【ニュース・ヘッドライン】
- ギリアッドの坑HCV薬の第三相試験が成功
- パーキンソン病性精神疾患用薬の第三相試験が今度は成功
- EUがMSD/エンドサイトの卵巣がん用薬の承認申請を受理
- FDA諮問委員会が多剤耐性結核菌の治療薬を支持
- 他に方法がなければtelavancinを院内感染肺炎に用いてもよい
- 甲状腺髄様癌用薬が米国で承認
- EUでEyeleaとConstellaが承認
【新薬開発】
ギリアッドの坑HCV薬の第三相経口剤併用試験が成功
(2012年11月27日発表)
ギリアッド(Nasdaq: GILD)はNS5Bポリメラーゼ阻害剤GS-7977(sofosbuvir)のC型慢性肝炎第三相試験が成功したと発表した。遺伝子型II型とIII型のHCVに感染しているインターフェロン不適患者を、GS7977(400mgを一日一回)とribavirin(体重に応じた量を一日二回)の経口剤二剤を12週間投与する群と偽薬だけの群に3対1の比率で無作為化割付けし、SVR12(治療完了の12週間後にウイルス検出不能になった患者の比率)を比較したもの。
結果は、併用群は78%がSVR12を達成、うちII型は93%、III型は61%だった。偽薬併用群は一人も達成しなかった。
GS-7977の第三相試験はII型・III型感染者の初回治療やI型等に感染している患者のインターフェロン・ribavirin試験も進行中。ギリアッドは2013年央に承認申請する予定。
リンク:ギリアッドのプレスリリース
パーキンソン病性精神疾患用薬の第三相試験が今度は成功
(2012年11月27日発表)
ACADIA Pharmaceuticals(Nasdaq:ACAD)のセカンド・チャレンジが成功した。ACP-103(pimavanserin tartrate)のパーキンソン病性精神症状改善効果を調べた第三相試験で、主評価項目(第43日におけるSAPS-PD改善)に有意な治療効果が見られた。
偽薬効果が高く出てフェールした一本目の試験の経験を生かし、二本目は標準療法が励行されている国の医療施設だけで実施して、最初に二週間のランイン期間を設け、症状改善度合いは第三者が評価するプロトコルを導入した。精神疾患の治験は患者を厳選して自然に治る患者を除外することが肝要だ。
ACP-013は同社が発見した物質で5-HT2A受容体のアンタゴニスト/インバース・アゴニスト。バイオベイル(現ヴァレアント・ファーマスーティカルズ)が2010年に提携を解消したため、単独開発している。同社はもう一本、第三相試験を行う予定。
リンク:ACADIAのプレスリリース
【承認申請】
EUがMSD/エンドサイトの卵巣がん用薬の承認申請を受理
(2012年11月27日発表)
MSD(米国のメルク)と米国のエンドサイト(Nasdaq: ECYT)はMK-8109/EC145(vintafolide)の承認申請がEUに受理されたと発表した。アルカロイド系抗癌剤を葉酸(ビタミンB9)と結合した薬で、一次治療で白金薬に反応しなかった白金薬抵抗性卵巣癌の患者を、EC20(etarfolatide)という新開発のSPECT造影剤を用いて検査し、全ての標的病変で葉酸受容体陽性であった場合に、Doxil(doxorubicinのリポソーム製剤)併用で治療する。
MSDらは後期第二相試験等に基づいて条件付承認を求めた。この試験ではPFS(無増悪生存期間)がメジアン5.5ヶ月とDoxilだけの群の1.5ヶ月を大きく上回り、ハザードレシオは0.38、p=0.018だった。全生存期間の解析は何故かフェールしたが、患者背景に偏りがあったとのことだ。
卵巣癌はEUで年4万人、米国でも年2万人が新たに診断される。白金薬に感受することが多く、その場合は二次治療も白金薬が有効だが、抵抗性患者の二次治療オプションは限られている。MSDは今年4月に世界共同開発販売権を取得した。
リンク:両社のプレスリリース
【承認審査・委員会】
FDA諮問委員会が多剤耐性結核菌の治療薬を支持
(2012年11月28日発表)
ジョンソン・エンド・ジョンソンが承認申請した多剤耐性肺結核治療薬がFDA諮問委員会の支持を受けた。承認審査期限は12月29日。承認なら40年振りの新薬となる。
このTMC207(bedaquiline)は結核菌のATP合成を阻害する。第二相併用試験で優れた効果を示したため、諮問委員18人全員が薬効を認めた。死亡者数が10人と対照群の2人より多かったせいか安全性を認めたのは11人に留まった。同社は2013年に第三相試験を開始して、7剤併用9ヶ月コースと標準療法18~24ヶ月コースの治療効果を検討する予定。
リンク:ジョンソン・エンド・ジョンソンのプレスリリース
他に方法がなければtelavancinを院内感染肺炎に用いてもよい
(2012年11月29日発表)
FDA坑感染症薬諮問委員会はTMC207を討議した翌日に、テラバンス(Nasdaq: THRX)のVibativ(telavancin)の適応拡大申請を検討した。15人中9人が否定的な評価を下したが、他の治療薬に適さない患者に限定して用いることは13人が支持した。
Vibativは2009年に米国でグラム陽性菌による複雑皮膚皮膚構造感染症の治療薬として承認。今回の適応は院内感染肺炎で、EUでは2011年に承認されている。MRSAに有効なのは長所だが、腎毒性が見られることが弱点。院内感染肺炎第三相試験は二本実施され、何れも奏功率がバンコマイシンと比べて非劣性だったが、一本では死亡率が高かった。アステラス製薬が世界共同開発販売権を持っていたが、2012年1月に提携解消となった。
リンク:テラバンスのプレスリリース
【承認】
甲状腺髄様癌用薬が米国で承認
(2012年11月29日発表)
米国のエグゼリキシス(Nasdaq: EXEL)は、Cometriq(cabozantinib)が進行性転移性甲状腺髄様癌向けにFDAに承認されたと発表した。新薬開発企業から医薬品会社にステージアップすることになる。この癌は米国の患者数が年500~700人の希少疾患で、月9900ドルで発売される模様だ。臨床試験では無増悪進行期間がメジアン11.2ヶ月と偽薬群の4.0ヶ月を大きく上回り、ハザードレシオは0.28、p<0.0001だった。
2011年に同じ適応症で承認されたアストラゼネカのCaprelsa(vandetanib)と同じVEGF受容体拮抗剤で、他のVEGF受容体拮抗剤と同様に腸の穿孔や出血が枠付警告されている。
CometriqはGSKがライセンスする権利を持っていたが行使せず、BMSが共同開発販売提携したが解消、エグゼリキシスの単独開発販売となった。今のところ市場規模は極めて小さいが、前立腺癌試験が成功すれば広がるだろう。
リンク:エグゼリキシスのプレスリリース
リンク:FDAのリリース
EUでEyeleaとConstellaが承認
(各2012年11月27日と28日発表)
バイエルは11月27日、Eyelea(afilbercept)が滲出型加齢黄斑変性治療薬としてEUで承認されたことを発表した。米国のリジェネロン(Nasdaq: REGN)から米国外の権利をライセンスしたもので、米国では2011年に承認、日本でも今年9月に承認され11月に参天製薬が発売した。AvastinやLucentisとの三つ巴のシェア争いがEUでも勃発することになる。
EyeleaはVEGFR1とVEGFR2のサブユニットを免疫グロブリンGの固定領域と細胞融合したもので、全てのVEGF-AとPIGFに結合する。効果はLucentisなどの坑VEGF抗体医薬と大差ないように感じられるが、治療を3ヶ月行ったら投与頻度を4週間おきから8週間おきに減らせることがキチンとした臨床試験で確認されていることが長所。
リンク:バイエルのプレスリリース
一方、スペインのアルミラル(ALM: MC)と米国のアイアンウッド(Nasdaq: IRWD)は28日に、Constella(linaclotide)が中重度便秘主導型過敏性腸症候群の治療薬としてEUで承認されたと発表した。アイアンウッドが開発し、今年8月に承認された米国ではフォレスト(NYSE: FRX)が、欧州ではアルミラルが、販売権を持っている。米国では慢性便秘の治療向けにも承認されている。
リンク:アルミラルのプレスリリース
今週は以上です。
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