2021年6月13日

第1003回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • COVID-19関連: 
  • PRACがワクチンの稀な有害事象についてアップデート 
  • その他の領域: 
  • サノフィ、寒冷凝集素症のRCTが成功 
  • BMS、ブレヤンジのLBCL二次治療試験が成功 
  • 第三のハーセプチン型ADCの第3相が成功 
  • Dermavant、AhRモジュレータを乾癬治療薬として承認申請 
  • ジャカビの適応拡大申請も審査期間延長 
  • Aduhelmの承認はナンセンスが一杯 
  • 20価プレベナーが承認 
  • 初のプラスミノゲン欠乏症用薬が承認 
  • GLP-1作用剤の高用量版が体重管理薬として承認 
  • 天然痘治療薬が承認


【COVID-19関連】


PRACがワクチンの稀な有害事象についてアップデート
(2021年6月11日発表)

EUの薬品承認審査機関であるEMAのファーマコビジランス・リスク評価委員会(PRAC)はCOVID-19ワクチンに関する様々な有害事象報告の評価を進めているが、オックスフォード大学/アストラゼネカのVaxzevriaを接種した患者で発生した毛細血管漏出症候群について、有害事象として添付文書に記載するよう勧告した。既往歴のある人は禁忌とする予定。

この稀だが深刻な疾患は毛細血管から体液が漏出、手足の腫脹や低血圧、ドロドロ血、低アルブミン血症などが現れる。Vaxzevria接種者では14例が報告され、うち6例は診断を裏付ける十分な情報があった。6例の多くは女性で、接種後4日以内に発症。3人は毛細血管漏出症候群既往で、うち一名はその後死亡した。

EUと英国におけるVaxzevriaの接種実績は7800万回超なので、報告頻度は600~1000万回に一度ということになるが、有害事象報告はしばしば、氷山の一角である。

4社のワクチンにおける心筋炎や心膜炎の検討は続行。Eudravigilance有害事象報告システムに報告された心筋炎は、21年5月末現在で、BioNTech/ファイザーのComirnatyが122件、Moderna製が16件、Vaxzevriaが38件、JNJ製はゼロ。同様に、心膜炎はComirnatyが126件、Moderna製が18件、Vaxzevriaが47件、JNJ製が1件となっている。多くは軽症で数日内に解消した。

尚、EEA(欧州経済圏)における接種実績は、Comirnatyが1.6億回、Moderna製が1900万回、Vaxzevriaが4000万回、JNJ製が200万件となっている。従って、各ワクチンの発生頻度に大きな差があると思わないほうが良さそうだ。

リンク: EMAのプレスリリース


【新薬開発】


サノフィ、寒冷凝集素症のRCTが成功
(2021年6月11日発表)

サノフィはsutimlimabの第3相寒冷凝集素症試験が成功したと発表した。過去6ヶ月間に輸血を受けずに済んだ患者42人を偽薬群と試験薬群に無作為化割付して二週毎(但し二回目は一週後)に点滴静注して半年間治療したところ、奏効率(ヘモグロビン値が1.5g/dL以上に増加などの複合評価)が各15%と76%となり、有意な差があった。治療時発現深刻有害事象の発生率は各群5%と13.6%で、試験薬群で発生した脳静脈血栓症一例は担当医が試験薬関連と判定した。

C1複合体セリンプロテアーゼを標的とする抗体医薬で、17年にバイオジェンからスピンアウトしたBioverativがTrue North Therapeuticsを買収して入手、18年にサノフィに買収された。第3相単群試験の結果に基づいて2000年に日米で承認申請されたが、米国は生産委託先の工場査察で問題点が指摘され、審査完了通知を受領した。下期に再申請を計画するとともに、初の無作為化割付対照試験(RCT)が成功したことを受けて、欧州でも承認申請する予定。

リンク: 同社のプレスリリース



BMS、ブレヤンジのLBCL二次治療試験が成功
(2021年6月10日発表)

ブリストル マイヤーズ スクイブは、Breyanzi(lisocabtagene maraleucel、和名ブレヤンジ)の第3相難治/再発性大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)二次治療試験が中間解析で成功したと発表した。データは未公表。承認申請に向かうと推測される。

BreyanziはCD19標的型CAR-T(キメラ抗原T細胞)療法。19年に子会社化したセルジーンが前年に買収したJuno Therapeuticsの開発品で、21年に米国で難治/再発大細胞型B細胞リンパ腫の三次治療薬として承認された。

今回のTRANSFORM試験は、R-DHAPなどの化学療法施行後に高量化学療法と造血幹細胞移植を行う標準療法と、化学療法に代えてBreyanziを施行するレジメンを比較した。主評価項目のEFS(全死亡、疾病進行、部分反応未達の何れも発生せず生存)だけでなく、副次的評価項目の完全反応率や無進行生存期間も有意に上回った。全生存の解析は未だ成熟していない(死者が解析に必要な数に達していない)。

リンク: BMSのプレスリリース



第三のハーセプチン型ADCの第3相が成功
(2021年6月8日発表)

オランダのByondis B.V.は、SYD985(trastuzumab duocarmazine)の第3相TULIP試験が成功したと発表した。年末までに承認申請する予定。データは未発表。

元々はSynthon Biopharmaceuticals B.V.という社名だったが親会社が買収されたのを機に独立、改名した。主要パイプラインがこのADC(抗体薬物複合体)で、Herceptinの活性成分であるtrastuzumabとストレプトミセス属の細菌から発見されたDNAマイナーグルーブ(副溝)結合剤をリンカーで結合したもの。

第3相試験は、her2陽性の切除不能局所進行性または転移性の乳癌で2種類以上のher2標的レジメンまたはハーセプチン型ADCの第1号であるロシュのKadcyla(trastuzumab emtansine)による治療歴を持つ患者を、試験薬群と医師の選んだ治療レジメン群に2対1無作為化割付して、PFS(無進行生存期間、第三者独立評価)を比較した。

主評価項目が成功しただけでなく、副次的評価項目である全生存期間の予備的解析でも薬効を支持するような結果になったようだ。

同社は販売提携先を探す考え。

リンク: 同社のプレスリリース(何故か同社のホームページにアクセスできないためPR Newswireのサイトをリンク)


【承認申請】


Dermavant、AhRモジュレータを乾癬治療薬として承認申請
(2021年6月3日発表)

Roivant SciencesグループのDermavant Sciences GmbH(デルマバント)は、tapinarofを軽中重症尋常性乾癬の治療薬として米国で5月26日に承認申請したと発表した。

アリル炭化水素受容体(AhR)調節剤で、局所クリーム製剤。一日一回、12週間塗布した第三相試験では、PGA反応率(医師による全体評価が0または1でベースライン比2段階以上改善した患者の比率)が一本は35.4%(偽薬群は6.0%)、もう一本は40.2%(同6.3%)だった。副次的評価項目のPASI75も偽薬比有意に上回った。主な有害事象は毛包炎、上咽頭炎、接触性皮膚炎など。

元々は12年にグラクソスミスクラインが子会社化した皮膚病用薬会社、Stiefelが09年にWelichem Biotechから中国周辺以外での開発商業化権を取得したもので、Roivantは18年にグラクソから権利譲渡を受けた。

日本は日本たばこが20年にデルマバントから独占開発商業化権を取得した。

リンク: デルマバントのプレスリリース


【承認審査・委員会】


ルキソリチニブの適応拡大申請も審査期間延長
(2021年6月11日発表)

インサイト(Nasdaq:INCY)は、6月8日、ノバルティスと共同開発販売しているJAK1/2阻害剤、Jakafi(ruxolitinib、和名ジャカビ)をステロイド不応の慢性GvHD(移植片宿主病)の治療に用いる適応拡大をFDAに申請しているが、審査期限が6月22日から9月22日に延期されたことを明らかにした。要請に基づき追加情報を提出したところ、審査期間延長の要件である承認申請内容の重大な変更と見なされた。

Jakafiは原発性/真性多血症後/本態性血小板血症後の骨髄線維症や、真性多血症自体、そして米国ではステロイド難治急性GvHDの治療に承認されている。GvHDは造血幹細胞や臓器移植後に移植された免疫細胞/臓器と患者自身の細胞/免疫細胞が戦ってしまう疾患で、急性は移植後100日以内に、慢性は100日以降に、発症することが多いようだ。急性GvHDの第3相は28日間治療して反応率を評価したたが、慢性GvHD試験は24週間の治療後に評価と、より長期の治療が行われ、結果は、反応率が49.7%と対照群(最良既存治療群)の25.6%を有意に上回った。

更に、6月11日、ruxolitinibのクリーム製剤をアトピー性皮膚炎の治療に用いる承認申請の審査期限も6月21日から9月21日に延期されたと発表した。

JAK阻害剤はリウマチ性関節炎など様々な疾患に開発・承認されているが、第1号であるファイザーのXeljanz(tofacitinib、ゼルヤンツ)の長期安全性試験で血栓性疾患や癌の懸念が裏付けられて以来、FDAが元々日欧と比べて慎重なスタンスを一層強化している。審査期間延長も続発しており、Xeljanzの強直性脊椎炎適応拡大や、アッヴィのRinvoq(upadacitinib、和名リンボック)のアトピー性皮膚炎と乾癬性関節炎適応拡大、インサイトがイーライリリーと共同開発販売しているOlumiant(baricitinib、和名オルミエント)やファイザーのPF-04965842(abrocitinib)の中重度アトピー性皮膚炎適応拡大と波紋が広がっている。

リンク: インサイトのプレスリリース(Jakafi、6/8付)
リンク: インサイトのプレスリリース(クリーム製剤、6/11付)


【承認】


Aduhelmの承認はナンセンスが一杯
(2021年6月7日発表)

FDAはバイオジェンが07年にNeurimmune Holding AGからライセンスしてエーザイと共同開発した点滴静注用抗アミロイドベータ抗体、Aduhelm(aducanumab-avwa)をアルツハイマー病治療薬として承認した。臨床成績が穴だらけであることや末梢中枢神経系薬諮問委員会(PCNSDAC)で11人の委員のうち10人が承認に反対し1人は棄権と誰も支持しなかったことなどから事前の期待が薄かったため、両社の株価が急騰した。

承認内容もサプライズで、本承認ではなく、深刻な疾患に用いる薬を臨床成績ではなく臨床検査値(代理マーカー)改善作用に基づいて承認する、加速承認となった。FDA側は、諮問委員会で、加速承認というカードは持っていない(考えていない)と述べていたようなので、180度の方向転換だ。一方、承認の根拠となる臨床試験では早期段階の、アミロイドプラクが確認された患者だけを組入れたのだが、FDAは限定せず、適応上は全てのアルツハイマー病に用いることが可能になった。

新薬を待ち望む患者や医師がいる一方で、エビデンスが確立したとは言えない薬の承認に反対する専門医も多いせいか、FDAは、CDER(小分子薬と一部のバイオ薬を担当する部署)のディレクター名でコメントを出すとともに、CDERの神経科学部門のディレクターがPCNSDAC議長に宛てて出した覚書も公開した。配慮は感じられるが、納得のいく説明はなく、PCNSDACで反対票を投じた委員のうち3名が抗議辞任したと報じられている。

加速承認の場合、市販後に改めて薬効確認試験を行って臨床的便益を挙証する義務があるので、ある種の妥協なのだろうが、話が余計ナンセンスになった。FDA側はアミロイドプラクを除去すれば認知症の進行抑制が期待される、と主張しているが、過去に多くの抗アミロイドベータ抗体やセクレターゼ阻害剤の長期大規模試験がフェールしたことを考えれば、むしろ、アミロイドプラクを減らしても認知症の進行抑制効果は小さいと考える方が科学的である。Aduhelmの臨床試験が組入れ対象を絞り込んだのは、過去の失敗を繰り返さないよう、効きそうな相手を厳選するためだ。そのことを無視して進行した患者も適応に含めたのは、Aduhelmに限らずあらゆる臨床試験に参加した医療従事者や患者の善意や熱意を踏みにじる暴挙と呼んでも過言ではないだろう。

市販後薬効試験の実現可能性も疑問だらけだ。Aduhelmが効かないと思っている患者や医師は参加しないだろう。効くと思っている患者や医師も、偽薬群に割付けられる可能性のある臨床試験には参加しないだろう。公的な高齢者医療制度であるメディケアが保険還付を拒否した場合は別だが。

抗アミロイドプラク抗体はARIA(アミロイド関連画像異常)というMRI画像上の変化が起きることがあり、Aduhelmの臨床用量は被験者の41%で発現した(偽薬群は10%)。症候性ARIAは各群24%と5%で、混乱や見当識障害、歩行障害、運動障害などが見られた。多くはやがて解消するようなので転帰が悪いとは言えないが、FDAは、6ヶ月の滴定期間中は臨床評価、目標である10mg/kgを投与する前と半年後にはMRI検査を行うよう推奨している。

報道によると、卸取得価格は平均で年56000ドルとのこと(体重により異なる)。MRI検査や点滴静注にも費用が掛かる。それで得られる臨床効果はどの程度かというと、第3相の一本では、CDR-SBがベースライン値の2.51から78週間で1.35上昇、偽薬群は1.74上昇で、差は統計的に有意だったが、臨床的に意味があるのかどうか、よくわからない。ADAS-Cog 14は22.246から3.763上昇と、偽薬群の5.162上昇より有意に小さかったが、これも良く分からない。アセチルコリン還元酵素(AChE)阻害剤は少なくとも一時的には症状が改善する。この違いが、症状の進んだ患者とそうでない患者の違いによるものなのかどうか、良く分からない。donepezilの軽度認知障害試験はフェールしたが、APOE4だけを組入れれば成功するのではと当時、思った。

何れにせよ、AduhelmがAChE阻害剤と比べ物にならないほど効くという、エビデンスとまでは言わなくても期待感すらない中で、値段だけが比べ物にならないほど高いのは、良薬の承認というよりはユダヤの商人という印象だ。

メーカー側は認知症患者をケアするための費用や家族の機会費用が減ることも考慮すれば高くないと主張しているが、それでは、幾ら減るのか、医療経済学的エビデンスはあるのか?認知症患者の余命は10年というデータを見たことがあるが、Aduhelmの臨床試験は10年追跡してケア費用抑制効果を検討するプロトコルになっているのか?定量的な裏付けなしに脅威だけを訴えるやり方は、癌の怖さを吹き込んだ後で文句を言わずにこの物質を飲めと迫るのと大差ない。

今回の承認は他のアルツハイマー病薬の開発トレンドにも波及するだろう。美味しいところを二社に独占させるわけには行かないとばかりに、お蔵入りになった抗体医薬やセクレターゼ阻害剤の再試験を行って低いハードルをクリアしようとする企業が続出するだろう。逆に、画期的な作用機序の新薬の研究開発が滞る可能性もありそうだ。悪貨は良貨を駆逐するからだ。

コロナ対策で多くの国の財政が悪化する中、お金の無駄のような新薬が広く使われるようになったら、高齢者医療福祉全般の縮小や税・保険料の引き上げが懸念される。全く、全国民にとって他人ごとではないのである。

追記:Endpoints Newsが行ったウェブアンケートで、1410件の回答のうち80%がAduhelm承認に同意しなかった。同意は15%、分からないが5%だった。加速承認という形を取ったことについては不同意69%、同意22%で、この妥協策がある程度効果があったことが窺われる。価格の妥当性については75%がNo、8%がYesだった。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: CDERディレクターのDr. Patrizia Cavazzoniのコメント
リンク: CDER神経科学部門ディレクターのBilly Dunnの諮問委員会会長宛て覚書(pdfファイル)
リンク: レーベル(pdfファイル)
リンク: Endpoints Newsのアンケート結果(無料登録が必要)



20価プレベナーが承認
(2021年6月8日発表)

ファイザーは、Prevnar 20(通称20vPnC)がFDAに承認されたと発表した。20価肺炎球菌結合型ワクチンで、18歳以上の成人が肺炎球菌による侵襲性疾患や肺炎を予防するために用いる。ACIP(ワクチン接種諮問委員会)が10月に接種勧奨を検討する予定。

Prevnar(和名プレベナー)は特定の血清型の肺炎球菌の抗原部位をジフテリア毒の一部と結合することで効果を増強した。米国では2000年に7価のPrevnar、11年に13価のPrevnar 13と、ほぼ10年毎にカバレッジを増やした新製品が承認されてきた。プレスリリースによると、今回のワクチンで米国で発症する侵襲性肺炎球菌性疾患の過半をカバーできるとのこと。

尚、今回新たにカバーされた8、10A、11A、12F、15BC、22F、33F型については免疫原性試験に基づく加速承認となっている。

23価ワクチンPneumovax(和名ニューモバックス)を販売するMSDも15価ジフテリア毒結合ワクチンであるV114(通称PCV-15)を承認申請中で、審査期限は7月18日。小児向けの開発はMSDのほうが先行しているようなので、開発競争はまだ決着していない。

リンク: ファイザーのプレスリリース



初のプラスミノゲン欠乏症用薬が承認
(2021年6月4日発表)

FDAは、Ryplazim(plasminogen, human-tmvh)を1型プラスミノゲン欠乏症(別称低プラスミノゲン血症)の初めての治療薬として承認した。ヒト由来の血液製剤で、2~4日毎に48週間投与した臨床試験では、ベースライン時点で病変のあった11人全員で5割以上改善した。

Liminal BioSciences(Nasdaq:LMNL)の子会社である Prometic Biotherapeuticsが承認申請したもの。優先審査バウチャを獲得した。Liminal社は採血事業を5月に売却し、Ryplazimを含む血漿分画製剤事業を取得するオプションをKedrion S.p.A社に供与している。貴重な薬なので、事業が宙に浮くことがないようにしてほしいものだ。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: Liminal社のプレスリリース



GLP-1作用剤の高用量版が体重管理薬として承認
(2021年6月4日発表)

FDAはノボ ノルディスクのWegovy(semaglutide)を肥満症(BMI≧30kg/m2)または一つ以上の体重関連疾患を併発するオーバーウェイト(27~30kg/m2)の体重管理用薬として承認した。カロリーを抑制する食事療法及び運動療法と併用する。肥満症全般に使える新薬が承認されたのは7年ぶり。

二型糖尿病薬Ozempicとして承認されている活性成分を一回に1mgではなく2.4mg投与する、週一回皮注用のGLP-1作用剤。糖尿病ではない患者を組入れた臨床試験では、ベースライン時点で平均105kgだった体重が偽薬調整後で12.4%低下した。糖尿病合併患者の試験では同じく100kgから6.2%低下した(なぜこちらのほうが効果が小さいのだろうか?semaglutide群は糖尿病薬を減量した患者が多かったはずで、それがインスリンやSU剤ならそれだけで体重減少効果が高まるはずだが...)。

警告事項はGLP-1作用剤のクラスレーベルである甲状腺C細胞腫(枠付警告)や膵炎、胆石など。インスリンやインスリン分泌刺激薬を併用する場合は低血糖症を回避するためにこれらの薬の減量を検討する。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: ノボのプレスリリース



天然痘治療薬が承認
(2021年6月4日発表)

FDAはChimerix(Nasdaq:CMRX)のTembexa(brincidofovir)を天然痘治療薬として承認した。新生児から成人まで適応になる。7日間おいて2回、経口投与する。天然痘はWHOが1980年に根絶を宣言したが、生物兵器として使われる可能性もあるため、HHS(米国保健福祉省)傘下のBARDA(生物医学先端研究開発局)が支援して開発した。患者はいないので、FDAのアニマルルールに則り、類似したウイルスを動物に投与して死亡率削減効果を確認。安全性はサイトメガロウイルス(CMV)感染症試験などのデータを援用した。

有害事象は下痢や悪心嘔吐、腹痛など。FDAはCMV感染症予防試験で死亡率が15.5%と対照群の10.1%より数値上高かったことを指摘、長期間投与しないよう注意した。

抗ウイルス薬cidofovirに脂肪を結合して力価を向上するとともに経口投与を可能にしたもの。in vitroでヒトに感染する二重連鎖DNAウイルス全てに抗ウイルス活性を示したとのことで、アデノウイルス感染症やエボラウイルス疾患などに用いられたこともある。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: Chimerixのプレスリリース






今週は以上です。

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