2026年9月26日

第1278回

 

【ニュース・ヘッドライン】

  • トレムフィア、体軸性乾癬性関節炎の体軸性症状を改善 
  • MSD、新種のDME用薬の第3相が成功 
  • ロシュ、新種のIgA腎症用薬を承認申請へ 
  • FUS-ALSの第3相が成功 
  • CD40L標的蛋白のシェーグレン試験が成功 
  • 血管浮腫にも有効な蕁麻疹治療薬 
  • XLRPの遺伝子療法を承認申請へ 
  • Gossamer Bio、承認申請を断行 
  • インスメッド、アリケイスをMAC肺疾患の一次治療に適応拡大申請 
  • エピネフィリン系舌下薬を承認申請 
  • 焦点起始発作用薬を承認申請 
  • FDA諮問委員会、GRAIL社の多種腫瘍早期検査をポジティブに評価 
  • Mirum社のFOP用薬も承認 
  • ガザイバがネフローゼ症候群に適応拡大 
  • 腎癌の新規併用法が承認 
  • オンスイクが米国でも承認 
  • 胆道癌の新薬が承認 
  • エアウィンの早期治療データがレーベル収載 
  • EUで脳副腎白質ジストロフィー用薬が承認
  • 当面の主なFDA審査期限、諮問委員会 


【新薬開発】


トレムフィア、体軸性乾癬性関節炎の体軸性症状を改善
(2026年9月25日発表)

ジョンソン エンド ジョンソンは抗IL-23p19サブユニット抗体Tremfya(guselkumab)が第4相STAR試験で主目的や主要副目的を達成したと発表した。データは学会で発表する考え。

乾癬性関節炎(PsA)の早期患者の5-28%、長期罹患者の25-70%では脊椎や仙腸関節にも炎症が広がっている。今回の試験は、この体軸性症状を伴う活性期PsA患者で、バイオ薬以外の治療に十分応答しない成人患者411人をTremfya群と偽薬群に無作為化割付けして24週のBASDAI(Bath Ankylosing Spondylitis Disease Activity Index)を比較した。これは脊椎痛や関節症状など5症状に関する患者評価指数。レンジは0~10で大きいほど重い。元々は体軸性脊椎関節炎の評価指数だ。主要副目的はASDAS-CRP(Ankylosing Spondylitis Disease Activity Score with C-Reactive Protein:背痛や末梢痛などの患者評価とCRPの変化を示す複合指数)と仙腸関節の炎症に関するMRI評価。

Tremfyaは活性期中重度乾癬性関節炎に承認されているため、適応拡大という訳ではないが、重要なエビデンス。

リンク: プレス・リリース



MSD、新種のDME用薬の第3相が成功
(2026年9月24日発表)

MSDはMK-3000が後期第2相/3相糖尿病性網膜浮腫(DME)試験で主目的を達成したと発表した。もう一本で再現されれば、27年にも承認申請の可能性がありそうだ。

24年に子会社化したEyeBiotech(EyeBio)が開発している4価3重特異性抗体。Wntシグナル伝達経路を活性化する天然のライガンド、norrinの網膜血管保護作用を模した。今回のBRUNELLO試験は欧米等の施設で成人のDME患者984人を0.5mg群、0.8mg群、そして抗VEGF抗体フラグメントranibizumab(ジェネンテック/ノバルティスのLucentis)群に無作為化割付けして4週毎に硝子体内注射し、52週時点のBCVA(最良矯正視力)を比較した。両用量とも非劣性解析が成功した。気がかりなのは、増殖性糖尿病性網膜症や硝子体出血がranibizumab群より多かったこと。データは今後発表される。

もう一本の第2/3相BAROLO試験は米州と日本の施設で1054人を組入れて進行中。ClinicalTrials.govには27年3月に主目的完了予定と記されている。

リンク: プレス・リリース


ロシュ、新種のIgA腎症用薬を承認申請へ
(2026年9月23日発表)

ロシュはRO7434656(sefaxersen)が第3相原発性IgA腎症試験で主評価項目を達成したと発表した。承認審査機関と協議する考え。

IgA腎症の治療薬は既に様々な新薬が承認されているが、ロシュがIonis PharmaceuticalsのIONIS-FB-LRxをライセンスして開発しているsefaxersenは肝臓における補体因子Bの生産を阻害するアンチセンス・オリゴヌクレオチドという新しい標的とモダリティを持っている。今回の日本も参加した第3相IMAgINATION試験は高リスク原発性IgA腎症の成人459人を組入れて、月一回皮下注(但し最初の3回は2週毎)する便益を偽薬と比較した。主評価項目の37週における24時間UPCR(尿蛋白クレアチニン比)が偽薬比で統計的に有意且つ臨床的に意味のある改善を示した。

IgA腎症用薬の米国における開発方針は、UPCRデータに基づき加速承認を得て、2年間のeGFR(推算腎濾過量)データを取得した段階で本承認切替申請するパターン。ロシュもeGFRを105週間追跡すべく盲検を続ける。

リンク: プレス・リリース


FUS-ALSの第3相が成功
(2026年9月22日発表)

大塚製薬とIonis Pharmaceuticals(Nasdaq:IONS)は、ION363(ulefnersen)が第3相FUS変異関連ALS(筋萎縮性側索硬化症)試験で主目的を達成したと発表した。承認申請に向かうのではないか。

FUS(Fused in sarcoma)変異があると有害なFUS蛋白が運動ニューロンで蓄積し損傷を与える。該当するのはALSの0.6%程度、G7における患者数は350人程度と推測されている。小児や若年期発症患者に比較的多い模様だ。ION363はFUSに結合し発現を妨げるアンチセンス・オリゴヌクレオタイド。24年に大塚が世界独占製造販売権を取得した。

第1-3相FUSION試験で10歳以上の患者を対象に標準療法に追加する安全性や便益を検討しており、第3相ポーションでは試験薬を当初2回は4週毎、その後は12週毎に腰椎髄腔内投与した。主評価項目はランク付け複合評価項目で、505日のALSFRS-R(改訂ALS機能評価尺度)、レスキュー治療や状態悪化による離脱までの期間、死亡または永続的換気に至るまでの期間を観察した。結果は偽薬比p=0.0005と有意な差があった。

複合評価項目はどの項目がどの程度良かったか知る必要があるが、詳細は不明。副次的評価項目の死亡までの期間、永続的換気までの期間などの解析も成功した模様なので、悪くはなさそうだ。有害事象の大部分は軽中度だった。

リンク: プレス・リリース


CD40L標的蛋白のシェーグレン試験が成功
(2026年9月22日発表)

アムジェンはdazodalibepが第3相シェーグレン症候群試験で主目的を達成したと発表した。もう一本は今年10-12月期に結果が判明する見込み。

CD40レガンドに結合する融合蛋白。23年に280億ドルで買収したHorizon Yjerapeuticsが、アストラゼネカの子会社であるMedImmuneから18年にスピンアウトしたViela Bioを21年に買収して入手したもの。22年に臓器障害などを伴う患者の第2相が成功、23年には自覚症状主導型の患者の試験でも良績を上げ、24年に日本も参加して第3相入りした。

今回成功したのはOASIZ 301試験。ESSDAIが5点以上と中重度全身性症状を伴う、抗Ro自己抗体陽性またはRF陽性の患者621人を組入れて、2種類の用量の点滴静注の効果を確かめた。主評価項目は48週ESSDAI。ESSDAIはEULAR Sjogren's Syndrome Disease Activity Indexの略で、リンパ節や関節、臓器など、12項目に関して医師が評価するもの。類似した内容の第2相では24週ESSDAIがベースラインの10.7点から6.3点低下、偽薬群は4.1点低下に留まった。尚、ESSPRI(EULAR Sjögren's Syndrome Patient Reported Index:乾燥、疲労、疼痛に関する患者の自己評価)は大差なかった。

もう一本の第3相、303試験は、ESSDAIは5点未満と医師評価はそれほどでもないがESSPRIが5点以上の、抗Ro自己抗体陽性またはRF陽性患者を組入れて、ESSPRI改善作用などを検討している。第2相では24週で1.8点低下、偽薬群は0.5点の低下だった。

リンク: プレス・リリース


血管浮腫にも有効な蕁麻疹治療薬
(2026年9月22日発表)

Celldex Therapeutics(Nasdaq:CLDX) はDX-0159(barzolvolimab)が第3相慢性特発性蕁麻疹(CSU)試験二本で主評価項目と主要副次的評価項目を達成したと発表した。オープン・レーベル期を含め52週間追跡した上で、27年に承認申請する考え。

KITに結合するヒト化抗体。第3相のEMBARQ-CSU1と同2は、は抗ヒスタミンに不十分応答または不耐の成人各970人前後を組入れて、150mg4週毎(初回は300mg)投与群と300mg8週毎(初回は450mg)群の効果を偽薬と比較した。主評価項目は12週UAS7(掻痒活動性スコア、7日間合計、ベースライン値は2本とも30点前後)。CSU1では各群20.2点、20.5点、10.7点低下、CSU2では20.2点、19.7点、11.4点低下となり、何れも偽薬比有意だった。被験者の1割強を占めた、既存薬である抗IgE抗体omalizumabに難治の患者にも有効。被験者の約7割は血管浮腫を併発していたが、6割強が寛解した(偽薬群は3割強)。患者背景等が異なるのかもしれないが、最近の承認薬であるRegeneron Pharmaceuticals/サノフィの抗IL-4Rアルファサブユニット抗体、Dupixent(dupilumab)の試験では血管浮腫緩和作用が見られなかったので、承認後のセールス・ポイントになりそうだ。

有害事象はKIT阻害によるものらしいが被験者の5割前後で毛髪色調変化、1割前後で皮膚色素沈着低下、皮膚色素沈着過剰、好中球減少症、味覚異常、味覚低下が発生した。深刻有害事象は二本合計で各群1人、3人、4人と若干増加した。

リンク: プレス・リリース


XLRPの遺伝子療法を承認申請へ
(2026年9月21日発表)

英国のBeacon Therapeuticsは、AGTC-501(laruparetigene zovaparvovec)が第2/3相XLRP(X連鎖網膜色素変性症)試験で主目的等を達成したと発表した。この希少疾患のpivotal試験が成功したのは初めて。10月10日にAAO(眼科学学会)で詳細発表する予定。26年末までに米国でローリング承認申請に着手する考えで、欧州に関しては導出の可能性もあるようだ。

XLRPは主にRPGR(retinitis pigmentosa GTPase regulator)の遺伝子の先天的変異により視力や視野が低下していく。罹患率は欧米豪州で25,000男子に一人。AGTC-501は欠乏する遺伝子をアデノ随伴ウイルスのカプシドをベクターとして供給する。生体内で不安定性な塩基配列を、同じコドンをコードする安定性の高い配列に置換する処理も行われている。

今回のVista試験は米豪加英の施設で12~48歳の男性85人を対照群、3.7E+11vg群、6.8E+11vg群に無作為化割付けして第12月のLLVA(薄明下視力)がETDRS視力チャートで15字以上改善した患者の比率を評価者盲検で比較した。対照群はゼロ、低量群は24.1%(対照群比p=0.01)、高量群は31.0%(同0.0019)と、両群とも有意な差があった。試験薬関連治療時発現有害事象が低量群で38%、高量群は25%で発生した。

バイオジェンやMeiraGTx/JNJのRPGR遺伝子療法試験はフェールしたが、主評価項目は前者が網膜感受性、後者は低輝度迷路試験と異なっているので、3試験の副次的評価項目のデータが出揃うまで、何が違うのか分からない。勿論、どんな勝ちでも勝ちは勝ちだ。

リンク: プレス・リリース

【承認申請】


Gossamer Bio、承認申請を断行
(2026年9月23日発表)

米国カリフォルニア州のGossamer Bio(Nasdaq:GOSS)はGB002(seralutinib)を肺動脈高血圧症用薬として承認申請したと発表した。第3相PROSERA試験は統計学的に有意とは言えない結果になっており、ダメ元申請と目されている。

PDGFR、CSF1R、c-KITなどを阻害する小分子薬。上記試験はWHO機能クラスがII/IIIの肺動脈高血圧症約400人を組入れて、既存治療に追加する便益を検討した。主評価項目の24週6分歩行テストが28.2メートル改善と偽薬群の13.5メートルを上回り、Hodges–Lehmann法に基づく治療効果は13.3メートル、p=0.0320となったが、アルファの0.025を下回れなかった。治療時発現深刻有害事象の発生率は各群16.0%と18.9%だったが、肝機能検査値異常上昇(3xULN超)の発生率は13%対1%で上回った。この試験結果を受け、Chiesiは開発販売提携を解消した。

同社の時価総額は数千万ドルで推移している。

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インスメッド、アリケイスをMAC肺疾患の一次治療に適応拡大申請
(2026年9月21日発表)

インスメッドはArikayce(amikacin)をMAC(マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス)による肺疾患の治療薬としてFDAに適応拡大申請し受理されたと発表した。優先審査を受け、審査期限は27年1月28日。日本でも26年内に承認申請する考え。

18年に米国で、20年にはEUで、21年には日本でも、承認されたアミカシンのネブライザ吸入用製品。米国における適応は、MACによる非結核性抗酸菌肺感染症で、抗生剤併用による前治療後も喀痰検査が陰転せず、他の治療選択肢が限られている場合。エビデンスは喀痰検査陰転率というサロゲート・マーカーだったため加速承認となった。

今回のエビデンスとなる後期第3相ENCORE試験はMAC肺疾患の患者425人(うち8割は初治療)をazithromycin及びethambutolのレジメンをベースにamikacin(590mg)を追加する群の呼吸器症状改善作用を偽薬追加群と比較した。主評価項目はQuality of Life-Bronchiectasis Respiratory Domain(8項目ある)。1年後に各群17.77点と14.66点改善し、群間差はp=0.0299だった。深刻治療時発現有害事象発生率は各群14.1%と11.3%、致死的なものの発生率は両群0.5%だった。特別関心治療時発現有害事象の一つである気管支痙攣の発生率は各群23.0%と11.8%、過敏性肺臓炎は2.3%と0%だった。

会社側は承認なら対象患者数が3万人から20万人に増加と見込んでいる。加速承認に伴う市販後コミットメントも充足することになる。

リンク: プレス・リリース


エピネフィリン系舌下薬を承認申請
(2026年9月17日発表)

Aquestive Therapeutics(Nasdaq:AQST)は米国でAnaphylm(dibutepinephrine)を再承認申請したと発表した。活性成分はエピネフィリン(アドレナリン)のプロドラッグで、一型アレルギー反応を発症した時に舌下投与する。切手サイズなので携帯に便利。同社は25年に承認申請したが、パウチを開けるのに時間がかかるなどのヒューマン・ファクターにより審査完了通知を受領。所要時間をメジアン17秒から3秒に減らす改良を行い、再申請に漕ぎ着けた。

リンク: プレス・リリース


焦点起始発作用薬を承認申請
(2026年9月17日発表)

Xenon Pharmaceuticals(Nasdaq:XENE)は米国でKv7カリウム・チャネル・オープナーのXEN1101(azetukalner)を焦点起始発作用薬として承認申請したと発表した。アジャンクト(治療を受けている患者に追加投与)試験で一日一回経口投与したところ、後期第2相では10mg、15mg、25mg群の28日間焦点起始発作頻度(ベースライン値はメジアン13.5回)が33%、46%、53%減少し、偽薬群の18%減を有意に上回った。第3相X-TOLE2試験では15mg群と25mg群のみテストしたところ34%と53%減少し、偽薬群の10%減を有意に上回った。深刻な治療時発現有害事象が各群3.2%と5.6%で発生した(偽薬群は2.4%)。第3相はX-TOLE3試験ももうすぐ開票するのではないか。

同社は大鬱病や原発性全般性強直間代発作(PGTCS)でも第3相試験中。前者は錯乱や失語などの精神症状が見られたため、今月、自発的に新患組入れを停止したが、一本は検出力が足りる水準まで進捗しているため、27年第1四半期にトップラインを発表する計画。

リンク: プレス・リリース

【承認審査・委員会】


FDA諮問委員会、GRAIL社の多種腫瘍早期検査をポジティブに評価
(2026年9月23日発表)

FDAはMCGPMDAC(診断機器などに関する諮問委員会)を招集し、GRAIL(Nasdaq:GRAL)が1月にPMA(市販前承認)申請したGalleri MCED(多種腫瘍早期検出)スクリーニング・システムについて意見を聞いた。諮問委員10人の評価は、安全性は全員支持、便益は6対4で支持が僅かに上回っただけだったが、便益が危険を上回る(承認に値する)と判定した委員が7人、反対2人、1名棄権と、多数が支持した。一方で、早く探知すれば寿命が延びるのか、そもそも、早期という文言が適切なのか、という根源的な疑問も上がったようだ。

50歳以上を対象に、次世代シーケンサーで血中の循環無細胞DNAのメチル化シグナチュアを調べることにより、症状が出る前に癌を検知するもの。アルゴリズムは機械学習に基づく。原発部位の推定も行う。マンモグラフィなど既存のスクリーニング検査と共に実施する。エビデンスは英国でNHS(国民保健サービス)と共同で実施したNHS-Galleri試験と、北米のPATHFINDER2試験。前者は5万人、後者は2.5万人に検査を行い、1年内に通常の診断手法で癌と診断される患者を予測できるか、検討した。

図表:Galleriの試験成績
NHS-Galleri試験:癌診断例非診断例
陽性例259132PPV:66.2%
陰性例56149786NPV:98.9%
感度:
31.6%
特異度:
99.7%
偽陽性率:0.26%、Number needed to screen:196
PATHFINDER 2試験:
陽性例10632PPV:77.0%
陰性例19721084NPV:99.1%
感度:
35.0%
特異度:
99.85%
偽陽性率:0.15%、Number needed to screen:202
出所:FDAの諮問委員会ブリーフィング資料より作成

発症部位別の感度(1年内に癌と診断された患者のうち、Galleri検査で陽性だった患者の比率)は、発症例が多く他のスクリーニング手法が確立している癌では前立腺が両試験とも1割前後、乳癌は2割前後に留まっているが、肺癌は英国試験は63%、北米試験も47%と比較的高い。サンプル数が少なく信頼性の面では今一つだがスクリーニング手法が確立していない癌では肝臓癌(肝内胆管癌を含む)や卵巣・卵管癌は両試験とも6~8割とかなり高くなっている。

リンク: Grailのプレス・リリース

【承認】


Mirum社のFOP用薬も承認
(2026年9月25日発表)

FDAはMirum Pharmaceuticals(Nasdaq:MIRM)のAtebrioz(zilurgisertib)を12歳以上の進行性骨化性線維異形成症(FOP)の治療薬として承認した。米国の推定患者数300人、世界でも900人とされる超希少疾患で、新薬承認は3剤目。EUでも申請中。

FOPは全身の筋肉やその周辺が徐々に骨に変わり、手足の可動域が狭まったり背中が変形したりする。骨形成因子であるBMPの受容体、ACVR1の変異型がActivin Aより活性化されることが主因と推測されている。AtebriozはIncyte(Nasdaq:INCY)から世界開発商業化権を取得したALK2受容体阻害剤。第2相PROGRESS試験のコフォート1で12歳以上の患者63人に100mgまたは偽薬を一日一回、24週間、経口投与したところ、各群一人と5人で新規異所性骨化(HO)が認められ、81%の抑制効果が示唆されたが、症例数が少ないせいかp=0.0986だった。承認の根拠は副次的評価項目である、患者一人当たり新規HO総量。FDAのリリースによると、偽薬群は平均24.6cm3増加したが試験薬群は3.2cm3減少した。

上記試験はコフォート2で6~11歳、3では2~11歳の患者を組入れて低年齢における便益や安全性を検討している。

米国のFOP治療薬は、23年にイプセンの経口レチノイン酸受容体ガンマ・アゴニスト、Sohonos(palovarotene)が、今年8月にはRegeneron Pharmaceuticalsの静注用抗Activin A抗体Pasatru(garetosmab-grts)が何れも新規HO量、承認されており、市場規模を考えると過密状態になりつつある。

リンク: プレス・リリース


ガザイバがネフローゼ症候群に適応拡大
(2026年9月25日発表)

FDAはジェネンテック(ロシュ子会社)のGazyva(obinutuzumab)を小児期発症特発型ネフローゼ症候群に適応拡大を認めた。2~25歳の小児と成人の、頻回再発型あるいはステロイド依存性患者が、寛解時に用いて再発を抑制する。第3相INShore試験で52週間持続的完全寛解率(投与開始8週後以降に再発がなく、UPCR(尿蛋白クレアチニン比)が0.2g/g以下を維持)が95%と、mycophenolate mofetil群の73%を有意に上回った。日欧でも承認申請中。

様々な自己免疫疾患に承認されている糖鎖改変型抗CD20抗体。抗CD20抗体の先達であるrituximabも日本で医師主導試験に基づき2014年に小児期発症の頻回再発型あるいはステロイド依存性を示す難治性ネフローゼ症候群に承認されている。

リンク: プレス・リリース


腎癌の新規併用法が承認
(2026年9月24日発表)

FDAは、MSDのHIF-2アルファ阻害剤Welireg(belzutifan)とエーザイのVEGFR阻害剤Lenvima(lenvatinib)を併用で進行腎細胞腫の治療に充てる適応拡大を承認した。抗PD-(L)1阻害剤による治療歴を持つ成人が適応になる。日本も参加した第3相LITESPARK-011試験でPFS(無進行生存期間、盲検独立中央評価)がメジアン14.8ヶ月とVEGFR阻害剤cabozantinibだけを投与した群の10.7ヶ月を上回り、ハザード・レシオは0.70だった。共同主評価項目である全生存期間の解析はトレンドに留まった。FDAのプレス・リリースによるとメジアン生存期間は33.7ヶ月対28.6ヶ月、ハザード・レシオは0.85(95%信頼区間0.70-1.03)と、今年のASCO(米国臨床腫瘍学会)で発表された第2次中間解析の0.85(同0.68-1.05)からそれほど変わっていない。

両社はLenvimaなどの共同開発で提携している。今回の適応拡大は英国や日本でも承認審査中。

リンク: プレス・リリース


オンスイクが米国でも承認
(2026年9月24日発表)

FDAはイーライリリーのOnswik(insulin efsitora alfa-gobe) を二型糖尿病薬として承認した。日本でも今月、承認され、EUでは6月にCHMPが肯定的意見を出した。

米国では3月に承認されたノボ ノルディスクのAwiqli(insulin icodec-abae)と同様に、二型糖尿病患者に週一回投与する。インスリン治療中の患者や未経験者を組入れた、一日一回投与型インスリン製剤対照試験で血糖管理効果が非劣性だった。一型糖尿病に用いると重度低血糖のリスクが高まるため適応外。

リンク: プレス・リリース


胆道癌の新薬が承認
(2026年9月23日発表)

FDAは米国のElevar TherapeuticsのLyrfigtu(lirafugratinib)を承認した。成人の、FGFR2遺伝子に融合又は再編成を持つ治療歴のある切除不能、局所進行、または転移性の胆管癌に、70mgを一日一回、経口投与する。第1/2相ReFocus試験でcORR(確認客観的反応率、独立評価委員会方式、n=114)が46.5%、メジアン反応持続期間は11.8ヶ月だった。G3以上の治療関連有害事象は手足症候群や口内炎など。警告注意事項は網膜色素上皮剥離やドライアイなど、高リン血症と軟部組織石灰化、胚胎毒性。

24年に米国のRelay Therapeutics(Nasdaq:RLAY)から世界開発商業化権を取得した選択的FGFR2阻害剤。Elevarの親会社のHLBによると、韓国企業が米国で新薬の承認を取得したのは初。

リンク: プレス・リリース


エアウィンの早期治療データがレーベル収載
(2026年9月22日発表)

MSDはFDAがWinrevair(sotatercept-csrk、和名エアウィン)の添付文書改訂を承認したと発表した。第3相HYPERION試験の成績が収載され、適応範囲が広がるわけではないが、早期患者における有効性を示すエビデンスが強化された。

activinのIIa型受容体を標的とする融合蛋白。運動機能などの悪化や死亡リスクを抑制する。24~25年に肺動脈性高血圧症(PAH)用薬として米欧日で承認された。エビデンスとなった第3相STELLAR試験は診断から平均8.8年経った、平均3剤服用している患者に追加投与したが、今回のHYPERION試験は診断から1年以内、7割が2剤併用と、早期の患者における臨床的悪化抑制作用を検討している。ハザード・レシオは0.24、臨床的悪化発生率は10.6%と偽薬群の36.9%を大きく下回った。複合評価項目のうち、PAH関連の24時間以上の入院や、PAHの悪化(6分歩行テストに加えて観察項目の一つが悪化)が少なかった。有害事象は鼻血や毛細血管拡張症など。

リンク: プレス・リリース


EUで脳副腎白質ジストロフィー用薬が承認
(2026年9月25日発表)

スペインのMinoryx TherapeuticsとドイツのNeuraxpharm Groupは、欧州委員会がNezglyal(leriglitazone)を脳副腎白質ジストロフィーの(cALD)の治療薬として承認したと発表した。2~12歳の、脳MRI検査でガドリウム(Gd)強調病変が陰性、かつ神経学的機能尺度(NFS)が0または1の場合に、適応となる。20人規模のNEXUS試験で2年間の臨床的・放射線学的進行抑制奏効率が35%と、自然歴の10%を上回った。例外的環境下承認。

脳浸透性PPARガンマ・アゴニスト。二型糖尿病用薬pioglitazoneの活性代謝物のようだ。Minoryxが開発、Neuraxpharmが欧州で販売する。

Gd強調病変が見られるcALDで、造血幹細胞移植やelivaldogene autotemcel遺伝子療法が不適/拒否の約40人を組入れた第3相CALYXも進行中。主評価項目は死亡、または、寝たきり/永続的呼吸補助までの期間。米国はこの試験の結果が出てから承認申請する考えかもしれない。

リンク: プレス・リリース

【当面の主なFDA審査期限と諮問委員会】


PDUFA
26/9推アッヴィのtavapadon(パーキンソン病)
26/9推ノボ ノルディスクのNN7769(denecimig、A型血友病)
26/9推ノバルティスのRhapsido(remibrutinib、皮膚描記型慢性刺激性蕁麻疹適応拡大)
26/9/28Egetis TherapeuticsのEmcitate(tiratricol、MCT8欠乏症)
26/9/30BMSのCamzyos(mavacamten、12-17歳の症候性oHCMに適応年齢拡大)
26/10推アッヴィのRinvoq(upadacitinib、非分節型白癬)
26/10推GSKのJemperli(dostarlimab-gxly、dMMR/MSI-H結腸癌、CNPV案件)
26/10/9ロシュのTecentriq(atezolizumab、dMMR/MSI-HステージIII結腸癌の術後療法)
26/10/10第一三共のDS-7300(ifinatamab deruxtecan、進展型小細胞性肺癌)
26/10/15ロシュのEnspryng(satralizumab-mwge、甲状腺眼症)
26/10/26GSKのbepirovirsen(慢性B型肝炎)
26/10/29Sun PharmaceuticalのIlumya(tildrakizumab-asmn、乾癬性関節炎)
26/10/30Inovio PharmaceuticalsのINO-3107(難治呼吸器乳頭腫)
26/11推Merck KGaAのpimicotinib(腱滑膜巨細胞腫)
26/11推バイエルのBAY 2433334(asundexian、虚血性脳卒中再発予防)
26/11推JNJのTecvayli(teclistamab-cqyv、多発骨髄腫単剤4次治療)
26/11推Dizal PharmaceuticalのZegfrovy(sunvozertinib、EGFR ex20ins変異のあるNSNSCLC1L)
26/11推ロシュのGazyva(obinutuzumab、原発性膜性腎症)
26/11推ファイザーのTalzenna(talazoparib)とアステラス/ファイザーのXtandi(enzalutamide)の併用(去勢感受前立腺癌)
26/11推Regeneron PharmaceuticalsのALN-CC5(cemdisiran、全身性筋無力症)
26/11/1Agios Pharmaceuticalのmitapivat(鎌状赤血球症適応拡大)
26/11/14Summit tderapeuticsのSMT112(ivonescimab、3G EGFR阻害剤歴のあるEGFR変異陽性非扁平上皮非小細胞性肺癌)
26/11/14CytokineticsのMyqorzo(aficamten、MAPLE-HCM試験データ)
26/11/17Mandos LLC(Beren tderapeuticsの子会社)のVTS-270(adrabetadex、ニーマン・ピック病I型)
26/11/22SavaraのMolbreevi(molgramostim、吸入用、自己免疫性肺胞蛋白症)
26/11/22Capricor tderapeuticsのCAP-1002(deramiocel、DMD)
26/11/25サノフィのSAR402671(venglustat、III型ゴーシェ病)
26/11/27BridgeBio PharmaのBBP-418(ribitol、肢帯型筋ジストロフィー2I/R9型)
26/11/27Zydus Therapeuticsのsaroglitazar(原発性胆汁性胆管炎)
26/11/27Nuvalent(GSKグループ)のNVL-655(neladalkib、TKI歴のあるALK+NSCLC)
26/11/28PolypidのD-PLEX100(doxycycline長期局所放出製剤、
26/11/30ロシュのRG6171(giredestrant、早期乳癌術後療法)
26/11/30Vertex Pharmaceuticalsのpovetacicept(IgG腎症)
26/11/30Cogent BioscienceのCGT9486(bezuclastinib、GIST2L)
諮問委員会
26/10/30DODAC:SydnexisのRyjunea(atropine、小児進行性近視)

今週は以上です。

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