2026年10月17日

第1281回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • マラリキシバットのその他胆汁鬱滞性肝臓疾患試験が成功 
  • BMS、2剤の第3相試験が成功 
  • MSD、Wnt経路活性化抗体の第3相試験が成功したが... 
  • Vanda社、SAD用薬の第3相がフェール 
  • BionTech、頭頚部癌のmRNA療法試験でPFS解析はフェール 
  • ピエール・ファーブル、EBV陽性リンパ増殖性疾患用T細胞療法を再申請 
  • Elevar社、VEGFR-2阻害剤を再承認申請
  • ロシュ、自社創製抗IL-6抗体を米国でも承認申請 
  • 10月のCHMP結果 
  • エンスプリングが甲状腺眼症に適応拡大 
  • ジルビスクのオートインジェクターが承認 
  • FDA、IL-15融合蛋白の尿路上皮癌限定を解除 
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【新薬開発】


マラリキシバットのその他胆汁鬱滞性肝臓疾患試験が成功
(2026年10月12日発表)

Mirum Pharmaceuticals(Nasdaq:MIRM)はLivmarli(maralixibat)が第3相EXPAND試験で主目的を達成したと発表した。頂端側ナトリウム依存性胆汁酸輸送体阻害剤で、アラジール症候群や、進行性家族性肝内胆汁鬱滞症患者における掻痒の治療薬として米欧日で承認されている。今回、胆道閉鎖症などのより希少な疾患における胆汁鬱滞性掻痒における便益を検討するため小児患者46人と成人患者6人を組入れて、既存適応より少量の285mcg/kgを1日2回経口投与する便益を検討した。

主評価項目は小児患者におけるItchR0(0bs)という掻痒重症度評価スコア(レンジは0~4点)で、第13週から20週における、一週間で一番重かった日のスコアを平均した。試験薬群は1.81点改善し、偽薬群の0.83点改善を有意に上回った。胆道閉塞サブグループでは各群2.16点と1.01点の改善となった。

安全性に関する新規所見はなかった。関心対象の治療時発現有害事象では下痢(64%対11%)、腹痛(20%対15%)、ALT上昇(8.0%対3.7%)が偽薬比増加した。

27年上期に適応拡大申請する考え。

本剤は、シャイアが14年にLumena Pharmaceuticalsを買収して入手しアラジール症候群や原発性硬化性胆管炎のPOC試験を実施したがフェール、18年にMirumに導出したもの。日本はシャイアの親会社である武田薬品が21年に権利を取得し25年に上記二適応で承認取得した。

リンク: プレス・リリース


BMS、2剤の第3相試験が成功
(2026年10月12日発表)

ブリストル マイヤーズ スクイブは、GEP-NETs(膵消化管神経内分泌腫瘍)とIPF(特発性肺線維症)における新薬2剤の第3相試験が成功したと発表した。承認申請に向け当局と相談する考え。

RYZ101(225Ac-DOTATATE)はactinium-225でアルファ線を照射する放射性核種薬。第1b/3相のACTION-1試験でLutetium 177標識ソマトスタチン類縁体による治療歴を持つ切除不能進行分化ソマトスタチン受容体発現GEP-NETsにおけるPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)を標準療法(抗VEGFR薬や高量ソマトスタチン類縁体)と比較したところ、事前に計画されていた中間解析で主目的を達成した。

RYZ101は24年にRayzeBioを41億ドルで買収して入手したもの。

BMS-986278(admilparant)はLPA1(リゾフォスファチジン酸受容体1)アンタゴニスト。IPFとPPF(進行性肺線維症)で第3相試験中だが、まず前者が成功した。ALOFT-IPF試験に40歳以上の患者1255人を偽薬群、60mg1日2回投与群、そして120mg1日2回投与群に無作為化割付けして52週間投与し、FVC(努力肺活量)を比較したところ、60mg群の低下が偽薬群を有意に上回った。120mg群はトレンドに留まった。忍容性は良好で、有害事象による治験離脱は両用量とも偽薬群並みだった由。

プレス・リリース後のアナリスト向けテレカンファレンスでは、120mg群で急性肝障害が1例発生したが査読委員会が試験薬との関連性は考え難いと評価した旨、報告されたようだ。同社の類薬が過去に肝障害懸念などから開発中止になったことがある。本剤も9月に、割付けは不明だが第3相で1名が急性肝障害や肝壊死、自己免疫性溶血性貧血症により死去し長期延長試験で観察強化や中止基準導入のプロトコル変更が実施されたことが明らかになっていた。

リンク: プレス・リリース(RYZ101)
リンク: 同(BMS-986278)


MSD、Wnt経路活性化抗体の第3相試験が成功したが...
(2026年10月10日発表)

MSDは9月にMK-3000(remigromig)が第3相糖尿病性網膜浮腫試験で主目的を達成したと発表したが、AAO(米国眼科学会)で詳細を明らかにした。当局と相談する考え。24年にEyeBiotechを当初金13億ドル+達成報奨金17億ドルで買収して入手した画期的抗体医薬の一つだが、効果が既存薬と非劣性、副作用の発生率はやや高いとなると、抗VEGF薬不応不耐患者に絞った臨床試験を実施してもよいのではないか。

LRP5(low-density lipoprotein receptor-related protein 5)の二つのエピトープに結合する部位と、FZD4(Frizzled-4)に結合する二つの部位を、ヘテロ二量体Fc領域で繋いだ4価3重特異性抗体で、LRP5とFZD4を架橋してWntシグナル伝達経路を活性化する。今回の後期第2/第3相試験、BRUNELLOは、欧米等の施設で成人患者984人を0.5mg群、0.8mg群、そして実薬のranibizumab群に無作為化割付けして4週毎に硝子体注射し、52週におけるBCVA(最良矯正視力)を比較した。ベースライン比で各群9.1字、8.7字、11.8字改善し、2試験用量ともranibizumab比非劣性だった。尚、試験薬2剤の95%信頼区間上限はranibizumabの95%下限を下回っており、見栄えが悪い。

もう一本、米州や日本の施設が参加する第3相BAROLO試験も進行中。

リンク: プレス・リリース


Vanda社、SAD用薬の第3相がフェール
(2026年10月14日発表)

Vanda Pharmaceuticals(Nasdaq:VNDA)は、VQW-765の第3相社交不安障害(SAD)試験がフェールしたと発表した。主評価対象である女性サブグループも、全体の解析も、効果は偽薬並みだった。第2相試験の事後的サブグループ分析は当てにならないという実例がまた一つ増えた。

このアルファ7ニコチン・アセチルコリン受容体部分作動剤はノバルティスがAQW-051として統合失調症の第2相まで進めた。2014年にVandaがライセンス、21年にSADで今回と同様な第2相を開始したところ、効果は偽薬群と大差なかったが、7割を占めた女性サブグループではp=0.034と悪くない数値だった。

第3相は米国の成人患者546人を偽薬群と試験薬群に無作為化割付けして、一回投与後にTrier Social Stress Test(TSST)を実施した。5分間のスピーチの準備フェーズと実行フェーズに分かれ、主評価項目は女性サブグループの実行フェーズにおけるSUDS(主観的苦痛尺度、レンジは0-100で大きいほど強い、第2相論文を読むと、60秒毎に5回計測する模様)。偽薬群は66.0点、試験薬群は65.6点と大差なかった。副次的評価項目の男性も含めた解析も63.8点対64.7点で大差なかった。

リンク: プレス・リリース


BionTech、頭頚部癌のmRNA療法試験でPFS解析はフェール
(2026年10月13日発表)

COVID-19のmRNAワクチンComirnatyを創製し世界的な貢献を果たしたドイツのBioNTech(Nasdaq:BNTX)は、癌領域で複数のmRNAワクチン療法や抗体薬物複合体を開発している。前者は今のところこれといった成功を収めておらず、今回発表されたBNT113(tenumomeran/raplemomeran)の第3相頭頚部扁平上皮腫(SCCHN)試験も最初に開票した主評価項目であるPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)がフェールした。免疫療法なのでPFS効果が小さくても全生存期間は伸ばせる可能性があり、独立データ監視委員会は続行推奨した。

BNT113はSCCHNでしばしば認められるヒト・パピローマ・ウイルス(HPV)の16型の腫瘍蛋白、E6とE7をエンコードするmRNAをリポプレックスに封入したもの。今回の第2/3相AHEAD-MERIT試験は欧米アジアの施設でHPV16陽性、PD-L1陽性(CPS≧1)の切除不能難治/転移SCCHNの1次治療を受ける患者を組入れて、第3相に当たるパートBで抗PD-1抗体Keytruda(pembrolizumab)と併用で最大24ヶ月投与する便益をKeytrudaだけの群と比較した。主評価項目はPFSと全生存期間の二つで、どちらかが成功すれば目的達成となる解析計画とのこと。

リンク: プレス・リリース
リンク: AHEAD-MERIT試験デザイン論文抄録(Sabaら、International Journal of Radiation Oncology・Biology・Physics、26年5月)

【承認申請】


ピエール・ファーブル、EBV陽性リンパ増殖性疾患用T細胞療法を再申請
(2026年10月14日発表)

Atara Biotherapeutics(Nasdaq:ATRA)は、Ebvallo(tabelecleucel)の導出先であるピエール・ファーブルが米国で3巡目の承認申請を行い受理されたことを明らかにした。審査期限は27年3月31日。

エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)を標的とする他家T細胞療法。臓器/骨髄移植後のEBV陽性リンパ増殖性疾患でrituximabベースの治療に応答しなかった患者を組入れた第3相ALLELE非対照試験が中間解析でORR(客観的反応率、独立評価)を達成、EUでは22年に2歳以上の深刻例向けに例外的環境条項に基づき承認された。しかし、米国では、アカデミアの試験で用いられたバッチとの同等性を確認するよう求められたことなどから承認申請が当初予定の2020年から24年5月に大きく遅延し、starting materialsの調達先における製造問題などから、一巡目は審査完了となった。Ataraは財務的にひ弱であるため、欧州におけるライセンシーであるピエール・ファーブルが米国の承認申請を継承し、25年7月に再承認申請したが、今年1月に再び審査完了通知を受領した。製造問題は解消したが、一巡目には指摘されなかった、エビデンスとなる試験一本のデザイン、実行、解析が盤石でないことがボトルネックになったようだ。ところが、5月のタイプA会議で外部対照試験による再申請が認められ、今回の再申請に至った。

2巡目から3巡目の申請に至る経緯は、どこかで聞いたような話だ。先例では、FDA長官を含む上層部が25年12月から26年5月の期間に更迭され、彼らに却下された承認審査担当部署の評価が生き返ったことが関係しているのではないか、と言われている。但し、邪魔者がいなくなったからと言ってすんなり承認されるとは限らない。程度の差はあれ、先例と同様に、高リスク案件と考えるべきだろう。

リンク: プレス・リリース


Elevar社、VEGFR-2阻害剤を再承認申請
(2026年10月14日発表)

韓国のHLB(KOSDAQ:067630)が過半の株式を保有する米国子会社、Elevar Therapeuticsは、VEGFR-2阻害剤rivoceranibを再申請したと発表した。

切除不能/転移性肝細胞腫の1次治療に中国のJiangsu Hengrui Pharmaceuticals(江蘇恒瑞医薬、上海:600276)の抗PD-1抗体camrelizumabと併用するもので、中国などアジア中心だがMD Anderson Cancer Centerなど欧米の施設も参加した第3相CARES-310試験でメジアン生存期間が22.1ヶ月とVEGFR阻害剤sorafenibだけを投与した群の15.2ヶ月を上回り、ハザード・レシオは0.62、統計的に有意だった。中国(一般名はrivoceranidではなくapatinib)では23年に承認されたが、米国は難航し、一巡目はHengrui社側の工場問題とロシアやウクライナの治験施設査察が不可能であったために審査完了、2巡目はcamrelizumabに関する新たな製造問題、3巡目は今度はElevar者側の製造施設に関する問題で、今年7月に審査完了通知を受領した。三度あることは四度ない、となるか。

Hengrui側は少なくとも英語ではプレス・リリースは出していない模様だが、おそらく、前後して申請されるのだろう。

リンク: プレス・リリース


ロシュ、自社創製抗IL-6抗体を米国でも承認申請
(2026年10月10日発表)

ロシュはRG6179(vamikibart)の非感染性ブドウ膜炎における黄斑浮腫改善作用を検討した第3相試験二本の長期追跡データをAAOで発表すると共に、米国で承認申請し受理されたことを明らかにした。審査結果は27年7月を見込んでいるとのことなので、9月に受理されたのだろう。日本では8月に承認申請、EUでも、同月、EMA(欧州薬品庁)が審査を開始している。

Fc領域を改変し血中消失を早めた抗IL-6抗体。第3相MEERKAT試験で2用量群のBCVA(最良矯正視力)改善奏効率が何れもシャム群を上回ったが、日本も参加したSANDCAT試験はフェールした。有害事象は結膜出血や眼圧上昇など。

リンク: プレス・リリース

【承認審査・委員会】


10月のCHMP結果
(2026年10月16日発表)

EUの薬品審査機関であるEMAの医薬品科学的評価委員会、CHMPは、以下の新薬などの承認に肯定的意見を纏めた。順調なら2~3ヶ月以内にEU全域で承認されることになる。

リンク: EMAプレス・リリース

Revolution Medicines(Nasdaq:RVMD)のRasonque(daraxonrasib)はRAS阻害剤。成人の治療歴のある転移性膵管腺腫に用いる。この癌の9割でRAS変異が見られるが、活性化したRASは結合ポケットが無いため薬で阻害するのは不可能と考えられていた。Rasonqueはシャペロン蛋白である細胞内cyclophilin Aと結合し形態を変えることによってRASと三量体を形成できるようにしたもの。米国ではFDA委員長の国家的優先バウチャ・プログラムに指定され、承認申請受理の翌月に承認。EMAも、米国のローリング承認審査制度に類似した新しい制度であるCancer Medicines Pathfinderプロジェクトに即して、承認申請が完了する数ヶ月前に、品質、前臨床、または臨床情報の何れかが出来た段階で審査を開始し、そこから3ヶ月でCHMP通過まで持ってきた。

本剤は日本も参加した第3相RASolute 302試験で300mgを一日一回経口投与したところ、主評価項目のRAS G12変異型サブグループでも、副次的な全集団の解析でも、PFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)と全生存期間が化学療法群を有意に上回った。CHMPのプレス・リリースには後者の26年6月カット・オフ値が記されており、試験薬群はメジアン12.4ヶ月、偽薬群は6.7ヶ月と米国のレーベルや治験論文の数値より群間差がほんの少し縮小している。米国のレーベルによると皮膚有害事象リスクがあるため局所性ステロイドや経口抗生剤、サンスクリーンなどの使用・検討が推奨される。

リンク: EMAプレス・リリース(10/15発表)

イーライリリーの非ペプチド型経口GLP-1受容体作動剤Foundayo(orforglipron)は肥満/リスク因子を持つオーバーウェイト患者における体重管理や、二型糖尿病における体重や血糖値の治療に、健康的な食事および身体活動を実践しながら、用いる。二型糖尿病では他剤と併用するがmetforminに不適不耐な場合はモノセラピー可。ノボ ノルディスクのWegovy(semaglutide)ピルと異なり服用タイミングに関する制限はない。米国では肥満症だけに昨年12月に申請、今年4月に承認された。

中外製薬が開発したが親会社のロシュが第一選択権を行使せずイーライリリーに導出したもの。ロシュは自社開発品を持っていたが、その後の進捗は今一つで、大きな魚を逃がした。抗IL-6抗体では中外由来の製品に加えてロシュ品も上記のように承認申請しており、かって、ファイザーのライバルはファイザーと呼ばれていた時代を彷彿させる(活発に企業買収を行い開発品が重複したが敢えて整理統合せず競争させた)。

リンク: EMAプレス・リリース

アセンディス・ファーマのYuviwel(navepegritide)は2歳以上の、骨端線閉鎖を伴わない軟骨無形成症の治療薬。欠乏するC型ナトリウム利尿ペプチドの代わりに前駆体を週一回、皮下注する。米国では今年2月に承認された。

新剤形ではOrphelia PharmaのKizfizo(temozolomide)の承認が支持された。活性成分は四半期超の使用歴があるが、今回、新開発の経口液製剤が、成人の新患多形神経膠芽腫(放射線療法付随)と1歳以上の標準療法難治/進行性悪性グリオーマを予定適応として、支持された。

適応拡大が支持されたのは以下の通り。

  • Janssen-Cilag InternationalのGPRC5DxCD3二重特異性抗体Talvey(talquetamab):成人の再発/難治多発骨髄腫の2次治療以降に、同社のdaratumumabと併用(更にBMSのpomalidomideも追加可)。第3相MonumenTAL-3試験でdaratumumab、pomalidomide、そしてdexamethasoneを併用した群と比べて全生存期間などが大きく改善した。
  • ファイザーのher2チロシン・キナーゼ阻害剤Tukysa(tucatinib):成人の切除不能/転移性her2陽性乳癌で、化学療法による一次治療で安定/反応した後の維持療法として、trastuzumab及びpertuzumabと併用。第3相HER2CLIMB-05試験でPFS(無進行生存期間、治験医評価)がこの二剤に偽薬を併用した群を有意に上回った。米国では今月承認、日本でも4月に一変申請された。
  • Swedish Orphan BiovitrumのApoC-IIIアンチセンス薬Tryngolza(olezarsen)を重度高トリグリセライド血症に拡大。血清トリグリセリド値を抑制し、治験のプール分析で急性膵炎イベントの大きな抑制効果も見られた。米国ではライセンス元のIonis Pharmaceuticalsが6月に適応拡大。
  • アストラゼネカのH5N1株対応パンデミック・インフルエンザ・ワクチン(点鼻用):今年5月にパンデミック下における1~17歳のインフルエンザ予防に承認された、A/Vietnam/1203/2004 (H5N1) 株弱毒化生ワクチン。今回、小児青年限定の解除が支持された。
  • ノボ ノルディスクのKyinsu(insulin icodec、semaglutide):適応症におけるinsufficiently controlledという語句の重複を整理する変更のように見える。

このほかに、Regeneron Pharmaceuticalsの発表によると、抗PD-1抗体Libtayo(cemiplimab)の用法追加も支持された。扁平上皮腫の手術・放射線療法後アジュバント療法における投与スケジュールと同じ、350mgを3週毎に30分以上かけて4回点滴静注した後に、700mg6週毎30分点滴静注にスイッチすることが他の適応でも可能になる。また、350mgに関して、初回投与時に忍容性が良好ならば次回から投与時間を15~30分に短縮することも可能になる。

一方、否定的意見が確認されたのはOmeros(Nasdaq:OMER)のYartemlea(narsoplimab)。抗MASP-2抗体で米国では承認申請から5年を経て25年12月に2歳以上の造血幹細胞移植関連血栓性微小血管症治療薬として承認されたが、CHMPは6月に続き、臨床試験のデザイン面の欠点などから挙証不十分と判定した。同社は米国需要が旺盛であることから、EUにおけるcompassionate use programmeを既存患者だけとする考え。26年第2四半期の企業ベース純営業収入は28.5百万ドル。

適応拡大申請が9月に撤回となったのはファイザーのCDK4/6阻害剤Ibrance(palbociclib)。ホルモン受容体陽性かつher2陽性という、乳癌の1割を占めるセグメントで、転移後一次治療により安定化した患者の維持療法として標準療法に追加するもの。米国では6月に、日本でも9月に、承認されたが、CHMPは、盲検下の試験ではないのに治験医によるPFS(無進行生存期間)の評価に依存していることや、スキャンの独立評価では効果が確認できなかったこと、そして、他の支持的証跡もないことから、後ろ向きに評価していた。

アストラゼネカもAKT阻害剤Truqap(capivasertib)の前立腺癌に関する適応拡大申請を取消した。詳細は未公表だが、おそらく、米国では6月に承認された、PTEN欠乏性のアンドロゲン経路調整剤未経験/感受性転移前立腺癌に関するものだろう。

適応拡大は認めないがデータ掲載だけは認める、という時々見られる大岡裁きとなったのが、ファーザーの抗CD33抗体・抗生剤複合体、Mylotarg(gemtuzumab ozogamicin)。1ヶ月児以上の未成年者の新患CD33陽性急性骨髄性白血病に関するもので、エビデンスはmitoxantrone及びcytarabineと併用下で一回投与と三回投与を比較した試験だが、EFS(無イベント生存期間)の解析がフェールしたことや、対照群が適切でないことなどから、CHMPは後ろ向きに考えていた。米国では20年に1ヶ月児以上の未成年に適応拡大しているが、上記試験はその時のものとは異なる模様で、探しても見つからなかった。

リンク: EMAプレス・リリース

【承認】


エンスプリングが甲状腺眼症に適応拡大
(2026年10月16日発表)

ロシュはFDAがEnspryng(satralizumab-mwge)を成人の甲状腺眼症に用いることを承認したと発表した。第3相試験二本のうち、SatraGO-2試験で主評価項目である活性期患者における24週突出短縮奏効率が53%と偽薬群の23%を有意に上回った。日本も参加したSatraGo-1試験は49%対31%、p=0.07とフェールした。被験者の2割程度を占めた非活性期も含めた全体の解析でも前者の試験では47%対22%、p<0.01となり、後者も全体的に一貫性が見られた。

中外製薬が創製した抗IL-6受容体リサイクリング抗体。20~21年に日米欧でMOGAD(抗ミエリン・オリゴデンドロサイト糖蛋白抗体関連障害)の治療薬として承認された。今回は、第3相が一勝一敗なのに承認される珍しい例となった。

リンク: プレス・リリース


ジルビスクのオートインジェクターが承認
(2026年10月16日発表)

UCBはZilbrysq(zilucoplan)のオートインジェクター版が米国で承認されたと発表した。27年第1四半期にロンチする予定。23年にプリフィルド・シリンジ版が日米欧で成人のAChR自己抗体陽性全身型重症筋無力症用薬として承認され、自己注射も認められているが、取扱いが簡便になる。日本でも剤形追加申請中。

リンク: プレス・リリース


FDA、IL-15融合蛋白の尿路上皮癌限定を解除
(2026年10月14日発表)

FDAはImmunityBio(Nasdaq:IBRX)のAnktiva(nogapendekin alfa inbakicept-pmln)の適応拡大を承認した。IL-15のN72D変異株をIL-15受容体の一部やIgG1のFc領域と融合した遺伝子組換え薬で、24年に米国で、今年2月にはEUでも、成人のBCG不応NMIBC(筋層非浸潤膀胱癌)に承認された。この段階ではエビデンスとなる第2/3相QUILY-3.032試験の対応コフォートに即して適応範囲がCIS(上皮内腫瘍)に限定されていたが、今回、限定解除され乳頭状腫瘍だけの患者も適応となった。

同社は、上記試験のCISはなく乳頭状腫瘍だけのコフォートでPFS(無進行生存期間)などが良好な結果になったと発表し今年1月にはJournal of Urologyに論文も刊行された。しかし、FDAの判断は二転三転。25年1月の事前会議で好反応を得て3月に適応拡大申請したが、受理されなかった。その後の経緯は明らかではないが、今年3月に再び承認申請、審査期限は27年1月6日なので標準審査だったが、前倒しで承認された。

FDA首脳部入れ替えに伴うゴタゴタの一例かとも思われたが、下記リリースによると、FDAは乳頭状NMIBCに関するガイダンス資料のドラフト(実態は最終稿)が完成間近となっている。今後は、CISにおけるエビデンスがあれば乳頭状腫瘍だけの患者も適応になりうるようだ。Anktivaは第1号だったのである。実際、新しいレーベルには乳頭状腫瘍だけの症例に関する治験成績は記載されていない。

ジョンソン エンド ジョンソンはInlexzo(gemcitabine)膀胱内留置システムで乳頭状NMIBCだけの第3相SunRISe-5実薬対照試験を実施中だが、やらなくても承認は取れたのだろうか?まあ、腫瘍学における適応範囲は必ずしもFDA承認レーベルが重視さる訳ではなく、また、FDAが承認しようがしまいが、エビデンスは無いよりあったほうがだいぶ良い。

リンク: プレス・リリース

【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】


PDUFA
26/10推アッヴィのRinvoq(upadacitinib、非分節型白癬)
26/10推GSKのJemperli(dostarlimab-gxly、dMMR/MSI-H結腸癌、CNPV案件)
26/10/26GSKのbepirovirsen(慢性B型肝炎)
26/10/29Sun PharmaceuticalのIlumya(tildrakizumab-asmn、乾癬性関節炎)
26/10/30Inovio PharmaceuticalsのINO-3107(難治呼吸器乳頭腫)
26/11推Merck KGaAのpimicotinib(腱滑膜巨細胞腫)
26/11推バイエルのBAY 2433334(asundexian、虚血性脳卒中再発予防)
26/11推JNJのTecvayli(teclistamab-cqyv、多発骨髄腫単剤4次治療)
26/11推Dizal PharmaceuticalのZegfrovy(sunvozertinib、EGFR ex20ins変異のあるNSNSCLC1L)
26/11推ロシュのGazyva(obinutuzumab、原発性膜性腎症)
26/11推ファイザーのTalzenna(talazoparib)とアステラス/ファイザーのXtandi(enzalutamide)の併用(去勢感受前立腺癌)
26/11推Regeneron PharmaceuticalsのALN-CC5(cemdisiran、全身性筋無力症)
26/11/1Agios Pharmaceuticalのmitapivat(鎌状赤血球症適応拡大)
26/11/14Summit tderapeuticsのSMT112(ivonescimab、3G EGFR阻害剤歴のあるEGFR変異陽性非扁平上皮非小細胞性肺癌)
26/11/14CytokineticsのMyqorzo(aficamten、MAPLE-HCM試験データ)
26/11/17Mandos LLC(Beren tderapeuticsの子会社)のVTS-270(adrabetadex、ニーマン・ピック病I型)
26/11/22SavaraのMolbreevi(molgramostim、吸入用、自己免疫性肺胞蛋白症)
26/11/22Capricor TherapeuticsのCAP-1002(deramiocel、DMD)
26/11/25サノフィのSAR402671(venglustat、III型ゴーシェ病)
26/11/27BridgeBio PharmaのBBP-418(ribitol、肢帯型筋ジストロフィー2I/R9型)
26/11/27Zydus Therapeuticsのsaroglitazar(原発性胆汁性胆管炎)
26/11/27Nuvalent(GSKグループ)のNVL-655(neladalkib、TKI歴のあるALK+NSCLC)
26/11/28PolypidのD-PLEX100(doxycycline長期局所放出製剤、
26/11/30ロシュのRG6171(giredestrant、早期乳癌術後療法)
26/11/30Vertex Pharmaceuticalsのpovetacicept(IgG腎症)
26/11/30Cogent BioscienceのCGT9486(bezuclastinib、GIST2L)
諮問委員会
26/10/30DODAC:SydnexisのRyjunea(atropine、小児進行性近視)


今週は以上です。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。