【ニュース・ヘッドライン】
- 早期ハンチントン病の遺伝子療法に加速承認の筋道
- FDA、抗SARS-CoV-2抗体6品のEUAを取消し
- SABCS:イブランスはHR+her2+MBCの維持療法にも有効
- 治療抵抗性糖尿病の2割強がクッシング症候群だった
- SABCS:リリー、新規SERDの第3相が成功
- PPARガンマ作動剤の小児cALD試験が成功
- 限局性前立腺癌のウイルス療法が成功
- アッヴィ、パーキンソン病薬の3本目の第3相も成功
- キイトルーダとリムパーザの併用試験、今度は成功した?
- ASH:サークリサの移植可能骨髄腫試験が成功
- ASH:ジャイパーカのCLL/SLL試験が成功
- ASH:ビーリンサイトのB-ALL一次治療併用試験が成功
- テコビリマトのエムポックス試験がまたフェール
- 爪真菌症薬の第3相がフェール
- Crinetics社、先端巨大症用薬の承認申請が受理
- GSK、ヌーカラを好中球性COPDに再申請
- アルファ/ベータ・サラセミア用薬を承認申請
- 12月のCHMP意見
- 新規抗PD-L1抗体が承認
- 先天性副腎過形成用薬が承認
- FDA、オベチコール酸の肝移植リスクを警告
- 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会
【今週の話題】
早期ハンチントン病の遺伝子療法に加速承認の筋道
(2024年12月10日発表)
アムステルダム大学発ベンチャーのuniQure biopharma(Nasdaq:QURE)は、AMT-130の加速承認申請計画に関してFDAと合意したと発表した。進行中の第1/2相試験のcUHDRS(複合的統合ハンチントン病評価尺度)の自然歴比較を中間的エビデンス、CSF-NfL(脳脊髄液ニューロフィラメント軽鎖)を支持的エビデンスとするもので、25年上期に解析計画やCMC(化学、製造、管理)についても相談する考え。
AMT-130は、変異したハンチントン遺伝子を沈黙させるマイクロRNAをアデノ随伴ウイルス・ベクターで送り込む遺伝子療法。MRIで分布を確認しながら尾状核や被殻に持続陽圧下投与する。欧米で合計39人を組入れた二本の第1/2相試験の24ヶ月中間解析で、高用量群のcUHDRS低下が0.2に留まり、自然歴154人の傾向加重値である1.0比p=0.007だった。低用量群は0.7でp=0.21。高用量群は運動認知機能もベースラインに近い水準で推移した。
同社は途中経過を適宜、公表しているが、CSF-NfLが当初は増加する現象が公表されたり、高用量群で予期されていなかった重度有害事象疑い例が発生し組入れを一時的に停止したり、不確かな現象も散発した。今回のリリースは承認申請時期について言及していないが、申請が近づけば、薬効や安全性の全体像が明らかになるだろう。
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同社のプレスリリース
FDA、抗SARS-CoV-2抗体6製品のEUAを取消し
(2024年12月13日発表)
FDAは、COVID-19用薬としてEUA(非常時使用認可)した抗SARS-CoV-2抗体6製品の認可を取消した。政権交代でCOVID-19用薬の効用に懐疑的な医学者がFDA長官に就任する予定であるため、ではなく、流通ロットの有効期間満了を期にメーカー側が取消しを申請したため。現在流行しているウイルスには効かないため、医療の妨げにはならないだろう。製薬会社の皆様、ご苦労様でした。
EUA取消となったのは、Regeneron PharmaceuticalsのREGEN-COV(casirivimab、imdevimab、EUAは20年11月)、Janssen Biotechのbamlanivimabとetesevimabの併用(同21年2月)、GSKのXevudy(sotrovimab、同21年5月)、アストラゼネカのEvusheld(tixagevimab、cilgavimab、同21年12月)、イーライリリーのbebtelovimab(22年10月EUA)。
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EUA取消となった製品に関するFDAの情報サイト
【新薬開発】
SABCS:イブランスはHR+her2+MBCの維持療法にも有効
(2024年12月12日発表)
ファイザーのCDK4/6阻害剤Ibrance(palbociclib)を転移性乳癌一次治療後維持療法に併用した試験の結果がサン・アントニオ乳癌シンポジウム(SABCS)で発表された。
このPATINA/AFT-38試験は、米国の共同治験グループ三団体が合併して創設した、NCI(米国癌研究所)が資金援助する共同治験グループ、Alliance for Clinical Trials in Oncologyの傘下のAlliance Foundation Trialsがスポンサーとなって、ホルモン受容体陽性(HR+)、her2陽性(her2+)の転移性乳癌で一次治療後に進行しなくなった患者518人を組入れて、内分泌療法とtrastuzumab(pertuzumab併用可)の標準的維持療法にIbranceを追加する便益を非盲検下で検討したもの。
主評価項目のPFS(無進行生存期間、治験医評価)はハザードレシオが0.74、非階層化片側p値は0.0074となり、メジアン値は44.3ヶ月対29.1ヶ月で1年以上の差があった。全生存期間の解析は未成熟で、5年生存率は74.3%対69.8%と良好だが有意水準には達していない。有害事象は好中球減少症がG3は各群63.2%対32.0%、G4は4.6%対0%と多く、G3疲労や口内炎、下痢も増加した。
乳癌の薬物臨床試験は、HR+かつher2-か、her2+かつHR-を対象とすることが多いが、HR+かつher2+も1割程度を占めるとのこと。見過ごされてきたサブグループ専用の試験が成功した意義は大きそうだ。her2+専用薬のほうでもher2低発現とか極低発現とかカテゴリー・キラー的な薬が出現しており、新たなフロンティアになっている。
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ファイザーのプレスリリース
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MetzgerらのSABCS抄録(pdfファイル)
治療抵抗性糖尿病の2割強がクッシング症候群だった
(2024年12月12日発表)
Corcept Therapeutics(Nasdaq:CORT)はKorlym(mifepristone)の第4相CATALYST試験で主目的を達成したと発表した。治療抵抗性二型糖尿病とクッシング症候群を合併する患者を組入れて24週間治療したところ、HbA1cが1.47%低下し、偽薬群の0.15%低下と大きな差があった。2012年に米国で、まさにこの用途・効能で承認された薬なので全く驚きではないが、興味深いのはスクリーニング時のデータだ。治療してもHbA1cが7.5%を上回る患者1057人の副腎皮質ホルモンを検査したところ、23%が過剰と判定された。このことは、治療で十分な成果が上がらなかったらクッシング症候群を疑った方がよいかもしれないことを示唆している。
Korlymはグルココルチコイド受容体タイプII拮抗剤。300mg錠。活性成分の200mg錠は薬物的妊娠中術薬として他社製品がフランスで1980年代に、米国でも2000年に、承認され、GE薬も発売されている。
尚、同社は11日にCORT-113176(dazucorilant)の第2相筋萎縮性側索硬化症試験がフェールしたことも発表した。150mgまたは300mgを24週間、経口投与したが、ALSFRS-R(機能評価尺度)は偽薬と大差なかった。一方で、偽薬群は82人中5人が死去したが300mg群は83人中ゼロだった(p=0.02)。継続追跡して25年3月を目標に死亡リスクの解析を行う予定。
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同社のプレスリリース(クッシング症候群)
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同(ALS、12/11付)
SABCS:リリー、新規SERDの第3相が成功
(2024年12月11日発表)
イーライリリーのLY3484356(imlunestrant)の第3相EMBER-3試験における成績がSABCS(サン・アントニオ乳癌シンポジウム)とNew England of Journal誌で発表された。アロマターゼ阻害剤(±CDK4/6阻害剤)による治療歴を持つエストロゲン受容体陽性、her2陰性の進行乳癌患者874人を単剤投与群(以下、モノ)、標準的内分泌療法群(SOC)、imlunestrantとCDK4/6阻害剤Verzenio(abemaciclib)の併用群(併用)に無作為化割付けしてPFS(無進行生存期間、治験医評価)を比較したもので、共同主評価項目のうち、ESR1変異癌(256人)におけるモノとSOCの比較は、ハザードレシオ0.62で統計的に有意、各群のメジアン値は5.5ヶ月と3.8ヶ月だった。intent-to-treatにおける併用とモノの比較はハザードレシオ0.57で有意、メジアンは9.4ヶ月対5.5ヶ月だった。一方、intent-to-treatベースのモノとSOCの比較は0.87、5.6ヶ月対5.5ヶ月となりフェールした。
副次的評価項目の全生存期間は未成熟。G3以上の有害事象発生率はモノが17.1%、SOC群20.7%、併用群は48.6%だった。
試験薬は経口中枢神経浸透性SERD(選択的エストロゲン受容体零落剤)。既存薬に抵抗性を持つESR1変異にも活性を持つ。第3相もESR1変異陽性癌には単剤だけでも有効という結果になったが、陰性癌にはVerzenioを併用したほうが良さそうだ。但し、陽性癌にも併用は有効だろうし、陰性癌はVerzenioだけでは足りないのか、という疑問が残る。
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同社のプレスリリース
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Jhaveriらの治験論文抄録(NEJM)
PPARガンマ作動剤の小児cALD試験が成功
(2024年12月11日発表)
スペインのMinoryx Therapeuticsは、MIN-102(leriglitazone)の小児cALD(脳副腎白質ジストロフィー)試験、NEXUSで主目的を達成したと発表した。解析対象20人のうち35%が、96週時点(造血幹細胞移植に進んだ場合は施術前)で臨床的/放射線学的に進行抑制(arrested disease)と評価された。自然歴対照群は10%に留まった。治療関連深刻有害事象や治験関連有害事象による治験離脱は発生しなかった。25年央に欧州で小児と成人のcALD用薬として再申請する考え。
X染色体性副腎白質ジストロフィー(X-ALD)は、中枢神経系における脱髄や神経細胞変性 、副腎機能不全を特徴とするX染色体性遺伝病で、男性が重症化する。10万出生に6-8人の希少疾患。cALDは重篤で平均寿命3-4年と言われる。MIN-102は中枢神経浸透性PPARガンマ作動剤。X-ALDのもう一つの表現型であるAMNを組入れて96週間投与した第2/3相試験で主評価項目の6分歩行テストがフェールした。サブグループ向けに22年にEUで承認申請されたが、途中で目標適応症を変えた模様で、CHMPがcALD用途で否定的意見を出した。
米州では第3相CALYX試験で死亡、寝たきり、または永続的呼吸補助に進展するリスクを偽薬と比較している。26年に結果が出る見込み。
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同社のプレスリリース
限局性前立腺癌のウイルス療法が成功
(2024年12月11日発表)
米国のCandel Therapeutics(Nasdaq:CADL)は、CAN-2409(aglatimagene besadenovec)の第3相新患限局性前立腺癌試験で主目的を達成したと発表した。中重度リスクの患者745人を組入れて放射線療法にvalacyclovirと共に追加して投与し、メジアン50ヶ月追跡したところ、DFS(無病生存期間:生存、再発なし、かつ放射線療法の2年後に実施する生検で陰性)のハザードレシオが0.7、p=0.0155だった。癌以外の理由による死亡を除外するとハザードレシオ0.6、p=0.0046と更に向上する。報道によると、26年の承認申請を考えている模様。
CAN-2409は、ヘルペス治療薬valacyclovirの毒性を強化する単純ヘルペス・ウイルス・チミジン・キナーゼの遺伝子を複製不能アデノウイルスに組入れて、癌細胞に注入する。valacyclovirが癌細胞のDNA合成/修復を阻害し、ウイルス・カプシドが免疫応答を惹起するなどの作用機序が提唱されている。
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同社のプレスリリース
アッヴィ、パーキンソン病薬の3本目の第3相も成功
(2024年12月9日発表)
アッヴィはtavapadonの第3相TEMPO-2早期パーキンソン病試験が成功したと発表した。他の二本がすでに成功しており、25年に承認申請する考え。
8月に買収したCerevel TherapeuticsがファイザーのドパミンD1/D5選択的部分作動剤、PF-06649751をライセンスして第3相に進めたもの。今回の試験では、効果や忍容性に応じて5~15mgの間で用量を調節するフレックス法を採用し、一日一回、26週間投与し、MDS-UPDRSのパートII(運動症状の患者評価)とパートIII(同、医師評価)の複合評価尺度の改善を偽薬と比較した。各群10.3点と1.2点改善し、有意な差があった。もう一本の早期パーキンソン病試験、TEMPO-1では5mgと15mgを偽薬と比較したところ、各9.7点低下、10.2点低下、1.8点上昇となり、両用量群とも偽薬比有意だった。
レボドパで治療しても運動症状の日中変動が見られる患者を組入れたアドオン試験、TEMPO-3では、5-15mgフレックス群のジスキネジアを伴わないオンタイム(パーキンソン症状のない時間)が1.7時間/日増加し、偽薬の0.6時間/日を有意に上回った。
同社は、既存のドパミン作動剤と比べて鎮静や衝動制御障害のリスクが小さいことを期待している。
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同社のプレスリリース
キイトルーダとリムパーザの併用試験、今度は成功した?
(2024年12月9日発表)
MSDは、抗PD-1抗体Keytruda(pembrolizumab)とアストラゼネカのPARP-1/2阻害剤Lynparza(olaparib) を卵巣上皮癌の化学療法に追加する便益を検討した第3相KEYLYNK-001試験で主目的のPFS(無進行生存期間、治験医評価)を達成したと発表した。化学療法と二剤を併用した群は化学療法・偽薬併用群と比べて統計的に有意且つ臨床的に意味のある差があった。データは未発表。一方、副次的評価項目の全生存期間はフェールした。プレスリリースでは、intent-to-treatにおけるKeytrudaの役割は現時点では不確かなまま、という曖昧な表現をしている。
この試験は、BRCA変異の無い進行卵巣上皮癌の一次治療を受ける患者を組入れて、化学療法(5サイクル)に偽薬またはKeytrudaを追加し、Keytruda群は第7サイクルからLynparzaを追加する群と偽薬を追加する群に無作為化割付けした。主評価項目はCPS≧10サブグループと全体のPFS。プレスリリースには明記されていないが、おそらく、両方とも有意だったのだろう。intent-to-treatにおける便益が不確かというのは、CPS≧10サブグループの全生存期間は望ましい方向で推移しているが全体が良くなかった、というふうに聞こえるが、どうなのだろうか。
尚、Keytrudaと偽薬を追加した群の解析は未成熟のようだ。
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同社のプレスリリース
ASH:サークリサの移植可能骨髄腫試験が成功
(2024年12月9日発表)
サノフィの抗CD38抗体、Sarclisa(isatuximab-irfc)を新患移植可能多発骨髄腫の治療に用いた第3相GMMG-HD7試験の結果がASHとJournal of Clinical Oncologyで発表された。ドイツの施設で662人を組入れてRVdレジメン(Revlimid、Velcade、dexamethasoneの三剤併用)による移植前導入療法に追加したところ、追加しなかった群と比べたPFS(無進行生存期間)ハザードレシオが0.70、p=0.0184だった。メジアン約4年追跡したがPFSは未だメジアンに達していない。この試験では移植後の地固め療法としてRevlimidにSarclisaを追加する群とRevlimidだけの群に再無作為化割付けして転帰を比較したが、どちらの場合でも、導入療法におけるSarclisaの便益が見られた。但し、具体的な数値は記されていない。おそらく、別の論文で発表されるのだろう。
Sarclisaは新患移植可能多発骨髄腫の第3相IsKia試験でもMRD(微小残像病変、閾値10^-5)ベース反応率が77%と、Revlimid、Kyprolis、dexamethasoneだけの群の67%を有意に上回ったが、昨年のASHで結果発表された時点では、メジアン追跡期間が20ヶ月とそれほどでもなかったせいか、PFSは両群とも95%だった。
多発骨髄腫の治療は3剤、4剤併用が普及するにつれて、更に一剤追加する便益をPFSで確認するのに長期間かかるようになった。今後はMRD反応率のようなサロゲート・マーカーで承認の是非を判断し、PFSで確認する方法が一般的になりそうだ。
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Maiらの治験論文(Journal of Clinical Oncology、オープン・アクセス)
ASH:ジャイパーカのCLL/SLL試験が成功
(2024年12月9日発表)
イーライリリーは非共有結合性BTK阻害剤Jaypirca(pirtobrutinib)の第3相BRUIN CLL-321試験の結果をASHで発表した。BTK阻害剤歴のあるCLL/SLL(慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫)の成人238人をJaypirca群と医師が選んだレジメン(Zydelig(idelalisib)またはbendamustinをrituximabと併用)に無作為化割付けしてPFS(無進行生存期間、独立評価委員会方式)を比較したところ、ハザードレシオ0.54(95%信頼区間0.39-0.75)、メジアン値は各群14.0ヶ月と8.7ヶ月だった。
副次的評価項目の全生存期間はハザードレシオが1.09だったが、クロスオーバー(偽薬群の患者が進行後にJaypircaによる治療を受ける)を修正すると手法により0.89または0.77となった。
クロスオーバー修正値が同程度以下なら大きな問題ではなく、承認された前例もある。但し、BTK阻害剤はPFS延長が必ずしも延命に繋がらないので、厳密な分析が必要だろう。
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同社のプレスリリース
ASH:ビーリンサイトのB-ALL一次治療併用試験が成功
(2024年12月7日発表)
アムジェンのBlincyto(blinatumomab)をB前駆細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)の一次治療に用いた第3相AALL1731試験の成績がASHとNew England Journal of Medicine誌で発表された。NIH(米国立衛生研究所)などの資金拠出を得て米加豪新の施設で新患スタンダード・リスクB-ALLの小児を組入れて、標準的化学療法と、Blincytoを2サイクル追加するレジメンのDFS(無再発・二次性腫瘍生存期間)を比較したもので、第1次中間解析でデータ監視委員会が繰上げ完了を勧告した。
解析対象1440人(組入れ時のメジアン年齢4.3歳)の3年DFS率は96.0%、化学療法のみの群は87.9%、ハザードレシオは0.39(95%信頼区間0.24-0.64)だった。再発リスクがアベレージと評価されたサブグループでは各97.5%と90.2%、高リスクサブグループでは94.1%と84.8%だった。Blincytoを投与していた時期のサイトカイン放出症候群や敗血症は稀だった。アベレージ再発リスク・サブグループでは非致死的敗血症やカテーテル関連感染症が顕著に増加した。
尚、紛らわしいので整理すると、NCI(米国立癌研究所)のB-ALL予後予測分類は、年齢や白血球数などに基づきStandardとHighに分け、それぞれについて遺伝子変異特徴などに基づき、favorable、average、highに分類している。
Blincytoは抗CD19短鎖抗体と抗CD3短鎖抗体をポリペプチドで結合した二重特異性抗体。米欧日で難治/再発B-ALLなどに単剤投与することが承認されている。アムジェンのプレスリリースによると、NCIがFDAに結果を報告するとのこと。適応拡大申請はしないのだろうか?
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Guptaらの治験論文抄録(NEJM)
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アムジェンのプレスリリース
テコビリマトのエムポックス試験がまたフェール
(2024年12月10日発表)
SIGA Technologies(Nasdaq:SIGA)のTPOXX(tecovirimat)のエムポックスにおける便益を検討した第3相STOMP試験がフェールした。アメリカ中心に南米や日本、タイの施設が参加して、18歳以上でクレードII型エムポックスによる軽中度感染症の患者を組入れて病変治癒までの期間を偽薬と比較したが、データ安全性監視委員会が、75%組入れ時の中間解析結果に基づき、続行しても主目的を達成する確率は1%以下と判定、追加組入れ中止となった。副次的評価項目の疼痛改善もフェールした。
NIAID(米国立衛生研究所傘下のアレルギー・感染症研究所)のスポンサーで行われたもう一つの試験、第3相PALM 007試験も8月にフェールした。死亡率が比較的高いクレードI型が流行していたコンゴ民主共和国の施設で小児・成人患者を入院治療したが、病変治癒がメジアン7日と偽薬群より1日早いだけだった。
他にはカナダでPLATINUM-CAN試験、スイス南米でUNITY試験、EUでEPOXI試験が進行中だが、SIGA Technologiesは、内容が類似しているため同様な結果になりそうとプレスリリースに記している。
TPOXXは、非ヒト霊長類の薬効試験とヒトの安全性試験に基づいて、エムポックスよりも深刻な疾患である天然痘などの治療薬として18年に米国で承認され、22年にはEUで例外的条項に基づき天然痘、エムポックス、牛痘など、そして、天然痘ワクチン接種後のワクシニアウイルス増殖による合併症の治療薬として承認された。日本では日本バイオテクノファーマが申請し、今月、EUと同じような適応範囲で第2部会を通過したところだ。米国ではエムポックスには承認されていないが、CDC(米国立疾病管理予防センター)がexpanded access制度に基づき提供している。CDCは今回の発表を受けて対象を見直し、免疫低下、アトピーなどの持病、妊婦や未成年、命に係わる状態などに限定した。
エムポックスは天然痘より重症化リスクが低いため治療効果が発揮されないのかもしれないが、効かないというエビデンスがないから効くはずだ、とはバカボンのパパでも言わないだろう。米国のレーベルには、免疫低下患者はTPOXXの効果が低下すると記されている。カジュアルなデザインでも臨床試験で便益を確認する必要があるのではないか?
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NIAIDのプレスリリース
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SIGAのプレスリリース
爪真菌症薬の第3相がフェール
(2024年12月10日発表)
スウェーデンのMoberg Pharma AB(OMX:MOB)は、北米で実施されたMOB-015の第3相爪真菌症試験がフェールしたと発表した。同社は米国での開発を断念し、バイエルは戦略的理由で欧州における発売を断念しライセンスを返還した。
アリルアミン系抗真菌剤terbinafineの局所性新製剤で、EUの非中央手続きを経て加盟国のうち13ヶ国で承認を取得、今年2月にスウェーデンで発売し4割以上のシェアを獲得した。尚、EUの人口上位5ヶ国のうちドイツとポーランドでは承認されておらず(申請しなかったのかもしれない)、フランスやスペインなど6ヶ国では処方薬、イタリアやスウェーデンなど7ヶ国ではOTC薬として承認されている。
EUでは一日一回投与で承認されたが、北米試験は9週目からは週一回に減らす新スケジュールをテストした。第52週の足指爪完治率は1.5%に留まり、対照群の0%を有意に上回らなかった。
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Moberg社のプレスリリース
【承認申請】
Crinetics社、先端巨大症用薬の承認申請が受理
(2024年12月9日発表)
米国カリフォルニア州の医薬品開発会社、Crinetics Pharmaceuticals(Nasdaq:CRNX)は、CRN00808(paltusotine)を成人の先端巨大症(アクロメガリー)の長期維持療法としてFDAに承認申請し受理されたと発表した。審査期限は25年9月25日。FDAは現時点で諮問委員会上程を考えていない。
非ペプチド系SST2(ソマトスタチン受容体2型)アゴニストで、一日一回、経口投与する。第3相のうち、注射用薬のoctreotideまたはlanreotideによる治療が奏功した(IGF-1値が通常値上限以下)患者を組入れたメンテナンス試験で83%が奏功を維持したが、偽薬にスイッチした群は4%に留まった。治療を受けていない患者を組入れた試験では奏効率が56%と偽薬群の5%を上回った。
日本は三和化学がライセンスした。
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Crinetics社のプレスリリース
GSK、ヌーカラを好中球性COPDに再申請
(2024年12月9日発表)
GSKは2017年に米国で抗IL-5抗体Nucala(mepolizumab)を好中球性COPDに適応拡大申請したが、便益に関するエビデンスが確立していないとして審査完了通知を受領した。今回、第3相MATINEE試験のデータを追加提出し受理された。審査期限は25年5月7日。
MATINEEは既存薬に十分応答しない患者に追加投与した104週間の試験。統計的有意且つ臨床的に意味のある中重度増悪抑制効果が見られたとのこと。データは学会で発表される。
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GSKのプレスリリース
アルファ/ベータ・サラセミア用薬を承認申請
(2024年12月8日発表)
米国マサチューセッツ州のAgios Pharmaceuticals(Nasdaq:AGIO)はmitapivatを成人の輸血依存/非依存のアルファ/ベータ・サラセミアの治療薬として欧米などで承認申請したと発表した。22年に米欧でピルビン酸キナーゼ欠乏症患者の溶血性貧血治療薬Pyrukyndとして承認されたピルビン酸キナーゼRアロステリック・アクティベイターの新用途。輸血依存患者を組入れて100mgを一日二回経口投与した第3相では輸血削減奏効率が30.4%と偽薬群の12.6%を有意に上回った。非輸血依存患者を組入れた第3相ではヘモグロビン増加奏効率が42.3%と偽薬群の1.6%を有意に上回った。
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同社のプレスリリース
【承認審査・委員会】
12月のCHMP意見
(2024年12月13日発表)
EUの薬品審査機関であるEMAの医薬品科学的評価委員会、CHMPは、以下の新薬などの承認に肯定的意見を纏めた。順調なら2~3ヶ月以内にEU全域で承認されることになる。
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EMAのプレスリリース
CSL BehringのAndembry(garadacimab)は抗XIIa抗体。カリキレン・キニン・カスケードを活性化する活性化XII因子のカタリティック・ドメインに結合し、遺伝性血管浮腫における発作傾向を抑制する、新規作用機序を持つ。12歳以上に月一回、皮下注する。米国でも1年前に承認申請が受理されたが、どうなったのだろうか?
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EMAのプレスリリース
BridgeBio Pharma(Nasdaq:BBIO)のBeyonttra(acoramidis、米国のブランド名はAttruby)はTTR安定化剤。成人のATTR-CM(心筋症を合併するトランスサイレチン型アミロイドーシス、トランスサイレチン変異の有無は問わない)に用いる。バイエルが欧州の販売権を保有。米国は11月に承認、日本はアストラゼネカの子会社がライセンスした。
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EMAのプレスリリース
アストラゼネカのKavigale(sipavibart)は抗SARS-CoV-2抗体。12歳以上、体重40kg以上の免疫低下者のCOVID-19曝露前予防に用いる。現在流行しているKP.3などの株のほとんどはF456L変異を持っていて無効。日本では今月、第二部会を通過した。報道を読む限りでは免疫低下者限定ではないようだ。
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EMAのプレスリリース
アストラゼネカのKostaive(zapomeran)は、日本では昨年承認されたCOVID-19のmRNAレプリコン・ワクチン。抗原の雛形となるmRNAと、それを複製するRNAレプリカ―ゼを結合、先行するmRNAワクチンより少量で効果を発揮するようにした。18歳以上が対象。エビデンスはベトナムと日本の試験などである様子。
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EMAのプレスリリース
ガルデルマのNemluvio(nemolizumab)は抗IL-31受容体アルファ抗体。12歳以上の全身性治療が適応になる中重度アトピー性皮膚炎と、成人の全身性治療が適応になる中重度結節性掻痒に用いる。日本ではマルホが22年にミチーガ名で前者の適応に承認取得、今年3月に後者に拡大した。オリジンは中外製薬。
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EMAのプレスリリース
米国カリフォルニア州のGeronが申請したRytelo(imetelstat)はオリゴヌクレオチド・テロメラーゼ阻害剤。細胞分裂可能回数のカウントダウンを担うテロメアを補填して分裂回数を増やす、癌細胞や幹細胞などで発現する酵素を阻害する。成人の超低、低、中程度リスクのMDS(骨髄異形成症候群)における輸血依存性貧血の治療薬で、エリスロポイエチン系治療薬に応答不十分または不耐な患者に単剤投与する。5q欠失型は適応外。米国で6月に承認。
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EMAのプレスリリース
ギリアド・サイエンシズのSeladelpar Gilead(seladelpar seladelpar lysine dihydrate)は経口PPARデルタ・アゴニスト。条件付き承認が支持された。成人の肝硬変を伴わない又は代償性肝硬変(Child-Pugh A)を伴う、原発性胆汁性胆管炎(掻痒を含む)の治療薬。ウルソデオキシコール酸に対して応答不十分な場合に追加投与、または、不応の場合に単剤投与する。米国では8月に承認。日本は科研製薬がライセンスした。オリジンはOrtho-McNeil(ジョンソン・エンド・ジョンソン)。ギリアドは2月にCymaBayを買収して入手した。
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EMAのプレスリリース
MSDのWelireg(belzutifan)は経口HIF-2アルファ阻害剤。条件付き承認が支持された。成人のPD-(L)1阻害剤と二種類以上のVEGF標的薬を含む2次以上の治療後に進行した淡明細胞腎細胞腫と、成人の局所性治療(摘出、放射線療法など)が適さないフォン・ヒッペル・リンドウ疾患関連の局所性腎細胞腫、CNS血管芽腫、または膵神経内分泌腫瘍に、どちらも単剤投与する。米国では21年にLivdelzi名で初承認、日本でも申請中。19年にPeloton Therapeuticsを買収して入手した。
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EMAのプレスリリース
Rare Thyroid Therapeutics International ABのEmcitate(tiratricol)は、生まれつきのMCT8(モノカルボン酸トランスポーター8)欠乏症(別名Allan-Herndon-Dudley症候群)を適応とする、初めての薬。MCT8欠乏症は超希少なX染色体性遺伝子疾患。最も重要な甲状腺ホルモンであるT3を脳細胞内に運ぶトランスポータが欠乏し、知能発達や運動機能に障害を示す。tiratricolはフランスでは1974年以来、甲状腺ホルモン抵抗性症候群やや分化甲状腺癌における甲状腺分泌ホルモン抑制剤として承認されているT3甲状腺ホルモン類縁体で、MCT8に頼らずに脳細胞内に移行することができる。臨床試験で血清T3濃度が63%低下し、全被験者で体重、心拍数、収縮期血圧のうち一つ以上が改善した。但し、神経発達遅延は改善しなかった。
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EMAのプレスリリース
以下の適応・用法追加も肯定的意見を受けた。
アムジェンのBlincyto(blinatumomab)・・・1ヶ月児以上のCD19陽性フィラデルフィア染色体陰性のB細胞性急性リンパ性白血病。米国では6月に承認。
GSKのJemperli(dostarlimab)・・・成人の全身性治療が適応になる原発性進行又は難治性内膜腫に対するcarboplatin・paclitaxel併用一次治療における、dMMR/MSI-H限定解除。米国では8月に承認。
イーライリリーのOmvoh(mirikizumab)・・・成人の中重度活性期クローン病(伝統的治療薬またはバイオ薬に応答不十分または不耐の場合)。
EMAは武田薬品がAlofisel(darvadstrocel)の承認返上を決定したことも公表した。同種異系脂肪由来の幹細胞療法で、18年に成人の非活動性または軽度活動性の管腔クローン病における複雑瘻孔の二次治療薬として承認されたが、グローバル第3相試験がフェールし、武田薬品は米国での承認申請を断念した。日本では22人の単群試験に基づき21年に承認された。
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EMAのプレスリリース
また、イーライリリーがMounjaro(tirzepatide)を閉塞性睡眠時無呼吸の治療に適応拡大申請したことに対して、承認はしないがレーベルに治験データを収載することには同意した旨、明らかにした。米州豪独中日などで実施された第3相SURMOUNT-OSA試験でAHI(無呼吸低呼吸指数)が偽薬比有意に減少したが、肥満を伴う患者を組入れたせいか、現行の適応範囲内と判定された。尚、米日と異なりEUでは二型糖尿病用も肥満用もブランド名はMounjaro。
【承認】
新規抗PD-L1抗体が承認
(2024年12月13日発表)
FDAはCheckpoint Therapeutics(Nasdaq:CKPT)のUnloxcyt(cosibelimab-ipdl)を成人の皮膚扁平上皮腫用薬として承認した。転移性、または、治癒的切除/放射線療法不適な局所性の場合に適応になる。前者は臨床試験ではORR(客観的反応率、独立中央評価)が47%、メジアン反応持続期間は未達、後者は各48%と17.7ヶ月だった。
用法は1200mg3週毎投与となっているが、レーベル記載のように、臨床試験では800mgを3週毎投与した。レーベルによると、1200mgは活性成分換算では240mgとなる。良く分からない。
Fortress(Nasdaq: FBIO)が2015年にDana-Farber Cancer Instituteからライセンスし、Checkpoint Therapeutics(Nasdaq:CKPT)を設立して開発したもの。抗PD-(L)1抗体の価格破壊を目指す考えを表明していたが、実現しただろうか。
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FDAのプレスリリース
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同社のプレスリリース
先天性副腎過形成用薬が承認
(2024年12月13日発表)
FDAはNeurocrine Biosciences(Nasdaq:NBIX)のCrenessity(crinecerfont)を4歳以上の古典的CAH(先天性副腎過形成)用薬として承認した。CRF1(コルチコトルピン放出因子受容体1)拮抗剤で、第一選択薬であるグルココルチコイド(GCS)の用量抑制を可能にする。100mgを一日二回、経口投与する。一本の試験では血清アンドロステンジオン値の管理を損なわずにGCSの投与量を27%削減できた(偽薬群は10%)。もう一本では18%削減した(同6%)。警告事項は急性副腎不全/副腎クリーゼ(副腎不全患者でコルチゾール需要が高まった時にGCSが不足すると発症)や過敏反応など。Neurocrineは希少小児疾患優先審査バウチャを取得した。
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FDAのプレスリリース
【医薬品の安全性】
FDA、オベチコール酸の肝移植リスクを警告
(2024年12月12日発表)
FDAは、AlfasigmaグループのIntercept Pharmaceuticalsが販売する原発性胆汁性肝硬変治療薬、Ocaliva(obeticholic acid)に関するプレスリリースを発出した。16年に代理マーカー(ALP値)を改善する作用に基づき、ウルソデオキシコール酸による治療に十分応答しない、あるいは不耐な患者向けに加速承認されたが、非代償性肝硬変に進展した患者などで特に肝毒性が高いことが判明し、21年に禁忌が増えた。市販後のレーベル変更は見落とされ易いが、Ocalivaの場合も、その後に肝移植や順番待ち、肝臓関連死が20例ほどFDAに報告されている。
市販後薬効確認試験がフェールしEUは条件付き承認を取消した。FDAは本承認切替を承認しなかったが仮承認自体は維持しているため、この試験の安全性データを継続評価したところ、現在の適応範囲に該当するサブグループでは試験薬群81人のうち7人が肝移植に至った。偽薬群は68人のうち1人で発生したが、移植の2年前に市販されているOcalivaの服用を開始していたので、純粋な偽薬例ではない。この8人に加えて、死亡者が各群4人と1人発生しており、死亡または肝移植のハザードレシオは4.77(95%信頼区間1.03-22.09)だった。
FDAは肝機能検査の頻度を増やすよう勧告している。但し、現行のデータに基づくと、役に立つかどうか明らかではないと指摘している。
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FDAの安全性情報
【当面の主なFDA審査期限、諮問委員会】
PDUFA |
24年12月推 | Zealand PharmaのZP 1848(glepaglutide、短腸症候群 |
24年12月推 | ガルデルマのNemluvio(nemolizumab-ilto、アトピー性皮膚炎) |
24年12月 | BeiGeneのTevimbra(tislelizumab、胃・GEJ腺腫一次治療追加) |
24/12/20 | Lexicon PharmaceuticalsのZynquista(sotagliflozin、一型糖尿病) |
24/12/27 | Soleno Therapeuticsのdiazoxide choline(プラダー・ウィリー症候群) |
24/12/28 | XcoveryのX-396(ensartinib、ALK陽性非小細胞性肺癌) |
24/12/29 | BMSのOpdivo(nivolumab)の皮下注用新製剤 |
25Q1推 | 第一三共のEnhertu(trastuzumab deruxtecan、her2低/極低転移性乳癌追加) |
25Q1推 | アストラゼネカのCalquence(acalabrutinib、未治療マントル細胞腫追加) |
25年1月 | ノボ ノルディスクのOzempic(semaglutide、FLOW糖尿病性腎症アウトカム試験追加) |
25/1/2 | Vertexのvanzaトリプル(vanzacaftor、tezacaftor、deutivacaftor、嚢胞性線維症) |
25/1/15 | Atara Biotherapeuticsのtabelecleucel(リンパ増殖性疾患) |
25/1/17 | アムジェンのLumakras(sotorasib、KRAS G12C変異再発転移結腸直腸癌追加) |
25/1/25 | エーザイのLeqembi(lecanemab、維持用量用量追加) |
25/1/29 | 第一三共のDS-1062(datopotamab deruxtecan、HR陽性her2陰性切除不能/転移乳癌) |
25/1/29 | Stealth BioTherapeuticsのelamipretide(バース症候群) |
25/1/30 | VertexのVX-548(suzetrigine 、急性疼痛) |
25/1/31 | Axsome TherapeuticsのAXS-07(急性片頭痛) |
今週は以上です。