2023年5月7日

第1101回

【ニュース・ヘッドライン】

  • リリーの抗アミロイド抗体も第3相が成功 
  • ImmunoGen、市販後薬効確認試験が成功 
  • ヤンセン、新システムでNMIBCの反応率が72%に 
  • イクスタンジのnmHSPCデータが発表 
  • 円形脱毛症用新規JAK阻害剤の高用量が治験停止に 
  • ロキサデュスタットのMDS貧血試験はフェール 
  • インサイトのPI3Kデルタ阻害剤、三番目の用途でも挫折 
  • AT1/ETAブロッカーのFSGS試験がフェール 
  • BMS、Reblozylを一次治療に承認申請 
  • アセンディス、副甲状腺ホルモン補充療法薬は審査完了に 
  • ノボ、画期的血友病治療薬が承認されず 
  • 初の高齢者用RSVワクチンが承認 
  • 夜中に起きなくてもよいナルコレプシー治療薬が承認 
  • 植物細胞培養型ファブリー病治療薬がEUで承認 


【新薬開発】


リリーの抗アミロイド抗体も第3相が成功
(2023年5月3日発表)

イーライリリーは抗アミロイド・ベータ(p3-42)抗体LY3002813(donanemab)が第3相早期症候性アルツハイマー病試験で認知・機能面の悪化を有意に遅らせたと発表した。サルゲート・マーカーに基づく加速承認申請はFDAに認められなかったが、今回のデータなら承認基準を満たすだろう。治療効果は先に承認されたエーザイ/バイオジェンのLeqembi(lecanemab-irmb)の第3相成績と大きく変わるようには見えない。ARIA(アミロイド関連造影異常)の発生頻度が若干高いように感じられるが、投与頻度が4週毎と少ない点や、アミロイド・プラクが消失したら投与を止めるという支払い側や患者にとって好都合な用法のエビデンスがあることが長所だ。

このTRAILBLAZER-ALZ2試験は、PETスキャンでアミロイド・プラクの蓄積が認められた早期症候性アルツハイマー病患者を組入れて4週毎点滴静注する効果を偽薬と比較した。主評価項目は76週時点のiADRS(アルツハイマー病統合評価尺度)。臨床試験で良い結果が出るように既存の評価尺度をチェリーピックしたもので、ADCS-iADL(ADCS-ADLのうち手段的項目をチェリーピックした尺度、0~56点、数値が小さいほうが悪い)とADAS-Cog14(0~90点、数値が大きいほうが悪いため、90から減算した数値を使用)を加算して算出する。主解析対象は、被験者のうちタウの値が低・中程度の1182人と、全1736人。前者は偽薬群では9.3点の悪化が見られたが、試験薬群の悪化は35%小さかった。試験薬群の数値は記されていないが6点程度悪化したのだろう。後者は偽薬が13.1点の悪化、治療効果は22%だった。

タウ値が高くない患者だけの解析も行ったのは、高い患者は進行しており今後の悪化も早く試験薬の効果が出にくい可能性があるからとのことだが、結果もそのような恰好になっている。

副次的評価尺度として代表的な尺度であるCDR-SBも検討された。前者のユニバースでは偽薬群が1.9点上昇、治療効果は36%なので試験薬群は1.2点程度悪化したのだろう。後者は偽薬が2.4点上昇、治療効果は29%で、これはLeqembiの27%と大差ない。尚、CDR-SBのベースライン値は未公表だがMMSEは全ユニバース平均で22となっており、Leqembiの第3相の25より少し軽症ということになる。

クラス・イフェクトであるARIAは、浮腫の発生率が24%、症候性は6.1%、出血は31.4%(偽薬群は13.6%)。多くは無症候性だが、深刻なARIAも1.6%で発生し、それによる死亡も2人(その後の死亡も含めると3人)あった。どちらの薬も深刻ARIA発生率が低いのでLeqembiとの比較は難しいが少なくとも数値上はLeqembiのほうが好ましい。

FDAが1月に審査完了通知を出した主因は1年以上の曝露症例数が100人未満と少ないこと。アミロイドが消失したら投与を止めるプロトコルなので効けば効くほど投与すべき患者が減っていくことが皮肉な結果に繋がった。今回の試験は安全性を確認するためのコフォートも設定されているので、広く使われる可能性のある薬に相応しいデータベースを獲得できるだろう。

リンク: 同社のプレスリリース


ImmunoGen、市販後薬効確認試験が成功
(2023年5月3日発表)

ImmunoGen(Nasdaq:IMGN)はElahere(mirvetuximab soravtansine-gynx)のMIRASOL試験で延命効果が示されたと発表した。米国で加速承認された時のフェーズIVコミットメント試験で、本承認切替を狙うとともに、欧州で承認申請する予定。

葉酸受容体(FR)アルファを標的とする抗体と微小管を阻害するDM4をリンカーで結んだ抗体薬物複合体で、昨年11月に成人の1~3次全身性治療歴を持つFRアルファ高発現の白金抵抗性卵巣癌に用いることが認められた。今回の試験の組入れ基準はほぼ同じで、違いは、医師が選んだ薬(paclitaxelなど)との対照試験でPFS(無進行生存期間、治験医評価)を主評価項目、全生存期間を副次的評価項目としていること。前者はハザードレシオ0.65、後者は0.67で共に統計的に有意、メジアン生存期間は16.4ヶ月と12.7ヶ月で3ヶ月余の延命効果が見られた。深刻有害事象や治療時発現有害事象による治験離脱は数値上、対照群より少なかった。

尚、ElahereはFRアルファ陽性患者を組入れた第2相がフェールしており、上記二試験は75%以上の腫瘍細胞で中程度以上に発現している高発現型だけを対象としている。

リンク: 同社のプレスリリース


ヤンセン、新システムでNMIBCの反応率が72%に
(2023年4月30日発表)

ジョンソン・エンド・ジョンソン・グループのJanssen Pharmaceuticalは、AUA(米国泌尿器学会)でTAR-200(JNJ-17000139)の第2相膀胱癌試験の当初結果を発表した。膀胱全摘不適/拒否のBCG不応高リスクNMIBC(非筋層浸潤膀胱癌)を組み入れた試験で、完全反応率は23人中72.7%だった。同社が開発中の抗PD-1抗体、JNJ-3283(cetrelimab)を投与した群は24人中38.1%で、承認されているMSDのKeytruda(pembrolizumab)と似たような成績だ。両剤併用群のデータは今後発表する予定。

また、根治治療不適/拒否の筋層浸潤膀胱癌にTAR-200を施行した第1相のデータも発表された。35人における完全反応率は31%、メジアン生存期間は27ヶ月となっており、進行する前の治療するほうがよく反応するのだろう。

TAR-200はシリコンチューブ型ディバイスで、膀胱内に留置すると浸透圧勾配によりgemcitabineが徐々に放出される。3週間毎に投与した後、維持療法を施行する。上記第2相における有害事象は排尿や膀胱感染症などに係わるものが主で、G3以上の有害事象発生率は30%だった(cetrelimab群は8%)。

リンク: Janssen Pharmaceuticalのプレスリリース
リンク: Tysonらの第1相論文(Journal of Urology)


イクスタンジのnmHSPCデータが発表
(2023年4月29日発表)

アステラス製薬と開発販売パートナーのファイザーは、アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤Xtandi(enzalutamide)のEMBARK試験成功を3月に公表したが、データをAUA(米国泌尿器学会)年次総会で発表した。根治的前立腺全摘/放射線療法を受けた後に、PSA値が9ヶ月足らずで倍増などのリスク因子を持つ、未転移ホルモン感受性前立腺癌の1068人を組入れてXtandiと・leuprolideの二剤併用群やXtandi単剤群のMFS(非転移生存期間)をleuprolide・偽薬併用群と比較した第3相試験で、二剤併用群が有意に上回った。ハザードレシオは0.42、5年非転移生存率は83.5%対71.4%。副次的評価項目であるXtandi単剤群もハザードレシオ0.63で95%上限が1を下回った。

全生存期間は最終解析の必要症例数271に対して130人と未だ成熟していないせいかトレンドに留まっているが、一部で報道されているハザードレシオ(併用が0.59、Xtandi単剤は0.77)が事実ならば、好感触だ。両社は適応拡大申請する考え。

PSA値が閾値を超えるのを待たずに薬物療法を開始する試験は良好な成果を上げているが、高齢者に多い病気で、5年経っても転移しない患者も多くいることを考えれば、施行するか否かではなく、誰にするかが重要な課題と言えそうだ。

リンク: 両社のプレスリリース


円形脱毛症用新規JAK阻害剤の高用量が治験停止に
(2023年5月2日発表)

Sun Pharmaceuticalは、円形脱毛症用薬として承認申請予定のJAK1/2阻害剤、deuruxolitinibに関して、FDAが高用量の治験停止命令を発出したことを明らかにした。第3相試験二本では8mgまたは12mgを一日二回経口投与したが、長期延長試験の12mg群で深刻有害事象である肺塞栓が発生したため。塞栓性事象が一件も発生していない8mgは対象外で、同社は12mg群の患者を8mg群に移行させている。

臨床試験はリスク覚悟で実施するものなので承認審査より敷居が低い。同社は本年上期中に米国などで承認申請する計画だが、12mgがリスキーでも8mgなら安全とは考えにくいので、承認審査における焦点になりそうだ。また、奏効率は一本では偽薬が0.8%、8mgが29.6%、12mg群は41.5%、もう一本では各0.8%、33.0%、38.3%だったので、8mgだけだと若干低下することになる。

同剤はインサイト(Nasdaq:INCY)が骨髄線維症などの治療薬として実用化したJakafi/Jakavi(ruxolotinib)の活性成分を重水素化したもの。Concert Pharmaceuticalsの買収で入手した。FDAはJAK阻害剤の安全性に懸念を持っておりリウマチ性関節炎などの用途では日欧では承認されている高用量を認めないなどの措置をとっているが、Jakafiは用途が違うとして用量制限などは行っていない。慢性疾患用途でも、インサイトが開発したruxolitinibのクリーム製剤を既存局所製剤不応の軽中度アトピー性皮膚炎の間歇的治療薬として承認している。ruxolitinibが安全なのか、局所性製剤だから低リスクなのか、よくわからないが、deuruxolitinibが答えを出してくれるかもしれない。

リンク: Sunのプレスリリース(pdf)


ロキサデュスタットのMDS貧血試験はフェール
(2023年5月5日発表)

FibroGen(Nasdaq:FGEN)はHIF2-PH(低酸素誘導因子2-プロリン水酸化酵素)阻害剤roxadustatを貧血症治療薬として開発しパートナーのアステラス製薬やアストラゼネカと共に世界各地で承認申請したが、安全性のエビデンスが万全ではないためか米国では承認されなかった。同社は低中等度リスクのMDS(骨髄異形成症候群)で貧血治療のために透析を受けている患者を対象とする第3相MATTERHORN試験も実施していたが、今回、フェールしたことを発表した。奏効率(28週間の当初観察期間中に56日以上連続で輸血しないで済んだ患者の比率)が47.5%と偽薬群の33.3%を上回ったが有意水準に達しなかった。

リンク: 同社のプレスリリース


インサイトのPI3Kデルタ阻害剤、三番目の用途でも挫折
(2023年5月2日発表)

インサイト(Nasdaq:INCY)はINCB050465(parsaclisib)の第3相温式自己免疫性溶血性貧血症試験を打ち切ることを決めた。承認審査機関の規制が厳しいことを理由に挙げている。

PI3K(Phosphatidylinositol 3 kinase)デルタ阻害剤で、濾胞性リンパ腫や辺縁帯リンパ腫の治療薬として欧米で承認申請したが、対照試験のエビデンスがなく、既承認の類薬より優れていると信じる理由もないことから当局が難色を示し、取下げに至った。骨髄線維症の第3相試験が行われたが、3月に無益認定された。

リンク: 同社の23Q1決算発表リリース


AT1/ETAブロッカーのFSGS試験がフェール
(2023年5月1日発表)

Travere Therapeutics(Nasdaq:TVTX)はブリストル マイヤーズ スクイブからライセンスしたアンジオテンシンIIタイプ1受容体とエンドテリンA受容体のデュアル・アンタゴニスト、sparsentanをIgA腎症治療薬として開発し、2月に米国で加速承認を取得したが、FSGS(巣状分節状糸球体硬化症)の第3相はフェールした。8~75歳の371人の原発性患者371人を組入れて第108週のeGFR(推算糸球体濾過量)をirbesartanと比較したところ、数値は若干良かったが有意水準には達しなかった(5.4mL/min/1.73m2対5.7ml/min/1.73m2)。会社側は承認申請に向けて承認審査機関と相談する構え。

同社はこの試験の36週時点におけるタンパク尿減少データに基づき加速承認を試みたが、FDAが認めなかった経緯がある。

リンク: 同社のプレスリリース

【承認申請】


BMS、Reblozylを一次治療に承認申請
(2023年5月1日発表)

ブリストル マイヤーズ スクイブはActRⅡB融合蛋白、Reblozyl(luspatercept-aamt)を低中度リスク骨髄異形成症候群(MDS)の成人の貧血治療に用いる時のESA(赤血球生成刺激剤)不応不耐限定を解除すべく欧米で承認申請し受理された。米国は優先審査を受け、審査期限は8月28日。

エビデンスは第3相COMMANDS試験。ESA歴を持たない成人のvery low/low/intermediateリスクの輸血依存MDSを組入れて、赤血球輸血なしでヘモグロビン矯正に成功する奏効率をESAと比較したところ、有意に上回った(データは未公表)。

リンク: 同社のプレスリリース

【承認審査・委員会】


アセンディス、副甲状腺ホルモン補充療法薬は審査完了に
(2023年5月1日発表)

アセンディス・ファーマ(Nasdaq:ASND)はTransCon PTH(palopegteriparatide)を副甲状腺ホルモン欠乏症の治療薬として22年に欧米で承認申請したが、米国は審査完了通知を受領した。4月に会社側が審査状況をアップデートしていたため意外な結果ではないが、今回、薬剤含有量の変動を抑えるため施策に関してFDAが懸念を持っていることが明らかになった。同社はFDAとミーティングを持つ予定。

デンマーク本社のアセンディスは体内で内在性ホルモンに変換されるプロドラッグとキャリアをリンカーで繋いで作用を長期化する技術を持っており、21~22年にSKYTROFA(lonapegsomatropin-tcgd)が成長ホルモン欠乏症用薬として欧米で承認された。これら二剤は日本でも第3相段階。

リンク: 同社のプレスリリース


ノボ、画期的血友病治療薬が承認されず
(2023年5月4日発表)

ノボ ノルディスクはNN7415(concizumab)をインヒビターを持つA型/B型血友病の出血予防薬として米日などで承認申請したが、FDAからは審査完了通知を受領した。適切な投与を担保するための施策や生産プロセスに関する指摘があった模様だ。

第3相試験では12歳以上の血友病患者133人を一日一回皮下注する予防群と出血時に投与する治療群に2対1割付けして出血頻度を比較したところ、平均年率は各1.7と11.8、メジアン値は0と9.8となり、有意な差があった。試験中に非致死的血栓性イベントが3例発生しFDAが治験停止命令を発出したこともあったが、開始用量や同時使用薬の用量制限などを改訂した後は1例も発生しなかったようだ。中外/ロシュのHemlibra(emicizumab-kxwh)も同様な経緯を持つので、この件がボトルネックになったとは考えにくいが、これらの制限を順守させるための施策に向上の余地があったのかもしれない。

concizumabはTFPIを標的とする抗体。活性化第VII因子と組織因子複合体による第X因子の活性化をTFPIが妨げるのを阻止する。ペン型の皮下注用ディバイスで投与する。

リンク: 同社の1Q決算発表リリース

【承認】


初の高齢者用RSVワクチンが承認
(2023年5月3日発表)

GSKはFDAがArexvyを60歳以上のRSウイルス感染症予防用ワクチンとして承認したと発表した。業界全体に開発が難航したが、NIH(米国立医療研究所)の研究者らがRSVが宿主細胞に結合する前の構造を解明したことがエポック・メイキングとなり急進捗、遂に第1号が実用化に漕ぎつけた。5月にACIP(ワクチン接種諮問委員会)で接種勧告の当否や範囲が検討される見込み。

第3相試験ではワクチン群のRSV性下部気道感染症罹患が12466人中7人、偽薬群は12494人中40人で、ワクチン効率は82.6%(96.95%信頼区間57.9-94.1)だった。NNTを試算すると400人程度に接種すると一人を救うことができることになる。重症化リスク因子を持つサブグループにおけるワクチン効率も94.6%と高く、NNTは300人程度と試算される。

ファイザーの製品も承認審査中で今月中に承認されそうだ。どちらも一回筋注用で、GSKの製品はRSV-Aの宿主細胞結合部位の結合前構造(PreF3)が抗原でサボニン・ベースのAS01Eアジュバントにより免疫原性を高めている。ファイザーの開発品はRSV-AとRSV-BのPreF3をカバーする二価ワクチンでアジュバントはない。効果の違いは明らかではなく、公衆衛生関連の人たちは細かいことは気にせず接種せよという姿勢を取りがちなので、今後も議論されないだろう。上記治験成績の観察期間は1シーズンだけで、効果が何年続くかは不明。GSKの第3相は3年間毎年接種する群と初年度だけの群のRSV性下部気道感染症リスクも検討しており、報道によると、ACIPの頃には2年目のデータが判明する見込みだ。結果次第で価格も変わってくる模様(毎年接種なら高量インフルエンザワクチン並みの60ドル前後、2年持つならShingrix並みの185ドル前後など)。

リンク: GSKのプレスリリース


夜中に起きなくてもよいナルコレプシー治療薬が承認
(2023年5月1日発表)

Avadel Pharma (Nasdaq:AVDL)はFDAがLumryz(sodium oxybate)をナルコレプシー患者の脱力発作/過度の眠気の治療薬として承認したと発表した。活性成分はJazz PharmaceuticalsがXyremや新製剤のXywavとして販売しているが、就寝前と夜中に服用する必要がある(実際には目が覚めずに服用しないケースも多いのかもしれないが)。Lumryzは管理放出製剤で一日一回、就寝前に服用すれば足りる。Xyrem/Zywavは22年売上高が約20億ドルの大型製品なので侵食の余地は大きそうだ。

リンク: 同社のプレスリリース


植物細胞培養型ファブリー病治療薬がEUで承認
(2023年5月5日発表)

Protalix BioTherapeutics(NYSE American:PLX)とChiesi Groupの希少疾患子会社は、EUがPRX-102(pegunigalsidase alfa)を成人のファブリー病治療薬として承認したと発表した。Protalixの技術を用いて、細菌や動物細胞ではなく植物細胞にPEG化アルファ・ガラクトシダーゼ-A酵素の遺伝子を導入、発現させたもの。臨床試験では既存製品と効果が非劣性だった。EMAは2月にCHMPの結果を公表した時に製品名をElfabrioと記していたが、両社の今回のリリースには記されていない。

米国でも承認申請中だが第3相の12ヶ月追跡データだけでなく2年追跡データも追加提出したためEUより遅れ、審査期限は5月9日となっている。

リンク: 両社のプレスリリース


【当面の主なFDA審査期限、諮問委員会】


PDUFA:

  • 23年5月推 ファイザーのPF-06651600(ritlecitinib、12歳以上の円形脱毛症)
  • 23年5月 ファイザーのPF-06928316(60歳以上のRSVワクチン)
  • 23年5月 Lexicon PharmaceuticalsのZynquista(sotagliflozin、心不全)
  • 23/5/10 大塚製薬のRexulti(brexpiprazole、アルツハイマー型認知症のアジテーションに適応拡大)
  • 23/5/12 ByondisのSYD985(vic-trastuzumab duocarmazine、her2陽性乳癌)
  • 23/5/19 Krystal BiotechのVyjuvek(beremagene geperpavec、栄養障害型表皮水疱症)
  • 23/5/21 アッヴィのepcoritamab(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫3次治療)
  • 23/5/22 アステラス製薬のESN364(fezolinetant、閉経期血管運動神経症状)
  • 23/5/22 Blueprint MedicinesのAyvakit(avapritinib、緩徐全身性肥大細胞腫に適応拡大)
  • 23/5/23 ImmunityBioのAnktiva(BCG不応ハイグレード筋層非浸潤性膀胱癌)
  • 23/5/29 Sarepta TherapeuticsのSRP-9001(delandistrogene moxeparvovec、デュシェンヌ型筋ジストロフィー)
  • 23/5/29 Entasis Therapeuticsのsulbactam-durlobactam(アシネトバクター感染症)


諮問委員会:

  • 23/5/9-10 NPDAC・ORUDAC共同会議:Perrigoの避妊薬Opill(norgestrel)のOTCスイッチ
  • 23/5/11 PADAC:ARS Pharmaceuticalsのエピネフィリン点鼻スプレイ(アナフィラキシー治療薬)
  • 23/5/12 CTGTAC:Sarepta TherapeuticsのSRP-9001(デュシェンヌ型筋ジストロフィー)
  • 23/5/18 VRBPAC:ファイザーのAbrysvo(妊婦接種による新生児RSV予防用ワクチン)
  • 23/5/19 GIDAC:Intercept Pharmaceuticalsのobeticholic acid(NASH)



今週は以上です。

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