2021年6月26日

第1005回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • COVID-19関連: 
  • アクテムラが酸素投与/換気補助中の患者にEUA 
  • ワクチン接種後の心筋炎・心膜炎症例 
  • その他の領域: 
  • リリーも抗アミロイド・ベータ抗体を加速承認申請へ 
  • Aduhelmの自己負担 
  • キイトルーダの子宮頸癌一次治療試験が成功 
  • アッヴィのJAK阻害剤の適応拡大承認審査が更に遅延 
  • FDA諮問委員会、インサイトの抗PD-1抗体の承認に反対 
  • CHMP、多発骨髄腫で初の細胞療法などに肯定的意見 



【COVID-19関連】


アクテムラが酸素投与/換気補助中の患者にEUA
(2021年6月25日発表)

中外製薬が創製し海外ではロシュが開発販売している抗IL-6受容体抗体、Actemra(tocilizumab、和名アクテムラ)を、COVID-19肺炎の治療に用いることがFDAにEUA(非常時使用認可)された。2歳以上で、酸素投与または人工呼吸器/ECMO装着中で全身性コルチコステロイドによる治療を受けている患者に用いる。レーベルによると、体重30kg未満は12mg/kg、以上は8mg/kg(上限800mg)を60分点滴静注し、改善が不十分なら8時間以上経過してからもう一回だけ投与する。

臨床試験の結果は区々だが、おそらく、原動力になったのはオックスフォード大学などが行ったRECOVERY試験だろう。主任研究員の発表数値とは若干異なるが、レーベルによると、28日死亡率推定値が30.7%と投与しなかった群の34.9%を下回り、time-to-deathのハザードレシオは0.85、p=0.0028だった。退院までの日数もメジアン19日と対照群の28日超を下回った。

既報のように他の試験の結果は区々。EMPACTA試験は死亡/人工呼吸器装着リスクが有意に低下したが退院は早まらず、死亡率は有意ではないが増加した。COVACTA試験はフェールし病状改善効果も救命効果も見られなかった。REMDACTA試験もフェールし、入院期間は大差なく、死亡率は若干低かったが有意ではなかった。レーベルにはこの4本の試験の概要が記されているが、RECOVERY試験以外の数値や分析は過去に発表されたものと同じ。つまり、FDAは結果が矛盾していることを承知の上で症例数が圧倒的に多いRECOVERY試験を一番重視したのだろう。

サブグループ分析などを通じて4試験の共通点が浮上するのではないかと期待していたが、実現しなかった。

リンク: ロシュのプレスリリース



ワクチン接種後の心筋炎・心膜炎症例
(2021年6月23日発表)

CDC(米国疾病管理予防センター)は6月23日のACIP(ワクチン接種諮問委員会)でCOVID-19ワクチン接種後の心筋炎・心膜炎有害事象報告などについてプレゼンした。6月11日に開催されたEUのPRAC(ファーマコビジランス・リスク評価委員会)では報告件数が5月末時点で4製品合計368件とのことだったが、ACIPでは6月11日時点で2製品合計1226件と、より多くの症例がカバーされている。

ワクチン別では、BioNTech/ファイザーのワクチンは791件、うち一回目の接種後が150件、二回目後は563件。Modernaのワクチンは435件で一回目後117件、二回目後264件。接種から発症までの日数はゼロから98日まで様々だが0~4日が多い。

年齢は12~94歳と幅広いが16歳から29歳が中心で、メジアン値は一回接種後は30歳、二回目後は24歳となっている。男性が多く、一回接種後の症例の66%、二回目後の79%を占める。

29歳以下の484人の症状は、胸痛(416人)、呼吸困難(117人)、心臓酵素上昇(310人)、ST/T波変化(295人)、ECG/画像異常(81人)など。CDCが心筋炎・心膜炎の診断を確認した323人のうち、309人が入院治療を受けたが、298人は既に退院。入院中は9人、うちICU入室は2人。

心筋炎・心膜炎は元々、青少年に多い病気のようだが、COVID-19ワクチンに関しても若年層の報告数が多い。12~49歳の男性と12~29歳の女性は通常の発症率と比べても報告数が多く、ワクチンとの関連性が否定できないようだ。

興味深いのは、便益と危険の定量評価を試みていること。上記とは別のプレゼンターによる別のデータの分析だが、12~17歳の男性百万人に二回接種すると、その後120日間のCOVID-19感染症を5700件減らすことができ、COVID-19関連入院は215件減らせる。一方、心筋炎は56-69人増加する。便益・危険倍率は80~100倍となる。同様に、12~17歳の女性の場合は感染が8500件減少、入院183件減少、心筋炎が8~10人増加で、倍率は80~100倍となる。

発生率が最も高い12~17歳の男性でも、心筋炎・心膜炎リスクは数万人に一人と稀である。転帰も、PRAC発表と同様に、深刻な例は多くない様子だ。胸痛を伴うケースが多いようなので、手掛かりになるだろう。

リンク: ACIPのプレゼン・スライドのリンク


【今週の話題】


リリーも抗アミロイド・ベータ抗体を加速承認申請へ
(2021年6月24日発表)

エーザイ/バイオジェンとイーライリリーは、夫々、アルツハイマー病薬として開発中の抗アミロイド・ベータ抗体がFDAのブレークスルー・セラピー指定(BTD)を受けたと発表した。イーライリリーは第2相試験のデータに基づいて年内に加速承認申請を行う考え。他社もバイオマーカー評価に基づく加速承認申請に拍車をかけるだろう。FDAがAduhelmの承認に際して加速承認という妥協策を取った弊害が広がっている。

エーザイはスウェーデンのバイオアークティック・ニューロサイエンス社(Nasdaq Stockholm:BIOA B)からライセンスしたBAN2401(lecanemab)をバイオジェンと共同開発、19年に第3相試験を開始した。アミロイド・ベータが凝集する過程における中間体を標的としたことが斬新。

BTDの根拠となった後期第2相試験は、アルツハイマー病による軽度認知障害または軽度アルツハイマー病でPET検査または脳脊髄液検査でアミロイドプラクが確認された患者を組入れた用量変動試験で、高用量群は18ヶ月間のADCOMS悪化が偽薬比有意に小さかった。

ADCOMは代表的な病状判定スコアであるADAS-cog、CDR-SB、MMSEの構成要素のうち感受性の高いものを過去の試験のデータをもとに選択、組み合わせたもので、有意差を出すのに必要な組入れ数を2-3割減らせることが期待されている。この試験はアダプティブ・デザインも導入しており、一群当り170人程度で有意差が出ている。一方、オーソドックスな評価項目の解析結果は区々だった。

イーライリリーはLY3002813(donanemab)がBTDを受けた。アミロイドプラクで見られる、N端末側のグルタミン酸がピログルミタル化されたアミロイド・ベータ(N3pG)に対する抗体。第2相試験では早期段階の症候性アルツハイマー病でアミロイド・ベータ陽性、NFT(神経原線維変化:過剰燐酸化タウの細胞内凝集体)の蓄積が低中度である患者272人を組入れて、76週後のiADRSを偽薬と比較した。結果は、悪化が偽薬比32%小さく有意だった。

iADRSは過去の様々な薬の臨床成績を分析し病気の進行や治療効果の感受性を高めたもの。ADCS-ADLのうち手段的(instrumental)評価項目とADAS-Cog 14を合成した。後者は数値が低いほど良好と前者の逆なので、90からADAS-Cog 14を減算したものを前者に加算して算出する。この、良いとこ取りした指標では有意差が出たが、オーソドックスな評価項目の解析はフェールした。

FDAは、第3相試験のうち一本しか臨床的評価項目の解析が成功しなかった薬を承認するに際して、アミロイド・プラク減少作用に基づく加速承認という方法を取った。臨床的効用を示唆するバイオマーカーに基づいて承認する制度で、承認後に改めて臨床的効用を確認しなければならない。FDAが公表した文書を読むと、FDAの神経科学薬部門の薬効評価担当者と薬理学的評価担当者は通常の承認を推奨したが、統計学的評価担当者は反対した。諮問委員会も反対したため、CDER(小分子薬担当組織)の上層部が、おそらく妥協策として、薬効評価担当者などの同意を得た上で、決定した。

多くの抗アミロイド・プラク抗体がアミロイド・プラク抑制効果を既に立証しているので、臨床的効用を評価する試験が難航しパイプに詰まっていたパイプラインが一斉に流れ出すことになる。

リンク: エーザイとバイオジェンのプレスリリース
リンク: イーライリリーのプレスリリース



Aduhelmの自己負担
(2021年6月23日発表)

バイオジェンとエーザイは、アルツハイマー病薬としてFDAに承認されたAduhelm(aducanumab-avwa)について、両社の考え方を公表した。

FDAは適応を限定しなかったので米国では年600万人程度が対象となるが、現実の医療では、第3相試験の組入れ条件である早期段階の、PET/脳脊髄液検査でアミロイド・プラクが確認された患者に限定され、推定100~200万人に留まると予想した。垂直立ち上げではなく数年かけて到達する想定だ。

自己負担に関しては、米国の患者の40%は年200ドル以下で済み、50%は自己負担の上限を抑える特約に加入しているため、最大で20%分を負担しなければならない患者は10%程度と想定している。高齢者なので主としてMedicareのカバレッジになるが、Medicareは製薬会社が自己負担軽減策(事実上の値引き)を導入することに批判的なので、この10%の患者が年11000ドルを払わなくて済むようにするのは難問だ。

もう一つの難問は、自己負担以外の部分は保険料や税金が原資になることだ。保険料率や税率の引き上げ、または、他の薬剤費や医療費の引き下げが必要になる。若い人にとっても他人ごとではない。

リンク: 両社のプレスリリース


【新薬開発】


キイトルーダの子宮頸癌一次治療試験が成功
(2021年6月22日発表)

MSDはKeytruda(pembrolizumab、和名キイトルーダ)のKeyNote-826試験が中間解析で成功したと発表した。データは未公表。

治癒目的の手術や放射線療法が適応にならない持続性、難治性、または転移性の子宮頸癌の一次治療として、carboplatinまたはcisplatinとpaclitaxel(bevacizumabの併用も可)の標準療法に追加する効果を偽薬追加と比較した試験で、主評価項目である全生存期間とPFS(無進行生存期間)の両方で、統計的に有意で臨床的にも意味のある改善が見られた。PD-L1発現の有無に関わらず効果があった。

リンク: 同社のプレスリリース


【承認審査・委員会】


アッヴィのJAK阻害剤の適応拡大承認審査が更に遅延
(2021年6月25日発表)

アッヴィはJAK1阻害相Rinvoq(upadacitinib、和名リンヴォック) を活性期乾癬性関節炎や活性期強直性脊椎炎に用いる適応拡大を承認申請し、日本では前者が、欧州では両方が、承認されたが、米国は審査が期限までに完了しない旨、FDAから連絡を受けた。前者は既に一回、審査期限が延期されている。今回は延期なのか単なる期限超過なのか、明らかではない。

遅延の理由はFDAがファイザーのJAK阻害剤、Xeljanz(tofacitinib、和名ゼルヤンツ)の市販後試験、ORAL Surveillanceの分析を行っているため。リウマチ性関節炎患者が服用しても心血管疾患や癌を発症するリスクが高まらないことを確認する長期安全性確認試験で、1月にファイザーがフェールしたことを公表している。

JAK阻害剤は人気分野で多くの会社が様々な用途で新薬/適応拡大承認申請を行い、日欧では認められたものもあるが、米国は軒並み審査期限延期になっている。FDAが何を考えているのかは明らかではないが、他社のJAK阻害剤に対するアクション、即ち、同様な長期安全性試験の実施を要求するか、一律に用途用法制限を課すか、リスクと非臨床試験データの相関性を分析して安全域を推定するか、などについて検討しているのではないか。

リンク: アッヴィのプレスリリース



FDA諮問委員会、インサイトの抗PD-1抗体の承認に反対
(2021年6月24日発表)

FDAは腫瘍学薬諮問委員会を招集し、インサイト(Nasdaq:INCY)が承認申請したINCMGA0012(retifanlimab)について検討した。小規模な試験のORR(客観的反応率)に基づく申請であったため、17人の委員のうち13人が、第3相試験の結果が出るまで承認を見送るべきと判定した。

17年にMacroGenics(Nasdaq:MGNX)からライセンスした抗PD-1抗体。白金レジメン歴を持つ、あるいは不耐の、局所進行性/転移性肛門管扁平上皮腫瘍に加速承認を求めたが、94人の第2相試験でORRが14%(95%信頼区間8-22%)、メジアン反応持続期間が9.5ヶ月とエビデンスが質量とも限定的であることが弱み。肛門管癌はHIVやHPV感染の合併症でもあるが、HIV患者に対する投与実績は少ない。二次治療に承認されている薬はないが、既存の抗PD-1抗体がオフレーベル使用されており、臨床試験の症例数は更に少ないものの、ORR自体はもっと良い数値を出している(評価基準が異なる可能性が高いが)。

審査期限は7月25日。第3相のcarboplatin・paclitaxel併用試験の結果が25年に出るまで承認の可能性は低いのではないか。

チェックポイント阻害剤と言えばFDAが過去の加速承認の棚卸を行っているが、今回の資料によると、ORRに基づく加速承認案件のうち10件は市販後薬効確認試験の結果が出たが、9件がフェールと惨憺たるものだったという。

リンク: 同社のプレスリリース



CHMP、多発骨髄腫で初の細胞療法などに肯定的意見
(2021年6月25日発表)

EUの薬品審査機関であるEMAの医薬品科学的評価委員会、CHMPは、以下の新薬や適応拡大の承認に肯定的意見を纏めた。順調なら2~3ヶ月以内にEU全域で承認されることになる。

リンク: EMAのプレスリリース

ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)が子会社化したセルジーンがbluebird bio(Nasdaq:BLUE)からライセンスして共同開発したAbecma(idecabtagene vicleucel)は、骨髄腫細胞で発現するBCMAに結合するCAR-T(キメラ抗原受容体T細胞療法)。代表的な三種類の薬すべての治療歴を持つ患者の4次治療薬として肯定的意見を得た。米国では3月に5次治療薬として承認。

尚、bluebird bioは腫瘍学領域の事業を2seventy bio社としてスピンアウトする予定。変わった名前だが、ニューロンの神経伝達最大速度が120メートル/秒、時速では270マイルであることに因んで、革新的な治療法を着想から行動に全速力で移行させる思いを表現したものとのこと。

リンク: EMAのプレスリリース

バイオマリン(Naasdaq:BMRN)のVoxzogo(vosoritide)は軟骨無形成症用薬。2歳以上で成長板が未だ閉鎖していない、遺伝子検査で確認された患者に、毎朝、皮注する。

EUでは年350人程度が発症する、多くの場合、遺伝ではない遺伝子疾患で、骨の成長を抑制するFGFR3(線維芽細胞増殖因子受容体3)が異常活性化、身長などの伸びを抑制する。Voxzogoは修飾C型ナトリウム利尿ペプチド・アナログで、5~14歳の小児を組入れた第2相試験で身長の伸びが年1.6cm、偽薬群を上回った。主な有害事象は低血圧、注射箇所反応、嘔吐。米国でも承認審査中。

リンク: EMAのプレスリリース

インサイト(Nasdaq:INCY)のMonjuvi(tafasitamab)は定常領域を修飾してADCC(抗体依存性細胞傷害)活性を増強した抗CD19ヒト化抗体。自家造血幹細胞移植不適の再発難治びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に、Revlamid(lenalidomide)併用で最大12サイクル(48週間)、その後は単剤を継続投与する。MorphoSys社が2010年にXencorからライセンスして開発、インサイトは20年に米国は共同で、米国外は単独で、開発販売する権利を取得した。米国では20年に承認。

リンク: EMAのプレスリリース

UCBのBimzelx(bimekizumab)はIL-17AとIL-17Fに結合する二重特異性抗体。中重度尋常性乾癬の治療に用いる。臨床試験では既存のバイオ薬と直接比較して良好な結果を出した。日米でも承認審査中。

リンク: EMAのプレスリリース

アステラス製薬が承認申請したEvrenzo(roxadustat、和名エベレンゾ)はHIF2-PH(低酸素誘導因子2-プロリン水酸化酵素)阻害剤。慢性腎疾患の貧血症状の治療に用いる。04年に前身の一つである山之内製薬がFibroGenから共同開発販売権を取得したもので、日本では19年に承認。米国は19年12月にFibroGenが承認申請したが審査が長引いており、7月15日の心臓腎臓薬諮問委員会に上程される予定。

リンク: EMAのプレスリリース

適応拡大では、アストラゼネカがBMSから事業継承して適応拡大を進めてきたSGLT2阻害剤、Forxiga(dapagliflozin、米名Farxiga、和名フォシーガ)を慢性腎疾患の悪化抑制に用いることが支持された。二型糖尿病である必要はない。DAPA-CKD試験で腎機能低下や腎臓疾患死などのリスクを39%抑制した。米国では5月に承認、日本でも優先審査中。

リンク: EMAのプレスリリース

BMSが小野薬品からライセンスした抗PD-1抗体、Opdivo(nivolumab)を食道・胃食道接合部癌の術後アジュバントに用いることも支持された。術前の化学放射線療法でpCR(病理学的完全反応)を達成できなかった、再発リスクが比較的高い患者に、最大1年間施行する。臨床試験ではメジアン無病生存期間が22.4ヶ月と偽薬群の11ヶ月を上回り、ハザードレシオは0.69、p=0.003だった。G3/4の治療関連有害事象発生率は各群13%と6%だった。

リンク: EMAのプレスリリース

アッヴィのJAK1阻害剤、Rinvoq(upadacitinib、和名リンヴォック)は全身性治療の対象となる中重度アトピー性皮膚炎に用いることが支持された。12歳以上の未成年は15mgを、成人は15mgまたは30mgを、一日一回服用する。

リンク: EMAのプレスリリース

ファイザーのJAK1/3阻害剤、Xeljanz(tofacitinib、和名ゼルヤンツ)をJIA(若年性特発性関節炎)や小児乾癬性関節炎に用いることも支持された。MTXを併用するが、不適ならモノセラピーも可。米国では20年に適応拡大承認。

リンク:
EMAのプレスリリース

一方、承認拒否勧告となったのが米国アリゾナ州のCancer Prevention Pharmaが家族性大腸腺腫症用薬として承認申請したFlynpovi(eflornithine、sulindac)。前者の活性成分はアフリカトリパノソーマ症(睡眠症)の治療に用いられているが、腫瘍関連酵素であるornithine decarboxylaseを阻害する効果を持つため、サノフィが膀胱癌などに臨床開発したことがある。家族性大腸腺腫症ではこの酵素の異常活性化と、その結果としてポリアミンの増加が見られるため、ポリアミンの腸細胞からの排出を促進する酵素を活性化する後者の成分も配合した。米国でも承認審査中。

承認を推奨しない理由は、第一に、臨床試験で転帰(手術、病状悪化、癌化、または死亡)が一方の成分だけを投与した二群と大差なかったこと。各活性成分のこの疾患における薬効は確立していないので、事実上、偽薬と同じ扱いになる。会社側はサブグループ分析で良好な数値が出たことに期待したが、悪魔はサブグループ分析に潜む。長期安全性が確立していないことや遺伝子毒性に係る情報が足りないことも指摘した。

リンク: EMAのプレスリリース

最後に、適応拡大申請が撤回されたのがロシュのEsbriet(pirfenidone、日本では塩野義製薬のピレスパ)。特発性肺線維症の治療薬として日米欧で承認されている。第2相試験でILD(間質性肺疾患)の1割程度を占める分類不能型の患者のFVC(努力肺活量)悪化を抑制したため欧米で適応拡大申請したが、CHMPはデータの頑強性や観察期間、適応症の記述などに疑問を持っていた。米国は5月に審査期限を迎えたはずだが、どうなったのだろうか。

リンク: EMAのプレスリリース







今週は以上です。

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