2018年6月17日

2018年6月17日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • HIV/AIDSの二剤併用療法、第三相が成功 
  • アミロイド仮説がまたまたフェール 
  • ガーダシル9の対象年齢拡大申請 
  • 非営利団体の熱帯病治療薬がFDAに承認 
  • MSD、キイトルーダの二つの適応拡大が承認 
  • ロシュ、アバスチンが術後付随療法に承認 


【新薬開発】


HIV/AIDSの二剤併用療法、第三相が成功
(2018年6月14日発表)

ヴィーブヘルスケアは、HIV/AIDS患者の最初の抗ウイルス療法としてdolutegravirとlamivudineの二剤だけを用いた第三相試験が二本とも成功したと発表した。年内に承認申請する考え。

HIV/AIDSの治療は複数の核酸系逆転写阻害剤とそれ以外の作用機序の抗ウイルス剤を併用する、HAART(highly active anti-retroviral therapy)が主流だ。多剤併用はピルバーデンが重いが、プロテアーゼ阻害剤以外では、3~4種類の薬剤の合剤が実用化され、一日1~2回、1錠/1カプセルずつ服用するだけで足りるようになった。

核酸系逆転写阻害剤は耐性ウイルスが選択されるのを防ぐため複数併用するのが常識だが、ヴィーブは二剤併用療法の開発に相次いで成功した。最初がインテグラーゼ阻害剤dolutegravirとジョンソン・エンド・ジョンソンの非核酸系逆転写阻害剤であるrilpivirineを配合したJuluca。17年に米国で、今年5月にはEUでも、HAARTが奏功しウイルス抑制に成功した患者の維持療法として承認された。

第二弾が今回のdolutegravirとlamivudine。第三相試験では対照群に設定されたdolutegravirとギリアドの核酸系逆転写阻害剤であるemtricitabineおよびtenofovir disoproxil fumarate(TDF)の三剤併用群と比べて、奏効率が非劣性だった。二剤で済むなら忍容性の面で都合がよい。

ヴィーブはグラクソ・スミスクラインと塩野義製薬、ファイザーの合弁会社。dolutegravirは塩野義が創製したもの。lamivudineはグラクソ・スミスクラインが1990年代に発売した核酸系逆転写阻害剤の代表的な製品。

リンク: ヴィーブのプレスリリース

アミロイド仮説がまたまたフェール
(2018年6月12日発表)

アストラゼネカとイーライリリーは、両社が共同開発しているBACE阻害剤、lanabecestatの第三相アルツハイマー病試験三本の打ち切りを決めた。アルツハイマー病の比較的早い段階の患者を組入れた試験と軽度アルツハイマー病の試験の独立データ監視委員会が無益性を認定したため、延長試験と合わせて、繰上げ終了する。

BACE阻害剤はアミロイド・ベータの切り出しに係る酵素を阻害する。抗アミロイド・ベータ抗体と同様に、アルツハイマー病の患者の脳にアミロイド・ベータの蓄積が見られることに注目したアミロイド仮説にの産物だが、数多くのコンパウンドの第三相試験がフェールしており、信憑性は低下している。

リンク: 両社のプレスリリース


【承認申請】


ガーダシル9の対象年齢拡大申請
(2018年6月13日発表)

MSDは、子宮頸がんワクチンGardasil 9の対象年齢を現在の9~26歳の男女から45歳まで拡大する申請を米国で行い、受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は今年10月6日。

Gardasilは、将来、ヒト・パピローマ・ウイルスに感染した時の子宮頚癌や肛門癌、尖圭コンジローマのリスクを削減するワクチン。初代のGardasilは4種類、Gardasil 9は9種類のパピローマ・ウイルスをカバーする。癲癇発作に似た失神が起きることがあり、接種後は15分間様子を見る必要がある。酵母やGardasilに過敏反応する患者は禁忌。

リンク: MSDのプレスリリース


【承認】


非営利団体の熱帯病治療薬がFDAに承認
(2018年6月13日発表)

Medicines Development for Global Health(MDGH)は、WHOの熱帯病医学特別研究訓練プログラム(TDR)と共同開発したオンコセルカ症(河川盲目症)の治療薬がFDAに承認されたと発表した。非営利団体としては初めて、熱帯病優先審査バウチャーを取得した。

この病気は黒バエが仲介して寄生虫が人体に侵入、皮膚のかゆみや結節、そして、失明に至る障害を引き起こす。今回承認されたmoxidectinは動物の寄生虫駆除剤として長年の使用歴がある。米国での承認を裏付けとして、患者が集中するアフリカ諸国で承認取得・供給することになる。

リンク: MDGHのプレスリリース

MSD、キイトルーダの二つの適応拡大が承認
(2018年6月13日発表)

MSDは、FDAがKeytruda(pembrolizumab、和名キイトルーダ)の二つの適応拡大を承認したと発表した。どちらも抗PD-1抗体で初。

一つはPMBCL(原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫)の成人小児の三次治療。PMBCLは米国の非ホジキン型リンパ腫の2~4%を占める。自家造血幹細胞移植を経験済み、または、不適な患者を組入れた第二相試験で、ORR(客観的反応率)が45%、完全反応は11%だった。深刻有害事象の発生率は26%、有害事象による治験離脱率は8%だった。

成人は200mg、小児は2mg/kg(上限200mg)を三週毎に点滴静注する。緊急細胞減少療法が必要な患者は禁忌。

上記試験のデータに基づきブレークスルーセラピー指定を受け、優先審査されたが当初の審査期限よりは遅れた。

もう一つは子宮頚癌の二次治療。PD-L1発現検査でCPS(Combined Positive Score)が1以上が適応になる。小規模な単群試験でORRが14.3%、完全反応は2.6%だった。尚、CPS<1ではORRはゼロだった。

KeytrudaのPD-1発現検査はこれまでの適応ではTPS(Tumor Proportion Score)が用いられてきたが、今回は腫瘍関連免疫細胞における発現状況も評価するCPSが採用された。検査キットはTPSと同じ(PD-L1 IHC 22C3 pharmDx)であるようだ。尚、EUでは白金薬不適末期転移性尿路上皮癌の一次治療に用いる場合もCPSで10以上が条件となっている。

リンク: FDAのプレスリリース(PMBCL)
リンク: MSDのプレスリリース(同)
リンク: 同(子宮頚癌承認、6/12付け)

ロシュ、アバスチンが術後付随療法に承認
(2018年6月13日発表)

ロシュは、Avastin(bevacizumab)を卵巣癌の術後付随療法に用いる適応拡大がFDAに承認されたと発表した。ステージIII/IVの患者に一次的腫瘍減量手術を行った後、carboplatinとpaclitaxelの標準的レジメンと併用し、更にモノセラピーで総計で22サイクル施行する。

承認の根拠となったGOG-0218試験では、担当医評価によるPFS(無進行生存期間)がメジアン18.2ヶ月と、carboplatin・paclitaxelだけの群の12.0ヶ月を上回り、ハザードレシオは0.62、統計的に有意だった。

リンク: ロシュのプレスリリース






今週は以上です。

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2018年6月10日

2018年6月10日


【ニュース・ヘッドライン】

  • ASCO:MSD、キイトルーダのデータ続々 
  • ASCO:PARP阻害剤は前立腺癌にも有効? 
  • ASCO:アストラゼネカ、抗CD22ADCのデータを発表 
  • ファイザー、PARP阻害剤を承認申請 
  • ロシュ、RituxanがPVに適応拡大 
  • ジェネンテック、bcl-2阻害剤が併用療法も承認 
  • タグリッソ、EUで一次治療が承認 
  • アムジェン、プラリアがEUで適応拡大 


【新薬開発】


ASCO:MSD、キイトルーダのデータ続々
(2018年6月3日発表)

MSDのKeytruda(pembrolizumab、和名キイトルーダ)はBMS/小野薬品のOpdivo(nivolumab、和名オプジーボ)と激しい首位争いをしている。臨床開発はOpdivoが先行したが、Keytrudaが追い抜き抗PD-1抗体の承認第一号に。Opdivoは適応拡大を進めて年商で首位に立ったが、非小細胞性肺癌試験の成否で明暗が分かれ、Keytrudaが再び首位に立った。

BMSは同社のYervoy(ipilimumab)との併用や、Tumor Mutation Burdenという新しいバイオマーカーの適用で差別化を図っているが、非小細胞性肺癌に関しては今のところ、裏目に出てしまった。

今年のASCO臨床腫瘍学会では、Keytrudaの第三相試験の結果が続々と発表され、耳目を集めた。他のPD-1/PD-L1阻害剤のデータも数多く発表されたのだが、印象に残るデータ、忘れてはいけない研究成果はKeytruda一色に染まっている。

まず、KEYNOTE-407試験。転移性扁平上皮性非小細胞性肺癌の一次治療試験で、carboplatinとpaclitaxel(またはnab-paclitaxel)の標準療法と更にKeytrudaを追加する三剤併用を比較したところ、主評価項目の全生存期間のハザードレシオは0.64で有意な差があった。各群のメジアン値は各11.3ヶ月と15.9ヶ月だった。

PD-L1発現と薬効の関連性はどうか?MSDが採用しているTPSが1%未満のサブグループではハザードレシオ0.61、1~49%では0.57、50%以上では0.64と何れも良い結果が出た。但し、50%以上のデータは95%上限が1.10なので有意ではない。被験者全体に占める各サブグループの比率は35%、37%、26%となっており、症例数が少ないことが影響したのかもしれない。

PFS(第三者査読後)のハザードレシオは0.56、ORR(客観的反応率)は各群38%と58%で、いずれも三剤併用群が有意に優れていた。一方、治療関連有害事象による治験離脱は12%対23%で増加。治療関連有害事象で死亡した患者は6人(2.1%)対10人(3.6%)となった。

6月3日号で取り上げたロシュのTecentriq(atezolizumab、和名テセントリク)のIMpower131試験のデータと見比べると、どちらも主目的を達成したが、Tecentriqは少なくとも現時点では未だ全生存期間延長効果が確認されていない。中間解析におけるメジアン生存期間は14.0ヶ月で標準療法群を0.1ヶ月上回っただけであることが判明した、PFSでは有意差があったがメジアン値の群間差は1ヶ月足らずだ。オープンレーベル試験なので担当医評価に基づくPFSだけではエビデンスとしての頑強性に欠ける。データの量、質、共に、Keytrudaに軍配を上げざるを得ない。

次に、KEYNOTE-042試験は局所進行性/転移性非小細胞性肺癌の一次治療においてcarboplatinとnab-paclitaxelの併用とKeytrudaのモノセラピーを比較したもの。TPSが1%以上の患者が対象で、EGFR阻害剤やALK阻害剤が適応になる患者は対象外。主評価項目は全生存期間で、TPSの閾値に応じてシーケンシャルな解析が行われた。

まず、TPS≧50%サブグループでは、ハザードレシオ0.69で有意、メジアンは各12.2ヶ月対20ヶ月。このタイプに対する一次治療モノセラピーは米国では2年前に承認されているが、その根拠となった042試験のハザードレシオは0.6なので、まあまあ再現された。次に、TPS≧20%では0.77で有意、各13.0ヶ月と17.7ヶ月。最後に、intent-to-treat(TPS≧1%)は0.81で有意、各12.1ヶ月と16.7ヶ月だった。

ところが、探索的に行われたTPSが1~49%のサブグループ解析は、ハザードレシオが0.92で95%信頼区間が1を跨いでいた。042試験の成功が発表された時は対象患者数が増加すると期待したが、実現しないかもしれない。

非小細胞性肺癌の一次治療で、治験成績が一番良いのはKeytrudaと化学療法の三剤併用だ。TPSが低い患者にも有効なので、忍容できそうな患者なら第一選択、もし化学療法不適でもTPS≧50%ならKeytrudaモノセラピー、という使い分けになりそうだ。正し、EGFRやALKの活性化変異のある癌はEGFR阻害剤やALK阻害剤が第一選択。

尚、この試験における治療関連有害事象死亡は各群14人と13人で大差なかった。全割付数は1274例なので、2%強に相当する。

次に、KEYNOTE-427試験。第二相の末期腎細胞腫一次治療試験で、ORR(総合反応率)は38%。PD-L1高発現サブグループでは50%、中高リスクグループでは42%だった。末期腎細胞腫ではOpdivoがモノセラピーで二次治療に、Yervoy併用で一次治療に、承認されているが、後者のORRは41%なので、モノで38%なら悪くない。尤も、免疫強化療法の真価を測るためにはORRではなく全生存期間を見る必要がある。単群試験ではエビデンスとして弱いので、対照試験のデータを見てみたい。

腎細胞腫では、KEYNOTE-526試験のデータが目を引く。MSDが大金を賭けて共同開発販売権を取得した、エーザイのLenvima(lenvatinib)と併用したP1b/2バスケット試験だ。腎細胞腫コフォートのORR(独立放射線学的査読後)が66%と、30例ほどの小規模なデータではあるものの、Opdivo・Yervoy併用よりだいぶ見栄えのする数字が出ている。

一方で、有害事象による治験離脱が26%と多いのは気になるところ。超強力な抗癌剤を使って癌を殺すことに成功しても患者が死んだら意味がない。ORRのデータしかない場合は、副作用リスクにも十分に目配りする必要がある。

Lenvima・Keytruda併用は末期腎細胞腫用途でFDAのブレークスルー・セラピー指定を受けている。第三相は腎細胞腫一次治療と子宮内膜症二次治療の二本が治験登録されている。

リンク: MSDのプレスリリース(407試験)
リンク: 同(042試験)
リンク: 同(427試験)
リンク: エーザイとMSDのプレスリリース(Keytruda・Lenvima併用試験)

ASCO:PARP阻害剤は前立腺癌にも有効?
(2018年6月4日発表)

MSDは、Keytrudaの併用レジメン開発に際して、他社と積極的に提携している。ASCOでは上記のLenvima併用試験データのほかに、アストラゼネカのLynparza(olaparib)の第二相前立腺癌モノセラピー試験の結果も発表された。

LynparzaはPARP阻害剤で、BRCA変異型の卵巣癌や乳癌に承認されている。今回の試験は、転移性去勢抵抗性前立腺癌でdocetaxelによる治療歴を持つ患者142人を、abiraterone(JNJのZytiga)とprednisoneを併用する対照群と更にLynparzaを用いる群の放射線学的PFSを比較したもの。HRR(homologous recombination repair:相同組換え修復)ステータスは不問。

結果は、各群のメジアン値は8.2ヶ月と13.8ヶ月、ハザードレシオは0.65となり、有意な差があった。一方全生存の解析は各20.9ヶ月と22.7ヶ月、ハザードレシオ0.91で有意差なし。また、有害事象による治験離脱は10%対30%で3倍。深刻な心血管イベントは1対7で7倍だった。報道によると、致死的有害事象の発生率も1%対6%、6倍であった模様。

Lynparzaは12年前にKuDOS社を買収して入手したコンパウンドで、本命はBRCA変異乳癌だった。前立腺癌に有効というのは初耳で、驚いた。もっと大規模な試験で便益と危険のバランスが適切かどうか、確認する必要がありそうだ。

リンク: 両社のプレスリリース

ASCO:アストラゼネカ、抗CD22ADCのデータを発表
(2018年6月4日発表)

アストラゼネカの子会社のインターミューンは、CAT-8015(moxetumomab pasudotox)を有毛細胞白血病の三次治療薬として米国で承認申請し、4月に受理されたが、根拠となった第三相試験のデータがASCOで発表された。再発性/難治性の80人を組入れた単群試験で、主評価項目の持続的(血液学的寛解が180日超持続)完全反応率が30%、客観的反応率は75%だった。

治療関連有害事象による治験離脱は、溶血性尿毒症症候群によるものが5%、毛細管漏出症候群3%、血清クレアチニン上昇3%で発生した。

有毛細胞腫で高発現するCD22に結合してインターナライズし、内部で細胞毒を放出する、抗体薬物複合体(ADC)。米NCI(国立がんセンター)から開発権を取得した会社が英国の代表的なバイオ開発企業だったCambridge Antibody Technology(CAT)に権利を譲渡、そのCATをアストラゼネカが06年に買収という経緯だ。今回の第三相のスポンサーはNCIなので、アストラゼネカだけでなくNCIもネバーギブアップだったことになる。

抗CD22ADCというと、ファイザーのBesponsa(inotuzumab ozogamicin)が再発性難治性前駆B急性リンパ性白血病用薬として日米欧で承認されている。英国の代表的なバイオ開発会社であったセルテックの創製で、セルテックはUCBが買収、共同開発していたワイスはファイザーが買収と、変遷した。

ウインブルトンと同じで、表舞台に立つことができなくても、裏舞台で戦いを続けるのが英国だ。

リンク: アストラゼネカのプレスリリース


【承認申請】


ファイザー、PARP阻害剤を承認申請
(2018年6月7日発表)

ファイザーは、talazoparibを欧米で承認申請し受理されたと発表した。米国は優先審査を受け、審査期限は今年12月。

EMBRACA試験に基づくもので、生殖細胞性BRCA変異を持ち、トリプルネガティブまたはher2陰性の局所進行性転移性乳癌431人を組入れて1mgを一日一回、経口投与したところ、PFSがメジアン8.6ヶ月と対照群(capecitabine、eribulin、gemcitabine、vinorelbineの中から医師が選んで投与)の5.6ヶ月を上回り、ハザードレシオは0.54、有意だった。

16年に買収したメディベーション社が前年にBioMarin社からインライセンスしたもの。BRCA変異乳癌は、アストラゼネカのLynparza(olaparib)がタクサン系の薬による治療歴を持つher2陰性乳癌に用いることが承認されている。他にも複数が卵巣癌に承認されており、乳癌でも競争激化の方向にある。

リンク: ファイザーのプレスリリース


【承認】


ロシュ、RituxanがPVに適応拡大
(2018年6月8日発表)

ロシュは、Rituxan(rituximab)を中重度尋常性天疱瘡(PV)の一次治療に用いる適応拡大がFDAに承認されたと発表した。PVは10万人に3人の希少疾患で、新薬は60年ぶりとのこと。フランスで実施された臨床試験では、24ヶ月時点の完全寛解率が90%と、多くの患者が経口ステロイドを止めることができた。経口ステロイドだけを用いた群は28%だった。

リンク: ロシュのプレスリリース

ジェネンテック、bcl-2阻害剤が併用療法も承認
(2018年6月8日発表)

ロシュグループのジェネンテックは、Venclexta(venetoclax)をRituxan(rituximab)と併用で慢性リンパ性白血病(CLL)や小リンパ球性リンパ腫(SLL)の二次治療に用いる適応拡大がFDAに承認されたと発表した。bcl-2阻害剤で、米国ではアッヴィと共同開発販売、米国外はアッヴィが開発販売する。16年に、欧米で、モノセラピーがCLL・SLLの二次治療薬として承認された。

リンク: ジェネンテックのプレスリリース

タグリッソ、EUで一次治療が承認
(2018年6月8日発表)

アストラゼネカは、Tagrisso(osimertinib、和名タグリッソ)をEGFR活性化変異陽性非小細胞性肺癌の一次治療に用いることがEUで承認されたと発表した。

80mgを一日一回投与した適応拡大試験で、メジアンPFSが18.9ヶ月とTarceva(erlotinib)またはIressa(gefitinib)を投与した群の10.2ヶ月を上回り、ハザードレシオは0.46、有意な差があった。グレード3以上の有害事象の発生率や有害事象治験離脱率は対照群より数値上、低かった。

TagrissoはEGFR阻害剤。TarcevaやIressaによる治療が無効になった患者でしばしば見られるT790M変異型に対する効果が高く、この用途で15年に米国で、16年には日本や欧州でも承認された。

リンク: アストラゼネカのプレスリリース

アムジェン、プラリアがEUで適応拡大
(2018年6月8日発表)

アムジェンは、Prolia(denosumab、第一三共が販売する日本でのブランド名はプラリア)の適応拡大がEUで承認されたと発表した。グルココルチコイド誘導性骨粗鬆症で骨損壊のリスクが高い患者の予防に用いる。

造骨細胞の活性を制御するRANKLに結合する抗体医薬で、閉経後骨粗鬆や癌の骨転移などに承認されている。骨損壊予防では欧州で三種類目の承認となった。

リンク: アムジェンのプレスリリース








今週は以上です。

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2018年6月3日

2018年6月3日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • ASCO:テセントリク、肺癌一次治療試験成功 
  • ASCO:PI3Kアルファ阻害剤の第三相が成功したが... 
  • アストラゼネカ、ファセンラのCOPD試験は三連敗に 
  • JNJ、イムブルビカをWM血症の一次治療薬として適応拡大申請 
  • カタリスト社、LEMS用薬を承認申請 
  • ノバルティス、レボレードを再生不良性貧血の一次治療薬として適応拡大申請 
  • 田辺三菱、ALS用薬を欧州でも承認申請 
  • CHMPがトランスサイレチン・アンチセンス薬などの承認に肯定的意見 
  • イーライリリー、FDAがオルミエントをやっと承認したが... 
  • ゼルヤンツ、潰瘍性大腸炎に承認 
  • クロビス、RubracaがEUで承認 
  • ロシュ、パージェタによるアジュバント療法がEUで承認 
  • EU、膀胱癌におけるキイトルーダとテセントリクの適応を限定 


【新薬開発】


ASCO:テセントリク、肺癌一次治療試験成功
(2018年6月2日発表)

ロシュは、抗PD-L1抗体Tecentriq(atezolizumab、和名テセントリク)の第三相非小細胞性肺癌一次治療化学療法併用試験二本の結果を発表した。一本は扁平上皮性だけを組入れたIMpower131試験で、ASCO米国臨床腫瘍学会でデータ発表された。もう一本は扁平上皮以外を組入れたIMpower130試験で、成功したことだけがプレスリリースで公表された。

非小細胞性肺癌の一次治療標準療法併用試験は扁平上皮型だけ別にするのが一般的だ。標準療法の一つであるAlimta(pemetrexed)が有効でないからだ。131試験の場合は、carboplatinとAbraxane(nab-paclitaxel)を併用するC群(以下、標準療法群)と、更にTecentriqを追加するB群(三剤併用群)を比較した。このほかに、通常のpaclitaxelとcarboplatin、そしてTecentriqを併用するA群も設定されている。

主評価項目はB群とC群のPFS(無進行生存期間)と全生存期間の二つ。多重性を回避するために、A群の解析は共同主評価項目が両方成功するのを待って実施する。

ASCOではPFS解析が発表された。メジアン値は標準療法群が5.6ヶ月、三剤併用群は6.3ヶ月とそれほど大きな差はないが、ハザードレシオは0.71(95%信頼区間0.60-0.85)、ログランクp=0.0001なので、免疫療法らしくディケイが長い。腫瘍細胞と浸透免疫細胞のPD-L1発現状況との関連性は、高発現サブグループではハザードレシオ0.44、低発現は0.70、一方、陰性サブグループは0.81で有意差なしとなっている。

一方、全生存解析はまだ中間解析で有意差が出ていない。この試験盲検ではなく、PFS判定の査読も行われていない。深刻な治療関連有害事象の発生率が標準療法群の10%から三剤併用は20%と倍増したことも懸念材料だ。従って、全生存の解析が成功するまで、本試験が成功したとは、名実ともに、言えないだろう

130試験は、carboplatinとAbraxaneの併用を標準療法として更にTecentriqを追加する効果を検討した。主評価項目は、EGFR阻害剤やALK阻害剤が適応になるEGFR/ALK変異型を除外したユニバースのPFSと全生存期間。どちらも成功した。

非扁平上皮性非小細胞性肺癌一次治療では、carboplatinとpaclitaxel、そしてAvastinの三剤併用を標準療法と見做して更にTecentriqを追加したIMpower150も成功している。paclitaxel系を好む医師や患者には朗報となる。一方、Alimtaを好む医師・患者にはそれほどでもないだろう。

リンク: ロシュのプレスリリース(131試験について)
リンク: 同(130試験について、5/29付)

ASCO:PI3Kアルファ阻害剤の第三相が成功したが...
(2018年6月2日発表)

ロシュ・グループのGDC-0032(taselisib)の最初の第三相試験の結果もASCOで発表された。PFSが有意に伸びたものの忍容性があまりよくなく、承認申請を見送る可能性がありそうだ。

GDC-0032はPI3K(phosphoinositide-3 kinase)阻害剤だがアルファ・アイソフォーム選択的であることがPI3Kガンマ阻害剤であるギリアドの慢性リンパ性白血病薬、Zydelig(idelalisib)や、ロシュのPI3K阻害剤、RG7321/GDC-0941(pictilisib)との違いだ。

今回のおSANDPIPER試験は、エストロゲン受容体陽性でher2陰性の局所進行性/転移性乳癌でアロマターゼ阻害剤歴を持つ患者をfulvestrant群とGDC-0032併用群に1対2割付した。主評価項目はPIK3CA変異サブグループの担当医評価に基づくPFS。結果は、ハザードレシオ0.70、pは0.0037、各群のメジアンは5.4ヶ月と7.4ヶ月となった。全生存の解析は未成熟。一方、有害事象による治験離脱は各群2%と17%で失望的な結果になった。

リンク: ASCOのプレスリリース

アストラゼネカ、ファセンラのCOPD試験は三連敗に
(2018年5月30日発表)

アストラゼネカは、Fasenra(benralizumab、和名ファセンラ)の二本目の第三相中重度COPD試験がフェールしたと発表した。一本目も、POC試験もフェールしており、三連敗である。

Fasenraは協和発酵キリングループのBioWaからライセンスした、IL-5受容体アルファ鎖を標的とするPOTELLIGENT抗体で、重度管理不良喘息症のうち好酸球が増加しているタイプに追加する薬として日米欧などで承認されている。

競合薬であるグラクソ・スミスクラインの抗IL-5抗体、Nucala(mepolizumab、和名ヌーカラ)は、2年ほど早く好酸球型重度管理不良喘息症に承認されている。COPDの第三相は、一本では好酸球型サブグループに良い結果を出したが全体の解析はフェール、好酸球型だけを組入れた試験はフェールしたが、昨年11月に米国で適応拡大申請された。

もしNucalaの適応拡大が認められるならば、そしてもしFasenraの臨床試験で好酸球型サブグループの解析が良い結果になっているならば、Fasenraの適応拡大も認められる可能性がありそうだ。しかし、常識的に考えれば、どちらの薬も適応拡大が認められないだろう。

リンク: アストラゼネカのプレスリリース


【承認申請】


JNJ、イムブルビカをWM血症の一次治療薬として適応拡大申請
(2018年6月1日発表)

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、Imbruvica(ibrutinib、和名イムブルビカ)のワルデンシュトレーム型マクログロブリン(WM)血症一次治療試験の結果がASCOで発表された機に、米国で適応拡大申請したことを明らかにした。慢性リンパ性白血病などに承認されているBTK阻害剤で、WM血症に関しては現在は二次治療と化学療法不耐の一次治療に限定されている。

第三相一次治療試験が成功したことは昨年12月に発表済みだが、今回、データが明らかになった。rituximabと併用した群のPFSのハザードレシオはrituximabだけの群と比べて0.2となり、総合反応率も72%から92%に上昇した。

リンク: JNJのプレスリリース

カタリスト社、LEMS用薬を承認申請
(2018年5月29日発表)

カタリスト・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:CPRX)は、米国でFirdapse(amifampridine phosphate)をランバート・イートン筋無力症候群(LEMS)治療薬として承認申請し受理されたと発表した。審査期限は11月28日。

LEMSは多くの患者でカルシウムチャネルに対する自己抗体が見られ、血漿交換やステロイド治療に反応する。小細胞性肺癌などとの関連が見られ傍腫瘍性神経症候群と認識されている。

Firdapseはカリウムチャネルブロッカーで、09年にEUで文献データに基づき例外的承認を受けた。前後して、バイオマリン(Nasdaq:BMRN)がHexley社を買収、権利を取得した。カタリストは12年に北米の権利を取得、15年にLEMSと先天性筋無力症の対症療法として承認申請したが、FDAは受理しなかった。相談を踏まえて今回、LEMSに絞って承認申請。先天性筋無力症は承認申請用試験を開始した。

リンク: カタリスト社のプレスリリース

ノバルティス、レボレードを再生不良性貧血の一次治療薬として適応拡大申請
(2018年5月30日発表)

ノバルティスは、Promacta(eltrombopag olamine、和名レボレード)を再生不良性貧血の一次治療薬として米国で承認申請し、受理されたと発表した。優先審査。期限は公表されていない。

トロンボポイエチン受容体を作動する経口剤で、特発性血小板減少性紫斑症の治療薬として08年に発売された。再生不良性貧血は5年生存率60%程度の深刻な疾患で、カルシニューリン阻害剤などの免疫抑制剤が第一選択になる。Promactaは14年に二次治療薬として承認された。一次治療では免疫抑制剤と併用する。

リンク: ノバルティスのプレスリリース

田辺三菱、ALS用薬を欧州でも承認申請
(2018年5月28日発表)

田辺三菱製薬は、欧州でedaravoneを筋萎縮性側索硬化症(ALS)用薬として承認申請したと発表した。フリーラジカル・スカベンジャーで、2001年に日本で脳梗塞急性期治療薬として初承認された薬が14年後にALS治療薬として再誕生するという、正に定年延長の時代を象徴する薬と言えよう。欧米での開発は脳梗塞試験がフェールしたまま滞っているが、FDAは日本の試験データに基づいて17年5月にALS治療薬Radicavaとして承認した。

リンク: 田辺三菱製薬のプレスリリース(和文)


【承認審査・委員会】


CHMPがトランスサイレチン・アンチセンス薬などの承認に肯定的意見
(2018年6月1日発表)

EUの薬品審査機関であるEMAの科学的評価委員会、CHMPは、5月の会合で、Tegsediなどの承認に肯定的意見を纏めた。順調なら2~3ヶ月以内にEU全域で承認されることになる。

リンク: EMAのプレスリリース

Tegsedi(inotersen)はトランスサイレチンの生産を妨げるアンチセンス薬で、先天性ATTR(トランスサイレチン調停アミロイドーシス)の多発神経障害(ステージ2まで)の治療に用いる。アンチセンス薬の開発で実績のあるIonis Pharmaceuticals(Nasdaq:IONS)が創製し、スピンアウトであるAkcea Therapeutics(Nasdaq:AKCA)にライセンスした。米国でも審査中で、優先審査指定されたが審査期限は10月6日に3ヶ月延期された。

アンチセンス手法の一つであるRNA介入薬の開発で先行するAlnylam Pharmaceuticals(Nasda:ALNY)もALN-TTR02(patisiran)を前後して承認申請しており、日本でも審査中。治験成績を見比べるとpatisiranのほうが良さそうだ。Tegsediは皮注であることが長所(patisiranは70分点滴静注)。

リンク: EMAのプレスリリース
リンク: IonisとAkceaのプレスリリース

Aimovig(erenumab)は、アムジェンが創製し日米以外ではノバルティスが販売する抗CGRP受容体完全ヒト化抗体。慢性または反復性の偏頭痛の予防に用いる。片頭痛は欧州の有病率15%で、遺伝子の影響が大きいとのこと。月間片頭痛日数が4日以上の患者が対象で、臨床試験では偽薬群より月1~2日少なかった。月一回皮注。米国で今年5月に承認され、問屋取得価格は、抗体医薬としては安価な、年6900ドルと発表された。

リンク: ノバルティスのプレスリリース

Aegerion Pharmaceuticals(Nasdaq: AEGR)のMyalepta(metreleptin)は遺伝子組換え型レプチン・アナログ。脂肪萎縮症(LD)のレプチン欠乏の矯正に用いる。対象となるのは、先天的全身性LD(2歳以上)、後天性全身性LD、そして家族性部分LD(12歳以上)。世界で数千人の超希少疾患。

米国ではアムジェンから権利を取得したアミリンが承認申請し、14年にMyalept名で承認。日本はアミリンからライセンスした塩野義製薬が13年に承認取得した。アミリンはBMS、そしてアストラゼネカに買収され、Aegerionはアストラゼネカから塩野義が保有する以外の権利を譲り受けた。

リンク: EMAのプレスリリース

大塚製薬のRxulti(brexpiprazole)は統合失調症治療薬。Abilify(aripiprazole)の構造転換で、D2受容体活性が低く、5-HT1A/2A受容体結合力が高い。米国で15年7月にRexulti名で、日本でも今年1月にレキサルティ名で、承認された。ルンドベックとの開発販売提携の対象。

一方、否定的意見となったのはSarepta Therapeutics(Nasdaq:SPRT)のExondys(eteplirsen)。ジストロフィン遺伝子の転写・翻訳プロセスに介入しエクソン51の読み取りをスキップさせる核酸医薬で、デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬として承認申請された。米国では16年に承認されたが、審査担当者や部門長の反対を上層部が覆した経緯がある。

CHMPは先月、トレンド投票を行って反対意見が多いことを確認した。通知を受けたSareptaが適時開示したため、否定的意見に終わることは予想されていた。同社は再審請求を行うとともに、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに詳しい医学者に諮問するよう求めた。再審請求になれば、rapporteur(審査担当)二国が交代することになる。

リンク: Sareptaのプレスリリース


【承認】


イーライリリー、FDAがオルミエントをやっと承認したが...
(2018年6月1日発表)

イーライリリーは、FDAがOlumiant(baricitinib、和名オルミエント)の2mgを中重度活性期リウマチ性関節炎の治療薬として承認したと発表した。TNF阻害剤を使っても十分に反応しない患者に、単剤投与またはDMARDsと併用する。

17年に承認された欧州や日本の用量は、第三相試験と同じで、治療開始時は4mgを一日二回、経口投与、応答なら2mgに減量を検討する。しかし、FDAは4mgの深静脈血栓や肺塞栓のリスクが100人年当り0.46と高いことや腫瘍、結核などの増加を懸念。諮問委員会も4mgについては15人の委員の中10人が危険が便益を上回ると判断した。尚、この副作用は日本や欧州のレーベルにも記されている。

インサイト(Nasdaq:INCY)からライセンスしたJAK1/2阻害剤で、類薬は存在するが血栓塞栓リスクは本剤特有のようだ。4mgの採用が奏功し、TNF阻害剤より効果が高いことをアピールできるはずだったが、米国に関しては画餅になった。深刻感染症や腫瘍に加えて、血栓リスクも枠付き警告となった。

リンク: 両社のプレスリリース

ゼルヤンツ、潰瘍性大腸炎に承認
(2018年5月30日発表)

FDAは、Xeljanz(tofacitinib、和名ゼルヤンツ)を中重度活性期潰瘍性大腸炎の治療に用いる適応拡大を承認した。注目された用量は、臨床試験の用法と同様に、5mgではなく10mgを一日二回で開始して、8週間経ったら5mgに減量可。潰瘍性大腸炎で経口剤が承認されたのは初めて。

JAK阻害剤の第一号で12年に米国で中重度リウマチ性関節炎治療薬として承認された。EUの承認は5年後なので、EU承認が先行した上記のOlumiantと正反対だ。免疫抑制力が著しく強く、感染症が腫瘍のリスクが高まる可能性がある薬の難しさを痛感する。

今回の適応拡大は、日本で5月に承認。上記では割愛したが、CHMPも5月の会議で肯定的意見をまとめた。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: ファイザーのプレスリリース

クロビス、RubracaがEUで承認
(2018年5月29日発表)

クロビス・オンコロジー(Nasdaq:CLVS)は、PARP阻害剤Rubraca(rucaparib)がEUで承認されたと発表した。BRCA遺伝子変異陽性卵巣がんで、白金薬に感受した治療歴を持つがこれ以上の投与は無理という患者の三次治療に用いる。BRCA変異は生殖細胞系(先天的)でも体細胞系(後天的)でも可。

米国では16年に同じ用途で、今年4月には白金薬感受性卵巣癌で白金薬2次治療に応答した患者の維持療法として、承認されている。欧州でも維持療法を承認申請する考え。

リンク: クロビスのプレスリリース

ロシュ、パージェタによるアジュバント療法がEUで承認
(2018年6月1日発表)

ロシュは、Perjeta(pertuzumab、和名パージェタ)をher2陽性早期乳癌の術後アジュバント療法に用いる適応拡大がEUで承認されたと発表した。化学療法薬やHerceptin(trastuzumab)と併用で1年間投与する。昨年12月に承認された米国と同様に、対象は高リスク患者(リンパ節転移やホルモン受容体陰性)に限定された。尚、日本でも昨年10月に適応拡大申請されている。

抗2C4ヒト化抗体で、her2がher3などと共益するのを妨げる。今回の承認はAPHINITY試験のエビデンスによるもので、全ユニバースの無再発生存期間解析はハザードレシオ0.81、p=0.045と点推定値もp値もボーダーライン上だったが、高リスクサブグループでは、リンパ節転移はハザードレシオ0.77、ホルモン受容体陰性は0.76と良い数値が出た。

リンク: ロシュのプレスリリース

【医薬品の安全性】


EU、膀胱癌におけるキイトルーダとテセントリクの適応を限定
(2018年6月1日発表)

EUの薬品審査機関であるEMAは、MSDのKeytruda(pembrolizumab、和名キイトルーダ)とロシュのTecentriq(atezolizumab)を膀胱癌の一次治療に用いる時の適応を限定すると発表した。これまではPD-L1発現は不問とされたが、陽性患者に限定する。具体的には、Keytrudaはcombined positive scoreが10以上の強陽性。Tecentriqは白金薬不適の一次治療に承認されているが、PD-L1発現5%以上が条件になる。

5月20日号に記したようにFDAも同様な安全性情報を発出したが、適応限定まで踏み込んではいない。

ことの発端は、KeytrudaのKeynote-361及びTecentriqのIMvigor130試験の中間解析で、モノセラピー群の全生存期間が化学療法群より短いことが判明したため。化学療法併用群も設定されているので、今後はこの群の成績が注目される。

リンク: EMAのプレスリリース





今週は以上です。

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2018年5月27日

2018年5月27日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • MSD、SNSCLCでもキイトルーダの一次治療CT併用試験が成功 
  • アッヴィ、イムブルビカのCLL一次治療ガザイバ併用試験が成功 
  • バイオマリン、フェニルケトン尿症治療薬が承認 
  • 山之内が起源のスロンボポイエチン受容体アゴニストが遂に承認 
  • EUもJulucaを承認 
  • FDA、歯生期のむずかりにOTCベンゾカインを用いないよう警告 


【新薬開発】


MSD、SNSCLCでもキイトルーダの一次治療CT併用試験が成功
(2018年5月23日発表)

MSDは、Keytruda(pembrolizumab、和名キイトルーダ)の第三相、KEYNOTE-407試験の独立データ監視委員会が中間解析で成功認定したと発表した。扁平上皮性非小細胞性肺癌(SNSCLC)の標準一次治療薬であるcarboplatinとpaclitaxel(またはnab-paclitaxel)の併用レジメンに更にKeytrudaを追加する効果を検討したところ、PFS(無進行生存期間)もOSも有意に延長した。データは来週始まるASCO米国臨床腫瘍学会で発表される予定。

扁平上皮以外の非小細胞性肺癌についてはcarboplatin及びpemetrexedと併用した一次治療試験が成功、米国で承認されている。

リンク: MSDのプレスリリース

アッヴィ、イムブルビカのCLL一次治療ガザイバ併用試験が成功
(2018年5月24日発表)

アッヴィ(NYSE:ABBV)は、Imbruvica(ibrutinib)の第三相、iLLUMINATE試験が成功したと発表した。CLL(慢性リンパ性白血病)/SLL(小リンパ球性白血病)の治療を初めて受ける、65歳以上などの強化化学療法に適さない患者を組入れて、ロシュの糖鎖改変型抗CD20抗体であるGazyva(obinutuzumab、和名ガザイバ)と併用するレジメンのPFS(独立評価委員会が判定)をchlorambucil・Gazyva併用群と比較したところ、統計的かつ臨床的に有意な差があった。

データは今後、発表される予定。

ImbruvicaはPharmacyclicsがジョンソン・エンド・ジョンソンと共同開発したBTK阻害剤。米国外はJNJが販売している。アッヴィはPharmacyclicsを210億ドルで子会社化した。

リンク: アッヴィのプレスリリース


【承認】


バイオマリン、フェニルケトン尿症治療薬が承認
(2018年5月24日発表)

FDAはバイオマリン・ファーマスーティカルズ(Nasdaq:BMRN)のPalynziq(pegvaliase-pqpz)をフェニルケトン尿症の治療薬として承認した。既存治療で血中フェニルアラニンが十分に減らない患者に用いる。欧州では3月に承認申請が受理されたところ。

バイオマリンは希少疾患用薬開発会社で、フェニルケトン尿症治療薬としては、サントリーが開発したビオブテンの日本以外の権利をライセンスしてKuvan(sapropterin dihydrochloride)として07年に米国で、08年には欧州でも、発売した。

Palynziqは酵素コファクターではなく酵素補充療法で、一日一回皮注する。免疫原性が原因なのか、臨床試験では応答性が悪かったり、アナフィラキシーを起こしたりする患者がいた。このため、位置づけは第二選択薬となり、アナフィラキシーの枠付き警告やREMS(リスク評価・緩和戦略)が導入され、また、アナフィラキシーに備えてエピネフリン・オートインジェクターを同時に処方する必要がある。

フェニルケトン尿症は先天性疾患で、様々な食料・飲料に含まれるフェニルアラニンを分解することができない。第一選択は含有飲食料を避けること。バイオマリンが展開する地域の患者数は33000人と推定されているが、Kuvan利用者は2000人程度と推定されており、Palynziqも普及は限定的か。価格は年19万ドルとKuvanより3割近く高い。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: バイオマリンのプレスリリース

山之内が起源のスロンボポイエチン受容体アゴニストが遂に承認
(2018年5月21日発表)

FDAは、Dova Pharmaceuticals(Nasdaq:DOVA)が承認申請したDoptelet(avatrombopag)を承認した。重度血小板減少症を合併する慢性肝疾患の成人が手術を受ける前に5日間服用する。術前・術後の血小板輸血やそれに伴う感染症リスクを抑制することができる。ニッチな用途だが、類薬が承認されている慢性ITP(免疫性血小板減少性紫斑症)でも今年下期に承認申請される見込み。

起源は山之内製薬で、藤沢薬品と合併した時に山之内アメリカからスピンアウトしたAkaRxが世界権を取得。その後、07年にMGIがAkaRxを子会社化、08年にはそのMGIをエーザイが子会社化、そして16年にエーザイがavatrombopagに係る権利・知的財産をDova社に譲渡という経緯だ。経由した会社が多いため開発コードもYM477、AKR-501、E5501と変遷した。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: Dova社のプレスリリース

EUもJulucaを承認
(2018年5月11日発表)

グラクソ・スミスクラインは、EUがJulucaの販売を承認したと発表した。ヴィーブヘルスケアのインテグラーゼ阻害剤、Tivicayの活性成分であるdolutegravirと、ジョンソン・エンド・ジョンソンの非核酸系逆転写阻害剤、Edurantの活性成分のrilpivirineの合剤で、多剤併用療法が成功してウイルス抑制が6か月以上持続している、非核酸系逆転写阻害剤やインテグラーゼ阻害剤に抵抗性を持たない患者がスイッチできる。

通常のHIV/AIDS治療は三種類以上の薬を併用するが、Julucaは二剤で足りることが画期的。米国では昨年11月に承認された。

リンク: GSKのプレスリリース


【医薬品の安全性】


FDA、歯生期のむずかりにOTCベンゾカインを用いないよう警告
(2018年5月23日発表)

FDAは、ベンゾカインを含有するOTCティーシング(歯生期むずかり)製品が幼小児に深刻なリスクをもたらすと消費者に警告するとともに、メーカーに対してこの用途で販売するのを止めるよう依頼した。もしメーカーが応じなかった場合、市場から除去するための法的手続きを開始する考え。他の経口ベンゾカイン製品についても警告を記載するよう要求中。

09年から17年のFAERS(有害事象報告システム)や文献を調べたところ、119例のベンゾカイン関連メトヘモグロビン血症が見つかった。年齢情報がある症例のうち22例が18歳以下、うち11例が2歳以下。致死は4例で、のうち一人は2歳以下だった。ベンゾカイン使用目的として多かったのは経食道心エコー検査(53例)で、そのほかに内視鏡検査や挿管などが多かった。剤型では局所スプレーが75例、経口ゲルが20例だった。

リンク: FDAのプレスリリース
リンク: FDAの安全性情報








今週は以上です。

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2018年5月20日

2018年5月20日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • バーモント州、カナダからの医薬品輸入を合法化 
  • テセントリクの肺癌四剤併用試験、全生存の解析も成功 
  • 吸入用アミカシンが承認申請 
  • アストラゼネカ、高カリウム血症治療薬が米国でやっと承認 
  • アムジェンの抗CGRP抗体が片頭痛予防薬として承認 
  • オピオイド乱用者の治療を補助する薬が承認 
  • Cabometyx、腎細胞腫一次治療に承認 
  • FDA、キイトルーダとテセントリクに関して安全性警告 
  • 抗HIV薬テビケイに催奇性の疑い 


【今週の話題】


バーモント州、カナダからの医薬品輸入を合法化
(2018年5月16日発表)

CNNなどの報道によると、米国バーモント州で、カナダから安価な医薬品を輸入する道を開く法案が成立した。長年のアジェンダだが、法制化されたのは初めて。

但し、実際に輸入が始まる可能性は低そうだ。具体策や予算手当はこれからであり、また、輸入する医薬品がFDAの薬効・安全性基準を満たしていることを条件にしているからだ。

カナダの一部の州では、薬局が米国人の注文を電話やメールで受け付けている。処方箋がない場合は地元の医師から入手するサービスもあるようだ。しかし、FDAが過去に行った調査では、送られてきた医薬品が古かったり、パッケージやラベルが途上国のものだったりすることがあった。数年前には、カナダで医薬品の輸入が認められていない国からの輸入が大きく伸びていて、他国に転売されている可能性があると報じられた。

HHS(保健福祉省)のAzar長官は、これらの過去の長官が行った調査を踏まえて、今回の法案成立をギミックと呼んでいる。

トランプ大統領は、先日、医薬品の価格を抑制するための施策を発表したが、過激なものはなく、株式市場で医薬品株の価格が回復した。製薬会社に圧力をかける目的で輸入合法化というカードをチラ見させる可能性はあるが、実際に切ることはないだろう、というのが一般的な見方である。

リンク: CNNの報道


【新薬開発】


テセントリクの肺癌四剤併用試験、全生存の解析も成功
(2018年5月17日発表)

ロシュは、IMpower150試験が全生存期間の解析も成功したと発表した。PFS(無進行生存期間)の解析が成功したことはすでに発表され、適応拡大申請中だが、PFSでいう進行は腫瘍の大きさが一定以上増加という、必ずしも症状の増悪とは相関せず、また、閾値のすぐ下と上で評価がガラッと変わるという理不尽さを持っているので、全生存期間のほうがエビデンスとして頑強だ。

IMpower150試験は、非扁平上皮非小細胞性肺癌の一次治療第三相試験。標準療法の一つであるcarboplatin、paclitaxel、Avastin(bevacizumab、和名アバスチン)のレジメンと、更にTecentriq(atezolizumab、和名テセントリク)を追加する四剤併用レジメンの効果を比較した。

メジアン生存期間は四剤併用群が19.2ヶ月、三剤併用は14.7ヶ月、ハザードレシオは0.78(95%信頼区間0.64-0.96)となった。PFS解析結果が学会発表された時の全生存期間解析と、点推定値が殆ど同じだ。PD-L1やTeff遺伝子署名などのバイオマーカーに基づくサブグループ分析も各種実施されたが、結果的に、ほとんど全てのタイプの患者で四剤併用レジメンのほうが延命効果が高かった。

Avastinの代わりにTecentriqを使う三剤併用もテストされたが、これまでの中間解析では有意差が出ていない。次回は最終解析とのことなので、結論が出ることになる。

この試験の標準療法群は、今日では主流でなくなった模様であり、MSDのような、Alimta(pemetrexed)と白金薬のレジメンに追加する併用法のほうが医師にアピールするようだ。四剤併用は金銭的なコストだけでなく深刻な副作用というコストも増えるので、承認されても、どの程度普及するかは不透明だろう。

リンク: ロシュのプレスリリース


【承認申請】


吸入用アミカシンが承認申請
(2018年5月16日発表)

Insmed(Nasdaq:INSM)は、ALIS(amikacinのリポソーム吸入用懸濁液)を米国で承認申請しFDAに受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は9月28日。

適応は、成人のMAC(非定型抗酸菌複合体)による難治性NTM(非結核性抗酸菌症)性肺疾患。ガイドラインに基づく治療(GBT)で治癒しなかった難治性患者を組入れた第三相試験では、6ヶ月内にMACが陰転した患者の比率が29%とGBT継続群の9%を上回った。一方、深刻な治療時発現有害事象の発生率も20.2%対17.9%で上回った。

アミカシンは注射用が実用化されているが、難聴などの副作用を伴う。ALISはPARI Pharma社のeFlowネブライザを用いる吸入用薬で局所的に作用する。承認されれば、米国では年1~1.5万人程度が治療対象となる見込み。

リンク: Insmedのプレスリリース


【承認】


アストラゼネカ、高カリウム血症治療薬が米国でやっと承認
(2018年5月19日発表)

アストラゼネカのLokelma(sodium zirconium cyclosilicate)が成人の高カリウム血症治療薬として米国で承認された。申請は3年前だったが、工場査察で課題が浮上、承認が遅延した。欧州は今年3月に承認されたが、CHMPが肯定的意見を出したのは一年前なので、やはり遅延したことになる。

カチオン交換剤で、胃腸のカリウムイオンに結合しそのまま排出される。15年に27億ドルで買収したZS Pharmaの開発品。

アムジェンの抗CGRP抗体が片頭痛予防薬として承認
(2018年5月17日発表)

アムジェンは、FDAがAimovig(erenumab-aooe)を成人の片頭痛予防薬として承認したと発表した。臨床試験では、月間の片頭痛発生日数が偽薬群より1~2日少なくなった。主な有害事象は注射箇所反応や便秘。

CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)受容体を標的とする完全ヒト化抗体で、月一回、オートインジェクターで皮注する。一回分が575ドルとのことなので、バイオ薬の割には価格がそれほど高くない。尤も、標準価格が低くても値引きも小さいのかもしれない。

CGRPやその受容体を標的とする抗体は多くの会社が開発を競っているが、Aimovigが承認第一号になった。アムジェンはノバルティスと片頭痛やアルツハイマー病領域で共同開発販売提携を行っており、Aimovigはノバルティスが米国で共同販売、日米以外の国では単独で販売する。

リンク: アムジェンのプレスリリース

オピオイド乱用者の治療を補助する薬が承認
(2018年5月16日発表)

FDAは、US WorldMeds LLCが承認申請したLucemyra(lofexidine hydrochloride)を承認した。アルファ2アドレナリン受容体選択的に作動する経口剤で、OUD(オピオイド使用障害)患者がオピオイドを止める治療を受ける時の離脱症状緩和に用いる。治療期間は14日以内に限定された。主な有害事象は低血圧、徐脈、傾眠、眩暈など。臨床試験では失神も数例発生した模様だ。

リンク: FDAのプレスリリース

Cabometyx、腎細胞腫一次治療に承認
(2018年5月17日発表)

イプセンは、Cabometyx(cabozantinib)錠を中高リスク腎細胞腫の一次治療に用いる適応拡大がEUで承認されたと発表した。臨床試験では、メジアンPFS(無進行生存期間)が8.2ヶ月と標準療法であるSutent(sunitinib)の5.6ヶ月を上回り、ハザードレシオは0.69だった。

Exelixis(Nasdaq: EXEL)から北米や日本以外の権利を取得したもので、米国では昨年12月に承認されている。他の適応は、腎細胞腫の二次治療と、Cometriqカプセル名で甲状腺髄様癌に承認されている。また、今年3月には肝細胞腫の二次治療薬として欧米で承認申請された。

リンク: イプセンのプレスリリース


【医薬品の安全性】


FDA、キイトルーダとテセントリクに関して安全性警告
(2018年5月18日発表)

FDAは、MSDのKeytruda (pembrolizumab)やロシュのTecentriq (atezolizumab)を尿路上皮癌に用いる時の安全性警告を発出した。PD-L1低発現患者の一次治療にモノセラピーを施行すると、生存期間が白金薬ベースの治療より短くなるというもの。KeytrudaのKEYNOTE-361試験、及び、TecentriqのIMVIGOR-130試験のデータ監視委員会が中間解析で発見した。尚、これらの試験は白金薬併用もテストしている。

この両剤は何れも尿路上皮癌に承認されているが、白金薬後の二次治療、または白金薬に適さない患者の一次治療に限定されている。今回の情報を踏まえると、白金薬を使えるなら使ったほうが良いことになる。それでは、使える患者と使えない患者の境界線はどこにあるのか?

FDAは、レーベルの臨床試験セクションをよく読んで治療対象を選択すべしと言っている。承認のエビデンスとなった試験における白金薬不適の判定方法が記されているからだ。

リンク: FDAの安全性情報



抗HIV薬テビケイに催奇性の疑い
(2018年5月18日発表)

FDAは、塩野義製薬が創製しGSKやファイザーとの合弁会社で販売している抗HIV/AIDS薬、Tivacay(dolutegravir、和名テビケイ)に催奇性の疑いが浮上し検討中であることをMedWatchで発表した。ボツワナで行われた観察的研究で、受胎前後や妊娠初期に服用した患者の新生児の中から脳や脊椎、脊髄の神経管欠損が見られたことがきっかけ。FDAは、医療従事者に対して、妊娠年齢の女性に用いる時はこの可能性について伝えるよう求めている。

リンク: MedWatch






今週は以上です。

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2018年5月13日

2018年5月13日


【ニュース・ヘッドライン】

  • テセントリク、大腸癌の第三相がフェール 
  • ファセンラ、COPDの第三相がフェール 
  • ロシュ、テセントリクの肺癌一次治療併用をBLA 
  • FDA諮問委員会、FCS治療薬の承認を過半の委員が支持 
  • ダラザレックス、多発骨髄腫一次治療で承認 


【新薬開発】


テセントリク、大腸癌の第三相がフェール
(2018年5月10日発表)

ロシュは、結腸直腸癌の三次治療におけるTecentriq(atezolizumab、和名テセントリク)とCotellic(cobimetinib、MEK阻害剤)の併用効果を検討した第三相試験がフェールしたと発表した。Tecentriqは膀胱癌や非小細胞性肺癌に承認されている抗PD-L1ヒト化抗体。抗PD-1抗体と同様に、結腸直腸癌に関しては一部のタイプに限定する必要があるのかもしれない。

この、IMblaze370試験は、局所進行性・転移性結腸直腸癌で二種類以上の全身性化学療法レジメンの治療歴を持つまたは不耐の患者を両剤併用群、Tecentriqモノセラピー群、または標準療法であるStivarga(regorafenib、和名スチバーガ、VEGF受容体阻害剤)群に2:1:1で無作為化割付して、オープンレーベルで延命効果を比較したもの。

開発が先行する抗PD-1抗体は、Keytruda(pembrolizumab、和名キートルーダ)もOpdivo(nivolumab、和名オプジーボ)も結腸直腸癌のサブタイプに限定して承認されている。MSI-H(マイクロサテライト不安定性-高)/dMMR(ミスマッチ修復不十分)と呼ばれるタイプで、細胞分裂時に発生する遺伝子の複製ミスを十分に修復できない。該当するのは転移性結腸直腸癌の5%程度とのこと。

IMblaze試験はMSH/dMMRに基づくスクリーニングを行っていないため、被験者の95%がマイクロサテライト安定であった由なので、モノセラピーがフェールしたのは意外ではないことになる。割付数から推測すると、MEK阻害剤で免疫細胞を賦活して抗PD-L1抗体を援護射撃する併用群が本命だったのだろうが、プレスリリースは狙いや敗因について言及していない。

この二剤の併用は、第二相転移性結腸直腸癌一次治療後維持療法試験で4人が死亡し組入れ中断となったことが今年4月に公表されている。

リンク: ロシュのプレスリリース

ファセンラ、COPDの第三相がフェール
(2018年5月11日発表)

アストラゼネカのFasenra(benralizumab、和名ファセンラ)は、重度好酸球型喘息症治療薬として日米欧で承認されている。COPD(慢性閉塞性肺疾患)でも第三相試験中だが、一本目はフェールしたことが発表された。

二種類以上の薬を吸入しても十分に増悪を防げない中等度から極高度のCOPD患者を組入れて、52週間治療して期中の増悪頻度を追跡したが、偽薬群と有意差がなかった。アストラゼネカは、もう一本の結果が今四半期中に判明するのを待って、今後の開発方針を決する考え。

FasenraはIL-5受容体のアルファ鎖を標的とするPOTELLIGENT抗体。協和発酵キリンのBioWAからライセンスした。類薬ではグラクソ・スミスクラインが抗IL-5抗体のNucala(mepolizumab)を重度好酸球型喘息症治療薬として販売しており、COPDでも第三相試験が成功、昨年11月に適応拡大申請した。第三相の全集団の解析はフェールしており、好酸球増多サブタイプだけが適応になる。

翻って、Fanseraの試験は好酸球の多寡は不問だったようだ。Tecentriqと同様に、投げ網を広げすぎたのかもしれない。

リンク: アストラゼネカのプレスリリース


【承認申請】


ロシュ、テセントリクの肺癌一次治療併用をBLA
(2018年5月7日発表)

ロシュは、Tecentriq(atezolizumab)を非小細胞性肺癌の一次治療レジメンに併用する適応拡大をFDAに申請し、受理されたことを公表した。優先審査を受ける。

転移性の非扁平上皮性非小細胞性肺癌で初めて薬物療法を受ける患者に、Avastin(bevacizumab)、paclitaxel、carboplatinと四剤併用する。IMpower150試験ではPFS(無進行生存期間)がメジアン8.3ヶ月とTecentriqを併用しない標準療法群の6.8ヶ月を上回り、ハザードレシオ0.617で統計的に有意だった。全生存の解析も成功したことが今年3月に発表されている。

Avastin、paclitaxel、carboplatinの三剤併用試験が成功した頃はAvastinが日の出の勢いであったため大きな喝采を浴びたが、今日ではAlimta(pemetrexed)とcarboplatinのレジメンのほうが人気があるようだ。今回の四剤併用レジメンの延命効果や忍容性は、Keytruda、Alimta、carboplatinの三剤併用レジメンと比べてどうなのだろうか?

リンク: ロシュのプレスリリース


【承認審査・委員会】


FDA諮問委員会、FCS治療薬の承認を過半の委員が支持
(2018年5月10日発表)

FDAの代謝内分泌学製品諮問委員会は、Akcea Therapeutics(Nasdaq:AKCA)が家族性カイロミクロン血症候群(FCS)治療薬として承認申請したWaylivra(volanesorsen)を検討し、12人の委員が承認を支持したものの、8人は反対した。

肝臓で発現し血中トリグリセライドの除去を制御する、ApoC-IIIの発現を妨げるアンチセンス薬。AkceaをスピンアウトしたIonis Pharmaceuticals(Nasdaq:IONS)が開発した。 週一回、皮注する。FCSはリポ蛋白リパーゼの欠乏によりカイロミクロン代謝機能が低下、トリグリセライドが増加し、膵炎を合併するリスクが高まる。世界で5000人程度の超希少疾患だ。

委員会の意見が分かれたのは、治療しないリスクと、治療に伴う血小板減少症のリスクのどちらを重視するかという点であったようだ。臨床試験ではグレード3、4の血小板減少症・深刻出血が8例発生した。投与実績は80例程度である模様なので、発生頻度は1割程度となる。FDAは、REMS(リスクを周知徹底し早期発見を促す施策)が必要と考えている。

審査期限は8月30日。FDAの諮問委員会は特定の事項について専門家や患者組織代表などの意見を聞くもので、承認を支持する委員が過半を占めたとしても、承認されるとは限らない。過去には、守秘義務の関係で諮問委員会では言及されなかった事項が原因で承認を見送ったことも少なくない。今回も票決が12対8程度では承認されるとは限らないだろう。

リンク: Akceaのプレスリリース


【承認】


ダラザレックス、多発骨髄腫一次治療で承認
(2018年5月7日発表)

ジョンソン・エンド・ジョンは、Darzalex(daratumumab、和名ダラザレックス)を多発骨髄腫の一次治療に用いる適応拡大がFDAに承認されたと発表した。自家造血幹細胞移植が適応にならない患者に、標準療法の一つであるVMPレジメン(VELCADE(bortezomib)、melphalan、prednisoneの三剤併用)と併用する。VMPレジメンとPFSを比較した臨床試験ではハザードレシオが0.50(95%信頼区間0.38-0.65)だった。深刻有害事象の発生率は42%対33%で上回った。

リンク: JNJのプレスリリース(pdfファイル)






今週は以上です。

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2018年5月6日

2018年5月6日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • オプジーボ・ヤーボイ併用をNSCLC1Lに承認申請 
  • キイトルーダの肺癌一次治療三剤併用を承認申請 
  • アクテリオン、オプスミットの適応拡大申請 
  • FDA諮問委員会、天然痘治療薬の承認を支持 
  • FDA諮問委員会、アミノグリコシド系新薬を一部用途で支持 
  • CHMP、SareptaのDMD治療薬に否定的な傾向投票 
  • Portola、Xa阻害剤の解毒剤が承認 
  • ノバルティス、CAR-Tの適応が拡大 
  • ノバルティス、braf阻害剤とMEK阻害剤の黒色腫摘出術後アジュバント療法が承認 
  • ラピアクタ、EUで承認 


【承認申請】


オプジーボ・ヤーボイ併用をNSCLC1Lに承認申請
(2018年5月3日発表)

BMSは、Opdivo(nivolumab、和名オプジーボ)とYervoy(ipilimumab、和名ヤーボイ)の併用レジメンをTMBが10 mut/Mb以上の転移性非小細胞性肺癌の一次治療に用いる二種変更をEMA(欧州薬品庁)に申請し、受理されたと発表した。

TMBはTumor Mutation Burdenの略。患者の癌細胞と正常細胞の遺伝子を比較して、変異の多寡をメガベース当りの変異数(mut/Mb)として定量化したもの。腫瘍関連遺伝子には、正常な細胞が癌化する上で決定的な影響を及ぼすもの(例:EGFR)がある一方で、関連性があまり強くないものもある。複数の遺伝子の変異が重なることがトリガーになる可能性もあるので、簡便なスクリーニング方法として、変異頻度に注目する。

閾値を10としたのは過去の試験の事後的分析によるもの。企業や研究者、主評価項目によって異なっており、手探りという印象だ。

今回の申請はCheckMate-227試験に基づくもので、上記の併用レジメンを白金薬ベースの二剤併用と比較したところ、PFS(無進行生存期間)のハザードレシオが0.58となった。全生存期間のハザードレシオは0.79(95%信頼区間0.56-1.10)だったが、データが未成熟である可能性もあり、そもそも、主評価項目ではない。

リンク: BMSのプレスリリース

キイトルーダの肺癌一次治療三剤併用を承認申請
(2018年4月30日発表)

MSDは、Keytruda(pembrolizumab、和名キイトルーダ)の適応拡大を米国で申請し受理された。非扁平上皮非小細胞性肺癌の一次治療に、pemetrexed及び白金薬と併用する。優先審査で、審査期限は9月23日。欧州や日本でも申請された。

KEYNOTE-189試験に基づくもので、三剤併用群のPFS(無進行生存期間)や全生存期間をpemetrexedとcarboplatinだけの標準療法群と比較したところ、PFSのハザードレシオは0.52、全生存期間は0.49となった。1年生存率は69%と標準療法群の49%を上回った。偽薬群は癌の進行が認定された後にKeytrudaのような抗PD-1抗体を使った患者が多く、三剤療法の副作用リスクを気にしてKeytrudaを二次治療に取って置くのは適切な方針ではない可能性を示唆している。

尚、Keytrudaの非小細胞性肺癌における現在の適応は、再発治療(モノセラピー)はTPS(PD-L1発現スコア)が1%以上、一次治療(同)は50%以上に限定されているが、今回はTPS不問。

リンク: MSDのプレスリリース

アクテリオン、オプスミットの適応拡大申請
(2018年4月30日発表)

ジョンソン・エンド・ジョンソン・グループのアクテリオンは、Opsumit(macitentan、和名オプスミット)をCTEPH(慢性血栓塞栓性肺高血圧症)の治療に用いる適応拡大を米国で承認申請した。患者の4割程度を占める、手術不能例が適応になる見込み。臨床試験では肺血管抵抗(PVR)や6分歩行テストが偽薬より改善した。

OpsumitはエンドテリンのA、B、両受容体を拮抗する経口剤。日本新薬からライセンス。13年に欧米で、15年には日本でも、肺動脈高血圧症治療薬として承認された。

リンク: アクテリオンのプレスリリース(pdfファイル)


【承認審査・委員会】


FDA諮問委員会、天然痘治療薬の承認を支持
(2018年5月1日発表)

FDAの抗菌薬諮問委員会は、SIGA Technologies(Nasdaq:SIGA)が天然痘治療薬として承認申請したTPOXX(tecovirimat)を検討し、17人全員が便益が危険を上回る(承認に値する)と判定した。審査期限は8月8日。

天然痘は全世界的なワクチン接種キャンペーンが奏功し、1980年代に駆除宣言された。しかし、生物兵器として使われる可能性があるため、米軍がtecovirimatの経口剤の開発を支援するとともに、プロジェクト・バイオシールドの予算で200万コース分、戦略的国家備蓄した。

SIGAは04年にViropharmaから知的所有権などの資産を譲り受けた。

リンク: SIGAのプレスリリース

FDA諮問委員会、アミノグリコシド系新薬を一部の用途で支持
(2018年5月2日発表)

FDAの抗菌薬諮問委員会は、Achaogen(Nasdaq:AKAO)が承認申請したアミノグリコシド系抗生剤、ACHN-490(plazomicin)を検討し、複雑性尿路感染症については15人全員が便益が危険を上回ると判定した。一方、菌血症については11人が反対、賛成は4人に留まった。審査期限は6月25日。

plazomicinはIonis Pharmaceuticals(Nasdaq:IONS)からライセンスしたsisomicin誘導体。アミノグリコシド耐性菌にも活性が見られた。腎毒性や難聴リスクが小さいことも期待されたが、エビデンスは確立していない模様だ。

複雑性尿路感染症の臨床試験では、FDAとEUの各々が重視する評価方法で奏効率がmeropenemと比べて非劣性だった。後者の評価方法では優越性も示唆された。

一方、カルバペネム耐性腸内細菌による菌血症を組入れた試験(meropenemまたはtigecyclineと併用)は、患者登録が進まず目標症例数や主評価項目を変更したこともあり、plazomicinの代わりにcolistinを投与した群と統計的に有意な差はなかった。Achaogenもエビデンスが万全ではないと認識しており、他に適当な治療手段がない患者のサルベージセラピーとして承認を求めている。

リンク: Achaogenのプレスリリース

CHMP、SareptaのDMD治療薬に否定的な傾向投票
(2018年5月3日発表)

Sarepta Therapeutics(Nasdaq:SRPT)は、EUの医薬品科学的評価委員会であるCHMPがEXONDYS 51(eteplirsen)の承認に関して傾向投票を行ったところ否定的な結果になったことを、18年第1四半期決算報告の中で公表した。

傾向投票は、肯定的/否定的意見を出すための正式な採決よりも前の段階で、委員会の趨勢を把握するために行うもの。CHMPは、薬効を疑っているというよりは、臨床試験外のデータを対照群の一部に外挿していることなどプロトコルが厳格でなく、条件付き承認の条件を満たしていないことを問題視している模様。

Sareptaは再審請求を行ったり、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)など神経筋疾患のエキスパートによるSAG(科学的諮問グループ)の招集を求めたりする考え。

EXONDYS 51は米国で16年に承認されたが、審査担当者などの反対をCDER(小分子薬などの審査を行う組織)のヘッドが鶴の一声で覆した経緯がある。薬効のエビデンスが脆弱なので、承認取得には力業が必要だ。

リンク: Sareptaのプレスリリース


【承認】


Portola、Xa阻害剤の解毒剤が承認
(2018年5月3日発表)

Portola Pharmaceuticals(Nasdaq:PTLA)は、FDAがAndexXa(andexanet alfa)を承認したと発表した。Xa阻害剤を服用している患者が事故で出血したり緊急手術を受けなければならなくなった時に、その血栓阻害作用を中和するために用いる。

対象となるXa阻害剤はバイエル/JNJのXarelto(rivaroxaban)とBMS/ファイザーのEliquis(apixaban)に限定され、第一三共のSavaysa(edoxaban、和名リクシアナ)や低分子量ヘパリンは承認されなかった。

血栓塞栓症や虚血、心停止、突然死のリスクが枠付き警告された。

Portolaは量産プロセスの承認申請を行う予定。年末ごろに承認された後に本格発売する考え。EUではCHMPの傾向投票が肯定的な結果になったが、量産プロセスなどの情報を求められたため、承認は来年にずれ込む見込みとのこと。

リンク: Portolaのプレスリリース

ノバルティス、CAR-Tの適応が拡大
(2018年5月1日発表)

ノバルティスは、Kymriah(tisagenlecleucel)をB細胞リンパ腫の治療に用いる適応拡大がFDAに承認されたと発表した。再発性・難治性の、びらん性大細胞型B細胞リンパ腫、ハイグレードB細胞リンパ腫、または濾胞性リンパ腫によるびらん性大細胞型B細胞リンパ腫の三次以降の治療に用いる。

CAR-Tと呼ばれるテイラーメイド療法で、B細胞に特異的に発現するCD19に対する抗体フラグメントなどの遺伝子を患者から採取したT細胞に導入したもの。患者の体内に戻すと抗原提示なしでB細胞を攻撃する。ノバルティスはペンシルバニア大学からライセンスした。

昨年、米国で再発性・難治性のB細胞性急性リンパ性白血病用薬として初承認された。今回の承認は第二相試験に基づくもので、ORR(客観的反応率)が50%(完全反応率は32%)だった。重度以上の有害事象の発生率は、サイトカイン放出症候群が23%、神経学的有害事象が18%、脳症が11%だった。骨髄抑制や感染症も増加した。

リンク: ノバルティスのプレスリリース

ノバルティス、braf阻害剤とMEK阻害剤の黒色腫摘出術後アジュバント療法が承認
(2018年4月30日発表)

ノバルティスは、braf阻害剤Tafinlar(dabrafenib)とMEK1/2阻害剤Mekinist(trametinib)の併用レジメンの適応拡大がFDAに承認されたと発表した。ステージIIIの、braf V600E/K変異を持つ黒色腫を完全切除した後のアジュバント(再発予防)療法で、偽薬と比較した臨床試験では、無再発生存のハザードレシオが0.47と有意に優れていた。

この併用レジメンは、切除不能なbraf V600変異を持つ悪性黒色腫や非小細胞性肺癌にも承認されている。

リンク: ノバルティスのプレスリリース

ラピアクタ、EUで承認
(2018年5月1日発表)

BioCryst Pharmaceuticals(Nasdaq:BCRX)のAlpivab(peramivir、和名ラピアクタ、米国名はRapiab)がEUで承認された。日本に8年遅れ、米国と比べても4年遅れ。2歳以上の非複雑インフルエンザに用いる。一回の点滴で足りるので、薬を飲めない状態の患者に適しているが、日本における塩野義製薬の売上を見る限りでは、出番が少なそうだ。

リンク: BioCrystのプレスリリース







今週は以上です。

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