2020年3月30日

2020年3月30日号


【ニュース・ヘッドライン】

  • ダイヤモンドプリンセスの客室のウイルスは退去の17日後でも残存 
  • ACE阻害剤やARBがCOVID-19を悪化させるという十分な証拠はない 
  • EMA、タイケルブの直接比較試験データ削除を変更せず 
  • 昆虫細胞培養型インフルエンザワクチンの第三相が成功 
  • ベネクレクスタのAML承認後薬効確認試験が成功 
  • ロシュ、米国でゾフルーザの小児適応申請 
  • FDA、ジャディアンスの一型糖尿病適応拡大も認めず 
  • FDA諮問委員会がCOVID-19で中止に 
  • CHMPはバーチャル・ミーティングで対応 
  • BMS、多発硬化症用薬が米国で承認 
  • ファイザー、アトピー用薬が3ヶ月児以上に対象年齢拡大 
  • EMA、直接的経口抗凝固剤の現実の医療における出血リスクは治験データ並みと結論 


【今週の話題】


ダイヤモンドプリンセスの客室のウイルスは退去の17日後でも残存
(2020年3月26日発表)

CDC(米国疾病管理予防センター)は、Diamond Princessなどのクルーズ船におけるCOVID-19感染についてレポートをまとめ、Morbidity and Mortality Weekly Report(感染症発症動向週報)掲載に先駆けて、ホームページで公表した。印象的なのは、症候性感染者および無症候性感染者が退去した後、最大17日経った段階でも、客室の様々な表面からSARS-CoV-2のRNAが特定されたこと。情報源は国立感染症研究所感染症疫学センターの山岸主任研究官とのことだ。感染力を持っていたのかは明らかではないが、CDCは、先日、プラスチックや段ボールの表面で長時間活性を維持することを実験により明らかにした。

症状のない患者でも感染させることができる由だが、ドアノブや吊革に付着したウイルスが原因であっても不思議はない。東京都は感染ルートのわからない症例の比率が2割を超えた由。自分がもし感染したら満員電車を最も疑うだろうが、感染者が乗ったかどうかは公表されていないので、結局、感染ルートは分からないことになってしまうかもしれない。何が言いたいかというと、感染者のプライバシーや訪問先の風評被害を気にするのは当然だが、代償として一般大衆が危険や規制に曝されるのでは、公衆衛生の本末転倒だ。

COVID-19確定感染者数の推移

さて、武漢で外出が禁止された時は、さすが独裁政権、民主主義国家には不可能だろうと思ったが、そうでもなさそうだ。イタリア、米国、英国、そして日本にも外出禁止・自粛の波が押し寄せている。

主要国の感染者数の推移を見ると、日本やシンガポール、タイは中国発の津波の余波を受けた後、やや穏やかになったように見えたが、今度は欧州発の津波がやってきた。うまく余波を吸収できるように、医療最前線の皆さん、そして首都圏など外出自粛地域の皆さん、がんばれ、負けるな!

リンク: CDCのレポート

ACE阻害剤やARBがCOVID-19を悪化させるという十分な証拠はない
(2020年3月27日)

3月20日号で書いたように、バーゼル大学病院のLei Fangら三名は、Lancetに投稿した書簡の中で、SARS-CoV-2が細胞に侵入する時に利用するACE2の発現をACE阻害剤やARB、チアゾリジンジオン(二型糖尿病薬)、ibuprofenが増強することに着目、心臓疾患や糖尿病の持病を持つ感染者に重症例が多い一因ではないかと指摘した。

もし本当なら、これらの薬を服用する患者は元々、感染症の合併症のリスクが高いので、火に油を注いでしまうことになる。一方で、血圧や血糖値の管理を疎かにすると心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病性腎症などのリスクが高まる。従って、Fangらの問題提起は重大なインプリケーションがある。

この問題について、欧米の関連学会やFDAに続いて、EMAもプレスリリースを発出した。現時点ではACE阻害剤やARBとCOVID-19悪化の関連性を確立するような臨床あるいは疫学研究のエビデンスはない。ウイルスとレニン・アンジオテンシン・アルドステロン機構の相互作用は複雑で、完全には理解されていない。このため、ACE阻害剤やARBの服用を止めたり他の薬にスイッチしたりする必要はない、と述べている。

EMAは、疫学研究を推進すべく他の利害関係者とコラボを進めているとのことだ。

リンク: EMAのプレスリリース
リンク: Lancet誌ホームページで電子刊行された書簡(3/11付、pdfファイル)
リンク: ESC Council on Hypertensionの立場表明(3/13付)
リンク: AHA、HFSA、ACCの共同声明(3/17付)
リンク:Vaduganathanらの論文(3/30付、New England Journal of Medicine)

EMA、タイケルブの直接比較試験データ削除を変更せず
(2020年3月27日発表)

EMAは、Tyverb(lapatinib、和名タイケルブ)の直接比較試験のデータをレーベル(SPC)から削除したが、再評価を経て、復活しないことを決めた。データ収載は18年7月付だが、削除したことは今回初めて知った。

Tyverbはグラクソ・スミスクラインが商品化し、事業交換を経て現在はノバルティスが販売しているher2/EGFR阻害剤で、her2陽性転移性乳癌の再発治療薬として承認されている。

問題のデータは、Herceptin治療歴を持つHR陽性her2陽性乳癌に、アロマターゼ阻害剤とTyverbを併用するレジメンとアロマターゼ阻害剤・Herceptin併用を比較した試験のもの。試験レジメンのほうが便益が大きかった。ところが、19年4月になってデータの過ちが発覚、SPCから削除された。

CROを調査したところGCP違反が判明。不適切なデータを除外して再解析したところ、明確な結論が出なかった。このため、再掲載しないことを決定した。

リンク: EMAのプレスリリース

【新薬開発】


昆虫細胞培養型インフルエンザワクチンの第三相が成功
(2020年3月24日発表)

米国の新興ワクチン会社、Novavax(Nasdaq:NVAX)は、昆虫細胞培養型4価季節性インフルエンザワクチンであるNanoFluの第三相試験が成功したと発表した。免疫原性が既存のワクチンと比べて非劣性で、野生ウイルスを試薬とした検査では有意に優れていた。安全性は概ね同程度だった。米国で承認申請に向かう予定。

NanoFluは、遺伝子組換え型ヘマグルチニンのナノパーティクル・ワクチンで、サボニンを添加して免疫刺激を強化している。鶏卵培養ではなく、SF9バキュロウイルス・システムを用いて昆虫細胞で培養する。

第三相は、米国の65歳以上の健常者2652人を組入れて、サノフィのFluzone4価インフルエンザワクチンと効果や安全性を比較した。主評価項目は第28日時点のGMT(幾何平均力価)とSCR(セロコンバージョン率)。免疫原性は鶏卵由来の試薬を用いたHAI(赤血球凝集抑制)アッセイで評価した。結果は、4種類の株全てについて、どちらも非劣性だった。

副次的評価項目として、鶏卵由来ではなく野生の試薬を用いたHAIアッセイでも評価したところ、4株すべてについて有意に上回った。2019/20シーズンの選定株に含まれていないH3N2のドリフト株4種類に対する免疫原性も有意に上回った。

季節性インフルエンザ・ワクチンの最大の特徴は安価であること。新型ワクチンの価格は数倍高く設定されるだろうから、ワクチン効率が多少上回るだけでは競争できないかもしれない。主評価項目がワクチン効率ではなくGMTやSCRなので尚更である。それでも、抗体ができにくい高齢者や卵アレルギーの人には有力な選択肢になりうるかもしれない。

リンク: Novavaxのプレスリリース

ベネクレクスタのAML承認後薬効確認試験が成功
(2020年3月23日発表)

アッヴィとロシュは、夫々に、Venclexta(venetoclax、和名ベネクレクスタ、欧州名Venclyxto)の第三相VIALE-A試験が成功したと発表した。初めて治療を受ける急性骨髄性白血病(AML)で強化化学療法が適応にならない患者431人を組入れて、azacitidineと併用する効果をazacitidine・偽薬併用群と比較したところ、事前に設定された全生存期間の初回中間解析でポジティブな結果が出たことから、独立データ監視委員会が結果を学会や承認審査機関に報告するよう勧告した。

Venclextaは経口bcl-2阻害剤。アッヴィとロシュの共同研究の成果で、米国ではアッヴィとロシュの米国子会社であるジェネンテックが、海外ではアッヴィが販売している。16年に欧米で難治性慢性リンパ性白血病に承認され、18年には75歳以上で強化化学療法不適な未治療AMLにazacitidine、decitabine、または低量cytarabineと併用することも米国で加速承認された。

加速承認は反応率のような代理マーカーに基づく承認で、別途、延命またはそれに準じる効能を確認する必要があり、もしできなかった場合、加速承認が取り消される。Venclextaは、低量cytarabine併用レジメンを検討したVIALE-C試験が僅かにフェールしたが、追跡期間を延長した事後的分析では良さそうな数値が出ており、薬がフェールしたのではなく試験がフェールした可能性も考えられる。

今回、azacitidine併用レジメンが成功したことで、加速承認が全面取消になるリスクが低下したといえるだろう。

但し、中間解析でポジティブな結果が出た、云々の記述はロシュのプレスリリースには記されておらず、思惑を呼ぶ。この試験は反応率も共同主評価項目だったが、成否は記されていない。もしかしたら、事前に設定された中間解析とは有効性を検討するための中間解析ではなく、被験者に大きな害を与えていないことを確認するための安全性解析だったのではないか?この場合、統計学的な有意性を判定するp値の閾値、アルファを事前に配分していないだろうから、p値が良好であったとしても統計学的に有意と言えない懸念が残る。

データが公表された段階で総合的に評価する必要があろう。

リンク: アッヴィのプレスリリース
リンク: ロシュのプレスリリース


【承認申請】


ロシュ、米国でゾフルーザの小児適応申請
(2020年3月27日発表)

ロシュは、塩野義製薬からライセンスしたインフルエンザ用薬、Xofluza(baloxavir marboxil、ゾフルーザ)の小児適応に関する三件の追加申請をFDAに行い、受理されたと発表した。1歳以上を対象に、合併症を伴わない急性インフルエンザの治療と予防、そして、小児などに適した新開発の経口懸濁用顆粒剤だ。審査期限は11月23日。

リンク: ロシュのプレスリリース


【承認審査・委員会】


FDA、ジャディアンスの一型糖尿病適応拡大も認めず
(2020年3月20日発表)

ベーリンガー・インゲルハイムとイーライリリーは、Jardiance(empagliflozin、和名ジャディアンス)を一型糖尿病の血糖値管理に用いる適応拡大申請を米国でも行ったが、審査完了通知を受領した。

Jardianceは、腎臓で濾しとられたグルコースを血液中に戻す輸送蛋白、SGLT2の阻害剤で、二型糖尿病薬として承認されている。原理的に一型糖尿病にも有効なはずだが、インスリンとの用量調整が難しく、糖尿病性ケトアシドーシスのリスクが高まることがネックとなり、開発が遅れた。ようやく、昨年、アストラゼネカのFarxiga(dapagliflozin、和名フォシーガ)が日本とEUで、Lexicon社のZynquista(sotagliflozin)がEUで、一型に承認された。

ところが、米国では三剤とも承認されなかった。Zynquistaは諮問委員会が賛成8人、反対8人と分かれた。Jardianceは用量を二型に対する最大承認量の10分の1に抑えたが、諮問委員会は16人中14人が反対と、厳しい結果だった。

リンク: イーライリリーのプレスリリース

FDA諮問委員会がCOVID-19で中止に
(2020年3月23日発表)

FDAは、4月21日に開催予定だった肺・アレルギー用薬諮問委員会の中止を発表した。COVID-19の流行を踏まえて自粛する。

この諮問委員会は、グラクソ・スミスクラインのステロイド・ムスカリン拮抗剤・ベータ2作用剤の三剤配合薬、Trelegy(fluticasone furoate/umeclidinium/vilanterol、和名テリルジー)の効能追加について検討する予定だった。

TrelegyはCOPD患者を52週間治療したIMPACT試験でその他の評価項目に設定された全死因死亡率が1.20%と、umeclidiniumとvilanterolを併用した群の1.88%より低かった(Cox比例ハザードモデルにより解析でp=0.011)。死亡リスク削減効果を認めるべきかどうか、委員の意見を聞く予定だったようだ。

更に、obeticholic acidをNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)肝線維化の治療に用いる適応拡大を申請しているインターセプト・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:ICPT)も、4月22日に予定されていた諮問委員会がリスケされたと発表した。審査期限は6月26日で変更ないとのこと。

この、原発性胆汁性肝硬変治療薬Ocalivaとして16年に欧米で承認されたウルソデオキシコール酸類縁体は、昨年9月に適応拡大申請され、当初の審査期限は今年3月26日だったが、諮問委員会のスケジュール繰りの関係で3ヶ月延期された。米国の場合、諮問委員会はマストではないが、スケジュール撤回ではなくリスケなので、承認が更に遅れるリスクもあるのではないか。

リンク: テリルジーの諮問委員会に関するFDAの官報(3/23付)
リンク: インターセプト社のプレスリリース(3/26付)

CHMPはバーチャル・ミーティングで対応
(2020年3月27日発表)

EUの薬品審査機関であるEMAの科学的評価委員会、CHMPは、3月のバーチャル・ミーティングで、ノバルティスのゾルゲンスマなどの承認に肯定的意見を纏めた。順調なら2~3ヶ月以内にEU全域で承認されることになる。

リンク: EMAのプレスリリース

Zolgensma(onasemnogene abeparvovec、和名ゾルゲンスマ)は脊髄性筋萎縮症(SMA)I型の遺伝子療法。SMA1遺伝子の両アレル変異を持ち、臨床的にSMAI型と診断された乃至は3コピーまでのSMN2遺伝子を持つ患者が適応になる。欠乏する遺伝子をアデノウイルスベクターで導入する。

18年に87億ドルで買収したAveXis社の開発品。米国では19年に承認されたが、その後、承認審査期間中に獲得したデータを報告していなかったことが判明、政治問題にも発展した。EUではPRIME指定、日本でも先駆け指定されていたため順調なら19年に承認される見込みだったが、日本は今年3月に承認、EUは5~6月頃の見込みと、大きく遅延した。

リンク: ノバルティスのプレスリリース

サノフィのSarclisa(isatuximab-irfc)は、ジョンソン・エンド・ジョンソンのDarzalex(daratumumab、和名ダラザレックス)と同様な抗CD38抗体で、再発難治多発骨髄腫に用いる。代表的な三次治療レジメンであるpomalidomideとdexamethasoneと併用で、体重1kg当り10mgを28日サイクルで第1サイクルは毎週、その後は隔週、200分(第3サイクルからは75分)点滴静注する。

第三相オープンレーベル試験では、PFS(独立評価委員会がMタンパクや放射線画像で評価)がメジアン11.5ヶ月とpomalidomideとdexamethasoneだけの群の6.5ヶ月を上回り、ハザードレシオ0.596、p=0.001だった。有害事象は骨髄抑制や点滴関連反応、肺炎、下痢など。有害事象による治験離脱率、死亡率は対照群より小さかった。

Darzalexは点滴時間が初回は5-6時間、二回目以降も3-4時間と医療施設にとって手離れが悪いが、3-5分で済む皮注用製剤が欧米で承認審査中。Sarclisaはまだ適応が限られるので、5年のビハインドをキャッチアップするのは大変だろう。

リンク: サノフィのプレスリリース

BMSのZeposia(ozanimod)はS1P受容体調節剤。再発寛解型多発性硬化症の治療に用いる。米国で今週、承認されたので、委細は下記を参照してください。

リンク: BMSのプレスリリース

適応拡大では、ノバルティスの抗IL-17A抗体、Cosentyx(secukinumab、和名コセンティクス)をnr-axSpA(非X線的体軸性脊椎関節炎)の治療に用いることが支持された。臨床試験では第52週のASAS40が偽薬比有意に改善した。

nr-axSpAは比較的新しい診断名で、強直性脊椎炎とX線所見が異なるものの臨床像が似通っており、同様な治療を受ける。このため、強直性脊椎炎をr-axSpAと呼び、両方合わせてaxSpAとして分類することを可能にした。

リンク: ノバルティスのプレスリリース

武田薬品のAdcetris(brentuximab vedotin、和名アドセトリス)はシアトル・ジェネティクスから米国外の開発販売権を取得した、抗CD30抗体。ホジキン型リンパ腫などに承認されているが、今回、未治療の全身性未分化大細胞型リンパ腫の治療にCHPレジメン(cyclophosphamide、doxorubicin、prednisone)と併用することが支持された。臨床試験では、CHPとvincristineを併用するCHOPレジメンよりPFS(無進行生存期間)が有意に上回った。

リンク: EMAのプレスリリース

Swedish Orphan Biovitrum(STO:SOBI)のKineret(anakinra)は、アムジェンが抗リウマチ薬として2001年に米国で発売した遺伝子組み替え型ヒト・インターロイキン-1受容体拮抗剤。専ら欧州で様々な希少疾患に適応拡大しているが、新たに、家族性地中海熱に用いることが支持された。

リンク: EMAのプレスリリース


【承認】


BMS、多発性硬化症用薬が米国で承認
(2020年3月26日発表)

BMSは、FDAがZeposia(ozanimod)を再発型多発性硬化症用薬として承認したと発表した。選択的S1PR(スフィンゴシン-1-リン酸受容体1)調節剤で、類薬は多いが、治療開始時に遺伝子検査を行ったり初回投与時に何時間も経過観察することがレーベル上、求められていないことが差別化要因。用量漸増法の採用が寄与しているようだ。心毒性がないわけではなく、最近の心筋梗塞、心不全、不整脈歴は禁忌。

尚、FDAが再発型多発性硬化症と呼ぶカテゴリーは、通常の再発寛解型に加えて、CIS(多発性硬化症疑い例)や活性期二次性進行性多発性硬化症も含んでいる。

元々はReceptos社の開発品で、同社を15年に72億ドルで買収したセルジーンを、BMSが昨年、740億ドルで買収した。セルジーン株主はCVR(後発価値債権)を保有しており、主要パイプライン三品が全て承認されれば一株当たり9ドルを得ることができるが、その一つが無事、道標に到達した。

リンク: BMSのプレスリリース

ファイザー、アトピー用薬が3ヶ月児以上に対象年齢拡大
(2020年3月24日発表)

ファイザーは、FDAがアトピー性皮膚炎治療薬Eucrisa(crisaborole)の適応年齢を3ヶ月児以上に拡大することを承認したと発表した。

Eucrisaは16年に買収したAnacor Pharmaceuticalsの開発品で、PDE4を阻害する軟膏薬。米国で同年に2歳以上の軽中度アトピー性皮膚炎の治療薬として承認された。EUでも今年1月にStaquis名でCHMPの肯定的意見を獲得した。一日二回、患部に塗布した臨床試験では、奏効率(第29日のISGA評価がクリアまたはほぼクリアに改善)が一本では32%(偽薬群は25%)、もう一本では31%(18%)となり、偽薬を有意に上回った。忍容性は良好だった。

今回の対象年齢拡大は3ヶ月~24ヶ月の幼児患者を組入れた安全性試験の成績に基づくもの。

リンク: ファイザーのプレスリリース


【医薬品の安全性】


EMA、直接的経口抗凝固剤の現実の医療における出血リスクは治験データ並みと結論
(2020年3月27日発表)

EMAは直接的経口抗凝固剤の深刻出血リスクに関して後顧的観察的疫学研究を行ったが、臨床試験のデータ並みであったため、承認内容は変更しないと発表した。

検討対象となったのは、BMS/ファイザーの Eliquis(apixaban、和名エリキュース)、ベーリンガー・インゲルハイムのPradaxa(dabigatran etexilate、和名プラザキサ)、バイエルのXarelto(rivaroxaban)。非弁膜性心房細動の治療を受けた英仏独など6ヶ国の患者のデータをビタミンK拮抗剤(ワーファリン)と比較した。

その結果、深刻出血の発現率は臨床試験の実績並みだった。三剤の比較も企図された模様だが、結論を出すにはデータ不足だった。大きなアドヒアランス問題は見つからなかった。

抗凝固薬はほぼ必然的に出血リスクを伴い、特に、高齢者は発生率が高くなる。今回の疫学研究で75歳を超える患者の出血リスクの高さを確認したため、EMAは、メーカーに用量変更の当否を検討するよう要請する考え。

リンク: EMAのプレスリリース




今週は以上です。

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