2016年11月27日

2016年11月27日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • GSK、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の適応拡大試験成功 
  • イーライリリーのsolanezumabはやっぱりフェール 
  • GSK、COPDのトリプルコンビを承認申請 
  • 抗CD38抗体、多発骨髄腫二次治療としても承認 
  • ランタス・リキスミア・プリミックスが承認 
  • 武田のNinlaroがEUで承認 
  • オプジーボがEUでcHLに承認 


【新薬開発】


GSK、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の適応拡大試験成功
(2016年11月23日発表)

グラクソ・スミスクラインは、Nucala(mepolizumab、和名ヌーカラ)を難治性好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の治療に用いる適応拡大試験が成功したと発表した。ステロイド治療を受けている患者に300mgを4週間毎に皮注して、寛解(Birmingham Vasculitis Activity Scoreが0かつステロイド使用量がprednisolone換算で4mg/日以下)の導入効果を比較したもの。

共同主評価項目の一つである24週間以上寛解率が28%(偽薬群は3%)、もう一つの第36週且つ第48週寛解率が32%(同3%)と、何れも有意な差があった。GSKは17年に適応拡大申請する考え。

EGPAは好酸球が著しく増加して血管炎が発生し、様々な臓器・器官に障害を生じる。多くの患者が喘息症や副鼻腔ポリープ、好酸球増加症を併発している。有病率は百万人につき14~45人。難病情報センターによると日本で治療を受けている患者数はおよそ1900人と推定されている。

リンク: GSKのプレスリリース

イーライリリーのsolanezumabはやっぱりフェール
(2016年11月23日発表)

イーライリリーは、LY2062430(solanezumab)の第三相軽度アルツハイマー病試験がフェールしたと発表した。残っている試験は発症前の高リスク患者を対象としたものだけとなった。

solanezumabはアミロイド・ベータ(11-20)を標的とするヒト化モノクローナル抗体。アルツハイマー病患者の脳にはアミロイド・ベータの蓄積が見られること、壮年期に発症する若年性アルツハイマー病の患者の多くがアミロイド・プリカーサー・プロテイン(APP)やそれを切り出す酵素の遺伝子に変異を持っていることなどから、アミロイド・ベータを防止・除去すれば加齢性アルツハイマー病を予防・治療できると考える、アミロイド仮説に基づく開発品の一つだ。

7年前に軽中度アルツハイマー病の治療で第三相入り。二本ともフェールしたが、最初に終了した試験では軽度患者(MMSEで20~26)の事後的サブグループ分析で認知機能評価スコアであるADAS-cog14の悪化を有意に遅らせる可能性が浮上したため、3年前に改めて軽度患者だけの第三相を開始した。組入れ数は最初の二本の軽度患者数合計と大差ないが、MRIまたはCSF検査でアミロイドベータが確認された患者だけに絞り込む工夫を行った。

結果は、偽薬群との差のp値が0.095となり、フェールした。やはり、事後的サブグループ分析は当てにならない。相互に独立した複数の試験で結果が再現されることが重要だ。この試験の結果は、12月8日に CTAD(Clinical Trials on Alzheimer's Disease)のミーティングで発表される予定。ウェブキャストも開催されるようだ。

上記のように、若年性アルツハイマー病はAPPやセクレターゼの遺伝子変異が見られるので、アミロイド・ベータ治療薬に適している可能性がある。但し、全員が数年内に発症するわけではないので、臨床試験で予防効果を検出するのは簡単ではないだろう。最後の戦場である予防試験も楽観できないだろう。

リンク: イーライリリーのプレスリリース

【承認申請】


GSK、COPDのトリプルコンビを承認申請
(2016年11月21日発表)

グラクソ・スミスクラインは、三種類の活性成分を配合したClosed Triple CombinationをCOPD治療薬として米国で承認申請した。欧州でも数週間内に申請する予定。

COPDの増悪予防は患者の反応を見ながら薬を増量・追加していく。今回のトリプルコンビ薬は、コルチコイドのfluticasone furoate、長期作用性ムスカリン受容体拮抗剤のumeclidinium、そして長期作用性ベータ2作用剤のvilanterolを配合したもので、Ellipta吸入器で一日一回、吸入する。夫々の成分や二剤配合薬は既に実用化されているので併用可能だが、1個で済めば手間が省ける。

Innoviva(Nasdaq:INVA)との共同開発プロジェクトの対象で、GSKは売上の6.5~10%をロイヤルティとして支払い、Innovivaはその85%を14年にスピンアウトしたTheravance Biopharma(Nasdaq:TBPH)に支払う。

リンク: GSKのプレスリリース

【承認】


抗CD38抗体、多発骨髄腫二次治療としても承認
(2016年11月21日発表)

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、Darzalexを多発骨髄腫の二次治療に用いる適応拡大がFDAに承認されたと発表した。セルジーンのRevlimid(lenalidomide)またはジョンソン・エンド・ジョンソン/武田薬品のVelcade(bortezomib)をdexamethasoneと併用する、RdレジメンまたはVdレジメンと併用する。

Rdレジメンに追加した二次治療試験では、Rdレジメンだけの群と比べてPFS(無進行生存期間)のハザードレシオが0.37(95%信頼区間0.27~0.52)、Vdレジメンに追加した三次治療試験ではVdだけと比べて0.39(0.28~0.53)だった。

DarzalexはCD38を標的とする完全ヒト化抗体。15年に多発骨髄腫の四次治療薬として単剤投与することが米国で承認された。デンマークのGenmab (Nasdaq Copenhagen:GEN)からライセンスしたもの。

リンク: JNJのプレスリリース

ランタス・リキスミア・プリミックスが承認
(2016年11月21日発表)

サノフィは、持効性インスリンLantus(insulin glargine、和名ランタス)とGLP-1作用剤Lyxumia(lixisenatide、和名リキスミア)の活性成分を配合した固定比率合剤、Soliquaが米国で二型糖尿病薬として承認されたと発表した。Retrophinから2億4500万ドルで取得した優先審査バウチャーを利用して早期承認取得を図ったが、結局、承認まで11ヶ月かかった。

遅延の理由は用量を調整できないこと。インスリンは血糖値に応じて用量を変えるが、GLP-1作用剤は滴定の余地が小さく増やすと副作用リスクだけが高まってしまう。サノフィはインスリンとGLP-1作用剤の比率が異なる三種類の規格を用意。欧州ではCHMPがglargine 100単位/ml、lixisenatideは33mcg/mlと50mcg/mlの二種類に肯定的意見を出したところだが、FDAは取り違え事故を懸念したのか33mcgしか承認しなかった。

lixisenatideはZealandから開発販売権を取得したもの。

リンク: サノフィのプレスリリース

武田のNinlaroがEUで承認
(2016年11月24日発表)

武田薬品は、Ninlaro(ixazomib cirate)がEUで再発性多発骨髄腫に承認されたと発表した。同社のVelcade(bortezomib)と同じプロテアソーム阻害剤だが経口投与できることが特徴。

リンク: 武田のプレスリリース

オプジーボがEUでcHLに承認
(2016年11月22日発表)

BMSは、Opdivo(nivolumab、和名オプジーボ)をクラシック・ホジキン型リンパ腫の治療に用いることがEUで承認されたと発表した。自家造血幹細胞移植とAdcetris(brentuximab vedotin)による治療に反応しなくなった患者に用いる。臨床試験ではORR(客観的反応率)が66%だった。

リンク: BMSのプレスリリース



今週は以上です。

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