【ニュース・ヘッドライン】
- ノバルティス、BTK阻害剤の慢性誘発性蕁麻疹試験データを発表
- TYK2阻害剤の直接比較試験で武田に軍配
- 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーのAOCがバイオマーカーを改善
- ギリアドとMSD、HIV配合剤の第3相が成功
- MSDとギリアド、肺癌一次治療の併用試験がフェール
- サノフィ、CIDPの第3相一本がフェール
- Jazz/PharmaMar、lurbinectedinの市販後薬効確認試験がまたフェール
- テセントリクを結腸癌術後療法として承認申請
- 5月のEU承認申請
- ウェリレグ・キイトルーダ併用が腎細胞腫術後療法に承認
- トルカプがPTEN欠乏前立腺癌に適応拡大
- CNVP案件が8ヶ月審査で承認
- ヒムペブジがインヒビター保有血友病などに適応拡大
- FDA、アライの稀な腎障害を通知
- 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会
【新薬開発】
ノバルティス、BTK阻害剤の慢性誘発性蕁麻疹試験データを発表
(2026年6月12日発表)
ノバルティスは2月に米国でBTK阻害剤Rhapsido(remibrutinib)を慢性誘発性蕁麻疹に適応拡大申請したことを明らかにしたが、治験成績をEuropean Academy of Allergy and Clinical Immunology(欧州アレルギー・臨床免疫学学会)で発表した。この、日本も参加した第3相RemIND試験は、H1ブロッカーに十分応答しない慢性誘発性蕁麻疹に25mgを一日二回経口投与して、12週時点の応答率を偽薬と比較したもの。症候性皮膚描記症(SD:引っかいたり擦れたりすることがトリガー)コフォートでは29.3%がFricスコアがゼロとなり、偽薬群の14.0%を上回った。寒冷蕁麻疹コフォートでは4℃未満の低温に暴露しても56.3%は発症しなかった(偽薬群は14.6%)。コリン性蕁麻疹コフォートでは29.3%が運動後でも数値評価尺度がゼロだった(偽薬群は15.8%)。
Rhapsidoは25~26年に抗ヒスタミンに応答不十分な特発性慢性蕁麻疹を適応として米欧で承認、日本でも第2部会を通過したところ。活性化したブロトン型チロシン・キナーゼがヒスタミンなどの炎症性物質の放出を刺激しないよう抑制する。
リンク: プレス・リリース
TYK2阻害剤の直接比較試験で武田に軍配
(2026年6月12日発表)
武田薬品は、TAK-279(zasocitinib)が第3相尋常性乾癬試験で類薬であるBMSのSotyktu(deucravacitinib)を上回る治療効果を挙げたと発表した。既に偽薬対照試験が二本成功しており、予定通り27年3月期中にグローバルな承認申請を開始する考え。
22年にNimbus Lakshmiを40億ドル+売上目標達成報奨金20億ドルで買収して入手したアロステリックTYK2阻害剤。上記の偽薬対照試験ではアムジェンのPDE4阻害剤Otezla(apremilast)を投与した参考群と見比べても大きく上回る奏効率を示したが、今回の3004試験は直接比較試験なのでエビデンスとしての質が高い。主評価項目の16週PASI100奏効率が35%超となり、Sotyktu群の2.5倍だった。
OtezlaはBMSが買収したセルジーンの製品だったが、市場がdeucravacitinibとバッティングするため米国連邦取引委員会に反トラスト法上の懸念を指摘され、アムジェンに売却した。その割にはSotyktuの効果は案外で、売上高も期待を下回っている。咬ませ犬化しつつあるのか、3月に米国で承認されたジョンソン エンド ジョンソンの経口IL-23受容体拮抗剤、Icotyde(icotrokinra)も、二本の第3相試験で奏効率が有意に上回った。16週PASI100奏効率は一本では31%対11%、もう一本は32%対14%だったので、今回のzasocitinibと似たような結果になっている。
リンク: プレス・リリース
顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーのAOCがバイオマーカーを改善
(2026年6月11日発表)
ノバルティスは、26年に110億ドルで買収したAvidity Biosciencesの抗体オリゴヌクレオチド結合体(AOC)がFSHD(顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー)に伴うバイオマーカー値を改善したと発表した。当局と相談する考え。加速承認申請の可能性を探るのだろう。
Avidityはオリゴヌクレオチドを抗トランスフェリン受容体1(TfR1)抗体と結合して標的細胞選択的に取り込ませる技術を持ち、複数のパイプラインを臨床段階に進めている。今回のAOC 1020(delpacibart braxlosiran)は、FSHDの原因となるDUX4(double homeobox 4)の異常発現を抑制するsiRNAを抗TfR1抗体と結合したもの。第1/2相FORTITUDE試験のコフォートAとBで用量漸増しながら10メートル歩行走行テスト成績などが偽薬群ほど悪化しないことなどを確かめた上で、今回のバイオマーカー・コフォートCに16~70歳の患者51人を2mg/kg 6週毎投与群と偽薬群に2対1割付けして12ヶ月間反復し、DUX4の異常発現により増加するRNA結合蛋白、KHDC1L(K-homology domain-containing 1 like)の血漿濃度抑制作用を検討した。副次的評価項目としてクレアチニン・キナーゼなどの低下も評価した。
ノバルティスに買収される前、同社はAOC 1044(delpacibart zotadirsen)をエクソン44スキップに応答するデュシェンヌ型筋ジストロフィーに承認申請する考えを示していたが、今回のプレス・リリースには第2相段階としか記されていない。新興企業はトップ・スピードで走り続けないとガソリン補給が受けられなくなるが、大手の傘下なら一般投資家に媚を売る必要もないので現実的な線で経営を進めることができる、この、よく見られる現象が同社にも起きたのかもしれない。だとしたら、AOC 1020に対する姿勢も変わるのだろうか?
リンク: プレス・リリース
ギリアドとMSD、HIV配合剤の第3相が成功
(2026年6月8日発表)
ギリアド・サイエンシズとMSDは、前者のlenacapavirと後者のislatravirの合剤をテストした二本のスイッチ試験で非劣性解析を達成したと発表した。承認申請する考え。
lenacapavirは長期作用性カプシド阻害剤。欧米日でHIV/AIDS治療薬Sunlencaとして承認されているほか、米国ではYeztugo、欧州ではYeytuo名でHIV/AIDSの曝露前予防薬としても承認されている。作用機序の独自さと半年に一回の投与で足りる点が特徴。今年4月にギリアドのインテグラーゼ・ストランド・トランスファー・インヒビターbictegravirとの合剤の承認申請が日米で受理された。
islatravirは日本で創製されたヌクレオシド逆転写トランスロケーション阻害剤。0.25mgをジョンソン エンド ジョンソンの非ヌクレオシド逆転写阻害剤doravirine 100mgと合剤にしたIdvynsoが3月に日本で、4月には米国でも、他の抗HIV薬でウイルス抑制に成功している患者がスイッチする用途で承認されたところ。
Idvynsoは一日一回経口投与だが、islatravir自体は半減期が長く、今回の合剤はislatravir 2mgとlenacapavir 300mgを週一回投与する。第3相ISLEND試験二本は、一本はギリアドのBiktarvy(bictegravir、emtricitabine、tenofovir alafenamide)による治療で、もう一本は他製品も含む抗HIV/AIDS薬治療で、HIV-1 RNAを50コピー/mL未満に抑制できている患者を組入れて、スイッチする群と従来薬継続群のフェール率(48週HIV-1 RNAが50コピー/mL以上に上昇)を比較した。Biktarvy対照試験はオープン・レーベル、もう一本のオールカマー試験は二重盲検。どちらも非劣性解析に成功した。
islatravirは20mgを他の薬と併用した週一回投与試験で総リンパ球数やCD4カウントが低下する現象が発生し、低用量一日一回投与の開発が先行した経緯を持つ。
リンク: 両社のプレス・リリース(当試験のスポンサーであるギリアドのサイト)
MSDとギリアド、肺癌一次治療の併用試験がフェール
(2026年6月8日発表)
一方、MSDのKeytruda(pembrolizumab)とギリアドの抗EGP-1(TROP-2)抗体Trodelvy(sacituzumab govitecan-hziy)を併用する便益を検討した第3相EVOKE-3/KEYNOTE D46試験は中止が決定した。この日本も参加したオープン・レーベル試験は、PD-L1高発現(TPS≧50%)の転移非小細胞性肺癌の一次治療薬として承認されているKeytrudaにTrodelvyを追加することでPFS(無進行生存期間)と全生存期間の延長を図った。しかし、PFSは最終解析でも改善トレンドに留まり、共同主評価項目の全生存期間はeDMC(外部データ監視委員会)が中間解析に基づき改善の見込み薄と判定、中止を勧告したもの。
両社は提携で両剤の様々な併用試験を行っている。トリプル・ネガティブ乳癌の一次治療試験はPFSが化学療法群を有意に上回り日本で適応拡大申請されたが、非小細胞性肺癌は化学療法歴と抗PD-(L)1抗体歴を持つ患者を組入れたdocetaxel併用試験がフェールし、ギリアドがImmunomedicsを買収してTrodelvyを入手した時の暖簾59億ドルのうち24億ドルを減損計上した。その時点ではEVOKE-03/KEYNOTE D46試験には自信を表明していたが、今回もあと一歩届かなかった。
リンク: 両社のプレス・リリース(当試験のスポンサーであるMSDのサイト)
サノフィ、CIDPの第3相一本がフェール
(2026年6月10日発表)
サノフィはSAR 445088(riliprubart)の第3相CIDP(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)試験のうち一本が中間解析で無益認定されたと発表した。この日本も参加したMOBILIZE試験は、免疫グロブリン点滴(IVIg)などによる標準療法に不応/不十分応答の患者140人を組入れて、上肢・下肢運動機能の改善作用を偽薬と評価するもの。主評価項目は24週のINCAT(Inflammatory Neuropathy Cause and Treatment)スコアがベースライン比1点以上低下(改善)した患者の比率。
もう一本のVITALIZE試験は続行する。こちらはIVIgに応答しているが障害が残るCIDP患者160人を組入れて、riliprubartにスイッチする群とIVIgを続ける群のINCAT1点改善奏効率を比較する。
riliprubartは補体C1複合体のC1セリンプロテアーゼ(C1s)に結合する抗体医薬。寒冷凝集素症用薬Enjaymo(sutimlimab-jome)と異なり活性化したC1sに選択的に結合する。この2剤は18年に買収したBioverativの開発品で、Enjaymoと同様にBioverativが17年に買収したTrue North Therapeuticsがオリジンと推測される。
尚、Enjaymoはサノフィが22年に米日欧で承認取得したが24年にRecordatiに事業譲渡している。
リンク: プレス・リリース
Jazz/PharmaMar、lurbinectedinの市販後薬効確認試験がまたフェール
(2026年6月12日発表)
Jazz Pharmaceuticalsは、PharmaMarが実施したポリメラーゼII阻害剤Zepzelca(lurbinectedin、欧州の製品名はZepsyre)の第3相LAGOON試験がフェールしたことを明らかにした。20年6月に米国で加速承認された時の市販後コミットメント試験が同年12月にフェールし、代替的位置付けであった当試験もフェールしたことで、加速承認取消の可能性が高まった。但し、別用途で本承認されている。
同薬は白金薬に不応/再発の小細胞性肺癌に単剤投与する用途用法で加速承認されたが、低量をdoxorubicinと併用する便益を検討した二次治療実薬対照試験で全生存期間のハザード・レシオが0.967となり、フェールした。代替的な市販後薬効確認試験としてIMforte試験とLAGOON試験の成否が注目され、前者は成功し25年に米国で本承認されたが、進展型小細胞肺癌の化学療法後地固め療法としてTecentriq(atezolizumab)と併用というかなり異なった内容であったためか、二次治療の本承認切替には至らなかった。
今回のLAGOON試験は小細胞性肺癌の二次治療実薬対照試験。メジアン生存期間はモノセラピー群が8.7ヶ月、低量をirinotecanと併用した群は10.9ヶ月、topotecanまたはCAV併用レジメンを用いた対照群は10.7ヶ月となり、モノセラピー群のハザード・レシオは1.190(95%信頼区間0.959-1.476)、併用群は0.902(同0.729-1.115)だった。後者は実薬と大差ない結果だが、実薬も試験薬も信頼区間で見ればレンジが広く、本当は実薬はちょっとしか効かず試験薬はそれよりかなり悪いかもしれない、という帰無仮説を否定することができない。
リンク: プレス・リリース
【承認申請】
テセントリクを結腸癌術後療法として承認申請
(2026年6月11日発表)
ロシュは米国で抗PD-L1抗体Tecentriq(atezolizumab)を結腸癌の術後療法として適応拡大申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は26年10月9日。
ステージIIIの、dMMR/MSI-H(ミスマッチ修復不全/高マイクロサテライト不安定性)を持つ結腸癌を摘出した後に、化学療法と併用するもの。エビデンスとなる第3相ATOMIC試験でmFOLFOX6レジメンに追加する便益を検討したところ、DFS(無病生存期間)のハザード・レシオが0.50、p<0.001と大変良い結果になった。3年DFS率は86%対76%。G3以上の有害事象発生率は71%対62%で上回った。
リンク: プレス・リリース
5月のEU承認申請
(2026年6月9日発表)
EMAによると、5月に新薬承認申請を開始した品目は以下の通り。
| 申請者 | 開発名など | 一般名 | 種類 | 適応症 | 米国 | 日本 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| バイエル | BAY 2433334 | asundexian | FXIa阻害剤 | 虚血性脳卒中予防 | 26/5申請受理 | 26/5申請受理 |
| Sun Pharma | Unloxcyt | cosibelimab | 抗PD-L1抗体 | 皮膚扁平上皮腫 | 24/12承認 | 不詳 |
| MSD | Idvynso | doravirine、islatravir | NNRTI、NRTTI | HIV/AIDS | 26/4承認 | 26/3承認 |
| Sustipharma | IMOJEV | - | 日本脳炎ワクチン、生 | 日本脳炎の予防 | 不詳 | 不詳 |
| Regeneron Pharmaceuticals | Otarmeni | lunsotogene parvec | 遺伝子療法 | otoferlin関連難聴 | 26/4承認 | 不詳 |
| サノフィ(ジェンザイム) | SAR402671 | venglustat | GCS阻害剤 | III型ゴーシェ病 | 26/5申請受理 | 不詳 |
【承認】
ウェリレグ・キイトルーダ併用が腎細胞腫術後療法に承認
(2026年6月12日発表)
FDAはMSDのHIF-2アルファ阻害剤Welireg(belzutifan)と抗PD-1抗体Keytruda(pembrolizumab)を併用で淡明細胞腎細胞腫の切除術後アジュバント療法に用いる適応拡大を承認した。EUでも審査中。日本も参加した第3相LITESPARK-022試験に1841人の患者を組入れて、Keytrudaに加えて、Welireg 120mgまたは偽薬を一日一回、52週に亘り経口投与したところ、中間解析でDFS(無病生存期間)のハザード・レリオが0.72(95%信頼区間0.59-0.87)となった、24ヶ月DFS率は各群80.7%と73.7%。副次的評価項目である全生存期間の解析は未成熟で有意差は出ていないが、昨年10月のMSDのプレス・リリースによると、ハザード・レシオは0.78と好ましい方向を指している。G3以上の治療時発現有害事象発生率は52%対30%で増加した。
Weliregはフォン・ヒッペル・リンドウ病関連腫瘍や腎細胞腫向けに米欧日で承認されている。
リンク: プレス・リリース
トルカプがPTEN欠乏前立腺癌に適応拡大
(2026年6月12日発表)
FDAはアストラゼネカのAKT阻害剤Truqap(capivasertib)を成人のPTEN欠乏型でアンドロゲン経路調節剤が未経験、または感受性の転移前立腺癌に適応拡大した。中段は聴き慣れない文言だが、従来は転移性ホルモン感受性前立腺癌と呼んでいたものを変更したようだ。abiraterone及びprednisoneと併用で、400mg一日二回経口投与を4日服用、3日休薬のペースで反復する。第3相CAPItello-281試験でPFS(治験医による放射線学的評価による無進行生存期間)がメジアン33.2ヶ月と、偽薬・abiraterone・prednisone併用群の25.7ヶ月を上回った。但し、ハザード・レシオは0.81(95%信頼区間0.66-0.98)、両側p=0.034とそれほどでもなかった。
原因を推測するためにカプラン・マイヤー曲線を見たところ、定期評価のタイミングと推測される時期の落ち込み(進行認定)が試験薬群のほうが大きい。PFS解析には付き物の現象だが、この試験では特に大きいように感じられる。FDAは、第2次トランプ政権では珍しく諮問委員会を招集し意見を求めたが、支持7人、反対1人、棄権1人で過半が承認に賛成した。メジアン値で半年以上の差であることを軽視できなかったのだろう。
Truqapは23~24年に米日欧である種の局所進行/転移乳癌に承認されている。
リンク: プレス・リリース
CNVP案件が8ヶ月審査で承認
(2026年6月12日発表)
FDAはサノフィのTzield(teplizumab-mzwv)を8~17歳のステージIIIの一型糖尿病用薬として加速承認した。CD3エプシロン鎖に結合する抗体医薬で、22年に8歳以上のステージII一型糖尿病に承認され、今年4月には1~7歳に適応年齢拡大している。
ステージIIは膵島細胞自己抗体を持つが血糖値は糖尿病ほどではなく症状もない。血糖値が更に上昇し頻尿や口渇などの症状が現れるとステージIIIと診断される。TzeieldはステージIIからIIIに進展するのを遅らせる効果が確認されているが、今回の承認は負荷テストにおけるCペプチド濃度というサロゲート・マーカーに基づくもの。
市販後薬効確認検査として欧米中日などの施設で第3相BETA-PRESERVE試験を行い、点滴静注を12日間連続で反復し、26週後にもう一回施行する便益を偽薬と比較する。サノフィのプレス・リリースによると8~17歳の328人を組入れる予定だが、治験登録には8~25歳の723人と記されており、主解析対象は17歳以下だが25歳まで症例を得る考えなのだろう。主評価項目は52週のHbA1cとミール・タイム・インスリン不使用日数。更に、EMA向けの主評価項目として、5歳以上を対象として食事負荷試験におけるCペプチド濃度も検討する。ということは、本試験は今後、5~7歳も組入れ対象になるのだろうか?
さて、ステージIII適応拡大はFDAがCNPV(委員長国家的優先バウチャ)を供与しており、早ければ25年12月にも承認される可能性があったが、だいぶ遅れた。癲癇や血栓のリスク、死亡例などがボトルネックという報道や、担当部署であるCDERの上層部が否定的であるためにサノフィがCNPV指定解除を求めたという報道が出たこともあった。
今週、一日に3件の承認が発表されたのは感慨深い。第2次トランプ政権におけるFDA上層部のドタバタがひと段落し、あるべき姿に戻る兆しなのだと良いのだが。
リンク: FDAのプレス・リリース
リンク: サノフィのプレス・リリース(6/13付)
リンク: BETA-PRESERVE試験の概要(ClinicalTrials.gov)
ヒムペブジがインヒビター保有血友病などに適応拡大
(2026年6月8日発表)
ファイザーはFDAが抗TFPI抗体Hympavzi(marstacimab-hncq)の適応拡大を承認したと発表した。24年に米欧日でインヒビター保有性のないA型/B型血友病の出血抑制薬として承認されたが、今回、年齢下限が12歳から6歳に引き下げられ、また、6歳以上のインヒビター保有者も適応となった。
12歳以上のインヒビター保有者を組入れた第3相BASIS試験では、出血事象発生率年率が出血時治療群と比べて93%低かった。12歳未満は外部対照試験に基づく。
リンク: プレス・リリース
【医薬品の安全性】
FDA、アライの稀な腎障害を通知
(2026年6月10日発表)
FDAはOTC体重管理薬alli(orlistat)のレーベルを改訂し稀な有害事象に急性腎障害等を追加することを承認した。高量の処方薬であるXenicalやそのGE品も対象。用量依存性は考え難いと判断しているようだ。
ロシュが米国では1999年に承認取得したリパーゼ阻害剤。alliはGSKが開発販売権を取得し、米国で2007年に承認取得した。急性腎障害等は2007~2023年に12例が報告され、うち8人が入院、5人が透析治療を受けた。7人はその後回復、1人は改善せず、他の4人は転帰不明。症状は急性腎障害、高シュウ酸尿症、シュウ酸カルシウム結石、シュウ酸腎症。このような症状が表れたら服用を止め、医師に相談する。腎臓疾患歴を持つ患者は事前に医療従事者に意見を求める。
Xenicalは2011年にEMAのCHMPがごく稀な肝障害について検討したことがあるが、便益が上回ると判定した。197~2011年に重度肝障害の薬物関連可能例が21例報告され、alliでも2007~2011年に9例の肝不全が報告された。その時点で累積服用者は数千万人に達していたので、頻度は低い。
リンク: FDAの安全性通知
【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】
| PDUFA | |
|---|---|
| 26/6推 | GSKのtebipenem pivoxil hydrobromide (複雑性尿路感染症) |
| 26/6/20 | Achieve Life Sciencesのcytisinicline(禁煙補助、CNPV案件) |
| 26/6/27 | SobiのNASP(Nanoecapsulated Sirolimus plus Pegadricase、管理不良痛風) |
| 26/6/29 | LantheusのLNTH-2501 (Ga-68 edotreotide Injection、神経内分泌腫瘍のPET造影剤) |
| 26/6/30 | Ionis PharmaceuticalsのTryngolza(olezarsen、重度高トリグリセライド血症) |
| 26/6/30 | Viridian TherapeuticsのVRDN-001(veligrotug、甲状腺眼症) |
| 26下 | ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV/AIDS) |
| 26下 | ギリアド・サイエンシズのTrodelvy(sacituzumab govitecan-hziy、laur/mTNBC1L PD-L1阻害剤不適向けと併用) |
| 26/7推 | Intra-Cellular TherapeuticsのCaplyta(lumateperon、統合失調症増悪予防) |
| 26/7推 | 武田薬品のrusfertide(真性多血症) |
| 26/7/3 | Ascelia Pharma ABのOrviglance(manganese chloride tetrahydrate、重度腎障害患者の肝MRI造影剤) |
| 26/7/6 | Orca BioのOrca-T(血液癌の制御性T細胞・幹細胞移植) |
| 26/7/7 | Vera Therapeuticsのatacicept(IgA腎症) |
| 26/7/17 | Celcuityのgedatolisib(HR+her2-進行乳癌) |
| 26/7/23 | Elevar Therapeuticsのcamrelizumabとrivoceranib(肝細胞腫) |
| 26/7/23 | サノフィのSarclisa(isatuximab-irfc、多発骨髄腫用薬の皮下注用新製剤) |
| 26/7/24 | 大塚製薬のcentanafadine(ADHD) |
| 26/8推 | Priovant Therapeuticsのbrepocitinib(皮膚筋炎) |
| 26/8推 | 武田薬品のTAK-861(oveporexton、ナルコレプシータイプ1) |
| 26/8推 | Regeneron PharmaceuticalsのREGN2477(garetosmab、進行性骨化性線維異形成症) |
| 26/8推 | JNJのImaavy(nipocalimab-aahu、温式自己免疫性溶血性貧血) |
| 26/8推 | アストラゼネカのAZD9833(camizestrant、ESR1変異乳癌) |
| 26/8/5 | モデルナのmRNA-1010(季節性インフルエンザ・ワクチン) |
| 26/8/13 | LantheusのMK-6240(MCIにおけるtau NFTのPET検査) |
| 26/8/17 | BMSのiberdomide(多発骨髄腫) |
| 26/8/17 | Mandos LLCのVTS-270(adrabetadex、幼児発症型ニーマン・ピック病C型) |
| 26/8/17 | ファイザー/アステラス製薬のPadcev(enfortumab vedotin-ejfv、筋層浸潤膀胱癌術前術後、pembrolizumab併用) |
| 26/8/22 | Capricor TherapeuticsのCAP-1002(deramiocel、DMD) |
| 26/8/23 | Ultragenyx PharmaceuticalのDTX401(pariglasgene brecaparvovec、糖原病Ia型) |
| 26/8/24 | エーザイのLeqembi皮下注(lecanemab-irmb、早期AD、維持療法限定解除) |
| 26/8/25 | Jazz PharmaceuticalsのZiihera(zanidatamab-hrii、her2陽性胃、胃食道接合部、胃食道腺腫) |
| 26/8/25 | BeOne MedicinesのTevimbra(tislelizumab、her2陽性胃、胃食道接合部、胃食道腺腫) |
| 26/8/27 | ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV) |
| 26/8/28 | ITMのITM-11(177Lu-edotreotide、胃腸膵神経内分泌腫瘍) |
| 26/8/30 | ファーマエッセンシアのBesremi’ropeginterferonalfa-2b-njft、本源性血小板血症追加) |
| 諮問委員会 | |
| 26/6/18 | VRBPAC:モデルナのmFLUSIVA(季節性インフルエンザmRNAワクチン) |
今週は以上です。
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。