2015年3月14日

海外医薬ニュース2015年3月15日号



【ニュース・ヘッドライン】

  • CTI、骨髄線維症の第三相が成功
  • FDA諮問委員会が二重顎治療薬を支持
  • ブリディオンの米国承認がまた遅延
  • 小児神経芽細胞腫用薬が米国で承認
  • FDA、チャンピックスの警告強化


【新薬開発】


CTI、骨髄線維症の第三相が成功

(2015年3月9日発表)

CTIバイオファーマ(Nasdaq:CTIC)と開発パートナーのバクスター(NYSE:BAX)は、pacritinibの第三相骨髄線維症試験が成功したと発表した。詳細は学会で発表する予定。年内に米国で、欧州は来年、承認申請の予定。

骨髄線維症といえば11年に米国でインサイト/ノバルティスのJAK1/JAK2阻害剤、Jakafi(ruxolitinib、和名ジャカビ)が承認されている。pacritinibはJAK2とFLT3を阻害、JAK1を阻害しないので血小板減少症などの副作用が小さい可能性がある。

今回のPERSIST-1試験は、Jakafiの適応である中重度リスクの骨髄線維症、真性赤血球増多症性、本態性血小板血症の患者をpaclitinibを一日一回、経口投与する群とbest available therapy(BAT)の群に2対1で割付けて脾臓量削減効果を検討した。Jakafiが承認されている国ではJakafiがbest available therapyである筈だが、この試験では禁止された。一方で、Jakafiの第三相試験では除外された血小板数が著しく低下した患者も組入れた。

プレスリリースには記されていないが、同社がSECに提出した年次報告書(10-K)によると、脾臓量削減成功率は19.1%でBAT群の4.7%を有意に上回った。Jakafiの試験では29%対0%だったので、患者背景が異なるのかもしれないが、見劣りする。

Jakafiは血小板数減少の副作用があり、検査数値に応じて用量を調整する必要がある。paclitinibは著しく低下した患者にも有効であった模様なので、このサブグループには貴重な選択肢になりうるだろう。

paclitinibはもう一本、PERSIST-2試験が進行中。こちらはJakafiを含むBATとの比較なので、どの程度の患者がJakafiを服用しているのか明らかではないが、ある程度の直接比較ができるかもしれない。FDAの特別プロトコル評価(SPA)を受けており、その意味でも、こちらの試験の方が重要だろう。

リンク:CTIのプレスリリース

リンク:CTIの年次報告書(7頁に治験データが記載)

【承認審査・委員会】


FDA諮問委員会が二重顎治療薬を支持

(2015年3月9日発表)

Kythera Biopharmaceuticals(Nasdaq:KYTH)は、頤下脂肪(二重顎)治療薬として昨年5月に承認申請したATX-101(deoxycholic acid)がFDAの皮膚眼科用薬諮問委員会の支持を受けたと発表した。17人の委員全員が便益がリスクを上回ると判定した。承認されれば初の二重顎治療薬になる。

天然の食物脂肪分解物質であるデオキシコール酸を化学合成した薬で、脂肪領域に月一回、最大4回注射する。第三相試験では、医師評価による奏効率と患者評価による奏効率が何れも偽薬群を有意に上回った。

2010年にバイエルが北米以外の権利を取得したが、14年に返還、見返りにKytheraの株式と債権、北米以外の売上に関する達成報奨金を受け取る権利を確保した。

リンク:Kytheraのプレスリリース

ブリディオンの米国承認がまた遅延

(2015年3月13日発表)

MSDは、Bridion(sugammadex、和名ブリディオン)のFDA諮問委員会がキャンセルされ、審査完了通知を受け取る見込みになったと発表した。

rocuroniumなどで全身麻酔を施行した後の回復に用いる選択的筋弛緩剤結合剤で、欧州では08年、日本でも10年に承認され、特に日本で普及している模様だ。米国は07年に承認申請されたが過敏反応リスクが見られたためFDAがアレルギー感受性試験の実施を求めた。13年に結果が提出され、諮問委員会が予定されたが、試験実施施設の立入り調査結果を検討するために、キャンセルされた。MSDは追加試験を実施し昨年10月に提出、3月18日に諮問委員会開催が予定されたが、またキャンセルになってしまった。

今回も理由は治験施設の立入り調査を行うことだ。スケジュール的に審査期限の4月22日に間に合わないため、審査完了通知を受領する可能性が高まった。

他社の薬の安全性確認試験で治験医が副作用に関する虚偽報告を行った前例があることはあるが、考え難い。なぜこんなことになったのか気になるところだ。

リンク:MSDのプレスリリース

【承認】


小児神経芽細胞腫用薬が米国で承認

(2015年3月10日発表)

ユナイテッド・セラピューティクス(Nasdaq:UTHR)は、FDAがUnituxin(dinutuximab)を小児神経芽細胞腫用薬として承認したと発表した。高リスク患者に集学的一次治療(切除、化学療法、造血幹細胞移植、及び放射線療法)を施行し部分反応以上だった場合に、isotretinoinと併用する。

腫瘍細胞の表面のGD2糖脂質を標的とするキメラモノクローナル抗体で、臨床試験では3年無再発生存率が63%とisotretinoinだけを投与した群の46%を上回り、3年生存期間も73%対58%で上回った。重度神経痛などの神経毒性や点滴反応が枠付警告されている。

同社は希少小児疾患優先審査バウチャーを獲得した。優先審査指定されない薬でもこのバウチャーを使えば優先審査される。他社が購入して用いることも可能で、類似のバウチャーが6700万ドルで譲渡されたことがある。

リンク:FDAのリリース

リンク:ユナイテッド社のプレスリリース

リンク:同(バウチャー取得について)

【医薬品の安全性】


FDA、チャンピックスの警告強化

(2015年3月9日発表)

FDAはChantix(varenicline、和名チャンピックス)に関する安全性情報を発出し、飲酒や癲癇に関する警告を追加したと発表した。

Chantixは選択的ニコチン受容体部分作動剤で、禁煙の補助療法薬。喫煙は肺癌や膀胱癌、COPD、心筋梗塞などのリスク因子だが、その多くは禁煙によってリスクを緩和できる。06年の米国発売時は大きな期待を受けたが、異常行動例が大きく報道され、激性や鬱気分、行動異常、自殺思慮などに関する枠付警告が導入されたため、売上高が08年の8.4億ドルをピークに減少に転じた。製造物責任訴訟が提起され、ファイザーは数億ドルの和解金を負担することになった。

ファイザーは精神学的安全性に関する調査分析を行い、警告解除を求めたが、昨年10月の諮問委員会では、8000人の大規模試験の結果が15年第3四半期に出るまで解除すべきではないという意見が過半を占めた。

今回の安全性情報は自発的有害事象報告(FAERS)の分析に基づくもの。アルコールに対する耐容力を低下させ激性行動のリスクを高めたり、癲癇発作を起こしたりすることが稀に起きるようだ。前者は48例、後者は64例で、Chantixは13年だけで米国の120万人が服用したので、頻度は低い。

発端になったダラスの事件は、ガールフレンドの家で飲酒していたロック・ミュージシャンが突然隣家のドアの前で騒ぎ、ドア越しに住人に射殺されたというもの。報道によると、以前にも飲酒時に幻覚を起こしたことがある由であり、私は、服用中はタバコだけでなく飲酒も我慢した方が良いかもしれないと書いたことがある。

リンク:FDAの安全性情報

今週は以上です。

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2015年3月8日

海外医薬ニュース2015年3月8日号



【ニュース・ヘッドライン】




  • 科学か、知的財産か、投資家保護か、それが問題だ
  • アムジェンのKyprolisがVelcadeに勝った
  • ベーリンガーがプラザキサ中和剤を承認申請
  • BMS、米国でYervoyの適応拡大申請が受理
  • バシリア/アステラスの抗真菌薬が米国で承認
  • オプジーボの適応拡大が光速承認
  • 米国初のバイオシミラーが承認
  • セルジーン、EUでアブラキサンが適応拡大


【今週の話題】


科学か、知的財産か、投資家保護か、それが問題だ

(2015年3月3日発表)

オレキシジェン(Nasdaq:OREX)が武田薬品と米国で販売している体重管理薬、Contrave(bupropionとnaltrexoneの徐放性合剤)について、ちょっとした議論が起きている。長期的な心血管安全性を確認するLIGHT試験の中間解析結果をオレキシジェンが公表したため、まだ進行中なのに治験の厳格性を損ねると批判が出ているのだ。報道によると、データ監視委員会の有力メンバーも、パートナーである武田も、眉をひそめている模様だ。

過去の経緯はこうだ。Contraveは米国で10年に承認申請されたが、血圧や心拍数の増加が見られたためFDAが心血管安全性確認試験の実施を要請、12年にLIGHT試験が開始された。9000人の肥満・高リスクオーバーウェート患者を組入れて心筋梗塞や脳梗塞、心血管死のリスクを偽薬と比較する。

開発をスピードアップするために、中間解析でリスクが著しく高い可能性を否定し最終解析でリスクが小さいことを確認する二段階方式が採用された。閾値は、中間解析はハザードレシオの95%上限が2未満、最終解析は1.4未満とされた。

この二段階方式はrosiglitazoneの心血管疾患リスク問題を契機に糖尿病新薬に心血管アウトカム試験が義務付けられて以来、広く採用されるようになった。長期大規模試験の完了を待っていたら新薬開発が遅れてしまうので妥協策として中間解析を使う。観察期間が短いとイベント発生数が少なくなり治験の検出力が低下するため、信頼区間が広くなる。そこで、第二の妥協策として、リスクが1.9倍であっても容認することになった。勿論、本当に1.9倍なら許容できないが、真偽は最終解析を待って判断する。

LIGHT試験は13年に中間解析が成功、その翌年にContraveが承認されたが、ここで最初の珍現象が起きた。FDAが心血管安全性確認試験をもう一本、実施するよう求めたのだ。中間解析結果を多くの関係者が知ったために治験の厳格性が損なわれることを懸念した。FDAの資料によると、オレキシジェンのCEOや幹事証券会社、武田の営業責任者など100人以上が知ることのできる立場にあった。

FDAは、同時に、LIGHT試験を最後まで実施することも求めた。新しい発見があるかもしれないし、もう一本の試験が順調に完了するとは限らないからだ。従って、中間解析の詳細を公表するのは好ましくないのだが、オレキシジェンが中間解析のデータに基づいて出願していた特許が発行され、明細書に記されていた治験データが白日の下に晒されてしまったのである。

更に、オレキシジェンは重要な情報を全ての投資家に公平に開示する意図で、データサマリーをSECに提出した。一見すると大変良さそうなデータであり、カプラン・マイヤー・カーブも信じられないほど早く、きれいに分離している。

具体的には、主要有害心血管イベントの発生数がContrave群は4455人中35人、偽薬群は4450人中59人、ハザードレシオは0.59、95%信頼区間は0.39~0.90、p値は0.0001未満。大きな差があったのは心血管死でハザードレシオ0.26、95%信頼区間0.10~0.70だった。データが100人以上に周知されたのは中間解析の後である模様なので、このデータ自体に疑惑が生じている訳ではない。公開後にオレキシジェンの株価が高騰したのは頷ける。

だが、投資家が希望の種を探し物事を楽観的に受け止める傾向があるのに対して、医学者や統計学者は効能については慎重に、リスクについては真剣に、受け止めなければならない。今回の中間解析は目標イベント数の1/4しか発生していない段階のものなので、数値が良くても悪くても元々が荒いデータなのだから信頼性は低い。最終解析がハザードレシオで1に近付いたり、有意性が失われたりすることも珍しくないのである。

この試験は、体重管理薬の一般的な用法に即して、体重が十分に減少しなかった患者は服用を止めるプロトコルが導入され、過半の患者が途中で服用を中止した。だから、上記のIntent-to-treat分析でこんなに良い数字が出るのは意外であり、両群のカプラン・マイヤー・カーブが1ヶ月も経たないうちに分かれていることにも違和感がある。心血管死だけが95%上限が1未満であったことも奇妙で、普通は、イベント数の多い心筋梗塞で1未満であっても心血管死では1を跨ぐことが珍しくない。

何故オレキシジェンは信頼性が高くない、そして公表すべきでないデータを公表したのか?Contraveの売上を増やすためなのか?おそらく、違うだろう。単に、治験の厳格性や統計学の基礎を知らないだけなのではないか。新興企業や有名な医学者でも時々見られることだ。宝くじに当たったからといって、自分を天才と思い込んで全財産を投じてはいけない。世の中は偶然に満ち溢れているのだから。

リンク:オレキシジェンが取得した特許

リンク:オレキシジェンのSEC提出文書

【新薬開発】


アムジェンのKyprolisがVelcadeに勝った

(2015年3月1日発表)

アムジェンは、多発骨髄腫の三次治療薬として承認されているKyprolis(carfilzomib)が二次治療直接比較試験の中間解析で武田薬品/ジョンソン・エンド・ジョンソンのVelcade(bortezomib)より優れたPFS(無進行生存期間)を達成したと発表した。数値はなかなか良く、留意すべき点はあるものの、進行中の一次治療直接比較試験に期待を持たせる。

どちらもプロテアソーム阻害剤で、発売が9年遅かった分、Kyprolisの売上高は見劣りするが、エビデンスが積み重なるにつれて差を詰めて行くだろう。今回のENDEAVOR試験の結果はASCO(米国臨床腫瘍学会)で発表される予定で、Kyprolisの長所と見做されている末梢神経症の副作用に関する分析も公表されるようだ。

ENDEAVOR試験は多発骨髄腫二次治療の代表的レジメンの一つであるVelcade・dexamethasoneの併用と、Kyprolis・dexamethasoneの併用法のPFSを比較した。一次治療でVelcadeを使った患者も受け入れたので、Velcade群に不利であるように感じられる。通常は、このような患者の二次治療にはRevlimid・dexamethasoneのレジメンを使うのではないか。

Kyprolisは三次治療モノセラピーで承認されている用量用法より高量を用いた。28日サイクルでサイクル毎に6回投与する点では同じだが、承認用法は第1サイクルは一回20mg/m2を2~5分点滴、第2サイクル以降は27mg/m2に増量であるのに対して、30分点滴で第1サイクルの3回目から56mg/m2に増量した。

結果は、Kyprolis群のメジアンPFSは18.7ヶ月、Velcade群は9.4ヶ月、ハザードレシオ0.53、95%信頼区間0.44~0.65という実薬対照試験とは思えないほど大きな差があった。全生存期間の解析は未だ行われていない。忍容性は、有害事象による治験離脱や治療期間中の死亡は両群同程度だった。但し、心不全や腎不全はKyprolis群のほうが多かった由。

学会発表時には、一次治療でVelcade以外の薬を用いた患者のデータや、高集中度レジメンの忍容性、そして心不全や腎不全、末梢神経障害の発生頻度や重篤度がチェックポイントになりそうだ。

一次治療直接比較試験はMPレジメン(melphalanとprednisone)と併用するCLARION試験とRdレジメン(Revlimid<lenalidomide>と低量dexamethasone)と併用するECOG主導試験の二つが進行中で、開票は来年以降だろう。

リンク:アムジェンのプレスリリース

【承認申請】


ベーリンガーがプラザキサ中和剤を承認申請

(2015年3月3日発表)

ベーリンガー・インゲルハイムは、Pradaxa(dabigatran etexilate mesilate、和名プラザキサ)に結合して作用を中和する完全ヒト化抗体フラグメント、idarucizumabを欧米カナダで承認申請したと発表した。FDAからブレイクスルーセラピー指定を受けており、優先審査になるのではないか。

Pradaxaのような直接的トロンビン阻害剤やXarelto(rivaroxaban、和名イグザレルト)のようなXa阻害剤はワーファリンより薬物動態が優れているが、難点は、例えば事故に遭ったり緊急手術が必要になった時の解毒剤がないことだ。出番は決して多くないだろうが、万一の備えはあった方が良い。

Xa阻害剤の中和剤ではポートラ・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:PTLA)が遺伝子組換え型ヒトXa因子、andexanet alfaを開発中。こちらもブレイクスルーセラピー指定されており、年末までに承認申請される見込みだ。

リンク:ベーリンガーのプレスリリース

BMS、米国でYervoyの適応拡大申請が受理

(2015年3月2日発表)

BMSは、末期黒色腫用薬Yervoy(ipilimumab)の適応拡大申請がFDAに受理されたと発表した。PDUFA審査期限は10月28日。ステージ3の癌を完全切除した後に、高リスク患者に対して施行するアジュバント療法で、治験データを見る限りでは有効だが忍容性に難がありそう。承認されたとしても特にリスクの高い患者に限定して用いられることになるのではないか。

YervoyはCTLA-4に結合する抗体医薬で、活性化した細胞傷害性Tセルが腫瘍細胞によって抑制されるのを妨げる。承認されている用量用法は3mg/kgを90分点滴静注、3週間毎に計4回だが、多くの試験では10mg/kgを採用しており、今回も同じ。初めは3週間毎、5回目からは3ヶ月毎に、最長で3年間投与した。

結果は、無再発生存期間のメジアン値が26.1ヶ月と偽薬群の17.1ヶ月を上回り、ハザードレシオ0.75、95%信頼区間0.64~0.90だった。3年時点の無再発生存率は46.5%でこれも偽薬群の34.8%を上回った。全生存期間の解析結果は未だ発表されていない。

術後アジュバント療法はその時点では軽快した患者が対象なので、末期癌より高い忍容性が求められる。Yervoy群は半分の患者が薬物関連有害事象により治験を離脱、うち致死的な症例が5例(全体の1.1%)だった。

コース全体では、末期黒色腫の3倍以上の量を3~4倍の回数、投与するので、途中で離脱しなければ薬剤費が100万ドルを超える。大変高額な治療なので、一部の患者にしか使われなくても十分にペイするだろう。

リンク:BMSのプレスリリース

【承認】


バシリア/アステラスの抗真菌薬が米国で承認

(2015年3月6日発表)

スイスのバシリア(SIX:BSLN)は、ライセンシーのアステラス製薬が米国で承認申請していたCresemba(isavuconazonium sulfate)がFDAに承認されたと発表した。アゾール系の抗真菌薬で、侵襲性アスペルギルス症やムーコル症の治療に用いる。静注用と経口剤がある。感染症製品認定を受けており、排他権が5年間、延長されることになる。この疾患は臓器移植や血液癌などの治療で免疫力が低下した患者が発症しやすく、アステラスには販売面のシナジーがある。

リンク:FDAのプレスリリース

リンク:バシレアのプレスリリース

オプジーボの適応拡大が光速承認

(2015年3月4日発表)

FDAはBMSのOpdivo(nivolumab、和名オプジーボ)を扁平上皮非小細胞性肺癌の二次治療に用いる適応拡大を承認した。BMSが申請受理を公表したのは2月末なのでビッグサプライズだ。光速承認の最大の立役者はBMSとFDAの努力だが、BMSの行動と広報にタイムラグがあったことも一因だろう。

Opdivoは米国では14年9月に末期黒色腫の二次治療薬として承認申請され、3ヶ月後に承認されたが、それに先立つ14年4月に再発性扁平上皮非小細胞性肺癌用薬としてローリング承認申請が開始されていた。承認申請に必要な三種類の文書が揃う前に、出来上がったものから提出して審査を開始してもらうもので、通常は、臨床試験のデータが最後に提出される。薬の特性や生産方法に関する審査が先に終わっていたから短期間で承認されたのだろう。

肺癌の申請は元々は第二相三次治療試験をエビデンスとするものだったが、昨年12月に第三相二次治療試験が中間解析で成功、同月中にFDAに報告され、二次治療薬としての承認に繋がった。この試験成功が発表されたのは1月18日なので、1ヶ月のタイムラグがあった。また、BMSはローリング承認申請が完了した12月ではなく受理されPDUFA審査期限が伝達された2月に公表したため、2ヶ月のタイムラグが生じた。

さて、承認されたレーベルによると、第三相二次治療docetaxel対照試験の中間解析でメジアン生存期間が9.2ヶ月とdocetaxel群の6.0ヶ月を上回り、ハザードレシオ0.59、95%信頼区間は0.44~0.79だった。流石にこの試験に関する情報量は限られており、投与期間の実績や減量・離脱データ、有害事象に関する情報は記されていない。FDAは治験の最終報告書を提出するよう求めており、現段階では公表は早いと思っているのだろう。

OpdivoはTセルの抑制刺激受容体であるPD-1に結合して腫瘍細胞がレガンドを発現しTセルの増殖やサイトカイン放出を抑制するのを妨げる。作用機序から考えると応答性がPD-1やレガンドの発現状況と関連する可能性があり、この第三相試験でも評価項目の一つになっている筈だが、レーベルには言及されていない。おそらく、低発現症例でも無効ではなかったのだろう。

第二相三次治療単群試験ではメジアン生存期間が8.2ヶ月と、二次治療試験と同様な結果になった。グレード3以上の薬物関連有害事象の発生率は17%、有害事象による治験離脱12%、深刻な有害事象としては免疫調停性の肺炎、間質性肺疾患、大腸や肝臓、腎臓、ホルモン分泌腺の疾患が見られた。日本はEGFR阻害剤で間質性肺疾患が他の国より多く発生しているので、気を付けるべきだろう。

ライバルのMSDはKeytruda(pembrolizumab)を年央に非小細胞性肺癌二次治療薬として適応拡大申請する見込み。3ヶ月で承認されたとしてもBMSから半年遅れることになる。未承認でもASCOでデータを発表できれば普及し始めるが、タイミング的に間に合うとは思えず、間に合ったとしても承認されている薬があるのに敢えてKeytrudaを使う医師は少ないだろう。

但し、Opdivoが承認されているのは非小細胞性肺癌の25~30%を占める扁平上皮腫だけなので、全面的な競争が始まるのはKeytrudaの適応拡大が承認され、Opdivoのそれ以外のタイプを組入れた二次治療試験の結果が出てからだろう。

リンク:FDAのプレスリリース

リンク:BMSのプレスリリース

米国初のバイオシミラーが承認

(2015年3月6日発表)

FDAは、ノバルティスのサンド部門が承認申請していた遺伝子組換え型G-CSF製品、ZarxioをアムジェンのNeupogen(filgrastim)のバイオシミラーとして承認したと発表した。米国は利害関係者の政治力が強くバイオシミラーの承認基準・法制が固まるまで時間が掛かったため、今回が初めての承認になる。

法制上は二種類のバイオシミラーが想定されているが、ZarxioはNeupogenと互換とは認定されていないので、小分子薬のジェネリックとは異なり、処方箋にNeupogenと記されていたらZarxioで代替することはできない。米国では既に複数のG-CSF製品が販売されているが大きな売上にはなっておらず、Zarxioも当初はゆっくりとしか普及しないだろう。複数の薬のバイオシミラーが承認されている欧州と同様に、医師は、誰かに先に使ってもらって感想を聞いてから使う、After youスタンスを取るだろう。

アムジェンは02年に持効性のNeulasta(pegfilgrastim)を発売、既に需要をシフトさせているが、カナダのApotex社が昨年12月にバイオシミラーの承認申請を行っており、こちらのほうが主戦場になりそうだ。

尚、FDAはZarxioの一般名をfilgrastim-sndzと表記しているが、このEUや日本と類似した表記を正式に決定した訳でなく、便宜的表記である由。

リンク:FDAのプレスリリース

リンク:サンドのプレスリリース

セルジーン、EUでアブラキサンが適応拡大

(2015年3月2日発表)

セルジーン(Nasdaq:CELG)は、Abraxane(アルブミン結合paclitaxel、和名アブラキサン)がEUで非小細胞性肺癌の一次治療薬として承認されたと発表した。carboplatinと併用する。承認のエビデンスとなったpaclitaxel対照試験では、ORR(客観的反応率)が33%とpaclitaxel群を有意に上回った。

リンク:セルジーンのプレスリリース

今週は以上です。

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2015年3月1日

海外医薬ニュース2015年3月1日号



【ニュース・ヘッドライン】

  • CROI:アビガンのエボラ試験データ
  • エーザイ、ハラヴェンの適応拡大試験が成功
  • アムジェン、AMG 416の直接比較試験が成功
  • イーライリリー、PEG化ヒューマログの開発遅延
  • BMS、オプジーボを米国で肺癌に適応拡大申請
  • CHMPがノバルティスの新薬などに肯定的意見
  • ノバルティスのHDAC阻害剤が逆転承認
  • アクタビスのベータラクタマーゼ配合剤が米国で承認
  • 新規MAO-B阻害剤がEUで承認
  • アイリーア、EUでBRVOが承認


【今週の話題】


CROI:アビガンのエボラ試験データ

(2015年2月25日発表)

favipiravir(富山化学のインフルエンザ治療薬、アビガンの一般名)のエボラウイルス疾患試験の中間解析データがCROI(レトロウイルス及び日和見感染会議)で発表された。高ウイルス量、高血中クレアチニン値の患者に対する効果は見られないが、中低ウイルス量の患者の死亡リスクを半減できる可能性が示唆された。今後は、高ウイルス量の患者には他の薬との併用が検討されることになるのではないか。

この第二相試験はMSF(国境なき医師団)とALIMA(Alliance for International Medical Action)のギニアの施設で実施されたもの。favipiravirの用法は、成人の場合、初日は6000mgを3回に分けて投与、その後は1200mgを一日二回、全部で10日間投与した(日本でインフルエンザに承認されている用量の2~3倍を倍の期間投与)。主評価項目は14日死亡率。対照群はこれらの二施設で昨年9月15日から12月14日までに治療を受けた患者。

今年1月にデータ監視委員会が成人青少年69人のデータを発表するよう推奨、CROIでの発表に至った。エンバーゴ(報道規制)が掛かっていたのか、事前にリークしたのは一部の報道機関だけで、筆者の知る限り日本では報道されなかった。

まず、全69例の死亡率は48%で、ヒストリカル・コントロールの57%と有意な差は無かった。しかし、ベースライン時点でCt値が20以上であった39例では15%対30%と半減した。p値は0.05なので有意性はあまり高くない。このサブグループはCt値が4日後にメジアンで12.3上昇した。一方、20未満の28例の死亡率は93%対85%と有意差は無かった。

Ct値はPCRでウイルスを増幅する時に、閾値に達するまでの増幅回数を示すらしい。Ct値20はウイルス量が1億コピー/mlに相当、Ct値の12.3上昇はウイルス量でいえば4log10の減少に相当する由。尚、被験者のCt値のメジアンは20なので、この閾値はデータマイニングで選んだものではなさそうだ。

抗ウイルス剤は高ウイルス量患者には効き難いものなので、今回の結果は納得のいくものだ。Ct20以上の患者を更に25未満と25以上に分けた解析でも前者は死亡率25%対37%、後者は0%対20%と、対照群の死亡率も薬の効き具合もウイルス量に相関している。

高ウイルス量の患者のケアが未解決だが、もしウイルス量の違いが発症から診断を受けるまでの時間の違いだとしたら、有望な治療法が現れれば患者が早く受入施設に向かうようになるだろうから、より多くの患者を救うことができるだろう。

MSF・ALIMAは引き続き試験が必要と考えている模様。

注記:ALIMAのサイトにアクセスしようとしたところウイルスバスターの警告が出たため止めました。

リンク:Sissokoらの抄録(CROI 2015)

【新薬開発】


エーザイ、ハラヴェンの適応拡大試験が成功

(2015年2月25日発表)

エーザイは、ハラヴェン(海外ではHalaven、一般名eribulin)の第三相軟部肉腫三次治療試験が成功したと発表した。データは学会で発表される模様。15年度上期に日米欧で適応拡大申請する計画。

ハラヴェンは転移性乳癌の三次治療などに承認されている。今回の試験は、anthracyclineを含む二次の治療を既に受け最終治療に抵抗性だった患者を組入れて、乳癌と同じ1.4mg/m2を21日サイクルで第1日と第8日にボラス点滴する群と、dacarbazineを投与する群に無作為化割付して、延命効果を比較したもの。

リンク:エーザイのプレスリリース(和文)

アムジェン、AMG 416の直接比較試験が成功

(2015年2月25日発表)

アムジェンは、AMG 416の第三相cinacalset対照試験が成功したと発表した。慢性腎疾患透析期の二次性副甲状腺機能亢進症を治療する試験で、副甲状腺ホルモン削減奏効率が非劣性だった。

この疾患は透析期の患者の多くが合併する。腎機能低下に対応するために副甲状腺ホルモンの分泌が増えてカルシウムやリンのバランスを正常に維持できるようにするが、やがて分泌過剰になり高カルシウム血症、高リン血症を発症するようになる。cinacalsetはカルシウム受容体を作動する経口剤で、欧米ではアムジェンがSensipar名で、日本では協和発酵キリンがレグパラ名で販売している。

AMG 416はカルシウム感受受容体を作動する静注用薬で、日本では小野薬品がONO-5163として第三相試験中。アムジェンのプレスリリースを読むと、効果はcinacalsetと同程度で評価項目によっては優れている面もあるようだが、忍容性のデータはやや気がかりだ。治療時発現有害事象では症候性カルシウム血症の発生率が5%とcinacalset群の2.3%を上回り、心不全も3%対0.6%と多い。深刻有害事象は25.1%対27.3%でやや低かったが致死的有害事象は2.7%対1.8%でやや多い。

リンク:アムジェンのプレスリリース

イーライリリー、PEG化ヒューマログの開発遅延

(2015年2月23日発表)

イーライリリーはLY2605541(peglispro)の承認申請が2016年より後に遅れる見込みであることを明らかにした。当初の見込みでは14年、直近では15年第1四半期に承認申請する計画だった。

lisproは同社の速効性インスリン、Humalog(和名ヒューマログ)の活性成分で、遺伝子組換え型ヒトインスリン。これをPEG化して持効性にしたものがLY2605541で、サノフィのLantusの市場を狙った。

開発遅延の理由は明らかではないが、肝毒性懸念と推測される。2011年に第三相入りしたが、これまでの試験では肝機能検査値異常がLantus群より多く発生し、肝脂肪の増加も見られた。薬物誘導性肝障害リスクを評価する上で一般的に用いられているHyの法則に該当する症例はなかったが、新たに発生したのかもしれない。血糖治療薬では武田のTAK-475(lapaquistat)が08年に肝毒性懸念から開発中止になったことがある。

イーライリリーは糖尿病領域でベーリンガー・インゲルハイムと広範な開発販売提携を行っていて、LY2605541も対象だったが、2年前に単独開発に変更された。提携対象のLantusのバイオシミラーは日米欧で承認取得済み。他社も含めて、シミラーが発売されればLantusやLY2605541の価格も影響を受ける。バイオシミラーは小分子薬のジェネリックよりかなり高いので、特許性新薬開発会社にとってミー・ツー・ドラッグを苦労して開発するよりよっぽど有望な分野だ。

リンク:イーライリリーのプレスリリース

【承認申請】


BMS、オプジーボを米国で肺癌に適応拡大申請

(2015年2月28日発表)

BMSは、Opdivo(nivolumab、和名オプジーボ)を再発性扁平上皮非小細胞性肺癌用薬として米国で承認申請し受理されたと発表した。優先審査指定され、審査期限は6月22日。申請の根拠となったCheckMate-063試験は三次治療試験だが、プレスリリースの適応症の箇所には前治療歴のある患者としか記されていないので、二次治療も含んでいるのかもしれない。

同じ抗PD-1抗体ではMSDのKeytruda(pembrolizumab)が悪性黒色腫ではOpdivoより三ヶ月早く承認された。非小細胞性肺癌ではBMSが先に適応拡大申請したがMSDも今年年央に申請する予定。対象患者が若干異なり、MSDは扁平上皮腫以外も含む二次治療薬としての申請と推測される。扁平上皮腫は25~30%を占めるだけなのでKeytrudaの方が3倍多く、また、Keytrudaを二次治療に使った患者は三次治療にOpdivoを使わないだろうから、対象患者の細かな違いが重要な意味を持ちうる。

投与方法も若干異なり、Opdivoは二週間に一回の点滴静注、Keytrudaは三週間に一回。効果が同程度ならKeytrudaの方が便利だ。

リンク:BMSのプレスリリース

【承認審査・委員会】


CHMPがノバルティスの新薬などに肯定的意見

(2015年2月27日発表)

EUの医薬品科学的評価委員会であるCHMPは、2月の会議で以下の新薬・適応拡大に肯定的意見を纏めた。順調なら2~3ヶ月以内のEU全域で承認されることになる。

リンク:CHMPのプレスリリース

まず、ノバルティスのALK阻害剤、Zykadia(ceritinib)。ALK陽性の転移性非小細胞性肺癌で、Xalkori(crizotinib、和名ザーコリ)による治療を既に受けた患者に用いる。第一相試験では反応率56%、反応持続期間はメジアン8ヶ月、第二相では各37%と9ヶ月。深刻な有害事象は肝毒性、胃腸有害事象、QT延長や徐脈、間質性肺疾患や肺炎、高血糖症など。対照試験の裏付けがないため条件付き承認を推奨した。米国では昨年承認。

リンク:CHMPのプレスリリース

リンク:ノバルティスのプレスリリース

次に、大塚製薬のバソプレシン2受容体拮抗剤、Jinarc(tolvaptan)。急速進行性のADPKD(常染色体優性多発性嚢胞腎)で腎機能が著しく悪化していないCKDステージ1~3の患者が対象で、嚢胞の進行や腎機能の低下を遅らせる。ADPKDは1万人に4人の希少疾患で、腎臓などに嚢胞ができ進行すると透析が必要になる。ADPKD治療薬として承認されれば初。臨床試験では腎臓量の増加やeGFRの悪化を抑制した。

この活性成分は抗利尿ホルモン不適合分泌症候群による低ナトリウム血症の治療薬、Samsca(和名サムスカ)として承認されているが、ADPKDは用量が数倍多いため、肝毒性が高まる。治験では深刻な肝障害が2.3%と偽薬の1.0%より高い頻度で発生した。このため、治療開始前と治療中定期的に肝機能検査を行う必要がある。

リンク:CHMPのプレスリリース

サノフィのToujeo(insulin glardine)は、同じ活性成分のLantusの新製剤で、mL当り100単位ではなく300単位含有。生物学的同等性は無く、Lantusからスイッチする時は用量を10~18%増やす必要がある。米国と異なり、低血糖のリスクがLantusより低いことが認められた。米国は先週承認(後述)。日本でも審査中。Lantusはバイオシミラーの発売が迫っているので重要な新製品。

リンク:CHMPのプレスリリース

リンク:サノフィのプレスリリース(pdfファイル)

適応拡大では、ロシュのAvastin(bevacizumab)を難治性転移性子宮頸癌に用いることが支持された。paclitaxelとcisplatinまたはtopotecanの二剤と併用する。臨床試験ではメジアン生存期間が16.8ヶ月と二剤だけの12.9ヶ月を上回り、ハザードレシオは0.74だった。子宮頸癌予防用ワクチンは配合されている株のヒトパピローマウイルスによる悪性腫瘍は防ぐがそれ以外の株には弱いので依然として治療薬が必要だ。

リンク:ロシュのプレスリリース

意外だったのは、キサンチンオキシダーゼ阻害剤Adenuric(febuxostat、米国名Uloric、和名フェブリク)の新用途。痛風治療薬として承認されているが、CHMPが今回承認を認めた用途は、血液癌で化学療法を受ける、TLS(腫瘍崩壊症候群)のリスクが中高程度の患者の高尿酸血症の予防と治療。尿酸値を下げる薬なので効くのは当然だが、きちんと承認を取得しようとしていることは好感が持てる。febuxostatは帝人が創製、北米などでは武田薬品が、欧州ではメラリーニが販売している。

リンク:CHMPのプレスリリース

アムジェンのVectibix(panitumumab)をFOLFIRIレジメンと併用で一次治療に用いることも支持された。抗EGFR抗体で、野生RAS型の転移性結腸直腸癌に承認されているが、これまでは一次治療はFOLFOX併用だけだった。

FOLFIRIとFOLFOXはどちらもfluorouracilとleucovorinの二剤をベースとするレジメンで、前者はirinotecan、後者はoxaliplatinも併用する。 irinotecanを含む三剤はIFLというレジメンもあるが用量や投与スケジュールが異なり、今日ではFOLFIRIの方が効果が高いと考えられている。

リンク:アムジェンのプレスリリース

一方、Rienso(ferumoxytol、米名Feraheme)の対象患者拡大申請を撤回したことが発表された。慢性腎疾患患者の鉄欠乏性貧血症の治療薬として欧米で承認されている静注用鉄製剤。今回は慢性腎疾患以外に対象を広げるべくライセンサーであるAMAG(Nasdaq:AMAG)が米国で、欧州などの権利を持つ武田が欧州で申請したが、市販後に致死的な過敏反応が報告されるようになったことから、FDAは承認しなかった。武田は既に権利返還を決めている。

リンク:CHMPのプレスリリース

【承認】


ノバルティスのHDAC阻害剤が逆転承認

(2015年2月23日発表)

FDAは、ノバルティスのFarydak(panobinostat)を多発骨髄腫用薬として加速承認したと発表した。昨年11月の諮問委員会では7人の委員のうち5人が承認に反対し、前途が危ぶまれたが、諮問委員会で討議された二次治療ではなく標準治療薬二剤を既に使ってしまった患者の三次治療薬として承認された。昨年12月に米国で承認されたサノフィのPARP阻害剤、Lynparza(olaparib)と同じパターンだ。米国は承認申請の途中で申請内容を変更できるため、このような逆転が起こりうる。

Farydakはヒストン脱アセチル化酵素を阻害、遺伝子の構造が緩んで転写されやすい状態になるのを間接的に助ける。同様な作用機序を持つ薬が末梢Tセルリンパ腫などに承認されているが、多発骨髄腫では初めて。

Velcade(bortezomib)及びdexamethasoneと三剤併用した第三相二次治療試験でPFS(無進行生存期間)を延長する効果が認められたが、全生存期間は大差なかった。投与中に7%の患者が癌以外の理由で死亡したことが影響したのかもしれない(二剤だけを用いた対照群では3.5%)。有害事象による治験離脱や深刻な有害事象も増加した。

今回の承認は、Velcade及びRevlimid(lenalidomide)やThalomid(thalidomide)のような免疫調停薬による前治療を既に受けた患者のサブグループ分析に基づくもので、PFSは10.6ヶ月対5.8ヶ月、客観的反応率は59%対41%となっている。重度な下痢と重度で致死的な心毒性が枠付警告された。Farydakは日本でも承認審査中。

リンク:FDAのリリース

リンク:ノバルティスのプレスリリース

アクタビスのベータラクタマーゼ配合剤が米国で承認

(2015年2月25日発表)

FDAは、アクタビス(NYSE:ACT)のAvycaz(ceftazidime-avibactam)を複雑腹腔内感染症と複雑尿道感染症(腎盂腎炎を含む)の治療薬として承認した。他の治療オプションが限られている時に用いる。承認されている第三世代セファロスポリンであるceftazidime(和名モダシン)とベータラクタムとは異なった構造を持つベータラクタマーゼ阻害剤であるavibactamの合剤。

感染症治療薬の開発インセンティブであるQIDP指定を受けているため優先審査され、承認後は5年間の排他権を得る。北米日本はアクタビス、それ以外はアストラゼネカが権利を持っている。

リンク:FDAのリリース



サノフィのToujeoが米国で承認

(2015年2月26日発表)

FDAはサノフィの持効性インスリン、Toujeo(insulin glargine)を承認したと発表した。上述のようにLantusの高濃度版で、mL当り300単位と3倍を含有している。臨床試験では血糖管理効果がLantusと非劣性で、低血糖は少なかった。ところが、米国のレーベルにはLantusより低血糖リスクが小さいとは記されていない。米国市場における販促はレーベルに即して行わなければならないので、最大のセールスポイントを語ることができないことになる。

理由は明らかではないが、上記のCHMPのリリースによるとToujeoとLantusは生物学的に同等ではない由であり、Lantusからスイッチする場合は10~18%増やす必要がある。臨床試験でこのことが徹底されなかったのかもしれない。

リンク:サノフィのプレスリリース(pdfファイル)

新規MAO-B阻害剤がEUで承認

(2015年2月26日発表)

Newron Pharmaceuticals(SIX:NWRN)とイタリアのZambon社は、Xadago(safinamide)が特発性パーキンソン病のアドオン薬としてEUで承認されたと発表した。中程度以上進行した患者でlevodopaベースの治療だけでは足りない場合に追加投与する。

テバ/ルンドベックのAzilect(rasagiline)と同様なMAO-B阻害剤で、levodopaの代謝を遅らせる。Azilectは単剤投与も承認されているが、Xadagoは併用だけ。Newronは06年にセラーノにライセンスアウトしたが第三相の成績が今一つであったため権利返還となった。追加試験を行いZambonと提携して欧米で承認申請したが、米国は書類の不備などが原因で受理されなかった。日本はMeiji Seikaファルマがライセンス。

リンク:Zambonのプレスリリース

アイリーア、EUでBRVOが承認

(2015年2月26日発表)

バイエルは、Eylea(aflibercept、和名アイリーア)をBRVO(網膜静脈分岐閉塞症)による黄斑浮腫の治療に用いることがEUで承認されたと発表した。これまでに、加齢性滲出型黄斑変性、糖尿病性黄斑浮腫、CRVO(網膜中心静脈閉塞症)による黄斑浮腫に承認されている。

リンク:バイエルのプレスリリース

今週は以上です。

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2015年2月22日

海外医薬ニュース2015年2月22日号



【ニュース・ヘッドライン】

  • 武田、motesanibの第三相がフェール
  • 米国でアドセトリスの適応拡大申請
  • ファイザー、シロリムスを米国でLAMに適応拡大申請
  • ベンダムスチン新製剤が米国で承認申請
  • filbanserin、三度目の承認申請
  • レブラミド、欧米で一次治療承認
  • EUが幹細胞療法を初承認


【新薬開発】


武田、motesanibの第三相がフェール

(2015年2月17日発表)

武田薬品は、アムジェンからライセンスしたVEGF受容体阻害剤、motesanibの第三相非扁平上皮非小細胞性肺癌試験がフェールしたことを発表した。

VEGFを阻害する薬ではロシュのAvastin(bevacizumab)の第三相が成功して以降、多くの会社がチロシンキナーゼを阻害する小分子薬で第三相を行ったが、悉く失敗した。小分子薬は他の腫瘍関連遺伝子も様々なパターンで阻害するので一括りには扱えないが、それにしても、なぜ失敗経験が共有されないのか残念に思う。被験者や開発予算、研究者というリソースを徒にすべきではないだろう。

この試験は、paclitaxelとcarboplatinを併用する標準療法の一つと更にmotesanibを併用する三剤併用のPFS(無進行生存期間)を比較した。グローバルで実施された同様な第三相試験であるMONET1はフェールしたが、アジア人のサブグループ分析で良さそうな結果が出たため、武田が共同開発提携を単独開発販売契約に切り替えて日本、香港、韓国、台湾の施設で実施したのが今回のMONET-A試験だ。

MONET1のアジア人サブグループ分析は事前に計画されていた由であり、データマイニングで見つけた訳ではない。解析対象も227例なので少なくはない。全生存解析のp値は0.02なので有意性は高くないし、そもそも主評価項目がフェールしたのだから副次的分析の信頼性は統計学的には低いのだが、抗癌剤のサブグループ分析は当てにならないことを改めて痛感させられる。

リンク:武田のプレスリリース(和文)

リンク:MONET1試験のアジア人サブグループ分析論文(Annals of Oncology、オープンアクセス)

【承認申請】


米国でアドセトリスの適応拡大申請

(2015年2月18日発表)

シアトル・ジェネティクス(Nasdaq:SGEN)は、米国でAdcetris(brentuximab vedotin、和名アドセトリス)の適応拡大申請を行ったと発表した。ホジキン型リンパ腫患者にASCT(自家幹細胞移植)を施行した後に、再発リスクが高い場合はAdcetrisを用いて地固め療法を行うというもの。

薬効のエビデンスとなるAETHERA試験では、3週間に一度の頻度で1年間投与したところ、PFSが43ヶ月と偽薬を投与した群の24ヶ月を大きく上回り、ハザードレシオは0.57、p値は0.001だった。主な有害事象は末梢知覚神経症や好中球減少症など。

Adcetrisは抗CD30抗体に細胞毒を結合した抗体薬品結合体(ADC)。CD30に結合しインターナライズすると内部の蛋白質分解酵素によりリンカーが零落し、細胞毒が腫瘍細胞選択的に作用する。2011年に米国で再発性難治性ホジキン型リンパ腫と全身性異形成大細胞リンパ腫に承認された。ADC技術を持つシアトル・ジェネティクスが創製、北米以外の権利は武田薬品がライセンスし日本でも発売した。

リンク:シアトル・ジェネティクスのプレスリリース

ファイザー、シロリムスを米国でLAMに適応拡大申請

(2015年2月20日発表)

ファイザーは、米国でRapamune(sirolimus)をリンパ脈管筋腫症(LAM)に適応拡大申請し受理されたと発表した。順調なら6月までに承認されることになる由。

LAMは再生産年齢期の女性が稀に発症する進行性疾患で、致死的なことも少なくない。肺の平滑筋様細胞が異常増殖、組織を破壊する。Rapamuneは欧米で臓器移植後の拒絶反応抑制薬として承認されているmTOR阻害剤で、LAMの病理にmTORが関与していることから用途拡大が進められ、昨年7月に日本でLAM治療薬として世界で初めて承認された(ノーベルファーマのラパリムス)。

リンク:ファイザーのプレスリリース

ベンダムスチン新製剤が米国で承認申請

(2015年2月17日発表)

イーグル・ファーマシューティカルズ(Nasdaq:EGRX)は、EP-3102(bendamustine hydrochloride)を米国で承認申請したと発表した。旧藤沢薬品が買収したドイツの会社が開発し、北米ではテバ(NYSE:TEVA)が、日本ではシンバイオ製薬が開発しエーザイが販売するTreanda(和名トレアキシン)の新製剤。Treandaは慢性リンパ性白血病に用いる場合は30分以上、非ホジキン型リンパ腫の場合は60分以上掛けて点滴するが、EP-3102は10分で足りる由。

テバと特許紛争になっていたが和解。テバは米国の販売権を取得し、また、Treandaの希少疾患用薬排他権を放棄することで早期の承認・発売を可能にする。

Treandaはアルキル化剤で、承認されている二つの用途では標準治療薬の一つになっている。EP-3102の承認申請は生物学的同等性試験に基づく模様だが、抗癌剤は様々な副作用があるので、小規模な試験だけで足りるのか疑問を感じる。

リンク:イーグルのプレスリリース

filbanserin、三度目の承認申請

(2015年2月17日発表)

Sprout Pharmaceuticalsは、flibanserinを女性のHSDD(性的欲望低下障害)の治療薬として承認申請したと発表した。患者団体や医師を応援団として今度こそ承認を獲得できるかどうか、注目される。

この5-HT1A作動・5-HT2A拮抗剤はベーリンガー・インゲルハイムが数千人規模の第三相試験を実施して米国で承認申請したが、2010年に開催された諮問委員会が承認に反対、審査完了となり開発中止になった。薬効が穏やかで、便益と比べてリスクが大きいと判定された。Sproutは11年に権利を取得、13年に再申請したが再び審査完了。その後、FDAから要請のあった薬物相互作用試験や運転シミュレータ試験(傾眠リスクを評価)を行い、今回の再々申請に至った。

リンク:Sproutのプレスリリース

【承認】


レブラミド、欧米で一次治療承認

(2015年2月19日、20日発表)

セルジーン(Nasdaq:CELG)は、Revlimid(lenalidomide、和名レブラミド)が欧米で多発骨髄腫の一次治療薬として承認されたことを発表した。低量dexamethasoneを併用する。EUは幹細胞移植不適患者に限定したが、米国はしてない。

米国は正式に承認されていない用途・用法であってもコンペンディアなどの権威のある文献が便益を認めていれば保険還付の対象になりうる。Revlimidのような経口剤はややハードルが高いが、この二剤を併用するRdレジメンは既に標準療法の一つになっている。このため、EU承認の方が重要なマイルストーンになりそうだ。

承認の根拠となったMM-020試験では、Rd長期コースのメジアンPFSが25.5ヶ月と、MPT三剤併用レジメンの21.2ヶ月を上回り、ハザードレシオ0.72だった。全生存期間は中間解析段階だが各58.9ヶ月と48.5ヶ月だった。G3以上の主な有害事象は好中球減少症、貧血、血小板減少症、肺炎など。

リンク:セルジーンのプレスリリース(米国承認、2/19付)

リンク:同(EU承認、2/20付)

EUが幹細胞療法を初承認

(2015年2月20日発表)

イタリアのChiesi Farmaceuticiは、EUがHoloclarを中重度角膜輪部幹細胞欠乏症(LSCD)の治療法として条件付き承認したと発表した。幹細胞療法がEUで承認されたのは初。

LSCDは火傷や化学物質による外傷で角膜と結膜の境界にある輪部の幹細胞が減り、角膜の新陳代謝ができなくなり代わりに結膜に覆われるようになる。Holoclarは患者の輪部を1-2平方ミリ採取して培養し、上皮として移植する。Chiesiとモデナ・レッジョ・エミリア大学の産学連携の成果とのことだ。

リンク:Chiesiのプレスリリース(アドレスに禁則文字が含まれるためニュース一覧ページを記載)

今週は以上です。

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2015年2月15日

海外医薬ニュース2015年2月15日号



【ニュース・ヘッドライン】

  • 武田、経口プロテアソーム阻害剤の第三相が成功
  • ノバルティス、慢性心不全治療薬の承認申請が受理された
  • ファイザー、乱用抑止オピオイド製剤の承認申請が受理
  • エーザイのVEGFR阻害剤が米国で承認


【新薬開発】


武田、経口プロテアソーム阻害剤の第三相が成功

(2015年2月10日発表)

武田薬品は、MLN9708(ixazomib cirate)の第三相多発骨髄腫試験が成功したと発表した。最初の中間解析で独立データ監視委員会が成功認定した。データは未発表。承認申請に向かうことになりそうだ。

MLN9708は同社が08年に88億ドルで買収した米国のミレニアム社のVelcade(bortezomib)と同じプロテアソーム阻害剤で、経口投与できることが特徴。今回の第三相は1~3レジメンの前治療歴を持つ患者を組入れて、Revlimid(lenalidomide、和名レブラミド)と低量dexamethasoneを併用するRdレジメンと、更にMLN9708を併用する三剤併用法のPFS(無進行生存期間)を比較した。MLN9708は40mgを週一回、三週連続投与して一週間休む28日サイクル。

MLN9708は新患や維持療法の第三相も進行中。また、全身性軽鎖アミロイドーシス(免疫グロブリン性アミロイドーシス)でも第三相中。VelcadeもRd併用で良い成績を上げており、将来的には自社競合も発生しそうだ。

リンク:武田のプレスリリース(和文、pdfファイル)

【承認申請】


ノバルティス、慢性心不全治療薬の承認申請が受理された

(2015年2月13日発表)

ノバルティスはLCZ696の承認申請がFDAに受理されたと発表した。駆出力が低下した慢性心不全患者の治療薬で、承認されればこの分野では久方ぶりの新薬になる。

LCZ696はアンジオテンシンII受容体を拮抗するvalsartan(Diovanの活性成分)と、ANPやBNPを代謝する中性エンドペプチダーゼであるネプリライシンを阻害するsacubitrilを一つの分子にしたもの。体内で分離して夫々の活性を発揮する。新しいタイプのコンビ薬だ。

第三相のPARADIGM HF試験はNYHA心機能分類II~IVで駆出力が35%以下(治験開始当初は40%以下だったが途中で変更)で、BNP値上昇、そしてACE阻害剤又はARBを服用している患者8000人以上を組入れて、200mgを一日二回経口投与する群とACE阻害剤enalapril(10mg)を一日二回経口投与する群の臨床的転帰を比較した。主評価項目は心血管死または心不全による入院だが、心血管死を15%削減する効果を立証できる検出力を持っている。

昨年3月に三回目の中間解析が成功したことが明らかにされた。主評価項目も、心血管死も、ハザードレシオが0.80で、LCZ696群の方が有意に少なかった。

米国の承認審査では、北米施設の組入れが全体の7%と少ないことが論点になりそうだ。地域が違えば典型的な患者や治療法が異なるからだ。例えば、この試験ではペースメーカー使用患者が少ない。

また、アフリカ系患者の症例も少ない。中性エンドペプチターゼを阻害する薬では過去にBMSがomapatrilatのアウトカム試験を成功させたことがあるが、血管浮腫のリスクが見られたためFDAは承認しなかった。PARADIGN HF試験ではLCZ696群で19例、enalapril群10例、p=0.13で有意差はなかったが、もし組入れ数が1.5倍で発生率が同じだったら有意になっただろう。

アフリカ系患者は心不全も血管浮腫もリスクが比較的高いので、米国で承認を取るためにはもっと組入れて安全性を明確にすべきだったかもしれない。

この試験の組入れ/除外条件は上記の他にも色々あり、適応になる患者はごく一部という意見もあるようだ。対象患者をどの程度限定/拡張するかも重要な論点になりそうだ。

リンク:ノバルティスのプレスリリース

ファイザー、乱用抑止オピオイド製剤の承認申請が受理

(2015年2月13日発表)

ファイザーはALO-02の承認申請がFDAに受理されたと発表した。oxycodoneの中にnaltrexoneを包み込んだ徐放性カプセル製剤で、オピオイドを必要とする慢性疼痛患者に用いる。米国はオピオイド経口剤を破砕して注射・吸引する乱用と、それに伴う死亡者の増加が問題になっている。ALO-02は破砕するとnaltrexoneのオピオイド受容体拮抗作用がoxycodoneの作動作用を相殺してしまうので、乱用に適さない。

リンク:ファイザーのプレスリリース

【承認】


エーザイのVEGFR阻害剤が米国で承認

(2015年2月13日発表)

FDAは、エーザイのLenvima(lenvatinib)を進行性放射性ヨウ素抵抗性分化甲状腺癌用薬として承認した。審査期限より2ヶ月早い、スピード承認。エーザイは専門薬ファーマシー二社を通じて発売する予定。

VEGFR1~3とFGFR、RET、c-kitなどを阻害する小分子薬で、24mgを一日一回、経口投与する。VEGF標的薬経験者も組入れた第三相試験では、PFS(無進行生存期間)がメジアン18.3ヶ月と偽薬群の3.6ヶ月を上回り、ハザードレシオ0.21だった。深刻な有害事象は心不全、動脈血栓塞栓、出血、胃腸穿孔、瘻、低カルシウム血症、肝腎障害、QT延長などで、VEGF阻害剤に共通のものと、それ以外のものがある。

ロシュのAvastin(bevacizumab)の第三相試験が成功した時に『類薬を開発している企業や研究者にとっても朗報』と書いた。十数年が経ち、血管新生に関わるVEGFと受容体を阻害する薬は今や一大カテゴリーとなった。受容体チロシンキナーゼを阻害する小分子薬だけでも、米国で05年に承認されたバイエルのNexavar(sorafenib)を皮切りに、ファイザーのSutent(sunitinib)とInlyta(axitinib)、GSKのVotrient(pazopanib)、アストラゼネカのCaprelsa(vandetanib)、バイエルのStivarga(regorafenib)、エグゼリキシスのCometriq(cabozatinib)、ベーリンガー・インゲルハイムのVargatef(nintedanib)と、既に8種類の製品が存在する。

最初の適応症は腎癌系、甲状腺癌系など区々で、また、VEGFRのアイソトープや他の腫瘍関連遺伝子の阻害プロファイルも異なっているが、最終的に同じような癌を狙っている点では大差ない。Lenvimaの最初の適応症は甲状腺がんの一種である点では髄様腫用薬であるCaprelsaやCometriqと類似しており、適応拡大試験中の肝癌ではNexavarが若干異なった用途だが承認されている。

不思議なのは、これだけ多くの類薬が存在するのに価格競争が起きないこと。ARBやSSRIなどでは後発企業が定価を7掛けに抑えてシェアを取りに行く戦略を取った。最近でも抗HCV薬で値引き競争が激化している。VEGFR阻害剤は各社が適応症を若干ずらすことによって上手く回避していると言えるだろう。

リンク:FDAのリリース

リンク:エーザイの米国子会社のプレスリリース

今週は以上です。

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2015年2月8日

海外医薬ニュース2015年2月8日号



【ニュース・ヘッドライン】




  • ファイザーがホスピーラを買収へ
  • ロシュのGazyva、非ホジキンリンパ腫試験も成功
  • JNJ、Yondelisを米国で再承認申請
  • 二次性性腺機能低下症用薬が承認申請
  • ファイザー、ゼルヤンツを乾癬に適応拡大申請
  • ファイザーの抗癌剤が米国で承認


【今週の話題】


ファイザーがホスピーラを買収へ

(2015年2月5日発表)

ファイザーはホスピーラ(NYSE:HSP)を170億ドル(純負債調整後)で買収することで合意した。ホスピーラは04年にアボットからスピンアウトした会社で、年商はファイザーの1割足らずだが、注射用ジェネリック薬で世界最大手、バイオシミラーの実績でも三本の指に入る。今回の買収で、GE薬の中でも価格競争がそれほど激しくない分野を強化することができる。

ホスピーラはバイオシミラー/類似薬では欧州で08年にepoetin zeta、10年にアムジェンのNeupogenのシミラー、13年にはジョンソン・エンド・ジョンソンのRemicadeのシミラーの承認を取得。承認審査制度の整備が遅れていた米国でも先月、アムジェンのEpogenのシミラーを承認申請した。シミラー/類似薬の年商は03年に1億ドルを超え、ノバルティスのサンド部門やテバと共に三強を構成している。

売上規模からみても分かるようにシミラーの普及率は未だ低い。名前が表わしているように、オリジナルの薬と同じという保証が無いからだ。米国では処方箋にオリジナルの製品名が記されていても薬局がGE品を渡すことができる。このため、GE薬メーカーは医療施設に情報伝達・販促活動を行う必要はない。しかし、バイオシミラーは現状では自動代替の対象にはならないので特許性新薬と同様なディテーリング活動が必要だ。新薬開発型製薬会社の事業構造に適した形態と言えるだろう。

今後、注目されるのは、ホスピーラが韓国のCelltrion社からライセンスした抗体医薬シミラーだ。上記のRemicadeシミラー以外に多くの開発品を持っているが、ファイザーもロシュのRituxanやAvastinのシミラーを臨床開発しているので、反トラスト規制機関が権利譲渡を求める可能性がある。ファイザーにとっても、自社開発品があるならライセンス品は要らないだろう。

バイオシミラーはMSD、イーライリリー、バイオジェン・アイデックなども積極的に取り組んでおり、今後、他の大手も参入するだろう。その手段としてCelltrion開発品を狙っている会社は多いだろう。

リンク:ファイザーのプレスリリース

アビガンがエボラ試験で良績

(2015年2月4日発表)

富山化学のAvigan(favipiravir、和名アビガン)がエボラの臨床試験で良好な結果を出しているとNew York TimesやBoston Globeなどが報じている。ギニアで行われている単群試験の中間解析(69例)に基づくもので、高ウイルス量患者では死亡率が30%だったが低ウイルス量症例では15%だった。

ギニアでは2628人の感染が確認され、1608人が死亡した(2月3日時点)。死亡率61%なので、確かにこの試験の死亡率は低い。但し、臨床試験は選ばれた医療施設で選ばれた医師が選りすぐられた患者を対象に行うので、現実の医療よりも良い成績が出るのが一般的である。偽薬対照二重盲検試験を行えばこのバイアスを回避できるのだが、エボラは致死的な疾患なので偽薬群を設けるのは倫理に反する可能性があり、採用されていない。結局、今回の報道内容では効くのかどうか分からない。

現地では、このデータを公表するリスクを懸念する声もあるようだ。上記の理由で薬効が確立したとは言えないのだが、これ以上の治験は止めて全ての患者に提供せよという圧力が高まる可能性があるからだ。

尤も、これは初めから予想されていた事態である。安全性面で問題が無い限り、全員に提供する方向に動かざるを得ないだろう。

リンク:New York Timesの記事

【新薬開発】


ロシュのGazyva、非ホジキンリンパ腫試験も成功

(2015年2月4日発表)

ロシュは、Gazyva(obinutuzumab)の第三相非ホジキンリンパ腫試験が中間解析で成功認定されたと発表した。適応拡大申請に向かう予定。

GazyvaはRituxan(rituximab、和名リツキサン)と同様にBセルの表面分子であるCD20を標的とする抗体で、違いはマウス由来のアミノ酸が少ないヒト化抗体であることと、フコースを除去することによって抗体依存性細胞傷害活性を高めていること。慢性リンパ性白血病の一次治療薬として13年に米国で、14年には欧州でも承認された。chlorambucilと併用した試験では、PFS(無進行生存期間)がRituxanを併用した群より有意に優れていた。

今回の試験は、潜行性(indolent)非ホジキンリンパ腫でRituxanに不応・進行した患者を組入れて、Treanda(bendamustine、和名トレアキシン)と併用で6サイクル治療し、更にGazyvaだけを最長2年間投与する手法をTreandaだけの治療と比較した。データは今後、発表される予定。

潜行性は完治し難いが進行が緩徐なので長期間の臨床試験が必要になる。RituxanよりGazyvaの方が効果が高いことを立証するには時間が必要だ。今回は直接比較ではないが、将来は、非ホジキンリンパ腫の一次治療でもGazyvaが優先使用薬になるだろう。

リンク:ロシュのプレスリリース

【承認申請】


JNJ、Yondelisを米国で再承認申請

(2015年2月3日発表)

ジョンソン・エンド・ジョンソンはYondelis(trabectedin)を再発性末期軟組織肉腫用薬として米国で承認申請し、優先審査指定を受けたことを発表した。

海洋生物由来のアルキル化剤で、スペインのPharmaMarから欧州以外の権利を取得したもの。欧州では07年に軟組織肉腫に、09年には卵巣癌に、承認されている。JNJは08年に米国で卵巣癌に承認申請したが、治験の薬効評価基準が曖昧で査読者の評価が食い違うことや、心肝毒性に対する懸念から、諮問委員会もFDAも立証不十分と判定した。

今回の申請は末期脂肪肉腫と平滑筋肉腫の二次・三次治療薬としての効果をdacarbazineと比較した試験に基づくもの。データは未発表。

リンク:JNJのプレスリリース

二次性性腺機能低下症用薬が承認申請

(2015年2月2日発表)

米国テキサス州の医薬品開発会社であるRepros Therapeutics(Nasdaq:RPRX)は、Androxal(enclomiphene citrate)を二次性性腺機能低下症用薬として米国で承認申請したと発表した。プレスリリースでは、太り過ぎの二次性性腺機能低下症で正常な精巣機能の回復を望む男性、と記されているので、対象患者が限られているのかもしれない。

Androxalは50年前から排卵促進剤として用いられている選択的エストロゲン受容体調節剤、clomiphene citrateのtrans異性体。

リンク:Repros社のプレスリリース

ファイザー、ゼルヤンツを乾癬に適応拡大申請

(2015年2月4日発表)

ファイザーは、Xeljanz(tofacitinib、和名ゼルヤンツ)を中重度尋常性乾癬の治療薬として米国で適応拡大申請し、受理されたことを発表した。審査期限は10月とのこと。

XeljanzはJanus kinase(JAK)阻害剤。インターロイキンやインターフェロンの受容体の細胞内シグナル伝達に関与する酵素を阻害し、免疫抑制する。臓器移植後の拒絶反応防止効果を検討した霊長類試験でカルシニューリン阻害剤並みの強力な効果を示し注目されたが、免疫抑制に伴う副作用も強く、結局この用途の開発は進まなかった。代わりに低用量で抗リウマチ薬として開発・承認申請され、米国では12年に、日本は13年に承認されたが、欧州は感染症、癌、胃腸穿孔などの懸念から未承認となっている。

尋常性乾癬ではEnbrel(etanercept)対照試験も実施され、10mgを一日二回、経口投与した群は効果が非劣性だったが、5mg群はフェールした。そのせいか、5mgだけでなく10mgも申請されたが、リウマチでは5mgしか承認されなかった。痛みを伴うリウマチでも承認されなかったのだから、安全性のハードルが高い乾癬ではもっと難しいのではないか。5mgだけ承認された場合、Enbrelより効果が弱いので、経口剤でなければ駄目という患者以外にはあまり出番がないだろう。

リンク:ファイザーのプレスリリース

【承認】


ファイザーの抗癌剤が米国で承認

(2015年2月3日発表)

FDAは、Ibrance(palbociclib)を承認したと発表した。審査期限より2ヶ月早いスピード承認。適応は、閉経後女性の末期・転移性、エストロゲン受容体陽性、her2陰性の乳癌の一次治療。アロマターゼ阻害剤Femara(letrozole)と併用する。

第一/二相試験のデータに基づく加速承認。125mgを一日一回、21日連続で経口投与した後7日間休薬するスケジュールで施行したところ、PFSがメジアン20.2ヶ月とFemaraだけの群の10.2ヶ月を大きく上回り、ハザードレシオ0.488と有意に優れていた。

作用機序は細胞周期進行を調停するCDK4/6を阻害する。エストロゲン受容体の細胞内シグナル伝達にも関わるのでエストロゲン受容体を零落するアロマターゼ阻害剤とin vitroでシナジーがあった。

主な副作用は、好中球などの白血球や赤血球の減少とそれに伴う感染症や貧血、血小板減少や鼻血、疲労、悪心嘔吐、下痢、食欲不振、口内炎、脱毛、末梢神経症など。治療開始時やサイクル毎の全血球計算が推奨されている。

リンク:FDAのリリース

リンク:ファイザーのプレスリリース

今週は以上です。

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2015年2月1日

15年2月1日号

(リンク先は殆どが英文です。改行で切れてしまう場合があります。リンク先の安全性や内容は保証できません。)

【ニュース・ヘッドライン】

  • Chimerix、エボラの治験を中止
  • リジェネロン/サノフィ、欧米で抗PCSK9抗体を承認申請
  • アムジェン、Kyprolisを適応拡大/新薬承認申請
  • ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症の薬が初めて承認
  • Vyvanseがむちゃ食い障害治療薬として承認
  • 3A4阻害剤配合の抗HIV薬二剤が承認

【今週の話題】

Chimerix、エボラの治験を中止
(2015年1月30日発表)

Chimerix(Nasdaq:CMRX)はCMX001(brincidofovir)のエボラウイルス疾患に対する臨床試験を中止すると発表した。リベリアでオックスフォード大学などが国境なき医師団の協力を得て開始したが、新患が減少し少数しか組入れられない状態になったため。サイトメガロウイルス(CMV)予防試験など他の用途は続行する。

流行の鎮静化は朗報だが、喉元過ぎればという懸念もある。アフリカでは数年毎に流行しており、次に備えて研究を続けてほしいものだ。

リンク: Chimerixのプレスリリース

【承認申請】

リジェネロン/サノフィ、欧米で抗PCSK9抗体を承認申請
(2015年1月26日発表)

リジェネロン(Nasdaq:REGN)と開発パートナーのサノフィは、Praluent(alirocumab)を欧米で承認申請し受理されたと発表した。抗PCSK9完全ヒト化抗体で、高脂血症の治療に用いる。

米国ではバイオマリンから6750万ドルで購入した優先審査バウチャーを利用、優先審査を受ける。PDUFA(承認審査期限)は7月24日。アムジェンの抗PCSK9完全ヒト化抗体、AMG145(evolocumab)は8月27日なので、申請は4ヶ月遅れたが承認では1ヶ月先行する可能性が出てきた。

欧州は申請が4ヶ月遅かった分、承認・発売も遅れるだろうが、フランスなどでは薬価交渉もあるので先陣競争は未だ続く。バイオ薬なので値段は高いだろうが、コレステロール治療薬で一番重要な心血管疾患リスク削減効果が確認されていない。コスト・パフォーマンスをどう評価するか、難しい問題だ。

リンク: リジェネロン/サノフィのプレスリリース

アムジェン、Kyprolisを適応拡大/新薬承認申請
(2015年1月27日発表)

アムジェンはKyprolis(carfilzomib)を多発骨髄腫の二次治療に用いる適応拡大申請を米国で行ったと発表した。12年に三次治療薬として加速承認を受けており、今回の申請で本承認切替も求めることになる。

EUで承認申請し、加速審査を受けることも発表した。欧州は多発骨髄腫用薬の承認に際して反応率に基づく評価では不十分と考えており、Kyprolisは未承認。

承認申請の根拠になった第三相試験は、セルジーンのRevlimid(lenalidomide)及び低量dexamethasoneと三剤併用した。中間解析でPFS(無進行生存期間)がメジアン26.3ヶ月とRevlimid・dexamethasoneだけの群の17.6ヶ月を上回り、ハザードレシオ0.69、log-rank検定によるp値は0.0001未満となり、成功認定された。全生存解析は未だ機が熟していないが、ハザードレシオ0.79で良いトレンドが見られた。有害事象による治験離脱は両群同程度だった。

Kyprolisは武田/ジョンソン・エンド・ジョンソンのVelcade(bortezomib)と同じプロテアソーム阻害剤。プロテアソームは細胞の不要になった蛋白をスクラップするメカニズムに関与するが、腫瘍細胞ではアポトーシスや腫瘍抑制に関わる蛋白の分解などにも関与している模様。Velcadeの初承認は03年、Kyprolisは12年で9年遅れたため、適応・用法の幅広さの差を一つ一つ埋めていく必要がある。

リンク: アムジェンのプレスリリース

【承認】

ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症の薬が初めて承認
(2015年1月29日発表)

FDAは、Imbruvica(ibrutinib)をワルデンシュトレーム型マクログロブリン血(WM)症の治療に当てる適応拡大を承認したと発表した。希少疾患用薬指定、ブレークスルーセラピー指定、優先審査指定を受けており、審査期限を3ヶ月余してスピード承認。

WMは非ホジキン型リンパ腫の一種で、異常なBセルが増殖し免疫グロブリンMを大量生産、易出血性や視覚、神経障害を招くことがある。年に1000~1500人が診断される由。

ImbruvicaはBruton' tyrosine kinase(Btk)というBセルの生存機構を調停するキナーゼを阻害する経口剤。ファーマサイクリクス(Nasdaq:PCYC)がジョンソン・エンド・ジョンソンと提携して開発販売。これまでに、非ホジキン型リンパ腫の一種であるマントルセルリンパ腫や慢性リンパ性白血病に承認されている。

WM症の試験では62%の患者が反応した。有害事象は血栓性血小板減少症、好中球減少症、貧血、下痢など。有害事象による治験離脱が6%の患者で、減量は11%の患者で発生した。心房細動や二次性原発性腫瘍などに気を付ける必要がある。

リンク: FDAのリリース
リンク: 両社のプレスリリース

Vyvanseがむちゃ食い障害治療薬として承認
(2015年1月30日発表)

FDAは、シャイアー社のVyvanse(lisdexamfetamine dimesylate)を成人のむちゃ食い障害の治療薬として適応拡大承認したと発表した。アンフェタミンのプロドラッグで、07年にADHD治療薬として承認されている。

むちゃ食い障害は、強迫感に基づく過剰な摂食が週一回以上の頻度で3ヶ月以上、続く。体重増や肥満に伴う疾患のリスクが高まる。Vyvanseの試験では過食頻度や強迫性過食行動が偽薬比有意に減少した。

アンフェタミンなので精神性有害事象や心血管疾患リスクを持つ。また、薬物依存リスクがあるため麻薬取締法上のスケジュールIIに指定され、処方・流通規制を受けている。

リンク: FDAのプレスリリース

3A4阻害剤配合の抗HIV薬二剤が承認
(2015年1月29日発表)

ジョンソン・エンド・ジョンソンとBMSは、夫々、プロテアーゼ阻害剤と3A4阻害剤cobicistatの合剤が米国で承認されたと発表した。

JNJの新薬はPrezcobix。Prezista(darunavir、和名プリジスタ)の活性成分と組み合わせた。BMSはEvotazで、Reyataz(atazanavir、和名レイヤターズ)の活性成分を配合。HIV/AIDSの治療に他の薬と併用する。

プロテアーゼ阻害剤は生物学的利用率が低いため初期の製品は一日に沢山のピルを2~3回服用する必要があったが、同じプロテアーゼ阻害剤であるアッヴィのritonavirを少量併用することで半減期を延ばす、ritonavirブーストという手法が普及、ピルバーデンが緩和した。3A4阻害による薬物相互作用を逆手に取ったのである。ritonavirは隠れたベストセラーになり、また、アッヴィはlopinavir合剤であるKaletraもラインアップした。

PrezistaもReyatazもritonavir併用で一日一回服用を実現したが、ritonavirはアッヴィの特許が未だ失効していないため、他のプロテアーゼ阻害剤も含めて合剤は無かった。

そこに目を付けたのがギリアド(Nasdaq:GILD)で、3A4阻害剤cobicistatを薬物動態強化剤として開発、三種類の抗HIV薬と組み合わせたStribildや単剤のTybostとして商品化すると共に、JNJ、BMSの両社に合剤用としてライセンスしたのである。

折しも、FDAが合剤の承認に関するガイドラインを見直し、cobicistatのようなそれ自体には薬効を持たない成分の開発や、Stribildのような未承認薬同士の平行開発を容易にした。医師や患者も、ピルバーデンを緩和するために企業の壁を乗り越えて合剤を実用化することを要望した。

これらの新薬は、当局や製薬会社、医療組織・患者支援団体が患者のために何ができるかを示している。

リンク: JNJのプレスリリース
リンク: BMSのプレスリリース


今週は以上です。

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