【ニュース・ヘッドライン】
- ガザイバが原発性膜性腎症の蛋白尿を抑制
- ケレンディアは糖尿病性ではないCKDにも有効
- Innovent、武田と提携したADCが第3相達成、中国で承認申請
- ADC社、市販後薬効確認に成功も安全性に?
- PAM阻害剤、PIK3CA変異型の試験も成功
- miR-124エンハンサーが潰瘍性大腸炎の維持療法試験も成功
- イミフィンジなど3剤のTACE付随試験、PFSは達成
- レットヴィモの術後アジュバント試験が成功
- TALAPRO-3試験:HRR変異ならターゼナは早く使った方がよい
- PROTEUS試験:アーリーダも早い段階で使った方がよい
- コセンティクスを日米欧でリウマチ性多発筋痛症に適応拡大申請
- ロシュ、経口SERDを早期乳癌にも承認申請
- Vertex社、IgA腎症用薬を承認申請
- リブロファズをある種の頭頚部癌に適応拡大申請
- Zenas社、二重特異性抗体をIgG4関連疾患に承認申請
- Cogent社、c-KIT阻害剤がGISTにも承認申請受理
- Zydus社、PPARアゴニストが原発性胆汁性胆管炎に承認申請受理
- ゾコーバが米国で曝露後発症予防に初承認
- インド発の新規抗生剤が承認
- 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会
【新薬開発】
ガザイバが原発性膜性腎症の蛋白尿を抑制
(2026年6月5日発表)
ロシュは2月に抗CD20抗体Gazyva(obinutuzumab)の第3相原発性膜性腎症試験が成功と発表したが、ERS学会とNew England Journal of Medicine誌で結果が発表された。142人を組入れて完解率(uPCRが0.3以下、かつeGFRは安定的)をtacrolimus群と比較したところ、37%対6%で有意に上回った。rituximabのMENTOR試験では抗PLA2R自己抗体高値のサブグループにおける効果が小さかったが、今回のMAJESTY試験における探索的解析では効果が見られた。副次的評価項目の持続的eGFR低下はフェールした。G3以上の有害事象発生率も、感染症リスクも、両群同程度だった。ロシュは欧米当局と相談する考えで、承認されれば欧米で初の原発性膜性腎症用薬となる。
リンク: Fervenzaらの治験論文抄録(NEJM)
ケレンディアは糖尿病性ではないCKDにも有効
(2026年6月4日発表)
バイエルは3月に非ステロイド系ミネラルコルチコイド受容体拮抗剤Kerendia(finerenone)が第3相FIND-CKD試験で主目的を達成したと発表したが、詳細がERS学会とNEJM誌で公表された。レニン・アンジオテンシン系薬による治療を受けている、糖尿病を伴わない慢性腎疾患の成人1584人を組入れて、eGFR(推算糸球体濾過率)の変化を偽薬と比較したところ、32ヶ月間の年率スローブ分析で3.3mL/分/1.73m2低下と偽薬群の4.0mL/分1.73m2低下を有意に下回った。糸球体疾患(IgA腎症など)に伴う腎症や、SGLT2阻害剤同時使用患者においても効果が見られた。
副次的評価項目である腎心血管複合アウトカム(eGFRが57%以上低下、腎不全、心不全入院、心血管死)のハザード・レシオも0.77、p=0.04と、高度ではないが有意差があった。有害事象では高カリウム血症の発生率が17%対13%で上回った。同社は適応拡大申請する考え。
Karendiaは米国では成人の二型糖尿病関連慢性腎疾患と成人のLVEFが40%以上の心不全に承認されている。5月に一型糖尿病関連慢性腎疾患にも適応拡大申請された。
リンク: プレス・リリース
リンク: Heerspinkらの治験論文抄録(NEJM)
Innovent、武田と提携したADCが第3相達成、中国で承認申請
(2026年6月4日発表)
中国のInnovent Biologics(HKEX:01801)はIBI343(arcotatug tavatecan)が中国と日本で実施した第3相CLDN18.2陽性胃/食道胃接合部腺腫試験で主目的を達成したと発表した。中国で承認申請が受理されたことも明らかにした。提携先の武田薬品も日本で承認申請するのではないか。
胃腺腫などで高発現するClaudin 18.2を標的とする抗体とトポイソメラーゼI阻害剤を結合したADC(抗体薬物複合体)。25年10月に大中国圏以外の単独販売権を武田薬品に供与した。今回のG-HOPE-001試験は、治療歴のあるCLDN18.2陽性、her2陰性の局所進行切除不能/転移胃・食道胃接合部腺腫を対象に、6mgを3週毎投与する便益を医師が選んだ薬(irinotecanなど)と比較した。最初の中間解析で共同主評価項目の一つであるPFS(無進行生存期間)を達成した。データは未公表。全生存期間のほうには言及していないので、未成熟なのだろう。
リンク: プレス・リリース
ADC社、市販後薬効確認に成功も安全性に?
(2026年6月3日発表)
ADC Therapeutics(NYSE:ADCT)はZynlonta(loncastuximab tesirine-lpyl)が第3相LOTIS-5試験で主目的などを達成したと発表した。21~22年に米欧で再発/難治びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の単剤3次治療薬として加速/条件付き承認されたが、2次治療併用試験が成功したため第4四半期に米国で適応追加・本承認切替申請を行う考え。株価は下落した。死亡が対照群より多かったため。
抗CD19抗体とアルキル化剤の抗体薬物複合体。日本は22年に田辺ファーマが導入した。日本も参加した今回の試験は、440人の患者をZynlontaを抗CD19抗体rituximabと併用する便益をR-GemOX群(rituximab、gemcitabine、oxaliplatinの併用)と比較した。共同主評価項目のうちPFS(無進行生存期間、独立評価委員会方式)はメジアン値が6.1ヶ月対4.7ヶ月と若干上回り、ハザード・レシオは0.73、p=0.008だった。副次的評価項目の完全反応率なども上回った。一方、共同主評価項目の全生存期間は両群とも12.2ヶ月、ハザード・レシオは0.96だった。75歳未満のサブグループでは0.72、メジアン値は13.47ヶ月対10.97ヶ月だったが、75歳以上では1.38、9.86ヶ月対13.9ヶ月とだいぶ悪化している。
一因は、治療時発現有害事象による死亡が27人、13.2%と対照群の9人、4.6%を大きく上回ったこと。その多くは75歳以上で、原因別では肺炎など感染症による死亡が15人対5人と3倍だった。深刻有害事象発生率は何れかの薬の投与中止も上回った。
Zynlontaは一次治療の第2相rituximab併用試験で40人中7人が死亡し、中止に至ったことがある。この時点では1名以外は薬物関連ではなさそうという話だったが、全員が80歳以上と高齢だったことが思い起こされる。
リンク: プレス・リリース
PAM阻害剤、PIK3CA変異型の試験も成功
(2026年6月2日発表)
米国ミネソタ州ミネアポリスのCelcuity(Nasdaq:CELC)は、gedatolisibが第3相VIKTORIA-1試験のPIK3CA変異型乳癌コフォートで主目的を達成したと発表した。PIK3CA野生型コフォートは既に成功、25年11月に米国で承認申請したが、変異型にも申請する考え。
PI3K阻害剤やmTOR阻害剤と異なり、PI3K-Akt-mTORのPAM経路のPとMを阻害するPAM阻害剤。かってのワイスの開発品で、21年にファイザーから世界開発販売権を取得した。VIKTORIA-1試験は欧米アジアの施設で、成人のホルモン受容体陽性、her2陰性局所進行/転移乳癌でアロマターゼ阻害剤とCDK4/6阻害剤を投与中/後に進行した患者が対象。PIK3CA変異コフォートは、fulvestrant及びpalbociclibと3剤併用する便益をfulvestrant・alpelisib併用群と比較した。fulvestrantと2剤併用する群にも3:3:1と少ないが割付けている。
ASCO(米国臨床腫瘍学会)での発表によると、PFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)はメジアン11.1ヶ月と、対照群の5.6ヶ月を大きく上回り、ハザード・レシオは0.50(95%信頼区間0.37-0.68)となった。治療関連有害事象による試験薬投与中止が各群2.6%と7.1%で発生した。
副次的評価項目だが2剤併用群も好成績で、PFSはメジアン11.3ヶ月、対照群比ハザード・レシオは0.51(0.33-0.79)だった。治療時発現有害事象の発生率は3.8%。
全生存期間は両群とも未成熟だが好ましいトレンドが見られる由。
リンク: プレス・リリース
miR-124エンハンサーが潰瘍性大腸炎の維持療法試験も成功
(2026年6月1日発表)
フランスのAbivax(Euronext Paris:ABVX)はABX464(obefazimod)が第3相ABTECTメンテナンス試験で主評価項目を達成したと発表した。インダクション試験と合わせて26年第4四半期に米国で承認申請する考え。
炎症促進的サイトカインやキモカインの発現をダウンレギュレートするマイクロRNA、miR-124の発現を増強するmiR-124エンハンサー。第3相では25mgまたは50mgを一日一回経口投与する便益を検討している。成人の中重度活性期潰瘍性大腸炎を組入れて寛解導入を図った第3相ABTECT-1試験と同2試験で、50mg群はどちらも臨床的寛解率が偽薬群を有意に上回り、25mg群は一勝一敗だった。EU向けの主評価項目である内視鏡的改善達成率は両試験、両用量とも有意に上回った。
今回の維持療法試験はこれらの試験の応答者のうち580人を偽薬群、25mg群、50mg群に無作為化割付けして44週間治療したもの。臨床的寛解率は各群10.4%、50.8%、51.3%と両用量群とも有意差があった。
リンク: プレス・リリース
イミフィンジなど3剤のTACE付随試験、PFSは達成
(2026年6月1日発表)
アストラゼネカはASCO(米国臨床腫瘍学会)で切除不能肝細胞腫のTACE(肝動脈化学塞栓術)付随療法試験、第3相EMERALD-3試験の成績を公表した。抗PD-1抗体Imfinzi(durvalumab)、抗CTLA4抗体Imjudo(tremelimumab-actl)、そしてエーザイのVEGFR阻害剤Lenvima(lenvatinib)の3剤を併用することでPFS(無進行生存期間)の延長に成功したが、副次的評価項目である全生存期間の延長はそれほどでもなかった。また、Lenvimaを併用しなかった2剤併用群の成績のほうが見栄えした。
類似した試験では、MSDのKeytruda(pembrolizumab)とエーザイのLenvimaを併用した第3相LEAP-012試験もPFSは延長したが共同主評価項目の全生存期間はデータが成熟するにつれ悪化した模様で、中間解析で追跡が打ち切られた。あれこれ考えると、解釈が難しい。
今回の日本も参加した試験は、Imfinziは1500mgを4週毎点滴静注、Imjudoは初回だけ300mgを点滴静注するSTRANDレジメンとLenvima(用量は不明)を3剤併用する便益をTACEだけの群と比較した。中間解析でPFSのハザード・レシオが0.70、メジアン値は各群13.0ヶ月と9.8ヶ月となり、成功認定された。サブグループ分析も概ね同様であるようだ。副次的評価項目の全生存期間はハザード・レシオ0.84、p=0.1814と、どちらも今一つだった。
一方、ImfinziとImjudoの2剤だけを併用した群はPFSのハザード・レシオが0.71、名目p=0.006、全生存期間は同0.70、名目p=0.023と、2剤で十分ではないかと感じられる成績だった。但し、この解析は正式なものではない模様だ。
3剤併用と2剤併用の探索的比較では、ウイルス関連ではない症例においてはPFSのハザード・レシオが0.70(95%信頼区間0.44-1.09)だった。
もう一つの要チェック・ポイントであるG3以上の有害事象の発生率は、TACE群が28.6%、2剤併用群は64%、3剤併用群は71%だった。
LEAP-012試験は24年にESMO(欧州臨床腫瘍学会)でPFSデータが公表された段階では全生存期間のハザード・レシオは0.8(95%信頼区間0.57-1.11)、p=0.0867と、未成熟だが好ましい方向を向いていた。しかし、その後の中間解析で目標達成は見込み薄と判定され、打ち切られた。PFSは偽薬2剤を用いた盲検なので、今回の解析より信頼性は高いはずだが、意外な結果だ。理由は分からないが、この用途では、あるいはVEGFR阻害剤の真価を図るには、全生存期間をもっと長期追跡する必要があるのかもしれない。
アストラゼネカは適応拡大申請するのだろうか?それとも、全生存期間のデータがもっと成熟するのを待つのだろうか?
| EMERALD-3: | TACE+3剤 | TACE | TACE+2剤 | TACE |
|---|---|---|---|---|
| n | 293 | 292 | 175 | 175 |
| メジアンPFS(月) | 13.0 | 9.8 | 12.9 | 8.1 |
| 95%CI | 12.2-16.7 | 8.0-11.4 | 10.2-15.9 | 6.5-10.2 |
| HR(95%CI) | 0.70(0.57-0.86) | 0.71(0.56-0.91) | ||
| メジアン生存期間(月) | 39.5 | 34.7 | 未達 | 32.9 |
| HR(95%CI) | 0.84(0.65-1.09) | 0.70(0.51-0.95) | ||
| LEAP-012試験: | TACE+2剤 | TACE+偽薬 | ||
| n | 237 | 243 | ||
| メジアンPFS(月) | 14.6 | 10.0 | ||
| 95%CI | 12.6-16.7 | 8.1-12.2 | ||
| HR(95%CI) | 0.66(0.51-0.84) | |||
| メジアン生存期間 | ||||
| HR中間解析(95%CI) | 0.80(0.57-1.11) | |||
| HR直近 | 無益中止 | |||
出所:両社の発表や治験論文などから作成
リンク: プレス・リリース
レットヴィモの術後アジュバント試験が成功
(2026年5月31日発表)
イーライリリーは2月にRET阻害剤Retevmo(selpercatinib)がRET融合変異を持つステージIB~IIIAの非小細胞性肺癌(RETf+NSCLC)の治癒的放射線療法/摘出術後付随療法試験で主目的を達成したことを公表したが、ASCOでデータ発表した。医療に直ちに採用すべきと高評価を得ている。適応拡大申請する考え。
この第3相LIBRETTO-432試験は151人の患者を偽薬群と160mg群に無作為化割付けして一日2回、最長3年間、経口投与したもの。主評価項目はステージIIまたはIIIAのサブグループ109人のEFS(無イベント生存期間、治験医評価)。ハザード・レシオが0.17、2年EFSは各群61%と92%、メジアン値は31.8ヶ月と未到達と、大変良い結果だった。全生存期間は未成熟だが好ましいトレンドが見られたとのこと。
副次的評価項目である全被験者のEFSもハザード・レシオが0.17、2年EFS70%と94%と、似たような結果になっている。
リンク: プレス・リリース
TALAPRO-3試験:HRR変異ならターゼナは早く使った方がよい
(2026年5月30日発表)
ファイザーは3月にPARP-2阻害剤Talzenna(talazoparib)が第3相TALAPRO-3試験で主目的を達成したと発表したが、ASCOで学会発表した。この日本も参加した試験は、転移去勢感受性前立腺癌のアンドロゲン枯渇療法を開始してから3ヶ月以内の、HRR(相同組換え修復)遺伝子変異が見られる患者599人を組入れて、偽薬または0.5mg/日を同社のXtandi(enzalutamide)160mg/日と共に投与して、rPFS(放射線学的無進行生存期間、治験医評価)を比較した。結果は、ハザード・レシオが0.48、メジアン値は各群46ヶ月と未到達だった。3年rPFS率は56%と77%、うちBRCA変異型では49%対77%、その他の変異型では60%対76%だった。副次的評価項目である全生存期間の中間解析はハザード・レシオ0.77、p=0.09、両群ともメジアン未達となっており、今後も追跡する。同社は当局と協議する考え。
転移去勢感受前立腺癌の5~6割は2年内に転移去勢抵抗性前立腺癌に進行する、25%を占めるHRR型ではリスクが高い、とのこと。この試験はHRR検査を梃子にして早期に治療をステップアップする手法の有効性を示唆した。
リンク: プレス・リリース
PROTEUS試験:アーリーダも早い段階で使った方がよい
(2026年5月30日発表)
ASCOでは、ファイザーの第2世代アンドロゲン伝達阻害剤、Erleada(apalutamide)の第3相PROTEUS試験の結果も発表された。この日本も参加した試験は、治癒的摘出術/放射線療法を受ける高リスクの限局性/局所進行性前立腺癌2109人を対象に、術前術後に6ヶ月間ずつ、偽薬または240mg一日一回経口投与をアンドロゲン枯渇療法と共に施行した。主評価項目のpCR(病理学的完全反応率)は各群1.0%と8.9%となり、オッズ比は10だった。共同主評価項目のMFS(無転移生存期間、盲検独立中央評価)はハザード・レシオが0.80、p=0.02、メジアン値は両群未達、5年MFS率は73.5%と78.2%と、5ポイント弱の差があった。G3/4有害事象発生率は各群31.0%と39.6%で、試験薬群はラッシュなどが増加した。
リンク: Taplinらの治験論文抄録(NEJM)
【承認申請】
コセンティクスを日米欧でリウマチ性多発筋痛症に適応拡大申請
(2026年6月3日発表)
ノバルティスは、抗IL-17A抗体Cosentyx(secukinumab)をリウマチ性多発筋痛症(PMR)の治療に用いた第3相試験の学会・論文発表に際して、既に日米欧で適応拡大申請済みであることを明らかにした。欧州ではEMAが2月に審査開始している。
エビデンスとなる第3相REPLENISH試験は、成人患者381人を偽薬群、150mg群、300mg群に無作為化割付けして52週間治療した。当初はステロイドを併用したが24週かけて漸減した。主評価項目は第12週から52週にかけての持続的寛解率。昨年10月に300mg群が達成したことだけ公表されたが、今回、各群20.4%、40.6%、41.2%と2用量群とも偽薬を有意に上回ったことが判明した。副次的評価項目のステロイド累積投与量(年率、調整値)も各群2093mg、1683mg、1604mgとなり、ある程度の抑制に成功した。
Cosentyxは乾癬性関節炎やプラク乾癬、強直性脊椎炎、nr-axSpA(X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎)、化膿性汗腺炎に承認されている。
リンク: プレス・リリース
リンク: Stoneらの治験論文(NEJM)
ロシュ、経口SERDを早期乳癌にも承認申請
(2026年6月2日発表)
ロシュはRG6171(giredestrant)を米国で成人のエストロゲン受容体陽性、her2陰性のステージI/II/III乳癌の術後補助療法として承認申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は26年11月30日。日本も参加した第3相lidERA Breast Cancer試験の中間解析で、IDFS(無侵襲性疾患生存)率が3年時点で92.4%と、医師が選んだ内分泌療法を施行した群の89.6%を上回り、ハザード・レリオは0.70、p=0.001だった。全生存期間の解析は熟していないが改善のトレンドが見られる由。
この経口SERD(選択的エストロゲン受容体零落剤)は局所進行/転移段階の患者を組入れてeverolimusと共に投与したevERA試験で、特にESR1変異型サブグループで良績を上げ、先に承認申請された。審査期限は26年12月18日なので、順調なら今回の適応のほうが先に承認されることになる。
リンク: プレス・リリース
Vertex社、IgA腎症用薬を承認申請
(2026年6月1日発表)
Vertex Pharmaceuticals(Nasdaq:VRTX)は米国でpovetaciceptをIgA腎症用薬として承認申請し受理されたと発表した。予定通り優先審査バウチャを用いた模様で、審査期限は26年11月30日となった。
24年にAlpine Immune Sciencesを49億ドルで買収して入手した、TACIのCRD2ドメインとFcドメインの融合蛋白。BAFF(B cell activating factor)とAPRIL(a proliferation inducing ligand)に結合・阻害する。小野薬品が日本と韓国の権利をライセンスしている。
日本も参加した第3相RAINIER試験で80mgを4週毎皮下注したところ、中間解析で共同主評価項目の一つ、36週uPCR(尿蛋白クレアチニン比、24時間)が偽薬調整後で50%低下した。有害事象は尿路感染症や注射箇所反応など。自己抗体が見られたが効果や安全性に関する懸念は生じなかった。
リンク: プレス・リリース
リブロファズをある種の頭頚部癌に適応拡大申請
(2026年5月31日発表)
ジョンソン エンド ジョンソンは、Rybrevant Faspro(amivantamab and hyaluronidase-lpuj、和名リブロファズ)の頭頚部癌に関するデータをASCOで発表すると共に、既に米国で適応拡大申請していることを明らかにした。
EGFRとMETに結合する二重特性抗体で、米欧日でEGFR変異型非小細胞性肺癌に承認されている。今回は、免疫療法と白金化学療法歴のある難治/転移頭頚部癌(但し、HPV陽性の中咽頭扁平上皮腫やEGFR阻害剤歴のある患者は除外)102人に投与した後期第1相/第2相OrigAMI-4試験のコフォート1に基づくもの。確認ORR(客観的反応率)が42%(完全反応率15%、部分反応率27%)、メジアン11.8ヶ月追跡時点で反応持続期間はメジアン値未達、メジアン生存期間は12.5ヶ月だった。
リンク: プレス・リリース
Zenas社、二重特異性抗体をIgG4関連疾患に承認申請
(2026年5月28日発表)
米国マサチューセッツ州のZenas BioPharma(Nasdaq:ZBIO)は、米国でZB012(obexelimab)をIgG4関連疾患用薬として承認申請した。下期に欧州でも申請する考え。日本周辺やオーストラリアは権利をブリストル マイヤーズ スクイブに導出したせいか言及されていないが、第3相試験の被験者の3割弱を組入れた日本でも申請されるのではないか。
21年にXencor(Nasdaq:XNCR)からライセンスした、CD19とFcガンマ受容体IIbに結合する抗体。第3相INDIGO試験で194人の患者を偽薬群と250mg群に無作為化割付けして週一回皮下注を1年間反復してフレアの発生状況をモニターしたところ、各群54.6%と26.8%、ハザード・レシオ(time to event分析)は0.44、p=0.0005だった。深刻有害事象の発生率は19%と10%だった。
リンク: プレス・リリース
Cogent社、c-KIT阻害剤がGISTにも承認申請受理
(2026年5月28日発表)
Cogent Biosciences(Nasdaq:COGT)は米国でCGT9486(bezuclastinib)をimatinib歴のある消化管間質腫瘍(GIST)に承認申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は26年11月30日。本剤は先に非進行性全身性肥満細胞腫に承認申請されたが、審査期限は12月30日なので、GISTが第一適応症になりそうだ。今上期中に進行性全身性肥満細胞腫にも申請する予定。
第一三共の子会社だったPlexxikonが事業終了の2年前に導出した、c-KIT阻害剤。導出先の企業がUnum Therapeutics(Nasdaq:UMRX)を株式交換方式で逆買収して裏口上場し、上記社名に変更した。GISTにおけるエビデンスは第3相PEAK試験。sunitinibと併用した群のPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)がメジアン16.5ヶ月とsunitinibだけの群の9.2ヶ月を上回り、ハザード・レシオは0.50だった。有害事象は肝臓酵素上昇や貧血症が増加した。非進行性全身性肥満細胞腫はSUMMIT試験のパート2で24週TSS(Mastocytosis Symptom Severity Daily Diaryに基づく全般症状尺度)の低下が24.3点と、偽薬群の15.4点を上回った。進行性全身性肥満細胞腫ではAPEX試験のパート2で全般的反応率(部分反応以上)が49%だった。
リンク: プレス・リリース
Zydus社、PPARアゴニストが原発性胆汁性胆管炎に承認申請受理
(2026年5月28日発表)
インドのZydus Lifesciencesは、米国で完全子会社のZydus Therapeuticsがsaroglitazarを成人の原発性胆汁性胆管炎(PBC)用薬として承認申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は26年11月27日。承認なら27年3月にロンチする考え。
PPARアルファとガンマのアンタゴニストで、13年にインドで糖尿病性異脂血症用薬Lipaglynとして発売した。PBCではEPICS-III試験の第3相部分で第1選択薬であるUDCA(ursodeoxycholic acid)に不応/不耐の成人患者148人を1mg一日一回群と偽薬群に2対1割付けして52週間投与した。主評価項目は生化学的複合応答率(アルカリフォスフォターゼや総ビリルビンで評価)。56.7%と偽薬群の9.8%を有意に上回った。有害事象発生率は両群大差なかった。
リンク: プレス・リリース
【承認】
ゾコーバが米国で曝露後発症予防に初承認
(2026年6月1日発表)
塩野義製薬は、Xocova(ensitrelvir)が米国で12歳以上の曝露後発症予防薬として承認されたと発表した。感染者に濃厚接触した12歳以上の青少年・成人に、曝露後できるだけ早く、72時間以内に、投与を開始する。125mg錠を初回は3錠、その後は一日1錠、全部で5日間服用する。禁忌は重大な過敏反応歴や、代謝をCYP3A4酵素に依存する薬(その薬の副作用リスクが高まる)あるいはCYP3A4誘導作用のある薬(Xocovaの効果が薄れる)の同時使用。日本でも3月に適応拡大が承認されている。どちらもSCORPIO-PEP試験に基づくもの。ベースライン時点のPCR検査で陰性だった2041人のうち、偽薬群は9.0%が10日以内に発症したが、試験薬群は2.9%に留まり、リスク比は0.33(95%信頼区間0.22-0.49)だった。
リンク: プレス・リリース
インド発の新規抗生剤が承認
(2026年5月30日発表)
インドのWockhardtはFDAがZaynich(zidebactam、cefepime)を成人の感受グラム陰性菌による複雑性尿路感染症(腎盂腎炎を含む)に承認したと発表した。インドの製薬会社のNCE(新規化学物質)が米国で承認されたのは初めて。欧州でも承認申請中。
第4世代セファロスポリンのcafepimeを2g、ベータ・ラクタマーゼとペニシリン結合蛋白2を阻害する新開発のzidebactamを1g、配合した合剤。8時間おきに1時間点滴静注を7-10日間反復する。530人を組入れた第3相試験で奏効率(投与完了の7-10日後における臨床的治癒かつ微生物学的応答)が89.0%と、meropenem群の68.4%を有意に上回った。有害事象発生率は両群大差なかった。
リンク: プレス・リリース
【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】
| PDUFA | |
|---|---|
| 26/4推 | サノフィのTzield(teplizumab-mzwv、8歳以上の最近診断されたステージ3の一型糖尿病、CNPV案件) |
| 26/6推 | GSKのtebipenem pivoxil hydrobromide (複雑性尿路感染症) |
| 26/6推 | ファイザーのHympavzi(marstacimab-hncq、インヒビターを持つA/B型血友病) |
| 26/6/18 | アストラゼネカのTruqap(capivasertib、PTEN欠乏HSPC) |
| 26/6/19 | MSDのWelireg(belzutifan)とKeytruda(pembrolizumab)、併用で腎細胞腫術後療法 |
| 26/6/20 | Achieve Life Sciencesのcytisinicline(禁煙補助、CNPV案件) |
| 26/6/27 | SobiのNASP(Nanoecapsulated Sirolimus plus Pegadricase、管理不良痛風) |
| 26/6/29 | LantheusのLNTH-2501 (Ga-68 edotreotide Injection、神経内分泌腫瘍のPET造影剤) |
| 26/6/30 | Ionis PharmaceuticalsのTryngolza(olezarsen、重度高トリグリセライド血症) |
| 26/6/30 | Viridian TherapeuticsのVRDN-001(veligrotug、甲状腺眼症) |
| 26下 | ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV/AIDS) |
| 26下 | ギリアド・サイエンシズのTrodelvy(sacituzumab govitecan-hziy、laur/mTNBC1L PD-L1阻害剤不適向けと併用) |
| 26/7推 | Intra-Cellular TherapeuticsのCaplyta(lumateperon、統合失調症増悪予防) |
| 26/7推 | 武田薬品のrusfertide(真性多血症) |
| 26/7/3 | Ascelia Pharma ABのOrviglance(manganese chloride tetrahydrate、重度腎障害患者の肝MRI造影剤) |
| 26/7/6 | Orca BioのOrca-T(血液癌の制御性T細胞・幹細胞移植) |
| 26/7/7 | Vera Therapeuticsのatacicept(IgA腎症) |
| 26/7/17 | Celcuityのgedatolisib(HR+her2-進行乳癌) |
| 26/7/23 | Elevar Therapeuticsのcamrelizumabとrivoceranib(肝細胞腫) |
| 26/7/23 | サノフィのSarclisa(isatuximab-irfc、多発骨髄腫用薬の皮下注用新製剤) |
| 26/7/24 | 大塚製薬のcentanafadine(ADHD) |
| 26/8推 | Priovant Therapeuticsのbrepocitinib(皮膚筋炎) |
| 26/8推 | 武田薬品のTAK-861(oveporexton、ナルコレプシータイプ1) |
| 26/8推 | Regeneron PharmaceuticalsのREGN2477(garetosmab、進行性骨化性線維異形成症) |
| 26/10推 | JNJのImaavy(nipocalimab-aahu、温式自己免疫性溶血性貧血) |
| 26/8推 | アストラゼネカのAZD9833(camizestrant、ESR1変異乳癌) |
| 26/8/5 | モデルナのmRNA-1010(季節性インフルエンザ・ワクチン) |
| 26/8/13 | LantheusのMK-6240(MCIにおけるtau NFTのPET検査) |
| 26/8/17 | BMSのiberdomide(多発骨髄腫) |
| 26/8/17 | Mandos LLCのVTS-270(adrabetadex、幼児発症型ニーマン・ピック病C型) |
| 26/8/17 | ファイザー/アステラス製薬のPadcev(enfortumab vedotin-ejfv、筋層浸潤膀胱癌術前術後、pembrolizumab併用) |
| 26/8/22 | Capricor TherapeuticsのCAP-1002(deramiocel、DMD) |
| 26/8/23 | Ultragenyx PharmaceuticalのDTX401(pariglasgene brecaparvovec、糖原病Ia型) |
| 26/8/24 | エーザイのLeqembi皮下注(lecanemab-irmb、早期AD、維持療法限定解除) |
| 26/8/25 | Jazz PharmaceuticalsのZiihera(zanidatamab-hrii、her2陽性胃、胃食道接合部、胃食道腺腫) |
| 26/8/25 | BeOne MedicinesのTevimbra(tislelizumab、her2陽性胃、胃食道接合部、胃食道腺腫) |
| 26/8/27 | ギリアド・サイエンシズのbictegravir・lenacapavir合剤(HIV) |
| 26/8/28 | ITMのITM-11(177Lu-edotreotide、胃腸膵神経内分泌腫瘍) |
| 26/8/30 | ファーマエッセンシアのBesremi’ropeginterferonalfa-2b-njft、本源性血小板血症追加) |
| 諮問委員会 | |
| 26/6/18 | VRBPAC:モデルナのmFLUSIVA(季節性インフルエンザmRNAワクチン) |
今週は以上です。
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