2026年10月10日

第1280回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • BMSのCELMoD薬、PFS延長を確認 
  • 画期的パーキンソン病用薬の第3相が成功 
  • エプキンリのDLBCL一次治療試験が成功 
  • 31価肺炎球菌ワクチンの免疫原性試験が成功 
  • ヒフデュラのシェーグレン試験は無益中止へ 
  • 中華EGFRtk阻害剤のグローバル第3相がフェール 
  • Newron社、治験停止命令の背景をアップデート 
  • オプトジェネティクス系新薬を承認申請 
  • 9~10月のEU承認申請 
  • 旭化成グループ企業のヘルペス治療薬が承認 
  • PDSSリスクが小さそうなオランザピン注が承認 
  • テセントリクがdMMR結腸癌の術後療法に適応拡大 
  • ラプシドが特発性でない蕁麻疹に適応拡大 
  • ツカイザがher2陽性乳癌の一次治療後維持療法に適応拡大 
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【新薬開発】


BMSのCELMoD薬、PFS延長を確認
(2026年10月8日発表)

ブリストル マイヤーズ スクイブはZenbexus(iberdomide)が第3相EXCALIBER-RRMM試験で共同主評価項目のPFS(無進行生存期間)を達成したと発表した。期待された通り、定番的な評価項目でも便益が確認された。

セレブロンに結合してイカロスやアイオロスなどの転写因子の零落を誘導し、腫瘍細胞の増殖を抑制、アポトーシスを誘導、そして免疫を賦活する、CELMoDと呼ばれる免疫調停薬。8月に米国で、この試験のもう一つの主評価項目である微小残存病変陰転率という新規評価方法に基づき、プロテアソム阻害剤と免疫調停薬を含む1次以上の治療歴を持つ多発骨髄腫向けに加速承認された。中間解析でZenbexusをDarzalex Faspro(daratumumabとhyaluronidase-fihj、和名ダラキューロ)及びdexamethasoneと併用した群は41%、DVdレジメン群(bortezomibをdaratumumab及びdexamethasoneと併用)群は21%だった。

PFSもメジアン値(メジアン23ヶ月追跡)で42ヶ月対20ヶ月と、こちらもほぼ倍増し、ハザード・レシオは0.49だった(p<0.0001)。

リンク: プレス・リリース


画期的パーキンソン病用薬の第3相が成功
(2026年10月7日発表)

米国ボストンの医薬品開発会社、Cerevanceは、CVN424(solengepras)が第3相進行パーキンソン病試験で主目的を達成したと発表した。承認申請に向けて当局と相談する考え。

パーキンソン病におけるドパミン欠乏の影響は直接路の抑制と間接路の亢進の2種類あるが、solengeprasはGPR6受容体のインバース・アゴニズムを通じて後者を抑制する。今回のARISE試験は欧米豪州の施設でドパミン系薬品の効果が薄れるオフタイムが1日3時間以上ある患者341人を組入れて、偽薬、75mg、または150mgを一日一回、12週間、追加投与したところ、150mgが主目的のオフタイム減少で偽薬比有意な成果を上げた。ベースライン値は5.65時間、偽薬群は0.95時間減少したが150mg群は1.56時間減少し、群間差のp=0.035だった。

副次的評価項目のジスキネジアなきオンタイムの増加は偽薬調整後で0.60時間、p=0.0468、日常生活機能や睡眠評価も改善した。有害事象は頭痛、尿路感染症、不眠、悪心など。ジスキネジアの発現率は4.4%、偽薬群は1.8%だった。

後期第2相ではオフタイムが2時間以上の141人を偽薬、50mg、150mgの3群に割付けて4週後のオフタイムを検討したところ、150mg群は偽薬調整後で1.3時間減少、p=0.02となった。被験者の9割弱を占めたオフタイム3時間以上のサブグループでは群間差1.78時間、p=0.0045とかなり良かった。しかし、3時間以上を組入れた第3相の成績は低下しており、p値がそれほど低い訳でもないので、もう一本実施せずに承認申請が認められるかどうか、不透明感がある。

リンク: プレス・リリース


エプキンリのDLBCL一次治療試験が成功
(2026年10月5日発表)

ジェンマブと共同開発販売パートナーのアッヴィは、抗CD3xCD20二重特異性抗体Epkinly(epcoritamab-bysp)が第3相新患DLBCL(びまん性大細胞型B細胞型リンパ腫)試験で主目的等を達成したと発表した。適応拡大に向け当局と相談する考え。

Epkinlyは米国で再発/難治DLBCLの3次治療薬として加速承認され、再発/難治濾胞性リンパ腫にも3剤併用または3次治療以降に単剤投与が承認されている。今回のEpcore DLBCL-2試験はIPS予後予測分類が2~5の新患DLBCL患者をR-CHOP群(rituximab8サイクルとcyclophosphamide、doxorubicin hydrochloride、vincristine、及びprednisoneを6サイクル)とR-CHOP・Epkinly併用群(R-CHOP6サイクルとEpkinly8サイクル)に無作為化割付けしてPFS(無進行生存期間)を比較した。主評価項目のIPS3~5サブグループではハザード・レリオ0.49、副次的評価項目の全体の解析も0.49となり、どちらも統計的に有意だった。

同様なセッティングではロシュの抗CD79b抗体薬物複合体Polivy(polatuzumab vedotin-piiq)がR-CHOPのうちvincristineを外したR-CHPレジメンと併用で22~23年に日欧米で適応拡大承認されている。R-CHOP比のPFSハザード・レリオは0.73なので、今回のほうが少なくとも効果に関しては高そうだ。

リンク: プレス・リリース


31価肺炎球菌ワクチンの免疫原性試験が成功
(2026年10月5日発表)

米国カリフォルニア州のワクチン開発会社、Vaxcyte(Nasdaq:PCVX)は、VAX-31の最初の第3相試験であるOPUS-1で良好な成果を上げたと発表した。既存の肺炎球菌ワクチン二品と比べて、共通株に関しては一部を除いて非劣性、独自株は優越性を概ね達成した。他の二本の結果を27年上期に取得し、ロット同等性試験を経て28年上期に承認申請する考え。

今回の試験は米国の50歳以上で肺炎球菌ワクチン接種歴のない3572人をVAX-31群、PVC20(ファイザーのPrevnar 20)群、PVC21(MSDのCapvaxive)群に無作為化割付けして、一回接種の1ヶ月後のOPA(オプソニン貪食活性)法に基づく免疫原性のGMR(算術平均比)を検討した。主評価項目打ち、PCV20またはPCV21と共通する28の配合株に関しては95%下限が閾値の0.667を上回った。3剤共通の11株では少なくともどちらかと比較して非劣性、PCV20だけと共通の9株やPCV21だけと共通の8株でも、非劣性だった。

多価ワクチンの試験では一つ二つ取りこぼすことも珍しくない。製品毎の比較では、PCV20とは全株、非劣性だったが、PCV21比では3型と12F型がフェールした(同社によると、伝統的な非劣性マージンである0.5はクリアした)。

共同主評価項目である、VAX-31だけが配合する3株及び交差応答する1株に関しては優越性解析(95%下限が2.0超)を達成した。

米国で近年流行している株のカバレッジはPrevnar 20よりCapvaxiveの方が優れる。このため、承認審査ではPVC21との優劣が重要な評価点の一つになると同社は考えている。

尚、この試験は18~49歳の475人もPCV20と3対1割付けで組入れており、安全性や、免疫原性のブリッジング可能性が確認された。

他の第3相は、OPUS-2試験でインフルエンザ・ワクチンと同時または1ヶ月遅れで接種する時の免疫原性などを検討し、OPUS-3試験ではPPSV23(MSDのPneumovax)も含め肺炎球菌ワクチン接種歴を持つ50歳以上の752人を組入れるPCV20対照免疫原性試験が進行中。承認申請までには未成年者向け第2相の結果も判明しそうだ。

リンク: プレス・リリース


ヒフデュラのシェーグレン試験は無益中止へ
(2026年10月8日発表)

オランダのアルジェニクスはVyvgart Hytrulo(efgartigimod alfa and hyaluronidase-qvfc)でシェーグレン疾患の第3相試験を実施しているが、無益中止が決まった。日本も参加したUNITY試験に抗Ro/SSA自己抗体を持つ中重度原発性シェーグレン疾患の成人631人を組入れて48週間投与し、EULARシェーグレン症候群疾病活動性指数の改善を偽薬群と比較する計画だったが、独立データ監視委員会が中間解析で無益認定し中止を勧告した。

Vygartは抗FcRn抗体フラグメント。皮下注用のHytruloとオリジナルの静注用が全身性重症筋無力症などに承認されている。

リンク: プレス・リリース


中華EGFRtk阻害剤のグローバル第3相がフェール
(2026年10月6日発表)

米国フィラデルフィア州の新興医薬品企業、ArriVent Biopharma(Nasdaq:AVBP)は、EGFRチロシン・キナーゼ阻害剤firmonertinibが第3相FURVENT試験で主目的を達成しなかったと発表した。中国では複数のEGFR変異非小細胞性肺癌向けに承認されており、今回は標的変異が異なるとはいえ、意外な結果になった。

中枢神経浸透性第3世代EGFR阻害剤で、様々な変異型に活性を持つ。中国では21年にEGFRtk阻害剤歴のあるT790M変異非小細胞性肺癌に承認、22年にはエクソン19欠損またはL858R変異型の一次治療薬としても承認された。ArriVentはオリジネイターのShanghai Allist Pharmaceuticals(SSE:688578)から中国外の権利を取得、2本の第3相試験を実施している。

今回の日本も参加した試験は、エクソン20挿入変異のある局所進行/転移非扁平上皮非小細胞性肺癌の一次治療を受ける約400人を160mg一日一回経口投与群、240mg一日一回経口投与群、そして白金ベース化学療法群に無作為化割付けして、PFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)を比較した。各群のメジアン値は8.4ヶ月、11.0ヶ月、9.5ヶ月となり、低量群のハザード・レシオは0.91でフェール、高量群は0.75と良さそうだったがp=0.0654でフェールした。一方、副次的評価項目の担当医評価に基づくPFSはメジアン値が各群8.3ヶ月、11.1ヶ月、7.1ヶ月と特に対照群で第三者査読値と大きく変わり、高量群のハザード・レシオは0.61(95%信頼区間0.46-0.81)と見栄えがした。また、全生存期間の解析は未成熟ながら改善の傾向が見られるとのことだ。

もう一本の第3相ALPACCA試験はEGFRの一般的ではない変異型であるPACC(P-Loop and Alpha C-Helix Compressing)型局所進行/転移非小細胞性肺癌を組入れて、PFS(同上)などをosimertinibと比較している。ClinicalTrials.govによると成否判明は29年とのことなので、名誉挽回の機会はFURVENT試験の生存期間解析のほうが先かもしれない。

リンク: プレス・リリース


Newron社、治験停止命令の背景をアップデート
(2026年10月8日発表)

イタリアのNewron Pharmaceuticals(SIX:NWRN)は電位依存性ナトリウム・チャネル阻害剤NW-3509(evenamide)が治療抵抗性統合失調症の治療薬として第3相段階にあるが、米国では、FDAが4月に第3相ENIGMA-TRS 2試験に関して新規組入れ停止を命じたため、まだ一例も投与を開始していない。今回、アップデートが行われた。

事の発端は、米国外の施設で投与を受けた患者1名が突然死したこと。担当医は薬物関連とは判定せず、欧州アジアなど米国外で実施しているENIGMA-TRS 1試験も担当する独立安全性監視委員会は試験継続を勧告したが、FDAは、ナトリウム・チャネル阻害剤でしばしば見られる不整脈やそれに伴う心血管事故や癲癇発作のリスクを懸念している模様だ。

evenamideの臨床試験ではこれまでに4名が死亡しており、偽薬群の1名より数値上は多いが、3例は治験担当医が薬物関連無しと評価している由。また、100人年当りの発生率で見ると1.31と、偽薬群の1.81と比べて高くはない。

FDAはQTc間隔の穏やかな短縮が見られることにも注目している模様。QTc間隔の大きな延長を誘導する薬は突然死のリスクを伴うことが知られていて、安全性評価に使える閾値も存在するが、QTc短縮は初耳で、プレス・リリースからも当惑も窺われる。

TRS 1試験のほうは組入れが進捗しており、27年第1四半期には主評価項目のPANSS(陽性・陰性症状評価尺度)の解析結果が判明する見込みだ。成功なら後期第2相の008A試験と合わせて承認申請に向かう可能性があるが、米国に関しては遅れそうだ。

evenamideは24年にEAファーマが日本などの市場で、25年にはMyung In Pharmaが韓国で、開発販売権を取得している。

リンク: プレス・リリース

【承認申請】


オプトジェネティクス系新薬を承認申請
(2026年9月9日発表)

ノーベル生理学・医学賞に繋がったオプトジェネティクス技術を検索していて、以前マークした新薬の承認申請が米国と日本で受理されていたことに気付いた。米国テキサス州ダラスの未公開ベンチャーであるNanoscope Therapeuticsが開発した網膜色素変性症(RP)用薬、Mogenry(開発名MCO-010、sonpiretigene isteparvovec)だ。網膜椎体に分布する光受容に係る蛋白、オプシンの改変プラスミドを組み込んだAAV2ベクターを硝子体注射する遺伝子療法で、RPと関連する遺伝子変異は多数あるが、不問で使える可能性がある。承認申請の根拠となる後期第2相RESTORE試験で進行RPの患者に投与したところ、第52週のBCVA(最高矯正視力、超低視力でも検査できるフライブルク法で計測)がシャム群比有意に改善した。RPの無作為化対照試験で臨床的に意味のある視力改善を達成したのは初めてとのこと。

当初の計画より2年遅れたが9月に米国で重度視力喪失を伴うRPを予定適応症とする承認申請が受理された。プレス・リリースには審査期限等は記されていない。10月1日には、日本で受理と発表された。予定適応症は遺伝性網膜ジストロフィーとなっており、RPだけでなく、第2相で臨床的に意味のあるBCVA改善を達成したシュタルガルト症などもカバーする考えのようだ。

リンク: プレス・リリース(FDA受理、9/9付)
リンク: プレス・リリース(PMDA受理、10/1付)


9~10月のEU承認申請
(2026年10月9日公表資料から抜粋)

EMAによると、9月15日と10月1日に新薬承認審査を開始した品目は以下の通り。

申請者呼称一般名種類適応症米国
MSDLipfendraEnlicitide経口PCSK9阻害剤成人の原発性高脂血症と混合異脂血症26/7承認
Jiangsu Hengrui PharmaceuticalsWevduryFuzuloparibPARP1/2阻害剤成人の転移性去勢抵抗性前立腺癌不明
Relay TherapeuticsLyrfigtuLirafugratinibFGFR2阻害剤成人の治療歴のある切除不能、局所進行、転移性胆管腫26/9承認
Biosplice TherapeuticsSM04690LorecivivintDYRK1A/CLK2阻害剤成人の膝・腰変形性関節炎26/1承認申請
ノバルティス(MorphoSys)CPI-0610PelabresibBET阻害剤原発性骨髄線維症などの成人における膵臓肥大や症状の治療不明
Ultragenyx PharmaceuticalFayuviRebisufligene etisparvovecAAV9遺伝子療法生後から18歳までのMPS IIIA26/9承認
United TherapeuticsTyvasoTreprostinilPGI2製剤、ネブライザ吸入用成人の特発性肺線維症26/9適応拡大申請受理
出所:Applications for new human medicines under evaluation by the CHMP(2026年10月5日付)
注:一般名と適応症以外は主として会社発表や当方の推測による。

このうちfuzuloparibはJiangsu Hengrui Pharmaceuticals(江蘇恒瑞医薬、上海:600276)側もプレス・リリースを出している。第3相FUZUPRO試験でCYP17阻害剤abiraterone acetate及びprednisone(別名prednisolone)のレジメンに追加したところ、PFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)が24.8ヶ月と追加しなかった群の19.9ヶ月を上回り、ハザード・レシオは0.71、統計的に有意だった。被験者の5割弱は中国本土以外の施設の組入れで、ClinicalTrilas.govを見ると多くの米国施設も参加しているので、米国でも承認取得を目指しているのではないか。尚、中国ではある種の卵巣癌や乳癌向けに承認されている。

リンク: EMAの承認審査案件開示サイト
リンク: Jiangsu Hengrui Pharmaceuticalsのプレス・リリース

【承認】


旭化成グループ企業のヘルペス治療薬が承認
(2026年10月9日発表)

FDAはドイツのAicuris Anti-infective Cures AGのHovilpri(PDSS(post-injection delirium/sedation syndrome))を承認した。免疫力が低下している患者の単純ヘルペスウイルス感染症における、既存薬不応の皮膚粘膜病変の治療に用いる。第3相PRIOH-1で負荷用量400mg、維持用量100mgを1日1回、最大28日間経口投与したところ、63%の患者が完治し、DNAポリメラーゼ阻害剤などを用いた対照群の34%を有意に上回った。

DNA二重らせんをほどくヘリカーゼとRNAプライマーを合成するプライマーゼの複合体を阻害する。Aicuris社は06年にバイエルからスピンアウト、今年4月に旭化成の米国子会社であるVeloxis Pharmaceuticalsに7.8億ユーロで買収された。

リンク: プレス・リリース


PDSSリスクが小さそうなオランザピン注が承認
(2026年10月9日発表)

テバファーマスーティカルはFDAがWeltruza(olanzapine)を統合失調症薬として承認したと発表した。オリジネイターであるイーライリリーのZyprexaは17~18年前に欧米で筋注用製剤のZyprexa Relprevvが投入されているが、臨床試験で2%程度の患者でPDSS(注射後せん妄鎮静症候群)が発生したため枠付き警告され、投与後は3時間以上モニタリングし付き添いと帰宅することが推奨されている。Weltruzaのレーベルにも警告注意事項として記載されているが、849人の投与実績で一例も発生しなかったことから、枠付き警告やモニタリング勧奨が無い、クリーンな内容になった。

EUでも5月に承認申請が受理されている。

リンク: プレス・リリース


テセントリクがdMMR結腸癌の術後療法に適応拡大
(2026年10月8日発表)

FDAはロシュの静注点滴用抗PD-L1抗体Tecentriq(atezolizumab)とその皮下注用製品をステージIIIのdMMR(ミスマッチ修復機能欠損)型結腸癌の全摘後アジュバント療法に併用することを承認した。静注用製剤は2歳以上、皮下注用は12歳以上かつ体重40kg以上の患者が適応になる。日本でも適応拡大申請中。

エビデンスとなる第3相ATOMIC試験でmFOLFOX6レジメンの6ヶ月コースにTecentriqの12ヶ月コースを追加したところ、中間解析でDFS(無病生存期間)のハザード・レシオが0.50となり、p値は閾値の0.009を下回った。両群ともメジアン未到達だが、3年無病生存率は86.4%対76.6%で10パーセンテージ・ポイント程度の差があった。G3以上の有害事象の発生率は71.7%対62.1%だった。

リンク: プレス・リリース


ラプシドが特発性でない蕁麻疹に適応拡大
(2026年10月7日発表)

ノバルティスはFDAがRhapsido(remibrutinib)を成人のH1抗ヒスタミンに十分応答しない症候性皮膚描記症(SD)に適応拡大を承認したと発表した。25~26年に米欧日で慢性特発性蕁麻疹用薬として承認されたbtk阻害剤で、マスト細胞などが分泌するブルトン型チロシン・キナーゼを阻害して自己免疫疾患における免疫亢進を抑制する。

今回の承認は特発性(原因不明)ではない蕁麻疹に関する適応拡大の第一弾。日本も参加した第3相RemIND試験で25mgを一日二回経口投与したところ、SDコフォートでは12週完全反応率が29%と偽薬群の14%を上回った(p=0.023)。このコフォートの4割はアジアの施設で組み入れられた。このほかに、寒冷蕁麻疹やコリン性蕁麻疹のコフォートも12週奏効率を達成しており、逐次、承認取得が進められるのではないかと思われる。

remibrutinibは100mgを投与した多発硬化症の第3相も2本成功、承認申請に向かう見込み。

リンク: プレス・リリース


ツカイザがher2陽性乳癌の一次治療後維持療法に適応拡大
(2026年10月7日発表)

FDAはTukysa(tucatinib)をher2陽性切除不能/転移乳癌の一次治療後維持療法に承認した。第3相HER2CLIMB-05試験でtrastuzumab、pertuzumab、タクサンの3剤併用インダクション療法が疾病安定化以上の成果を上げた654人を組入れて、trastuzumabとpertuzumabの継続投与に偽薬またはTukysa(300mg一日二回)を追加したところ、PFS(無進行生存期間、治験医評価)のハザード・レシオが0.64、メジアンPFSは各群16.3ヶ月と24.9ヶ月となった。全生存期間の解析はまだ熟していないが、25年のサン・アントニオ乳癌カンファレンスにおける発表によれば、ハザード・レシオ0.539と好ましい方向を指している。この適応拡大はEUや日本でも今春、承認審査が開始されている。

ファイザー・グループのSeagenが18年にOncothyreonを6億ドルで買収して入手した選択的her2チロシン・キナーゼ阻害剤。20年に米国で、21年にはEUでも、複数のher2標的薬歴を持つher2陽性切除不能/転移乳癌にtrastuzumab及びcapecitabineと併用することが承認され、26年には日本でも化学療法歴のあるher2陽性手術不能/再発乳癌に同レジメンが承認された。乳癌以外では、23年に米国でher2陽性切除不能/転移結腸直腸癌のサルベージ療法としてtrastuzumab併用が加速承認され、今年4月に日本で化学療法歴のあるher2陽性胆道癌にtrastuzumab併用が一変申請された。

リンク: プレス・リリース

【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】

PDUFA
26/10推アッヴィのRinvoq(upadacitinib、非分節型白癬)
26/10推GSKのJemperli(dostarlimab-gxly、dMMR/MSI-H結腸癌、CNPV案件)
26/10/15ロシュのEnspryng(satralizumab-mwge、甲状腺眼症)
26/10/26GSKのbepirovirsen(慢性B型肝炎)
26/10/29Sun PharmaceuticalのIlumya(tildrakizumab-asmn、乾癬性関節炎)
26/10/30Inovio PharmaceuticalsのINO-3107(難治呼吸器乳頭腫)
26/11推Merck KGaAのpimicotinib(腱滑膜巨細胞腫)
26/11推バイエルのBAY 2433334(asundexian、虚血性脳卒中再発予防)
26/11推JNJのTecvayli(teclistamab-cqyv、多発骨髄腫単剤4次治療)
26/11推Dizal PharmaceuticalのZegfrovy(sunvozertinib、EGFR ex20ins変異のあるNSNSCLC1L)
26/11推ロシュのGazyva(obinutuzumab、原発性膜性腎症)
26/11推ファイザーのTalzenna(talazoparib)とアステラス/ファイザーのXtandi(enzalutamide)の併用(去勢感受前立腺癌)
26/11推Regeneron PharmaceuticalsのALN-CC5(cemdisiran、全身性筋無力症)
26/11/1Agios Pharmaceuticalのmitapivat(鎌状赤血球症適応拡大)
26/11/14Summit tderapeuticsのSMT112(ivonescimab、3G EGFR阻害剤歴のあるEGFR変異陽性非扁平上皮非小細胞性肺癌)
26/11/14CytokineticsのMyqorzo(aficamten、MAPLE-HCM試験データ)
26/11/17Mandos LLC(Beren tderapeuticsの子会社)のVTS-270(adrabetadex、ニーマン・ピック病I型)
26/11/22SavaraのMolbreevi(molgramostim、吸入用、自己免疫性肺胞蛋白症)
26/11/22Capricor TherapeuticsのCAP-1002(deramiocel、DMD)
26/11/25サノフィのSAR402671(venglustat、III型ゴーシェ病)
26/11/27BridgeBio PharmaのBBP-418(ribitol、肢帯型筋ジストロフィー2I/R9型)
26/11/27Zydus Therapeuticsのsaroglitazar(原発性胆汁性胆管炎)
26/11/27Nuvalent(GSKグループ)のNVL-655(neladalkib、TKI歴のあるALK+NSCLC)
26/11/28PolypidのD-PLEX100(doxycycline長期局所放出製剤、
26/11/30ロシュのRG6171(giredestrant、早期乳癌術後療法)
26/11/30Vertex Pharmaceuticalsのpovetacicept(IgG腎症)
26/11/30Cogent BioscienceのCGT9486(bezuclastinib、GIST2L)
諮問委員会
26/10/30DODAC:SydnexisのRyjunea(atropine、小児進行性近視)

今週は以上です。

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