2021年11月5日

第1024回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • COVID-19関連: 
  • MSDのmolnupiravir、まず英国で承認 
  • Modernaのワクチン、米国の18歳未満は来年までお預け 
  • コミナティ、米国で5-11歳にも承認 
  • WHO、インドのワクチンを非常時使用リストに収載 
  • イーライリリー、EUで抗SARS-CoV-2抗体の承認申請を撤回 
  • その他の領域: 
  • アッヴィ、カリプラジンを鬱病に適応拡大申請へ 
  • インサイト、PI3K阻害剤を承認申請 
  • Amylyx、ALS用薬の承認申請を断行 
  • オラペネムの経口剤が承認申請 
  • ノバルティス、キムリアを濾胞性リンパ腫に適応拡大申請 
  • FDA諮問委員会、プラダー・ウィリ症候群用薬として承認することに反対 
  • 新種のPh+CML用薬が承認 
  • 老眼治療薬が承認


【COVID-19関連】


MSDのmolnupiravir、まず英国で承認
(2021年11月4日発表)

英国の薬品審査機関であるMHRAは、世界に先駆けて、MSDのLagevrio(molnupiravir)を成人の軽中等症COVID-19感染症の治療薬として条件付き承認した。SARS-CoV-2感染が確認された、重度疾患合併リスク因子を一つ以上保有する患者が適応になる。早い段階のほうが効くので、発症から5日以内に治療を開始するよう推奨している。妊婦は推奨されない。

エモリー大学の非営利組織が発見、MSDがRidgeback Biotherapeuticsと共同で開発したRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤。活性代謝物のNHC-TPがウイルスのRNAに紛れ込みゲノムを改変する。200mgハードカプセルを4個ずつ、一日二回、5日間服用する。

第3相試験では、軽中等症COVID-19感染症で、入院していない、ワクチン接種歴がない、重症化リスク因子を持つ、発症から無作為化割付まで5日以内の、患者に投与したところ、29日間に入院または死亡した患者が中間解析で385人中28人(7.3%)と、偽薬群の377人中53人(14.1%)と比べて有意に少なかった。ウイルスのゲノム分析が行われた症例では、ガンマやデルタ、ミュー株にも効果が見られた。死亡者はゼロ対8人。薬物関連有害事象発生率は12%対11%だった。有害事象治験離脱率は1.3%対3.4%で偽薬群を上回らなかった。

この種の薬は人間のゲノムに紛れ込むと困るが、英国のSPC(製品概要書)によると、遺伝子毒性や変異原性のリスクは小さいと判断されている。妊娠能にも影響は見られなかった。一方、妊娠した動物や胎児、子供の発達には影響が見られた。このため、妊婦に投与することは推奨されていない。また、一定の期間、妊娠や授乳を避ける。

ワクチン接種歴は不問だが、接種した人にも有効という記述はない。英国ではブースター接種が始まっている。効果が長続きしないと考えているのだろうから、〇×ではなく、接種後の経過期間や免疫低下疾患/治療の有無などに基づいて、裁量を効かすよう求めているのかもしれない

リンク: MHRAのプレスリリース
リンク: 英国のSPC
リンク: RidgebackとMSDのプレスリリース



Modernaのワクチン、米国の18歳未満は来年までお預け
(2021年10月31日発表)

Moderna(Nasdaq:MRNA)のCOVID-19ワクチン、Spikevaxは、7月にEUや日本で12~17歳にも承認され、6~11歳に50mcgを3週おいて二回接種する対象年齢・用量追加も申請される見込みだが、米国は遅れている。12~17歳はEUA(非常時使用認可)を申請中だが、心筋炎リスクに関する国際的分析データを追加提出したところ、来年1月より前に承認するのは難しいとの通知を受けた。承認されるまで6~11歳の申請を先送りすることを決めた。

同社やBioNTech/ファイザーのmRNAワクチンの極めて稀な副作用として、心筋炎や心膜炎を発症することがある。10代から20代前半の男子が多いが、これは、COVID-19ワクチンと関係ない症例でも同じだ。ModernaはFDAに日欧の17歳以下の市販後有害事象報告データを提出したものと推測される。FDAの反応から推測すると、好ましいものではなかったのではないか?EMAのPRACが今月、何か公表するかどうか、注目される。

リンク: Modernaのプレスリリース



コミナティ、米国で5-11歳にも承認
(2021年11月2日発表)

BioNTech(Nasdaq:BNTX) /ファイザーは、10月29日、FDAがCOVID-19ワクチンのComirnaty(tozinameran)を5-11歳に接種することをEUA(非常時使用認可)したと発表した。16歳以上の用量の1/3に当たる10mcgを3週おいて二回筋注する。臨床試験で中和抗体価が16~25歳の試験データと非劣性で、副作用も同程度だった。追跡期間中の症候性感染者は1450人中3人で、偽薬群の736人中16人と比べてリスクが90%小さかった。11月2日にはCDC(米国疾病管理予防センター)のACIP(ワクチン接種諮問委員会)が全員一致で接種を推奨した。対象人口は2800万人。

mRNAワクチンでは10代男子を中心にごく稀に心筋炎・心膜炎が散見される。10月21日と11月2日のACIPでCDCタスクフォースのプレゼンがあったので付記しておこう。

Comirnatyは昨年12月に16歳以上の青少年と成人に、今年5月には12~15歳にも、EUAされた。10月21日のプレゼンによると、VAERS(ワクチン有害事象報告システム)に全年齢男女合計で797例の心筋炎が報告されている(未検証を含めるともっと多い)。接種100万回当り罹患率を見ると、一番多いのが16~17歳の男子の二回目接種時の69.1だ。日本でいえば、16~17歳の男子全てが接種すれば70人程度が罹患する計算になる。但し、12~15歳と18~24歳の二回目接種時の罹患率は100万人当たり30~40と半分なので、16~17歳の真の値はもっと低い可能性もあるのではないか。

11月2日のACIPでは追加的な情報が示された。10月6日時点で30歳以下のmRNAワクチン接種者の心筋炎が1640件、VAERSに報告され、うち877件はCDCの心筋炎判定基準に合致することの確認が終わった。この877人のうち、789人(95%)は入院したが、うち607人は報告時点で症状が回復したことが分かっている(回復率76%以上)。MRI検査が行われた312人中223人(72%)で心臓に異常が見られた。

心筋炎罹患率(100万接種当り)

ComirnatySpikevax
1回目2回目1回目2回目
男性:
12~15歳4.239.9--
16~17歳5.769.1--
18~24歳2.336.86.38.5
25~29歳1.310.83.417.2
女性:
12~15歳0.43.9--
16~17歳0.07.9--
18~24歳0.22.50.65.3
25~29歳0.21.20.45.7
注:10月6日までにVAERSに届出された、接種後0-6日に発生した心筋炎の症例のうち、797例の分析。
出所:21年10月21日のACIPプレゼン資料から抜粋。


リンク: CDCのプレスリリース
リンク: 両社のプレスリリース(EUAについて、10/29付)
リンク: John Su博士のACIPプレゼン資料(10/21付、pdfファイル)
リンク: Oster博士のACIPプレゼン資料(11/2付、pdfファイル)



WHO、インドのワクチンを非常時使用リストに収載
(2021年11月3日発表)

WHO(世界保健機関)はインドのBharat Biotech社のCovaxinを18歳以上のCOVID-19ワクチンとしてEUL(非常時使用リスト)に収載したと発表した。Indian Council of Medical ResearchおよびNational Institute of Virologyと共同開発した全粒子不活化ワクチンで、vero細胞で培養する。通常の冷蔵庫で保管できるので低中所得国にも便利。インドの施設で18~98歳の25798人を組入れて4週おいて二回接種した試験では症候性感染が偽薬比77.8%少なかった。デルタ株感染も65%防いだ。

EUL収載は7製品目。これまでに、BioNTech/ファイザーやModernaのmRNAワクチン、アストラゼネカ/SKBio/Serum Institute of IndiaやJanssen–Cilagのアデノウイルスベクター・ワクチン、そして中国系のSinopharm(中国医薬集団)/BIBPやSinovac(北京科興生物制品有限公司、Nasdac:SVA)の不活化ワクチンが収載されている。医薬品の承認審査体制が整っていない国は、WHOなどの判断を援用して承認の是非を決めることになる。

リンク: WHOのプレスリリース



イーライリリー、EUで抗SARS-CoV-2抗体の承認申請を撤回
(2021年11月2日発表)

EMAは今年3月にイーライリリーの抗SARS-CoV-2抗体カクテル(bamlanivimab、etesevimab)のローリング審査に着手したが、中止した。リリーが手続きを打ち切ったため。EMAの医薬品専門家委員会であるCHMPは生産方法のバリデーションを要求したが、リリーは、欧州における現在の需要に鑑み、当面は生産する必要がないと判断した。EUではあまり売れていないということなのだろう。

この二剤は前者はカナダのAbCellera Biologicsから、後者は中国のJunshi Biosciencesからライセンスして開発したもの。米国では昨年11月にbamlanivimabが、今年2月には両剤併用が、EUAされた。その後、bamlanivimabはin vitroでE484変異やL452R変異などを持つウイルス株に対する活性が低かったことから今年4月に単剤のEUAが取り消され、併用も連邦政府の調達がストップしていた。しかし、ワクチン接種開始後も感染の波が来たことや、流行の中心であるデルタ株には有効であることから、8月に再開。9月には曝露後予防に用いることもEUAされた。連邦政府が一括調達しており、9月に38.8万回分のetesevimabを3.3億ドルで、今月には来年1月までに61.4万回分の両剤を12.9億ドルで、調達する旨、合意している。

EUでは一部の加盟国が先行承認を望んだことから、EMAが3月に肯定的なアドバイスを行った。使っている国もあるのではないかと想像していたが、誰が見てもリジェネロン/ロシュの競合品のほうが輝いているので、出番は限定的だったのだろう。米国連邦政府は3年前からAbCelleraとパンデミック対応に向けた共同プロジェクトを進めてきたが、欧州政府は特別な思い入れはないだろうし。

リンク: EMAのプレスリリース
リンク: イーライリリーの撤回通知(10/29付、pdfファイル)



【新薬開発】


アッヴィ、カリプラジンを鬱病に適応拡大申請へ
(2021年10月29日発表)

アッヴィはVraylar(cariprazine、欧州のブランド名はReagila)の第3相大鬱病アジャンクト試験のトップラインを発表した。ポテンヒット程度の成績だが米国で適応拡大申請する考え。

VraylarはドパミンのD3、D2やセロトニンの5-HT1A受容体の部分作動剤。ハンガリーのゲデオン・リヒターから北米の権利などを取得したもの。米国では統合失調症の急性期治療や維持療法、双極障害I型の躁・混合症状や鬱症状の治療に承認されている。アッヴィは8月に日本でも開発商業化する計画を発表した。

鬱病試験は抗鬱剤に十分反応しない患者を偽薬、1.5mg/日、または3mg/日の3群に無作為化割付して第6週における症状改善をMADRS(Montgomery Åsberg Depression Rating Scale)総スコアで評価した。二本実施したところ、1.5mg/日は一勝一敗、3mg/日は二敗となった。主な有害事象はアカシジア、悪心、傾眠、頭痛、不眠。

承認申請はリヒターが実施した第2相鬱病アジュバント試験のデータも主要エビデンスとして使う予定。用量を固定しないフレキシブル・ドース方式で、1~2mg/日と2~4.5mg/日の第8週MADRS改善効果を偽薬と比較したところ、後者が成功した。

鬱病試験は偽薬効果が大きく出がちで、承認されている薬でもしばしばフェールする。このため、治験成績が二勝一敗でも承認を取ることは不可能ではないだろう。ただ、今回は1.5mgまたは1~2mg/日を投与した群が一勝二敗、3mgまたは2~4mgを投与した群も一勝二敗と負け越している。何か隠し玉があるのだろうか?

リンク: アッヴィのプレスリリース


【承認申請】


インサイト、PI3K阻害剤を承認申請
(2021年11月1日発表)

インサイト(Nasdaq:INCY)はINCB050465(parsaclisib)を米国で承認申請し受理されたと発表した。PI3Kデルタ阻害剤で、適応症のうち、抗CD20抗体歴を持つ成人の難治再発性辺縁帯リンパ腫と一次以上の治療歴を持つ成人のマントル細胞腫は優先審査を受け、審査期限は来年4月30日、二次治療の全身治療歴を持つ難治再発濾胞性リンパ腫は標準審査で8月20日。第二相非ホジキンリンパ腫試験に基づく申請。

リンク: 同社のプレスリリース



Amylyx、ALS用薬の承認申請を断行
(2021年11月2日発表)

米国のAmylyx社は、AMX0035(sodium phenylbutyrateとtauroursodeoxycholic acidの合剤)をALS(筋萎縮性側索硬化症)治療薬として開発、6月のカナダに続いて、米国でも承認申請した。尿素サイクル異常症の治療薬と原発性胆汁性肝硬変の治療薬を併用で転用することによって、小胞体とミトコンドリアの両方の神経変性回路を抑制し、神経細胞死を抑制することが期待されている。

承認申請の根拠となる第2相試験は19年12月に成功発表され、昨年夏にNew England Journal of Medicine誌に論文掲載された。発症後18ヶ月以内の患者135人を偽薬またはAMX0035に無作為化割付して一日二回(最初の3週間は一回)経口投与し、24週後のALSFRS-Rスコアを比較したところ、偽薬群は月平均1.66ポイント低下したが試験薬群は1.24ポイント低下に留まり、24週間で2.32ポイントの差があった(p=0.03)。有害事象による治験離脱は各群8%と19%だった。

この試験は承認薬であるRadicava(edaravone)やriluzoleの使用が容認されていて、前者はベースライン時点で偽薬群の50%と試験薬群の25%が、後者は各77%と68%が、治療を受けていた。edaravoneの承認の根拠となった日本の第3相試験では、ALSFRS-Rのベースライン平均値が41.9と今回の試験の36より大きかった(病状が軽かった)が、治療効果は2.49で今回の2.32と同程度であった。

また、オープンレーベル延長試験期間も含めた中間解析で、偽薬開始群のメジアン生存期間が18.5ヶ月であったのに対して、試験薬群は25.0ヶ月で、死亡ハザードレシオは0.56だった。

数値は良いが症例数が少ないので頑強とは言い難い。承認薬併用率に群間の偏りがあること自体は、試験薬に不利に働く可能性があるので保守性の観点から容認できるが、このような大きな偏りが他にも発生していないか、気になるところだ。第3相試験の結果が出るのはまだ先なので、当面は、FDAが申請を受理するかどうかが注目だ。

リンク: 同社のプレスリリース
リンク: Paganoniらの治験論文(New England Journal of Medicine誌)



オラペネムの経口剤が承認申請
(2021年10月28日発表)

Spero Therapeutics(Nasdaq:SPRO)はSPR994(tebipenem pivoxil hydrobromide)を複雑性尿路感染症(腎盂腎炎を含む)の治療薬としてFDAに承認申請した。Meiji Seikaファルマがオラペネム(tebipenem pivoxil)を経口投与できるように開発した新製剤で、日本など以外の市場でライセンスした。600mgを一日3回投与した第3相では、臨床的治癒率と細菌学的駆除率がInvanz(ertapenem)と非劣性だった。深刻な治療時発現有害事象発生率は1.3%対1.7%で大差なかった。

リンク: 同社のプレスリリース



ノバルティス、キムリアを濾胞性リンパ腫に適応拡大申請
(2021年10月27日発表)

ノバルティスはCAR-T療法のKymriah(tisagenlecleucel、和名キムリア)を成人の二次以上の治療歴のある再発/難治濾胞性リンパ腫に適応拡大すべく、欧米で承認申請し受理されたと発表した。日米欧で希少疾患薬指定を受けている。

第2相試験では完全反応率(独立評価委員会方式、n=94)が66%だった。CAR-T固有の副作用の発生率(n=97)は、G3/4サイトカイン放出症候群はゼロ、G4神経学的イベントは1例と少なかった。

Kymriahは米国で難治/再発性前駆B急性リンパ芽球性白血病やある種のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に承認されている。

リンク: 同社のプレスリリース


【承認審査・委員会】


FDA諮問委員会、プラダー・ウィリ症候群用薬として承認することに反対
(2021年11月4日発表)

シカゴの医薬品開発企業、Levo Therapeuticsは、LV-101(carbetocin)をプラダー・ウィリ症候群(PWS)用薬としてFDAに承認申請したが、11月4日に開催された精神薬理学薬諮問委員会は、13人中12人が承認に反対した。驚きではない。

第三相試験で共同主評価項目に設定された9.6mg群の過食症状スコアと強迫症状スコアの解析が何れもフェールし、承認申請された3.2mg群も過食症状スコアしか偽薬群を大きく上回らなかった。後者は副次的評価項目なので、主評価項目がフェールしたためpが0.05を下回っていても統計的に有意ではない。

通常、第三相試験は二本実施して再現性を確認する必要があるため、FDAは承認申請に後ろ向きだったが、同社は断行した。有害事象面では、延長試験で8人が深刻有害事象により離脱した。主として精神症状が原因だった。

PWSは16000出生に一人の希少神経発達障害。食欲が抑制できず過食、肥満などを伴う。carbetocinは神経内分泌ホルモンのオキシトシンの類縁体で、帝王切開後の異常出血予防などに一部の国で用いられている。LV-101は点鼻スプレー製剤で、スイスのFerring PharmaceuticalsからPWS治療薬としての権利を取得した。


【承認】


新種のPh+CML用薬が承認
(2021年10月29日発表)

FDAはノバルティスのScemblix(asciminib)を成人の慢性期フィラデルフィア転座陽性(Ph+)慢性骨髄性白血病用薬として加速承認した。2種類以上のチロシン・キナーゼ阻害剤(TKI)歴を持つ、または、T315I変異の癌が適応になる。

同社のGleevec(imatinib)など既存のBCR-ABL阻害剤はATP競合的に阻害するが、ScemblixはABLミリストイル・ポケットを標的とするアロステリック・インヒビターで、耐性変異に強い。

2種類以上のTKI治療歴を持つ患者223人を組入れて24週MMR(分子遺伝学的大奏効)率をファイザーのBosulif(bosutinib)と比較した第3相では、25%対13%と有意に上回った。有害事象治験離脱率は5.8%対21.1%とだいぶ良かった。この試験は40mgを一日二回、経口投与したが、80mg一日一回も承認された。

T315I変異45人を組入れて200mgを一日二回経口投与したた第1相試験では、24週MMR率が42%だった。

リンク: FDAのプレスリリース



老眼治療薬が承認
(2021年10月29日発表)

アッヴィが20年に630億ドル(株式価値ベース)で買収したアラガン社のVUITY(pilocarpine HCI)が老眼治療薬として承認された。老眼治療薬は初めて。一日一回、点眼する。臨床試験では15分で効果が発現、最大6時間持続した。

活性成分はムスカリン受容体刺激剤で、錠剤がシェーグレン症候群や一部の抗癌剤の副作用として発現するドライマウスの治療に用いられている。点眼剤も緑内障の治療に用いられることがあるようだ。老眼における作用機序は瞳孔括約筋の収縮を補助し焦点を合わせやすくするとのこと。

第3相試験では近見視力が改善し、遠見視力はあまり悪化しなかった。治療時発現有害事象は頭痛、結膜充血、霞目、目の痛みなど。遠近の焦点切替が一時的に困難になることがあるので注意する。

リンク: アッヴィのプレスリリース






今週は以上です。

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