2017年1月8日

2017年1月8日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • Melinta、日本発の抗生物質を承認申請 
  • KRN23が欧州で承認申請受理 
  • solithromycinは審査完了通知 
  • InBiosのジカ・ウイルス検査は偽陽性に注意? 



【承認申請】


Melinta、日本発の抗生物質を承認申請
(2017年1月7日発表)

米国のMelinta Therapeuticsは、Baxdela(delafloxacin)の承認申請がFDAに受理されたと発表した。優先審査で、審査期限は17年6月19日。QIDP指定を受けているため、無事に承認されれば優先審査バウチャーを獲得することができる。

他のフルオロキノロンと比べた特徴は、スペクトラムが広くMRSA活性を持ち、QT延長が見られないこと。静注用と経口剤の二種類。適応は急性細菌性皮膚皮膚構造感染症。第三相試験では、vancomycinとatreonamを用いる標準療法群と比べて奏効率が非劣性だった。

これまでの経緯は、湧永製薬が当初は大日本やアボットに導出したが開発中止・権利返還に。06年にRib-X Pharmaceuticalsが開発権を取得、IPOを狙ったが上手く行かずに断念し、大株主交代を経て現在の社名に変更という経緯がある。

リンク: Melintaのプレスリリース(GlobeNewswireのサイト)

KRN23が欧州で承認申請受理
(2017年1月5日発表)

Ultragenyx Pharmaceutical(Nasdaq:RARE)と協和発酵キリンは、KRN23をEUに成人X染色体遺伝性低リン血症(XLH)治療薬として承認申請し受理されたと発表した。XLHの患者で高発現しているFGF23に結合する完全ヒト化モノクローナル抗体で、リンの再吸収や血中濃度を増加させる。

Ultragenyxは13年に協和発酵キリンから共同開発販売権を取得した。FDAからファーストトラック指定を受けている。

リンク: Ultragenyxのプレスリリース

【承認審査・委員会】


solithromycinは審査完了通知
(2016年12月29日発表)

Cempra(Nasdaq:CEMP)はsolithromycinを地域感染性細菌性肺炎の治療薬として米国で承認申請していたが、審査完了通知を受領した。肝毒性の検討が不十分であることやサプライ・チェーンで発生したcGMP問題(生産体制の不備)が原因である模様。

ケトライド系の抗生物質で、ファースト・イン・クラスのtelithromycinは大規模な肝臓安全性確認試験を経て承認されたが、虚偽報告が発覚したのを機に、厳しい用途制限が導入された。solithromycinの臨床試験では肝イベントがtelithromycinのデータと比べても多く発生したため、11月に開催された抗微生物薬諮問委員会では委員13人中12人がリスクの検討が不十分と判定した。それでも、リスクと便益の全体的なバランス、即ち承認の是非については、7人が支持、6人が反対と拮抗した。

FDAは深刻な薬物誘導性肝障害の発生頻度が3000人に一人以上である可能性を排除するために、solithromycin群だけで9000人規模の安全性確認試験を実施するよう要請した模様。肺炎は命に係る疾患だが、慢性疾患用薬の薬物誘導性肝障害リスクに関する要件を適用したことになる。

solithromycinはOptimer Pharmaceuticals(現在はMSD傘下)からマクロライド系/ケトライド系の研究開発プログラムを取得したもの。日本の権利は富山化学が取得、第三相試験中。

リンク: Cempraのプレスリリース

【医薬品の安全性】


InBiosのジカ・ウイルス検査は偽陽性に注意?
(2016年12月23日発表)

FDAは、InBios International社のジカ・ウイルス検査について、当初想定されていたよりも偽陽性が多い可能性があり、陽性であった場合は確認的検査を行うよう、警告した。妊婦が感染した場合は中絶する可能性もあるので、確認は特に重要だ。

この検査は民間製で初のジカ・ウイルス予備的検査アッセイとして16年8月に米国で承認された。予備的検査なので、元々、確認的検査を行う必要があるが、過去の試験では多くが追認された。ところが、LabCorp社がInBiosのアッセイで陽性と判定された検体をCDC(米国の疾病管理予防センター)のアッセイでも調べたところ、陽性は半分以下だった。原因は不明で、LabCorp側の問題である可能性も残っているが、重要なインプリケーションがあるため、即断しないよう警告を発出したもの。

確認的検査は1~4週間かかるが妊婦と伝えれば優先される可能性があるようだ。

薬も検査アッセイも、臨床試験は選ばれた医療施設の選ばれた医療従事者が選りすぐられたボランティアを対象に厳格な環境で実施する。現実の医療では効果はもっと低く、副作用はもっと多いと考えるべきである。それにしても上記の食い違いは大きすぎ、早期の原因解明を期待したい。

リンク: FDAのMedWatch安全性情報
リンク: FDAの警告(16/12/22付け)




今週は以上です。

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