolizumab、和名テセントリク)の用法追加申請をFDAに行い受理されたと発表した。審査期限は9月2日。NSNSCLC(非扁平上皮非小細胞性肺癌)の一次治療にcarboplatin及びAbraxane(アルブミン懸濁paclitaxel)と三剤併用するもの。

エビデンスとなる130試験では、メジアン生存期間が18.6ヶ月とcarboplatin・Abraxane二剤併用群の13.9ヶ月を上回り、ハザードレシオ0.79、p=0.033だった。

非小細胞性肺癌ではPD-L1陽性でプラチナ薬治療歴を持つ患者の再発治療にモノセラピー、そして、非扁平上皮型の一次治療にcarboplatin、paclitaxel、Avastin(bevacizumab)と四剤併用が、米国で承認されている。扁平上皮型の一次治療は今回と同じ三剤併用をテストした131試験のPFS(無進行生存期間)解析が成功したが、共同主評価項目である全生存期間は未成熟であるせいか二剤併用と大差なく、最終解析を待ちたいところ。

リンク: ロシュのプレスリリース

ビンダケル、米国で承認申請受理
(2019年1月14日発表)

ファイザーは、Vyndaqel(tafamidis meglumine、和名ビンダケル)を後天性トランスサイレチン型心アミロイドーシスの治療薬としてFDAに承認申請し、受理されたと発表した。日欧ではトランスサイレチン家族性アミロイドポリニューロパチーの末梢神経障害を改善する薬として既に承認されているが、米国はFDAも諮問委員会も薬効未確立とし追加試験を求めていた。ファイザーは心アミロイドーシス型の試験を実施、今回の承認申請につながった。

第三相ではメグルミン塩カプセル(20mg)を4カプセル、一日一回経口投与したが、新たに遊離酸のカプセル製剤(61mg)を開発・申請した。一回1カプセルで足りる。メグルミン塩は優先審査で審査期限は今年7月、遊離酸は標準審査で11月となった。

リンク: ファイザーのプレスリリース


【承認審査・委員会】


ImmunomedicsのADCは承認見送り
(2019年1月18日発表)

Immunomedics(Nasdaq:IMMU)はIMMU-132(sacituzumab govitecan)を転移性トリプルネガティブ乳癌の三次治療薬として承認申請していたが、FDAから審査完了通知(CRL)を受領したと発表した。指摘事項はCMC(化学、生産、管理)に関するものだけで、臨床や前臨床のデータを追加提出することは求められていないとのこと。

FDANewsの報道によると、FDAは昨年8月の工場査察後にデータ改ざんなどに関する問題点を指摘するForm 483をImmunomedicsに送付した。今回のCRLと関係あるかもしれない。

IMMU-132は抗TROP-2抗体とirinotecan系抗癌剤SN-38を結合した抗体薬物複合体。第1/2相試験でORR(反応率、独立放射線学的査読後)が31%だった(110人中完全反応6人、部分反応28人)。トリプルネガティブ乳癌(TNBC)はホルモン療法が適応になるエストロゲン受容体やプロゲスチン受容体の高発現がなく、her2標的薬が適応になるher2の高発現もない。予後が比較的悪く、治療の選択肢が限られている。

TROP-2は正常細胞には少なく腫瘍細胞に専ら発現する表面分子で、TNBCでは8割以上に発現している。

リンク: Immunomedicsのプレスリリース(GlobeNewswire)
リンク: FDANewsの報道(18年12月17日付)

サノフィのSGLT阻害剤、FDA諮問委員会の意見は二分
(2019年1月17日発表)

FDAの内分泌学代謝薬諮問委員会は、サノフィが一型糖尿病治療薬として承認申請したSGLT阻害剤、Zynquista(sotagliflozin)を検討したが、便益が危険を上回り承認に値すると答えた委員が8名、反対が8名と真っ二つに分かれた。

薬効面では、sotagliflozinを追加投与するとHbA1cを0.3-0.4%引き下げることが可能。見栄えしない数値だが、インスリンの一日用量が平均数単位、減少した影響だろう。SGLT阻害剤は利尿作用があり、インスリンと異なり体重が増えない点も長所。

問題は糖尿病性ケトアシドーシスのリスク。この薬の問題というよりは、一型糖尿病にインスリン以外の薬を追加投与する困難さを示しているように感じられる。インスリンの量を減らさないと低血糖のリスクが高まり、減らしすぎるとケトアシドーシスのリスクが高まるので匙加減が難しいのだ。とはいえ、リスクが偽薬群の8倍、Number-needed-to-harmは26人/年、というのは驚かされる。承認されているSGLT2阻害剤と異なりSGLT1も阻害することでリスクを緩和できるという仮説もあったはずだが、実現しなかった。

Lexicon(Nasdaq:LXRX)が創製しサノフィは15年に日本以外の世界独占開発生産商業化権を取得した。一型糖尿病をリードインディケーションに選んだのはSGLT2阻害剤との差別化が狙いと推測され、雁行的に二型糖尿病にも開発されているので、一型で承認されなかったとしてもセカンドチャンスがある。

リンク: サノフィのプレスリリース(pdf)

イベニティ、FDA諮問委員会で支持されたが
(2019年1月16日発表)

アムジェンは、抗スクレロスチン抗体Evenity(romosozumab、和名イベニティ)を日米欧で承認申請し、日本で今月、承認されたところ。米国は承認申請後に実薬対照試験で心血管副作用懸念が浮上、一旦、審査完了となり、昨年7月にこのARCH試験のデータを取りまとめて再申請した。今回、BRUDAC(骨・再生産・泌尿器薬諮問委員会)に上程され、19人の委員のうち18人が便益が危険を上回ると判定した。

比較的穏当な結果になったのは、心血管リスクが明らかとは言えないことや、アムジェンの対策が妥当とみなされたことが理由だろう。ARCH試験では1年間の心血管深刻有害事象の発生率(第三者査読に基づく)が2.5%とalendronate群の1.9%を有意に上回った。しかし、もう一本の大規模試験では大きな偏りがなく、フェイクを疑う余地がある。アムジェンは心血管安全性を更に検討するために市販後にコフォート研究を行って、他の骨粗鬆症治療薬と比べてリスクが2倍以上ではないことを確認する考え。

また、当面の策として、心血管リスクを枠付き警告して適応を閉経後骨粗鬆症のうち骨折リスクの高い患者に絞る考え。

諮問委員の適応範囲に関する意見は区々で、心血管リスクの小さい患者に限定とか、治療期間を1年以内に制限とかの意見があったようだ。また、コフォート研究で心血管懸念が払拭されることが前提とのコメントもあったようだ。

Evenityは造骨細胞を活発化する薬で、ビスフォスフォン酸のような破骨細胞抑制型とは対照的、遺伝子組換え型ヒト上皮小体ホルモンForteo(teriparatide、和名フォルティオ)と似ている。Forteoは長期投与時の癌原性が疑われるため治療期間が2年以内に限定されており、また、一日一回皮注と経口剤と比べて使い難いが、作用機序の違いが評価され大型薬に育った。

Evenityは1年以内に限定される可能性があり、一日一回だが半量ずつ二回皮注なのでForteoと比べ見劣りする。レーベルの内容はともかくとして、高骨折リスクで他の薬に不耐の患者に1年だけ使う限界的な薬になるのではないか。

Evenityは、英国のセルテックが創製し02年にアムジェンに導出した。セルテックはその2年後、UCBに買収された。

報道によると、EvenityのPDUFAデートは今年1月12日だったとのこと。政府閉鎖とは関係なく独自の理由で遅れたことになる。

リンク: アムジェンのプレスリリース


【承認】


Exelixis、VEGFR阻害剤が肝臓癌に適応拡大
(2019年1月14日発表)

Exelixis(Nasdaq:EXEL)は、Cabometyx(cabozantinib)を肝細胞腫に用いる適応拡大がFDAに承認されたと発表した。バイエルのNexavar(sorafenib)による治療歴を持つ患者の二次治療。臨床試験では中間解析でメジアン生存期間が10.2ヶ月と偽薬群の8.0ヶ月を上回り、ハザードレシオ0.76、統計的に有意だった。

肝細胞腫では07年のNexavarの適応拡大がエポックメイキングだったが、一昨年来、バイエルのStivarga(regorafenib)やBMSのOpdivo(nivolumab)、MSDのKeytruda(pembrolizumab)が相次いで二次治療に適応拡大、エーザイのLenvima(lenvatinib)は一次治療で適応拡大と、開発が活発化している。その分、競争は激しい。

リンク: Exelixisのプレスリリース

オプジーボとヤーボイの併用、EUで腎細胞腫に承認
(2019年1月14日発表)

BMSは、抗PD-1抗体Opdivo(nivolumab)と抗CTLA-4抗体Yervoy(ipilimumab)の併用レジメンが中高度リスク腎細胞腫の一次治療薬としてEUで承認されたと発表した。第三相試験では、ORR(客観的反応率)が41.6%とSutent(sunitinib)群の26.5%を上回り、PFS(無進行生存期間)の解析は多重性補正の影響でフェールしたものの、第三の主評価項目である全生存期間はハザードレシオ0.63と好成績だった。

米国では昨年4月、日本では8月に承認されている。EUが遅れたのは、二剤併用の必要性が確立していないとしてCHMPが一度は否定的意見を出したことが原因。

リンク: BMSのプレスリリース

第二世代アンドロゲン伝達阻害剤がEUで承認
(2019年1月15日発表)

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、EUでErleada(apalutamide)が承認されたと発表した。非転移性の前立腺癌でアンドロゲン枯渇療法を受けているがPSA値が急上昇し始めた、高リスク患者に用いる。臨床試験ではErleadaを追加投与した群のMFS(無転移生存期間)がメジアン40.5ヶ月と偽薬追加群の16.2ヶ月を大きく上回り、ハザードレシオ0.28、全生存のハザードレシオも中間解析で0.45と、有意に改善した。

Xtandi(enzalutamide)を発明した研究者が第二世代品として開発したアンドロゲン伝達阻害剤。JNJは開発会社をマイルストンを含めて10億ドルで13年に買収した。

リンク: JNJのプレスリリース(pdf、日付がxx, 2019になっている)






今週は以上です。

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