2015年8月16日

2015年8月16日号


【ニュース・ヘッドライン】


  • ABT-199の承認申請用試験が成功
  • オプジーボの適応拡大が遅延


【新薬開発】


ABT-199の承認申請用試験が成功
(2015年8月12日発表)

アッヴィとロシュは、ABT-199(venetoclax)の承認申請用第二相試験が成功したと発表した。再発性難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)で17p欠損を持つ患者107人を組入れた単群試験で、反応率が所定の要件を満たした。アッヴィが年末までに欧米で承認申請する予定。

ABT-199はbcl-2阻害剤。bcl-2は細胞のアポトーシスを抑制する機能を持ち、CLLでは過剰発現が見られる。Bcl-2をアンチセンスする小分子薬、Genasense(oblimersen)が第三相試験で効果の兆しを示したが、開発企業が再試験を行わず規制当局とのネゴで承認を目指したことが災いし、患者の期待を裏切る結果になった。

アッヴィとジェネンテック/ロシュは07年にbcl-2阻害剤とVEGFR阻害剤の共同開発提携を結んでおり、ABT-199もその対象のようだ。

17p欠損は17番染色体の短腕の欠損で、再発性難治性CLLの30~50%で見られ、メジアン生存期間3年以下と予後が悪い。アッヴィが買収したファーマサイクリクスがジョンソン・エンド・ジョンソンと共同開発したImbruvica(ibrutinib)が14年に17p欠損型を含むCLLに承認されている。

リンク: アッヴイのプレスリリース
リンク: ロシュのプレスリリース


【承認審査・委員会】


オプジーボの適応拡大が遅延
(2015年8月12日発表)

BMSはOpdivo(nivolimab、和名オプジーボ)を末期黒色腫の一次治療に用いる適応拡大をFDAに承認申請しているが、審査期限が8月27日から11月27日に延期されと発表した。

審査期間延長制度は、不都合なデータを審査期限直前に提出し時間切れ承認を狙う不埒な手法に対抗するために導入された。FDAは、申請内容の主要な変更に該当する情報が期限まで3か月以内の時期に追加提出された場合、最大3ヶ月、延長できる。

今回のケースは、BMSが野生braf型に関するデータを提出したことが主要変更とみなされたようだ。第三相試験ではbraf阻害剤が適応になるbraf V600変異型は除外した。従って、承認もV600変異以外に限定するのが自然だが、V600変異型を組入れた試験では有効性が示唆されているので、もし有効と推測できるならば、限定しない方が医師や患者に親切である。その後の試験でもし無効と判定されたら改めて限定すればよい。

一次治療試験ではないが、JAMA Oncology誌の7月号に掲載された4本440人の試験の事後的プール分析を見ると、野生型に対する反応率は34.6%、変異型は29.7%でそれほど変わらなかった。メジアン反応持続期間も各14.8ヶ月と11.2ヶ月と大差ない。一次治療でも同様ならば、野生braf型に限定せずに承認される可能性がある。対象患者が二倍に増えることになる。この場合、braf変異を調べないことも可能になるので、結果的に、検査アッセイとbraf阻害剤の需要が低下するだろう。

リンク: BMSのプレスリリース
リンク: Larkinらのプール分析(JAMA Oncology、オープンアクセス)


今週は以上です。

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